特許異議申立
2020-700605
容器の滅菌方法および装置
- 審判番号
- 2020-700605
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-008278
- 登録番号
- 6651696
- 請求日
- 2020年08月17日
- 審決日
- 2022年03月31日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東洋製罐株式会社
- 【権利者代理人】藤本 信男
- 【権利者代理人】重信 圭介
- 【権利者代理人】大城 重信
- 【権利者代理人】山田 益男
- 【異議申立人】中田 覚史
- 審判長/審判官
- 審判長 藤原 直欣
- 審判官 井上 茂夫
- 審判官 藤井 眞吾
- 分類
- P1651.121-YAA(B65B) / P1651.537-YAA(B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6651696号発明「容器の滅菌方法および装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6651696号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。
特許第6651696号の請求項1~13に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6651696号(以下「本件特許」という。)の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成27年1月20日(優先権主張 平成26年2月12日)を出願日とする出願(以下「本件特許出願」という。)であって、令和2年1月27日にその特許権の設定登録(特許掲載公報令和2年2月19日発行)がされ、その後、その請求項1~13に係る特許について、令和2年8月17日に特許異議申立人中田覚史(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、令和2年10月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和2年12月23日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和3年3月29日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和3年4月22日に特許権者から意見書及び手続補正書が提出され、令和3年6月7日に申立人より意見書が提出され、令和3年8月3日付けで訂正拒絶理由が通知され、令和3年8月24日に特許権者から意見書が提出され、令和3年10月12日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である令和3年11月25日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされ、令和3年12月27日に特許権者から意見書が提出されたものである。
なお、特許権者が平成2年12月23日に提出した訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正請求について
1.訂正の内容
本件訂正請求は、特許第6651696号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものである。なお、下線は当審で付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記移送エリア内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することを特徴とする滅菌方法。」と記載されているのを、「前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することを特徴とする滅菌方法。」に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0006】に「前記移送エリア内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することにより、」と記載されているのを、「前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することにより、」に訂正する。
2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1に記載されていた「容器の外面に滅菌剤を付着させ」ることにつき、それが行われる場所を「前記移送エリア内の上流側」から「前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレット」と具体的に特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1は、本件の願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の特に段落0017にある「移送ユニット130の容器排出タレット115(最上流の移送タレット133u)に導入された容器は、外面に向かって外面噴射手段131から滅菌剤が噴射され、外面に滅菌剤が付着した状態で順次移送タレット133mを経て、最下流の移送タレット133dまで移送される。」との記載事項に照らせば、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、明細書の記載を訂正事項1により訂正される特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであって、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものに該当するものではない。
さらに、訂正事項2は、明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項〔1~6〕の全てについて行うものである。
3.本件訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げられた事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合する。
本件訂正請求は、一群の請求項1~6に関するものであるから、本件訂正請求による請求項〔1~6〕についての訂正を認める。
第3 本件特許発明
上記のとおり、本件訂正請求を認めることができるから、本件特許の請求項1~13に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
成形滅菌ラインにおいて容器を滅菌する滅菌方法であって、
前記成形滅菌ラインが、ブロー成形タレットでブロー成形を行う成形エリアと、容器に内容物を充填する充填エリアとを連結する移送エリアを有し、
前記成形エリアと前記移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成しており、
前記移送エリアには、前記ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、
前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することを特徴とする滅菌方法。
【請求項2】
前記容器の外面の滅菌が、容器の内面の滅菌の後に、前記移送エリア内の容器の移送中に行われることを特徴とする請求項1に記載の滅菌方法。
【請求項3】
前記成形エリア内で容器の内面を滅菌することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌方法。
【請求項4】
前記移送エリア内で容器の内面を滅菌することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の滅菌方法。
【請求項5】
前記移送エリアが陽圧に保たれており、充填エリア直前に容器を洗浄する洗浄エリアを設け、洗浄エリア以外の移送エリアが少なくとも前記洗浄エリアよりも低圧に保たれている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の滅菌方法。
【請求項6】
前記成形エリアと前記移送エリアが陽圧に保たれており、前記移送エリアが少なくとも前記成形エリアよりも低圧に保たれている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の滅菌方法。
【請求項7】
ブロー成形タレットでブロー成形するブロー成形ユニットと、容器の外面を滅菌する手段を有する滅菌装置であって、
前記ブロー成形ユニットと容器に内容物を充填する充填ユニットを連結する移送手段が配置された移送ユニットが設けられ、
前記ブロー成形ユニット内の空間である成形エリアと前記移送ユニット内の空間である移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成しており、
前記移送エリアには、前記ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、
前記移送ユニットには、前記移送ユニット内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する外面滅菌手段が設けられていることを特徴とする滅菌装置。
【請求項8】
前記外面滅菌手段が、容器の内面を滅菌する手段よりも後に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の滅菌装置。
【請求項9】
前記ブロー成形ユニット内に、容器の内面を滅菌する内面滅菌手段が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の滅菌装置。
【請求項10】
前記移送ユニット内に、容器の内面を滅菌する内面滅菌手段が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の滅菌装置。
【請求項11】
前記移送ユニット内の充填ユニット直前に、容器を洗浄する洗浄ユニットが設けられ、
前記洗浄ユニット内に、陽圧化手段が設けられ、
洗浄ユニット以外の移送ユニットに、前記洗浄ユニットよりも低圧に保つ排気手段が設けられたことを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の滅菌装置。
【請求項12】
前記成形エリアに、陽圧化手段が設けられ、
前記移送ユニットに、前記成形エリアよりも低圧に保つ排気手段が設けられたことを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれかに記載の滅菌装置。
【請求項13】
前記ブロー成形ユニットが、少なくともブロー成形タレットと、前記ブロー成形タレットに隣接するプリフォーム搬入タレットおよび容器排出タレットを有し、
前記移送ユニットの上流側の一部が、前記ブロー成形ユニットの下流側の一部と重複して移送エリアの一部を構成し、
前記容器排出タレットが、前記移送エリアの重複した部分に配置されていることを特徴とする請求項7乃至請求項12のいずれかに記載の滅菌装置。」
第4 特許異議の申立てについて
1.取消理由(決定の予告)の概要
本件発明1~6は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証~甲第6号証に記載された発明に基いて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:特開2006-111295号公報
甲第2号証:特開2011-56943号公報
甲第3号証:特表2008-532866号公報
甲第4号証:特開2009-274309号公報
甲第5号証:特開2012-126436号公報
甲第6号証:特表2012-500134号公報
(以下、各甲号証を「甲1」等という。)
2.取消理由(決定の予告)についての判断
(1)甲1の記載事項、甲1に記載された発明
ア 甲1には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、特にボトル形状、さらにはポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトルの殺菌に好適な殺菌方法及び殺菌装置に関する。
・・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の装置では、殺菌時又は殺菌剤ミストの導入に先だって成形後の容器を加熱する必要がある。また、容器を均一に、且つ迅速に加熱するには、殺菌剤を供給する工程の前に大型の熱風発生装置などを設置する必要がある。
【0004】
そこで、本発明は、容器の殺菌に使用するエネルギを低減させるとともに装置をコンパクトにすることが可能な容器の殺菌方法及び殺菌装置を提供することを目的とする。」
(イ)「【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明によれば、成形時に付与された熱を利用して容器の殺菌を行うことができる。そのため、容器の殺菌に使用するエネルギを低減することができる。さらに、成形時に付与された熱により少なくとも一部の温度が50℃以上の状態の容器と殺菌剤とを接触させることで、予備加熱や殺菌時の加熱を省略することができる。そのため、予備加熱時や殺菌時の容器加熱に使用する機器を省略することができるので、殺菌装置をコンパクトにすることができる。この装置のコンパクト化により、装置の設置面積を低減させることができる。また、装置のコストを抑えることもできる。」
(ウ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る殺菌装置を示している。なお、この実施形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルの殺菌装置を示している。殺菌装置1は、口部101aを有する有底筒状のプリフォーム(PF)100(図2のステップS11参照)を所定の間隔で順次供給するPF供給機2と、成形機3と、成形されたボトル101と殺菌剤としての過酸化水素(H2O2)とを接触させてボトル101を殺菌する殺菌手段としてのボトル殺菌機4と、殺菌されたボトル101を洗浄し、その後内容物を充填、密封する充填部としての充填機5とを備えている。図2は、殺菌装置1においてボトル101が成形されてから殺菌、洗浄されるまでにボトル101に対して行われる処理の手順を示している。
【0018】
PF供給機2は、PF100を成形機3に所定の間隔で順次供給(図1の矢印A方向に供給)するPFコンベア6を備えている。成形機3は、図3に拡大して示したようにPF100又はボトル101を搬送する複数の搬送ホイール7と、PF100を加熱する加熱部8と、加熱されたPF100をボトル101に加熱成形する成形部9とを備えている。加熱部8では、PF100が図1の矢印B、矢印C方向に搬送される。加熱部8の壁面には、ヒータ(不図示)が設けられており、搬送中のPF100を加熱する。成形部9は、ターンテーブル10と、PF100をボトル101に成形するための金型11(図2参照)と、PF100の内部に気体を吹き込むブロー装置12(図2参照)とを備えている。ターンテーブル10は、加熱されたPF100を図1の矢印D方向に搬送する。・・・・
【0019】
ボトル殺菌機4は、成形されたボトル101を搬送するための複数の搬送ホイール13と、ボトル101に殺菌剤としてのH2O2ミストを供給する殺菌剤ミスト供給手段としての複数の噴霧管14とを備えている。
【0020】
充填機5は、複数の搬送ホイール15と、H2O2ミストが供給されたボトル101にエアリンス処理を行うエアリンス部16と、エアリンス後のボトル101に温水リンス処理を行う温水リンス部17と、洗浄後のボトル101に内容物を充填するためのフィラー18と、内容物が充填されたボトル101にキャップを取り付けて密封するためのキャッパー19とを備えている。・・・・
【0021】
殺菌装置1の各搬送ホイール7、13、15は不図示の駆動モータによって動作が同期するように駆動される。また、殺菌装置1の各ターンテーブル10、20、23も搬送ホイール7、13、15と動作が同期するように駆動される。図3に示したように殺菌装置1では、成形部9からエアリンス部16にボトル101が搬送ホイール7、13によって搬送される。そのため、成形部9のターンテーブル10から搬送ホイール7にボトル101が一本排出されると、各搬送ホイール7、13においてボトル101が次の各搬送ホイール7、13に受け渡されてエアリンス部16にボトル101が一本送り込まれる。・・・・
【0022】
殺菌装置1には、内部に不図示の仕切りが設けられている。この仕切りは、図1及び図3の点線L1及び点線L2の位置に設けられており、殺菌装置1の内部を無菌ゾーン、非無菌ゾーン、及び無菌ゾーンと非無菌ゾーンの中間に位置するグレーゾーンに分けている。なお、殺菌装置1において、PF供給機2及び成形機3は非無菌ゾーンに、ボトル殺菌機4はグレーゾーンに、充填機5は無菌ゾーンにそれぞれ配置されている。
【0023】
次に、図1~図3を参照して殺菌装置1の動作を説明する。
まず、PFコンベア6によってPF100が成形機3に供給される。成形機3に供給されたPF100は複数の搬送ホイール7を介して加熱部8に搬送される。加熱部8においてPF100は、PF100の全体の温度がほぼ均一に成形に好適な温度域に上昇するように加熱される。・・・・
【0024】
殺菌装置1の成形部9ではボトル101を加熱しつつ成形(加熱成形)するため、金型11の温度は、ほぼ所定の温度に維持される。所定の温度は、例えば後述するボトル101へのH2O2ミストの供給時におけるボトル101の温度や、ボトル101の材質、形状などに応じて適宜設定される。このような所定の温度としては、例えば60℃~100℃が設定される。・・・・
【0025】
成形されたボトル101は、ボトル殺菌機4に送られる。ボトル殺菌機4では、ボトル101に複数(図1では二本)の噴霧管14からH2O2を気化させた後に凝縮させて生成したH2O2ミストが供給される(図2のステップS12)。なお、ボトル101の搬送時は、噴霧管14、14からH2O2ミストが供給され続ける。そのため、搬送ホイール13によって噴霧管14、14の下をボトル101が通過することで、ボトル101の内外面にH2O2ミストが数秒間吹き付けられる。このH2O2ミスト供給時におけるボトル101の表面温度は、50℃以上であることが望ましい。そのため、噴霧管14は、ボトル101の搬送経路中において表面温度が50℃以上のボトル101にH2O2ミストを供給可能な位置に配置されている。また、この時のボトル101の表面温度は、ボトル101の熱容量、ボトル101の周囲の雰囲気、及び金型11から付与された熱量などに応じて定まる。そこで、本発明の殺菌装置1では、H2O2ミストの供給時におけるボトル101の表面温度が50℃以上になるように、成形部9から噴霧管14までのボトル101の搬送速度や、成形時の金型11の温度が設定される。上述したように搬送ホイール7、13の動作は同期しているため、噴霧管14の配置されている位置には、ほぼ同じ表面温度のボトル101を順次送り込むことができる。
【0026】
なお、このH2O2ミスト供給時におけるボトル101の表面温度は、例えばボトル101の材質や形状、殺菌剤の種類などに応じて、ボトル101が適切に殺菌されるように適宜設定される。ボトル101の表面温度は、ボトル101の全体が50℃以上でなくてもよい。例えば、成形時に金型11aの温度を金型11b、11cよりも低くした場合、口部101aの温度が50℃未満になる可能性がある。この場合でも、図2のステップS12に示したように口部101aには高濃度のH2O2ミストが供給されるので、口部101aを適正に殺菌することができる。ボトル101の表面温度の上限値は、例えばボトル101の材質に応じて設定される成形時における金型11の温度の上限値により設定される。金型11の温度の上限値が100℃である場合、表面温度の上限値として例えば90℃が設定される。
【0027】
殺菌されたボトル101は次に充填機5に送られる。充填機5においてボトル101はまずエアリンス部16に搬送される。エアリンス部16では、エアリンス用ターンテーブル20によってボトル101を搬送しつつ、ボトル101の内部にエアノズル21を挿入し、ボトル101内に無菌化した熱風を供給してエアリンス処理を行う(図2のステップS13)。このように熱風が供給されることでボトル101が内面から加熱され、H2O2ミストによる殺菌効果が高まるとともに、H2O2のボトル101への吸着や浸透が抑制されてH2O2がボトル101の内面に浮かび易くなる。さらに、ボトル101の内部に漂っているH2O2ミストが熱風によりボトル101外へ排出される。この時点では、ボトル101の内面に付着したH2O2ミストにより既に殺菌が十分に行われているので、ボトル101の内部空間に漂っているH2O2ミストを排出しても殺菌効果は損なわれず、むしろ余分なミストを早期に排出することにより、ボトル101の内面へのH2O2の過剰な吸着や浸透を抑えることができる。
【0028】
熱風の吹き込み時間は、ボトル101の内部に漂っているミストをすべて排出できる範囲で行えばよい。 ・・・・ なお、熱風に代え、常温の無菌化された空気を吹き込んでH2O2ミストを排出してもよい。エアリンス時には、ボトル101内にエアノズル21を挿入させない状態で熱風を供給しても良い。
【0029】
エアリンス後のボトル101は、温水リンス部17に搬送される。温水リンス部17においてボトル101は、まず反転機構22により上下が反転(図2のステップS14の状態)され、その後温水リンス用ターンテーブル23に送られる。温水リンス用ターンテーブル23により搬送されるボトル101の内部には、温水ノズル24から加熱された殺菌水が送り込まれる(図2のステップS14)。これにより、ボトル101の内部に残留しているH2O2が洗い流される。・・・・
【0030】
その後、温水リンス処理されたボトル101には、フィラー18により内容物が充填される。・・・・
【0031】
以上の殺菌装置1によれば、成形時に付与された熱によって表面温度が50℃以上の状態のボトル101にH2O2ミストを供給するので、成形後に再度ボトル101を加熱しなくてもよい。そのため、ボトル101を殺菌するために使用するエネルギを低減することができる。また、成形時に同じ金型から熱が付与されたボトル101の部分(例えば金型11bから熱が付与されたボトル101の胴部101b)は、ほぼ均一の温度に昇温されている。そのため、少なくとも一部の温度がほぼ均一のボトル101と殺菌剤とを接触させることができる。従って、殺菌剤ミストによるボトル101の殺菌効果を向上させることができる。殺菌装置1では、殺菌に使用する機器数を低減させるとともに、成形機3やボトル殺菌機4などを接近させて配置するため、装置をコンパクトにすることができる。また、搬送ホイール7、13によってボトル101を搬送することで、成形部9からエアリンス部16へのボトル101の搬送の同期を完全にとることができる。さらに、エアリンス部16以降もボトル101は搬送ホイール15により搬送されるので、殺菌装置1では成形から殺菌、洗浄、充填及び密封までボトル101を止めることなく処理することができる。そのため、殺菌装置1の設置面積を低減させるとともに、装置コストを抑えることができる。」
(エ)「【図1】
[図:0001386087000001.jpg]
【図2】
[図:0001386087000002.jpg]
【図3】
[図:0001386087000003.jpg]
」
イ 甲1に記載された発明
甲1の段落0018の記載から甲1の成形部9は、ターンテーブル10、金型11、ブロー装置12を有し、ターンテーブル10で、PF100(プリフォーム)を搬送し、同時に、ボトル101の形状にブロー成形することが分かる。
また、甲1の段落0025~0026の記載から、甲1では、ボトル101が適切に殺菌されるボトル101表面温度となるように適宜設定された位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌することが分かる。
これらの事項と、甲1の記載事項及び各図の記載内容を踏まえると、甲1には、以下の殺菌方法に係る発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「殺菌装置において容器を殺菌する殺菌方法であって、
前記殺菌装置が、ブロー成形するターンテーブル10と、ボトル殺菌機4と、ボトル101に内容物を充填する充填部5を有し、
前記ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、
前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるボトル101の表面温度となるように適宜設定された位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌し、
無菌ゾーンにおいて、フィラー18の前に、ボトル101に温水リンス処理を行う温水リンス部17とエアリンス処理を行うエアリンス部16を設けている、殺菌方法。」
(2)本件発明1について
ア 本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「ボトル101」は本件発明1の「容器」に、引用発明1の「充填部5」は本件発明1の「充填エリア」に、それぞれ相当する。
引用発明1の成形部9においてブロー成形を行う「ターンテーブル10」は本件発明1の「ブロー成形タレット」に相当する。また、引用発明1の「ターンテーブル10」の位置する領域は、本件発明1の「成形エリア」に相当し、引用発明1の「搬送ホイール7群」が配置された「ターンテーブル10以降の非無菌ゾーン」及び「搬送ホイール13群」が配置された「グレーゾーン」は、本件発明1の「移送エリア」に相当する。
引用発明1の「ターンテーブル10」と「ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され」ていることは、本件発明1の「前記成形エリアと前記移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成して」いることに相当する。
引用発明1の無菌ゾーンの「無菌」は、本件発明1の「滅菌」に相当し、引用発明1の「殺菌装置」においては、ボトル殺菌機4の噴霧管14からのH2O2ミストの噴霧後、無菌の成形されたボトルとして無菌ゾーンに搬送されることから、引用発明1の「H2O2ミスト」は本件発明1の「滅菌剤」に相当し、引用発明1の「殺菌装置」、「容器を殺菌する殺菌方法」は、本件発明1の「成形滅菌ライン」、「容器を滅菌する滅菌方法」に、それぞれ相当する。
さらに、引用発明1の「前記ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるボトル101の表面温度となるように適宜設定された位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌」することと、本件発明1の「前記移送エリアには、前記ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する」こととは、「移送エリア内で容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する」ことという限りにおいて一致する。
そうすると、本件発明1と引用発明1は、以下の一致点1で一致し、相違点1で相違する。
<一致点1>
成形滅菌ラインにおいて容器を滅菌する滅菌方法であって、
前記成形滅菌ラインが、ブロー成形タレットでブロー成形を行う成形エリアと、容器に内容物を充填する充填エリアとを連結する移送エリアを有し、
前記成形エリアと前記移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成しており、
前記移送エリア内で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する、滅菌方法。
<相違点1>
移送エリア内で容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌することに関して、本件発明1が、「移送エリアには、ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する」ものであるのに対し、引用発明1は、「ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるボトル101の表面温度となるように適宜設定された位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌」するものである点。
イ 上記相違点1について検討する。
(ア)引用発明1における、ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるボトル101の表面温度となるように適宜設定された位置に関して、甲1の段落0025には「噴霧管14は、ボトル101の搬送経路中において表面温度が50℃以上のボトル101にH2O2ミストを供給可能な位置に配置されている」と記載され、また、「この時のボトル101の表面温度は、ボトル101の熱容量、ボトル101の周囲の雰囲気、及び金型11から付与された熱量などに応じて定まる」ことや「ボトル101の表面温度が50℃以上になるように、成形部9から噴霧管14までのボトル101の搬送速度や、成形時の金型11の温度が設定される」ことが記載されている。
しかし、引用発明1において殺菌剤の噴霧管14が配置される場所は、ブロー成形を行う「ターンテーブル10」に続く搬送ホイール7ではなく、非無菌ゾーンの搬送ホイール7群に続く、ボトル殺菌機4のグレーゾーンに配置された搬送ホイール13群のうちの一つである。
こうした引用発明1において、噴霧管14の配置を搬送ホイール13から搬送ホイール7群のうちのターンテーブル10に隣接する搬送ホイール7に変更しようと動機付ける要素は見当たらない。
(イ)申立人は、甲2に、ブローロータ(ブロー成形タレットに相当)のみがクリーンルーム環境16にある場合が記載され、そのブローロータに隣接して輸送装置6(容器排出タレットに相当)が配置されていることが記載されており、この甲2記載事項を考慮することで相違点1に係る本件発明1の構成が容易に想到できる旨主張する。(特許異議申立書18頁末行~19頁12行)
しかし、甲2には、滅菌剤をブローロータに隣接する輸送装置で付着させることは記載されておらず、引用発明1においてターンテーブル10に隣接する搬送ホイール7に変更することが容易であるとする根拠とはならない。
(ウ)よって、引用発明1において相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を採用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
ウ したがって、本件発明1は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明2~6について
本件発明2~6は、いずれも、本件発明1の発明特定事項を全て含んだ上で他の発明特定事項が付加されたものである。
そうすると、本件発明2~6を引用発明1と対比すると、両者の間には、少なくとも、本件発明1と引用発明1を対比した際の相違点1が存在することになり、そして、その相違点1についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明2~6は、いずれも、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)まとめ
よって、本件発明1~6は、いずれも、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
3.取消理由(決定の予告)で通知しなかった特許異議申立理由について
(1)本件発明7~13に対する進歩性に係る申立理由について
ア 甲1には、以下の殺菌装置に係る発明(以下「引用発明2」という。)も記載されていると認められる。
「ターンテーブル10でブロー成形する成形機3と、ボトル101に内容物を充填するフィラー18を有する充填機5と、H2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌する噴霧管14を有する殺菌装置であって、
前記充填機5と前記成形機3を連結するボトル殺菌機4を備え、
前記成形機3と前記ボトル殺菌機4との間の仕切りL1、前記ボトル殺菌機4と前記充填機5との間の仕切りL2で仕切られ、
前記成形機3には、前記ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、
前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるように適宜設定されたボトル101の表面温度となる位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌する噴霧管14が設けられている殺菌装置であって、
無菌ゾーンにおいて、フィラー18の前に、ボトル101に温水リンス処理を行う温水リンス部17とエアリンス処理を行うエアリンス部16を設けている、殺菌装置。」
イ 本件発明7について
(ア)本件発明7と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「ターンテーブル10」は本件発明7の「ブロー成形タレット」に相当し、同様に、「ボトル101」は「容器」に、「成形機3」は「ブロー成形ユニット」に、「ボトル殺菌機4」は「移送ユニット」に、「充填部5」は「充填ユニット」に、「搬送ホイール13」は「移送手段」に、それぞれ相当する。
また、上記2.(2)アで述べた理由と同様に、引用発明2の「殺菌装置」においては、ボトル殺菌機4の噴霧管14からのH2O2ミストの噴霧後、無菌の成形されたボトルとして無菌ゾーンに搬送されることから、引用発明2の「H2O2ミスト」は本件発明1の「滅菌剤」に相当し、同様に、「噴霧管14」は「容器の外面を減菌する手段」と「外面滅菌手段」に、「殺菌装置」は「減菌装置」に、「H2O2ミスト」は「滅菌剤」に、それぞれ相当する。
引用発明2の「前記成形機3と前記ボトル殺菌機4との間の仕切りL1」で仕切られていることは、本件発明7の「前記ブロー成形ユニット内の空間である成形エリアと前記移送ユニット内の空間である移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成して」いることに相当する。
引用発明2の「前記成形機3には、前記ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるように適宜設定されたボトル101の表面温度となる位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌する噴霧管14が設けられている」ことと、本件発明7の「前記移送エリアには、前記ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、前記移送ユニットには、前記移送ユニット内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する外面滅菌手段が設けられている」こととは、「移送ユニット内で容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する手段が設けられている」という限りにおいて一致する。
そうすると、本件発明7と引用発明2は、以下の一致点2で一致し、相違点2で相違する。
<一致点2>
ブロー成形タレットでブロー成形するブロー成形ユニットと、容器の外面を滅菌する手段を有する滅菌装置であって、
前記ブロー成形ユニットと容器に内容物を充填する充填ユニットを連結する移送手段が配置された移送ユニットが設けられ、
前記ブロー成形ユニット内の空間である成形エリアと前記移送ユニット内の空間である移送エリアとが、互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成しており、
前記移送ユニット内で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する手段が設けられている、滅菌装置。
<相違点2>
移送ユニット内で容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する手段が設けられていることに関して、本件発明7が、「前記移送エリアには、前記ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置され、前記移送ユニットには、前記移送ユニット内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する外面滅菌手段が設けられている」のに対し、引用発明2は、「前記成形機3には、前記ターンテーブル10以降の非無菌ゾーンに搬送ホイール7群が配置され、前記ボトル殺菌機4のグレーゾーンに搬送ホイール13群が配置され、前記ボトル殺菌機4内のボトル101が適切に殺菌されるように適宜設定されたボトル101の表面温度となる位置で噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けてボトル101の内外面を殺菌する噴霧管14が設けられている」点。
(イ)上記相違点2について検討する。
引用発明2では、成形機3とボトル殺菌機4との間は仕切りL1で仕切られ、ターンテーブル10は成形機3の内部に、噴霧管14はボトル殺菌機4の内部にそれぞれ存在する。成形機3内のターンテーブル10で処理された容器は、直接、ボトル殺菌機4に移されるのではなく、成形機3内での搬送ホイール7群による搬送を経て、ボトル殺菌機4内の搬送ホイール13に移され、噴霧管14からH2O2ミストを吹き付けられるものとなっている。
これに対して、本件発明7では、ブロー成形タレットが移送ユニット内の空間である移送エリアの容器排出タレットに隣接して存在することから、ブロー成形タレットは、成形エリア内で容器が移送エリアに移される直前の位置にあるもので、ブロー成形タレットで処理された容器は、直接、移送エリアに移されるものである。
そして、引用発明2において、ターンテーブル10に隣接する搬送ホイール7群を廃して、ターンテーブル10が移送ユニットたる「ボトル殺菌機4」内の搬送ホイール13に隣接するように機械構成を変更することは、他の証拠方法を考慮しても、当業者に動機付けられることではない。
すなわち、引用発明2に接した際に、搬送ホイール7群をなくしてしまうことは、他の証拠方法を考慮しても、当業者が容易に想到し得たことではなく、引用発明2において相違点2に係る本件発明7の発明特定事項を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。
(ウ)よって、本件発明7は、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明8~13について
本件発明8~13は、いずれも、本件発明7の発明特定事項を全て含んだ上で他の発明特定事項が付加されたものである。
そうすると、本件発明8~13を引用発明2と対比すると、両者の間には、少なくとも、本件発明7と引用発明2を対比した際の相違点2が存在することになり、そして、その相違点2についての判断は、既に述べたとおりである。
したがって、本件発明8~13は、いずれも、引用発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
エ よって、本件発明7~13に対する進歩性に係る申立理由には、理由がない。
(2)明確性要件及びサポート要件に係る申立理由について
ア 申立人は、訂正前の請求項1の「前記移送エリア内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させ」るとの事項、同じく請求項7の「前記移送ユニットには、前記移送ユニット内の上流側で前記容器の外面に滅菌剤を付着させて前記容器の外面を滅菌する外面滅菌手段が設けられている」こととの事項は、発明の詳細な説明にサポートされていないし、記載が明確でない旨主張する。
イ 請求項1の記載において、「上流側」なる事項は、「移送エリア」内での容器の外面に滅菌剤を付着させる場所を表現するものであるところ、本件訂正請求により請求項1には、「前記移送エリア内の上流側でかつ前記容器排出タレットで前記容器の外面に滅菌剤を付着させ」と記載されており、この記載によれば、「移送エリア」内での容器の外面に滅菌剤を付着させる場所として「上流側」とは、ブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置されている場所を含んだものとなり、請求項1の記載において、容器の外面に滅菌剤を付着させる場所は、明確に特定されているといえる。
また、当該「移送エリア」に関して、成形エリアと移送エリアの両者が互いに隣り合ったそれぞれの空間を形成していること、移送エリアには成形エリアが備えるブロー成形タレットに隣接する容器排出タレットが配置されていることが理解できる。そして、本件発明1の、成形エリアにより近い移送エリア内の上流側に滅菌剤を付着させる場所を位置させれば、本件発明1の解決しようとする課題である、「容器の外面を充分に滅菌するとともに、ブロー成形ユニットを滅菌剤で痛めることなく、設備の小型化が可能で、滅菌環境に保つエリアも少なく、コストを低滅すること」の解決につながることが理解できる。
そうすると、本件発明1は明確であり、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された発明として理解することができるものである。また、本件発明2~6も同様である。
ウ 次に、請求項7の記載においても、「上流側」なる事項は、請求項1と同様の趣旨で用いられた表現であるところ、当該請求項7からは、請求項1について述べたと同様の事項が理解できることに加え、この「上流側」が示す場所が「移送ユニット」の内部であることも理解される。
また、本件発明7の構成によっても、本件発明1と同様に、解決しようとする課題である、「容器の外面を充分に滅菌するとともに、ブロー成形ユニットを滅菌剤で痛めることなく、設備の小型化が可能で、滅菌環境に保つエリアも少なく、コストを低滅すること」の解決ができることが理解できる。
そうすると、本件発明7は明確であり、本件発明7は、発明の詳細な説明に記載された発明として理解することができるものである。また、本件発明8~13も同様である。
ウ よって、明確性要件及びサポート要件に係る申立理由には、理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1~13に係る特許は、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2020-700605