特許異議申立
2021-700901
薬剤払出し装置
- 審判番号
- 2021-700901
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-549160
- 登録番号
- 6842632
- 請求日
- 2021年09月17日
- 審決日
- 2022年02月28日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社湯山製作所
- 【権利者代理人】藤田 隆
- 【異議申立人】野田 三佳
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 藤井 昇
- 審判官 芦原 康裕
- 分類
- P1651.121-Y (B65B) / P1651.537-Y (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6842632号発明「薬剤払出し装置」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6842632号の請求項1ないし38に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1.手続の経緯
特許第6842632号(以下「本件特許」という。)の請求項1~38に係る特許についての出願は,2014年(平成26年)11月18日(優先権主張 2013年11月22日,2014年9月24日)を国際出願日とする特許出願であって,令和3年2月25日にその特許権の設定登録がされ,同年3月17日に特許掲載公報が発行された。その後,その特許の請求項1~38について,同年9月17日付けで特許異議申立人 野田 三佳(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2.本件発明
本件特許の請求項1~38に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1~38に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっていることを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項2】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,容器移動手段によって薬剤容器が保持され,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっており,
容器移動手段から容器保管装置に薬剤容器が受け渡されるものであり,当該受け渡しの際に,ドラム部材を回動させ,容器移動手段は,ドラム部材の回動方向と反対方向に薬剤容器を回動させて薬剤容器の一面をドラム部材の一部に対向させ,その後,容器移動手段によって薬剤容器をドラム部材側に移動させて容器保管装置に薬剤容器を受け渡すことを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項3】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっており,
薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,薬剤棚部領域及び薬剤分割領域は筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり,前記扉部又はその近傍に薬剤容器仮置部があり,薬剤容器仮置部に情報読み取り手段が設けられていることを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項4】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっており,
複数の重量測定手段を有し,そのうちの一つが容器載置装置に設けられており,薬剤容器から散薬を排出し,且つ薬剤容器の重量を容器載置装置に設けられた重量測定手段で測定し,その後に当該容器載置装置の重量測定手段以外の重量測定手段によって,再度薬剤容器の重量を測定する二重計測工程を行うことを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項5】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっており,
複数の重量測定手段を有し,薬剤容器を一つの重量測定手段で測定し,その後に容器移動手段によって薬剤容器を他の重量測定手段に載せ替えて再度薬剤容器の重量を測定する検定動作を実施可能であることを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項6】
薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し,
排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であり,
容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっており,
全体又は一部が筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり,前記扉部又はその近傍に薬剤容器仮置部があり,
薬剤容器仮置部は,
薬剤容器の一部と係合する係合レバーと,出没可能な保持部材とを有し,保持部材は係合レバーと連動し,薬剤容器が薬剤容器仮置部に載置されると係合レバーが薬剤容器の重量によって押し下げられ,保持部材が薬剤容器を保持可能な位置に出現することを特徴とする薬剤払出し装置。
【請求項7】
容器保管装置は,略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,容器設置部に薬剤容器が設置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項8】
容器保管装置には複数の容器設置部があり,容器設置部は,薬剤容器を縦置きした姿勢を基準としてその底面を支持する底面支持部と,側面の内の少なくとも2面を支持する側面支持部と,薬剤容器の一部と係合する対容器係合部を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項9】
容器保管装置には複数の容器設置部があり,容器設置部は,薬剤容器の一部と係合する対容器係合部を2以上有し,そのうちの少なくとも一つは,薬剤容器を押し込むことによって姿勢変更して逃げて薬剤容器の近接を許し,薬剤容器が正規の位置に取り付けられると,姿勢が完全又は不完全に復帰して薬剤容器の一部と係合することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項10】
薬剤容器が正規の姿勢で容器保管装置に装着されているか否かを検知する装着検知手段を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項11】
容器保管装置には複数の容器設置部があり,容器設置部は,薬剤容器を縦置きした姿勢を基準としてその側面の一つと係合する側面支持部材と装着検知手段を有し,装着検知手段は,側面支持部材から突出する突出部材を有し,薬剤容器が正規の姿勢で取り付けられると,前記突出部材が側面支持部材側に没入することを特徴とする請求項10に記載の薬剤払出し装置。
【請求項12】
容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,ドラム部材の内部に,突出部材の姿勢を検知する突出部材検知センサが設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項13】
容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,飛び出し検知センサはドラム部材の近傍にあってドラム部材から一定距離を置いた位置に光を照射して何らかの物品が存在するか否かを検知する光センサであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項14】
容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,薬剤分割領域には,分配皿が複数設けられ,ドラム部材は一方の分配皿側に寄った位置に設けられ,容器移動手段は,上下方向に設置された上下方向レールに多関節のロボットが設けられたものであり,前記上下方向レールは,ドラム部材よりも中央寄りの部分に設けられていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項15】
容器移動手段は,上下方向に設置された上下方向レールに多関節のロボットが設けられたものであり,前記ロボットは,少なくとも関節部で連接されていて水平方向に回動する2本のアーム部材と,薬剤容器を保持する容器保持掌部を有し,前記容器保持掌部は薬剤容器を保持する面を寝かせた姿勢と立てた姿勢に保持することが可能であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項16】
旧16
容器移動手段は,磁力によって容器を保持するものであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項17】
薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,容器保管装置又はその近傍に,情報読み取り手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項18】
薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,
容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,ドラム部材は,複数段に薬剤容器を収容可能であり,各段に対応する1以上の情報読み取り手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項19】
ドラム部材を回動させ,その最中に情報読み取り手段によって情報記録部材の情報を読み取ることを特徴とする請求項18に記載の薬剤払出し装置。
【請求項20】
薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,容器載置装置またはその近傍に情報読み取り手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項21】
薬剤容器仮置部に設置された薬剤容器が容器移動手段によって容器保管装置に運ばれることを特徴とする請求項3に記載の薬剤払出し装置。
【請求項22】
情報記録部材はRFIDであり,情報読み取り手段はRFIDアンテナであることを特徴とする請求項3,17乃至21のいずれかに記載の薬剤払出し装置
【請求項23】
薬剤棚部領域及び薬剤分割領域は筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり,前記扉部又はその近傍に薬剤容器仮置部があり,薬剤容器載置部に重量測定手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項24】
薬剤棚部領域は筐体で覆われ,筐体内は温度又は湿度の少なくともいずれかを調節可能であることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項25】
薬剤の使用頻度に応じて薬剤容器の位置が自動的に変更されることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項26】
容器載置装置は振動台と,振動台を振動させる加振手段と,振動台に薬剤容器を固定する容器保持手段と,薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し,
薬剤容器を振動台に載置し,容器保持手段で薬剤容器を振動台に固定し,振動台を振動させて薬剤容器から薬剤を少量ずつ排出し,重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項27】
薬剤容器は一部又は全部が磁性体であり,容器保持手段は磁石を有していることを特徴とする請求項1乃至26のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項28】
重量測定手段によって,薬剤を排出する以前の薬剤容器の重量たる原重量を測定し,薬剤容器から散薬を少量ずつ排出する際に前記重量測定手段によって薬剤容器の重量を監視し,薬剤容器の現在の重量たる現重量が,原重量から目標排出量を引いた値に一致した際あるいは略一致した際に薬剤容器からの散薬の排出を停止させる計量機能を備えたことを特徴とする請求項26又は27に記載の薬剤払出し装置
【請求項29】
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって薬剤容器が所定の位置に移動され,
清掃部があり,容器移動手段によって薬剤容器を清掃部に移動させて,薬剤容器の外面を清掃することを特徴とする請求項1乃至28のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項30】
清掃部には,吸引装置が設けられていることを特徴とする請求項29に記載の薬剤払出し装置。
【請求項31】
清掃部には,容器接触部があり,容器移動手段によって薬剤容器を容器接触部に押し当て,薬剤容器を清掃することを特徴とする請求項29又は30に記載の薬剤払出し装置。
【請求項32】
容器保管装置には複数の容器設置部があり,容器設置部は,薬剤容器の一部と係合する1又は2以上の対容器係合部を有し,そのうちの少なくとも一つは,薬剤容器を上方から下方にスライドさせることにより薬剤容器と係合し,薬剤容器を下方から上方にスライドさせることにより薬剤容器との係合が解除されるものであることを特徴とする請求項1乃至31のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項33】
薬剤容器は薬剤を排出する薬剤排出部と,当該薬剤排出部を開閉する開閉蓋を有し,さらに薬剤容器には開閉蓋を動作させる操作部があり,薬剤容器を移動させる容器移動手段が有り,前記容器移動手段は薬剤容器を保持する機能を有し,さらに容器移動手段には前記操作部と係合して操作部を操作し開閉蓋を開閉する開閉部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至32のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項34】
薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,薬剤棚部領域に,情報読み取り手段が設けられ,
薬剤棚部領域及び薬剤分配領域は筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であることを特徴とする請求項1乃至33のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項35】
薬剤棚部領域と薬剤包装領域とは,テーブル部材で仕切られていることを特徴とする請求項1乃至34のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項36】
容器移動手段は,容器載置装置に上下方向及び水平方向に薬剤容器を移動して載置することを特徴とする請求項1乃至35のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項37】
容器載置装置は複数であって,複数の容器載置装置が,分配皿の周囲に沿って設けられていることを特徴とする請求項1乃至36のいずれかに記載の薬剤払出し装置。
【請求項38】
さらに,容器保管装置から一定の距離だけ離れた位置に何らかの物品が存在するか否かを検知する飛び出し検知センサを有することを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出し装置。」
(以下,請求項1~38に係る発明を,それぞれ本件発明1~本件発明38という。)
第3.申立理由の概要
申立人は,以下のように主張する。
1.本件発明1~38は,本件特許の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内において頒布された甲1発明,甲2記載事項~甲11記載事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので,取り消されるべきものである。
2.本件発明1~38は,発明の詳細な説明に記載したものであるとはいえないので,その特許は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから,取り消されるべきものである。
甲第1号証:特開平5-237166号公報
甲第2号証:特開平11-114020号公報
甲第3号証:特開平4-286526号公報
甲第4号証:特開平5-8842号公報
甲第5号証:特開昭64-59015号公報
甲第6号証:特開昭60-172602号公報
甲第7号証:特開平7-132135号公報
甲第8号証:特開平1-284372号公報
甲第9号証:特開2009-119246号公報
甲第10号証:特開2009-29510号公報
甲第11号証:特開2003-327202号公報
(以下,甲第〇号証は,甲〇と略記する。)
第4.甲号証の記載
1.甲1
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲1には,図面とともに以下の記載がある。
・「【請求項1】各種類の散薬を収容した複数の散薬収容器と,前記散薬収容器の任意のものから散薬を必要量排出させる手段と,排出された散薬を所要量ずつに分割する手段と,分割された散薬を包装する包装装置とを具えていることを特徴とする散薬分包機。」
・「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,散薬を包装装置によって1包ずつ分包するようになった散薬分包機に関するものである。」
・「【0004】この発明は上記従来のもののもつ問題点を解決して,複数種類の散薬のなかから,任意の種類の散薬を自動的に取り出して分包することのできる散薬分包機を提供することを目的とするものである。」
・「【0006】
【作用】この発明は上記手段を採用したことにより,各散薬収容器に収容された散薬は,薬剤師の手作業を全く要することなく,任意の種類のものが自動的に排出され,所要量ずつに分割されて,包装装置によって分包されることとなる。
【0007】
【実施例】図1はこの発明による散薬分包機の一実施例をブロック図で示したものであり,この散薬分包機は,散薬取り出し装置1と,散薬取り出し装置1の散薬取り出し口29から取り出された散薬を所要量ずつに分割する配分・分割装置4と,分割された散薬を包装する包装装置5とから構成されている。図2は散薬取り出し装置1の一実施例をブロック図で示したものであり,この散薬取り出し装置1は,各種類の散薬を収容した複数の散薬収容器10,10,…と,これらの散薬収容器10,10,…に対応して設けられた排出制御器20と,散薬取り出し口29とを具え,排出制御器20が,散薬収容器10,10,…の任意のものを選択して,その散薬を必要量だけ散薬取り出し口29から取り出すように構成されている。各散薬収容器10は,任意の種類の散薬を充分大量にストックしておける内容積を有するストック部11と,ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部13と,排出部13から散薬を連続的に排出させるため,ストック部11から排出部13へ散薬を供給する供給部12とから構成されている。一方,排出制御器20は,散薬収容器10,10,…のなかから,散薬を排出させるべき任意の散薬収容器10を選択する選択部21と,排出させるべき散薬の必要量を任意に設定する設定部22と,選択部21によって選択された散薬収容器10の排出動作にともなって,排出部13から排出される散薬を秤量する秤量部23と,秤量部23の秤量値と設定部22の設定値とを比較して,秤量値すなわち散薬の排出量が,設定値すなわち散薬の必要量に達したとき,その散薬収容器10の排出動作を終了させる制御部24とから構成されている。また,排出制御器20には,秤量部23で秤量され終わった必要量の散薬を,散薬取り出し口29に向けて給送するための適宜の給送装置25が設けられている。給送装置25は,たとえば,電磁フィーダ等の振動フィーダによって構成することができるが,これに限定するものでなく,また,秤量部23が,秤量終了にともなって,必要量の散薬を散薬取り出し口29に向けて送り出すことができるような構成のものである場合は,省略することが可能である。・・・たとえば,一例を挙げると,ストック部11の下方に供給部12を配置し,供給部12のさらに下方に排出部13を配置して,ストック部11の空所の下端と,供給部12の空所の上端とが連通し,かつ,供給部12の空所の下端と,排出部13の空所の上端とが連通するように構成し,それにより,ストック部11の空所内の散薬が,円滑に落下しさえすれば供給部12の空所内に入り込み,そこからさらに円滑に落下しさえすれば,供給部12の空所を通って排出部13の空所内に入り込むように設計することが可能である。・・・散薬収容器10の設置スペースを抑制する目的・・・図1に示す配分・分割装置4は,たとえば,1処方分の散薬を1回服用分の分量ずつに分割するものであり,従来から知られている種々の形式のものを利用することができる他,適宜の構成のものとすることが可能である。・・・また,分割マスを使用しないで,平面または湾曲面のテーブル上に配分された散薬を所望の分量ずつ切り出すように構成したものを使用することもでき,この場合も,単独で使用することができる・・・」
・「【0008】つぎに,上記のように構成された散薬分包機の作用について説明する。まず,各散薬収容器10,10,…のストック部11内に,それぞれ所定の種類の散薬を,充分大量に投入してストックしておく。つぎに,モータ19によって,ストック部11の攪拌部材18bおよび供給部12の攪拌部材18aを回転させて,ストック部11内の散薬を,攪拌させながら供給部12に供給するとともに,供給部12内の散薬を,攪拌させながら排出部13に供給して,排出部13に充填させる。このとき,必要があれば,モータ16によって排出部材14を所望の量だけ回転させることによって,排出部13における散薬の充填を確実に行わせる。もちろん,このような排出部13への散薬の充填作業は,排出制御器20の指示によって行うことができるが,初回のみ有効なものであるから,省略しても差し支えない。一方,排出制御器20の選択部21で,散薬収容器10,10,…のなかから,分包すべき種類の散薬を収容した任意の散薬収容器10を選択するとともに,設定部22で,その散薬の排出させるべき任意の必要量を設定する。すると,制御部24が,この選択された散薬収容器10に排出動作を行わせることとなり,その散薬収容器10は,排出制御器20の指示により,モータ16を駆動させて排出部材14を回転させるとともに,作動部材17を作動させてシャッタ15を開ける。すると,散薬の排出動作が開始することとなって,排出部13の円筒形空所内の散薬が,排出口に向かって徐々に移動して,排出口から連続的に排出される。このとき,排出部材14の回転によって排出部13から排出される量にほぼ見合う量の散薬が,攪拌部材18aの回転によって供給部12から排出部13内へ円滑に供給されるとともに,供給部12から排出部13へ供給される量にほぼ見合う量の散薬が,攪拌部材18aおよび攪拌部材18bの回転によってストック部11から供給部12内へ円滑に移動する結果,排出部13からの散薬の排出は,途切れなく連続的に行われることとなる。そして,排出部13から排出される散薬の排出量(すなわち秤量部23による秤量値)が,排出すべき必要量(すなわち設定部22による設定値)に達すると,排出制御器20の指示により,モータ16を停止させて排出部材14の回転を停止させるとともに,作動部材17を作動させてシャッタ15を閉め,同時に,モータ19による攪拌部材18aおよび攪拌部材18bの回転も停止する。そして,散薬収容器10の排出部13から排出され,秤量部23で秤量され終わった必要量(たとえば1処方分)の散薬は,給送装置25によって,散薬取り出し口29に向けて給送されて,散薬取り出し口29から取り出されたのち,配分・分割装置4によって所要量(1回服用分)ずつに分割されて,包装装置5に供給され,その投入口50に投入されて,包装装置5によってその1回服用分が1包となるように分包されることとなる。
【0009】図4は散薬取り出し装置1の他の実施例をブロック図で示したものであり,この散薬取り出し装置1は,各種類の散薬を収容した複数の散薬収容器10,10,…と,排出制御器20と,散薬取り出し口29とを具え,散薬収容器10,10,…または排出制御器20を移動させて,散薬収容器10,10,…の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させ,排出制御器20と対応した散薬収容器10の散薬を必要量だけ散薬取り出し口29から取り出すように構成されている。排出制御器20を定位置に設置し,この排出制御器20に対して,散薬収容器10,10,…を移動させることによって任意の散薬収容器10を対応させる場合,散薬収容器10,10,…の配置,移動の方法およびその軌跡等については,種々の設計が可能であるため,具体的な図示を省略してある。たとえば,一例を挙げると,散薬収容器10,10,…を円形に配置し,これらを,適宜の移動機構26によって,その円の中心(移動機構26に連なる一点鎖線で示す)のまわりに回転移動させるように構成し,その回転軌跡の一箇所に対応した位置に,排出制御器20を設置することができる。また,このような円形配置の散薬収容器10,10,…を,上下に複層構造とすることもでき,その場合,各層の散薬収容器10,10,…ごとに排出制御器20をそれぞれ設置してもよいが,単一の排出制御器20を使用する場合は,その排出制御器20を,各層の散薬収容器10,10,…の高さに選択的に対応できるように,上下に移動可能に構成するか,または,複層構造の散薬収容器10,10,…を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができる。さらに,適宜に配置された散薬収容器10,10,…のすベてをつねに移動させるのでなく,必要な一部(1個または数個)の散薬収容器10だけを移動させることによっても,散薬収容器10,10,…の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能である。各散薬収容器10は,任意の種類の散薬を充分大量にストックしておける内容積を有するストック部11と,ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部13と,排出部13から散薬を連続的に排出させるため,ストック部11から排出部13へ散薬を供給する供給部12とから構成され,その詳細は,図3に示すものと同様のものである。一方,排出制御器20は,散薬収容器10,10,…のなかから,散薬を排出させるベき任意の散薬収容器10を選択する選択部21と,排出させるべき散薬の必要量を任意に設定する設定部22と,選択部21によって選択された散薬収容器10が,排出制御器20に対応した位置にくるように,その散薬収容器10または必要なすべての散薬収容器10,10,…を移動させる駆動部27と,選択部21によって選択され,かつ,駆動部27によって排出制御器20に対応した位置まで移動された散薬収容器10の排出動作にともなって,排出部13から排出される散薬を秤量する秤量部23と,秤量部23の秤量値と設定部22の設定値とを比較して,秤量値すなわち散薬の排出量が,設定値すなわち散薬の必要量に達したとき,その散薬収容器10の排出動作を終了させる制御部24とから構成されている。また,排出制御器20には,秤量部23で秤量され終わった必要量の散薬を,散薬取り出し口29に向けて給送するための適宜の給送装置25が設けられ,給送装置25は,たとえば,電磁フィーダ等の振動フィーダによって構成することができるが,これに限定するものでなく,また,秤量部23が,秤量終了にともなって,必要量の散薬を散薬取り出し口29に向けて送り出すことができるような構成のものである場合は,省略することが可能である。
【0010】上記のように構成された散薬取り出し装置1を使用する場合は,図2の散薬取り出し装置1の場合と同様に,各散薬収容器10,10,…のストック部11内に,それぞれ所定の種類の散薬を,充分大量に投入してストックするとともに,各部に必要な散薬の充填作業を行っておく。一方,排出制御器20の選択部21で,散薬収容器10,10,…のなかから,分包すべき種類の散薬を収容した任意の散薬収容器10を選択するとともに,設定部22で,その散薬の排出させるべき任意の必要量を設定する。すると,駆動部27が,この選択された散薬収容器10が排出制御器20に対応した位置にくるように,移動機構26を作動させて,その散薬収容器10または必要なすべての散薬収容器10,10,…を移動させる。そして,この散薬収容器10が排出制御器20に対応した位置まで移動されると,駆動部27が移動機構26を停止させ,制御部24が,この散薬収容器10に排出動作を行わせることとなり,その散薬収容器10は,排出制御器20の指示により,モータ16を駆動させて排出部材14を回転させるとともに,作動部材17を作動させてシャッタ15を開ける。すると,散薬の排出動作が開始することとなって,排出部13の円筒形空所内の散薬が,排出口に向かって徐々に移動して,排出口から連続的に排出される。このとき,排出部材14の回転によって排出部13から排出される量にほぼ見合う量の散薬が,攪拌部材18aの回転によって供給部12から排出部13内へ円滑に供給されるとともに,供給部12から排出部13へ供給される量にほぼ見合う量の散薬が,攪拌部材18aおよび攪拌部材18bの回転によってストック部11から供給部12内へ円滑に移動する結果,排出部13からの散薬の排出は,途切れなく連続的に行われることとなる。そして,排出部13から排出される散薬の排出量(すなわち秤量部23による秤量値)が,排出すべき必要量(すなわち設定部22による設定値)に達すると,排出制御器20の指示により,モータ16を停止させて排出部材14の回転を停止させるとともに,作動部材17を作動させてシャッタ15を閉め,同時に,モータ19による攪拌部材18aおよび攪拌部材18bの回転も停止する。そして,散薬収容器10の排出部13から排出され,秤量部23で秤量され終わった必要量(たとえば1処方分)の散薬は,給送装置25によって,散薬取り出し口29に向けて給送されて,散薬取り出し口29から取り出されたのち,配分・分割装置4によって所要量(1回服用分)ずつに分割されて,包装装置5に供給され,その投入口50に投入されて,包装装置5によってその1回服用分が1包となるように分包されることとなる。」
・「【0011】・・・このような散薬収容器10は,図2の散薬取り出し装置1,または,図4の散薬取り出し装置1のいずれにも適用することができるが,いずれに適用した場合も,排出させるべき必要量の散薬が,比較的短時間で,しかも,実質的に分量誤差なく排出されることとなり,したがって,散薬排出の速度と精度との両立が,無理なく,有効に実現することとなる。」
・「【0013】
【発明の効果】この発明は上記のように構成したので,各散薬収容器に収容された散薬は,薬剤師の手作業を全く要することなく,任意の種類のものが自動的に排出され,所要量ずつに分割されて,包装装置によって分包することができ,そのため,複数種類の散薬のなかから,任意の種類の散薬を自動的に取り出して分包することができる等のすぐれた効果を有するものである。」
・図1,図2,図4には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000001.jpg]
[図:0001384201000002.jpg]
[図:0001384201000003.jpg]
・図1からみて,散薬収容器10が配置される領域の下方に配分・分割装置4が配置され,その下方に包装装置5が配置されていることが理解できる。
また,図4からみて,散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給装装置25が配置されていることが理解できる。
これらの記載事項及び図示内容からみて,甲1には,以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。
「散薬分包機は,散薬取り出し装置1と,散薬取り出し装置1の散薬取り出し口29から取り出された散薬を所要量ずつに分割する配分・分割装置4と,分割された散薬を包装する包装装置5とから構成され,
散薬取り出し装置1は,各種類の散薬を収容した複数の散薬収容器10と,排出制御器20と,散薬取り出し口29とを具え,排出制御器20が,散薬収容器10の任意のものを選択して,その散薬を必要量だけ散薬取り出し口29から取り出すように構成され,
各散薬収容器10は,任意の種類の散薬を充分大量にストックしておける内容積を有するストック部11と,ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部13と,ストック部11から排出部13へ散薬を供給する供給部12とから構成され,
散薬収容器10を円形に配置し,これらを,適宜の移動機構26によって,その円の中心のまわりに回転移動させるように構成し,その回転軌跡の一箇所に対応した位置に,排出制御器20を設置することができ,また,このような円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造とすることもでき,複層構造の散薬収容器10を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができ,必要な一部(1個または数個)の散薬収容器10だけを移動させることによっても,散薬収容器10の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能であり,
排出制御器20の選択部21で,散薬収容器10のなかから,分包すべき種類の散薬を収容した任意の散薬収容器10を選択するとともに,設定部22で,その散薬の排出させるべき任意の必要量を設定し,駆動部27が,この選択された散薬収容器10が排出制御器20に対応した位置にくるように,移動機構26を作動させて,その散薬収容器10または必要なすべての散薬収容器10を移動させ,この散薬収容器10が排出制御器20に対応した位置まで移動されると,駆動部27が移動機構26を停止させ,制御部24が,この散薬収容器10に排出動作を行わせることとなり,その散薬収容器10は,排出制御器20の指示により,モータ16を駆動させて排出部材14を回転させるとともに,作動部材17を作動させてシャッタ15を開け,散薬の排出動作が開始することとなって,排出部13の円筒形空所内の散薬が,排出口に向かって徐々に移動して,排出口から連続的に排出され,
散薬収容器10の排出部13から排出され,秤量部23で秤量され終わった必要量の散薬は,給送装置25によって,散薬取り出し口29に向けて給送されて,散薬取り出し口29から取り出されたのち,配分・分割装置4によって所要量(1回服用分)ずつに分割されて,包装装置5に供給され,その投入口50に投入されて,包装装置5によってその1回服用分が1包となるように分包され,
散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給送装置25が配置され,散薬収容器10が配置される領域の下方に配分・分割装置4が配置され,その下方に包装装置5が配置され,
給送装置25は,電磁フィーダ等の振動フィーダによって構成することができ,
配分・分割装置4は,たとえば,1処方分の散薬を1回服用分の分量ずつに分割するものであり,湾曲面のテーブル上に配分された散薬を所望の分量ずつ切り出すように構成したものを使用することもできる,
散薬分包機。」
2.甲2
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲2には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,散薬供給装置に関し,詳しくは,ストックしている多くの散薬から適宜の散薬を散薬分包処理へ適量供給する散薬供給装置に関する。」
・「【0017】カセット収納ユニットCは,カセット収納ユニットBと同じ構造のユニットである。これらは,散薬の種類そして散薬カセットの必要数に対応して,必要なユニット数が左右に連結されるようになっている(図1参照)。・・・
【0018】散薬分包ユニットHには,各カセット30から計量等して取り出された散薬を均等に分割して包装するために,フィーダ60(振動フィーダ)と,散薬分包機70(分割装置)とが,設けられている(図1参照)。これにより,これらのユニットE,F,Hに関しては,散薬カセット30が分割装置の上方に配置されたものとなっている。
【0019】散薬分包機70は,その本体部71内に,断面が円弧状に窪んだ環状凹溝72を具えた回転体と,散薬の配分時に回転体を定速回転させるとともに散薬の分割時に分割数に応じた角度ずつ回転体を回動させる図示しない駆動装置とを具えている。また,散薬分包機70は,回転体の内側から環状凹溝上へ突き出して設けられた切出装置73も具えており,この切出装置73は,環状凹溝72の円弧状内側面に接触する円形の仕切板の側面に,所定幅の切出板が形成されたものであり,仕切板が環状凹溝72の円弧状内側面に治って1回転すると,切出板がその幅相当分に集められた散薬を環状凹溝72から切り出して包装装置のホッパ74に導入するようになっている(図1参照)。
【0020】また,散薬分包機70は,散薬の分割時に切出装置73を1回転ずつ繰り返し回転させるとともに,散薬の配分時には邪魔にならないよう切出装置73を上方へ退避させるようになった図示しない駆動装置も具えている。」
・「【0057】先ず,散薬分包機70を搭載している搭載板75を装置前方へ出来るだけ引き出す(図6(a)参照)。散薬分包機70がその一部であっても露出したならば,その露出したところについて,環状凹溝72の清掃等の作業を行う。そして,回転板76のロックを解除して,回転板76を適宜回転させながら,新たな露出部分についても同様の作業を継続する(図6(b)参照)。こうして,環状凹溝72等のうち引き出しただけでは露出しなかった部分に対しても容易に措置を施すことができるのである(図6(c)参照)。」
・図6には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000004.jpg]
3.甲3
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲3には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は振動供給装置に関するもので,詳しくは,医薬品のような粉粒材料等を供給するのに好適な振動供給装置に関するものである。」
・「【0014】図9及び図10は,本発明の振動供給装置により粉粒状材料,例えば医薬品等が収容される容器Tを示したものである。」
・「【0016】振動供給装置1は,上面に振動駆動部2を備えた振動駆動部本体3と,容器Tを振動駆動部2に搬入するためのトラフ容器搬入機構4を備えたアタッチメント33とからなり,振動駆動部本体3及びアタッチメント33は,基台8に支持されている。
・「【0035】容器Tが第2の姿勢にロックされて振動駆動部2が駆動開始され,これから振動力を受けると,容器T内で搬送されこの開口76から医薬品S等の粉粒状材料が徐々に下方に落下する。従って,開口76の下方に秤衡等を配置することにより,所定量の粉粒状材料を計量することができる。」
・図1,図4,図10には以下の内容が示されている。
[図:0001384201000005.jpg]
[図:0001384201000006.jpg]
[図:0001384201000007.jpg]
4.甲4
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲4には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は所定の粉粒体を自動的に排出する装置であって,粉粒体を収納する容器でありかつ直進型振動フィーダのホッパ部を構成する粉粒体容器と,この粉粒体容器の複数個を収納するロータリ型の粉粒体容器ストッカと,前記粉粒体容器の着脱が可能に構成された直進型振動フィーダ装置とから構成された自動粉粒体排出装置に関する。」
・「【0002】
【従来の技術】例えば薬剤の調合や顔料の調合等においては多種類の粉粒体をそれぞれ所定量計量する作業が前提となる。
・「【0007】
【作用】ロータリーストッカが回転することにより所定の粉粒体を充填してある粉粒体容器が最下部に位置し,この状態でロータリーストッカの背後に位置していた振動フィーダ装置が前進し,粉粒体容器の係止部を振動部材が係止する。振動フィーダ装置は更に前進することにより係止した粉粒体容器をロータリーストッカから抜き出し,この状態で所定の位置で装置を作動させる。振動フィーダ装置の振動により粉粒体容器内の粉粒体は排出され,所定量の粉粒体の排出が終了したならば振動フィーダ装置は後退し係止していた粉粒体容器をロータリーストッカに再度戻す。振動フィーダ装置は更に後退することにより粉粒体容器と振動フィーダ装置との係合状態は解除される。この作動を適宜行うことにより所定の粉粒体を全自動で所定量排出する。」
・「【0012】図3に示す振動フィーダ装置は前述の粉粒体容器を装着するように構成されている。」
・「【0016】ドラム14に対しては,側壁を成す周壁部に近接してその周方向に粉粒体容器収納筒16が複数個(図示の構成では12個)設けられ,各収納筒16にそれぞれ一個宛の粉粒体容器1がの軸心をドラム軸心と平行するようにして収納されるようになっている。」
・「【0021】
・・・ドラム14は,排出したい粉粒体を収納した粉粒体容器1が最低部に位置するようモータ21により回転されている。・・・」
・「【0022】
・・・粉粒体排出位置についた振動フィーダ10は振動を開始し容器本体1a内に収納されている粉粒体が排出パイプ4を経て排出される。・・・」
・図5には以下の内容が示されている
[図:0001384201000008.jpg]
5.甲5
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲5には,図面とともに以下の記載がある。
・「(産業上の利用分野)
本発明は,多品種の粉体試料を試料相互の汚染なく正確に秤量することができる粉体の自動秤量装置に関するものである。」(公報2ページ左上欄2~4行)
・「電子天秤5上の秤量カップ1内には,フィーダ付試料容器8,試料投入装置9,試料容器移載装置10からなる試料供給装置11により,秤量すべきフィーダ付試料容器8内の粉体試料を秤量カップ1内に少量ずつ供給して一定間隔で重量を測定することにより粉体の供給量を検知し,パイプレークユニットの振動を強弱しながら目標重量値を達成している。」(公報3ページ右上欄3~10行)
・「フィーダ付試料容器8は,第2図に仮想線で示す位置に傾動した試料投入装置9の容器クランプ機構14まで試料投入電磁フィーダからなるパイプレークユニット15上を試料容器移載装置10の駆動により搬送されて固定されるよう構成している。」(公報3ページ右上欄20行~左下欄5行)
・「フィーダ付試料容器8をバイブレータユニット15により振動すると,その振動に応じて容器本体21内の粉体試料が粉体供給口24を通ってフィーダ22の先端から秤量カップ1内に供給される。」(公報4ページ左上欄10~14行)
・第2図には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000009.jpg]
6.甲6
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲6には,図面とともに以下の記載がある。
・「〔産業上の利用分野〕
この発明は多数の錠剤フィーダを具えた薬剤分包機に関するものである。」(公報1ページ右下欄14~16行)
・「〔発明の目的〕
この発明は上記従来のもののもつ欠点を排除し,錠剤分包機に,錠剤の取扱いはもちろん散剤の取扱いにも適した補助分配装置を付設した薬剤分包機を提供することを目的とするものである。」(公報2ページ右上欄7~11行)
・「錠剤フィーダ1,1.・・・は上下に積層した棚4,4.・・・に複数個ずつ並置され,かつそれぞれ種類の異なった錠剤を排出可能に多数収容していて」(公報2ページ左下欄11~14行)
・「散剤を分包する場合は,環状回転体2または2を回動(たとえば21包の場合は180°)または回転(42包の場合)させながら散剤フィーダ14または14から区画室8,8.・・・に散剤を一括分配し」(公報3ページ左下欄1~5行)
・第1図には,以下の内容が図示されている。
[図:0001384201000010.jpg]
7.甲7
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲7には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,散薬分包機に用いられる散薬供給装置に関するものである。」
・「【0009】散薬収納庫20は,散薬をカセット21に収容して,このようなカセット21を散薬の種類に応じて多数具えたものであり,どのカセット21に収容された散薬でも分割包装機2の配分/分割装置3に配分するため,左右の配分/分割装置3a,3bに対応した供給位置40a,40bのいずれにもすべてのカセット21を移動させることのできる移動機構41を具えている。」
・「【0016】各カセット21のシャッタ27の正面には,データキャリア80が取り付けられ,このデータキャリア80には,そのカセット21の移動機構41上のアドレス,すなわち,循環経路における原点を基準としたアドレス,および,段のアドレスが書き込まれる他,そのカセツト21に収容した散薬の薬品名およびその散薬の重量が書き込まれるようになっている。このようなデータキャリア80に必要なデータを書き込み,読み取るリーダライタ81は,供給位置40a,40bに設けられている。あるカセット21が散薬供給のため移動機構41により所定の供給位置40に到達した際,その位置に設けられたリーダライタ81が,そのカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取ることによって,そのカセット21が所定のものに間違いないことを,散薬供給に先立って確認することができ,また,散薬供給が終わったら,供給前にデータキャリア80から読み取っておいた散薬の重量から,そのとき供給した散薬の秤量値を減じた値を,散薬の新たな重量として書き込むことによって,その後は,カセット21内の散薬の実際の重量をつねにデータキャリア80から読み取ることができるようになっている。
【0017】左右の供給位置40a,40bの中間には,収容してある散薬が不足したカセット21に散薬を補充するために,そのようなカセット21を散薬収納庫20から取り出すようになった取出位置90が設けられ,この取出位置90と供給位置40a,40bそれぞれとの間隔も,カセット21のピッチの整数倍となるように配置され,また,取出位置90に対応して取出装置91が設けられている。取出装置91は,取出位置90にあるカセット21を移動機構41の支持体43から離脱させたうえ,支持体43に代わってカセット21を保持して,散薬収納庫20の外方に設けた補充位置まで移動させ,この補充位置ではカセット21を離脱させることができるようになっている。また,取出装置91は,散薬補充後,補充位置でカセット21を保持して,取出位置90まで移動させたうえ,その位置にある支持体43にカセツト21を装着させるようになっている。
【0018】取出装置91には,カセット21を保持する際,そのカセット21のデータキャリア80に必要なデータを書き込み,読み取るリーダライタ92が設けられている。このリーダライタ92は,供給位置40a,40bに設けられたリーダライタ81と同様のものである。すなわち,あるカセット21が散薬補充のため移動機構41により取出位置90に到達し,これを取出装置91が保持する際,リーダライタ92が,そのカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取ることによって,そのカセット21が所定のものに間違いないことを,カセット21の取出および散薬補充に先立って確認することができるようになっている。また,散薬補充が終わって,移動機構41に再装着させるため,取出装置91がカセット21を再び保持する際,リーダライタ92が,そのカセット21のデータキャリア80からアドレスおよび薬品名を読み取ることによって,そのカセット21が所定のものに間違いないことを,再装着に先立って確認することができ,同時に,補充前にデータキャリア80から読み取っておいた散薬の重量に,補充した散薬の重量を加えた値を,散薬の新たな重量として書き込むことによって,その後は,カセット21内の散薬の実際の重量をつねにデータキャリア80から読み取ることができるようになっている。このように,リーダライタ92に複数のデータを一時的に保持させておくことにより,散薬の補充作業は,カセット21を1つ取り出し,補充し,再装着したのち,つぎのカセット21を取り出すというように1つずつ順番に行うのでなく,複数のカセット21をまとめて取り出し,補充し,再装着することができるものである。」
・図2には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000011.jpg]
8.甲8
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲8には,以下の記載がある。
・「〔産業上の利用分野〕
本発明は振動体ユニット及びこのユニットを用いた装置に関する。」(公報1ページ右下欄6~8行)
・「13は粉粒体用ホッパ等の被振動部材を取りつけるための取り付は板であり,振動ユニブト1の上部に固定しである。図示の構成では,装置全体を振動フィーダ(直進フィーダ)として使用するため,取り付は板13に対して粉粒体排出用のホッパ14を固定しである。このホッパ14は螺子等の固定手段や接着等の方法を用いて振動ユニット1に対して半永久的に固定する外,図示の如く着脱可能に取り付けるようにしてもよい。」(公報2ページ右下欄7~15行)
・「振動ユニット1及とその上に取り付けたホッパ19は荷重測定装置であるロードセル27上に載置固定されている。」(公報第3ページ左下欄20行~右下欄2行)
・「ホッパ19に充填した粉粒体26を順次排出する。排出された粉粒体はその真下に位置する容器18内に落下充填される。この粉粒体26の排出量はロードセル27により測定され,その減量分は常時制御装置21に入力される。制御装置21はその減量した量が予め入力してある量に達したならばスイッチ25を開として振動ユニットIBの作動を停止し,粉粒体の排出を停止する。」(公報3ページ右下欄19行~4ページ左上欄7行)
9.甲9
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲9には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0040】
メイン貯留部20は,図4(a)に示すように縦長の板材30を複数,周方向に並べて構成されるドラム31を有し,図4(b)に示すようにドラム31の外周面に錠剤を収容するためのカセット32を複数取り付けて構成されるものである。」
・「【0049】
上記したようにして開口アタッチメント41bや蓋アタッチメント41cを取り付けた状態とすると,フィーダ容器41の底側となる位置にタグ取付部47bが到来する。タグ取付部47bには,タグ49(情報記録媒体)が取り付けられている。本実施形態では,タグ49として,一般的にRFID(Radio Frequency Identification)タグやRFIDチップと称されるものが採用されている。タグ49には,フィーダ容器41の識別データや,フィーダ容器41内に収容される薬剤の種類をはじめとする様々なデータを送受信したり,データの更新や書き込みを行うことができる。
【0050】
また,図4(a),(c)に示すように,ドラム31の外側には,セット不良検知手段38が設けられている。セット不良検知手段38は,当接板38aとスイッチ38bとを備えている。セット不良検知手段38は,スイッチ38bがオン状態であるか否かに基づいてドラム31に対するカセット32の取り付け不良を検知可能な構成とされている。」
・「【0052】
図4(c)に示すように,ドラム31に対してカセット32を取り付けた状態において,ドラム31の回転に伴ってカセット32の端部が通過して形成される軌跡Jを想定した場合,当接板38aは,この軌跡Jよりもドラム31の径方向に僅かに離れた位置に端部が到来する位置に設置されている。そのため,ドラム31に対してカセット32がしっかりと装着されておらず,ドラム31の径方向外側に向いてせり出している場合は,ドラム31の回転に伴ってカセット32が当接板38aに当接し,当接板38aがヒンジ38cを中心として揺動する。これにより,当接板38aがスイッチ38bに当たってオン状態となり,カセット32の取り付け不良が検知される。」
・「【0140】
本実施形態の薬剤払出システム1では,上記したようにして各カセット32のフィーダ容器41に薬剤を充填してモータベース40にセットすると,モータベース40側に設けられたリーダライタ44を介してフィーダ容器41のタグ49と制御手段170とがデータ通信を行う。」
・図3及び図4(a)~(c)には以下の内容が示されている。
[図:0001384201000012.jpg]
[図:0001384201000013.jpg]
10.甲10
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲10には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
本発明は,薬剤包装装置,特に,清掃性に優れた薬剤包装装置に関するものである。」
・図2~図4には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000014.jpg]
[図:0001384201000015.jpg]
[図:0001384201000016.jpg]
11.甲11
本件特許の優先日前に日本国内において,頒布された刊行物である甲11には,図面とともに以下の記載がある。
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,薬剤包装装置に関するものである。」
・「【0024】掻出装置8は,従来周知の構成で(例えば,特開2000?85719号公報参照),各円盤の中心部に配設され,円盤の外周溝13内に収容した散薬を1包分ずつ掻き出して散薬包装部2へと落下させる。」
・図1,図2には,以下の内容が示されている。
[図:0001384201000017.jpg]
[図:0001384201000018.jpg]
第5.当審の判断
1.特許法第29条第2項について
(1)本件発明1について
ア.発明の対比
(ア)本件発明1と甲1発明とを対比すると,後者の「散薬分包機」は前者の「薬剤払出し装置」に相当し,以下同様に,「散薬収容器10」は「薬剤容器」に,「排出部13」は「薬剤排出部」に,「湾曲面のテーブル」は「分配皿」に,テーブルの「湾曲面」は散薬が配分されるから「薬剤投入溝」に,「包装装置5」は「薬剤包装装置」に,「移動機構26」は「容器移動手段」に,それぞれ相当する。
(イ)後者の「散薬取り出し装置1は,各種類の散薬を収容した複数の散薬収容器10」「を具え」るから,後者の「散薬取り出し装置1と,散薬取り出し装置1の散薬取り出し口29から取り出された散薬を所要量ずつに分割する配分・分割装置4と,分割された散薬を包装する包装装置5とから構成され」る「薬剤分包機」は,上記(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置」に相当する。
(ウ)後者の「各散薬収容器10は,任意の種類の散薬を充分大量にストックしておける内容積を有するストック部11と,ストックした散薬を少量ずつ排出させる排出部13と,・・・とから構成され」ることは,散薬収容器10が散薬を排出する排出部13を有しているといえることから,前者の「薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有」することに相当する。
(エ)後者の「散薬収容器10が配置される領域」は,前者の「薬剤棚部領域」に相当する。後者の「排出制御器20の秤量部23と給装装置25」と「配分・分割装置4」が配置される領域は,前者の「薬剤分割領域」に相当し,後者の「包装装置5が配置され」る領域は,前者の「薬剤包装領域」に相当する。
そうすると,後者の「散薬分包機は,散薬取り出し装置1と,散薬取り出し装置1の散薬取り出し口29から取り出された散薬を所要量ずつに分割する配分・分割装置4と,分割された散薬を包装する包装装置5とから構成され,」「散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給装装置25が配置され,散薬収容器10が配置される領域の下方に配分・分割装置4が配置され,その下方に包装装置5が配置され」ることは,上記(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,」「薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあ」ることに相当する。(オ)後者の「円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造と」したことは,上記(ア)(エ)の相当関係を踏まえると,前者の「薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ」ていることに相当する。
(カ)後者の「散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給装装置25が配置され,散薬収容器10が配置される領域の下方に配分・分割装置4が配置され,」「給送装置25は,電磁フィーダ等の振動フィーダによって構成することができ,」「配分・分割装置4は,たとえば,1処方分の散薬を1回服用分の分量ずつに分割するものであり,湾曲面のテーブル上に配分された散薬を所望の分量ずつ切り出すように構成したものを使用することもできる」ことと,前者の「薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させ,容器載置装置とが設けられ」ることとは,上記(ア)(エ)の相当関係を踏まえると,「薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられる分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤を排出させる装置とが設けられ」ることにおいて共通する。
(キ)上記(エ)の相当関係のとおり,後者の「包装装置5が配置され」る領域は,前者の「薬剤包装領域」に相当するから,上記(ア)の相当関係を踏まえると,前者の「薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ」ることに相当する。
(ク)後者の「湾曲面のテーブル」は配分・分割装置4の一部であるから,「湾曲面のテーブル」よりも上に「円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造と」したものが位置することは明らかである。
そうすると,後者の「散薬収容器10を円形に配置し,これらを,適宜の移動機構26によって,その円の中心のまわりに回転移動させるように構成し,その回転軌跡の一箇所に対応した位置に,排出制御器20を設置することができ,また,このような円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造とすることもでき,複層構造の散薬収容器10を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができ,必要な一部(1個または数個)の散薬収容器10だけを移動させることによっても,散薬収容器10の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能である」ことと,前者の「容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置」することとは,上記(ア)(エ)の相当関係を踏まえると,「容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を,容器保管装置から薬剤分割領域の装置に上下方向に薬剤容器を移動して対応し」ていることにおいて共通する。
(ケ)後者の「湾曲面のテーブル上に配分された散薬」は薬剤容器から排出された散薬であることは明らかであるから,後者の「配分・分割装置4は,」「湾曲面のテーブル上に配分された散薬を所望の分量ずつ切り出すように構成したものを使用することもでき」「配分・分割装置4によって所要量(1回服用分)ずつに分割されて,包装装置5に供給され,その投入口50に投入されて,包装装置5によってその1回服用分が1包となるように分包され」ることは,上記(ア)(エ)の相当関係を踏まえると,前者の「薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装し」ていることに相当する。
(コ)そうすると,両者は,
「薬剤容器から所定量の散薬を取り出し,これを所定の数に分割し,さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって,
薬剤容器は散薬を排出する薬剤排出部を有し,
前記薬剤払出し装置はその内部に,薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域とがあり,
薬剤棚部領域には複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管装置が設けられ,
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられる分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤を排出させる装置とが設けられ,
薬剤包装領域には,薬剤包装装置が設けられ,
薬剤棚部領域と,薬剤分割領域と,薬剤包装領域は,上下方向に配置されていて,上から薬剤棚部領域,薬剤分割領域,薬剤包装領域の順にあり,
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を,容器保管装置から薬剤分割領域の装置に上下方向に薬剤容器を移動して対応し,薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入し,掻出装置によって分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出して薬剤包装領域側に落下させ,薬剤包装装置によって薬剤を包装する,
薬剤払出し装置。」(以下<一致点1>という。)」
において一致し,以下の各点において相違すると認められる。
<相違点1>
薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられる分配皿と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,薬剤を排出させる装置とが設けられることに関して,本件発明1では,薬剤分割領域には,薬剤投入溝が設けられ「動力によって回転される分配皿」と,分配皿に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出す掻出装置と,「薬剤容器が載置される」と共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる「容器載置装置」とが設けられているのに対して,甲1発明では,湾曲面のテーブルが動力によって回転することの特定はなく,排出制御器20の秤量部23や給装装置25(振動フィーダ)に薬剤収容器10が載置されるとは特定されていない点。
<相違点2>
容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を,容器保管装置から薬剤分割領域の装置に上下方向に薬剤容器を移動して対応していることに関して,本件発明1では,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を「取り出して」,容器保管装置から薬剤分割領域の「容器載置装置に」上下方向に薬剤容器を移動して「載置」しており,さらに,「排出を終えた薬剤容器を容器移動手段によって薬剤棚部領域の容器保管装置に戻すことが可能であ」るのに対して,甲1発明では,「複層構造の散薬収容器10を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができ,必要な一部(1個または数個)の散薬収容器10だけを移動させることによっても,散薬収容器10の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能である」だけにとどまる点。
<相違点3>
本件発明1では,「容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっている」のに対して,甲1発明では,そのような特定はなされていない点。
イ.相違点の判断
事案に鑑み,相違点2について検討する。
甲1発明は,前述したように,「複層構造の散薬収容器10を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができ,散薬収容器10の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能である」ものの,「円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造と」した保管装置から移動機構26によって所定の散薬収容器10を取り出すことは記載されておらず,また,排出を終えた薬剤収容器10を移動機構26によって前記保管装置に戻すことも記載されていないし,甲2~11の記載事項を検討しても,「容器移動手段によって,容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出」すことも戻すことも,何ら記載されていない。
よって,甲1発明に甲2~11の記載事項を適用したとしても,相違点2に係る本件発明1の構成とはなりえない。
ここで,申立人は,甲3~5の記載に基づいて,「薬剤装置が載置されると共に薬剤容器に作用して薬剤容器から薬剤を排出させる容器載置装置」を周知・慣用の技術的事項(以下「周知技術」という。)であると主張するが,甲1発明に周知技術を適用したとしても,相違点2に係る本件発明1の構成とはなりえない。
したがって,その他の相違点を検討するまでもなく,本件発明1は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2について
ア.発明の対比
本件発明2と甲1発明とを対比すると,両者は,上記<一致点1>と同様の一致点(「本件発明1」を「本件発明2」としたもの)において一致し,上記<相違点1>~<相違点3>と同様の相違点(「本件発明1」を「本件発明2」としたもの)に加えて,以下の<相違点4>において相違する。
<相違点4>
本件発明2では「容器保管装置は略水平方向に回転する縦型のドラム部材を有し,当該ドラム部材の外周面に複数の容器設置部があり,」「容器移動手段から容器保管装置に薬剤容器が受け渡されるものであり,当該受け渡しの際に,ドラム部材を回動させ,容器移動手段は,ドラム部材の回動方向と反対方向に薬剤容器を回動させて薬剤容器の一面をドラム部材の一部に対向させ,その後,容器移動手段によって薬剤容器をドラム部材側に移動させて容器保管装置に薬剤容器を受け渡す」ものであるのに対して,甲1発明では,「散薬収容器10を円形に配置し,これらを,適宜の移動機構26によって,その円の中心のまわりに回転移動させるように構成し,その回転軌跡の一箇所に対応した位置に,排出制御器20を設置することができ,また,このような円形配置の散薬収容器10を,上下に複層構造とすることもでき,複層構造の散薬収容器10を,一体的に上下移動(および回転移動)可能に構成することによって,単一の排出制御器20に対して,複層構造の任意の散薬収容器10を対応させることができ,必要な一部(1個または数個)の散薬収容器10だけを移動させることによっても,散薬収容器10の任意のものと,排出制御器20とを選択的に対応させることが可能であ」る点。
イ.相違点の判断
上記(1)イ.において検討したのと同様の理由により,相違点4について検討するまでもなく,本件発明2は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明3について
ア.発明の対比
本件発明3と甲1発明とを対比すると,両者は,上記<一致点1>と同様の一致点(「本件発明1」を「本件発明3」としたもの)において一致し,上記<相違点1>~<相違点3>と同様の相違点(「本件発明1」を「本件発明3」としたもの)に加えて,以下の<相違点5>において相違する。
<相違点5>
本件発明3では「薬剤容器には内蔵する薬剤に関する情報を記録又は記載した情報記録部材が設けられ,薬剤棚部領域及び薬剤分割領域は筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり,前記扉部又はその近傍に薬剤容器仮置部があり,薬剤容器仮置部に情報読み取り手段が設けられている」のに対して,甲1発明では,そのような特定はなされていない点。
イ.相違点の判断
上記(1)イ.において検討したのと同様の理由により,相違点5について検討するまでもなく,本件発明3は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明4について
ア.発明の対比
本件発明4と甲1発明とを対比すると,両者は,上記<一致点1>と同様の一致点(「本件発明1」を「本件発明4」としたもの)において一致し,上記<相違点1>~<相違点3>と同様の相違点(「本件発明1」を「本件発明4」としたもの)に加えて,以下の<相違点6>において相違する。
<相違点6>
本件発明4では「複数の重量測定手段を有し,そのうちの一つが容器載置装置に設けられており,薬剤容器から散薬を排出し,且つ薬剤容器の重量を容器載置装置に設けられた重量測定手段で測定し,その後に当該容器載置装置の重量測定手段以外の重量測定手段によって,再度薬剤容器の重量を測定する二重計測工程を行う」のに対して,甲1発明では,「散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給送装置25が配置され」ている点。
イ.相違点の判断
上記(1)イ.において検討したのと同様の理由により,相違点6について検討するまでもなく,本件発明4は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)本件発明5について
ア.発明の対比
本件発明5と甲1発明とを対比すると,両者は,上記<一致点1>と同様の一致点(「本件発明1」を「本件発明5」としたもの)において一致し,上記<相違点1>~<相違点3>と同様の相違点(「本件発明1」を「本件発明5」としたもの)に加えて,以下の<相違点7>において相違する。
<相違点7>
本件発明5では「複数の重量測定手段を有し,薬剤容器を一つの重量測定手段で測定し,その後に容器移動手段によって薬剤容器を他の重量測定手段に載せ替えて再度薬剤容器の重量を測定する検定動作を実施可能である」のに対して,甲1発明では「散薬収容器10が配置される領域の下方に排出制御器20の秤量部23と給送装置25が配置され」ている点。
イ.相違点の判断
上記(1)イ.において検討したのと同様の理由により,相違点7について検討するまでもなく,本件発明5は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)本件発明6について
ア.発明の対比
本件発明6と甲1発明とを対比すると,両者は,上記<一致点1>と同様の一致点(「本件発明1」を「本件発明6」としたもの)において一致し,上記<相違点1>~<相違点3>と同様の相違点(「本件発明1」を「本件発明6」としたもの)に加えて,以下の<相違点8>において相違する。
<相違点8>
本件発明6では「全体又は一部が筐体で覆われ,当該筐体には扉部があって内部に薬剤容器を出し入れすることが可能であり,前記扉部又はその近傍に薬剤容器仮置部があり,薬剤容器仮置部は,薬剤容器の一部と係合する係合レバーと,出没可能な保持部材とを有し,保持部材は係合レバーと連動し,薬剤容器が薬剤容器仮置部に載置されると係合レバーが薬剤容器の重量によって押し下げられ,保持部材が薬剤容器を保持可能な位置に出現する」のに対して,甲1発明では,そのような特定はなされていない点。
イ.相違点の判断
上記(1)イ.において検討したのと同様の理由により,相違点8について検討するまでもなく,本件発明6は,甲1発明,甲2~11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)本件発明7~38について
本件発明7~38は,本件発明1~6のいずれかの発明特定事項をすべて含み,さらに発明特定事項を付加して限定したものであるから,本件発明1~6に対して上記(1)~(6)で述べたのと同じ理由により,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,本件発明7~38は,甲1発明,甲2~甲11の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2.特許法第36条第6項第1号について
(1)特許請求の範囲の記載が,サポート要件に適合するか否かは,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。
(2)まず,本件発明1~38は,本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。
(3)本件明細書の段落【0009】には,「そこで本発明は,薬剤棚部領域から必要な薬剤容器を選び出す作業を自動的に実施することができる薬剤払出し装置を提供するものであり,且つ占有面積が小さくて実用性の高い薬剤払出し装置の開発を課題とするものである。」と記載されている。
そうすると,本件発明は,
a.薬剤棚部領域から必要な薬剤容器を選び出す作業を自動的に実施することができ,
b.占有面積が小さくて実用性の高い薬剤払出し装置
を課題としているといえる。
そして,独立請求項である本件発明1~本件発明6は,「容器移動手段が設けられ,容器移動手段によって,薬剤棚部領域に位置し,分配皿より上に位置する容器保管装置から所定の薬剤容器を取り出して,容器保管装置から薬剤分割領域の容器載置装置に上下方向に薬剤容器を移動して載置」するという構成を含むから,上記a.の課題を解決するものであり,また,本件発明1~6は,「容器保管装置は,上下方向において分配皿と重なっていること」という構成を含むから,上記b.の課題を解決するものである。
また,本件発明7~38は,本件発明1~6のいずれかの発明特定事項をすべて含み,さらに発明特定事項を付加して限定したものであるから,上記a.及びb.の課題を解決していることは明らかである。
(4)そうすると,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,特許請求の範囲に記載された発明が,発明の詳細な説明に記載された発明で,発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえるから,特許請求の範囲の記載が,サポート要件に適合するといえる。
(5)したがって,本件発明1~38は,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。
(6)申立人の主張について
申立人は,特許異議申立書において,令和2年12月11日付けの意見書によれば,「仮に薬剤容器から散薬が零れた場合でも,薬剤包装装置に散薬が混入することを防ぐことができる」ことを本件発明の課題であるとして,本件発明1~38は,当該課題を解決できないから,本件発明1~38は,発明の詳細な説明を記載した範囲を超えて特許を請求するものであり,特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たさない旨主張する。
しかしながら,本件発明1~38は特許明細書の発明の詳細な説明に記載された課題を解決できると認識できる範囲のものであることは前述したとおりである。そして,明細書に記載のない,意見書で新たに主張された課題を解決することまで,特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)として求められているわけではない。
よって,申立人の上記主張は,採用することができない。
第6.むすび
したがって,本件発明1~38に係る特許は,特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては,取り消すことができない。
また,他に本件発明1~38に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり決定する。
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2021-700901