特許訂正審判
2020-390076
ヒト化されたCLUSTER OF DIFFERENTIATION 47遺伝子を有する非ヒト動物
- 審判番号
- 2020-390076
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-526681
- 登録番号
- 特許第6730277号(P6730277)
- 請求日
- 2020年08月24日
- 審決日
- 2020年09月30日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 審判長/審判官
- 審判長 森井 隆信
- 審判官 小暮 道明
- 審判官 山本 晋也
- 分類
- P141 .853-Y (A01K) / P141 .841-Y (A01K) / P141 .854-Y (A01K) / P141 .855-Y (A01K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6730277号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6730277号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔11-12〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6730277号は、平成27年11月25日を国際出願日(パリ条約による優先権主張 2014年12月5日 米国)として出願され、その請求項1~16に係る発明について令和2年7月6日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和2年8月24日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第6730277号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項11~12について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、本件審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、概ね、以下の訂正事項1及び2のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項11の(i)に記載される「前記ヒトCD47ポリペプチドの前記一部は、前記ヒトCD47ポリペプチドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを備え、そして、ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7によってコードされ」を「前記ヒトCD47ポリペプチドの前記一部は、前記ヒトCD47ポリペプチドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを備え、そして、前記ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7によってコードされ」に訂正する(請求項11の記載を直接引用する請求項12も同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11の(i)(a)に記載される「それによりヒト化CD47遺伝子を前記内因性齧歯類CD47遺伝子座において形成すること」を「それにより前記ヒト化CD47遺伝子を前記内因性齧歯類CD47遺伝子座において形成すること」に訂正する(請求項11の記載を直接引用する請求項12も同様に訂正する。)。
第3 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1について
本件訂正前の請求項11には、
「(i)齧歯類ゲノムを、改変されたゲノムがヒト化CD47遺伝子を備えるように改変することであって、
前記ヒト化CD47遺伝子は、ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7および齧歯類CD47遺伝子のエクソン7の下流のエクソンを備え;
前記ヒト化CD47遺伝子は、ヒトCD47ポリペプチドの一部および齧歯類CD47ポリペプチドの細胞内部分を備えるヒト化CD47ポリペプチドをコードし;
前記ヒトCD47ポリペプチドの前記一部は、前記ヒトCD47ポリペプチドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを備え、そして、ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7によってコードされ;
前記齧歯類CD47ポリペプチドの前記細胞内部分が、前記齧歯類CD47遺伝子のエクソン7の下流のエクソンによってコードされており;そして
前記ヒト化CD47遺伝子は、内因性齧歯類CD47遺伝子座において内因性齧歯類CD47プロモーターに動作可能なように連結されており、
前記齧歯類がマウスまたはラットであり」(下線は当審による。)と記載されている。
上記記載には、「ヒト化CD47遺伝子」、「ヒトCD47遺伝子」、「齧歯類CD47遺伝子」、「ヒトCD47ポリペプチド」及び「齧歯類CD47ポリペプチド」との文言がそれぞれ複数か所存在する。そして、上記記載において、「ヒトCD47遺伝子」以外の文言については、初出のもの以外は全て「前記」と修飾されており、初出のものを指していることが明確化されている。一方、2か所ある「ヒトCD47遺伝子」との文言については、後に記載された「ヒトCD47遺伝子」(以下「後出の『ヒトCD47遺伝子』」という。)との文言に、「前記」との修飾がなされていない。
ここで、上記のとおり、「ヒトCD47遺伝子」以外の文言について、初出のもの以外が全て「前記」と修飾されており、初出のものを指していることが明確化されていることを考慮すると、「前記」との修飾がなされていない、後出の「ヒトCD47遺伝子」との文言が、他の文言と同様に初出の「ヒトCD47遺伝子」を指しているのかは明確ではなくなっており、むしろ、初出の「ヒトCD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地を生じさせてしまっているといえる。
以上からみて、後出の「ヒトCD47遺伝子」との文言の意味する範囲は明確ではない。
(2)訂正事項2について
本件訂正前の請求項11には、前記(1)で示した記載に続いて、
「 前記改変することが、
(a)齧歯類胚性幹細胞の内因性齧歯類CD47遺伝子座にゲノム断片を挿入することであって、前記ゲノム断片はヒトCD47遺伝子のエクソン2~7を備えており、それによりヒト化CD47遺伝子を前記内因性齧歯類CD47遺伝子座において形成すること、および
(b)(a)のヒト化CD47遺伝子を備える齧歯類胚性幹細胞を得ること
を含む、こと;ならびに
(ii)(i)(b)の齧歯類胚性幹細胞を使用して齧歯類を生成すること
を含む、方法。」(下線は当審による。)と記載されている。
前記(1)で示した請求項11の記載も考慮すれば、請求項11には、「ヒト化CD47遺伝子」との文言が6か所存在するといえるところ、前記(1)で示した、請求項11において初出の「ヒト化CD47遺伝子」との文言に続く3か所の「ヒト化CD47遺伝子」(以下「前半3か所の『ヒト化CD47遺伝子』」という。)との文言については、全て「前記」と修飾されており、初出のものを指していることが明確化されている。一方、ここで示した2か所の「ヒト化CD47遺伝子」(以下「後半2か所の『ヒト化CD47遺伝子』」という。)との文言については、(b)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」との文言が、「(a)のヒト化CD47遺伝子」と記載されていることから、(a)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」を指しているとはいえるものの、(a)に記載された「ヒトCD47遺伝子」との文言には、「前記」などとの修飾がなされていない。
そして、上記のとおり、前半3か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言が全て「前記」と修飾されており、初出のものを指していることが明確化されていることを考慮すると、「前記」などとの修飾がなされていない、(a)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」との文言が、前半3か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言と同様に、初出の「ヒト化CD47遺伝子」を指しているのかは明確ではなくなっており、むしろ、初出の「ヒト化CD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地を生じさせてしまっているといえる。また、(b)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」との文言についても、 (a)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」を指していることが明確なだけであるから、(a)に記載された「ヒト化CD47遺伝子」との文言と同様に、初出の「ヒト化CD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地を生じさせてしまっているといえる。
以上からみて、後半2か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言の意味する範囲は明確ではない。
(3)訂正の目的について
前記(1)及び(2)の検討結果からみて、本件訂正前の請求項11における、後出の「ヒトCD47遺伝子」、及び後半2か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言の意味する範囲は明確ではない。
そして、本件訂正前の請求項11の「前記ヒトCD47ポリペプチドの前記一部は、前記ヒトCD47ポリペプチドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを備え、そして、ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7によってコードされ」との記載を、「前記ヒトCD47ポリペプチドの前記一部は、前記ヒトCD47ポリペプチドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを備え、そして、前記ヒトCD47遺伝子のエクソン2~7によってコードされ」と訂正し、また、本件訂正前の請求項11の「それによりヒト化CD47遺伝子を前記内因性齧歯類CD47遺伝子座において形成すること」との記載を、「それにより前記ヒト化CD47遺伝子を前記内因性齧歯類CD47遺伝子座において形成すること」と訂正する訂正事項1及び2は、本件訂正前の請求項11において、後出の「ヒトCD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒトCD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、初出の「ヒトCD47遺伝子」を指していることを明確化し、また、後半2か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒト化CD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、前半3か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言と同様に、初出の「ヒト化CD47遺伝子」を指していることを明確化するものであるといえる。
また、本件特許の明細書に、上記のように明確化することを妨げる記載や、矛盾する記載は存在しない。
以上からみて、訂正事項1及び2は、特許法126条1項ただし書き3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
2 願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であること
前記1(3)で検討したとおり、本件訂正前の請求項11において、後出の「ヒトCD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒトCD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、初出の「ヒトCD47遺伝子」を指していることを明確化し、また、後半2か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒト化CD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、初出の「ヒト化CD47遺伝子」を指していることを明確化するという訂正事項1及び2は、「願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項の規定に適合する。
3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
前記1(3)で検討したとおり、本件訂正前の請求項11において、後出の「ヒトCD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒトCD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、初出の「ヒトCD47遺伝子」を指していることを明確化し、また、後半2か所の「ヒト化CD47遺伝子」との文言が、初出の「ヒト化CD47遺伝子」に加え、それ以外のものをも意味していると解する余地をなくして、初出の「ヒト化CD47遺伝子」を指していることを明確化するという訂正事項1及び2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。
第3 むすび
以上からみて、本件訂正審判の請求は、特許法126条1項ただし書3号に規定する事項を目的とし、かつ、同条5項及び6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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