特許異議申立
2024-700995
照明装置
- 審判番号
- 2024-700995
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-174789
- 登録番号
- 7466226
- 請求日
- 2024年10月10日
- 審決日
- 2025年10月31日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】レボックス株式会社
- 【権利者代理人】阿部 伸一
- 【権利者代理人】金木 章郎
- 【権利者代理人】瀧澤 尊子
- 【異議申立人】秋山 良文
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 耕作
- 審判官 横溝 顕範
- 審判官 草野 顕子
- 分類
- P1652.113-YAA(H05B) / P1652.121-YAA(H05B) / P1652.536-YAA(H05B) / P1652.537-YAA(H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項、特許法第115条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7466226号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7466226号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第7466226号の請求項1及び2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7466226号(以下「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許は、令和4年10月31日に出願され、令和6年4月4日にその特許権の設定登録がされ、同年4月12日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人秋山良文(以下「申立人」という。)による本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年10月10日 :特許異議の申立て(請求項1及び2)
令和7年 2月13日付け:取消理由通知書
同年 4月21日 :特許権者より意見書・訂正請求書の提出
同年 7月 4日 :申立人より意見書の提出
第2 本件訂正の適否
1 訂正の内容
令和7年4月21日に提出された訂正請求書(以下、単に「訂正請求書」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の特許請求の範囲の請求項1~6について訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
・訂正事項1
請求項1に
「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部と、
前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を記憶する記憶部と、
前記調光値比率を維持しつつ、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
とあるのを
「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部と、
各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式で記憶された記憶部と、
前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2~6も同様に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1における「記憶部」について、「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式で記憶された」ものであることを具体的に特定し限定すると共に、本件訂正前の請求項1における「制御部」について、「前記対応関係を読み出して」制御を行うものであることを特定し限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項との関係を検討すると、「図12は、赤色と緑色と青色との調光値比率が、888:1023:967(図11に示した第1の調光値比率)のときに、主調整量子化調光値に対応付けられたDAC値の例である。」(【0171】)(下線は当審で付した。以下同様。)、「この場合には、主調整量子化調光値11及び12は、赤色の元の調光値の10に対応し、DAC値は、516である。」(【0172】)、「赤色DAC値は、赤色LED182Rに供給する電流の電流値を指示するためのデジタル値であり、赤色LED182Rから発する光の明るさを指定するための値である。緑色DAC値は、緑色LED182Gに供給する電流の電流値を指示するためのデジタル値であり、緑色LED182Gから発する光の明るさを指定するための値である。青色DAC値は、青色LED182Bに供給する電流の電流値を指示するためのデジタル値であり、青色LED182Bから発する光の明るさを指定するための値である。」(【0086】)、「制御部140のCPUは、ステップS433の処理を実行した後、又はステップS431の判断処理で既に決定している調光値比率と同じ調光値比率を継続して使用すると判断したときには(YES)、既に生成している色合い固定調光値テーブルからDAC値を読み出し(ステップS435)、ステップS417の処理を実行する。」(【0180】)の記載及び【図4】【図12】の図示内容からすると、訂正事項1は、新たな技術事項を導入するものではなく、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載された「記憶部」及び「制御部」について、さらに特定を加えて限定するものであるから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1~6〕について請求されたものである。
4 独立特許要件について
本件特許の請求項1及び2に係る特許は、特許異議の申立の対象とされているものであるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1及び2に係る発明について、独立特許要件は課されない。
本件特許の請求項3~6に係る特許は、特許異議の申立の対象とされていないことから、独立特許要件が課されるところ、後述のとおり、訂正後の請求項3~6が引用する訂正後の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由は発見されず、また、他に訂正後の請求項3~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しないから、訂正後の請求項3~6に係る発明は独立して特許を受けることができるものである。
5 訂正についてのむすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項及び第7項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1~6に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部と、
各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式で記憶された記憶部と、
前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。
【請求項2】
複数の光源部の各々から発する光の明るさは、前記駆動用調光値に対して線形性を有する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、調光値比率を構成する調光値のうち、最も大きい最大調光値よりも小さい調光値に基づいて、調光値比率を維持しつつ、前記駆動信号を再生成する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記制御部は、調光値比率を構成する調光値のうち、最も大きい最大調光値よりも小さい調光値に基づいて、調光値比率を維持しつつ、前記駆動用調光値を決定し直す、請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記調光値は、所定の量子化ビット数で量子化されたデジタル信号の値であり、
前記制御部は、調光値比率を構成する調光値のうち、最も大きい最大調光値よりも小さい調光値に対して、調光値比率を維持しつつ、前記調光値を示すデジタル信号の分解能を調整する、請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、調光値比率を構成する調光値のうち、最も大きい最大調光値よりも小さい調光値に基づいて、調光値比率を維持しつつ、前記光源部から発する光の明るさの範囲を切り替える、請求項2に記載の照明装置。」
第4 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して令和7年2月13日付け取消理由通知で当審において通知した取消理由の要旨は次のとおりである。
理由1(新規性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
理由2(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
取消理由と請求項及び引用文献について
・引用文献等一覧
甲第1号証:特開2019-192571号公報
以下「甲第1号証」等を「甲1」等という。
・理由1
請求項:1及び2
引用文献:甲1
・理由2
請求項:1及び2
引用文献:甲1
第5 取消理由についての当審の判断
1 理由1(新規性)について
(1)甲1について
ア 甲1の認定事項
甲1の記載から、以下の事項が認定できる(なお、括弧内に主な参照箇所を示す。以下同様。)。
(ア)照明器具100は、光源3と、記憶部13aと、制御部13と、光源駆動部12を有する(段落【0024】、【0025】、【0029】)。
(イ)光源3は、互いに異なる光色の光を発生する第1発光素子31と第2発光素子32を有する(段落【0033】、【0034】)。
(ウ)制御部13は、受信した光量制御信号に含まれる光量値DRと、受信した光色制御信号に含まれる光色値CTに基づいて、光源駆動部12を制御する(段落【0027】、【0028】)。
(エ)光源駆動部12は、制御部13の制御に従って、光量値DRおよび光色値CTを有する光を発生するように、光源3を駆動する(段落【0030】)。
(オ)制御部13は、光量値DRおよび光色値CTを有する光を発生するように制御するために、以下のようにして第1発光素子31と第2発光素子32に配分する電流値を算出する(段落【0036】~【0064】)。
a 光源3に発生させる光の光量を定める電流値ITを、式(2A)により算出する(段落【0045】、【0050】~【0052】)。
[図:0001432048000001.jpg]
IT:光源3に発生させる光の光量を定める電流値。
IMAX:光源3に流すことの可能な電流の最大値。
DR:光源3に発生させる光の光量を示す光量値。0%~100%のうちのいずれかの値で示される。
b 電流値ITの一部を光色値CTに応じて第1発光素子31に割り当てるための因子DF1、すなわち光色値CTに応じた第1発光素子31の配分率DF1を、式(3A)により算出する(段落【0044】、【0054】~【0059】)。
[図:0001432048000002.jpg]
DF1:第1発光素子31の配分率。
CT:光源3に発生させる光の光色を示す光色値。
CW:暖色側(第2発光素子32)が発生させる光の光色を示す第2限界値。
F1:同じ電流値の電流を流したときの第1発光素子31の光束FL1と第2発光素子32の光束FL2との比率。
CC:寒色側(第1発光素子31)が発生させる光の光色を示す第1限界値。
c 第1発光素子31に配分する電流値ICLを、式(1A)によって表される第1所定関数により算出する(段落【0044】、【0048】、【0049】)。
[図:0001432048000003.jpg]
ICL:第1発光素子31に配分する電流値。
IT:光源3に発生させる光の光量を定める電流値。
DF1:第1発光素子31の配分率。
d 第2発光素子32に配分する電流値IWMを、式(4A)によって表される第2所定関数により算出する(段落【0044】、【0062】、【0063】)。
[図:0001432048000004.jpg]
IWM:第2発光素子32に配分する電流値。
IT:光源3に発生させる光の光量を定める電流値。
ICL:第1発光素子31に配分する電流値。
(カ)制御部13は、算出した電流値ICLと電流値IWMを第1発光素子31と第2発光素子32に流すように、光源駆動部12を制御する(段落【0030】、【0038】)。
(キ)光源駆動部12は、電流値ICLを有する第1電流I1を第1発光素子31に流すとともに、電流値IWMを有する第2電流I2を第2発光素子32に流す。その結果、第1発光素子31は電流値ICLに応じて発光し、第2発光素子32は電流値IWMに応じて発光する(段落【0038】)。
(ク)記憶部13aは、第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)を記憶している(段落【0064】)。
(ケ)技術常識を勘案すると、上記(カ)において、制御部13は、電流値ICLと電流値IWMを第1発光素子31と第2発光素子32に流すように光源駆動部12を制御するための制御信号を生成し、当該制御信号を光源駆動部12に供給することで制御していることが明らかである。
(コ)光源3に発生させる光の光量を示す光量値DRは、0%~100%の範囲の数値によって光量を示すものであって、0以上1以下の任意の値である。そして、第1所定関数(1A)において光源3に発生させる光の光量を定める電流値ITは、光源3に流すことの可能な電流の最大値IMAXと光量値DRからなる式(2A)により算出される(段落【0045】、【0051】~【0053】)。
イ 甲1発明
上記アを踏まえると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「光源3と、記憶部13aと、制御部13と、光源駆動部12とを有する照明器具100であって、(上記ア(ア))
光源3は、互いに異なる光色の光を発生する第1発光素子31と第2発光素子32を有し、(上記ア(イ))
記憶部13aは、第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)を記憶するものであり、(上記ア(ク))
制御部13は、受信した光量制御信号に含まれる光量値DRと、受信した光色制御信号に含まれる光色値CTに基づいて、光源駆動部12を制御するものであり、(上記ア(ウ))
光源駆動部12は、制御部13の制御に従って、光量値DRおよび光色値CTを有する光を発生するように、光源3を駆動するものであり、(上記ア(エ)(キ))
制御部13は、光源3に発生させる光の光量を定める電流値ITと、光色値CTに応じた第1発光素子31の配分率DF1からなる第1所定関数(1A)によって、第1発光素子31に配分する電流値ICLを算出し、電流値ITと電流値ICLからなる第2所定関数(4A)によって第2発光素子32に配分する電流値IWMを算出し、(上記ア(オ))
[図:0001432048000005.jpg]
[図:0001432048000006.jpg]
さらに制御部13は、電流値ICLと電流値IWMを第1発光素子31と第2発光素子32それぞれに流すように光源駆動部12を制御するための制御信号を生成し、当該制御信号を光源駆動部12に供給するものであって、(上記ア(カ)(ケ))
光源3に発生させる光の光量を示す光量値DRは、0%~100%の範囲の数値によって光量を示す0以上1以下の任意の値であり、第1所定関数(1A)において光源3に発生させる光の光量を定める電流値ITは、光源3に流すことの可能な電流の最大値IMAXと光量値DRからなる式(2A)により算出される、(上記ア(コ))
[図:0001432048000007.jpg]
照明器具100。」
(2)本件発明1について
ア 対比
(ア)本件発明1と甲1発明を対比すると、後者の「記憶部13a」は前者の「記憶部」に相当し、以下同様に、「制御部13」は「制御部」に、「照明器具100」は「照明装置」に、それぞれ相当する。
(イ)後者の「互いに異なる光色の光を発生する第1発光素子31と第2発光素子32」は、前者の「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」に相当する。
(ウ)後者の「光量値DR」及び「光色値CT」は、「光源3」の光量や光色を「制御する」ための値であるから、前者の「調光値」に相当する。
(エ)後者の「配分率DF1」は、「受信した光色制御信号に含まれる光色値CT」「を有する光を発生するように」「第1発光素子31」に配分するための「光色値CT」に応じた配分率であるから、後者の「光色値CTに応じた第1発光素子31の配分率DF1」と、前者の「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率」とは、「前記光源部に対応する調光値の比率を示す調光値比率」の点で共通する。
(オ)前者の「駆動用調光値」は、「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する」ものであって、「光源部」を「駆動」するための「値」であればよいと解されるから、後者の「受信した光色制御信号に含まれる光色値CT」「を有する光を発生するように」「第1発光素子31に配分する電流値ICL」と、「受信した光色制御信号に含まれる光色値CT」「を有する光を発生するように」「第2発光素子32に配分する電流値IWM」は、前者の「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値」に相当する。
(カ)上記(イ)~(オ)を踏まえると、後者の「第1所定関数(1A)」及び「第2所定関数(4A)」は、「光色値CT」と、「第1発光素子31に配分する電流値ICL」及び「第2発光素子32に配分する電流値IWM」の関係を表す予め定められた関数であるから、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係」と「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の関係」の点で共通する。
(キ)後者の「光色値CTに応じた」「配分率DF1」は、電流値ICL及び電流値IWMを算出する過程において変更されるものではないから、後者の「第1所定関数(1A)」が「光源3に発生させる光の光量を定める電流値ITと、光色値CTに応じた第1発光素子31の配分率DF1からなる」こと及び「第2所定関数(4A)」が「電流値ITと」「第1所定関数(1A)によって」「算出」された「電流値ICLからなる」ことと、前者の「各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され」ることは、「各々の前記関係は、前記光源部に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され」ることの点で共通する。
(ク)上記(カ)及び(キ)を踏まえると、後者の「光色値CT」と「電流値ICL」及び「電流値IWM」の関係を表す「第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)を記憶する」「記憶部13a」と、前者の「調光値」を「駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式で記憶された記憶部」とは、「調光値と駆動用調光値の複数の関係が記憶された記憶部」の点で共通する。
(ケ)上記(カ)及び(キ)を踏まえると、後者の「電流値ICL」を「光色値CTに応じた第1発光素子31の配分率DF1からなる第1所定関数(1A)によって」「算出」することと、前者の「駆動用調光値」を「前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定」することとは、「駆動用調光値を前記光源部に対応する調光値に基づいて決定」することの点で共通する。
(コ)後者の「第1所定関数(1A)によって」「算出」することは、「記憶部13a」に「記憶」された「第1所定関数(1A)」を読み出して算出していることが明らかであるから、上記(カ)~(ケ)を踏まえると、前者の「前記対応関係を読み出して」「決定」すること、「前記関係を読み出して」「決定」することの点で共通する。
(サ)後者の「電流値ICL」を「第1発光素子31」に「流すように光源駆動部12を制御するための制御信号」は、「第1発光素子31」が「光色制御信号に含まれる光色値CT」「を有する光を発生するように」「光源駆動部12を制御するため」の「制御信号」である。また、後者の「電流値IWM」を「第2発光素子32」に「流すように光源駆動部12を制御するための制御信号」も同様に、「第2発光素子32」が「光色制御信号に含まれる光色値CT」「を有する光を発生するように」「光源駆動部12を制御するため」の「制御信号」である。そうすると、後者の「制御信号」は、前者の「駆動信号」に相当する。
(シ)上記(サ)を踏まえると、後者の「制御信号」が「電流値ICLと電流値IWMを第1発光素子31と第2発光素子32それぞれに流すように光源駆動部12を制御するため」のものであることは、前者の「駆動信号」が「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する」ものであることに相当する。
(ス)後者の「制御信号」は、「電流値ICL」と「電流値IWM」という特定の値を「流すように光源駆動部12を制御するための制御信号」であるのだから、一定の値であることは明らかである。
(セ)上記(サ)~(ス)を踏まえると、後者の「電流値ICLと電流値IWMを第1発光素子31と第2発光素子32それぞれに流すように光源駆動部12を制御するための制御信号を生成」することは、前者の「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成」することに相当する。
(ソ)後者の「光源駆動部12」は、「第1発光素子31と第2発光素子32」と一体となって「制御部13」により制御されることで、「光量値DRおよび光色値CTを有する光を発生する」ものである。そうすると、後者の「第1発光素子31と第2発光素子32」と「光源駆動部12」は、合わせて前者の「複数の光源部」に相当するともいえる。
(タ)上記(ソ)を踏まえると、後者の「当該制御信号を光源駆動部12に供給する」ことは、前者の「駆動信号」を「前記複数の光源部に供給する」ことに相当する。
(チ)そうすると、両者は、
「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部と、
各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の関係であって、各々の前記関係は、前記光源部に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記光源部に対応する調光値と、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値の複数の関係が記憶された記憶部と、
前記関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記光源部に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点1-1〕
調光値比率に関し、本件発明1は、前記「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値の比率を示すものであるのに対して、甲1発明は、第1発光素子31の配分率DF1である点。
〔相違点1-2〕
駆動用調光値の決定に関し、本件発明1は、前記「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値に基づくのに対して、甲1発明は、第1発光素子31の配分率DF1を含む「第1所定関数および第2所定関数」を用いる点。
〔相違点1-3〕
調光値と駆動用調光値の関係に関し、本件発明1は、「対応関係」であって、各々の前記「対応関係」は、前記「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているのに対して、甲1発明は、「光色値CT」と「電流値ICL」及び「電流値IWM」の関係を表す「第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)」である点。
イ 判断
事案に鑑み、相違点1-3から検討する。
少なくとも、相違点1-3は、実質的な相違点であるから、相違点1-1、1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではない。
(3)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、本件発明2は甲1発明ではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は甲1発明ではなく、本件発明1及び2は、特許法第29条第1項第3号に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
2 理由2(進歩性)について
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明を対比すると、上記1(2)アで説示したとおり、両者は、相違点1-1、1-2、1-3で相違する。
イ 判断
事案に鑑み、相違点1-3から検討する。
甲1には、以下の記載がある。
「【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された光源駆動装置は、ROMと、マイコンと、第1点灯回路と、第2点灯回路とを備えている。ROMは、調光調色メモリテーブルを格納している。具体的には、ROMは、白色LED用DC調光調色テーブルと、橙色LED用DC調光調色テーブルとを記憶している。白色LED用DC調光調色テーブルおよび橙色LED用DC調光調色テーブルには、Dutyが格納されている。
【0003】
マイコンは、HOSTユニットから入力される調光調色指示信号に基づき、白色LED用DC調光調色テーブルおよび橙色LED用DC調光調色テーブルを参照して、Dutyを読み出す。そして、マイコンは、白色LED用DC調光調色テーブルから読み出したDutyを第1点灯回路に出力する。また、マイコンは、橙色LED用DC調光調色テーブルから読み出したDutyを第2点灯回路に出力する。その結果、第1点灯回路および第2点灯回路によって、発光色の異なる複数のLEDをそれぞれ適切なDutyで駆動することにより、調光調色を行うことができる。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された光源駆動装置では、調光調色メモリテーブルは、寒色系のレコード1から暖色系のレコード251までの調色階調250段を有しているに過ぎない。従って、光源駆動装置は、250段で調色を実行できるに過ぎない。つまり、光源駆動装置は、段階的に調色を実行できるに過ぎない。例えば、調色範囲が3500ケルビン~ 6000ケルビンの色温度の範囲である場合、光源駆動装置は、10ケルビン単位で調色を実行できるに過ぎない。一方、近年、緻密に調色を実行することが要望されている。つまり、緻密に光色を制御することが要望されている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、緻密に光色を制御できる点灯装置、照明器具、および照明システムを提供することにある。」
上記記載によると、甲1発明は、テーブル形式では緻密に調色を実行することができないことを従来技術の課題とし、当該課題を解決するために、「第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)」を用いることを課題解決手段とするものであることが分かる。
そうすると、甲1発明は、「第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)」を廃し、「テーブル形式」とすることの阻害事由がある。
したがって、他の証拠について検討するまでもなく、甲1発明において、相違点1-3に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、令和7年7月4日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、概略、以下のような主張をしている。
(意見書2~24、26~27ページ)本件訂正発明1は、甲1発明1及び甲6発明1に基づいて、又は、甲1発明1及び甲7発明1に基づいて、又は、甲1発明1及び周知技術(例えば甲第8号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲6:特開2017-10720号公報
甲7:特開2017-16778号公報
甲8:特開2006-210077号公報
上記主張について検討する。
仮に、甲6、甲7に「テーブル形式」が記載され、又は「テーブル形式」が甲8により周知技術であるとしても、上記イで説示したとおり、甲1発明は、「第1所定関数(1A)および第2所定関数(4A)」を廃し、「テーブル形式」とすることの阻害事由があるから、甲6、甲7や周知技術を適用することが容易になし得たものということはできないし、少なくとも、甲6、甲7や周知技術を適用することの動機付けがない。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
エ 小括
以上のとおりであるから、相違点1-1及び1-2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、及び甲6又は甲7又は周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明、及び甲6又は甲7又は周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲1発明、及び甲6又は甲7又は周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
申立人は、特許異議申立書において、取消理由通知において採用しなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
甲2:特開2017-112053号公報
甲3:特開2019-121684号公報
甲4:特開2017-174766号公報
甲5:国際公開第2012/056762号
理由1(進歩性)
1-1(甲2を主引例とする進歩性)
本件特許発明1は、甲2発明1及び甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲2発明2及び甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
1-2(甲3を主引例とする進歩性)
本件特許発明1は、甲3発明1及び甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲3発明2、甲1発明1及び甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
1-3(甲4を主引例とする進歩性)
本件特許発明1は、甲4発明1及び甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲4発明2、甲1発明1及び甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
1-4(甲5を主引例とする進歩性)
本件特許発明1は、甲5発明1及び甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
本件特許発明2は、甲5発明2、甲1発明1及び甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(特許法第29条第2項(同法第113条第2号))
理由2(明確性要件)
請求項1の「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」との記載は、駆動信号を複数の光源部にどのように供給するかが不明であるから、本件特許発明1~2は、明確でない。
(特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号))
理由3(サポート要件)
請求項1の「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」との記載は、発明の詳細な説明に、駆動信号を複数の光源部に供給することが記載されていないから、本件特許発明1~2は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
(特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号))
理由4(実施可能要件)
請求項1の「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」との記載は、発明の詳細な説明に、駆動信号を複数の光源部に供給することが記載されていないから、発明の詳細な説明は、当業者が本件特許発明1~2を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない。
(特許法第36条第4項第1号(同法第113条第4号))
2 当審の判断
(1)理由1-1(甲2を主引例とする進歩性)について
ア 甲2について
(ア)甲2の認定事項
甲2の記載から、以下の事項が認定できる。
a 照明装置10は、光源1と、定電流回路2と、電圧検出回路4とを備えている。(【0021】)
b 光源1は、複数の固体発光素子11を有している。(【0022】)
c 定電流回路2は、可変インピーダンス素子Q1と、第2制御回路3を備えている。(【0024】)
d 第2制御回路3は、記憶部6を備えている。(【0026】)
e 記憶部6には、光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示すデータテーブルが記憶されている。(【0033】)
f 光源1及び定電流回路2の直列回路は、第2直流電圧V2が印加されるように構成されている。(【0021】)
g 第2制御回路3は、電圧検出回路4により検出された第2直流電圧V2の電圧値に基づいて、可変インピーダンス素子Q1を制御するように構成されている。(【0033】)
h 第2制御回路3は、データテーブルに基づいて、第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、可変インピーダンス素子Q1を制御する。(【0041】)
(イ)甲2発明
上記(ア)を踏まえると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数の固体発光素子11を有する光源1と、(上記(ア)b)
光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示すデータテーブルが記憶されている記憶部6と、(上記(ア)e)
データテーブルに基づいて、光源1及び定電流回路2の直列回路に印加される第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って、光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、定電流回路2の可変インピーダンス素子Q1を制御する第2制御回路3と、(上記(ア)c、d、f~h)
を備える照明装置10。(上記(ア)a)」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲2発明を対比する。
a 後者の「複数の固体発光素子11」と、前者の「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」とは、「複数の光源部」の点で共通する。
b 後者の「光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性」と、前者の「前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」とは、「光源の制御に用いる対応情報」の点で共通する。
そうすると、後者の「光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示す」ものが「データテーブル」であることと、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式」であることとは、「光源の制御に用いる対応情報がテーブル形式」であることの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「記憶部6」は、前者の「記憶部」に相当するといえる。
c 後者の「光源1に流れる電流Ifの電流値」と、前者の「前記複数の光源部に供給する」「一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号」とは、上記aを踏まえると、「前記複数の光源部に供給する」「駆動信号」の点で共通する。
そうすると、後者の「データテーブルに基づいて、光源1及び定電流回路2の直列回路に印加される第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って、光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、定電流回路2の可変インピーダンス素子Q1を制御する」ことと、後者の「前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」こととは、上記bを踏まえると、「前記光源の制御に用いる対応情報を読み出して、駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」ことの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「第2制御回路3」は、前者の「制御部」に相当するといえる。
d 以上の限りにおいて、後者の「照明装置10」は、前者の「照明装置」に相当するといえる。
e そうすると、両者は、
「複数の光源部と、
光源の制御に用いる対応情報がテーブル形式で記憶された記憶部と、
前記光源の制御に用いる対応情報を読み出して、駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点2-1〕
複数の光源部に関し、本件発明1は、「互いに波長域が異なる光を発する」ものであるのに対して、甲2発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点2-2〕
光源の制御に用いる対応情報に関し、本件発明1は、「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」であるのに対して、甲2発明は、「光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示す」ものである点。
〔相違点2-3〕
駆動信号の生成に関し、本件発明1は、「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成」するのに対して、甲2発明は、「光源1及び定電流回路2の直列回路に印加される第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って、光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、定電流回路2の可変インピーダンス素子Q1を制御する」ものである点。
(イ)判断
事案に鑑み、密接に関連する相違点2-2及び2-3から検討する。
甲2発明は、「光源を調光させるときの電力損失を抑えること」(【0005】)を解決すべき課題として、「照明装置10では、第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるので、上記電圧値が大きくなるに従って上記電流値が大きくなる場合よりも、定電流回路2で発生する電力損失を小さく抑えられる。」(【0042】)ことによりその課題を解決している。
すなわち、甲2発明は、「データテーブルに基づいて、光源1及び定電流回路2の直列回路に印加される第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って、光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、定電流回路2の可変インピーダンス素子Q1を制御する」ことを課題解決手段としていることが分かる。
そうすると、甲2発明の「光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示すデータテーブル」もまた、課題解決手段を構成していることが理解できる。
したがって、甲2発明は、「光源1に流れる電流Ifと、電圧検出回路4により検出される第2直流電圧V2との相関特性を示すデータテーブル」「に基づいて、光源1及び定電流回路2の直列回路に印加される第2直流電圧V2の電圧値が大きくなるに従って、光源1に流れる電流Ifの電流値が小さくなるように、定電流回路2の可変インピーダンス素子Q1を制御する」ことを課題解決手段とする発明であるから、相違点2-2及び2-3に係る本件発明1の構成とすることの阻害事由がある。
そして、本件発明1は、相違点2-2及び2-3に係る本件発明1の構成により、「受光素子の特性と発光素子の特性との整合性を図ることなく、色合いを調整でき、所望する色合いの光を発することができる。」(【0008】)という格別の効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、他の証拠について検討するまでもなく、甲2発明において、相違点2-2及び2-3に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(28~31ページ)本件特許発明1は、甲2発明1及び甲1発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
上記主張について検討する。
上記(ア)で説示したとおり、本件発明1と甲2発明は、相違点2-1、2-2、2-3で相違するところ、上記(イ)で説示したとおり、甲2発明は、相違点2-2及び2-3に係る本件発明1の構成とすることの阻害事由があるから、仮に、相違点2-2、2-3に係る本件発明1の構成が甲1に記載されていたとしても甲2発明に適用することはできないし、上記第5の1(2)アで説示したとおり、甲1には、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているものは記載されていない。
さらに、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」を備えていない甲2発明は、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」のための構成である、相違点2-2及び2-3に係る本件発明1の構成を適用することの動機付けもない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、相違点2-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲2発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲2発明及び甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1-1によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(2)理由1-2(甲3を主引例とする進歩性)について
ア 甲3について
(ア)甲3の認定事項
甲3の記載から、以下の事項が認定できる。
a LED輝度制御回路1は、計算ユニット2と、定電流設定部3と、VF用定電圧設定部4、LEDユニット5を備えている。(【0019】、【0021】)
b 計算ユニット2は、記憶部21と、比較部22を有する。(【0020】)
c 定電流設定部3は、電流設定DAC31と、定電流回路32を有する。(【0028】)
d VF用定電圧設定部4は、VF設定DAC41と定電圧回路42を有する。(【0032】)
e LEDユニット5は、複数のLEDからなるモジュールである。(【0036】)
f ルックアップテーブルTは、設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたものである。(【0021】)
g 記憶部21には、ルックアップテーブルTが記憶されている。(【0021】、【0039】)
h 比較部22は、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2と、記憶部21内のルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2とが同値となるように、処理部23から出力されるLED電流指令値C1を調整する。(【0023】、【0048】)
i 調整されたLED電流指令値C1に従って、定電圧回路42は、所望のLED電圧値V_ledを生成するよう制御さる。定電圧回路42の出力はLEDユニット5におけるLED電圧VFに相当する。(【0033】、【0035】、【0048】)
j 上記g及びhによれば、比較部22は、ルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2とが同値となるように、LED電流指令値C1を調整し、調整されたLED電流指令値C1に従って、定電圧回路42は、LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する。
(イ)甲3発明
上記(ア)を踏まえると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のLEDからなるモジュールであるLEDユニット5と、(上記((ア)e)
設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたルックアップテーブルTが記憶された記憶部21と、(上記((ア)fg)
比較部22は、ルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2とが同値となるように、LED電流指令値C1を調整し、調整されたLED電流指令値C1に従って、定電圧回路42は、LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する(上記((ア)hij)
を備えるLED輝度制御回路1。上記((ア)a~d)」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 後者の「複数のLED」と、前者の「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」とは、「複数の光源部」の点で共通する。
b 後者の「設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係」と、前者の「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」とは、「調光制御に関する対応関係」の点で共通する。
また、後者の「予め定めた」ことと、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された」こととは、「予め決定された」ことの点で共通する。
そうすると、後者の「設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたルックアップテーブルT」と、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式」であることとは、「予め決定された調光制御に関する対応関係であって、前記対応関係がテーブル形式」であることの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「記憶部21」は、前者の「記憶部」に相当するといえる。
c 後者の「記憶部21内のルックアップテーブルTより得られる」ことは、前者の「前記対応関係を読み出」すことに相当する。
また、後者の「LED電圧VF」は、前者の「駆動信号」に相当する。
そうすると、後者の「ルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2とが同値となるように、LED電流指令値指令値C1を調整し、調整されたLED電流指令値指令値C1に従って」「LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する」ことと、前者の「前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」こととは、「前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」ことの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「比較部22」と「定電圧回路42」は、前者の「制御部」に相当するといえる。
d 以上の限りにおいて、後者の「LED輝度制御回路1」は、前者の「照明装置」に相当するといえる。
e そうすると、両者は、
「複数の光源部と、
予め決定された調光制御に関する対応関係であって、前記対応関係がテーブル形式で記憶された記憶部と、
前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点3-1〕
複数の光源部に関し、本件発明1は、「互いに波長域が異なる光を発する」ものであるのに対して、甲3発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点3-2〕
調光制御に関する対応関係に関し、本件発明1は、「各々が前記複数の光源部ごとに対応して」予め決定された「複数の」対応関係であって、「各々の」前記対応関係は、「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の」対応関係であるのに対して、甲3発明は、「設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたルックアップテーブルT」である点。
〔相違点3-3〕
駆動信号の生成に関し、本件発明1は、「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する」駆動信号を生成するのに対して、甲3発明は、「比較部22は、ルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力された指令値C2とが同値となるように、指令値C1を調整し、調整された指令値C1に従って、定電圧回路42は、LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する」ものである点。
(イ)判断
事案に鑑み、密接に関連する相違点3-2及び3-3から検討する。
甲3発明は、従来、「LEDの発光効率は、温度依存性を有するため、たとえ流す電流を一定にしても、輝度はデバイス温度に依存し変動してしまう。したがって、LEDの輝度が安定するのは、デバイス温度が収束する頃であり相応の時間を要するといえる(図6A参照)。特に、輝度の安定性が重要視される医療用ディスプレイ等においては、これが顕著な問題として認識されている。」(【0004】)、「一方、このような問題を解決するために、回路内に温度センサと補償回路とを設けることもある。・・・しかしながら、これらの手法は、温度センサ又は検出回路と、補償回路とを余分に設けることとなるため、コストがかさむことはもちろんのこと、そもそもスペースの都合でこれらが設置できないことも想定される。」(【0005】)ものであったことから、「本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、コストと設置スペースとの両方を抑制可能であり、且つ早期にLEDの輝度を安定させることができるLED輝度制御回路、LED輝度制御方法、及びLED輝度制御プログラムを提供することを目的とする。」(【0006】)ことを解決すべき課題として、「本発明の観点によれば、LED電圧生成部とLED電圧制御部とLED電流制御部とを備え、前記LED電圧生成部が前記LED電圧制御部から入力されたLED電圧指令値に基づいてLEDに電圧を印加するように構成されるLED制御回路であって、前記LED電圧制御部は、前記LEDのカソード電位に基づいて前記LED電圧指令値を決定し、前記LED電流制御部は、前記LED電圧指令値に基づいて前記LEDに流す電流値を制御する、回路が提供される。」(【0007】)ことにより、その課題を解決している。
すなわち、甲3発明は、「比較部22は、ルックアップテーブルTより得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2とが同値となるように、LED電流指令値C1を調整し、調整されたLED電流指令値C1に従って、定電圧回路42は、LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する」ことを課題解決手段としていることが分かる。
そうすると、甲3発明の「設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたルックアップテーブルT」もまた、課題解決手段を構成していることが理解できる。
したがって、甲3発明は、「設定輝度と、処理部26からVF用定電圧設定部6に入力されるLED電圧値設定用指令信号のLED電圧指令値C2と、処理部23から電流設定部3に入力されるLED電流値設定用指令信号のLED電流指令値C1との対応関係を予め定めたルックアップテーブルT」「より得られる目標指令値OC2と、処理部26から入力されたLED電圧指令値C2とが同値となるように、LED電流指令値C1を調整し、調整されたLED電流指令値C1に従って、定電圧回路42は、LED電圧VFを生成し、LEDユニット5に出力する」ことを課題解決手段とする発明であるから、相違点3-2及び3-3に係る本件発明1の構成とすることの阻害事由がある。
そして、本件発明1は、相違点3-2及び3-3に係る本件発明1の構成により、「受光素子の特性と発光素子の特性との整合性を図ることなく、色合いを調整でき、所望する色合いの光を発することができる。」(【0008】)という格別の効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、他の証拠について検討するまでもなく、甲3発明において、相違点3-2及び3-3に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(31~33ページ)本件特許発明1は、甲3発明1及び甲1発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
上記主張について検討する。
上記(ア)で説示したとおり、本件発明1と甲3発明は、相違点3-1、3-2、3-3で相違するところ、上記(イ)で説示したとおり、甲3発明は、相違点3-2及び3-3に係る本件発明1の構成とすることの阻害事由があるから、仮に、相違点3-2、3-3に係る本件発明1の構成が甲1に記載されていたとしても甲3発明に適用することはできないし、上記第5の1(2)アで説示したとおり、甲1には、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているものは記載されていない。
さらに、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」を備えていない甲3発明は、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」のための構成である、相違点3-2及び3-3に係る本件発明1の構成を適用することの動機付けもない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、相違点3-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲3発明、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲3発明、甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1-2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(3)理由1-3(甲4を主引例とする進歩性)について
ア 甲4について
(ア)甲4の認定事項
甲4の記載から、以下の事項が認定できる。
a 照明部としての照明装置本体1と、電力供給部としての電力供給ユニット2とを備えるLED照明システムである。(【0020】)
b 照明装置本体1は、複数のLEDユニット10を有する。(【0021】)
c 不揮発性メモリはLEDユニット10ごとの調光信号導出用の対応テーブルを格納している。(【0024】)
d 対応テーブルは、調光値の入力デジタル信号に対応し、且つ、各LEDユニット10用に調整された調光信号を得るために設定されている。(【0024】、【0026】)
e 調光制御部45は、点灯指示信号を受付けると、それに含まれる調光レベル信号のレベルに対応した調光信号を、対応テーブルを用いてLEDユニット10ごとに導出し、D/Aコンバータ45aを介して各LEDユニット10に供給する。(【0024】)
(イ)甲4発明
上記(ア)を踏まえると、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のLEDユニット10と、(上記(ア)b)
調光値の入力デジタル信号に対応し、且つ、各LEDユニット10用に調整された調光信号を得るために設定された対応テーブルを格納している不揮発性メモリと、(上記(ア)cd)
点灯指示信号を受付けると、それに含まれる調光レベル信号のレベルに対応した調光信号を、対応テーブルを用いてLEDユニット10ごとに導出し、D/Aコンバータ45aを介して各LEDユニット10に供給する調光制御部45と、(上記(ア)e)
を備えるLED照明システム。(上記(ア)a)」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲4発明を対比する。
a 後者の「複数のLEDユニット10」と、前者の「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」とは、「複数の光源部」の点で共通する。
b 後者の「調光値の入力デジタル信号に対応し、且つ、各LEDユニット10用に調整された調光信号を得るため」の「対応テーブル」と、前者の「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」とは、「調光制御に関する対応関係」の点で共通する。
また、後者の「設定された」ことと、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された」こととは、「予め決定された」ことの点で共通する。
そうすると、後者の「調光値の入力デジタル信号に対応し、且つ、各LEDユニット10用に調整された調光信号を得るために設定された対応テーブル」と、前者の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された複数の対応関係であって、各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式」であることとは、「予め決定された調光制御に関する対応関係であって、前記対応関係がテーブル形式」であることの点で共通する。
そして、後者の「格納している」態様は、前者の「記憶された」態様に相当する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「不揮発性メモリ」は、前者の「記憶部」に相当するといえる。
c 後者の「対応テーブルを用い」る態様は、前者の「前記対応関係を読み出」す態様に相当する。
また、後者の「D/Aコンバータ45aを介して各LEDユニット10に供給する」「調光信号」は、前者の「前記複数の光源部に供給する」「駆動信号」に相当する。
そうすると、後者の「点灯指示信号を受付けると、それに含まれる調光レベル信号のレベルに対応した調光信号を、対応テーブルを用いてLEDユニット10ごとに導出し、D/Aコンバータ45aを介して各LEDユニット10に供給する」ことと、前者の「前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」こととは、「前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」ことの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「調光制御部45」は、前者の「制御部」に相当するといえる。
d 以上の限りにおいて、後者の「LED照明システム」は、前者の「照明装置」に相当するといえる。
e そうすると、両者は、
「複数の光源部と、
予め決定された調光制御に関する対応関係であって、前記対応関係がテーブル形式で記憶された記憶部と、
前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点4-1〕
複数の光源部に関し、本件発明1は、「互いに波長域が異なる光を発する」ものであるのに対して、甲4発明は、そのように特定されていない点。
〔相違点4-2〕
調光制御に関する対応関係に関し、本件発明1は、「各々が前記複数の光源部ごとに対応して」予め決定された「複数の」対応関係であって、「各々の」前記対応関係は、「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の」対応関係であるのに対して、甲4発明は、「調光値の入力デジタル信号に対応し、且つ、各LEDユニット10用に調整された調光信号を得るために設定された対応テーブル」である点。
〔相違点4-3〕
駆動信号の生成に関し、本件発明1は、「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する」駆動信号を生成するのに対して、甲4発明は、「点灯指示信号を受付けると、それに含まれる調光レベル信号のレベルに対応した調光信号を、対応テーブルを用いてLEDユニット10ごとに導出」するものである点。
(イ)判断
事案に鑑み、密接に関連する相違点4-2及び4-3から検討する。
まず、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているものを示す証拠はないから、甲3発明において、相違点4-2に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
仮に、そのような証拠があるとしても、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」を備えていない甲4発明は、「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」のための構成である、相違点4-2及び4-3に係る本件発明1の構成を適用することの動機付けがない。
そして、本件発明1は、相違点4-2及び4-3に係る本件発明1の構成により、「受光素子の特性と発光素子の特性との整合性を図ることなく、色合いを調整でき、所望する色合いの光を発することができる。」(【0008】)という格別の効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、甲4発明において、相違点4-2及び4-3に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(33~35ページ)本件特許発明1は、甲4発明1及び甲1発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
上記主張について検討する。
上記(ア)で説示したとおり、本件発明1と甲4発明は、相違点4-1、4-2、4-3で相違するところ、上記(イ)で説示したとおり、甲4発明は、相違点4-2及び4-3に係る本件発明1の構成を適用することの動機付けがないし、上記第5の1(2)アで説示したとおり、甲1には、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているものは記載されていない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、相違点4-1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲4発明、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲4発明、甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1-3によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(4)理由1-4(甲5を主引例とする進歩性)について
ア 甲5について
(ア)甲5の認定事項
甲5の記載から、以下の事項が認定できる。
a 光源装置100は、制御回路101と、M系列生成回路102-1~102-3と、制御信号生成回路103-1~103-3と、駆動回路104-1~104-3と、発光素子105-1~105-3とを備える。([0020])
b 発光素子105-1~105-3は、赤色、緑色および青色の光を出力する。([0059])
c 制御回路101は、各発光素子105-1~105-3の調光比を光源装置100の外部から変更する必要のない場合、各発光素子105-1~105-3の調光比を予め保持している。([0025])
d 調光比は、発光素子の定格点灯時の照度に対する発光素子の調光点灯時の照度の割合であり、発光素子の明るさを表す。([0024])
e 制御回路101は、予め保持している調光比に基づいて、各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力する。([0026])
f 制御回路101は、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する。([0027]、[0031])
g M系列生成回路102-1~102-3は、M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力する。([0031]~[0033]、[0035])
h 制御信号生成回路103-1~103-3は、M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する。([0036]、[0037])
i 駆動回路104-1~104-3は、制御信号e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成して、発光素子105-1~105-3に出力する。([0038])
(イ)甲5発明
上記(ア)を踏まえると、甲5には、次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「赤色、緑色および青色の光を出力する発光素子105-1~105-3と、(上記(ア)b)
各発光素子105-1~105-3の調光比を光源装置100の外部から変更する必要のない場合、発光素子の定格点灯時の照度に対する発光素子の調光点灯時の照度の割合であり発光素子の明るさを表す各発光素子105-1~105-3の調光比を、予め保持している制御回路101と、(上記(ア)cd)
予め保持している調光比に基づいて、各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力するとともに、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する制御回路101と、(上記(ア)ef)
M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力するM系列生成回路102-1~102-3と、(上記(ア)g)
M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する制御信号生成回路103-1~103-3と、(上記(ア)h)
制御信号(PWM信号)e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成して、発光素子105-1~105-3に出力する駆動回路104-1~104-3と、(上記(ア)i)
を備える光源装置100。(上記(ア)a)」
イ 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲5発明を対比する。
a 後者の「赤色、緑色および青色の光を出力する発光素子105-1~105-3」は、前者の「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部」に相当する。
b 後者の「発光素子の定格点灯時の照度に対する発光素子の調光点灯時の照度の割合であり発光素子の明るさを表す各発光素子105-1~105-3の調光比」と、前者の「前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」とは、「調光制御に関する対応関係」の点で共通する。
そうすると、後者の「各発光素子105-1~105-3の調光比を、予め保持している」態様と、前者の「複数の対応関係」の「各々が前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された」態様とは、「調光制御に関する対応関係」が「前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された」ことの点で共通する。
そして、後者の「保持している」態様は、前者の「記憶された」態様に相当する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「制御回路101」は、前者の「記憶部」に相当するといえる。
c 後者の「予め保持している調光比に基づ」く態様は、前者の「前記対応関係を読み出」す態様に相当する。
また、後者の「発光素子105-1~105-3に出力」される「駆動信号f1~f3」は、前者の「前記複数の光源部に供給」される「駆動信号」に相当する。
そうすると、後者の「予め保持している調光比に基づいて、各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力するとともに、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する制御回路101と、M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力するM系列生成回路102-1~102-3と、 M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する制御信号生成回路103-1~103-3と、制御信号(PWM信号)e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成して、発光素子105-1~105-3に出力する」ことと、前者の「前記対応関係を読み出して前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」こととは、「前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」ことの点で共通する。
してみれば、上記の限りにおいて、後者の「制御回路101」と「M系列生成回路102-1~102-3」と「制御信号生成回路103-1~103-3」と「駆動回路104-1~104-3」は、前者の「制御部」に相当するといえる。
d 以上の限りにおいて、後者の「光源装置100」は、前者の「照明装置」に相当するといえる。
e そうすると、両者は、
「互いに波長域が異なる光を発する複数の光源部と、
前記複数の光源部ごとに対応して予め決定された調光制御に関する対応関係が記憶された記憶部と、
前記対応関係を読み出して駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する制御部と、を備える照明装置。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点5-1〕
調光制御に関する対応関係に関し、本件発明1は、「複数の」対応関係であって、「各々の前記対応関係は、前記複数の光源部の各々に対応する調光値の比率を示す調光値比率を維持して決定され、前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係がテーブル形式」であるのに対して、甲5発明は、「各発光素子105-1~105-3の調光比を光源装置100の外部から変更する必要のない場合、発光素子の定格点灯時の照度に対する発光素子の調光点灯時の照度の割合であり発光素子の明るさを表す各発光素子105-1~105-3の調光比」である点。
〔相違点5-2〕
駆動信号の生成に関し、本件発明1は、「前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値を前記複数の光源部の各々に対応する調光値に基づいて決定し、前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する」駆動信号を生成するのに対して、甲5発明は、「各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力するとともに、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する制御回路101と、M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力するM系列生成回路102-1~102-3と、M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する制御信号生成回路103-1~103-3と、制御信号(PWM信号)e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して」各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成する点。
(イ)判断
a 相違点5-1について
まず、甲5発明が制御回路101に予め保持している「調光比」は、「各発光素子105-1~105-3の調光比を光源装置100の外部から変更する必要のない場合」の「調光比」であるところ、「調光比」が変更される場合は、「制御回路101は、光源装置100の外部装置から、各発光素子105-1~105-3の調光比を指定する調光比指定信号aを受け付ける。」([0024])ものであるから、複数の調光比を予め保持する必要がない。
また、甲5発明の「調光比」は、「光素子の定格点灯時の照度に対する発光素子の調光点灯時の照度の割合」であるから、これを「前記複数の光源部の各々に対応する調光値を、前記複数の光源部の各々から発する光の明るさに対応する駆動用調光値に対応付けた複数の対応関係」に変更することの阻害事由がある。
さらに、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」「複数の対応関係」が「テーブル形式」となっているものを示す証拠もない。
そして、本件発明1は、相違点5-1に係る本件発明1の構成である「テーブル形式」の「複数の対応関係」を用いることにより、「受光素子の特性と発光素子の特性との整合性を図ることなく、色合いを調整でき、所望する色合いの光を発することができる。」(【0008】)という格別の効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、甲5発明において、相違点5-1に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
b 相違点5-2について
甲5発明は、「光源装置が複数の発光素子を備えている場合、各乱数信号の値によっては、全ての発光素子が同時に点灯することがある。この場合、光源装置の電力ピークが高くなるという問題がある。特に、各乱数発生器から同じ乱数信号が出力されると、複数の発光素子が常に同じ点灯タイミングで点灯することとなり、消費電力のピークが常に高くなるという問題がある。」([0011])ことを解決すべき課題として、「各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力するとともに、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する制御回路101と、M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力するM系列生成回路102-1~102-3と、M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する制御信号生成回路103-1~103-3と、制御信号(PWM信号)e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成する」ことを課題解決手段とし、これにより上記課題を解決して、「発光素子が複数あっても、発光素子の点灯周波数を拡散して放射EMIノイズを軽減させつつ、消費電力のピークを低減させることが可能になる。」([0016])という効果を奏するものである。
そうすると、甲5発明は、「各発光素子105-1~105-3の調光比を示す調光比信号d1~d3を生成し、各調光比信号d1~d3を制御信号生成回路103-1~103-3のいずれかに重複なく出力するとともに、M系列生成指示b1~b3をM系列生成回路102-1~102-3のいずれかに重複なく出力する制御回路101と、M系列生成指示b1~b3に基づいてM系列を生成し、制御信号生成回路103-1~103-3に出力するM系列生成回路102-1~102-3と、M系列信号c1~c3及び調光比信号d1~d3を受け付けると、調光比信号d1~d3をM系列信号c1~c3に基づいて変調して、各発光素子105-1~105-3の点灯期間を示す制御信号(PWM信号)e1~e3を生成し、駆動回路104-1~104-3に出力する制御信号生成回路103-1~103-3と、制御信号(PWM信号)e1~e3を受け付けると、その受け付けた制御信号に同期して各発光素子105-1~105-3の駆動信号f1~f3を生成する」ことを、相違点5-2に係る本件発明1の構成に変更することの阻害事由がある。
そして、本件発明1は、相違点5-2に係る本件発明1の構成により、「受光素子の特性と発光素子の特性との整合性を図ることなく、色合いを調整でき、所望する色合いの光を発することができる。」(【0008】)という格別の効果を奏するものである。
以上のとおりであるから、他の証拠について検討するまでもなく、甲5発明において、相違点5-2に係る本件発明1の構成とすることが容易になし得たものということはできない。
(ウ)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書において、概略、以下のような主張をしている。
(35~36ページ)本件特許発明1は、甲5発明1及び甲1発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
上記主張について検討する。
上記(ア)で説示したとおり、本件発明1と甲5発明は、相違点5-1及び5-2で相違するところ、上記(イ)で説示したとおり、甲5発明は、相違点5-1及び5-2に係る本件発明1の構成を適用することが容易になし得たものということはできないし、上記第5の1(2)アで説示したとおり、甲1には、「複数の」光源部「の各々」に対応する調光値を、駆動用調光値に「対応付けた」複数の「対応関係」が「テーブル形式」となっているものは記載されていない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
(エ)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲5発明及び甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
ウ 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲5発明、甲1発明及び甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
エ まとめ
以上のとおり、本件発明1及び2は、甲5発明、甲1発明及び甲2発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、特許法第29条第2項に該当し、同項の規定に違反してされたものということはできない。
したがって、理由1-4によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(5)理由2(明確性要件)について
請求項1の「前記駆動用調光値に基づいて前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための一の前記駆動用調光値に対応する一定の値を有する駆動信号を生成して前記複数の光源部に供給する」という記載によれば、「駆動信号」は、「前記複数の光源部ごとに、一の明るさを発するための」「一定の値を有する」ものであることが分かる。
そうすると、「光源部に供給」された「駆動信号」により、「光源部」が「一の明るさを発する」ものであればよく、「駆動信号」を具体的にどのような回路構成によって「光源部に供給する」ものであるかを問わないことが理解できる。
以上のとおり、本件発明1及び2は明確であり、特許法第36条第6項第2号に適合するものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものということはできない。
したがって、理由2によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(6)理由3(サポート要件)について
上記(5)で説示したとおり、本件発明1は、「駆動信号」を具体的にどのような回路構成によって「光源部に供給する」ものであるかを問わないことが理解できる。
一方、本件特許の発明の詳細な説明及び図面には、
「【0128】
<DAC値からアナログ信号への変換>
前述したように、調光値は、通常調光値テーブル(図6)や色合い固定調光値テーブル(後述する図16や図17)などを参照してDAC値に変換される。DAC値は、DAC162によって、アナログ信号に変換される。変換されたアナログ信号の電圧値がLED182に供給される電流の電流値に対応する。アナログ信号の電圧値によって、LED182に供給される電流の電流値を決定することができる。
【0129】
<アナログ信号から電流への変換>
定電流供給部160の定電流回路は、DAC162によって変換されたアナログ信号の電圧値に応じた電流値の定電流を生成する。定電流供給部160の定電流回路によって生成された電流は、LED182に供給される。」
「【0131】
<赤色>
赤色調光値から調光値テーブルを参照することで赤色DAC値に変換される。DAC162Rによって、赤色DAC値からアナログ信号(電圧値)に変換される。アナログ信号は、FET166Rなどによって定電流に変換される。変換された定電流は、赤色LED182Rに供給される。赤色LED182Rは、供給された定電流の電流値に応じた明るさ(照度)の赤色の光を発する。
【0132】
<緑色>
緑色調光値から調光値テーブルを参照することで緑色DAC値に変換される。DAC162Gによって、緑色DAC値からアナログ信号(電圧値)に変換される。アナログ信号は、FET166Gなどによって定電流に変換される。変換された定電流は、緑色LED182Gに供給される。緑色LED182Gは、供給された定電流の電流値に応じた明るさ(照度)の緑色の光を発する。
【0133】
<青色>
青色調光値から調光値テーブルを参照することで青色DAC値に変換される。DAC162Bによって、青色DAC値からアナログ信号(電圧値)に変換される。アナログ信号は、FET166Bなどによって定電流に変換される。変換された定電流は、青色LED182Bに供給される。青色LED182Bは、供給された定電流の電流値に応じた明るさ(照度)の青色の光を発する。」
と記載されているから、駆動信号(アナログ信号)を定電流供給部160を介して複数の光源部(LED182)に供給することが例示されていると理解できる。
そして、本件発明1が「駆動信号」を具体的にどのような回路構成によって「光源部に供給する」ものであるかを問わないものであるとしても、出願時の技術常識に照らして、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないとはいえず、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになるとはいえない。
したがって、本件発明1及び2は、発明の詳細な説明に記載したものであり、本件特許の特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものということはできない。
以上のとおり、理由3によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
(7)理由4(実施可能要件)について
上記(6)で説示したとおり、本件特許の発明の詳細な説明には、駆動信号(アナログ信号)を定電流供給部160を介して複数の光源部(LED182)に供給することが具体的に例示されている。
したがって、発明の詳細な説明は、本件発明1及び2について、当業者が、発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産でき、かつ、使用できる程度の記載があるといえ、本件特許の発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものであるから、請求項1及び2に係る特許は、同法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものということはできない。
以上のとおり、理由4によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
3 追加された特許異議申立理由について
(1)申立人の主張
申立人は、意見書において、申立書に記載していなかった以下の特許異議申立理由を主張している。
理由1-5(甲6を主引例とする進歩性)
本件訂正発明1は、甲6発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(意見書25~28ページ)
理由1-6(甲7を主引例とする進歩性)
本件訂正発明1は、甲7発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(意見書25~28ページ)
(2)当審の判断
理由1-5及び1-6は、甲6、甲7を新たな主引例とする進歩性の理由であるため、新たな異議申立理由を追加するものと認められるから、特許異議申立書の要旨を変更するものであり、採用することはできない(特許法第115条第2項)。
<予備的検討>
理由1-5について
甲6に記載された「データテーブル」は、「各色度点Res、Ges、Besに対応した各光源1R、1G、1Bの光量(比率)」(【0049】)であるから、本件発明1の「複数の対応関係」に相当するものではない。
そして、これまで説示したとおり、少なくとも本件発明1の「複数の対応関係」に相当するものはいずれの証拠にも記載されていないから、本件発明1は、甲6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
理由1-6について
甲7に記載された「データテーブル」も、「各色度点Res、Ges、Besに対応した各光源1R、1G、1Bの光量(比率)」(【0051】)であるから、本件発明1の「複数の対応関係」に相当するものではない。
したがって、理由1-5と同様に、本件発明1は、甲7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1及び2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700995