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特許異議申立

2020-700511

ステアリングホイール

審判番号
2020-700511
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-063483外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年07月21日
審決日
2021年06月22日
公報発行日
2021年09月24日
結論
訂正認容
審判長/審判官
分類
P1651.121-YAA(B62D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第126条第7項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第5項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6637665号発明「ステアリングホイール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6637665号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-13〕について訂正することを認める。 特許第6637665号の請求項1~13に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6637665号の請求項1~13に係る特許についての出願は、平成27年3月25日(優先権主張 平成26年9月24日)に出願され、令和1年12月27日にその特許権の設定登録がされ、令和2年1月29日に特許掲載公報が発行された。 その後、その請求項1~13に係る特許について、令和2年7月21日に特許異議申立人佐藤義光(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年11月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和3年1月13日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年3月11日付けで特許異議申立人に対して訂正請求があった旨を通知(特許法第120条の5第5項)して意見を求めたが、その指定期間内に意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和3年1月13日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6637665号(以下「本件特許」という。)の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを請求するものであり、その内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置し、前記ダンパは、前記乗物の車体側から前記ステアリングホイールに伝達される振動を前記エアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成している、」と記載されているのを、 「前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置し、前記ダンパは、前記乗物の車体側から前記ステアリングホイールに伝達される振動を前記エアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成しており、 前記ホーンプレートは、前記複数の開口部が形成された平面部に前記リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている、」に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~13も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項10に、 「前記樹脂層は、前記突出部を収容する凹部を有している、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。」と記載されているのを、 「前記ホーンプレートは、前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層を有し、該樹脂層は、前記突出部を収容する凹部を有している、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。」に訂正する。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0018】の2箇所に、「開口部43」と記載されているのを、それぞれ「挿通孔43」に訂正する。 また、本件訂正請求は、一群の請求項1~13に対して請求されたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否等 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否 訂正前の請求項1には、「前記ホーンプレートは前記軸部材に沿って移動可能に構成されており、前記エアバッグモジュールは前記ホーンプレートに固定されており、」と記載されているが、その「固定」する手段については具体的に特定されていないところ、訂正事項1は、請求項1の「前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置」する構成の「前記ホーンプレート」について、「エアバッグモジュール」を「ホーンプレート」に「固定」する手段に関する構成を具体的に特定して限定するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。さらに、特許請求の範囲又は図面を併せたものを「本件明細書等」という。)の段落【0018】の「かかるエアバッグモジュール3は、例えば、スナップイン構造によりホーンプレート4に固定される。したがって、リテーナ31の底部には、ホーンプレート4に形成された開口部43に挿入される爪部33が形成されている。爪部33は、軸部と返し部とを備え、返し部をホーンプレート4の開口部43に挿入すると、ホーンプレート4に配置された屈曲バネ45が返し部とリテーナ31の底面との間に係止される。」(下線は当審が付した。以下同様である。「開口部43」は、「挿通孔43」の誤記と認める。後述(3)も参照。)という記載、同【0019】の「ホーンプレート4は、例えば、図2に示したように、・・・ホーンプレート4の平面部には、三角形の頂点を形成する位置に三つの開口部41が形成され、左右の位置に二つの挿通孔43が形成されている。開口部41にはダンパ5が配置され、挿通孔43にはエアバッグモジュール3の爪部33が挿入される。」という記載、同【0024】の「挿通孔43及び屈曲バネ45によりスナップイン構造が形成される。エアバッグモジュール3の爪部33が挿通孔43に挿入されると、屈曲バネ45が矢印方向に押し退かれてスライドし、爪部33の返し部を超えると屈曲バネ45が復元し、爪部33がホーンプレート4に固定される。」という記載、及び、図1、図2の記載を総合すると、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 独立特許要件 本件では、訂正前の全ての請求項1~13について特許異議の申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1による訂正に関して、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否 訂正前の請求項1及び5には、「樹脂層」が記載されておらず、訂正前の請求項10は、訂正前の請求項1を引用する請求項5を引用するものであって、訂正前の請求項10の「前記樹脂層」は「前記」に対応する構成が存在していないため明確でないところ、訂正事項2は、訂正前の請求項10の「前記樹脂層」という明確でない記載を、明確にするための訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であると共に、訂正事項2は、訂正前の請求項10の「樹脂層」を、「前記ホーンプレート」が「有し」ている、「前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層」に限定する訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正である。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 訂正前の特許請求の範囲の請求項3の「前記ホーンプレートは、前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層を有し、前記ダンパは、前記樹脂層と前記軸部材に挿通されたブッシュとの間に配置される、」という記載、本件明細書の段落【0021】の「また、ホーンプレート4は、開口部41の縁部並びに縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層44を有している。」という記載、及び、同【0040】の「図5(C)に示した第四実施形態は、ホーンプレート4の表面に形成された樹脂層44に、ダンパ5を収容する凹部44dを形成したものである。」という記載を総合すると、訂正事項2は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 ウ 独立特許要件 訂正事項2による訂正は、上記アのとおり、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であり、かつ、同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であって、上記(1)ウと同様のことが該当するから、訂正事項2による訂正に関して、特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的の適否 訂正事項3は、本件明細書の段落【0018】の2箇所に、「開口部43」と記載されているのを、それぞれ「挿通孔43」に訂正して、「開口部」という誤記を訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とする訂正である。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 願書に最初に添付した明細書(以下「本件当初明細書」という。さらに、特許請求の範囲又は図面を併せたものを「本件当初明細書等」という。)の段落【0018】には、「リテーナ31の底部には、ホーンプレート4に形成された開口部43に挿入される爪部33が形成されている。爪部33は、軸部と返し部とを備え、返し部をホーンプレート4の開口部43に挿入すると、ホーンプレート4に配置された屈曲バネ45が返し部とリテーナ31の底面との間に係止される。」と記載されているところ、同【0019】には、「ホーンプレート4は、例えば、図2に示したように、・・・ホーンプレート4の平面部には、三角形の頂点を形成する位置に三つの開口部41が形成され、左右の位置に二つの挿通孔43が形成されている。開口部41にはダンパ5が配置され、挿通孔43にはエアバッグモジュール3の爪部33が挿入される。」、同【0024】には、「挿通孔43及び屈曲バネ45によりスナップイン構造が形成される。エアバッグモジュール3の爪部33が挿通孔43に挿入されると、屈曲バネ45が矢印方向に押し退かれてスライドし、爪部33の返し部を超えると屈曲バネ45が復元し、爪部33がホーンプレート4に固定される。」と記載されていることに併せて図1、2を参照すると、同【0018】の2箇所に記載されている「開口部43」は、「挿通孔43」の誤記であることが明らかであるから、当該誤記を訂正する訂正事項3による訂正は、本件当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 3 まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、同第2号に掲げる「誤記の訂正」、及び、同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~13について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~13に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明13」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 乗物の舵角を操作するステアリングホイールにおいて、 前記ステアリングホイールの骨格を形成する芯金と、 前記ステアリングホイールの中央部に配置されるエアバッグモジュールと、 前記芯金の表面に立設された複数の軸部材にそれぞれ挿通される複数の開口部を備えた一枚のみからなるホーンプレートと、 前記軸部材と前記開口部との間に配置されたダンパと、 前記芯金に配置された固定接点と前記ホーンプレートに配置された可動接点とにより構成されたホーンスイッチ機構と、を備え、 前記ホーンプレートは前記軸部材に沿って移動可能に構成されており、前記エアバッグモジュールは前記ホーンプレートに固定されており、 前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置し、前記ダンパは、前記乗物の車体側から前記ステアリングホイールに伝達される振動を前記エアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成しており、 前記ホーンプレートは、前記複数の開口部が形成された平面部に前記リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている、 ことを特徴とするステアリングホイール。 【請求項2】 前記ホーンプレートは、前記軸部材及び前記ダンパを介して前記芯金に取り付けられており、ステアリングアッセンブリの一部品を構成している、ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。 【請求項3】 前記ホーンプレートは、前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層を有し、前記ダンパは、前記樹脂層と前記軸部材に挿通されたブッシュとの間に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。 【請求項4】 前記ホーンプレートは、前記芯金との間に配置されたコイルスプリングによって前記芯金から離隔する方向に付勢されており、前記コイルスプリングは、前記樹脂層又は前記ブッシュに係止されている、ことを特徴とする請求項3に記載のステアリングホイール。 【請求項5】 前記ダンパは、前記軸部材と前記開口部との間に配置される略円筒形状の胴部と、前記ホーンプレートの表面に接触可能に形成された突出部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。 【請求項6】 前記突出部は、前記胴部に対してフランジ状に形成されている又は前記胴部から部分的に放射状に張り出すように形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。 【請求項7】 前記胴部は、内面又は外面に前記ダンパの制振周波数を調整するための複数の突起部又は窪み部を有している、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。 【請求項8】 前記胴部と前記突出部とは、一体に形成されている又は別部品として構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。 【請求項9】 前記ダンパは、前記ホーンプレートの裏面に係止可能な係止部を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。 【請求項10】 前記ホーンプレートは、前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層を有し、該樹脂層は、前記突出部を収容する凹部を有している、ことを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイール。 【請求項11】 前記樹脂層又は前記ブッシュは、前記ダンパとの接触部に前記ダンパの制振周波数を調整するための複数の突起部を有している、ことを特徴とする請求項3に記載のステアリングホイール。 【請求項12】 前記エアバッグモジュールは、スナップイン構造によって前記ホーンプレートに固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。 【請求項13】 前記ダンパは、前記軸部材が挿通される開口部の端部に形成されたテーパ面を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由 1 取消理由の概要 本件訂正前の請求項1~13に係る特許に対して、当審が令和2年11月10日付けの取消理由通知書で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 [取消理由1] 本件特許の請求項1~13に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、請求項1~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 [取消理由2] 本件の請求項10に係る特許は、その特許請求の範囲の請求項10の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 [刊行物一覧] 1:特開平10-244946号公報 2:特開2012-158236号公報 3:特開2011-110941号公報 4:特開2009-202859号公報 5:特開2011-195048号公報 6:特開2009-274606号公報 上記1~6の刊行物(以下それぞれ「引用文献1~6」という。)は、特許異議申立人が提出した、甲第1~6号証であり、上記取消理由1は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由を採用したものである。 第5 当審の判断 第5の1 取消理由1について 取消理由1は、上記第4で述べたとおり、取消理由通知に記載した取消理由であり、かつ、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由である。 1 引用文献 1-1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。 (1a) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ホーンスイッチ機構を備えたステアリングホイールに関する。 ・・・ 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成では、両側のホーンプレートは、それぞれ複数のボルトによりエアバッグ装置に固定されるため、部品点数が増加するとともに組立作業が煩雑になり、製造コストの低減が困難になる問題を有している。 【0004】本発明は、このような点に鑑みなされたもので、スイッチ機構を備えるとともに製造コストを低減できるステアリングホイールを提供することを目的とする。」 (1b) 「【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明のステアリングホイールの一実施の形態を図面を参照して説明する。 【0014】図1ないし図3において、1は自動車(車両)のステアリングホイールで、このステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2と、このステアリングホイール本体2の乗員側となる上側に装着されたパッド体としてのエアバッグ装置(エアバッグモジュール)4となどから構成されている。なお、以下、エアバッグ装置4の乗員側すなわち正面側を上側、ステアリングシャフト側を下側として説明するが、ステアリングホイール1は、通常傾斜した状態で車両に備えられるステアリングシャフトに装着され、車両の前側すなわちフロントガラス側は上側に向かい、車両の後側(乗員の手前側)が下側に向かうようになっている。 【0015】そして、ステアリングホイール本体(BODY STRG WHEEL)2は、円環状をなすリム部(リング部)5と、このリム部5の内側に位置するボス部6と、これらリム部5とボス部6とを連結する複数の、本実施の形態では4本のスポーク部7とから構成されている。また、ボス部6の車体側となる下部には、ステアリングシャフトに嵌着される金属を切削形成などしたボス8が設けられているとともに、このボス8に、芯金を構成するボスプレート9がアルミダイカストで鋳ぐるむなどして一体的に固着されている。そして、このボスプレート9から、スポーク部7の芯金7aが一体に延設され、あるいは溶接などして固着されている。さらに、このスポーク部7の芯金7aに、リム部5の芯金5aが溶接などして固着されている。また、これらリム部5の芯金5aの外周部と、スポーク部7の芯金7aのリム部5側の部分の外周部とには、軟質の発泡ポリウレタンなどからなる表皮部10が形成されている。 【0016】また、ボス部6には、樹脂製の下部カバー11が取り付けられ、ボス部6の下側部が覆われている。そして、この下部カバー11には、ステアリングシャフトが挿通するとともに車体側とステアリングホイール1側とを電気的に接続するクロックスプリングなどの電気的な接続装置が配置される中央開口部11aが形成されている。また、この下部カバー11の後側部には、後部開口部11bが形成されているとともに、この後部開口部11bは、蓋体12により開閉可能に覆われている。さらに、この下部カバー11の上面からは、上側に向かって複数の円筒状の取付ボス11dが一体に突設されている。 【0017】さらに、このステアリングホイール本体2には、ホーンスイッチ機構が設けられ、このホーンスイッチ機構を介してエアバッグ装置4が取り付けられている。 【0018】そして、エアバッグ装置4は、金属板などからなるベースプレート14を備え、このベースプレート14の上側から、図示しない袋状のエアバッグおよび樹脂製のカバー体17などを取り付ける一方、ベースプレート14の下側から、ガスを噴射するインフレータ18などを取り付けて構成されている。そして、自動車が衝突した際などには、インフレータ18からからエアバッグの内部に窒素ガスなどの不活性ガスが急速に噴射され、折り畳まれて収納されたエアバッグが急激に膨張する。すると、このエアバッグの膨張の圧力により、カバー体17が所定の形状に開裂してエアバッグの突出口が形成され、この突出口からエアバッグが突出して乗員の前面に膨張展開し、乗員を保護するようになっている。 【0019】また、ベースプレート14には、平板状の基板部14aと、この基板部14aの外周部から下方に略筒状に延設された周板部14bとが形成され、基板部14aには、エアバッグおよびインフレータ18などがボルトなどを用いて取り付けられるとともに、周板部14bには、カバー体17が嵌合しリベットなどを用いて固定される。 【0020】そして、周板部14bには、前側部に位置して、両側方向を長手方向とするスリット状の係合受部14cが形成されている。さらに、周板部14bには、後側部の中央部が下方に延設され、固定片部14dが形成されているとともに、この固定片部14dに形成した円孔14eの内側に位置して、固定部としてのナット19が固着されている。そして、このナット19の軸方向は、後方、すなわちステアリングホイール1をステアリングシャフトに装着した状態で、後側下方に向かうように形成されている。 【0021】また、ホーンスイッチ機構は、図1、図2および図4に示すように、ホーンプレート31と、このホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32、上部スペーサ33、下部スペーサ34、付勢手段としてのスプリング体35などを備えている。 【0022】そして、ホーンプレート31は、平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31aと、この平板部31aの外周の縁部に沿って上側に突設された筒状のフランジ部31bと、前側のフランジ部31bから上側に延設された係合部としての係合片31cと、後側のフランジ部31bから上側に延設された固着部としての取付片部31dとが、金属板を打ち抜き折曲などして一体に形成されている。また、係合片31cは、上端部が前側に向かって屈曲され、断面略L字状をなしている。さらに、取付片部31dは上端部が後側に向かって傾斜するように折曲されているとともに、円孔31eが形成されている。さらに、平板部31aの四隅の角部の近傍には、それぞれ円孔状の支持孔31fが形成されている。また、図示しないが、このホーンプレート31には、ねじなどを用いてホーンコードの圧着端子が電気的および機械的に接続されている。 【0023】また、段付ボルト32は、ねじ部32aと、このねじ部32aの上側に連続するねじ部32aより径大な円柱状なす中間部32bと、この中間部32bの上側に連続し中間部32bより径大な頭部32cとを備えている。 【0024】そして、上下のスペーサ33,34は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂にて一体に形成され、上部スペーサ33は、円環状部33aと、この円環状部33aの内周縁から下側に突設された筒状部33bとを備え、下部スペーサ34は、筒状部33bの外周に嵌合する円環状に形成されている。 【0025】一方、ステアリングホイール本体2のボス部6のボスプレート9には、各ホーンプレート31の支持孔31fの位置に対応して、4箇所に取付座41が一体または別体に形成され、各取付座41には、それぞれねじ孔41aが形成されている。さらに、各取付座41に隣接して、それぞれ導電性の良好な部材などを用いて固定接点43が形成されている。 【0026】さらに、ボスプレート9あるいはスポーク部7の芯金7aの複数か所には、上下方向に貫通する通孔45が複数形成されている。そして、これら通孔45に上側から挿入されるねじ46により、ボス部6の下側に下部カバー11が取り付けられる。 【0027】そして、このホーンスイッチ機構は、ホーンプレート31の各支持孔31fに上下から上下のスペーサ33,34を装着し、この上部スペーサ33の内側に、上側から段付ボルト32を摺動自在に挿入する。さらに、上部スペーサ33の筒状部33bの外側にスプリング体35を嵌合した状態で、段付ボルト32のねじ部32aを取付座41のねじ孔41aに螺合する。この状態で、ホーンプレート31は、ボスプレート9から絶縁された状態で、かつ、段付ボルト32で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持される。また、ホーンプレート31のホーンコードは、ケーブル用リール装置などに接続され、ホーンスイッチ機構が構成される。 【0028】また、ホーンプレート31にエアバッグ装置4を取り付ける際は、ホーンプレート31の係合片31cを、ベースプレート14の係合受部14cに挿入して係止するとともに、ベースプレート14を回動して、固定片部14dの円孔14eを取付片部31dの円孔31eに位置合わせする。この状態で、取付片部31dの円孔31eの外側から、固着手段としてのボルト(TORXBOLT)51を挿入し、締付工具52を用い、ナット19に螺合して締め付けることにより、ベースプレート14の固定片部14dがホーンプレート31の取付片部31dに固着され、ホーンプレート31にエアバッグ装置4が取り付けられる。 【0029】そして、このように組み立てられたステアリングホイール1は、エアバッグ装置4に力が加わっていない状態では、スプリング体35の付勢力により、エアバッグ装置4を支持するホーンプレート31は、上部スペーサ33が段付ボルト32の頭部32cに当接する位置まで上側に押し上げられ、このホーンプレート31が固定接点43から離間した状態に支持される。 【0030】一方、エアバッグ装置4を押動した状態で、ホーンプレート31が押し下げられて固定接点43に接触すると、バッテリのマイナス端子、ステアリングシャフト、ボス8、ボスプレート9、固定接点43、ホーンプレート31の平板部31a、ホーンコード、接続装置、車体側のホーン装置の順でホーンスイッチ機構の回路が閉成され、ホーンが吹鳴されるようになっている。 【0031】そして、本実施の形態のステアリングホイール1によれば、エアバッグ装置4は、ホーンプレート31の係止片31cをベースプレート14の係合受部14cに係止するとともに、取付片部31dの円孔31eを介して固定片部14dのナット19に1個のボルト51を螺合するのみでホーンプレート31に固定できる。そこで、ボルトなどの固着手段などの部品点数を削減できるととともに、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。」 (1c) 図1~4は以下のとおりである。 (2)引用文献1に記載された発明 摘記(1c)の図2から、ステアリングホイール1の中央部に配置されたエアバッグ装置4が看取できる。 このことと、摘記(1b)及び図1~4(摘記(1c))から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考として、摘記箇所に対応する段落番号を示す。)。 [引用発明] 「自動車のステアリングホイール1は、ステアリングホイール本体2と、ステアリングホイール1の中央部に配置されステアリングホイール本体2の乗員側となる上側に装着されたエアバッグ装置(エアバッグモジュール)4などから構成され、【0014】 ステアリングホイール本体2は、円環状をなすリム部5と、リム部5の内側に位置するボス部6と、リム部5とボス部6とを連結する複数のスポーク部7とから構成され、ボス部6の下部には、ボス8が設けられ、ボス8に芯金を構成するボスプレート9が一体的に固着され、ボスプレート9から、スポーク部7の芯金7aが一体に延設され、スポーク部7の芯金7aに、リム部5の芯金5aが固着され、【0015】 ステアリングホイール本体2のボス部6のボスプレート9には、4箇所に取付座41が一体または別体に形成され、各取付座41には、それぞれねじ孔41aが形成され、各取付座41に隣接して、固定接点43が形成され、【0025】 ステアリングホイール本体2には、ホーンスイッチ機構が設けられ、【0017】 ホーンスイッチ機構は、ホーンプレート31と、ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32、上部スペーサ33、下部スペーサ34、付勢手段としてのスプリング体35nなどを備え、【0021】 ホーンプレート31は、平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31aと、平板部31aの外周の縁部に沿って上側に突設された筒状のフランジ部31bと、前側のフランジ部31bから上側に延設された係合片31cと、後側のフランジ部31bから上側に延設された取付片部31dとが、金属板を打ち抜き折曲して一体に形成され、平板部31aの四隅の角部の近傍には、それぞれ円孔状の支持孔31fが形成され、【0022】 段付ボルト32は、ねじ部32aと、ねじ部32aの上側に連続するねじ部32aより径大な円柱状なす中間部32bと、中間部32bの上側に連続し中間部32bより径大な頭部32cとを備え、【0023】 上下のスペーサ33,34は、それぞれ絶縁性を有する合成樹脂にて一体に形成され、上部スペーサ33は、円環状部33aと、円環状部33aの内周縁から下側に突設された筒状部33bとを備え、下部スペーサ34は、筒状部33bの外周に嵌合する円環状に形成され、【0024】 ホーンスイッチ機構は、ホーンプレート31の各支持孔31fに上下から上下のスペーサ33,34を装着し、上部スペーサ33の内側に、上側から段付ボルト32を摺動自在に挿入し、上部スペーサ33の筒状部33bの外側にスプリング体35を嵌合した状態で、段付ボルト32のねじ部32aを取付座41のねじ孔41aに螺合し、ホーンプレート31は、ボスプレート9から絶縁された状態で、かつ、段付ボルト32で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持され、ホーンプレート31が押し下げられてボスプレート9に形成されている固定接点43【0025】に接触するとホーンが吹鳴され、【0027】【0030】 エアバッグ装置4は、ベースプレート14を備え、ホーンプレート31の係止片31cをベースプレート14の係合受部14cに係止するとともに、ホーンプレートの31取付片部31dの円孔31eを介してベースプレート14の固定片部14dのナット19に1個のボルト51を螺合するのみでホーンプレート31に固定して取り付けられる、【0018】【0028】【0031】 自動車のステアリングホイール1。」 1-2 引用文献2について (1)引用文献2に記載された事項 引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (2a) 「【0001】 本発明は、例えば自動車に備えられエアバッグ装置を有するハンドルに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、例えば自動車などの車両において、円環状をなすリム部と、このリム部の内側に位置しエアバッグ装置が取り付けられたボス部と、これらリム部とボス部とを連結する複数のスポーク部とを備えたハンドルが用いられている。そして、このようなハンドルとして、エアバッグ装置をハンドルの軸方向及び軸直角方向に弾性的に支持することで、このエアバッグ装置をダンパーマスとして利用し、エンジンの振動あるいは路面からの振動などが伝わることによるハンドルの振動を低減するダイナミックダンパーを構成したものが知られている。この構成では、ボス部の内側に配置されたホルダとエアバッグ装置とのいずれか一方に弾性を有する部材により形成された円筒状の弾性体としてのダンパースプリングが取り付けられているとともに、ホルダとエアバッグ装置との他方に、ダンパースプリングが外周に嵌着されてこのダンパースプリングを受けるボビン状の受け部材が取り付けられている。特に、ダンパースプリングの軸方向の端部に突起を突設し、この突起の先端を受け部材側に接触させることで、ダイナミックダンパーの特性をより向上した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。」 (2b) 「【0021】 図1及び図3において、10は例えば自動車のハンドルを示し、このハンドル10は、ステアリングホイールとも呼ばれ、ハンドル本体11と、このハンドル本体11の乗員側に取り付けられたエアバッグ装置12と、このエアバッグ装置12をハンドル本体11に対して弾性的に支持する例えば複数のダンパー部13などから構成されている。」 (2c) 「【0024】 また、エアバッグ装置12は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、ダンパー部13とともにダイナミックダンパーを構成するダンパーマスであり、金属板などからなる保持部である第1及び第2のリテーナ31,32、これら第1及び第2のリテーナ31,32に取り付けて保持される袋状のエアバッグ33、樹脂製のカバー体34、エアバッグ33にガスを供給するインフレータ35などを備えている。そして、これら第1及び第2のリテーナ31,32、及び折り畳んで収納されたエアバッグ33により、エアバッグ本体部37が構成されている。 【0025】 第1のリテーナ31は、例えば金属板からなり、図1に示すように、略平板状の基板部41と、この基板部41の周辺部から上方に突出するように屈曲する屈曲部42と、この屈曲部42の上端から周辺部へと延びる周板部43と、この周板部43の周辺部から上方に突出するように屈曲する取付屈曲部44とを備えている。そして、基板部41の中央部には、円孔状のインフレータ取付孔41aが形成され、さらに、このインフレータ取付孔41aの外周側には、複数の第1の取付孔41bが形成されている。また、周板部43には、ダンパー部13に対応する位置に、接続孔としてのダンパー接続孔43aが形成されており、このダンパー接続孔43aには、上下方向に沿って下方に突出しダンパー部13の一部をなすスタッドボルト46が挿入されて一体的に固定されている。そして、各取付屈曲部44には、ボルト用通孔44aが形成されており、このボルト用通孔44aには、ボルト48が挿入され、このボルト48の先端にナット49が螺合されて、第1のリテーナ31とカバー体34とが一体的に固定されている。 【0026】 第2のリテーナ32は、例えば金属板からなり、第1のリテーナ31の上部に重ねられており、インフレータ35の周囲に位置している。そして、この第2のリテーナ32には、第1のリテーナ31の第1の取付孔41bに対応する複数の第2の取付孔32aが形成されている。 【0027】 また、エアバッグ33は、例えば複数の基布の外縁部同士を接合して扁平な袋状に構成され、その開放端が第1のリテーナ31の基板部41と第2のリテーナ32とにより上下から挟持され、この開放端に形成された挿通孔33aに対して、第1及び第2の取付孔41b,32aに挿入されたボルト51が挿通され、このボルト51の先端に螺合されるナット52により共締めされて、インフレータ35の上部に接続されている。」 (2d) 「【0031】 一方、ダンパー部13は、図1及び図2に示すように、エアバッグ装置12をハンドル本体11の軸方向及びこの軸方向と交差(直交)する方向に弾性的に支持するものである。そして、このダンパー部13は、スタッドボルト46、このスタッドボルト46に螺合される案内部材としてのショルダーナット61、スタッドボルト46及びショルダーナット61により第1のリテーナ31の周板部43の下部に一体的に固定される第2のステーとしての例えば金属板などからなるベースプレート62、このベースプレート62を介してエアバッグ装置12を正面側(上側)に付勢するコイルばねであるホーンスプリング63、弾性体としてのダンパースプリング64、このダンパースプリング64を保持して受ける受け部材としてのブッシュ部65、このブッシュ部65とショルダーナット61との間に挟持されたワッシャ66、及び、ホーンプレート26に例えば一体成形されたインシュレータ67などを備えている。そして、このダンパー部13は、ブッシュ部65がダンパースプリング64を保持した状態でハンドル本体11側とダンパーマスであるエアバッグ装置12側とを弾性的に直結し、ハンドル10の振動を低減する。 【0032】 ショルダーナット61は、エアバッグ装置12をホーンスイッチ装置として機能させる際のガイドとなるもので、例えばSWCH18A(アルミキルド鋼)などの金属により形成されており、円筒状の案内部材本体としてのナット本体61aと、このナット本体61aの一端である下端近傍の外周面からフランジ状に突出した規制フランジ部としてのナットフランジ部61bとを一体に備えている。また、ナット本体61aの下端は閉塞されており、ショルダーナット61が袋ナット状に構成されている。 【0033】 また、ベースプレート62は、例えばSPCC(冷間圧延鋼板)などの導電性を有する金属板からなり、下方へと屈曲された外縁部62aに下方に向けて可動接点69が形成されている。そして、この可動接点69と、この可動接点69に対向してホーンプレート26に形成された固定接点70とにより、車体側に配置された図示しないホーン装置の回路を開閉するためのホーンスイッチ装置が構成されている。 【0034】 また、ホーンスプリング63は、エアバッグ装置12をホーンスイッチ装置として機能させるためのフローティング支持手段であり、例えばSWPA(ピアノ線)などの細長い金属棒からなるコイルばねであって、ブッシュ部65の上部とベースプレート62の下部との間に挟持されている。 【0035】 また、ダンパースプリング64は、エアバッグ装置12をダンパーマスとして機能させるためのダンパー用付勢手段である。そして、このダンパースプリング64は、例えば硬度40°のEPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)などの合成ゴムからなり、円筒状のダンパー用付勢手段本体としてのダンパー本体64aと、このダンパー本体64aの上下両端の外周全周にフランジ状に突設されたダンパーフランジ部64bと、これらダンパーフランジ部64bのそれぞれに突設された係止部としての突起部64cとを一体、あるいは一体的に備えている。なお、エアバッグ装置12及びダンパー部13などにより構成されるダイナミックダンパーの振動減衰特性は、エアバッグ装置12の質量とこのダンパースプリング64のばね定数とにより設定される。 【0036】 ダンパー本体64aの外周でかつダンパーフランジ部64bの間には、インシュレータ67が嵌合保持されている。 【0037】 また、ダンパーフランジ部64bは、外縁部に周方向に複数箇所、例えば3箇所のダンパー切欠部64dが切り欠き形成されており、これらダンパー切欠部64d間に突起部64cが位置している。 【0038】 また、各突起部64cは、ダンパースプリング64の軸方向に沿って、上下方向に突出している。さらに、これら突起部64cは、基端側から先端側へと徐々に縮径される円錐状に形成されている。そして、これら突起部64cは、ダンパー本体64aの周方向に略等間隔に互いに離間されて配置されている。 【0039】 また、ブッシュ部65は、ダンパースプリング64よりも硬質の、例えばペルプレン(登録商標)などのポリエステルエラストマー系の合成樹脂からなる一及び他の受け部材としての第1及び第2のブッシュ72,73などを備えている。」 (2e) 「【0046】 そして、インシュレータ67は、導電性のホーンプレート26に対してダンパー部13を絶縁するもので、例えばPP(ポリプロピレン)などの絶縁性及び若干の弾性を有する合成樹脂を、いわゆるアウトサート成形することなどにより、ホーンプレート26に形成された円形状の開口部75の縁部全体を覆って一体成形されている。したがって、このインシュレータ67は、略円筒状に形成されている。また、このインシュレータ67の両端には、複数の位置決め部としての突出部67aが突設されている。そして、このインシュレータ67の上側に突出する突出部67aは、ブッシュ部65の第1のブッシュ72の切欠部72fにそれぞれ嵌合することで、上側の突起部64cと第1のブッシュ72の第1の係止受け部72hとを位置合わせし、インシュレータ67の下側に突出する突出部67aは、ダンパースプリング64のダンパー切欠部64d及びブッシュ部65の第2のブッシュ73の切欠開口73cにそれぞれ嵌合することにより、下側の突起部64cと第2のブッシュ73の第2の係止受け部73eとを位置合わせして、ダンパースプリング64及びブッシュ部65を周方向に回り止めしている。」 (2f) 「【0052】 さらに、エンジンの振動、あるいは路面の振動などがステアリングシャフト15を介してハンドル10に伝達され、ハンドル10に対して軸方向と交差(直交)する方向の振動が入力されると、ダンパー部13のダンパースプリング64と、このダンパースプリング64の各突起部64cが第1及び第2の係止受け部72h,73eに係止されているブッシュ部65とが一体的に径方向に振動する。そして、各突起部64cが径方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向と交差(直交)する方向に振動する。また、ハンドル10に対して軸方向の振動が入力された場合でも、ダンパー部13のダンパースプリング64の各突起部64cが軸方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向に振動する。」 (2g) 「【0059】 次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。 【0060】 この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、ダンパー部13のダンパースプリング64がダンパーマスであるエアバッグ装置12側のベースプレート81に配置されているものである。 【0061】 ベースプレート81は、例えば金属板からなり、略平板状の基板部83と、この基板部83の周辺部から上方に突出するように屈曲する屈曲部84と、この屈曲部84の上端から周辺部へと延びる周板部85と、この周板部85の周辺部から上方に突出するように屈曲する取付屈曲部86と、この取付屈曲部86の上端から周辺部へと延びる周辺周板部87とを備えている。そして、基板部83の中央部には、第1のリテーナ31のインフレータ取付孔41aと同心状に開口する円孔状のインフレータ取付孔部83aが形成され、さらに、このインフレータ取付孔部83aの外周側には、複数の取付孔部83bが形成されている。また、周板部85には、ダンパー部13に対応する位置に、例えば円形状の開口部88が形成されており、この開口部88の縁部全体を覆ってインシュレータ67が一体成形され、このインシュレータ67に対してダンパースプリング64が取り付けられている。また、各取付屈曲部86には、ボルト48が挿通されるボルト用通孔86aが形成されており、ボルト48とナット49との螺合によって、ベースプレート81がカバー体34と一体的に固定されている。さらに、周辺周板部87には、下方に向けて可動接点69が形成されている。 【0062】 また、スタッドボルト46は、ホルダ24に形成された接続孔24aに下側から挿通されて、ホルダ24側と一体的に固定され、このスタッドボルト46に対してショルダーナット61が上側から螺合されている。さらに、ブッシュ部65は、第1のブッシュ72が下側に位置し、第2のブッシュ73が上側に位置して、第1のブッシュ72とホルダ24との間にホーンスプリング63が挟持されている。すなわち、ダンパー部13は、上記第1の実施の形態と上下が逆に配置されている。また、ホルダ24には、外縁部24bに上方に向けて固定接点70が形成されている。 【0063】 そして、このハンドル10は、エアバッグ装置12に重力以外の力が加わっていない状態では、ホーンスプリング63がホルダ24に対してベースプレート81を上方に付勢し、エアバッグ装置12の重量に抗して、エアバッグ装置12がベースプレート81とともに持ち上げられ、このベースプレート81に設けられエアバッグ装置12とともに昇降する可動接点69と、ホルダ24に設けられた固定接点70とが離間した状態で弾性的に支持される。この状態で、乗員が押動部を兼ねたエアバッグ装置12のカバー体34の上側部をホーンスプリング63の付勢力に抗して下方に押動することにより、エアバッグ装置12がショルダーナット61に案内されて下方に移動し、可動接点69と固定接点70とが接触すると、回路が閉成され、車体側のホーン装置が吹鳴される。 【0064】 そして、エンジンの振動、あるいは路面の振動などがステアリングシャフト15を介してハンドル10に伝達され、ハンドル10に対して軸方向と交差(直交)する方向の振動が入力されると、ダンパー部13のダンパースプリング64と、このダンパースプリング64の各突起部64cが第1及び第2の係止受け部72h,73eに係止されているブッシュ部65とが一体的に径方向に振動する。そして、各突起部64cが径方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向と交差(直交)する方向に振動する。また、ハンドル10に対して軸方向の振動が入力された場合でも、ダンパー部13のダンパースプリング64の各突起部64cが軸方向に弾性変形することにより、エアバッグ装置12が低い共振周波数で軸方向に振動する。 【0065】 このように、ダンパースプリング64をダンパーマスであるエアバッグ装置12側 に配置しても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。」 (2h) 図1、2及び4は、以下のとおりである。 (2)引用文献2に記載された技術事項 図4の実施例に着目し、ダンパー部の細部について図2(「ショルダーナット61」や「ホーンスプリング63」の位置関係から、図4に対応させると、下側が上側となり、上側が下側となることが明らかである。)を参照し、摘記(2a)~(2h)を踏まえ、本件発明1などの記載に倣うと、引用文献2には、以下の技術事項(それぞれ、「引用文献2に記載された技術事項1」、「引用文献2に記載された技術事項2」という。)記載されているものと認められる。 [引用文献2に記載された技術事項1] 「案内部材としてのショルダーナット61とベースプレート81の開口部88との間に、ショルダーナット61を挿着したブッシュ部65を介して、配置されたダンパースプリング64を備え、前記ダンパースプリング64は、乗物の車体側からハンドル10に伝達される振動をエアバッグ装置12の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパーを構成し」、 「前記ダンパースプリング64は、前記ショルダーナット61と前記ベースプレート81の開口部88との間に配置される円筒状のダンパー本体64aと、ベースプレート81の表面に接触可能に形成されたフランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64bと、を有し」、 「前記フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64bは、前記円筒状のダンパー本体64aに対してフランジ状に形成され」、 「前記円筒状のダンパー本体64aと前記フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64bとは、一体に形成され」、 「前記ダンパースプリング64は、前記ベースプレート81の裏面に係止可能なフランジ状に突設された下側のダンパーフランジ部64bを有する」、 「ハンドル10」。 [引用文献2に記載された技術事項2] 「ベースプレート81は、ベースプレート81の開口部88の縁部全体を覆って一体成形された合成樹脂のインシュレータ67を有し、ダンパースプリング64は、前記インシュレータ67とショルダーナット61に挿通されたブッシュ部65との間に配置され」、 「前記インシュレータ67は、前記フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64bを収容する複数の突出部67a間に設けられた隙間を有している」、 「ハンドル10」。 1-3 引用文献3について (1)引用文献3に記載された事項 引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (3a) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、自動車等の車両を操舵するステアリングホイールに関し、特に、ダイナミックダンパーを備えたステアリングホイールに関する。 【背景技術】 【0002】 自動車等の車両を操舵するステアリングホイールには、回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトに組み付けられる本体部と、該本体部の略中央に配置されるパッド部と、を有し、前記ステアリングシャフトの軸方向に移動可能に前記パッド部を前記本体部に組み付け、前記本体部と前記パッド部との間でホーンスイッチを構成したものが既に知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。 【0003】 かかるステアリングホイールの組み付け構造は、例えば、前記本体部に固定された第一ホーンプレートと、該第一ホーンプレートに立設されたガイドピンと、該ガイドピンの先端に配置されたストッパと、前記パッド部に固定されるとともに前記ガイドピンに沿って摺動可能に配置された第二ホーンプレートと、前記ガイドピンに沿って配置されるとともに前記第二ホーンプレートを前記ストッパに当接させる方向に付勢するコイルスプリングと、該コイルスプリングと前記第二ホーンプレートとの間に配置された弾性体と、により構成されている。 【0004】 このようにコイルスプリングとホーンプレートとの間に弾性体を介在させることにより、質量体であるパッド部の固有振動数を調整し、本体部から伝達される振動をパッド部の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパーが構成される。」 (3b) 「【0021】 以下、本発明の実施形態について図1~図7を用いて説明する。ここで、図1は、本発明に係るステアリングホイールの第一実施形態を示す断面図である。また、図2は、第一実施形態に示したダイナミックダンパーの拡大図であり、(A)は通常時、(B)はホーン鳴笛時、を示している。 【0022】 図1から図3に示すように、本発明に係るステアリングホイールは、回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトSに組み付けられる本体部1と、本体部1の略中央に配置されるパッド部2と、を有し、ステアリングシャフトSの軸方向に移動可能にパッド部2を本体部1に組み付け、本体部1とパッド部2との間でホーンスイッチ3を構成したステアリングホイールであって、本体部1に固定された第一ホーンプレート11と、パッド部2に固定された第二ホーンプレート21と、第一ホーンプレート11に立設されたガイドピン12と、ガイドピン12の先端に形成されたストッパ13と、ガイドピン12に沿って摺動可能に挿通されたブッシュ14と、ブッシュ14に嵌合されるとともに外周部に第二ホーンプレート21が係合された弾性体15と、ブッシュ14をストッパ13に向けて付勢するようにガイドピン12に挿通されたコイルスプリング16と、を有し、ブッシュ14は、コイルスプリング16と当接するとともに外周部が第二ホーンプレート21と被る位置まで拡径された第一フランジ部14aと、ガイドピン12を挿通する開口部14bと、開口部14bの周囲に沿って所定の間隔で立設された複数の柱状部14cと、開口部14bの周囲に沿って柱状部14cの間に形成された切欠部14dと、を有する第一ブッシュ141と、第一フランジ部14aと対峙する第二フランジ部14eと、ガイドピン12を挿通する開口部14fと、開口部14fの周囲に沿って柱状部14cと噛み合うように立設されるとともに先端に切欠部14dに係合するフック14gが形成された胴部14hと、を有する第二ブッシュ142と、に分割されており、柱状部14cは、第二フランジ部14eと当接するように構成されている。 【0023】 前記本体部1は、ステアリングシャフトSに固定具1aにより固定されるボス部1bと、ボス部1bから径方向に延設された複数のスポーク部1cと、スポーク部1cに連結された環状のリム部1dと、を有する。また、固定具1aは、第一ホーンプレート11をボス部1bに固定するための固定手段としての機能も有している。なお、第一ホーンプレート11の本体部1への固定方法は図示したものに限定されず、第一ホーンプレート11の外周部に本体部1に固定するための腕部を形成するようにしてもよい。かかる本体部1の構成は、基本的に従来の構成と同様であるため、ここでは他の詳細な説明を省略する。 【0024】 前記パッド部2は、ステアリングホイールの略中央部に配置され、エアバッグ22を収容する部品である。パッド部2は、一般に、樹脂成形されており、エアバッグ22の膨張展開時には裏面に形成された薄肉部により破断できるように構成されている。また、パッド部2は、第二ホーンプレート21が固定される壁面部23と、第二ホーンプレート21と当接する支持部24と、を有する。さらに、パッド部2に固定される第二ホーンプレート21の略中央部には、エアバッグ22にガスを供給するインフレータ25が固定される。エアバッグ22は、インフレータ25と一緒に第二ホーンプレート21に固定されており、折り畳まれた状態でパッド部2内に収容されている。エアバッグ22は、ラッピングシート26により包まれていてもよい。 【0025】 前記第一ホーンプレート11は、固定具1aによりボス部1bに固定される第一平面部11aと、ガイドピン12が立設される第二平面部11bと、ホーンスイッチ3の固定接点3aが配置される第三平面部11cと、を有する。例えば、第一平面部11aは第一ホーンプレート11の略中央部に配置され、第二平面部11bはエアバッグ22を囲うように三箇所(例えば、三時、六時、九時の位置)に配置され、第三平面部11cは第二平面部11bの外方に隣接する三箇所(例えば、三時、六時、九時の位置)に配置される。 【0026】 前記第二ホーンプレート21は、インフレータ25が固定される第一平面部21aと、ホーンスイッチ3の可動接点3bが配置される第二平面部21bと、を有する。第一平面部21aには、インフレータ25の一部が挿通される開口部21cと、開口部21cを囲うように三箇所(例えば、三時、六時、九時の位置)にガイドピン12を挿通可能な円形状の開口部21dが形成されている(図6参照)。 【0027】 上述した本体部1及びパッド部2は、ガイドピン12、ストッパ13、ブッシュ14、弾性体15及びコイルスプリング16によって構成されるダイナミックダンパーにより、ステアリングシャフトSの軸方向に移動可能かつ振動低減可能に構成されている。以下、図2を参照しつつ、ダイナミックダンパーの構成について詳述する。 【0028】 図2に示すように、ガイドピン12は、ストッパ13と一体に形成されたナット状に構成されており、第一ホーンプレート11を挟んで固定ボルト17が螺合され、第一ホーンプレート11に固定される。ストッパ13は、ガイドピン12の先端に一体に形成され、ガイドピン12よりも拡径されたフランジ部により構成される。 【0029】 ここで、図3は、第一実施形態に示したブッシュ14の詳細図であり、(A)は第一ブッシュ141の側面図、(B)は図3(A)におけるB矢視図、(C)は第二ブッシュ142の側面図、(D)は図3(C)におけるD矢視図、である。 【0030】 前記第一ブッシュ141は、図3(A)及び(B)に示したように、円板形状の第一フランジ部14aを有し、中央部に開口部14bと切欠部14dが形成されている。切欠部14dは、開口部14bと連通する略十字形状に形成されている。そして、柱状部14cは、開口部14bの周縁部に沿って切欠部14dと交互に配置されている。また、第一フランジ部14aの内面には、弾性体15を押えるための複数(例えば、四個)の突起14iが形成されている。 【0031】 前記第二ブッシュ142は、図3(C)及び(D)に示したように、円板形状の第二フランジ部14eを有し、中央部に円形状の開口部14fが形成されている。胴部14hは、開口部14fの周縁部よりも径方向外方にずれた位置に形成されている。また、第二フランジ部14eの内面には、弾性体15を押えるための複数(例えば、四個)の突起14iが形成されている。 【0032】 そして、第二ブッシュ142の胴部14hを第一ブッシュ141の切欠部14dに挿通してフック14gを第一フランジ部14aの外面に係合させることにより、ブッシュ14が組み立てられる。このとき、第一ブッシュ141の柱状部14cは、図3(D)に一点鎖線で示したように、胴部14hの間に挿通され、先端が第二フランジ部14eに当接する。したがって、第一ブッシュ141と第二ブッシュ142とを連結してブッシュ14を組み立てた状態において、ブッシュ14に外部から荷重が負荷された場合であっても、柱状部14cがストッパとして機能し、第一フランジ部14aと第二フランジ部14eとの間隔が柱状部14cの高さよりも狭くなることがない。すなわち、ブッシュ14に外部から荷重が負荷された場合であっても、第一フランジ部14aと第二フランジ部14eとの隙間に嵌合される弾性体15には余分な荷重が負荷されることがない。 【0033】 また、ブッシュ14は、図3(D)に示したように、柱状部14cの外径R1と胴部14hの外径R2とが異なる大きさ(ここでは、R2>R1)に形成されており、第一ブッシュ141と第二ブッシュ142とを結合したときに柱状部14cと胴部14hの外形により凹凸部14jが形成されている。かかる凹凸部14jは、柱状部14cと胴部14hとの間に生じる隙間を極力少なくすることにより、弾性体15の磨耗をより低減することができる。 【0034】 弾性体15は、図2に示したように、第一ブッシュ141と第二ブッシュ142とにより構成されたブッシュ14の第一フランジ部14aと第二フランジ部14eとの間に装着されるゴム成形部品である。ここで、図4は、弾性体15の詳細図であり、(A)は平面図、(B)は図4(A)におけるB-B断面図、(C)は第二ブッシュ142との組み付け状態、(D)は第一ブッシュ141との組み付け状態、を示している。 【0035】 図4(A)及び(B)に示したように、弾性体15は、薄平たい略円筒形状をなしており、中央部にブッシュ14の凹凸部14jに係合する内縁部15aを有する。また、弾性体15の外周部には、第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている。 【0036】 図4(C)に示すように、弾性体15を第二ブッシュ142に組み合わせると、弾性体15の内縁部15aは胴部14hと係合し、周方向に回転できない状態となる。また、図4(D)に示すように、弾性体15を第一ブッシュ141に組み合わせると、弾性体15の内縁部15aは柱状部14cの背面に沿うように配置される。 【0037】 前記コイルスプリング16は、図2(A)に示したように、ブッシュ14と第一ホーンプレート11との間に挿通されており、ブッシュ14の第一フランジ部14aに当接してブッシュ14をストッパ13に押し付けるように付勢している。上述したように、ブッシュ14には柱状部14cが形成されているため、第一ブッシュ141の荷重を第二ブッシュ142で受けることができるとともに、第一フランジ部14aと第二フランジ部14eとが内側に相対移動できないように(間隔が狭くならないように)構成されていることから、弾性体15に負荷される荷重を低減することができる。 【0038】 また、図2(B)に示したように、ホーン鳴笛時には、パッド部2が押されることにより、第二ホーンプレート21が本体部1側に移動し、同時にブッシュ14も本体部1側にガイドピン12に沿って移動する。そして、図1に示した第一ホーンプレート11に形成された固定接点3aに、第二ホーンプレート21に形成された可動接点3bが接触することにより、ホーンスイッチ3が作動して音が鳴る。」 (3c) 図1、2及び4は、以下のとおりである。 (2)引用文献3に記載された技術事項 第一実施形態(特に図1、2及び4)に着目し、摘記(3a)~(3c)を踏まえ、本件発明1などの記載に倣うと、引用文献3には、以下の技術事項(以下「引用文献3に記載された技術事項1」という。)が記載されているものと認められる。 「引用文献3に記載された技術事項1」 「ガイドピン12と第二ホーンプレート21の開口部21dとの間に、ガイドピン12を挿入したブッシュ14を介して、配置された弾性体15を備え、前記弾性体15は、乗物の車体側からステアリングホイールに伝達される振動をエアバッグ22を収容するパッド部2の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパーを構成し」、 「前記弾性体15は、前記ガイドピン12と前記第二ホーンプレート21の開口部21dとの間に配置される外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分と、第二ホーンプレート21の表面に接触可能に形成された略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分と、を有し」、 「前記略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分は、前記外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分に対してフランジ状に形成され」、 「前記外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分と前記略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分とは、一体に形成され」、 「前記弾性体15は、前記第二ホーンプレート21の裏面に係止可能な略環状の溝部15bより下側の弾性体15の略円筒形状の部分を有する」、 「ステアリングホイール」。 1-4 引用文献4について (1)引用文献4に記載された事項 引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (4a) 「【0001】 本発明は、ステアリングホイールの内部に弾性体を介してマスを軸方向および軸直角方向に移動可能に支持し、前記マスを軸方向に押圧してホーンスイッチを作動させるとともに、前記マスを軸直角方向に振動させてダイナミックダンパーとして機能させるステアリングホイールの振動低減構造に関する。」 (4b) 「【0013】 図1~図5は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1は自動車のステアリングホイールの斜視図、図2は図1の2-2線拡大断面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3に対応する作用説明図、図5は従来例および実施の形態のばね特性の差を示すグラフである。 【0014】 図1および図2に示すように、自動車のステアリングホイール11は、車室から車体前下方に延びるステアリングシャフト12の後端にスプライン嵌合してナット13で締結される円盤状の金属板よりなるボス部材14を備えており、このボス部材14の前面を覆うように、後面が開放した容器状のカバー部材15が固定される。カバー部材15の外周部から径方向外側に4本のスポーク部15a…が一体に延びており、それらの先端に環状のリム部15bが一体に形成される。リム部15bの内部には、補強のための金属環16が埋設される。4本のスポーク部15a…の後面はそれぞれスポーク部カバー17…で覆われており、スポーク部カバー17…の内側にステアリングパッド18が配置される。前記ボス部材14の後面に金属板よりなるホルダ19の中心が共締めされており、このホルダ19にエアバッグモジュール20が3個のフローティング支持部21…を介して支持される。 【0015】 尚、本明細書において、軸方向とはステアリングシャフト12の長手方向として定義され、軸直角方向とはステアリングシャフト12の長手方向に直交する方向として定義される。 【0016】 図2および図3から明らかなように、エアバッグモジュール20をホルダ19に支持する3個のフローティング支持部21…は、ステアリングシャフト12を中心として上部の左右両側に2カ所、下部の中央に1カ所設けられており、それらの構造は全て同一である。図2には、ステアリングシャフト12の上部の左右両側の2カ所のフローティング支持部21,21が示されている。 【0017】 各フローティング支持21は、ホルダ19を後方から前方に貫通してナット22で締結されたガイド軸23を備えており、ホルダ19の後面とガイド軸23の後端のフランジ23aとの間に摺動自在に嵌合するスライダ24が、ガイド軸23の外周に嵌合するコイルスプリング25でフランジ23aに当接する方向に付勢される。スライダ24の外周に形成した溝24aに環状を成すゴム製のダンパースプリング26が嵌合しており、このダンパースプリング26の外周に形成した溝26aに金属板よりなるブラケット27が嵌合する。尚、ブラケット27の個数は1個であり、そのブラケット27は3個のフローティング支持部21…の3個のダンパースプリング26…によって弾性支持される。 【0018】 エアバッグモジュール20は、高圧ガスを発生するインフレータ28と、インフレータ28の後方に折り畳まれた状態で配置されるエアバッグ29とを備えており、インフレータ28の外周に設けたフランジ28aと、第1リテーナ30と、エアバッグ29の開放端と、第2リテーナ31とが、ブラケット27の中央に形成された開口部27aに重ね合わされてボルト32…およびナット33…で共締めされる。 【0019】 ステアリングパッド18の外周部から前方に延びる連結部18aが、ブラケット27の外周部にボルト34…およびナット35…で固定されており、この状態でステアリングパッド18は折り畳まれたエアバッグ29の後方を覆っている。ブラケット27の外周部に前向きに設けられた複数の可動接点36a…が、ホルダ19の外周面に後向きに設けられた固定接点36b…に当接可能に対向する。これらの可動接点36a…および固定接点36b…はホーンスイッチ37を構成する。 【0020】 次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。 【0021】 図4に示すように、図示せぬホーンを作動させるべく、ステアリングホイール11のステアリングパッド18の上右部、上左部あるいは中下部を押すと、ホルダ19に固定した3本のガイド軸23…の何れかに沿ってスライダ24がコイルスプリング25を圧縮しながら前進し、スライダ24にダンパースプリング26を介して支持したブラケット27に設けた可動接点36aが、ホルダ19に設けた固定接点36bに接触することで、ホーンをバッテリに導通させて鳴動させることができる。 【0022】 ところで、エンジンの振動や路面からの振動がステアリングシャフト12を介してステアリングホイール11に伝達されると、ステアリングホイール11を握る運転者の手が振動して不快感を与えるため、ダイナミックダンパーでステアリングホイール11の振動を抑制する。ダイナミックダンパーは振動体に弾性体を介してマスを支持したものであるが、本実施の形態ではエアバッグモジュール20(そのうち、特に重量が大きいインフレータ28)を前記マスとして機能させ、かつガイド軸23…にブラケット27を介してエアバッグモジュール20を支持するダンパースプリング26…を前記弾性体として機能させている。このように、エアバッグモジュール20をダイナミックダンパーのマスとして機能させることで、特別のマスを設ける必要がなくなり、部品点数、重量、設置スペースおよびコストの面で有利になる。 【0023】 本実施の形態のダイナミックダンパーは、ステアリングホイール11の軸直角方向(例えば、図1のA-A′方向あるいはB-B′方向)の振動を低減するものであり、その振動減衰特性は、マスとしてのエアバッグモジュール20の質量と、弾性体としてのダンパースプリング26のばね定数とにより決定される。このとき、エアバッグモジュール20を軸方向にフローティング支持するコイルスプリング25は、軸直角方向には弾性変形しないため、ダイナミックダンパーの振動減衰特性には寄与しない。 【0024】 従って、コイルスプリング25のばね定数は、可動接点36a…および固定接点36b…よりなるホーンスイッチ37の振動による誤作動防止や、操作フィーリングを満たすように設定すれば良く、その設計自由度が大幅に向上する。一方、本実施の形態のダンパースプリング26のばね定数は、ダイナミックダンパーの振動減衰特性だけに焦点を当てて設定することができるので、その設計自由度が大幅に向上する。 【0025】 即ち、ゴム製のダンパースプリング26の固さや肉厚を円周方向に変化させることで軸直角方向のばね定数を任意に調整することができるので、例えばステアリングホイール11の上下方向(図1のA-A′方向)の振動を低減するダイナミックダンパーの特性や、ステアリングホイール11の左右方向(図1のB-B′方向)の振動を低減するダイナミックダンパーの特性を、ホーンスイッチ37の作動特性(コイルスプリング25のばね定数)とは独立して設定することが可能となり、ステアリングホイール11の軸直角方向の振動を効果的に低減することができる。 【0026】 図5(A)のグラフは、エアバッグモジュール20の上下方向の共振周波数を、従来例(破線参照)および実施の形態(実線参照)の両方について示すもので、実施の形態によればダンパースプリング26のばね定数のチューニングで共振周波数を60Hzから40Hzに下げることで、ダイナミックダンパーを有効に機能させてステアリングホイール11の上下方向の振動を抑制することができる。 【0027】 図5(B)のグラフは、エアバッグモジュール20の左右方向の共振周波数を、従来例(破線参照)および実施の形態(実線参照)の両方について示すもので、実施の形態によればダンパースプリング26のばね定数のチューニングで共振周波数を60Hzから50Hzに下げることで、ダイナミックダンパーを有効に機能させてステアリングホイール11の左右方向の振動を抑制することができる。 【0028】 もちろん、上記何れの場合にも、ダンパースプリング26のばね定数をチューニングする際に、コイルスプリング25のばね定数の影響を基本的に考慮しなくて良いため、ホーンスイッチ37の作動特性も最適にチューニングすることができる。」 (4c) 「【0038】 上述した第1、第2の実施の形態では、ガイド軸23がホルダ19側に支持され、ダンパースプリング26がエアバッグモジュール20側に支持されているが、第3の実施の形態では、ガイド軸23がエアバッグモジュール20側に支持され、ダンパースプリング26がホルダ19側に支持される。 【0039】 即ち、第1リテーナ30の内周部がボルト32…およびナット33…でインフレータ28のフランジ28aに固定され、外周部がボルト34…およびナット35…でステアリングパッド18の連結部18aに固定される。ガイド軸23は第1ステー42および第1リテーナ30を貫通してナット22で締結されることで、エアバッグモジュール20側に支持される。第1ステー42にはホーンスイッチ37の可動設定36aが設けられる。 【0040】 一方、ホルダ19には第2ステー43がボルト44…で固定されており、第2ステー43にダンパースプリング26の溝26aが支持されるとともに、前記可動設定36aに対向する固定接点36bが設けられる。ガイド軸23に摺動自在に嵌合するスライダ24の溝24aにダンパースプリング26が嵌合し、ダンパースプリング26の上面とスライダ24との間にワッシャ45が配置される。ダンパースプリング26の上面および下面には環状の突起26b,26cが突設されており、上面の突起26bはワッシャ45に当接し、下面の突起26cはスライダ24に当接する。またコイルスプリング25の上端と第1ステー42との間にワッシャ41が配置され、スライダ24の下面とガイド軸23のフランジ23aの上面との間にワッシャ46が配置される。 ・・・ 【0043】 次に、図9に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。 【0044】 第3の実施の形態では、ダンパースプリング26の上下面に突起26b,26cを設けていたが、第4の実施の形態では、ダンパースプリング26の上下面に対向するワッシャ45およびスライダ24に突起45a,24fを設けている。この実施の形態によれば、前記突起45a,24fでダンパースプリング26を容易に弾性変形させ、エアバッグモジュール20を低い共振周波数で軸方向に振動させてダイナミックダンパーとして機能させ、第3の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。」 (4d) 図1~4及び9は、以下のとおりである。 (2)引用文献4に記載された技術事項 第1の実施の形態(特に図1~3)及び第4の実施の形態(特に図9)に着目し、摘記(4a)~(4d)を踏まえ、本件発明1などの記載に倣うと、引用文献4には、以下の技術事項(以下それぞれ「引用文献4に記載された技術事項1」及び「引用文献4に記載された技術事項2」という。)が記載されているものと認められる。 [引用文献4に記載された技術事項1] 「ガイド軸23とブラケット27の開口部との間に、ガイド軸23を挿入したスライダ24を介して、配置されたダンパースプリング26を備え、前記ダンパースプリング26は、乗物の車体側からステアリングホイール11に伝達される振動をエアバッグモジュール20の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパ-を構成し」、 「前記ダンパースプリング26は、前記ガイド軸23と前記ブラケット27の開口部との間に配置されるブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分と、ブラケット27の表面に接触可能に形成されたブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分と、を有し」、 「前記ブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分は、前記ブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分に対してフランジ状に形成され」、 「前記ブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分と前記ブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分とは、一体に形成され」、 「前記弾性体15は、前記ブラケット27の裏面に係止可能なブラケット27が嵌合する溝26aよりも下側のダンパースプリング26の円筒形状の下側部分を有する」、 「ステアリングホイール11」。 [引用文献4に記載された技術事項2] 「スライダ24は、ダンパースプリング26との接触部にダンパースプリング26を容易に弾性変形させエアバッグモジュール20を低い共振周波数で軸方向に振動させるための突起24fを有している」、 「ステアリングホイール11」。 1-5 引用文献5について (1)引用文献5に記載された事項 引用文献5には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (5a) 「【0001】 本発明は、車両等の操舵装置に用いられ、かつエアバッグ装置を備えたステアリングホイールの制振構造、及びステアリングホイール用ダンパゴムに関するものである。」 (5b) 「【0042】 <ダンパゴム55>ダンパゴム55は、インフレータ50を支持部材40に支持するためのものであり、孔44(53)と同数個用いられている。各ダンパゴム55は、合成ゴム、エラストマー等の弾性材料によって形成され、インフレータ50のフランジ部52と支持部材40との間であって、各孔44,53間に配置されている。これらのダンパゴム55は、上述したインフレータ50とともにダイナミックダンパを構成するものである。本実施形態では、これらのダンパゴム55をダイナミックダンパのばねとして機能させ、インフレータ50をダンパマスとして機能させるようにしている。 【0043】 ステアリングホイール12からダイナミックダンパに対し、そのダイナミックダンパ固有の共振周波数と同じ周波数の振動が伝わると、ダイナミックダンパが共振してステアリングホイール12の振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ダイナミックダンパはステアリングホイール12の振動を減衰(制振)する。 【0044】 ここで、ステアリングホイール12について、ダイナミックダンパによって制振したい振動の方向が上下及び左右の2つあり、それぞれの振動の周波数が異なるものとする。ここでは、ステアリングホイール12の左右方向の振動について制振したい周波数が、上下方向の振動について制振したい周波数よりも若干高い場合を想定して説明を進めることとする。制振したい周波数は、左右方向及び上下方向のいずれについても、20Hz台半ばから30Hz台後半の値である。ただし、左右方向について制振したい周波数は、上下方向について制振したい周波数よりも数Hz高い値である。 【0045】 この要望に応えるべく、本実施形態の各ダンパゴム55は、図3及び図4の少なくとも一方に示すように、ダンパ本体56と、一対のリブ57,58とを備えて構成されている。ダンパ本体56は、円筒状をなし、かつ自身の中心軸線L2が前後方向に延びるように、フランジ部52及び支持部材40間に配置されている。ダンパ本体56の外径R及び厚みTは、中心軸線L2に沿う方向については、ともに均一となっている。 【0046】 ステアリングホイール12について、後述する左右方向よりも低い周波数の上下方向の振動を制振するために、ダンパ本体56の外周面56Aから上下方向については、リブは設けられていない。その代わりに、ダンパ本体56の外径R、厚みT、高さH等をチューニングすることで、ダイナミックダンパの上下方向についての共振周波数が、ステアリングホイール12の上下方向の振動について、狙いとする制振の周波数(20Hz台半ばから30Hz台後半の値)に合致又は近づけられている。 【0047】 両リブ57,58は、ステアリングホイール12について、上記上下方向よりも高い周波数の左右方向の振動を制振するために用いられている。両リブ57,58は、ダンパ本体56の外周面56Aの周方向については、同外周面56Aの一部である、中心軸線L2を挟んで左右(車幅方向)に相対向する2箇所に設けられている。より詳しくは、両リブ57,58の一方(リブ57)は、上記外周面56Aの周方向のうち、最も左側の位置に設けられ、他方(リブ58)は、同周方向のうち最も右側の位置に設けられている。両リブ57,58は互いに同一の形状に形成されており、中心軸線L2を中心とする放射方向、すなわちダンパ本体56の径方向外方へ突出している。 【0048】 また、両リブ57,58は、中心軸線L2に沿う方向については、前端部61からダンパ本体56の中間部辺りまでの領域に設けられている。各リブ57,58は、中心軸線L2に沿う方向の一方(前方)の端面を基端面59として有している。各リブ57,58は、基端面59において支持部材40に接触している。 【0049】 各リブ57,58の外周面56Aからの突出量βは、支持部材40との接触箇所(基端面59)において最大となっている。この突出量βは、基端面59(支持部材40)からフランジ部52へ向けて遠ざかるに従い、一定の度合いで少なくなっている。従って、各リブ57,58は、中心軸線L2及び両リブ57,58を含む面に直交する方向からは、直角三角形のように見える。 【0050】 また、各リブ57,58の中心軸線L2に沿う方向の長さα、外周面56Aからの突出量β等をチューニングすることで、ダイナミックダンパの左右方向についての共振周波数が、ステアリングホイール12の左右方向の振動について、狙いとする制振の周波数(前述した上下方向の制振の周波数よりも数Hz高い値)に合致又は近づけられている。 【0051】 各ダンパゴム55におけるダンパ本体56及び両リブ57,58の各前端部61は、支持部材40において孔44の回りの箇所に対し加硫接着されている。これに対し、各ダンパゴム55におけるダンパ本体56の後端部62には、リベット63が加硫接着されている。ダンパゴム55毎のリベット63は、フランジ部52の上記孔53に前方側から挿通されている。リベット63において、孔53から後方側へ露出した部分63Aは、後方側から力を加えられて潰されている。なお、支持部材40の孔44は、リベット63を押し潰す際にリベット63を前方から受け止めるための治具(図示略)の挿通孔として使用される。このようにリベット63がかしめられることにより、ダンパゴム55はフランジ部52に係止(固定)されている。」 1-6 引用文献6について (1)引用文献6に記載された事項 引用文献6には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (6a) 「【0001】 本発明は、車両の左右のサスペンション間に架けわたされたスタビライザバーの長手方向の一部を車体に弾性支持させるスタビライザブッシュに関するものである。」 (6b) 「【0019】 これら上側周壁部30と下側周壁部32において、上記多角形の各角部40(図4参照)には、軸方向溝42が設けられている。軸方向溝42は、上記複数の帯状平面部38の接合部に相当する多角形の角部40において、軸方向Xに延びて、貫通孔12の軸方向端12Aで外部に開放するように設けられている。また、この例では、上側周壁部30と下側周壁部32には、上記嵌合面部20の軸方向両側に隣接した位置に、上下それぞれ約半周にわたって周方向に延びる周方向溝44が設けられ、該周方向溝44により、上下の複数の軸方向溝42がそれぞれ連通形成されている。 【0020】 スタビライザブッシュ10には、その内周面である貫通孔12の周壁面から側部外周面14に至る切割46が設けられている。スタビライザブッシュ10を車両に組み付ける際には、この切割46を開いてその内部にスタビライザバー1を組み付ける一方、U字状の外周面14にU字状のブラケット3を外嵌させてスタビライザブッシュ10を保持させた状態で、該ブラケット3を車体2にボルト等で固定する。これにより、スタビライザバー1は、スタビライザブッシュ10を介して、車体2に対して弾性的に支持される。 【0021】 このようにして組み付けられた状態において、スタビライザブッシュ10は、軸方向Xの中央部に設けられた嵌合面部20で、スタビライザバー1を上下に挟み込むように支持しており、その軸方向Xの両側では上下に隙間26,28が設けられて非接触状態とされている。そのため、スタビライザバー1が上下方向Pに変位することで、スタビライザブッシュ10に荷重が入力したとき、低荷重域では、ばね定数が低く、そのため乗り心地性に優れる。そして、入力荷重が大きくなり、嵌合面部20を形成する上下の突出部22,24がつぶれる程の高荷重域の荷重が入力されると、嵌合面部20の軸方向両側の上側周壁部30及び下側周壁部32もスタビライザバー1に当接することになり、入力荷重を貫通孔12の周壁面の軸方向X全体で受けることになるので、ばね定数が高くなり、操縦安定性を向上することができる。」 (6c) 「【0024】 図7は、第2実施形態に係るスタビライザブッシュ10Aの断面図である。このスタビライザブッシュ10Aでは、貫通孔12の周壁面は、軸方向Xの中央部の嵌合面部20から軸方向端12Aにかけて外側ほど軸直角方向外方Y1に広がる逆テーパ状に形成されている。すなわち、この例では、嵌合面部20の軸方向両側の上側周壁部30と下側周壁部32が、軸方向外方側ほど漸次広がるように傾斜面状に形成されている。その他の構成は上記第1実施形態と同じであり、説明は省略する。 【0025】 この第2実施形態でも、基本的には第1実施形態と同様の作用効果が奏されるが、第2実施形態では、低荷重域から高荷重域に至るばね定数の立ち上がりを一層緩やかにすることができる。また、スタビライザバー1がこじり方向に変位したときに、貫通孔12の周壁面が上記のように傾斜しているため、スタビライザバー1の外周面との間に形成されるエアや水が閉じ込められる閉塞空間を極小化することができる。そのため、上記軸方向溝42を設けたことによるエアや水の排出効果と相俟って、上記閉塞空間に起因する異音の発生をより一層解消することができる。」 2 対比・判断 2-1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「自動車のステアリングホイール1」は、本件発明1の「乗物の舵角を操作するステアリングホイール」及び「ステアリングホイール」のいずれにも相当する。 イ 引用発明の「ステアリングホイール1の中央部に配置されステアリングホイール本体2の乗員側となる上側に装着されたエアバッグ装置(エアバッグモジュール)4」は、本件発明1の「前記ステアリングホイールの中央部に配置されるエアバッグモジュール」に相当する。 ウ 引用発明の「ステアリングホイール本体2は、円環状をなすリム部5と、リム部5の内側に位置するボス部6と、リム部5とボス部6とを連結する複数のスポーク部7とから構成され、ボス部6の下部には、ボス8が設けられ、ボス8に芯金を構成するボスプレート9が一体的に固着され、ボスプレート9から、スポーク部7の芯金7aが一体に延設され、スポーク部7の芯金7aに、リム部5の芯金5aが固着され、」という構成は、「芯金を構成するボスプレート9」、「スポーク部7の芯金7a」及び「リム部5の芯金5a」が固着等により一体となって、「ステアリングホイール本体2」の芯金を構成し、実質的に、「ステアリングホイール1」の骨格を形成するものと理解できる。 したがって、引用発明の上記構成における、「芯金を構成するボスプレート9」、「スポーク部7の芯金7a」及び「リム部5の芯金5a」は、本件発明1の「前記ステアリングホイールの骨格を形成する芯金」に相当する。 エ (ア) a 引用発明において、「ボスプレート9」と「段付ボルト32」とに着目すると、以下のことがいえる。 引用発明の「ボスプレート9」は、「芯金を構成するボスプレート9」であり(上記ウ)、「ボスプレート9には、4箇所に取付座41が一体または別体に形成され、各取付座41には、それぞれねじ孔41aが形成され」、「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」は、「段付ボルト32のねじ部32aを取付座41のねじ孔41aに螺合し」ている。 そうすると、引用発明の「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」は、「芯金を構成するボスプレート9」の「4箇所に」「形成され」た「取付座41のねじ孔41aに螺合し」、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設されているといえる。 b 上記aのとおり、引用発明の「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」は、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され、上記ウのとおり、当該「芯金を構成するボスプレート9」は、「芯金」の一部であるから、引用発明の「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」は、本件発明1の「前記芯金の表面に立設された複数の軸部材」に相当する。 (イ) a 引用発明の「ホーンプレート31」に着目すると、以下のことがいえる。 引用発明において、「ホーンプレート31は、平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31aと、平板部31aの外周の縁部に沿って上側に突設された筒状のフランジ部31bと、前側のフランジ部31bから上側に延設された係合片31cと、後側のフランジ部31bから上側に延設された取付片部31dとが、金属板を打ち抜き折曲して一体に形成され」ているから、引用発明の「ホーンプレート31」は、一枚のみの金属板からなるものである。 引用発明の「ホーンプレート31」の「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」は、本件発明1の「複数の開口部」に相当する。 b したがって、引用発明の「平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31aと、平板部31aの外周の縁部に沿って上側に突設された筒状のフランジ部31bと、前側のフランジ部31bから上側に延設された係合片31cと、後側のフランジ部31bから上側に延設された取付片部31dとが、金属板を打ち抜き折曲して一体に形成され、平板部31aの四隅の角部の近傍には、それぞれ円孔状の支持孔31fが形成され」た「ホーンプレート31」は、本件発明1の「複数の開口部を備えた一枚のみからなるホーンプレート」に相当する。 (ウ) a 引用発明の「ホーンプレート31」の「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」(本件発明1の「複数の開口部」に相当。上記(イ)a参照。)と、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」(本件発明1の「前記芯金の表面に立設された複数の軸部材」に相当。上記(ア)b参照。)とに着目し、引用発明の「ホーンスイッチ機構は、ホーンプレート31の各支持孔31fに上下から上下のスペーサ33,34を装着し、上部スペーサ33の内側に、上側から段付ボルト32を摺動自在に挿入し、上部スペーサ33の筒状部33bの外側にスプリング体35を嵌合した状態で、段付ボルト32のねじ部32aを取付座41のねじ孔41aに螺合し、ホーンプレート31は、ボスプレート9から絶縁された状態で、かつ、段付ボルト32で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持され、ホーンプレート31が押し下げられてボスプレート9に形成されている固定接点43に接触するとホーンが吹鳴され、」という構成を踏まえると、以下のことがいえる。 b 引用発明の「ホーンプレート31」の「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」は、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」を、それぞれ、「上部スペーサ33」を介して「摺動自在に挿入」しているといえる。 そうすると、引用発明の、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」(前記芯金の表面に立設された複数の軸部材)を、それぞれ、「上部スペーサ33」を介して「摺動自在に挿入」している、「ホーンプレート31」の「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」(複数の開口部)は、本件発明1の「前記芯金の表面に立設された複数の軸部材にそれぞれ挿通される複数の開口部」に相当する。 c したがって、上記aの構成を前提とすると、引用発明の「平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31aと、平板部31aの外周の縁部に沿って上側に突設された筒状のフランジ部31bと、前側のフランジ部31bから上側に延設された係合片31cと、後側のフランジ部31bから上側に延設された取付片部31dとが、金属板を打ち抜き折曲して一体に形成され、平板部31aの四隅の角部の近傍には、それぞれ円孔状の支持孔31fが形成され」た「ホーンプレート31」は、「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」を備え、上記bのとおりであるから、本件発明1の「前記芯金の表面に立設された複数の軸部材にそれぞれ挿通される複数の開口部を備えた一枚のみからなるホーンプレート」にも相当する。 d また、上記aの構成は、「上部スペーサ33の筒状部33bの外側にスプリング体35を嵌合した状態で、段付ボルト32のねじ部32aを取付座41のねじ孔41aに螺合し」ているから、「ホーンプレート31」は、「段付ボルト32で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持され」ているといえる。 ここで、上記「段付ボルト32」は、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」であるから、引用発明の「ホーンプレート31」は、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」「で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持され」ているといえる。 e したがって、上記dで述べた、引用発明の「ホーンプレート31」は、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」(本件発明1の「前記芯金の表面に立設された複数の軸部材」に相当。上記(ア)b参照。)「で案内され、上下方向に弾性的に進退可能に支持され」ている構成は、本件発明1の「前記ホーンプレートは前記軸部材に沿って移動可能に構成されて」いる構成に相当する。 オ (ア) 引用発明の「ボスプレート9」は、「芯金を構成するボスプレート9」であり、当該「芯金を構成するボスプレート9」は、「芯金」の一部であるから(上記ウ)、引用発明の「ステアリングホイール本体2のボス部6の」「ボスプレート9に形成されている固定接点43」は、本件発明1の「前記芯金に配置された固定接点」に相当する。 (イ) 引用発明の「ホーンスイッチ機構」が「備え」る「ホーンプレート31」の「平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31a」は、本件発明1の「前記ホーンプレートに配置された可動接点」に相当する。 (ウ) そして、引用発明の「ホーンスイッチ機構」は、「ホーンプレート31が押し下げられてボスプレート9に形成されている固定接点43に接触するとホーンが吹鳴され」ることを踏まえると、引用発明の「ステアリングホイール本体2のボス部6の」「ボスプレート9に形成されている固定接点43」及び「ホーンスイッチ機構」が「備え」る「ホーンプレート31」の「平面略矩形枠状をなし可動接点を構成する平板部31a」は、それらでホーンスイッチ機構を構成しているといえるから、本件発明1の「前記芯金に配置された固定接点と前記ホーンプレートに配置された可動接点とにより構成されたホーンスイッチ機構」に相当する。 カ (ア) 上記イを踏まえると、引用発明の「エアバッグ装置4は、ベースプレート14を備え、ホーンプレート31の係止片31cをベースプレート14の係合受部14cに係止するとともに、ホーンプレートの31取付片部31dの円孔31eを介してベースプレート14の固定片部14dのナット19に1個のボルト51を螺合するのみでホーンプレート31に固定して取り付けられる」構成は、本件発明1の「前記エアバッグモジュールは前記ホーンプレートに固定されて」いる構成に相当する。 (イ) 自動車のステアリングホイールに設けられているエアバッグ装置の機序に鑑みれば、引用発明において、「エアバッグ装置4」が、「金属板」で「形成され」た「ホーンプレート31」よりも「乗員側となる上側」に設けられていることは、明らかであり、また、「エアバッグ装置4」がリテーナを備えることは、技術常識であるから、引用発明の「ホーンプレート31」は、「エアバッグ装置4」のリテーナよりも、「乗員側となる上側」とは逆の側すなわち下側に設けられていることも、明らかである。 そして、引用発明の「ホーンプレート31」は、「エアバッグ装置4」のリテーナよりも、「乗員側となる上側」とは逆の側すなわち下側に設けられている構成は、本件発明1の「前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置」する構成に相当する。 キ 引用発明の「自動車のステアリングホイール1」(上記ア)は、「芯金を構成するボスプレート9」、「スポーク部7の芯金7a」及び「リム部5の芯金5a」(上記ウ)と、エアバッグ装置4(上記イ及びカ(ア))と、「ホーンプレート31」(上記エ(ウ)c、e及びカ(イ))と、「固定接点43」及び「可動接点を構成する平板部31a」(上記オ(ウ))と、を備えていることが、明らかである(図1も参照。)。 以上から、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点1> 「乗物の舵角を操作するステアリングホイールにおいて、 前記ステアリングホイールの骨格を形成する芯金と、 前記ステアリングホイールの中央部に配置されるエアバッグモジュールと、 前記芯金の表面に立設された複数の軸部材にそれぞれ挿通される複数の開口部を備えた一枚のみからなるホーンプレートと、 前記芯金に配置された固定接点と前記ホーンプレートに配置された可動接点とにより構成されたホーンスイッチ機構と、を備え、 前記ホーンプレートは前記軸部材に沿って移動可能に構成されており、前記エアバッグモジュールは前記ホーンプレートに固定されており、 前記ホーンプレートは、前記エアバッグモジュールを構成するリテーナの底部の下方に位置している、 ステアリングホイール。」 <相違点1> 本件発明1は、「前記軸部材と前記開口部との間に配置されたダンパ」「を備え」、「前記ダンパは、前記乗物の車体側から前記ステアリングホイールに伝達される振動を前記エアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成している」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記ホーンプレートは、前記複数の開口部が形成された平面部に前記リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。 (2)判断 以下、相違点について検討する ア 相違点1について (ア) 引用文献2について、以下のことがいえる。 a 引用文献2に記載された技術事項1の「ショルダーナット61」は、本件の「軸部材」に相当する(以下、技術事項との対比では、「本件」は、「本件発明9」すなわち「本件発明1を引用する本件発明5を引用する本件発明9」を意味する。)。 同様に、 「ベースプレート81」の「開口部88」は、「ホーンプレート」の「開口部」に、 「ブッシュ部65」は、「ブッシュ」に、 「ダンパースプリング64」は、「ダンパ」に 「ハンドル10」は、「ステアリングホイール」に、 「エアバッグ装置12」は、「エアバッグモジュール」に、 「ダイナミックダンパー」は、「ダイナミックダンパ」に、 「円筒状のダンパー本体64a」は、「略円筒形状の胴部」に、 「フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64b」は、「突出部」に、 「フランジ状に突設された下側のダンパーフランジ部64b」は、「係止部」に、 それぞれ、相当する。 b 上記aの相当関係を踏まえ、本件の用語を( )内に記載すると、引用文献2に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「案内部材としてのショルダーナット61(軸部材)とベースプレート81(ホーンプレート)の開口部88(開口部)との間に、ショルダーナット61(軸部材)を挿着したブッシュ部65(ブッシュ)を介して、配置されたダンパースプリング64(ダンパ)を備え、前記ダンパースプリング64(ダンパ)は、乗物の車体側からハンドル10(ステアリングホイール)に伝達される振動をエアバッグ装置12(エアバッグモジュール)の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパー(ダイナミックダンパ)を構成し」、 「前記ダンパースプリング64(ダンパ)は、前記ショルダーナット61(軸部材)と前記ベースプレート81(ホーンプレート)の開口部88(開口部)との間に配置される円筒状のダンパー本体64a(略円筒形状の胴部)と、ベースプレート81(ホーンプレート)の表面に接触可能に形成されたフランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64b(突出部)と、を有し」、 「前記フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64b(突出部)は、前記円筒状のダンパー本体64a(胴部)に対してフランジ状に形成され」、 「前記円筒状のダンパー本体64a(胴部)と前記フランジ状に突設された上側のダンパーフランジ部64b(突出部)とは、一体に形成され」、 「前記ダンパースプリング64(ダンパ)は、前記ベースプレート81(ホーンプレート)の裏面に係止可能なフランジ状に突設された下側のダンパーフランジ部64b(係止部)を有する」、 「ハンドル10(ステアリングホイール)」。 c したがって、本件の用語を用いると、引用文献2に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「軸部材とホーンプレートの開口部との間に、軸部材を挿着したブッシュを介して、配置されたダンパを備え、前記ダンパは、乗物の車体側からステアリングホイールに伝達される振動をエアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成し」、 「前記ダンパは、前記軸部材と前記ホーンプレートの開口部との間に配置される略円筒形状の胴部と、ホーンプレートの表面に接触可能に形成された突出部と、を有し」、 「前記突出部は、前記胴部に対してフランジ状に形成され」、 「前記胴部と前記突出部とは、一体に形成され」、 「前記ダンパは、前記ホーンプレートの裏面に係止可能な係止部を有する」、 「ステアリングホイール」。 (イ) 引用文献3について、以下のことがいえる。 a 引用文献3に記載された技術事項1の「ガイドピン12」は、本件の「軸部材」に相当する。 同様に、 「第二ホーンプレート21」の「開口部21d」は、「ホーンプレート」の「開 口部」に、 「ブッシュ14」は、「ブッシュ」に、 「弾性体15」は、「ダンパ」に、 「ステアリングホイール」は、「ステアリングホイール」に、 「エアバッグ22を収容するパッド部2」は、「エアバッグモジュール」に、 「ダイナミックダンパー」は、「ダイナミックダンパ」に、 「外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分」(図4参照)は、「略円筒形状の胴部」に、 「略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分」(図4参照)は、「突出部」に、 「略環状の溝部15bより下側の弾性体15の略円筒形状の部分」(図4参照)は、「係止部」に、 それぞれ、相当する。 b 上記aの相当関係を踏まえ、本件の用語を( )内に記載すると、引用文献3に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「ガイドピン12(軸部材)と第二ホーンプレート21(ホーンプレート)の開口部21d(開口部)との間に、ガイドピン12(軸部材)を挿入したブッシュ14(ブッシュ)を介して、配置された弾性体15(ダンパ)を備え、前記弾性体15(ダンパ)は、乗物の車体側からステアリングホイール(ステアリングホイール)に伝達される振動をエアバッグ22を収容するパッド部2(エアバッグモジュール)の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパー(ダイナミックダンパ)を構成し」、 「前記弾性体15(ダンパ)は、前記ガイドピン12(軸部材)と前記第二ホーンプレート21(ホーンプレート)の開口部21d(開口部)との間に配置される外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分(略円筒形状の胴部)と、第二ホーンプレート21(ホーンプレート)の表面に接触可能に形成された略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分(突出部)と、を有し」、 「前記略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分(突出部)は、前記外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分(胴部)に対してフランジ状に形成され」、 「前記外周部に第二ホーンプレート21の開口部21dと係合可能な略環状の溝部15bが形成されている弾性体15の略円筒形状の部分(胴部)と前記略環状の溝部15bより上側の弾性体15の略円筒形状の部分(突出部)とは、一体に形成され」、 「前記弾性体15(ダンパ)は、前記第二ホーンプレート21(ホーンプレート)の裏面に係止可能な略環状の溝部15bより下側の弾性体15の略円筒形状の部分(係止部)を有する」、 「ステアリングホイール(ステアリングホイール)」。 c したがって、本件の用語を用いると、引用文献3に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「軸部材とホーンプレートの開口部との間に、軸部材を挿着したブッシュを介して、配置されたダンパを備え、前記ダンパは、乗物の車体側からステアリングホイールに伝達される振動をエアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成し」、 「前記ダンパは、前記軸部材と前記ホーンプレートの開口部との間に配置される略円筒形状の胴部と、ホーンプレートの表面に接触可能に形成された突出部と、を有し」、 「前記突出部は、前記胴部に対してフランジ状に形成され」、 「前記胴部と前記突出部とは、一体に形成され」、 「前記ダンパは、前記ホーンプレートの裏面に係止可能な係止部を有する」、 「ステアリングホイール」。 (ウ) 引用文献4について、以下のことがいえる。 a 引用文献4に記載された技術事項1の「ガイド軸23」は、本件の「軸部材」に相当する。 同様に、 「ブラケット27」の「開口部」は、「ホーンプレート」の「開口部」に、 「スライダ24」は、「ブッシュ」に、 「ダンパースプリング26」は、「ダンパ」に 「ステアリングホイール11」は、「ステアリングホイール」に、 「エアバッグモジュール20」は、「エアバッグモジュール」に、 「ダイナミックダンパー」は、「ダイナミックダンパ」に、 「ブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分」は、「略円筒形状の胴部」に、 「ブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分」は、「突出部」に、 「ブラケット27が嵌合する溝26aよりも下側のダンパースプリング26の円筒形状の下側部分」は、「係止部」に、 それぞれ、相当する。 b 上記aの相当関係を踏まえ、本件の用語を( )内に記載すると、引用文献4に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「ガイド軸23(軸部材)とブラケット27(ホーンプレート)の開口部(開口部)との間に、ガイド軸23(軸部材)を挿入したスライダ24(ブッシュ)を介して、配置されたダンパースプリング26(ダンパ)を備え、前記ダンパースプリング26(ダンパ)は、乗物の車体側からステアリングホイール11(ステアリングホイール)に伝達される振動をエアバッグモジュール20(エアバッグモジュール)の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパー(ダイナミックダンパ)を構成し」、 「前記ダンパースプリング26(ダンパ)は、前記ガイド軸23(軸部材)と前記ブラケット27(ホーンプレート)の開口部(開口部)との間に配置されるブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分(略円筒形状の胴部)と、ブラケット27(ホーンプレート)の表面に接触可能に形成されたブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分(突出部)と、を有し」、 「前記ブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分(突出部)は、前記ブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分(胴部)に対してフランジ状に形成され」、 「前記ブラケット27が嵌合する溝26aを外周に形成したダンパースプリング26の円筒形状の部分(胴部)と前記ブラケット27が嵌合する溝26aよりも上側のダンパースプリング26の円筒形状の上側部分(突出部)とは、一体に形成され」、 「前記弾性体15(ダンパ)は、前記ブラケット27(ホーンプレート)の裏面 に係止可能なブラケット27が嵌合する溝26aよりも下側のダンパースプリング26の円筒形状の下側部分(係止部)を有する」、 「ステアリングホイール11(ステアリングホイール)」。 c したがって、本件の用語を用いると、引用文献4に記載された技術事項1は、以下のとおりである。 「軸部材とホーンプレートの開口部との間に、軸部材を挿着したブッシュを介して、配置されたダンパを備え、前記ダンパは、乗物の車体側からステアリングホイールに伝達される振動をエアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成し」、 「前記ダンパは、前記軸部材と前記ホーンプレートの開口部との間に配置される略円筒形状の胴部と、ホーンプレートの表面に接触可能に形成された突出部と、を有し」、 「前記突出部は、前記胴部に対してフランジ状に形成され」、 「前記胴部と前記突出部とは、一体に形成され」、 「前記ダンパは、前記ホーンプレートの裏面に係止可能な係止部を有する」 「ステアリングホイール」。 (エ) 引用文献2に記載された技術事項1、引用文献3に記載された技術事項1、及び、引用文献4に記載された技術事項1は、上記(ア)c、(イ)c及び(ウ)cで述べたとおりであって、同じ技術事項であり、周知技術である。 そうすると、上記(ア)c、(イ)c及び(ウ)c等で述べたとおり、上記周知技術は、「軸部材とホーンプレートの開口部との間に、軸部材を挿入したブッシュを介して、配置されたダンパを備え、前記ダンパは、乗物の車体側からステアリングホイールに伝達される振動をエアバッグモジュールの共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成」する「ステアリングホイール」の技術事項を含むものである。 したがって、引用発明の「ステアリングホイール1」に、上記の周知技術に含まれる上記の技術事項を適用して、引用発明において、「芯金を構成するボスプレート9」の表面に立設され「ホーンプレート31に組み付けられる4組の支持部材としての段付ボルト32」(軸部材)と、「ホーンプレート31」(ホーンプレート)の「平板部31aの四隅の角部の近傍に」「それぞれ」「形成され」た「円孔状の支持孔31f」(開口部)との間に、それぞれ、前記「段付ボルト32」(軸部材)を「内側に」「摺動自在に挿入し」た「上部スペーサ33」(挿入したブッシュ)を介して、配置されたダンパを備えるようにすることで、そのダンパは、乗物の車体側から「ステアリングホイール1」(ステアリングホイール)に伝達される振動を「エアバッグ装置4」(エアバッグモジュール)の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパを構成するようにして、上記相違点1に係る本件発明1の構成を想到することは当業者が容易になし得たといえる。 イ 相違点2について (ア) a 引用文献2(摘記(2c)の段落【0026】、【0027】)には、「第1のリテーナ31」(本件発明1の「ホーンプレート」に相当。)が、「第1の取付孔41b」を備えることが記載されているが、「第1のリテーナ31の第1の取付孔41b」は、「ボルト51」が「挿入され」るものであって、爪部が挿入される挿通孔ではなく、第1のリテーナ31が、リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている構成は、記載されていない。 b 引用文献3(摘記(3b)の段落【0024】)には、「エアバッグ22」が、「インフレータ25と一緒に第二ホーンプレート21に固定され」ることが記載されているが、固定する手段についての具体的な記載はなく、図1等を参照しても、第二ホーンプレート21(本件発明1の「ホーンプレート」に相当。)が、リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている構成は、記載されていない。 c 引用文献4(摘記(4c)の段落【0039】)には、「第1リテーナ30の内周部がボルト32…およびナット33…でインフレータ28のフランジ28aに固定され」ることが記載され、「第1リテーナ30」(本件発明1の「ホーンプレート」に相当。)の内周部に、「ボルト32」が挿入される挿通孔が設けられていることは明らかであるが(図9も参照。)、当該挿通孔は、爪部が挿入される挿通孔ではなく、第1のリテーナ30が、リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネと、を備えている構成は、記載されていない。 d 引用文献5及び引用文献6のいずれにも、ホーンプレートは記載されておらず、ホーンプレートが備える、リテーナの底部に形成された爪部が挿入される挿通孔と、該挿通孔に挿入された前記爪部に係止する屈曲バネも、記載されていない。 (イ) 上記(ア)のとおりであって、引用文献2ないし6には、上記相違点2に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。 (ウ) したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。 ウ 小括 上記イのとおりであるから、本件発明1は、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2-2 本件発明2~13について 本件発明2~13は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2-3 まとめ したがって、本件発明1~13は、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 よって、本件発明1~13に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第5の2 取消理由2について 訂正前の請求項10の「前記樹脂層」は、「前記」に対応する構成が存在していないため明確でないところ、上記第2 1(2)及び2(2)で述べたとおり、訂正事項2により訂正され、「前記ホーンプレートは、前記開口部の縁部並びに該縁部周辺の表面及び裏面を被覆するように形成された樹脂層を有し、該樹脂層」となったから、明確になった。 よって、本件の特許請求の範囲の請求項10の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものであるから、本件の請求項10に係る特許は、同法第36条第6項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2020-700511

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