特許拒絶査定不服審判
2020-003288
アプリケーション生成支援システムおよびアプリケーション生成支援プログラム
- 審判番号
- 2020-003288
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-116465外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年03月10日
- 審決日
- 2021年01月22日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社三菱UFJ銀行
- 【請求人代理人】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
- 分類
- P18 .121-WZ (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-116465「アプリケーション生成支援システムおよびアプリケーション生成支援プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 1月17日出願公開,特開2019- 8795〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成29年6月26日に出願した特願2017-124385号(以下,「原出願」という。)の一部を平成30年6月19日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 6月19日 :出願審査請求書の提出
令和 1年 7月 2日付け:拒絶理由通知
令和 1年 8月27日 :意見書の提出
令和 1年12月 5日付け:拒絶査定
令和 2年 3月10日 :審判請求書の提出
令和 2年 8月17日 :拒絶理由通知
令和 2年10月 9日 :意見書、手続補正書の提出(以下,この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりである。
「通信端末の動作を規定する複数のテンプレートを互いに関連付ける関連付け部と、
前記関連付け部によって関連付けられた前記複数のテンプレートによって規定された動作が前記通信端末のアプリケーション上で正常に行われるように、前記テンプレートの一部を更新する更新部と、
を有するアプリケーション生成支援システム。」
第3 拒絶の理由
令和2年8月17日付けの当審が通知した拒絶理由のうちの理由3(1)は,次のとおりのものである。
本願発明は,原出願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基づいて,原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用文献1:村山優弥,紫合治,“iPhoneアプリとAndroidアプリの同時開発支援システム”,情報処理学会研究報告 ソフトウェア工学(SE) 2015-SE-187,情報処理学会,2015年3月5日,p.1~8
第4 引用文献等の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載及び引用発明
(1)引用文献1には,以下の技術的事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)
A 「2.研究背景
ここではAndroidアプリケーションとiOSアプリケーションを同時に作成するシステムとその手法について述べる.異なる二つのアプリケーションを同時に作成することによって開発の二度手間を無くし開発者の負担を減らすことを目的とする.
(1)AndroidとiPhoneの相違点
AndroidとiPhoneは同じスマートフォンであれどもその仕組みは大きく異なっている.AndroidはGoogleが中心に開発を行っているスマートフォン用のOS,Androidを搭載した携帯端末のことである.」(第1頁右欄第16行~第2頁左欄第3行)
B 「6.変換方式
ここでは作成したアプリケーションの基盤を各ソースコードに変換する方式を説明する.本ツールではプロパティの値をAndroidテンプレート(図14),iPhoneテンプレート(図15)にそれぞれ代入し変数登録欄,処理記述欄と組み合わせることで各ソースコードへと変換する.」(第6頁右欄第22行~第27行)
C 「テンプレートの中身はアプリケーションのソースコードを分割したものになっている.代入を行う箇所は$で囲まれた数字で穴埋めされており,それぞれ対応したプロパティの値が入る.テンプレートは必要に応じて繰り返し使われるものもある.プロパティに何も値が入力されていない場合はテンプレートに対応する行が出力されない.現在Androidテンプレートは全19個,iPhoneのテンプレートは全26個存在している.」(第6頁右欄第28行~第7頁左欄第5行)
D 「これらのテンプレートはメソッドごとではなく役割に応じて分割されている.Androidテンプレートでソースコードを作成する場合の流れが図16である.初めにpackage文,import文に加え,生成したソースコードの使い方の説明とクラスの宣言,ボードの背景画像,背景色,スマートフォンの画面サイズの取得とグリッドの設定を行うコードが一つのテンプレートとなる.その次にウィジェットを宣言するテンプレートを組み合わせる.このテンプレートはボード上に作成したウィジェットの数だけ繰り返される.この後に変数登録欄で記述したソースコードが組み合わさる.その次のテンプレートは宣言したウィジェットをレイアウトに貼り付けるコードでこれもウィジェットの数だけ繰り返されたのち,次のテンプレートに移行する.その次のテンプレートは宣言したウィジェットの要素をプロパティの数だけ繰り返し設定する.そのあとにそれぞれのウィジェットのイベント処理のテンプレートが組み合わされる.このテンプレートはコンボボックスに存在するメソッドの数だけ繰り返される.そしてこのテンプレートの中に処理記述欄のソースコードが組み込まれる.最後にこのボードクラスを閉じるテンプレートが組み合わさり一つのボードのソースコードファイルが完成する.この例が大まかなソースコード作成の流れである.実際はこれらのテンプレートに加え,各クラスを閉じるテンプレートやプロパティで設定した機能に応じたテンプレートが必要に応じて組み込まれる.この流れをDorufonで作成したボードの数だけ繰り返すことでアプリケーション全体のソースコードが完成する.」(第7頁左欄第6行~第32行)
E 「図16 Androidテンプレートによるソースコード生成の流れ
」(第7頁右欄)
(2)上記A~Eの特に下線部の記載から,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「Androidアプリケーションを作成するシステムであって,
Androidはスマートフォン用のOSであり,
作成したアプリケーションの基盤を各ソースコードに変換する方式は,プロパティの値をAndroidテンプレートに代入し変数登録欄,処理記述欄と組み合わせることで各ソースコードへと変換するものであり,
テンプレートの中身はアプリケーションのソースコードを分割したものになっており,これらのテンプレートは役割に応じて分割されているものであり,
Androidテンプレートでソースコードを作成する場合の流れは,
初めにpackage文,import文に加え,生成したソースコードの使い方の説明とクラスの宣言,ボードの背景画像,背景色,スマートフォンの画面サイズの取得とグリッドの設定を行うコードが一つのテンプレートとなり,
その次にウィジェットを宣言するテンプレートを組み合わせるものであり,このテンプレートはボード上に作成したウィジェットの数だけ繰り返されるものであり,
その次のテンプレートは宣言したウィジェットをレイアウトに貼り付けるコードでこれもウィジェットの数だけ繰り返されたのち,次のテンプレートに移行するものであり,
その次のテンプレートは宣言したウィジェットの要素をプロパティの数だけ繰り返し設定するものであり,
そのあとにそれぞれのウィジェットのイベント処理のテンプレートが組み合わされるものであり,このテンプレートはコンボボックスに存在するメソッドの数だけ繰り返されるものであり,
最後にこのボードクラスを閉じるテンプレートが組み合わさり一つのボードのソースコードファイルが完成する,
Androidアプリケーションを作成するシステム。」
2 参考文献の記載事項及び技術
(1)原出願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である,国際公開第2017/017836号(2017年2月2日国際公開。以下,「参考文献」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。
F 「[0003] この運用自動化ソフトウェアは、処理内容が定義されたコンポーネントと呼ばれるモジュールを複数組み合せて作成した処理手順(以下、これをサービステンプレートと呼ぶ)に従って、かかる個々のコンポーネントの処理を順番に実行することにより、ストレージ装置やサーバ装置に対する一連のオペレーションを実行するソフトウェアである。」
G 「[0020] (1)本実施の形態による情報処理システムの構成
図1は、本実施の形態による情報処理システムを示す。この情報処理システム1は、データセンタや企業内に設けられたITシステム2と、ITシステム2の運用及び管理等を行う運用自動化装置3とを備え、これらがネットワーク4を介して接続されて構成されている。」
H 「[0022] 運用自動化装置3は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10、主記憶装置11、補助記憶装置12、入力装置13及び表示装置14などのハードウェア資源を備えたコンピュータ装置であり、パーソナルコンピュータ、ワークステーション又はメインフレームなどから構成される。
I 「[0024] 補助記憶装置12は、例えばハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの大容量の記憶装置から構成され、各種プログラムや各種制御データを長期間保持するために利用される。補助記憶装置12には、上述した運用自動化ソフトウェア15のほか、当該運用自動化ソフトウェア15の開発者やユーザにより作成された複数の上述のサービステンプレート16と、複数のプロパティ設定ルール情報17とが格納される。プロパティ設定ルール情報17の詳細については、後述する。」
J 「[0050] 以上の点を考慮して、本実施の形態の運用自動化装置3には、サービステンプレート16を作成又は更新した場合に、そのとき作成又は更新され(当審注:「更新され」は「更新された」の誤記であると認められる。)サービステンプレート16におけるコンポーネントの組合せを判定し、いずれかのコンポーネントのいずれかのプロパティ値を通常時と異なる値に設定する必要がある場合には、そのような値にそのプロパティ値を設定するプロパティ設定機能が搭載されている。」
K 「[0096] 従って、本情報処理システム1によれば、コンポーネント間に実質的な影響関係が存在する場合に、必要なプロパティ定義が不足し、意図しないサービス動作になるという事態や、コンポーネント間に実質的な影響関係がなくなった場合に、不要なプロパティ定義が残ったままとなり、意図しないサービス動作になるという事象が発生する事態の発生を未然かつ有効に防止することができ、かくして信頼性高くITシステム2を運用することができる。」
L 「図1
」
M 「図2
」
(2)上記F~Mの特に下線部の記載から,参考文献には次の技術が記載されているといえる。
「運用自動化ソフトウェアは,処理内容が定義されたコンポーネントと呼ばれるモジュールを複数組み合せて作成した処理手順(以下,これをサービステンプレートと呼ぶ)に従って,かかる個々のコンポーネントの処理を順番に実行するソフトウェアであり,
情報処理システムは,運用自動化装置を備え,
前記運用自動化装置は,補助記憶装置を備えたコンピュータ装置であり,
前記補助記憶装置には,前記運用自動化ソフトウェアが格納されており,
前記運用自動化装置には,サービステンプレートを作成又は更新した場合に,そのとき作成又は更新されたサービステンプレートにおけるコンポーネントの組合せを判定し,いずれかのコンポーネントのいずれかのプロパティ値を通常時と異なる値に設定する必要がある場合には,そのような値にそのプロパティ値を設定するプロパティ設定機能が搭載されており,
情報処理システムは,コンポーネント間に実質的な影響関係が存在する場合に,必要なプロパティ定義が不足し,意図しないサービス動作になるという事態や,コンポーネント間に実質的な影響関係がなくなった場合に,不要なプロパティ定義が残ったままとなり,意図しないサービス動作になるという事象が発生する事態の発生を未然かつ有効に防止することができる,
情報処理システム。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明は「Androidアプリケーションを作成するシステム」であり,アプリケーションの作成を支援するシステムといえるから,本願発明と引用発明とは,“アプリケーション生成支援システム”である点で一致している。
イ 引用発明は,「Androidアプリケーションを作成するシステム」であるところ,「Androidはスマートフォン用のOSであり」,「スマートフォン」は“通信端末”に他ならないから,引用発明の「Androidアプリケーション」は,“通信端末”の“アプリケーション”であるといえる。
そして,引用発明では,「作成したアプリケーションの基盤を各ソースコードに変換する方式」において,「テンプレート」を用いているところ,「テンプレートの中身はアプリケーションのソースコードを分割したものになっており,これらのテンプレートは役割に応じて分割されているもの」であるから,引用発明の「テンプレート」は,“通信端末”の“アプリケーション”を役割に応じて分割したものであって,“通信端末の動作を規定するテンプレート”であるといえる。
そして,引用発明の「Androidテンプレートでソースコードを作成する場合の流れ」は,
「初めにpackage文,import文に加え,生成したソースコードの使い方の説明とクラスの宣言,ボードの背景画像,背景色,スマートフォンの画面サイズの取得とグリッドの設定を行うコードが一つのテンプレートとなり,
その次にウィジェットを宣言するテンプレートを組み合わせるものであり,このテンプレートはボード上に作成したウィジェットの数だけ繰り返されるものであり,
その次のテンプレートは宣言したウィジェットをレイアウトに貼り付けるコードでこれもウィジェットの数だけ繰り返されたのち,次のテンプレートに移行するものであり,
その次のテンプレートは宣言したウィジェットの要素をプロパティの数だけ繰り返し設定するものであり,
そのあとにそれぞれのウィジェットのイベント処理のテンプレートが組み合わされるものであり,このテンプレートはコンボボックスに存在するメソッドの数だけ繰り返されるものであり,
最後にこのボードクラスを閉じるテンプレートが組み合わさり一つのボードのソースコードファイルが完成する」
ものである。
してみると,引用発明は,「Androidテンプレートでソースコードを作成する」際に,「初めにpackage文,(中略)一つのテンプレートとなり」,「その次にウィジェットを宣言するテンプレートを組み合わせるものであり,このテンプレートはボード上に作成したウィジェットの数だけ繰り返され」,「その次のテンプレートは宣言したウィジェットをレイアウトに貼り付けるコードでこれもウィジェットの数だけ繰り返され」,「その次のテンプレートは宣言したウィジェットの要素をプロパティの数だけ繰り返し設定するものであり」,「そのあとにそれぞれのウィジェットのイベント処理のテンプレートが組み合わされるものであり,このテンプレートはコンボボックスに存在するメソッドの数だけ繰り返され」,「最後にこのボードクラスを閉じるテンプレートが組み合わ」せるものであるから,引用発明は,“複数のテンプレート”を組み合わせてアプリケーションを作成するものであることは明らかであって,また,“複数のテンプレート”を組み合わせることは,“複数のテンプレート”を“互いに関連付ける”ことといえるから,引用発明は,“複数のテンプレートを互いに関連付ける関連付け部”を実質的に備えているといえる。
そして,前述したように,引用発明の「テンプレート」は,“通信端末の動作を規定するテンプレート”といえるものであるから,結局,本願発明と引用発明とは,“通信端末の動作を規定する複数のテンプレートを互いに関連付ける関連付け部”を有する点で一致しているといえる。
ウ 引用発明は,「プロパティの値をAndroidテンプレートに代入し変数登録欄,処理記述欄と組み合わせることで各ソースコードへと変換する」ものであるところ,「プロパティの値をAndroidテンプレートに代入」することは,プロパティの値が代入されていないテンプレートに,プロパティの値を代入することを意味するものであるから,テンプレートのうちプロパティの値が代入されていない部分を,プロパティの値を代入することによって“更新”しているといえ,引用発明は,“テンプレートの一部を更新する更新部”を実質的に備えているといえる。
よって,本願発明と引用発明とは,後記の点で相違するものの,“テンプレートの一部を更新する更新部”を備える点で一致している。
したがって,本願発明と引用発明とは以下の点で一致し,以下の点で相違する。
<一致点>
「通信端末の動作を規定する複数のテンプレートを互いに関連付ける関連付け部と,
前記テンプレートの一部を更新する更新部と,
を有するアプリケーション生成支援システム。」
<相違点>
テンプレートの一部を更新する更新部に関して,本願発明は,「前記関連付け部によって関連付けられた前記複数のテンプレートによって規定された動作が前記通信端末のアプリケーション上で正常に行われるように」テンプレートの一部を更新するものであるのに対して,引用発明は,そのような特定がなされていない点。
第6 判断
上記相違点について,判断する。
上記「第4 2(2)」に示したとおり,上記参考文献には,以下の技術が記載されている(再掲)。
「運用自動化ソフトウェアは,処理内容が定義されたコンポーネントと呼ばれるモジュールを複数組み合せて作成した処理手順(以下,これをサービステンプレートと呼ぶ)に従って,かかる個々のコンポーネントの処理を順番に実行するソフトウェアであり,
情報処理システムは,運用自動化装置を備え,
前記運用自動化装置は,補助記憶装置を備えたコンピュータ装置であり,
前記補助記憶装置には,前記運用自動化ソフトウェアが格納されており,
前記運用自動化装置には,サービステンプレートを作成又は更新した場合に,そのとき作成又は更新されサービステンプレートにおけるコンポーネントの組合せを判定し,いずれかのコンポーネントのいずれかのプロパティ値を通常時と異なる値に設定する必要がある場合には,そのような値にそのプロパティ値を設定するプロパティ設定機能が搭載されており,
情報処理システムは,コンポーネント間に実質的な影響関係が存在する場合に,必要なプロパティ定義が不足し,意図しないサービス動作になるという事態や,コンポーネント間に実質的な影響関係がなくなった場合に,不要なプロパティ定義が残ったままとなり,意図しないサービス動作になるという事象が発生する事態の発生を未然かつ有効に防止することができる,
情報処理システム。」
ここで,参考文献に記載の「ソフトウェア」は,「コンポーネントと呼ばれるモジュールを複数組み合せて作成した処理手順」である「サービステンプレート」「に従って」,「個々のコンポーネントの処理を順番に実行する」ものであるから,参考文献に記載の「コンポーネント」は,ソフトウェアが順番に実行する個々の処理を規定したものであって,ソフトウェアの個々の処理を規定する“テンプレート”であるといえ,「コンポーネントと呼ばれるモジュールを複数組み合せて作成した処理手順」である「サービステンプレート」は,“複数のテンプレート”を“組み合せ”て作成されるソフトウェアであるといえる。
さらに,参考文献に記載の上記技術において,「サービステンプレートを作成又は更新した場合に,そのとき作成又は更新されたサービステンプレートにおけるコンポーネントの組合せを判定し,いずれかのコンポーネントのいずれかのプロパティ値を通常時と異なる値に設定する必要がある場合には,そのような値にそのプロパティ値を設定する」ことは,サービステンプレートにおけるコンポーネントの組合せを判定し,必要がある場合には,コンポーネントの一部であるプロパティ値を通常時と異なる値に“更新”することに他ならない。
そして,参考文献に記載の上記技術では,このようにコンポーネントのプロパティ値を通常時と異なる値に“更新”することによって,「必要なプロパティ定義が不足し,意図しないサービス動作になるという事態や,コンポーネント間に実質的な影響関係がなくなった場合に,不要なプロパティ定義が残ったままとなり,意図しないサービス動作になるという事象が発生する事態の発生を未然かつ有効に防止する」ものであるから,組み合せた複数のコンポーネントによって規定されたサービステンプレートの動作が,意図しない動作になることを防ぎ“正常に行われるように”コンポーネントの一部であるプロパティ値を“更新”しているといえる。
ここで,複数のコンポーネントを組み合せることは,複数のコンポーネントを互いに関連付けることといえ,また,前述したように,「コンポーネント」は“テンプレート”といえるものであるから,結局,参考文献には,“関連付けられた複数のテンプレートによって規定された動作が正常に行われるように,テンプレートの一部を更新する技術”が開示されているといえ,参考文献には,上記相違点にかかる技術が開示されているといえる。
引用発明と参考文献に記載の上記技術とは,複数のテンプレートを関連付けてソフトウェアを作成するシステムという共通の技術分野に属するものであって,作成されたソフトウェアが正常に動作するようにすることは自明な共通の課題であるから,引用発明の「テンプレートの一部を更新する更新部」に,参考文献に記載の“関連付けられた複数のテンプレートによって規定された動作が正常に行われるように,テンプレートの一部を更新する技術”を適用し,「前記関連付け部によって関連付けられた前記複数のテンプレートによって規定された動作が前記通信端末のアプリケーション上で正常に行われるように」テンプレートの一部を更新するとすることは,当業者であれば容易に想到し得たことである。
よって,相違点に係る構成は,引用発明,及び参考文献に記載された技術に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであり,そして,相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明,及び参考文献に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
したがって,本願発明は,引用発明,及び参考文献に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,原出願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明,及び参考文献に記載された技術に基づいて,原出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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