特許訂正審判
2024-390124
ヒスチジン操作された軽鎖抗体およびこれを作製するための遺伝子改変された非ヒト動物
- 審判番号
- 2024-390124
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2017-052358
- 登録番号
- 6574802
- 請求日
- 2024年10月29日
- 審決日
- 2024年12月17日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 浩
- 審判官 北田 祐介
- 審判官 深草 亜子
- 分類
- P141 .852-Y (A01K) / P141 .853-Y (A01K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6574802号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6574802号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[2~4]、[20]、[21~37]について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許第6574802号は、平成25年 3月15日(パリ条約による優先権主張 2012年 3月16日 (US)アメリカ合衆国 2012年12月13日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2015-500639号の一部を平成29年 3月17日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1~37に係る発明について、令和 1年 8月23日に特許権の設定登録がされ、その後、令和 6年10月29日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件請求の趣旨は、特許第6574802号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2~4及び20~37について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
2 訂正の内容
請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項2に記載される「前記単一の、再構成されたヒト軽鎖免疫グロブリン可変領域遺伝子配列」を、「前記単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項20に記載される「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列内の前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによりコードされるアミノ酸位置において、置換された少なくとも1つのヒスチジンを含む」を、「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列内の前記ヒスチジンコドンによりコードされるアミノ酸位置において少なくとも1つのヒスチジンを含む」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項21の(i)および(ii)に記載される「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」を、「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項35に記載される「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」を、「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」に訂正する。
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
特許請求の範囲の請求項3~4は、請求項2を直接又は間接的に引用するから、特許請求の範囲の請求項2~4は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
特許請求の範囲の請求項20を引用する請求項は存在しない。
また、特許請求の範囲の請求項22~37は、請求項21を直接又は間接的に引用するから、特許請求の範囲の請求項21~37は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項2の「前記単一の、再構成されたヒト軽鎖免疫グロブリン可変領域遺伝子配列」との記載に対応する「単一の、再構成されたヒト軽鎖免疫グロブリン可変領域遺伝子配列」は、訂正前の請求項2のこれより前、及び、訂正前の請求項2が引用する請求項1には記載されていない。
その一方で、請求項1にはこれに近い記載として「単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」が記載されているので、訂正前の請求項2の「前記単一の、再構成されたヒト軽鎖免疫グロブリン可変領域遺伝子配列」との記載が、「前記単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」との記載の誤記であることは明らかである。
よって、訂正事項1は、誤った記載である「前記単一の、再構成されたヒト軽鎖免疫グロブリン可変領域遺伝子配列」を、正しい記載である「前記単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」に訂正するものである。
そうすると、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
「単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」は、願書に最初に添付した外国語書面の翻訳文の[0011]、[0016]、[0023]等に記載されているから、訂正事項1は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項1は、誤記を訂正するものであり、本件発明の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項2~4に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせないから、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
3.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項20の「前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによりコードされるアミノ酸位置」との記載中の「前記少なくとも1つのヒスチジンコドン」に対応する「少なくとも1つのヒスチジンコドン」は、訂正前の請求項20のこれより前、及び、訂正前の請求項20が引用する請求項1には記載されていない。
その一方で、訂正前の請求項20が引用する請求項1にはこれに近い記載として「ヒスチジンコドン」が記載されているから、訂正前の請求項20の「前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによりコードされるアミノ酸位置」との記載は、「前記ヒスチジンコドンによりコードされるアミノ酸位置」の意であることが明らかである。
次に、訂正前の請求項20の「、置換された少なくとも1つのヒスチジンを含む」との記載については、「、置換された」という記載があることによって、含まれるアミノ酸残基がヒスチジンであるのか、ヒスチジンから置換された他のアミノ酸残基であるのかが不明瞭になっているところ、「、置換された」との記載が削除されることにより前者の意であることが明瞭になる。
そうすると、訂正事項2は、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
「ヒスチジンコドン」は、願書に最初に添付した外国語書面の翻訳文の[0011]、[0013]、[0016]、[0019]、[0020]に記載されているから、訂正事項2のうち、「前記ヒスチジンコドン」との記載に関する部分は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
ヒスチジンコドンの位置において「ヒスチジンを発現する」ことは、願書に添付した明細書の[0013]、[0019]、[0020]、[0052]等に記載されており、ヒスチジンコドンの位置においてヒスチジンを発現することは、ヒスチジンコドンの位置においてヒスチジンを含むことと同義であるから、訂正事項2のうち、「少なくとも1つのヒスチジンを含む」との記載に関する部分は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項2は、誤記の訂正及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、本件発明の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項2による訂正後の特許請求の範囲の請求項20に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせないから、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
4.訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項21の(i)、(ii)の「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」との記載に対応する「単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」は、訂正前の請求項21のこれより前に記載されていない。
その一方、訂正前の請求項21の(i)、(ii)より前には、これに近い記載として「単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」が記載されているので、請求項21の(i)、(ii)の「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」との記載は、「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」との記載の誤記であることが明らかである。
よって、訂正事項3は、誤った記載である「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」を、正しい記載である「該単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」に訂正するものである。
そうすると、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
「単一の、再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」は、願書に最初に添付した外国語書面の翻訳文の[0011]、[0016]、[0023]等に記載されているから、訂正事項3は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項3は、誤記を訂正するものであり、本件発明の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項3による訂正後の特許請求の範囲の請求項21~37に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせないから、訂正事項3は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
5.訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項35には、「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」と記載されているが、当該記載中の「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」(2箇所記載がある。)との記載に対応する「免疫グロブリン軽鎖可変領域配列」は、訂正前の請求項35のこれより前、及び、訂正前の請求項35が引用する請求項21には記載されていない。
その一方、請求項21にはこれに近い記載として「免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」が記載されているので、訂正前の請求項35の「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」との記載は、「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」との記載の誤記であることが明らかである。
よって、訂正事項4は、誤った記載である「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」を、正しい記載である「前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列において置換された前記少なくとも1つのヒスチジンコドンによってコードされるアミノ酸位置に少なくとも1つのヒスチジンを含み、前記免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が対応するヒト生殖細胞系列のVL遺伝子配列およびJL遺伝子配列によってコードされない少なくとも1つのヒスチジンコドンを含む」に訂正するものである。
そうすると、訂正事項4は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
「免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列」は、願書に最初に添付した外国語書面の翻訳文の[0011]、[0016]、[0023]等に記載されているから、訂正事項4は、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかであり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
上記(1)で述べたとおり、訂正事項4は、誤記を訂正するものであり、本件発明の内容を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項4による訂正後の特許請求の範囲の請求項35に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由は見いだせないから、訂正事項4は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-390124