特許異議申立
2024-700895
紫外発光装置
- 審判番号
- 2024-700895
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-003828
- 登録番号
- 7452446
- 請求日
- 2024年09月18日
- 審決日
- 2024年12月12日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】豊田合成株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人あいち国際特許事務所
- 【異議申立人】三木 郁子
- 審判長/審判官
- 審判長 藤田 年彦
- 審判官 後藤 孝平
- 審判官 吉野 三寛
- 分類
- P1651.121-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7452446号発明「紫外発光装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7452446号の請求項1~16に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7452446号(以下「本件特許」という。)の請求項1~16に係る特許についての出願は、令和3年1月13日に出願され、令和6年3月11日にその特許権の設定登録がされ、令和6年3月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年9月18日に特許異議申立人 三木郁子(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
本件特許の請求項1~16の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、本件特許の請求項1~16に係る発明をそれぞれ、本件発明1~16という。)。
「【請求項1】
基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであり、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記紫外発光素子の前記側面に接触しており、
前記接着剤層および前記基板の前記実装面に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項2】
基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであり、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記紫外発光素子の前記側面に接触しており、
前記接着剤層および前記接合層に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項3】
基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面と、
前記紫外発光素子の周囲を前記紫外発光素子に非接触で取り囲む壁と、を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであって、前記基板側に平坦面を有し、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着し、前記基板の前記壁と前記透光部材の前記平坦面とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記紫外発光素子の前記側面に接触しており、
前記接着剤層に接触しておらず、
前記壁の前記実装面からの高さは、
前記紫外発光素子の前記第2面の前記実装面からの高さより低いこと
を含む紫外発光装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
空気層を有し、
前記空気層は、
前記基板と前記透光部材との間に位置するとともに、
前記フッ化炭素化合物および前記接着剤層に接触していること
を含む紫外発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の紫外発光装置において、
前記空気層は、
前記紫外発光素子の周囲を取り囲んでおり、
前記空気層と前記紫外発光素子との間には、
前記フッ化炭素化合物が存在していること
を含む紫外発光装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の紫外発光装置において、
前記空気層における前記基板の前記実装面から最も遠い位置に位置する点から前記基板の前記実装面までの距離は、
前記紫外発光素子の前記第2面から前記基板の前記実装面までの距離より大きいことを含む紫外発光装置。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の紫外発光装置において、
前記空気層における前記基板の前記実装面から最も遠い位置に位置する点から前記基板の前記実装面までの距離は、
前記紫外発光素子の前記第2面から前記基板の前記実装面までの距離より小さいことを含む紫外発光装置。
【請求項8】
請求項2または請求項3に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記基板の前記実装面に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項9】
請求項1または請求項3に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記接合層に接触していないこと
を含む紫外発光装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記紫外発光素子の前記側面に接触している前記フッ化炭素化合物の厚みは、
前記基板の前記実装面から離れるほど厚くなっていること
を含む紫外発光装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
紫外線を透過させるフィラーを含有し、
前記フィラーの屈折率は、
1.2以上1.6以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の紫外発光装置において、
前記フィラーは、
フッ素を含まない材料であり、
前記フィラーの粒子径が、
前記紫外発光素子の発光波長のピーク値よりも小さいこと
を含む紫外発光装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の紫外発光装置において、
前記透光部材は、
レンズであり、
前記レンズにおける前記基板の前記実装面の側には凹部が形成されており、
前記凹部は、
天井面と内側壁とを有すること
を含む紫外発光装置。
【請求項14】
請求項13に記載の紫外発光装置において、
前記フッ化炭素化合物は、
前記内側壁の上に存在すること
を含む紫外発光装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の紫外発光装置において、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記レンズの前記天井面との間の距離が、
0.1μm以上500μm以下であること
を含む紫外発光装置。
【請求項16】
請求項1または請求項2に記載の紫外発光装置において、
前記基板は、
前記紫外発光素子の周囲を前記紫外発光素子に非接触で取り囲む壁を有し、
前記透光部材は、
前記基板側に平坦面を有し、
前記接着剤層は、
前記基板の前記壁と前記透光部材の前記平坦面とを接着しており、
前記壁の前記実装面からの高さは、
前記紫外発光素子の前記第2面の前記実装面からの高さより低いこと
を含む紫外発光装置。」
3 申立理由の概要
申立人は、主たる証拠として
(1)特開2007-311707号公報(以下「甲1」という。)
及び従たる証拠として
(2)特開2015-79924号公報(以下「甲2」という。)
(3)特開2017-17110号公報(以下「甲3」という。)
(4)中国特許第100555694号明細書(以下「甲4」という。)
(5)実願昭58-143078号(実開昭60-49510号)のマイクロフィルム(異議申立書の記載及び添付の甲第5号証写しから、異議申立書に記載された「実公昭60-49510号公報」は「実願昭58-143078号(実開昭60-49510号のマイクロフィルム」の誤記と認められる。以下「甲5」という。)
(6)特開2016-207754号公報(以下「甲6」という。)
(7)再表2018/212350号公報(以下「甲7」という。)
を提出し、請求項1~16に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1~16に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
4 証拠に記載された事項及び引用発明等の認定
(1)甲1について
ア 甲1の記載
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当合議体が付した。以下同様。)。
「【請求項1】
集光レンズと、この集光レンズの底面側の中央に位置されて集光レンズの底面と離間して配置された紫外線発光素子とを備えてなり、
少なくとも紫外線発光素子と集光レンズの底面との間のギャップに、紫外線耐久性を有する屈折率差緩和物質が充填されてなることを特徴とする紫外線発光素子パッケージ。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を放射する紫外線発光素子と、この紫外線発光素子からの紫外線を集光する集光レンズとが一体に構成された紫外線発光素子パッケージに関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、集光レンズを備えた紫外線発光素子パッケージであって、紫外線発光素子からの紫外線の取り出し効率が高く、かつ、安定した出力が得られる、新規な構造を有する紫外線発光素子パッケージを提供することを目的とする。」
「【0020】
図1は、本発明の紫外線発光素子パッケージの一例における構成の概略を示す断面図である。
この紫外線発光素子パッケージ10は、電力が供給されることにより紫外線を放射する、例えば紫外線発光ダイオード素子(UV-LED素子)11よりなる紫外線発光素子が基板12上に配置され、さらにこのUV-LED素子11の光放射方向前方(図1において上方)に、UV-LED素子11から放射された紫外線を集光する半球状の集光レンズ17が、その底面がUV-LED素子11の発光面と所定の大きさのギャップが形成されるよう離間した状態で、UV-LED素子11の周囲を囲むように配置されたレンズ保持部材15によって保持されて固定され、これにより、UV-LED素子11と集光レンズ17とが一体に構成されている。
【0021】
UV-LED素子11は集光レンズ17の底面側の中央に位置されており、基板12に配設されたリード電極13,14を介して外部と電気的に接続されている。11A,11BはUV-LED素子11の電極であって、例えば金のバンプや銀ペーストなどの電気的接合部材によりリード電極13,14に電気的に接続されている。
UV-LED素子11の発光源(発光材料)は、例えば窒化ガリウム(GaN)の活性層(屈折率が約2.5)により構成されている。
【0022】
集光レンズ17は、紫外線を透過しかつ紫外線が照射されることによって劣化しない、例えば石英などのガラスにより構成されている。なお、集光レンズ17は上記特性を有するものであればガラスに限定されるものではなく、例えば樹脂材料により構成されていてもよい。
【0023】
レンズ保持部材15は、例えば断面形状がL字型の枠状のものであって、例えばそのレンズ保持面上に塗布された接着剤16によって集光レンズ17が接着されて、これを保持、固定する。
【0024】
本発明の紫外線発光素子パッケージは、紫外線耐久性を有し、UV-LED素子の発光層との屈折率の差が小さい屈折率差緩和物質が、少なくとも紫外線発光素子と集光レンズの底面との間のギャップを含む空間に充填されてなるものである。
この実施例においては、UV-LED素子11と集光レンズ17の底面との間のギャップに、屈折率差緩和物質よりなる屈折率差緩和層20が集光レンズ17およびUV-LED素子11の両者に密着した状態、すなわち、屈折率差緩和層20とレンズ17およびUV-LED素子11との界面にも屈折率差緩和層20の肉厚中にも気体(空気層)が存在せず隙間がない状態で、形成されている。
本発明でいうところの「紫外線耐久性」とは、例えばUV-LED素子11に定格電流を通電してUV-LED素子11を動作させたときに、5000時間経過後においても70%低下(初期時に対して70%以上の透過率が維持されること)が保証される特性、すなわち紫外線が照射されても長時間にわたり透過率が低下しない、あるいは、透過率の低下の程度が小さい特性をいう。
【0025】
屈折率差緩和物質20としては、上記特性を満足するものであれば特に制限されないが、例えばシリコーン樹脂またはフッ素系樹脂が用いられることが好ましい。
シリコーン樹脂としては、例えば付加型のものが好ましい。
フッ素系樹脂としては、例えばアモルファス(非晶質)フッ素ポリマーである「サイトップ」(旭硝子製)や、シランカップリング剤を含むフッ素樹脂である「オプツール」(ダイキン工業)などを例示することができる。ここに例示したものにおいて、アモルファス(非晶質)フッ素ポリマーは、紫外線に対する劣化がないこと、シランカップリング剤を含むフッ素樹脂は、レンズを構成するガラスとの密着性に優れていることから好ましく用いることができる。
【0026】
屈折率差緩和層20は、紫外線によって劣化して透過率の低下が生じた場合であっても、その影響を大幅に軽減することができるという理由から、厚みは小さいほど好ましく、例えば100μm以下であることが好ましい。
【0027】
集光レンズ17を固定するための接着剤16としては、UV-LED素子11からの紫外線に直接さらされるわけではなく、また、接着剤16に入射される光を集光するわけではないので、紫外線によって透過率が低下するものであってもよく、集光レンズ17をレンズ保持部材15に固定するための十分に高い接着力を有するもののうちから選択することができるが、屈折率差緩和物質20の種類に応じて更に以下のような特性を有するものが用いられることが好ましい。
例えば屈折率差緩和物質としてシリコーン樹脂が用いられる場合には、シリコーン樹脂は、大気中に長時間の間さらされていると、水分やガスが浸透して、UV-LED素子11の劣化やシリコーン樹脂それ自体の透過率が低下する場合があるものであるため、接着剤16としては、密着性のよい、すなわちガス透過率が低く、ガス放出速度も遅いものを用いることが好ましい。このような接着剤16の具体例としては、例えばエポキシ系の樹脂を例示することできる。
また、屈折率差緩和物質としてフッ素系樹脂が用いられている場合には、フッ素樹脂は接着力(粘着力)が弱いものであるので、UV-LED素子11の点灯時の発熱によって、屈折率差緩和層20と集光レンズ17またはUV-LED素子11とがはがれ、屈折率差緩和層20と集光レンズ17またはUV-LED素子11との間に気体が入り込む場合があるため、接着剤16としては、熱膨張等によって集光レンズ17や基板12に生じる応力を緩和するために、接着後も柔らかい弾性を有するものが用いられることが好ましい。このような接着剤16の具体例としては、シリル基を含有する樹脂を例示することができる。
【0028】
上記紫外線発光素子パッケージ10は、次のようにして作製することができる。
すなわち、図2に示すように、リード電極13,14が配設された基板12上にUV-LED素子11を実装した後、レンズ保持部材15を所定の位置に固定し、UV-LED素子11の発光面上に適正な粘度に調整されたペースト状の屈折率差緩和物質20Aを塗布すると共に適正な量の接着剤16をレンズ保持部材15のレンズ保持面上に塗布し、この状態において、集光レンズ17をUV-LED素子11に対して位置合わせしてUV-LED素子11の上方位置に配置する。これにより、集光レンズ17の自重を利用して屈折率差緩和物質20A中に含まれる気体および集光レンズ17と屈折率差緩和物質20Aとの間の気体を排除しながら屈折率差緩和物質20AがUV-LED素子11の発光面全域を覆うよう拡がり、集光レンズ17の底面とUV-LED素子11との距離、すなわち形成されるべき屈折率差緩和層の厚みが所定の大きさとされて、屈折率差緩和物質20Aと集光レンズ17およびUV-LED素子11とが隙間なく密着される。
そして、屈折率差緩和物質20Aおよび接着剤16、または接着剤16のみを硬化させることにより、屈折率差緩和層20が集光レンズ17とUV-LED素子11との間に形成されると共に、集光レンズ17の周縁部が接着剤16によってレンズ保持部材15に接着、固定され、これにより、図1に示すUV-LED素子パッケージ10が得られる。
【0029】
上記構成のUV-LED素子パッケージ10においては、リード電極13,14を介して電力が供給されることによりUV-LED素子11が発光し、UV-LED素子11から放射される紫外線は、屈折率差緩和層20の肉厚中を伝播されて集光レンズ17に入射されることとなる。
而して、上記UV-LED素子パッケージ10によれば、UV-LED素子11の発光層との屈折率の差が小さい屈折率差緩和物質よりなる屈折率差緩和層20が集光レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップに充填されて形成されていることにより、UV-LED素子11の発光層と屈折率差緩和物質20との界面における両者の屈折率の差に起因する紫外線の取り出し角の低下の程度を小さく抑制することができる。すなわち、図3を参照して具体的に説明すると、UV-LED素子11の発光源を構成する例えば窒化ガリウム(GaN)の発光層から放射される光のうち、UV-LED素子11に垂直な軸に対する平面角が窒化ガリウム(GaN)の発光層と屈折率差緩和層20との界面において全反射が生ずる(θ' が90°となる)臨界角θである大きさの角度範囲(立体角φ)に含まれる光が取り出されるが、屈折率差緩和層20がシリコーン樹脂である場合には、窒化ガリウム(GaN)の発光層の屈折率が約2.5であり、シリコーン樹脂の屈折率が約1.45であることから、臨界角θが35.5°、立体角φが1.16srとなる。また、屈折率差緩和層20がフッ素樹脂である場合には、フッ素樹脂の屈折率が約1.3であることから、臨界角θが31.3°、立体角φが0.92srとなる。
従って、上述したように、UV-LED素子が窒素雰囲気に配置されてなる従来のパッケージ構造においては、立体角φは0.52sr程度であるから、このようなパッケージ構造に比して、UV-LED素子11から照射される紫外線を効率よく、すなわち屈折率差緩和物質としてシリコーン樹脂が用いられる場合には、約2.2倍の効率で、フッ素樹脂が用いられる場合には、約1.8倍の効率で、取り出すことができる。
しかも、屈折率差緩和層20が耐紫外線性に優れたものであることにより、紫外線が照射されることによる経時的な透過率の低下の程度を小さく抑制することができ、所期の性能を長期間の間にわたって確実に得ることができる。」
「【0031】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば図4に示すように、レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップを含む密閉空間内に、液状の屈折率差緩和物質35が充填されたパッケージ構造とすることができる。
このUV-LED素子パッケージ30は、液状の屈折率差緩和物質35が用いられるという構造上、集光レンズ17、レンズ保持部材15および基板12とによって形成される、屈折率差緩和物質35が充填される空間が高い密閉性を有することが必要であり、例えば集光レンズ17を固定するための接着剤16として、優れた密封性を有するものが用いられる。
また、液状の屈折率差緩和物質35としては、上記の特性に加えて、沸点が高いもの(例えば200℃以上であるもの)が用いられる。この理由は、UV-LED素子11は点灯時に発熱し、例えば150℃程度にまで達することがあるので、液状の屈折率差緩和物質35が沸騰して生じる気泡によってUV-LED素子11からの紫外線が反射されて光の利用効率が低下したり、パッケージが破損したりすることを防止するためである。
【0032】
このような構成のUV-LED素子パッケージ30は、図5に示すように、リード電極13,14が配設された基板12上にUV-LED素子11を実装した後、レンズ保持部材15を所定の位置に固定し、適正な量の接着剤16をレンズ保持部材15のレンズ保持面上に塗布すると共に、液状の屈折率差緩和物質35を、液面がUV-LED素子11の発光面に対して所定のレベルに位置されてUV-LED素子11が浸漬された状態となるよう注入する。
この状態において、集光レンズ17をUV-LED素子11に対して位置合わせして、気体(エア)が残らないよう、また、集光レンズ17の底面とUV-LED素子11との距離、すなわち屈折率差緩和物質の厚みが所定の大きさとなるよう、離間させて配置し、接着剤16を硬化させることによりレンズ17の周縁部を接着剤16によってレンズ保持部材15に接着、固定し、これにより、図4に示すUV-LED素子パッケージ30が得られる。
【0033】
上記UV-LED素子パッケージ30によれば、図1に示すものと同様の効果、すなわち、UV-LED素子11からの紫外線を効率よく取り出すことができると共に、紫外線が照射されることによる経時的な透過率の低下の程度を小さく抑制することができ、安定した紫外線出力を長期間にわたって確実に得ることができる。」
「【0035】
さらに、図1に示す構成の紫外線発光素子パッケージにおいては、集光レンズを適正な姿勢で確実に固定することができさえすれば、レンズ保持部材はなくてもよく、また、接着剤による固定方法に制限されない。さらに、屈折率差緩和物質がUV-LED素子が配置される空間内に充填された構成とされていてもよい。」
「【図1】
[図:0001418271000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418271000002.jpg]
」
「【図4】
[図:0001418271000003.jpg]
」
「【図5】
[図:0001418271000004.jpg]
」
イ 甲1の記載に基づいて当業者が把握できる事項
(ア)【0020】に「UV-LED素子11の光放射方向前方(図1において上方)に、UV-LED素子11から放射された紫外線を集光する半球状の集光レンズ17が、その底面がUV-LED素子11の発光面と所定の大きさのギャップが形成されるよう離間した状態で」「固定され」ていることが記載されていること及び図1から、図1におけるUV-LED素子11の集光レンズ17と対向する面が「発光面」であることを把握することができる。
また、【0021】にUV-LED素子11が電極11A、11Bを有することが記載され、図1から、当該電極11A、11Bが、基板12と向き合うUV-LED素子11の下面に設けられていることが把握できる。
また、図1から、UV-LED素子11が、前記発光面、下面のほかに、側面を備えることを当業者は把握することができる。
したがって、これらの記載から当業者は、「UV-LED素子11は、電極11A、11Bを有する下面と、当該下面の反対側の発光面と側面とを有する」ことを把握することができる。
(イ)【0021】に「基板12に」「リード電極13,14」が配設され、「例えば金のバンプや銀ペーストなどの電気的接合部材により」「UV-LED素子11の電極」「11A,11B」「に電気的に接続されている」ことが記載されていること、前記(ア)及び図1を踏まえると、当業者は、「例えば金のバンプや銀ペーストなどからなる電気的接合部材は、UV-LED素子11の下面の電極11A、11Bと基板12の上面に配設されたリード電極13,14とを電気的に接合している」ことを把握することができる。
(ウ)【0027】に「接着剤16としては、UV-LED素子11からの紫外線に直接さらされるわけではな」いことが記載され、図1から、UV-LED素子11の側方に接着剤16が位置していることを見てとれることを踏まえれば、当業者は、UV-LED素子11の側方に位置する接着剤16は、UV-LED素子11からの紫外線に直接さらされるわけではないこと、すなわち、「UV-LED素子11は側面から発光するものではない」ことを把握することができる。
(エ)【0028】に「屈折率差緩和物質20Aおよび接着剤16、または接着剤16のみを硬化させることにより、屈折率差緩和層20が集光レンズ17とUV-LED素子11との間に形成される」と記載されており、当該記載から、硬化させる対象は「屈折率差緩和物質20A」と「接着剤16」の2者であって、そのうち「接着剤16のみを硬化させる」態様は、「屈折率差緩和物質20Aおよび接着剤16のうち、接着剤16のみを硬化させる」ことを意味するものであることを、当業者は把握することができる。
(オ)【0028】に「UV-LED素子11の発光面上に適正な粘度に調整されたペースト状の屈折率差緩和物質20Aを塗布する」こと、及び「屈折率差緩和物質20AがUV-LED素子11の発光面全域を覆うよう拡がり・・・屈折率差緩和物質20Aと集光レンズ17およびUV-LED素子11とが隙間なく密着される」ことが記載されており、このことと図1及び図2から、当業者は、「屈折率差緩和物質20AがUV-LED素子11の発光面に塗布され、UV-LED素子11の発光面を覆うように拡がる、前記屈折率差緩和物質20Aは、UV-LED素子11の側面には接触しないこと」を把握することができる。
ウ 甲1に記載された発明
前記ア及びイから、甲1には、図1に係る紫外線発光素子パッケージ10であって、屈折率差緩和物質20としてフッ素系樹脂が用いられ、ペースト状の屈折率差緩和物質20Aが硬化されない態様について、下記の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(参考までに、認定の根拠とした段落等を括弧内に記載する。以下同様。)。
<甲1発明>
「集光レンズと、この集光レンズの底面側の中央に位置されて集光レンズの底面と離間して配置された紫外線発光素子とを備えてなり、
少なくとも紫外線発光素子と集光レンズの底面との間のギャップに、紫外線耐久性を有する屈折率差緩和物質が充填されてなる紫外線発光素子パッケージであって、(【請求項1】)
電力が供給されることにより紫外線を放射する、例えば紫外線発光ダイオード素子(UV-LED素子)11よりなる紫外線発光素子が基板12上に配置され、さらにこのUV-LED素子11の光放射方向前方に、UV-LED素子11から放射された紫外線を集光する半球状の集光レンズ17が、その底面がUV-LED素子11の発光面と所定の大きさのギャップが形成されるよう離間した状態で、UV-LED素子11の周囲を囲むように配置されたレンズ保持部材15によって保持されて固定され、これにより、UV-LED素子11と集光レンズ17とが一体に構成されており、(【0020】)
UV-LED素子11は、電極11A、11Bを有する下面と、当該下面の反対側の発光面と側面とを有し、(前記イ(ア))
例えば金のバンプや銀ペーストなどからなる電気的接合部材は、UV-LED素子11の下面の電極11A、11Bと基板12の上面に配設されたリード電極13,14とを電気的に接合しており、(前記イ(イ))
集光レンズ17は、紫外線を透過しかつ紫外線が照射されることによって劣化しない、例えば石英などのガラスにより構成されており、(【0022】)
レンズ保持部材15は、例えば断面形状がL字型の枠状のものであって、例えばそのレンズ保持面上に塗布された接着剤16によって集光レンズ17が接着されて、これを保持、固定し、(【0023】)
紫外線発光素子パッケージは、紫外線耐久性を有し、UV-LED素子の発光層との屈折率の差が小さい屈折率差緩和物質が、少なくとも紫外線発光素子と集光レンズの底面との間のギャップを含む空間に充填されてなり、
UV-LED素子11と集光レンズ17の底面との間のギャップに、屈折率差緩和物質よりなる屈折率差緩和層20が集光レンズ17およびUV-LED素子11の両者に密着した状態、すなわち、屈折率差緩和層20とレンズ17およびUV-LED素子11との界面にも屈折率差緩和層20の肉厚中にも気体(空気層)が存在せず隙間がない状態で、形成されており、(【0024】
屈折率差緩和物質20としては、フッ素系樹脂が用いられ、
フッ素系樹脂としては、例えばアモルファス(非晶質)フッ素ポリマーである「サイトップ」(旭硝子製)や、シランカップリング剤を含むフッ素樹脂である「オプツール」(ダイキン工業)などを例示することができ、アモルファス(非晶質)フッ素ポリマーは、紫外線に対する劣化がないこと、シランカップリング剤を含むフッ素樹脂は、レンズを構成するガラスとの密着性に優れていることから好ましく用いることができ、(【0025】)
集光レンズ17を固定するための接着剤16としては、UV-LED素子11からの紫外線に直接さらされるわけではなく、また、接着剤16に入射される光を集光するわけではないので、紫外線によって透過率が低下するものであってもよく、集光レンズ17をレンズ保持部材15に固定するための十分に高い接着力を有するもののうちから選択することができるが、屈折率差緩和物質20の種類に応じて更に以下のような特性を有するものが用いられることが好ましく、
屈折率差緩和物質としてフッ素系樹脂が用いられている場合には、フッ素樹脂は接着力(粘着力)が弱いものであるので、UV-LED素子11の点灯時の発熱によって、屈折率差緩和層20と集光レンズ17またはUV-LED素子11とがはがれ、屈折率差緩和層20と集光レンズ17またはUV-LED素子11との間に気体が入り込む場合があるため、接着剤16としては、熱膨張等によって集光レンズ17や基板12に生じる応力を緩和するために、接着後も柔らかい弾性を有するものが用いられることが好ましく、このような接着剤16の具体例としては、シリル基を含有する樹脂を例示することができ、(【0027】)
UV-LED素子11は側面から発光するものではなく、(前記イ(ウ))
紫外線発光素子パッケージ10は、次のようにして作製することができ、すなわち、リード電極13,14が配設された基板12上にUV-LED素子11を実装した後、レンズ保持部材15を所定の位置に固定し、UV-LED素子11の発光面上に適正な粘度に調整されたペースト状の屈折率差緩和物質20Aを塗布すると共に適正な量の接着剤16をレンズ保持部材15のレンズ保持面上に塗布し、この状態において、集光レンズ17をUV-LED素子11に対して位置合わせしてUV-LED素子11の上方位置に配置することにより、集光レンズ17の自重を利用して屈折率差緩和物質20A中に含まれる気体および集光レンズ17と屈折率差緩和物質20Aとの間の気体を排除しながら屈折率差緩和物質20AがUV-LED素子11の発光面全域を覆うよう拡がり、集光レンズ17の底面とUV-LED素子11との距離、すなわち形成されるべき屈折率差緩和層の厚みが所定の大きさとされて、屈折率差緩和物質20Aと集光レンズ17およびUV-LED素子11とが隙間なく密着され、そして、屈折率差緩和物質20Aおよび接着剤16のうち、接着剤16のみを硬化させることにより、屈折率差緩和層20が集光レンズ17とUV-LED素子11との間に形成されると共に、集光レンズ17の周縁部が接着剤16によってレンズ保持部材15に接着、固定され、これにより、UV-LED素子パッケージ10が得られ、(【0028】・前記イ(エ))
屈折率差緩和物質20AがUV-LED素子11の発光面に塗布され、UV-LED素子11の発光面を覆うように拡がる、前記屈折率差緩和物質20Aは、UV-LED素子11の側面には接触しないものであり、(前記イ(オ))
上記UV-LED素子パッケージ10によれば、UV-LED素子11の発光層との屈折率の差が小さい屈折率差緩和物質よりなる屈折率差緩和層20が集光レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップに充填されて形成されていることにより、UV-LED素子11の発光層と屈折率差緩和物質20との界面における両者の屈折率の差に起因する紫外線の取り出し角の低下の程度を小さく抑制することができる、(【0029】)
紫外線発光素子パッケージ10。」
(2)甲2及び甲3について
ア 甲2の記載
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【0052】
[第2の実施形態の出射光の説明:図6]
次に、第2の実施形態の半導体発光装置30の動作によって出射される出射光を図6を用いて説明する。図6において、半導体発光装置30の第1パッケージ31は、前述したように、青色LED12が実装されており、この青色LED12が動作することで青色光B1が出射される。そして、第1の実施形態と同様に、青色光B1の一部は封止部材14を通過して外部に出射され、他の一部は封止部材14に含有されるYAG蛍光体15に吸収されて、黄色光Yが外部に出射される。
【0053】
また、半導体発光装置30の第2パッケージ32は、前述したように、近紫外LED22が実装されており、この近紫外LED22が動作することで近紫外光nUVが出射される。そして、第1の実施形態と同様に、近紫外光nUVの一部は、封止部材24に含有される青色蛍光体25に吸収されて、青色光B2が外部に出射され、また、近紫外光nUVの他の一部は、赤色蛍光体26に吸収されて、赤色光Rが外部に出射される。
【0054】
これにより、半導体発光装置30からは、青色光B1、黄色光Y、青色光B2、赤色光Rが合成された出射光2が外部に出射される。ここで、第2パッケージ32の近紫外LED22からの近紫外光nUVは広範囲に出射され、図面上の上部だけでなく、図示するように側面方向(すなわち、封止枠23の側面に当たる方向)にも出射される。この近紫外光nUVが側面方向に出射されると、近紫外光nUVは封止枠23から漏れて(破線の矢印で示す)、第2パッケージ32に隣接する第1パッケージ31に到達し、第1パッケージ31の封止部材14に含有するYAG蛍光体15に照射されることになる。」
「【図6】
[図:0001418271000005.jpg]
」
イ 甲3の記載
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【0032】
図3、5、7、9、11、13を参照して、20°以上70°以下の補角θを有する本実施の形態の半導体発光素子1が小さな厚さtを有する基板11を備えるとき、基板11の厚さtが増加するにつれて、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率が向上する。基板11の厚さtが増加するほど、傾斜した基板11の側面11cの面積が大きくなる。そのため、基板11の厚さtが増加するほど、活性層13から基板11の側面11cに入射する深紫外光の割合が増加する。基板11の厚さtが増加することによる、基板11の側面11cから出射される深紫外光の増加が、基板11の厚さtが増加することによる、基板11における深紫外光の吸収の増加よりも大きいため、基板11の厚さtが増加するにつれて、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率が向上する。半導体発光素子1の規格化光取り出し効率は、ある基板11の厚さtmaxにおいて最大となり、基板11の厚さtがさらに大きくなると、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率は減少する。基板11の厚さtがtmaxより大きい場合には、基板11の厚さtが増加することによる、基板11の側面11cから出射される深紫外光の増加よりも、基板11の厚さtが増加することによる、基板11における深紫外光の吸収の増加が大きくなるためである。以上に述べた、基板11の厚さtに対する半導体発光素子1の規格化光取り出し効率の変化は、基板11による光の吸収を無視することができない深紫外光を放射する半導体発光素子1に特有であり、基板による光の吸収が無視できるほど小さい可視または赤外の光を放射する半導体発光素子では見られない。」
「【0035】
図4、6、8、10、12、14を参照して、100°以上140°以下の補角θを有する本実施の形態の半導体発光素子1が小さな厚さtを有する基板11を備えるとき、基板11の厚さtが増加するにつれて、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率が向上する。基板11の厚さtが増加するほど、傾斜した基板11の側面11cの面積が大きくなる。そのため、基板11の厚さtが増加するほど、活性層13から基板11の側面11cに入射する深紫外光の割合が増加する。基板11の厚さtが増加することによる、基板11の側面11cから出射される深紫外光の増加が、基板11の厚さtが増加することによる、基板11における深紫外光の吸収の増加よりも大きいため、基板11の厚さtが増加するにつれて、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率が向上する。半導体発光素子1の規格化光取り出し効率は、ある基板11の厚さtmaxにおいて最大となり、基板11の厚さtがさらに大きくなると、半導体発光素子1の規格化光取り出し効率は減少する。基板11の厚さtがtmaxより大きい場合には、基板11の厚さtが増加することによる、基板11の側面11cから出射される深紫外光の増加よりも、基板11の厚さtが増加することによる、基板11における深紫外光の吸収の増加が大きくなるためである。以上に述べた、基板11の厚さtに対する半導体発光素子1の規格化光取り出し効率の変化は、基板11による光の吸収を無視することができない深紫外光を放射する半導体発光素子1に特有であり、基板による光の吸収が無視できるほど小さい可視または赤外の光を放射する半導体発光素子では見られない。」
「【図1】
[図:0001418271000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001418271000007.jpg]
」
「【図18】
[図:0001418271000008.jpg]
」
ウ 周知技術
前記ア及びイから、以下の事項は、周知技術であると認められる。
<周知技術>
「紫外発光素子の側面から紫外光が出射すること。」
(3)甲4について
ア 甲4の記載
甲4には、以下の事項が記載されている。
「発明の名称
高出力発光ダイオードのシリコーンを低減させるパッケージ方法」(第1頁)
「背景技術
発光ダイオードは、外形が小さい半導体発光素子、発光ダイオードは低消費を備え、有害線ではなく、無毒の緑色光源であり、21世紀の新世代の光源となるが開始され、発光ダイオードの技術的ボトルネックが破られて、適用可能な範囲が広がっている。
現在、発光ダイオードが発する白色光の主な色は、大きく3つの種類に分類でき、これらはすべて蛍光体と一致させる必要がある。青色発光ダイオードと黄色蛍光粉、青色発光ダイオードと赤色蛍光粉、及び青色発光ダイオードと緑色蛍光体である。UV-LEDは、赤、緑、青の3色の蛍光体を配合し、これら3種類の技術の主な問題は以下のとおりである。
1.青色発光ダイオードは、青色光によって励起されて黄色を発する蛍光体でコーティングされており、チップから発せられる青色光は、蛍光体から発せられる黄色光を補って白色光を形成する。蛍光体には青と黄色の各スペクトルが2つしか含まれていないため、色温度が高く演色性が低いという問題が発生する。同時に、発光スポットの周囲に黄色のスポットが存在する。」(第4頁第5~16行)
「従来条件でシリコーンが劣化するということが、黄化や崩壊等の問題により、実際に高出力発光ダイオード(LED)の使用効果に影響を及ぼす。従って、シリコーンは、発光ダイオードLEDの通光経路中の使用量をできるだけ少なくすることになり、発光ダイオードLEDを緩和する光減衰を達成し、発光ダイオードLEDの耐用年数を向上させ、省エネと環境保護の目的を達成する。」(第5頁第7~10行)
「実施例1:本発明の、高出力発光ダイオード(LED)のシリコーンを低減させるパッケージ方法は、以下のプロセスのステップを採用する:蛍光シリコーンの成分配分比部で計算:蛍光粉2部、シリコーン8部、蛍光粉系シリコーン1部から組成する。
本発明の発光ダイオードLEDは、パッケージレンズ1、ホルダ2、蛍光シリコーン3、チップ4、及びABシリコーン5を備える。
図2に示すように、本発明のパッケージレンズ1の材料は、光学ガラス(K9またはB270)を採用し、まずガラスレンズ1の受光面に1個の内凹キャビティ孔を形成し、この内孔を円錐形とし、内孔の外径を4mmとし、深さは1mmとする。ガーネット蛍光体2部とABシリコーン8部をとり、蛍光シリコ-ン3として均一に混合し、ガーネット蛍光体の粒子を0.0065mmとし、ガーネット蛍光体の色を黄色とした。次に、ガラスレンズの内凹孔のキャビティの受光面に、配合した蛍光シリコーンを塗布器を用いて塗布し、内凹孔のキャビティは0.5mmであり、蛍光シリコーンの塗布厚は0.4mmであり、蛍光シリコーンがはみ出ないようにし、次に、用意した固定具にガラスレンズを入れ、ガラスレンズは、内凹のキャビティの孔が上方向になるように置き、光と熱を避けて、室温で3時間保管した。
この時、蛍光シリコーンを塗布したガラスレンズを発光ダイオードのホルダ2に押し込み、金線をつけて、リード線を接続できる。3時間後、蛍光体の比重は4.2であり、シリコーンの比重は1.38であるため、蛍光体は、シリコーンの下のガラスレンズの受光面に相対的に沈殿し、蛍光接着剤の粘度が1000cpsであるために、ゼリー状態に似ており、ある程度の流動性がある。蛍光シリコーンがガラスレンズの凹型キャビティ孔の受光面の底に析出し、相対的に固化する時、ガラスレンズの受光面は発光ダイオードチップの上部にきつく圧迫され、ガラスレンズの凹型キャビティの受光面とチップの発光面は密接に嵌合し、嵌合の隙間の距離は、0.2mmになる:ガラスレンズを圧迫するには適切な自由圧力が必要で、この圧力はシリコーンの流動性とレンズの凹型の深さと金線の接続方法によって変わる。ガラスレンズがホルダに押し込まれると同時に、シリコーンが絞り流され、蛍光体の比重が大きくなるため、ガラスレンズが貼り付けられた面に留まり、シリコーンの残りの部分はLEDの放電部の周りのチップにこぼれ、レンズの内側のシリコーンの余剰分は50%まで増加する。これにより、高出力の発光ダイオードチップ4とガラスレンズは比較的に均一で、少量のシリコーン蛍光面しか含まず、最終的にABシリコーン5を注入することで、ABシリコーン注入量は、ガラスレンズの凹型キャビティ孔と発光ダイオードのホルダの間の隙間を充填させ、空気を排出させると、発光ダイオードのパッケージが完成する。」(第6頁第14行~第7頁第8行)
「【図2】
[図:0001418271000009.jpg]
」
イ 甲4に記載された技術事項の認定
前記アから、甲4には、以下の技術事項(以下「甲4に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<甲4に記載された技術事項>
「青色発光ダイオードを黄色蛍光粉と組み合わせて、白色光を形成する前提において、(第4頁第10~16行)
黄色の蛍光粉をシリコーンと混合してLEDに塗布していたが、シリコーンが劣化することから、その使用量をできるだけ少なくするために、(第5頁第7~10行)
ガラスレンズ1の内凹キャビティ孔にガーネット蛍光体とABシリコーンを混合した蛍光シリコーン3を塗布し、室温で3時間保管し、ゼリー状態に似ており、ある程度の流動性がある蛍光シリコーン3を有するガラスレンズの受光面を発光ダイオードチップ4の上部に圧迫して嵌合し、シリコーンがLEDの放電部の周りのチップにこぼれることで、高出力の発光ダイオードチップ4とガラスレンズは比較的に均一で、少量のシリコーン蛍光面しか含まないようして、発光ダイオードのパッケージを形成する、(第6頁第17行~第7頁第8行、図2)
技術事項。」
(4)甲5について
ア 甲5の記載
甲5には、以下の事項が記載されている。
「(ハ)考案の目的
この考案は、斯かる点に鑑みてなされたもので、クラッド層と立体光導波路との外周面に低屈折率樹脂をコーティングし、その界面で光が全反射するようにしたことにより、光の漏れを少なくして結合効率の向上を図った光結合装置を提供することを目的とするものである。」(第6頁第5~11行)
「第3図及び第4図に示すように、1は光結合装置であって、光ファイバ2と発光素子3とを紫外線硬化樹脂4によって結合するものである。
光ファイバ2は、コア2aを中心にこのコア2aの外側にクラッド層2bが、クラッド層2aの外側にシリコン(Si)のプリコート層2cが順に形成されて成り、このプリコート層2cの外側に図示しないが、ナイロン等の被覆が設けられている。そして、この光ファイバ2の端部におけるプリコート層2cが除去されてクラッド層2bが露出し、端面2dが光入射面となっている。
前記発光素子3は、ステム5の上部に取付けられており、フレーム3aにチップ3bがマウントされて成り、チップ3bの上面が発光面3cとなって、光6を出射するようになっている。
前記光ファイバ2は端面2dが発光素子6の発光素子3の発光面3cに近接対峙して設けられており、両面2d及び3cの間に立体光導波路7が形成されている。この光導波路7は、高屈折率の紫外線硬化樹脂より構成され、光ファイバ2から発光素子3に亘って逆円錐台状に形成され、光6を光ファイバ2に導くようになっている。
更に、光ファイバ2の端部において、露出したクラッド層2bの外周面及び光導波路6の外周面には低屈折率樹脂8がコーティングされている。この低屈折率樹脂8は、例えばシリコン(Sl)より成り、光ファイバ2端部のプリコート層2cから発光素子3のフレーム2a上面に亘って積層されている。
また、この低屈折率樹脂8の外側には紫外線硬化樹脂4が光ファイバ2の端部からステム5に亘ってモールドされており、この紫外線硬化樹脂4は紫外光の照射によって固化されて、光ファイバ2と発光素子3とを一体化している。」(第8頁第2行~第9頁第15行)
「第3図
[図:0001418271000010.jpg]
」
「第4図
[図:0001418271000011.jpg]
」
イ 甲5に記載された技術事項の認定
前記アから、甲5には、以下の技術事項(以下「甲5に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<甲5に記載された技術事項>
「チップ3bから出射する光6を光ファイバ2に導くために、発光素子3の周囲に高屈折率の紫外線硬化樹脂より構成される光導波路7を設ける、(第8頁第2行~第9頁第15行、第3図及び第4図)
技術事項。」
(5)甲6について
ア 甲6の記載
甲6には、以下の事項が記載されている。
「【0010】
(実施の形態1)
図1を参照して、実施の形態1に係る発光モジュール1は、主に、深紫外光18を放射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体50と、半導体発光素子10と液体50とを収容するパッケージ(30、40)とを備える。」
「【0030】
液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間に充填され、半導体発光素子10を封止する。具体的には、液体50は、基台30と透明部材40との間の空間に充填され、半導体発光素子10を封止する。液体50は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の面11b)を封止してもよい。」
「【0042】
表5に、液体50に用いることができる有機ハロゲン化物の一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、265nmの波長における屈折率とを示す。
【0043】
【表5】
[図:0001418271000012.jpg]
【0044】
有機ハロゲン化物として、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物、及びヨウ素化合物を例示することができる。フッ素化合物として、ペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン)重合体(サイトップ)(登録商標)、2,2-ビストリフルオロメチル-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソール重合体(テフロン(登録商標)AF、DuPont製)を例示することができる。塩素化合物として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン、クロロヘキサノール、トリクロロアセチルクロリド、四塩化炭素、クロロアセトン、1-クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロホルム、クロロエタノール、クロロヘキサン、クロロヘキサノン、エピクロロヒドリンを例示することができる。臭素化合物として、ブロモエタン、ブロモエタノール、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ブロモホルム、トリブロモエタン、トリブロモプロパン、テトラブロモエタン、1-ブロモプロパンを例示することができる。ヨウ素化合物として、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ジヨードメタン、ジヨードプロパンなどのヨウ素化合物を例示することができる。」
「【0059】
表10に、液体50に用いることができる微粒子分散液の一部について、248nm、または300nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、または300nmの波長における屈折率とを示す。
【0060】
【表10】
[図:0001418271000013.jpg]
【0061】
微粒子分散液の微粒子として、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、α-酸化アルミニウム、γ-酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ルテチウムアルミニウムガーネット、二酸化ケイ素(シリカ)、マグネシウムアルミネート、サファイア、ダイヤモンドなどの無機化合物を例示することができる。微粒子は、表面修飾ジルコニアのように、その表面が他の材料で修飾されてもよい。
【0062】
微粒子を分散させる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができるが、これらに限られない。有機溶媒として、シクロヘキサン、デカン、デカヒドロナフタレンなどの飽和炭化水素化合物溶液、n-アクリル酸ブチル、n-アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタクリル酸メチル、ジクロロメタン、ジメチルシリコーンオイルを例示することができる。
【0063】
液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、1.32以上、好ましくは1.40以上、さらに好ましくは1.45以上の屈折率を有してもよい。液体50は、好ましくは、1.50以上、さらに好ましくは1.55以上の屈折率をさらに有してもよい。液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、1.32以上の屈折率を有するので、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長における液体50の屈折率を、深紫外光18の波長における半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)により一層近づけることができる。」
「【図1】
[図:0001418271000014.jpg]
」
イ 甲6に記載された技術事項の認定
前記アから、甲6には、以下の技術事項(以下「甲6に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<甲6に記載された技術事項>
「発光モジュール1は、主に、深紫外光18を放射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体50と、半導体発光素子10と液体50とを収容するパッケージ(30、40)とを備え、(【0010】)
液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間に充填され、半導体発光素子10を封止し、具体的には、液体50は、基台30と透明部材40との間の空間に充填され、半導体発光素子10を封止し、また、液体50は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の面11b)を封止してもよく、(【0030】)
液体50に用いることができる有機ハロゲン化物は、フッ素化合物であり、(【0043】・【0044】)
液体50に用いることができる微粒子分散液の微粒子として、二酸化ケイ素(シリカ)などの無機化合物を例示することができ、(【0059】・【0061】)
シリカ微粒子の平均粒子径は23nmであり、(【表10】)
微粒子を分散させる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができる、(【0062】)
技術事項。」
(6)甲7について
ア 甲7の記載
甲7には、以下の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、光回折フィルム及びウェアラブルディスプレイ装置に関する。より詳細には、本発明は、ウェアラブルディスプレイにおいて画素格子が視認される問題を改善する技術に関する。」
「【0012】
[光回折フィルム]
本発明の光回折フィルムは、透明基材と、バインダー樹脂及び粒子を含有する光回折層とを有する光回折フィルムであって、上記粒子の平均一次粒径が1μm~10μmであり、上記粒子による透明基材表面の被覆率が70%~90%である光回折フィルム、である。」
「【0025】
<<光回折層>>
光回折層は、バインダー樹脂及び粒子を含有する。
【0026】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、透明基材、光回折層、および光回折層以外の他の層に粒子を結着させる機能を有することが好ましい。
バインダー樹脂は硬化性化合物を硬化させて得ることができる。
バインダー樹脂の形成に用いられる硬化性化合物を硬化性化合物(a1)とも呼ぶ。」
「【0038】
バインダー樹脂と粒子の屈折率差の調整のために、硬化後の屈折率が1.60以上の重合性化合物(硬化性化合物(a1H))及び/又は、硬化後の屈折率が1.50未満の重合性化合物(硬化性化合物(a1L))を硬化性化合物(a1M)に併せて用いる場合には、硬化性化合物(a1H)及び/又は硬化性化合物(a1L)と硬化性化合物(a1M)との混合後のバインダー樹脂形成用組成物のSP値を20~24となるように調整することが好ましい。このように、混合後のバインダー樹脂形成用組成物の親疎水性を表すSP値を20~24にすることにより、後述する粒子の分散性を非常に良好にすることができ、特に、バインダー樹脂形成用組成物、粒子、及び溶媒を含む光回折層形成用組成物を塗布した際、溶媒が揮発した後の分散性への影響が大きく、粒子規則性が高く、かつ面内均一性の高い光回折フィルムを得ることができる。硬化性化合物(a1H)及び/又は硬化性化合物(a1L)と硬化性化合物(a1M)との配合比を適切に選択することにより、混合後のバインダー樹脂形成用組成物のSP値を20~24とすることができる。粒子の組成、表面分散剤、表面修飾によっても変化するが、例えば粒子としてアクリル修飾シリカ粒子を用いた場合は、混合後のバインダー樹脂形成用組成物のSP値は21~23がより好ましく、21.5~22.5が更に好ましい。
なお、バインダー樹脂形成用組成物のSP値は、硬化性化合物(a1H)のSP値、硬化性化合物(a1L)のSP値、及び硬化性化合物(a1M)のSP値をそれぞれの含有率で積算した値である。
本発明におけるSP値(溶解性パラメーター)は、Fedors法によって算出した値であり、単位は、「MPa0.5」である。Fedors法は、PROPERTYESOF POLYMERSのTABLE 7.3に記載がある。
【0039】
更に、バインダー樹脂の屈折率調整に加え、カールや、表面凹凸抑制のために、硬化収縮のない、粒径50nm以下の無機微粒子を併用することも好ましい。例えば高屈折率化のためには、ZrO2粒子(屈折率1.9)を用いることや、低屈折率化のためには、シリカ粒子(屈折率1.46)や中空シリカ粒子(屈折率1.35)を用いることができる。市販例としては、ZR-30BFN(粒径15nmZrO2粒子)、MEK-AC-2140Z(粒径15nmシリカ粒子)、MEK-AC-4130Y(粒径45nmシリカ粒子)(全て、日産化学工業(株)製)、などが挙げられる。このように屈折率調整を無機微粒子を併用して行なう場合は、親疎水性の異なる硬化性化合物を2種以上用いて、混合後のバインダー樹脂形成用組成物のSP値を20~24に調整することが、好ましい。」
イ 甲7に記載された技術事項の認定
前記アから、甲7には、以下の技術事項(以下「甲7に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<甲7に記載された技術事項>
「透明基材と、バインダー樹脂及び粒子を含有する光回折層とを有する光回折フィルムであって、(【0012】)
バインダー樹脂の屈折率調整に加え、カールや、表面凹凸抑制のために、硬化収縮のない、粒径50nm以下の無機微粒子を併用することも好ましく、低屈折率化のためには、シリカ粒子(屈折率1.46)や中空シリカ粒子(屈折率1.35)を用いることができる、(【0039】)
技術事項。」
5 当合議体の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると以下のとおりである。
(ア)本件発明1の「基板と、紫外発光素子と、接合層と、透光部材と、接着剤層と、フッ化炭素化合物と、を有し」及び「紫外発光装置」との特定事項について
a 甲1発明の「基板12」、「紫外線発光ダイオード素子(UV-LED素子)11」、「集光レンズ17」及び「UV-LED素子パッケージ10」は、それぞれ、本件発明1の「基板」、「紫外発光素子」、「透光部材」及び「紫外発光装置」に相当する。
b 甲1発明の「電気的接合部材」は、「例えば金のバンプや銀ペーストなどからなる」ものであり、当該バンプやペーストは、所定の厚みを有して2つの部材を接合するものであると認められるから、甲1発明の「電気的接合部材」は「層」を構成するものであるといえる。
そのため、当該「層」を構成する甲1発明の「電気的接合部材」は、本件発明1の「接合層」に相当する。
c 甲1発明の「接着剤16」は、「熱膨張等によって集光レンズ17や基板12に生じる応力を緩和するために、接着後も柔らかい弾性を有するものが用いられることが好ましい」ものであり、応力を緩和できる程度の厚みを有していると認められるから、「層」を構成するものであるといえる。
そのため、当該「層」を構成する甲1発明の「接着剤16」は、本件発明1の「接着剤層」に相当する。
d 甲1発明の「屈折率差緩和物質20」は、「フッ素系樹脂が用いられ」るものであって、当該フッ素系樹脂とは、フッ素と炭素を含む化合物であるから、甲1発明の「屈折率差緩和物質20」は、本件発明1の「フッ化炭素化合物」に相当する。
e 前記a~dより、甲1発明は前記特定事項を備えている。
(イ)本件発明1の「前記基板は、前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し」との特定事項について
甲1発明の「紫外線発光素子」は「基板12上に配置され」るものであり、「電気的接合部材は、UV-LED素子11の下面の電極11A、11Bと基板12の上面に配設されたリード電極13,14とを電気的に接合して」いるから、前記「基板12の上面」は、本件発明1の「実装面」に相当する。
したがって、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(ウ)本件発明1の「前記紫外発光素子は、電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し」との特定事項について
甲1発明の「電極11A、11B」、「下面」、「発光面」及び「側面」は、それぞれ、本件発明1の「電極」、「第1面」、「第2面」及び「側面」に相当する。
したがって、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(エ)本件発明1の「前記接合層は、前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており」との特定事項について
甲1発明の「電気的接合部材」は、「UV-LED素子11の下面の電極11A、11Bと基板12の上面に配設されたリード電極13,14とを電気的に接合して」いるものであるから、本件発明1でいう「前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合」するものであるといえる。
したがって、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(オ)本件発明1の「前記透光部材は、紫外線を透過させるものであり」との特定事項について
甲1発明の「集光レンズ17」(本件発明1の「透光部材」に相当。)は、「紫外線を透過しかつ紫外線が照射されることによって劣化しない、例えば石英などのガラスにより構成されて」いるものである。
したがって、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(カ)本件発明1の「前記接着剤層は、前記基板と前記透光部材とを接着しており」との特定事項について
a 甲1発明は「レンズ保持部材15」を有し、「レンズ保持部材15は、例えば断面形状がL字型の枠状のものであって、例えばそのレンズ保持面上に塗布された接着剤16によって集光レンズ17が接着されて、これを保持、固定」するものであって、「リード電極13,14が配設された基板12上にUV-LED素子11を実装した後、レンズ保持部材15を所定の位置に固定」するものであることから、基板12の上に設けられており、当該レンズ保持部材15に接着剤16によって集光レンズ17が接着されるものである。
b ここで、本件発明1の接着剤層について検討すると、発明の詳細な説明の第2の実施形態において、「接着剤層750は、基板710の壁780とガラス740とを接着させるためのものであ」り、「接着剤層750は、基板710の壁780と、ガラス740における基板110側の平坦面と、を接着して」おり(【0074】)、「壁780は、基板110の実装面110aの上に形成されている」こと(【0075】)が記載されており、当該実施形態に対応する本件発明3において「前記接着剤層は、前記基板と前記透光部材とを接着し、前記基板の前記壁と前記透光部材の前記平坦面とを接着しており、」と特定されていることを踏まえると、本件発明3と同様の記載とされている本件発明1の前記特定事項は、接着剤層が、基板とガラス(透光部材)を直接接着する態様のみならず、本件発明3の「壁」のように基板に設けられた部材とガラス(透光部材)とを接着して、間接的に基板と透光部材を接着する態様を含むものであると認められる。
c 前記a及びbから、甲1発明における、基板12の上に設けられた「レンズ保持部材15」と「集光レンズ17」とを接着する「接着剤16」は、前記bでいう「間接的に」基板12と集光レンズ17を接着する態様であることから、本件発明1の「前記基板と前記透光部材とを接着して」いるものといえる。
d 前記a~cより、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(キ)本件発明1の「前記基板と前記透光部材とは、これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており」との特定事項について
甲1発明は、「紫外線発光ダイオード素子(UV-LED素子)11よりなる紫外線発光素子が基板12上に配置され、さらにこのUV-LED素子11の光放射方向前方に、UV-LED素子11から放射された紫外線を集光する半球状の集光レンズ17が」「レンズ保持部材15によって保持されて固定され」ているものであるから、光放射方向の下側から、「基板12」、「UV-LED素子11」、「集光レンズ17」が配置されており、「基板12」と「集光レンズ17」とは、これらの間に「UV-LED素子11」を挟んだ状態で配置されているものである。
したがって、甲1発明は、前記特定事項を備えている。
(ク)本件発明1の「前記フッ化炭素化合物は常温常圧で液体であり」との特定事項について
a 甲1発明の「屈折率差緩和物質20」は、「適正な粘度に調整されたペースト状」のものであり、通常、「ペースト状」とは固体と液体を含むものであるため、甲1発明の「屈折率差緩和物質20」は、固体と液体の中間の状態であると認められる。
また、「屈折率差緩和物質20」が「ペースト状」であることは、甲1発明の紫外線発光素子パッケージ10が通常使用される環境、すなわち、「常温常圧で」「ペースト状」であると認められる。
b 前記(ア)dも踏まえると、前記aから、本件発明1と甲1発明は、「前記フッ化炭素化合物は常温常圧で」所定の状態である点で共通するが、所定の状態が、本件発明1が「液体」であるのに対して、甲1発明は「ペースト状」である。
(ケ)本件発明1の「前記フッ化炭素化合物は、前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、前記紫外発光素子の前記側面に接触しており、前記接着剤層および前記基板の前記実装面に接触していないこと」との特定事項について
a 甲1発明の「屈折率差緩和層20」は、その形成過程において、「UV-LED素子11の発光面上に」「塗布」され、「集光レンズ17をUV-LED素子11に対して位置合わせしてUV-LED素子11の上方位置に配置することにより、集光レンズ17の自重を利用して屈折率差緩和物質20A中に含まれる気体および集光レンズ17と屈折率差緩和物質20Aとの間の気体を排除」することで、「集光レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップに充填されて形成されている」ものであるから、前記「屈折率差緩和層20」は、UV-LED素子11の発光面(本件発明1の「第2面」に相当。)と集光レンズ17(本件発明1の「透光部材」に相当。)との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるものである。
b 甲1発明の「屈折率差緩和層20」は、「UV-LED素子11の側面には接触しないものであ」る。
c 甲1発明の「屈折率差緩和層20」は、「UV-LED素子11の発光面全域を覆うよう拡が」るものであるから、物理的に離れている「接着剤16」(本件発明1の「接着剤層」に相当。)や「基板12の上面」(本件発明1の「実装面」に相当。)に接触していないものと認められる。
d 前記a~cから、本件発明1と甲1発明は、「前記フッ化炭素化合物は、前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、」「前記接着剤層および前記基板の前記実装面に接触していないこと」で共通するが、前記フッ化炭素化合物は、本件発明1が「前記紫外発光素子の前記側面に接触して」いるのに対して、甲1発明はUV-LED素子11の側面に接触しないものである。
イ 一致点及び相違点
上記アから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであり、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で所定の状態であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記接着剤層および前記基板の前記実装面に接触していないこと
を含む紫外発光装置。」である点。
<相違点1>
所定の状態が、本件発明1が「液体」であるのに対して、甲1発明は「ペースト状」である点。
<相違点2>
フッ化炭素化合物は、本件発明1が「前記紫外発光素子の前記側面に接触して」いるのに対して、甲1発明はUV-LED素子11の側面に接触しないものである点。
ウ 判断
(ア)相違点1について
甲1発明は「屈折率差緩和物質20Aと集光レンズ17およびUV-LED素子11とが隙間なく密着され」るための態様として「適正な粘度に調整されたペースト状の屈折率差緩和物質20A」を用いるものと認められる。
他方、甲1の【0031】~【0033】、図4及び図5には、「液状の屈折率差緩和物質35」を用いる「他の例」として、「レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップを含む密閉空間内に、液状の屈折率差緩和物質35が充填されたパッケージ構造」とすることが記載されているのであるから、甲1発明から出発した当業者が、「ペースト状の屈折率差緩和物質20A」を「液状」のものとして「集光レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップに充填」する場合、上記「他の例」に倣って適用するものと認められる。
そして、当該「他の例」においては、「レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップを含む密閉空間内に、液状の屈折率差緩和物質35が充填され」るものであり、当該密閉空間には、「接着剤16」(本件発明1の「接着剤層」に相当。)や「基板12の上面」(本件発明1の「実装面」に相当。)が存在することから、本件発明1の(i)「前記接着剤層および前記基板の前記実装面に接触していないこと」との特定事項を満たさないこととなり、本件発明1との相違点が生じることとなる。
また、甲2~5及び甲7には、相違点1に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。
甲6には、前記4(5)イのとおり、甲6に記載された技術事項が記載されており、「半導体発光素子10を封止する液体50」が「フッ素化合物」であることが記載されていると認められるが、甲1発明に甲6に記載された技術事項を適用した構成は、「レンズ17とUV-LED素子11との間のギャップを含む密閉空間内に、」「液体50」「が充填され」るものであるから、当該構成は、前述した(i)の特定事項を備えない点で本件発明1と相違することになる。
そのため、仮に甲1発明から出発した当業者が、相違点1に係る本件発明1の構成を備えることを想到したとしても、そのような構成は本件発明1と前記(i)の特定事項において相違することになるから、本件発明1を容易に想到するものとはいえない。
(イ)相違点2について
a(a)甲1発明は、「UV-LED素子11は側面から発光するものではな」いものであるから、UV-LED素子11の側面からの発光を想定していないと認められる。
そのため、前記4(2)ウで甲2及び甲3から認定したとおり、紫外発光素子の側面から紫外光を出射することが当業者にとって周知技術であったとしても、甲1発明のUV-LED素子11を側面から発光するものとして、その発光を積極的に利用しようとすることを想起することは困難である。
仮に、甲1発明のUV-LED素子11の側面からの発光を積極的に利用しようとすることを想起し得たとしても、ペースト状の屈折率差緩和層20をUV-LED素子11の側面に安定的に維持させるための手段を創作する必要があり、甲1に接した当業者であれば、図4のようにレンズ17とUV-LED素子11との間のギャップを含む密閉空間内に、ペースト状の屈折率差緩和物質35を充填することは想起し得るとしても、この場合は、前記(ア)で説示したとおり、本件発明1の(i)の特定事項を満たさないこととなり、本件発明1に想到することはできない。
(b)また、他に、UV-LED素子11の側面からの発光を積極的に利用するために、ペースト状の屈折率差緩和層20をUV-LED素子11の側面に安定的に維持させる手段は不明であり、これを創作して相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
(c)なお、申立人は、異議申立書の52頁において、甲1の図2で記載される製造工程は、本件特許の図9に示される工程と実質的に同じであり、ペースト状の屈折率差緩和物質20Aの塗布量によっては、UV-LED素子11の発光面から外側に漏れて僅かに付着する蓋然性が高いと主張するが、そもそも甲1の図2で記載される製造工程はUV-LED素子11の発光面のみを覆うためのものであり、本件発明1の液状とは異なるペースト状の屈折率差緩和物質20Aの塗布量を多くしても、側面を覆う範囲が僅かなものしか期待し得ず、側面からの発光を十分に利用できないものとなってしまうことは明らかであるから、側面からの発光を積極的に利用しようと思えば、この手段を採用する動機付けは見出せず、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことではない。
b(a)申立人は、異議申立書の52~53頁において、甲1発明及び甲4に記載された技術事項から、本件発明1は当業者が容易に想到することができた発明であると主張する。そこで、甲4について検討すると、甲4には、前記4(3)イのとおり、甲4に記載された技術事項が記載されていると認められる。
しかしながら、甲4に記載された技術事項のガーネット蛍光体とABシリコーンを混合した蛍光シリコーン3は、青色発光ダイオードと組み合わせて白色光を形成するためのものであり、甲1発明のフッ素系樹脂からなる屈折率差緩和物質20とは材料も役割も異なるものであるから、甲1発明に甲4に記載された技術事項を適用する動機は存在しない。
(b)そのため、申立人の、甲1発明に甲4に記載された技術事項を適用することが容易であるとする主張には理由がない。
c(a)申立人は、異議申立書の53頁において、甲1発明及び甲5に記載された技術事項から、本件発明1は当業者が容易に想到することができた発明であると主張する。そこで、甲5について検討すると、甲5には、前記4(4)イのとおり、甲5に記載された技術事項が記載されているが、甲5に記載された技術事項の紫外線硬化樹脂より構成される光導波路7は、発光素子3を光ファイバに光結合するためのものであり、甲1発明のフッ素系樹脂からなる屈折率差緩和物質20とは材料も役割も異なるものであるから、甲1発明に甲5に記載された技術事項を適用する動機はなく、また、仮に甲1発明に甲5に記載された技術事項を適用しても、紫外線硬化樹脂7は液体ではないことから本件発明1の構成と相違する上に、甲1発明のUV-LED素子11が配置される空間内に紫外線硬化樹脂を充填するものと考えられるから、前記(ア)の(i)の特定事項を満たさないこととなり、本件発明1の構成には至らない。
(b)そのため、申立人の、本件発明1は、甲1発明及び甲5に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到することができた発明であるとの主張には理由がない。
d 前記a~cから、紫外発光素子の側面からも紫外光を出射することが当業者にとって周知の事実であったとしても、甲1発明において、側面からの発光を積極的に利用しようと想起し、さらに、ペースト状の屈折率差緩和層20をUV-LED素子11の側面に安定的に維持させるための新たな手段を創作して、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。
そして、本件発明1は、相違点2に係る本件発明1の構成により、紫外発光素子120の側面120cの光取り出し効率が高いとの効果を奏するものである。
また、甲6について検討しても、甲6に記載された技術事項は、「液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間に充填され、半導体発光素子10を封止し、具体的には、液体50は、基台30と透明部材40との間の空間に充填され、半導体発光素子10を封止」するものか、あるいは「液体50は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の面11b)を封止してもよ」いものであるが、甲1発明に甲6に記載された技術事項を適用した構成は、前記(ア)のとおり(i)の特定事項を備えない点で本件発明1と相違するか、仮に「液体50は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の面11b)を封止してもよ」いとする構成を採用したとしても、半導体発光素子10の出射面以外と液体50が接触しないものであるから、相違点2に係る本願発明1の構成には至らない。
また、甲7には、相違点2に係る本件発明1の構成が記載も示唆もされていない。
(ウ)小括
前記(ア)及び(イ)から、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 対比
前記(1)アと同様に、本件発明2と甲1発明とを対比すると、一致点及び相違点は下記のとおりである(本件発明1との一致点及び相違点と異なる箇所に下線を付してある。)。
<一致点>
「基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであり、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で所定の状態であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記接着剤層および前記接合層に接触していないこと
を含む紫外発光装置。」である点。
<相違点3>
所定の状態が、本件発明2が「液体」であるのに対して、甲1発明は「ペースト状」である点。
<相違点4>
フッ化炭素化合物は、本件発明2が「前記紫外発光素子の前記側面に接触して」いるのに対して、甲1発明はUV-LED素子11の側面に接触しないものである点。
イ 判断
前記相違点3及び4は、前記(1)イの相違点1及び2と同様であり、その判断については、前記(1)ウと同様である。
したがって、本件発明2は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明3について
ア 対比
(ア)甲1発明の「UV-LED素子11の周囲を囲むように配置された」「レンズ保持部材15」は、本件発明3の「壁」に相当し、また、本件発明3でいう「前記紫外発光素子の周囲を前記紫外発光素子に非接触で取り囲む」ものといえる。
(イ)甲1の図1から、「集光レンズ17は、基板12側に平坦面を有すること」、「接着剤16は、基板12に配置されたレンズ保持部材15と前記集光レンズ17の前記平坦面とを接着すること」、前記レンズ保持部材15の接着剤16が設けられる部分の基板12の上面からの高さは、UV-LED素子11の基板12の上面からの高さよりも低いこと」が見てとれる。
(ウ)前記(ア)、(イ)を踏まえて、前記(1)アと同様に、本件発明3と甲1発明とを対比すると、一致点及び相違点は下記のとおりである(本件発明1との一致点及び相違点と異なる箇所に下線を付してある。)。
<一致点>
「基板と、
紫外発光素子と、
接合層と、
透光部材と、
接着剤層と、
フッ化炭素化合物と、
を有し、
前記基板は、
前記紫外発光素子を実装するための実装面と、
前記紫外発光素子の周囲を前記紫外発光素子に非接触で取り囲む壁と、を有し、
前記紫外発光素子は、
電極を有する第1面と前記第1面の反対側の第2面と側面とを有し、
前記接合層は、
前記紫外発光素子の前記第1面の前記電極と前記基板の前記実装面の一部とを接合しており、
前記透光部材は、
紫外線を透過させるものであって、前記基板側に平坦面を有し、
前記接着剤層は、
前記基板と前記透光部材とを接着し、前記基板の前記壁と前記透光部材の前記平坦面とを接着しており、
前記基板と前記透光部材とは、
これらの間に前記紫外発光素子を挟んだ状態で配置されており、
前記フッ化炭素化合物は常温常圧で所定の状態であり、
前記フッ化炭素化合物は、
前記紫外発光素子の前記第2面と前記透光部材との間の隙間をこれらに接触した状態で埋めるとともに、
前記接着剤層に接触しておらず、
前記壁の前記実装面からの高さは、
前記紫外発光素子の前記第2面の前記実装面からの高さより低いこと
を含む紫外発光装置。」である点。
<相違点5>
所定の状態が、本件発明3が「液体」であるのに対して、甲1発明は「ペースト状」である点。
<相違点6>
フッ化炭素化合物は、本件発明3が「前記紫外発光素子の前記側面に接触して」いるのに対して、甲1発明はUV-LED素子11の側面に接触しないものである点。
イ 判断
前記相違点5及び6は、前記(1)イの相違点1及び2と同様であり、その判断については、前記(1)ウと同様である。
したがって、本件発明3は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)本件発明4~16について
本件発明4~16は、甲1発明と少なくとも前記(1)イの相違点1及び2、前記(2)アの相違点3及び4、又は前記(3)ア(ウ)の相違点5及び6において相違し、これらの相違点は実質的に同内容であるから、他の相違点について検討するまでもなく、前記(1)ウで検討したのと同様の理由により、本件発明4~16は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1~16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700895