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特許拒絶査定不服審判

2020-001128

遊技機

審判番号
2020-001128
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-175203外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年01月28日
審決日
2020年11月24日
公報発行日
2021年03月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項特許法29条3項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-175203号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年3月9日出願公開、特開2017-47133号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
【理 由】

第1 手続の経緯の概要

本願は、平成27年9月4日の出願であって、平成30年8月29日付けで手続補正書が提出され、令和元年5月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月28日付け(送達日:同年11月5日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、令和2年1月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年1月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年1月28日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含むものであり、本件補正により、(1)令和元年7月3日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における

「遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備える遊技板と、
前記遊技板の前面から突出し、前記遊技領域を包囲する包囲壁と、
前記遊技領域を流下する遊技球を受け入れて、遊技者に特典を付与する入賞口と、
前記遊技領域を流下する遊技球を前記遊技板の後側に受け入れて前側に戻さず、遊技者に特典を付与しないアウト口と、を有する遊技機において、 前記遊技板の最下部近傍に配置された第1の前記アウト口と、
前記第1のアウト口より上側で前記包囲壁の内側に隣接配置される隣接突部と、
前記隣接突部の上部に設けられて横方向に延び、一端部が前記包囲壁に隣接し、他端部に向かって下るように傾斜して、前記包囲壁沿いに流下してくる遊技球を前記遊技領域の横方向中央側に案内するガイド傾斜面と、
前記隣接突部に設けられ、前記ガイド傾斜面から延長した架空の延長面より下方に位置しかつ、前記入賞口と第2の前記アウト口とを有する特別入球部と、を備えたことを特徴とする遊技機。」は、

審判請求時に提出された手続補正書(令和2年1月28日付け)における

「遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備える遊技板と、
前記遊技板の前面から突出し、前記遊技領域を包囲する包囲壁と、
前記遊技領域を流下する遊技球を受け入れて、遊技者に特典を付与する入賞口と、
前記遊技領域を流下する遊技球を前記遊技板の後側に受け入れて前側に戻さず、遊技者に特典を付与しないアウト口と、を有する遊技機において、 前記遊技板の最下部近傍に配置された第1の前記アウト口と、
前記第1のアウト口より上側で前記包囲壁の内側に隣接配置される隣接突部と、
前記隣接突部の上部に設けられて横方向に延び、一端部が前記包囲壁に隣接し、他端部に向かって下るように傾斜して、前記包囲壁沿いに流下してくる遊技球を前記遊技領域の横方向中央側に案内するガイド傾斜面と、
前記隣接突部に設けられ、前記ガイド傾斜面から延長した架空の延長面より下方に位置しかつ、前記入賞口と第2の前記アウト口とを有する特別入球部と、を備え、 前記特別入球部には、2つの前記入賞口が設けられ、前記2つの入賞口は互いに異なる方向に開口していることを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために合議体にて付した。)。

2 補正の適否

(1)新規事項の追加について

ア 本件補正の補正事項

本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(以下「本件補正前請求項1」という。)の記載事項について、次の補正を行うものである。

(ア)特別入球部が有する入賞口について「前記特別入球部には、2つの前記入賞口が設けられ、前記2つの入賞口は互いに異なる方向に開口している」(以下「本件補正発明」という。)と限定する。

イ 本件補正についての請求人の主張

折りたたみ中(クリックで表示)

(ア)請求人は、本件補正について、令和2年1月28日付け審判請求書の【請求の理由】の「3.補正の説明」において、次の主張をしている。

「(1)令和1年7月3日付け手続補正書による補正後の請求項1に記載の「特別入球部」が有する「入賞口」について、「入賞口」は「2つ」「設けられ」、これら2つの入賞口が、「互いに異なる方向に開口している」構成に限定的に限縮しました。この補正の根拠は、明細書の段落[0050]、[0051]及び図7~9にあります。」

(イ)また、請求人は同審判請求書の【請求の理由】の「4.本願発明が特許されるべき理由」において、本件補正に係る限定の効果として次の主張をしている。

「本願請求項1の発明は、隣接突部に備えられた特別入球部に、2つの入賞口が設けられ、これら2つの入賞口が互いに異なる方向に開口している、という特徴的な構成を有しています。2つの入賞口の開口の向きが異なることで、特別入球部に到達した遊技球が、一方の入賞口には入球できないような方向から流下してきたとしても、他方の入賞口には入球して特典を得られることもあり、遊技球の多様な流下態様に対応して、入賞口に入賞する遊技球の動作のバリエーションを増やすことができ、趣向性が高い遊技を楽しむことができます。」

ウ 新規事項の追加についての合議体の判断

本件補正が、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてなされたものであるのか否かを、以下に検討する。

(ア)当初明細書等の記載

本件補正の補正事項に関し、当初明細書等には、次の事項が記載されている(下線は合議体で付した。以下同じ。)。

「第1入賞口57は、側面湾曲部53のうち水平になった部分におけるアウト口56寄りの位置に開口して上方を向いている。つまり、アウト口56の開口面(本発明の「開口部」に相当する)と第1入賞口57の開口面(本発明の「開口部」に相当する)とは、V字或はU字の2辺に(下端部から左右に分かれて)沿うように配置されている。さらには、第2入賞口58は、側面湾曲部53の端部から中央向側部54の下端寄り位置に亘る範囲に開口して斜め上方を向いている。」(【0051】)と記載され、「遊技領域R1には、複数の釘Nが分散配置されている。釘Nは、金属製であって、図7に示すように断面円形のシャフト部N1の一端にシャフト部N1より大径のヘッド部N2を備えた形状をなしている。また、図1に示すように、複数の釘Nのうち一部の釘Nは、一列に並んで釘道を構成している。」(【0052】)と記載され、「風車案内釘道65(図1参照)上を流下してきた遊技球が、風車63のうち回動中心より右側に位置する回動片に当接して風車63が右回りに回転し、その遊技球がほとんど第1下部釘道60上へと案内される。」(【0053】)と記載され、

「第1下部釘道60は、直線状に延び、右下がりに傾斜している。」(【0054】)と記載され、

「第1下部釘道60には、その第1下部釘道60を構成する釘N同士を、遊技球1個以上、1.5個未満の大きさ(より詳細には、遊技球が丁度1つ通過する大きさ)で離間させた転落部60A,60Bが形成されている。そして、一方の転落部60Aは、第1下部釘道60のうちガイド斜面26Aにおける最接近位置P1から離れた側の端部の略対向する位置に配置され、他方の転落部60Bは、退避斜面26Bにおける最接近位置P1から離れた側の端部の真下となる位置に配置されている。」(【0055】)と記載され、「第1下部釘道60の下方には、第1下部釘道60と平行に延びた第2下部釘道61が備えられている。第2下部釘道61は、本発明に係る「延長釘道」に相当し、左サイド役物50における上端傾斜部52の右下方から隣接する位置から下部中央役物41の左近傍位置に亘って直線状に延びている。また、第2下部釘道61には、第1下部釘道60の転落部60A,60Bと同様の転落部61A(本発明の「流入部」に相当する),61B,61C等が形成され、転落部61Aは第2下部釘道61の上端に位置し、転落部61B,61Cは、左サイド役物50と普通入賞装置49との中間に位置している。また、第2下部釘道61と、左サイド役物50における側面湾曲部53と中央向側部54との境界部分との間は、遊技球1つ未満の大きさをなしている。これにより、転落部61Aを通過した遊技球が必ず側面湾曲部53に配置されたアウト口56又は第1入賞口57(図7参照)に入球する。また、普通入賞装置49の上部傾斜面49Bは、第2下部釘道61の上面(第2下部釘道61を構成する複数の釘Nのシャフト部N1(図7参照)に共通して上方から接する面)と略面一に配置されている。これにより、普通入賞装置49の上部傾斜面49Bが第2下部釘道61の一部としても利用でき、普通入賞装置49の有効利用が図られる。」(【0056】)と記載され、

「図1に示した風車案内釘道65の転落部から転落した遊技球は、第3ガイドレール33に案内されて下方に向かうことがある。これに対し、本実施形態の遊技機では、第3ガイドレール33のうち最下部から離れた部分(左右方向の中心からズレた位置)に左サイド役物50が隣接配置されているので、第3ガイドレール33伝いに流下してくる遊技球がそのまま最下部まで流下することがなくなり、左サイド役物50の上端傾斜部52に当接して、第3ガイドレール33から離れて遊技領域R1の下部中央側に向かう。そして、遊技球は、第2下部釘道61に移動して下部中央役物41側に向かう。その際、第2下部釘道61の上端の転落部61Aから遊技球が転落すると、その遊技球は、側面湾曲部53と第2下部釘道61とに挟まれた領域から出ることはなく、アウト口56か第1入賞口57かの何れかに必ず入球する。また、それらアウト口56と第1入賞口57とは、転落部61Aの真下となる位置に対して左側と右側とに分けて隣り合わせに配置されているので、転落部61Aから真下に落下した遊技球は、アウト口56か第1入賞口57かにランダムに分かれて入球し、それらの何れかに入球するかは直前まで分からないので、趣向性が高い遊技を楽しめる。」(【0062】)と記載されている。

(イ)判断

上記記載と図7-9の図示から、釘Nの配置により多様な流下経路で遊技球が流下し、転落部61Aを経由する流下経路の遊技球は、「第1入賞口57は」「開口」が「上方を向いて」(【0051】)おり、「転落部61Aは第2下部釘道61の上端に位置し」(【0056】)、かつ、「第2下部釘道61と、左サイド役物50における側面湾曲部53と中央向側部54との境界部分との間は、遊技球1つ未満の大きさをなしている。」(【0056】)ため、転落部61Aを通過後、第2入賞口58への移動が制限され、「必ず側面湾曲部53に配置されたアウト口56又は第1入賞口57(図7参照)に入球」(【0056】)し、一方、転落部61Bを経由する流下経路の遊技球は、「第2入賞口58は」「開口」が「斜め上方を向いて」(【0051】)おり「転落部61B,61Cは、左サイド役物50と普通入賞装置49との中間に位置し」(【0056】)、当該転落部61Bが第2の入賞口58の正面視右上に位置し、かつ、「第2下部釘道61と、左サイド役物50における側面湾曲部53と中央向側部54との境界部分との間は、遊技球1つ未満の大きさをなしている。」(【0056】)することから、転落部61Bを通過した遊技球の第1入賞口57への移動が制限され、右上に開口する当該第2の入賞口58に入球し得るものと認められる。

よって、当初明細書等には、遊技球が、釘Nの配置により転落部61Aを経由する流下経路となった場合、上方を向いて開口する第1の入賞口57に入球し得るが、「左サイド役物50」の形状および配置から、第2の入賞口58への入球は不能となり、また、同様に、遊技球が、釘Nの配置により転落部61Bを経由する流下経路となった場合、「左サイド役物50」の形状および配置から、斜め上方を向いて開口する第2の入賞口58に入球し得るが、第1の入賞口57への入球は不能となる構成(以下「当初明細書等記載の構成」という。)が記載されているものと認められる。

一方、本件補正後の請求項1では、単に、本件補正事項が特定されるのみである。

ここで、請求人は、審判請求書における上記主張イ(イ)において、「本願請求項1の発明は、…入球部に、2つの入賞口が設けられ、これら2つの入賞口の開口の向きが異なることで、特入球部に、2つの入賞口が設けられ、これら2つの入賞口の開口の向きが異なることで、特別入球部に到達した遊技球が一方の入賞口には入球できないような方向から流下してきたとしても、他方の入賞口には入球して特典を得られることもあ」る旨、主張する。これは、本件補正事項により、「特別入球部に到達した遊技球が、…特典を得られることもあ」るという効果(以下、単に「本件効果」という。)を奏し得ることを主張するものと解される。

そこで、以下、本件効果を奏し得る構成としての本件補正事項が、当初明細書等に記載されているかを検討する。

当初明細書等には、「第2下部釘道61と、左サイド役物50における側面湾曲部53と中央向側部54との境界部分との間は、遊技球1つ未満の大きさをなしている。」ため、結果として、「転落部61A」を通過した遊技球、「転落部61B」を通過した遊技球は、それぞれ、「第2の入賞口58」、「第1の入賞口57」入球できなくなる旨の記載はあるが、左サイド役物50(特別入球部)「に到達した遊技球が一方の入賞口には入球できないような方向から流下してきたとしても、他方の入賞口には入球して特典を得られることもあ」る効果は、記載も示唆もされていない。

ここで、審判請求書における上記主張イ(イ)における効果について検討すると、釘を備えることやその釘をどのような配置とするかや、「特別入球部」の形状およびその配置についてなんら特定しない本件補正事項のみで、請求人が主張する上記「特別入球部に到達した遊技球が一方の入賞口には入球できないような方向から流下してきたとしても、他方の入賞口には入球して特典を得られることもあり、遊技球の多様な流下態様に対応して、入賞口に入賞する遊技球の動作のバリエーションを増やすことができ、趣向性が高い遊技を楽しむことができます。」(イ(イ))なる効果を奏することは、当初明細書等には記載も示唆もされていない。また、逆に、当該効果を奏し得る構成としての本件補正事項が、当初明細書等に記載も示唆もされていないともいえる。

さて、「第1の入賞口57」、「第2の入賞口58」から、一見すると、単に、本件補正事項が記載されているようにも見受けられる。

しかし、上記検討のとおり、当初明細書等に、本件効果を奏し得る構成としての本件補正事項が記載されているとも、示唆されているとも、認められない(なお、本件効果を奏し得るものではない、単に、本件補正事項は記載されているとはいえる。)。

したがって、本件効果を奏し得る構成としての本件補正事項は、当初明細書等に記載も示唆もされていない。

エ 小括

上記ア~ウのとおりであるから、当初明細書等には、本件効果を奏し得る構成としての本件補正事項が記載されているとは認められず、本件補正前請求項1に、本件効果を奏し得る構成としての本件補正の補正事項を付加することは、当初明細書等に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものではないから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。

よって、本件補正は、同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(2)独立特許要件について

上記(1)で検討したとおりであるが、本件補正が、単に、(本件効果を奏し得る構成ではない)本件補正事項を付加するものであって、仮に、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてするものである場合、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正である。そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)についてさらに検討する。

ア 本件補正発明

本件補正発明は次のとおりのものである。

「A 遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備える遊技板と、
B 前記遊技板の前面から突出し、前記遊技領域を包囲する包囲壁と、  C 前記遊技領域を流下する遊技球を受け入れて、遊技者に特典を付与する入賞口と、
D 前記遊技領域を流下する遊技球を前記遊技板の後側に受け入れて前側に戻さず、遊技者に特典を付与しないアウト口と、を有する遊技機において、
E 前記遊技板の最下部近傍に配置された第1の前記アウト口と、
F 前記第1のアウト口より上側で前記包囲壁の内側に隣接配置される隣接突部と、
F1 前記隣接突部の上部に設けられて横方向に延び、一端部が前記包囲壁に隣接し、他端部に向かって下るように傾斜して、前記包囲壁沿いに流下してくる遊技球を前記遊技領域の横方向中央側に案内するガイド傾斜面と、 F2 前記隣接突部に設けられ、前記ガイド傾斜面から延長した架空の延長面より下方に位置しかつ、前記入賞口と第2の前記アウト口とを有する特別入球部と、を備え、
G 前記特別入球部には、2つの前記入賞口が設けられ、前記2つの入賞口は互いに異なる方向に開口している
H ことを特徴とする遊技機。」(なお、記号AないしHは、分説するため、合議体が付した。)。

イ 引用文献について

(ア)引用文献1

原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった特開2015-097765号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a 記載事項について

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(a)

「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤の前側に画成された遊技領域をパチンコ球が流下して遊技が行われる遊技機に関するものである。
…
【0004】
前記アウト口は遊技領域の最下部にのみ設けられているため、パチンコ球が遊技領域を流下する途中でのパチンコ遊技が単調となり、面白みに欠ける難点が指摘される。
【0005】
…遊技領域を流下する遊技球の動きに対する関心を高めて、遊技の興趣を向上させ得る遊技機を提供することを目的とする。」

(b)

「【0015】
(パチンコ機10について)
…このパチンコ機10には、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、…
【0016】
…前記遊技盤20に形成された第1経路30a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2経路30b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち(ゴム打ち)」とを打ち分け得るようになっている。…
【0018】
図2に示すように、前記遊技盤20の前面には、左側部の上下隅部に第1および第2盤面保護部材21a,21bが夫々配設されると共に、右側部において上下隅部に亘るように第3盤面保護部材21cが配設されている。これら第1~第3盤面保護部材21a,21b,21cの夫々は、遊技盤20の中心側を向く内縁が円弧状に形成されており、該第1~第3盤面保護部材21a,21b,21cの内縁に沿って配設された略円形状に湾曲形成された案内レール22および第3盤面保護部材21cにより、パチンコ球が流下可能な遊技領域20aが画成されている。案内レール22は、左下隅部の第2盤面保護部材21bの下端部から左上隅部の第1盤面保護部材21aおよび第3盤面保護部材21cの上端部の内縁に沿って配設されて、遊技盤20の左下部から右上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された外レール22aと、第3盤面保護部材21cの下端部から左側の外レール22aの内側に配置されて、遊技盤20の右下部および左上部に至るよう左方向に膨出する円弧状に形成された内レール22bとから構成される。また、内レール22bは、外レール22aとの間に1個のパチンコ球が通過可能な発射通路23を画成するよう配設されると共に、該内レール22bは、図2に示す如く、前記遊技盤20の左上部に開放端を臨ませるよう構成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が発射通路23の下方開口から飛翔して、内レール22bの開放端側から遊技領域20a内に打ち出されるようになっている。実施例では、案内レール22および第3盤面保護部材21cが、パチンコ球が流下可能な遊技領域20aを画成するレール部材として機能する。
【0019】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が前記遊技領域20a内に複数開設されて、各装着口に対して各種の遊技部品が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出する第1アウト口24が開設されている。…」

(c)

「【0023】
前記枠状装飾体29の庇部29cは、枠状装飾体29(台板29b)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するよう設けられており、前記図柄表示装置17における表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。また庇部29cは、最上部位置から左右方向に下方傾斜するよう形成されて、遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球が庇部29c上で滞ることなく枠状装飾体29の左側方または右側方へ誘導案内されるよう形成されている。すなわち、枠状装飾体29の外側に画成される流下経路30a,30bは、図2に示す如く、該枠状装飾体29の左側方をパチンコ球が流下する第1経路30a、および枠状装飾体29の右側方をパチンコ球が流下する第2経路30bに分かれており、前記打球発射装置により遊技領域20a内に発射されたパチンコ球は、到達位置に応じて枠状装飾体29および内レール22bの間に形成される第1経路30aか、或いは枠状装飾体29および第3盤面保護部材21cの間に形成される第2経路30bの何れかを流下するよう構成される。
・・・
【0025】
(特殊入賞装置34について)
前記枠状装飾体29には、前記ステージ31の右側部に、前記第2経路30bを流下するパチンコ球が入賞可能な特殊入賞装置34が配設されている。この特殊入賞装置34は、前記庇部29cの右下縁の内側に設けられたものであって、該庇部29cに形成されて第2経路30bに開口する特殊入賞口34aを開閉する開閉部材34bや、特殊入賞口に入賞したパチンコ球を検出するセンサ等を備えている。前記開閉部材34bは、駆動手段としての特殊入賞ソレノイド(図示せず)の駆動に伴って特殊入賞口34aを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成される。なお、特殊入賞装置34を囲繞する庇部29cと前記第3盤面保護部材21cとの間の第2経路30bに、遊技盤20に配設された後述するサイド装飾体38が位置している。」

(d)

「【0032】
(サイド装飾体38について)
前記第2装着口の右方で第4装着口の下方に開設された第5装着口に、遊技領域20aに開口して第2経路30bを流下するパチンコ球が入球可能な第2普通入賞口45、特別入賞口52およびアウト口47,49が設けられたサイド装飾体38が取り付けられている。第5装着口を介して遊技盤20に配設されたサイド装飾体38は、図2に示す如く、前記枠状装飾体29より右側下部の遊技領域20aにおいて、該枠状装飾体29に設けた前記特殊入賞装置34の下方に離間して位置して、第2経路30bにおいて特殊入賞装置34を囲繞している庇部29cの外側(右側および下側)を流下するパチンコ球が、該サイド装飾体38に設けた各口45,52,47,49に入球可能になっている。
【0033】
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前記第3盤面保護部材21cに沿って遊技盤20に形成された第5装着口に配設される前記サイド装飾体38は、図2,図3に示す如く、前記枠状装飾体29に設けた前記特殊入賞装置34の右側方に臨む位置から前記始動入賞装置35の配設位置までの間に亘って延在する概略弓形状の部材であって、該サイド装飾体38は、第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側(枠状装飾体29を向く側)に沿って枠状装飾体側が凹となる姿勢で遊技盤20に配設されている。サイド装飾体38は、前後に分割可能な本体41と前構成部材42とからなる基部材に、各種の遊技部品を組み付けた1つユニットとして取り扱い得るよう構成されている。本体41は、図7,図8に示す如く、略弓形状に形成された固定壁41aの裏面に、該固定壁41aの外縁から離間した位置から後方に突出する側壁41bが固定壁41aの外縁に沿って形成されて、該側壁41bで囲われた部分が後方に開口している。…
【0034】
(前構成部材42について)
前記サイド装飾体38は、前記本体41の前側に配設されて、前記第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側に隣接するように延在する前記前構成部材42を備え、該前構成部材42が遊技領域20a(第2経路30b)に臨んでいる。前構成部材42は、図6~図8に示す如く、本体41の固定壁41aから前方に離間して平行に位置する前壁42aと、該前壁42aから後方に突出する複数の壁42b,42c,42dとを備え、複数の壁42b,42c,42dの後端を固定壁41aの前面に当接した状態で本体41の前側に前構成部材42が位置決め固定される。固定壁41aと前壁42aとは、両壁41a,42aの間をパチンコ球が流下可能な寸法で離間している。具体的には、固定壁41aと前壁42aとの離間間隔は、パチンコ球1個分の寸法より大きく、かつパチンコ球2個分より小さな寸法に設定される。なお、前壁42aの前面には、パチンコ機10のモチーフとなる図柄等が形成されている。
【0035】
前記前構成部材42には、前記前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する上側壁42bの上面(外側面)に、遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る転動面43が形成されている。上側壁42bは、図4,図7,図8に示す如く、後述する第2アウト口47、第2普通入賞口45、第3アウト口49および特別入賞口52の画成部分が切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している。そして、このように不連続で延在する上側壁42bの上面に形成される転動面43は、前構成部材42の最も右側の上部に位置する第1転動面部43aと、該第1転動面部43aとは第2アウト口47を挟んだ左側に離間位置する第2転動面部43bと、第2転動面部43bとは第2普通入賞口45を挟んだ左側に離間位置する第3転動面部43cと、第3転動面部43cとは第3アウト口49を挟んだ左側に離間位置する第4転動面部43dおよび第4転動面部43dとは特別入賞口52を挟んだ左側に離間位置する第5転動面部43eとから構成される。実施例では、第1転動面部43aおよび第3~第5転動面部43c,43d,43eが左下方傾斜するのに対し、第2転動面部43bは右下方傾斜して、該第2転動面部43b上に落下したパチンコ球を後述する第2アウト口47に向けて案内するよう構成してある。
【0036】
(第2アウト口47について)
前記前構成部材42には、図3,図4に示す如く、前記第1転動面部43aと第2転動面部43bとの間に、上方に開口する第2アウト口(アウト口)47が設けられている。この第2アウト口47は、前構成部材42の前壁42aと前記本体41の固定壁41aとの間において上方(遊技領域20a)に開口して、該第2アウト口47に、第2経路30b(遊技領域20a)を流下するパチンコ球が入球可能に構成されている。
【0037】
(第2普通入賞口45について)
前記前構成部材42には、図8に示す如く、第2転動面部43bと第3転動面部43cと間に、前壁42aから後方に延在する普通球受け通路部44が設けられている。普通球受け通路部44は、図4,図6に示す如く、前壁42aと本体41の固定壁41aとの間に亘って延在するよう形成されると共に、上方に開口する樋形状に形成されている。すなわち、普通球受け通路部44における前壁42aと固定壁41aとの間において上方(遊技領域20a)に開口する部分が、前記第2経路30b(遊技領域20a)を流下するパチンコ球が入賞可能な第2普通入賞口(入賞口)45として機能している。前記本体41には、普通球受け通路部44と対応する位置に、該普通球受け通路部44に連通すると共に上方に開口する樋状の球案内樋46が設けられており、第2普通入賞口45に入賞したパチンコ球を普通球受け通路部44および球案内樋46を介して図示しないセーフ球用排出経路に誘導して機外に排出するよう構成されている。また、前記第2アウト口47および第2普通入賞口45は、前記第2経路30bに植設した後述するサイド案内連釘59の下方に位置しており、該サイド案内連釘59の隙間59aを通過したパチンコ球が第2アウト口47および第2普通入賞口45に入球可能に構成されている。
【0038】
(第1球案内通路48について)
前記前構成部材42には、図8に示す如く、前記第1転動面部43aの下流端から下方に延在した後に、前壁42aの下側の端縁に沿って延在する案内壁42cが前壁42aから後方に向けて突設されている。この案内壁42cは、図3に示す如く、前記第2転動面部43b、普通球受け通路部44および第3転動面部43cの下側に所定間隔離間して、前記第3盤面保護部材(レール部材)21cと重なるように左右方向に延在している。なお、第2転動面部43b、普通球受け通路部44および第3転動面部43cと案内壁42cとの離間寸法は、パチンコ球が通過可能な寸法に設定されており、該第2転動面部43b、普通球受け通路部44および第3転動面部43cと案内壁42cとの間に、パチンコ球が転動(流下)可能な第1球案内通路(球案内通路)48が形成される。具体的には、第2転動面部43bおよび第3転動面部43cが上面に形成される上側壁42bの下面および普通球受け通路部44の下面と案内壁42cの上面との間に、パチンコ球が転動(流下)可能な第1球案内通路(球案内通路)48が形成される。また、第1球案内通路48は、上流端が第2アウト口47に連通すると共に、下流端が左方に開口しており、第2アウト口47に入球したパチンコ球を右側から左側に向けて転動させ得るよう構成される。」

(e)

「【0040】
(第2球案内通路50について)
前記前壁42aには、第4転動面部43dの上流端から下方に延在した後に、前壁42aの下流端(左端)まで左右方向に延在する区画壁42dが前壁42aから後方に向けて突設されている。この区画壁42dは、前壁42aの下側の端縁から上側に所定高さだけ離間して延在しており、該区画壁42dと前記第3盤面保護部材(レール部材)21cとの間に、パチンコ球が転動(流下)可能な第2球案内通路50を画成している。この第2球案内通路50は、上流端が第3アウト口49に連通すると共に、下流端(出口)が遊技領域20aに開口しており、第3アウト口49に入球したパチンコ球を第3盤面保護部材21cに沿って右側から左側に向けて転動させ得るよう構成されている。また、第2球案内通路50の上流端には前記第1球案内通路48が連通しており(図3参照)、第2アウト口47および第3アウト口49に入球したパチンコ球は、最終的には第2球案内通路50の出口から遊技領域20aに通出するよう構成される。
【0041】
前記第2球案内通路50の出口は、図3に示す如く、前記右下部案内連釘40bの下側で左方に向けて開口しており、該出口から通出されるパチンコ球は、前記第1アウト口24に向けて流下するよう構成される。すなわち、第2アウト口47および第3アウト口49に入球したパチンコ球は、第2球案内通路50の出口から遊技領域20aに通出した後に、入賞口に入賞してセーフ球となることなく第1アウト口24から機外に排出されるようになっている。」

(f)

「【0052】
(サイド案内連釘59について)
前記枠状装飾体29とサイド装飾体38との間に臨む遊技領域20a(第2経路30b)に、図3に示す如く、右側から左側に向けて下方傾斜する線上に沿って複数の遊技釘25が並ぶように設けられている。これら遊技釘群について、サイド案内連釘59と指称するものとする。このサイド案内連釘59は、図3に示す如く、最上部が前記第1転動面部43aの下流端に近接し、該最上部から第2アウト口47、第2転動面部43bおよび第2普通入賞口45の上方を左側に延在して、最下部が前記第3転動面部43cの上流端に近接位置している。また、サイド案内連釘59を構成する遊技釘25は、第2アウト口47と第2普通入賞口45との間の第2転動面部43bの上方でパチンコ球が通過可能な隙間59aが空くように設けられており、該サイド案内連釘59上を移動するパチンコ球が隙間59aから落下することで、該パチンコ球が第2アウト口47および第2普通入賞口45に入球し得るようになっている。これに対し、隙間59aから落下することなくサイド案内連釘59上を流下したパチンコ球は第3転動面部43cに落下し、該第3転動面部43c上を左方に転動されたパチンコ球が、第3アウト口49に入球したり第4転動面部43d上に移り得るよう構成される。」

(g)

「【0062】
(サイド装飾体38の作用)
前記第2経路30bを流下して前記サイド装飾体38に設けられた前記第1転動面部43a上に落下したパチンコ球は、該第1転動面部43a上を左方に転動し、前記サイド案内連釘59上に移り、前記隙間59aから落下した場合は、前記第2普通入賞口45や第2アウト口 47に入球可能となる。第2普通入賞口45にパチンコ球が入賞すると、該パチンコ球は前記普通球受け通路部44および球案内樋46を介してセーフ球用排出経路に誘導されて機外に排出されると共に、所定数の賞球が払い出される。これに対し、第2アウト口47にパチンコ球が入球すると、該パチンコ球は前記第1球案内通路48を左側から右側に転動して第2球案内通路50に通入し、該第2球案内通路50の出口から遊技領域20aに通出される。第2球案内通路50の出口は、図3に示す如く、前記右下部案内連釘40bの下方で開口しており、該出口から通出されたパチンコ球は前記第1アウト口24から機外に排出される。第1球案内通路48および該通路48を画成する上側壁42bや案内壁42cは、前記第1発光装置56の発光体56bの点灯によって照明されており、該第1球案内通路48をパチンコ球が転動する様子が遊技者から見易くなっていることで、遊技の興趣を高めることができると共に、賞球が得られない第2アウト口47にパチンコ球が入球したことに対する落胆度合を抑え得る。
…
【0065】
…実施例のサイド装飾体38では、特別入賞口52の上流側に複数のアウト口47,49を設けているので、前記第1転動面部43a上に落下したパチンコ球がアウト口47,49に入球するかしないかに対する関心を高め、遊技の興趣を向上し得る。また、前記開閉部材54は、閉位置で第4転動面部43d(転動面43)に連続しているので、該開閉部材54が開位置に変位して特別入賞口52が開放された状態では、第4転動面部43dを転動してくるパチンコ球の殆どを特別入賞口52に入賞させることができる。すなわち、アウト口47,49に入球しなかったパチンコ球は、遊技者にとって有益な特別入賞口52へ入賞するので、該アウト口47,49に入球しなかったパチンコ球に対する関心を引き続き高めることができる。
…
【0068】
前記サイド装飾体38に設けた第2アウト口47、第2普通入賞口45、第3アウト口49および特別入賞口52は、図4に示す如く、前記転動面43に沿って一列に並んでいるので、該転動面43を転動するパチンコ球がどの口47,45,49,52に入球するのかに対する関心を高め、遊技の興趣を向上し得る。」

(h)

「【0070】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。…
(3) 実施例では、サイド装飾体(基部材)に2つのアウト口を設けたが、アウト口は1つでも3つ以上であってもよい。また、入賞口(第2普通入賞口)についても、1つに限らず2つ以上設ける構成を採用し得る。そして、アウト口および入賞口を複数ずつ設ける構成では、転動面におけるパチンコ球の流下方向での各口の順序は任意に設定可能である。
(4) 実施例では、第2アウト口および第3アウト口に入球したパチンコ球を、球案内通路を流下した後に遊技領域に通出して第1アウト口を介して機外に排出するよう構成したが、第2アウト口および第3アウト口に入球したパチンコ球が遊技盤の裏側に通出する通路をサイド装飾体に設け、遊技盤の裏側に配設される設置部材に設けた排出通路を介してパチンコ球を機外に排出する構成を採用し得る。」

b 認定事項について

(a)

引用文献1の【0019】に「遊技領域20a…には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出する第1アウト口24が開設されている。」ことが記載され、【0041】に「第2アウト口47および第3アウト口49に入球したパチンコ球は、…セーフ球となることなく…排出されるようになっている。」ことが記載され、【0070】に「…サイド装飾体(基部材)に2つのアウト口を設けたが、アウト口は1つでも…よい。…入賞口(第2普通入賞口)についても、1つに限らず2つ以上設ける構成を採用し得る。…第2アウト口…に入球したパチンコ球を、…遊技盤の裏側に配設される…排出通路を介して…機外に排出する構成を採用し得る。」ことが記載されていることから、引用文献1には、2つのアウト口「第2アウト口47」と「第3アウト口49」を1つのアウト口とすること、例えば、「第2アウト口47」のみとすることが記載されている。 すると、引用文献1には、「遊技領域20aを流下するパチンコ球をセーフ球となることなく、遊技盤の裏側に配設される排出通路を介して機外に排出する、第1アウト口24および第2アウト口47」について記載されているものと認められる。

(b)

(b-1)

引用文献1の【0034】に、「前記サイド装飾体38は、前記本体41の前側に配設されて、前記第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側に隣接するように延在する前記前構成部材42を備え、該前構成部材42が遊技領域20a(第2経路30b)に臨んでいる。」ことが記載され、【図3】に、サイド装飾体38が第1アウト口24の斜め上方に設けられていることが図示されている。

【図3】:実施例に係る遊技盤をサイド装飾体における前構成部材の部分で縦断した要部正面図である。

【図5】:実施例に係るサイド装飾体を前側から見た概略斜視図である。

【図8】:実施例に係るサイド装飾体における本体、前構成部材、発光装置、張出し部および開閉部材を分解した状態で後側から見た概略斜視図である。

したがって、引用文献1には、サイド装飾体38が、第1アウト口24の斜め上方に、第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側に隣接して設けられていることが示されているものと認められる。

(b-2)

引用文献1の【0035】に「前記前構成部材42には、前記前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する上側壁42bの上面(外側面)に、遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る転動面43が形成されている。…そして、このように不連続で延在する上側壁42bの上面に形成される転動面43は、前構成部材42の最も右側の上部に位置する第1転動面部43aと、…から構成される。実施例では、第1転動面部43a…が左下方傾斜する」ことが記載され、【図3】に、第1転動面部43aの右上端部が、第3盤面保護部材21cに隣接すること、および、第1転動面部43aが、左右中心線側に向けて左下方傾斜することが図示されていることから、引用文献1には、「サイド装飾体38は、前構成部材42を備え、前構成部材42には、前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する上側壁42bの上面(外側面)に、遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る転動面43が形成され、当該転動面43の最も右側の上部に、左右中心線側に向けて左下方傾斜する第1転動面部43aが位置し、第1転動面部43aの右上端部は、第3盤面保護部材21cに隣接する」ことが示されているものと認められる。

(c)

引用文献1の【0035】に「前記前構成部材42には、前記前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する上側壁42bの上面(外側面)に、遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る転動面43が形成されている。上側壁42bは、図4,図7,図8に示す如く、後述する第2アウト口47、第2普通入賞口45、第3アウト口49および特別入賞口52の画成部分がが切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している。」ことが記載され、【図8】に、第1転動面部43aの延長面より下方に、第2アウト口47、第2普通入賞口45の画成部分が位置することが図示されている。

また、【0070】に「…サイド装飾体(基部材)に2つのアウト口を設け

たが、アウト口は1つでも…よい。…入賞口(第2普通入賞口)についても、1つに限らず2つ以上設ける構成を採用し得る。」ことが記載されているから、引用文献1には、「第2普通入賞口45」に、もう1つの普通入賞口を加えて、2つの普通入賞口を設けることが記載されている。

すると、引用文献1には、「上側壁42bの上面に形成された第1転動面部43aの延長面より下方に、上側壁42bに切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している、第2アウト口47、2つの普通入賞口の画成部分が位置する」ことが示されているものと認められる。

c 引用発明

上記記載事項、および、上記認定事項、および、図面の図示内容を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、記号aないしhは、本願発明の構成A~Hに対応させて合議体が付した。)。

「a 前面にパチンコ球が流下可能な遊技領域20aが画成されている遊技盤20(【0018】)と、
b 前記遊技盤20の前面に配設され、遊技領域20aを画成する案内レール22および第3盤面保護部材21c(【0018】)と、
c 遊技領域20a内に発射され、枠状装飾体29および第3盤面保護部材21cの間に形成される第2経路30bを流下するパチンコ球が入賞可能な2つの第2普通入賞口45と(【0023】、【0037】、【0070】)、を備え、
2つの第2普通入賞口45にパチンコ球が入賞すると、所定数の賞球が払い出され(【0062】、【0070】)、
d 遊技領域20aを流下するパチンコ球をセーフ球となることなく、遊技盤の裏側に配設される排出通路を介して機外に排出する、第1アウト口24および第2アウト口47(認定事項(a))と、を備えるパチンコ機10(【0015】)において、
e 第1アウト口24は、遊技領域20aの最下部位置に開設され(【0019】)、
f サイド装飾体38が、第1アウト口24の斜め上方に、第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側に隣接して設けられ(認定事項b―1)、 f1 サイド装飾体38は、前構成部材42を備え、前構成部材42には、前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する上側壁42bの上面(外側面)に、遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る転動面43が形成され、当該転動面43の最も右側の上部に、左右中心線側に向けて左下方傾斜する第1転動面部43aが位置し、第1転動面部43aの右上端部は、第3盤面保護部材21cに隣接し(認定事項(b-2))、 f2、g 上側壁42bの上面に形成された第1転動面部43aの延長面より下方に、上側壁42bに切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している、第2アウト口47、2つの普通入賞口の画成部分が位置する(認定事項(c))
h パチンコ機10。」

(イ)引用文献2

新たに引用する、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった特開2015-116300号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

a 記載事項について

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(a)

「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に配置され、遊技球が入球すると賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出される入賞口を備えるパチンコ遊技機の技術に関する。」

(b)

「【0030】
その他入賞口43・44・45は、一面が開口されたポケット状に形成され、遊技球が入球(入賞)可能に形成される部材である。その他入賞口43・44・45は、遊技領域7の左下部であって適宜な位置に3個配置される。その他入賞口43・44・45の内部には、近接スイッチからなるその他入賞口センサ38(図4参照)が設けられ、遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0031】
アウト口16は、遊技領域7を転動する遊技球が、その他入賞口14、始動口23、大入賞口26等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域7の最下部に、遊技板5を前後方向に貫通して形成される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、パチンコ遊技機が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。」

(c)

「【0038】
次に、本実施形態に係るその他入賞口ユニット41について図5から図8を用いて説明する。
その他入賞口ユニット41は、遊技領域7の左下部分に配置されており、ベースとなる板状のベース部材42と、ベース部材42に設けられた三つのその他入賞口43・44・45と、ベース部材42の前方に設けられたアウト通路61・62・63を形成する立ち壁部材46と、アウト口51と、を有する。
ベース部材42は、図5及び図8に示すように、ベースとなる板状に形成されており、その左下側は遊技領域7に沿うように円弧状に形成されている。ベース部材42には、図8に示すように、表面から裏面にかけてその他入賞口43・44・45に対応する入賞口孔43a・44a・45aと、アウト口51とが形成されている。入賞口孔43a・44a・45aと、アウト口51とはベース部材の裏面から後方へ立設した壁42aによりそれぞれが区画されている。ベース部材42を遊技板5に固定することにより、その他入賞口ユニット41を遊技板5に固定する。
【0039】
図5から図7に示すように、その他入賞口43・44・45は三つ形成されており、ベース部材42を遊技板5に固定した時に最も上流側に配置される第一のその他入賞口43と、二番目に上流側に配置される第二のその他入賞口44と、三番目に上流側に配置される第三のその他入賞口45とから構成される。ここで、遊技領域7を遊技球が転動する方向に対して上流側及び下流側を定義する。すなわち、本実施形態において、ベース部材42を遊技板5に固定した時の上流側とは、左上側であり、下流側とは、右下側である。すなわちその他入賞口43・44・45は、一面が開口されたポケット状に形成され、その内部に遊技球が入球(入賞)可能に構成される。第一のその他入賞口43は、上方が開口されたポケット状に形成されており、左右の側壁43b・43cと、下壁43dと、前壁43eとを有し前壁43eの後方に入賞口孔43aが形成されている。…
【0041】
第二のその他入賞口44は、上方が開口されたポケット状に形成されている。第三のその他入賞口45は、右方が開口されたポケット状に形成されている。第二のその他入賞口44および第三のその他入賞口45は、立ち壁部材46の最も下流側部分と一体となって構成されており、第二のその他入賞口44の左側に設けられた側壁44bと、第二のその他入賞口44と第三のその他入賞口45とを区画する区画壁45bと、第三のその他入賞口45の右側に設けられた側壁45cと、第二のその他入賞口44及び第三のその他入賞口45の前面を被覆する前壁44cと、を有し、前壁44cの後方に入賞口孔44a・45aが二つ形成されている。
【0042】
立ち壁部材46は、ベース部材42に固定されており、ベース部材42から前方に延伸して設けられた部材である。立ち壁部材46は.最も上流側に配置される第一誘導壁46aと、第一誘導壁46aの下流側端部の下方に延びた第二誘導壁46bと、第二誘導壁46bの下流側であって、遊技領域7と沿うように円弧状に形成された第三誘導壁46cと、第三誘導壁46cの下流端であってアウト口51の下側に設けられたアウト口下壁46dと、を有する。アウト口下壁46dの下流端は、第二のその他入賞口44の側壁44bの下端と連結されている。また第一誘導壁46aと第二誘導壁46bとの連結部には、突起壁46eが設けられている。突起壁46eは、第一誘導壁46aの下流端から更に右方へ延伸している。」

(d)

「【0045】
次に、本実施形態に係るその他入賞口ユニット41のアウト通路61・62・63へ向かう遊技球の流れについて図9を用いて説明する。
その他入賞口43・44・45へ向かう遊技球は、複数の遊技釘と衝突し、第一のアウト通路61、第一のその他入賞口43、第二のアウト通路62、第二のその他入賞口44、第三のその他入賞口45のいずれかに案内される。いずれにも案内されなかった遊技球はさらに下流のアウト口16へと案内される。・・・」

b 引用文献2に記載の技術事項 上記記記載事項、および、図面の図示内容を総合勘案すると、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる(なお、記号e-2ないしh-2は、本願発明の構成E~Hに対応させて合議体が付した。)。

「e-2 遊技領域7の最下部に、遊技板5を前後方向に貫通して形成されるアウト口16(【0031】)と、
f-2’遊技領域7の左下部分に配置されているその他入賞口ユニット41(【0038】)と、を備え、
その他入賞口ユニット41は、ベースとなる板状のベース部材42と、ベース部材42に設けられた三つのその他入賞口43・44・45と、第一のアウト通路61および第二のアウト通路62の下流側が通じているアウト口51とを有し(【0038】)、
ベース部材42には、最も上流側に配置される第一誘導壁46aを有する立ち壁部材46が固定され(【0042】)、
g2 その他入賞口43は、上方が開口されたポケット状に形成され(【0039】)、その他入賞口44は、上方が開口されたポケット状に形成され、その他入賞口45は、右方が開口されたポケット状に形成され(【0041】)ている
h-2 パチンコ遊技機(【0001】)。」

(2-3)対比 本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

(a)引用発明における「パチンコ球」は、本件補正発明における「遊技球」に相当し、引用発明における「前面に」「遊技領域20aが画成されている遊技盤20」は、本件補正発明における「遊技領域を前面に備える遊技板」に相当する。

したがって、引用発明における構成aは、本件補正発明における構成Aに相当する。

(b)引用発明において、「案内レール22および第3盤面保護部材21c」は、「遊技盤20の前面に配設され」ていることから、遊技盤20の前面から突出するものである。

また、引用発明における「案内レール22」および「第3盤面保護部材21c」は、「遊技領域20aを画成する」ものであるから、本件補正発明における「包囲壁」に相当する。

したがって、引用発明における構成bは、本件補正発明における構成Bに相当する。

(c)引用発明における「パチンコ球が入賞可能」であること、「パチンコ球が入賞すると所定数の賞球が払い出される」ことは、それぞれ、本件補正発明における「遊技球を受け入れ」ること、「遊技者に特典を付与する」ことに相当する。

そして、引用発明における「2つの普通入賞口45」は、本件補正発明における「入賞口」に相当する。

したがって、引用発明における構成cは、本件補正発明における構成Cに相当する。

(d)引用発明における「遊技領域20aを流下するパチンコ球を」「遊技盤の裏側に配設される排出通路を介して機外に排出」することは、本件補正発明における「遊技領域を流下する遊技球を遊技板の後側に受け入れて前側に戻さ」ないことに相当する。

そして、引用発明の「パチンコ球をセーフ球となることなく」は、本件補正発明の「遊技者に特典を付与しない」ことに相当する。

また、引用発明の「第1アウト口24および第2アウト口47」は、本件補正発明の「アウト口」に相当する。

さらに、引用発明の構成d、hの「パチンコ機10」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

したがって、引用発明の構成d、hは、本件補正発明の構成D、Hに相当する。

(e)引用発明の「遊技盤20の最下部位置近傍に開設」されることは、本件補正発明の「遊技板の最下部近傍に配置」されることに相当する。

そして、引用発明の「第1アウト口24」は、本件補正発明の「第1の前記アウト口」に相当する。

したがって、引用発明の構成eは、本件補正発明の構成Eに相当する。

(f)引用発明の「サイド装飾体38」は、構成b、fより、「遊技領域20aを画成する」「第3盤面保護部材(レール部材)21cの内側に隣接して設けられ」るものである。

一方、引用発明の構成eより、「第1アウト口24」は、「遊技領域20aの最下部位置に開設され」たものである。

したがって、引用発明の「サイド装飾体38」は、「第1アウト口24」が「開設された」る「遊技領域20aの最下部位置」より上側に設けられていることは明らかである。

ゆえに、引用発明の「サイド装飾体38」は、本件補正発明の「隣接突部」に相当する。

よって、引用発明の構成fは、本件補正発明の構成Fに相当する。

(f1)引用発明における「上側壁42bの上面(外側面)」が、「前壁42aにおける左右方向に延在する上側の端縁部に沿って延在する」ことは、本件補正発明における「上部に設けられて横方向に延び」ることに相当する。

そして、引用発明における「右上端部は、第3盤面保護部材21cに隣接」することは、本件補正発明における「一端部が包囲壁に隣接」することに相当する。

また、引用発明における「遊技領域20a(第2経路30b)を流下するパチンコ球を受けて右側から左側に向かってパチンコ球を転動させ得る」、「左右中心線側に向けて左下方傾斜する第1転動面部43a」は、本件補正発明における「他端部に向かって下るように傾斜して、包囲壁沿いに流下してくる遊技球を遊技領域の横方向中央側に案内するガイド傾斜面」に相当する。

したがって、引用発明の構成f1は、本件補正発明の構成F1に相当する。

(f2)上記(f1)より、引用発明の「第1転動面部43a」は、本件補正発明の「ガイド傾斜面」に相当することから、引用発明の「第1転動面部43aの延長面より下方に」「位置する」ことは、本件補正発明の「ガイド傾斜面から延長した架空の延長面より下方に位置」することに相当する。

そして、引用発明の「第1転動面部43a」を含む構成f1の「転動面43」は、構成f、f1より、「サイド装飾体38」に形成されるものであって、上記(f)より、引用発明の「サイド装飾体38」は、本件補正発明の「隣接突部」に相当するものである。

また、引用発明の「2つの普通入賞口45」、「第2アウト口47」は、それぞれ、本件補正発明の「入賞口」、「第2の前記アウト口」に相当する。

さらに、引用発明の「上側壁42bは、構成f1より、「サイド装飾体38」が備える「前構成部材42」に設けられるものである。

そうすると、引用発明の「上側壁42bに切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している、第2アウト口47、2つの普通入賞口の画成部分」は、本件補正発明の「隣接突部に設けられ」「入賞口と第2の前記アウト口とを有する特別入球部」に相当する。

したがって、引用発明の構成f2、gは、本件補正発明の構成F2に相当する。

(g)上記(f2)より、引用発明の「上側壁42bに切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している、第2アウト口47、2つの普通入賞口の画成部分」は、本件補正発明の「特別入球部」に相当する。 そうすると、引用発明の構成f2、gの「2つ普通入賞口」を有する「上側壁42bに切り欠かれて、左右方向に不連続に延在している、第2アウト口47、2つの普通入賞口の画成部分」と、本件補正発明の構成Gの「2つの入賞口が設けられ、前記2つの入賞口は互いに異なる方向に開口している」「特別入球部」とは、「2つの入賞口が設けられている特別入球部」である点で共通する。

上記(a)~(g)によれば、本件補正発明と引用発明は、「A 遊技球が流下可能な遊技領域を前面に備える遊技板と、

B 前記遊技板の前面から突出し、前記遊技領域を包囲する包囲壁と、  C 前記遊技領域を流下する遊技球を受け入れて、遊技者に特典を付与する入賞口と、

D 前記遊技領域を流下する遊技球を前記遊技板の後側に受け入れて前側に戻さず、遊技者に特典を付与しないアウト口と、を有する遊技機において、

E 前記遊技板の最下部近傍に配置された第1の前記アウト口と、

F 前記第1のアウト口より上側で前記包囲壁の内側に隣接配置される隣接突部と、

F1 前記隣接突部の上部に設けられて横方向に延び、一端部が前記包囲壁に隣接し、他端部に向かって下るように傾斜して、前記包囲壁沿いに流下してくる遊技球を前記遊技領域の横方向中央側に案内するガイド傾斜面と、 F2 前記隣接突部に設けられ、前記ガイド傾斜面から延長した架空の延長面より下方に位置しかつ、前記入賞口と第2の前記アウト口とを有する特別入球部と、を備えた、

G´前記特別入球部は、2つの前記入賞口が設けられている

H 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点](構成G)

2つの入賞口が設けられている特別入球部に関して、本件補正発明は「2つの入賞口は互いに異なる方向に開口している」のに対して、引用発明は、「2つの普通入賞口」の開口方向が互いに異なるか否か不明である点。

(2-4)合議体の判断

上記相違点について検討する。

普通入賞口を2つ設けるに際し、その方向をどのようにするかは、普通入賞口の数や配置、釘の配置のほか、アウト口の数や配置、始動入賞口の数や配置などを考慮して、適宜設計できるものである。

例えば、引用文献2には、技術事項の構成g-2として、「上方が開口されたポケット状に形成され」た「その他入賞口43」もしくは「その他入賞口44」、および、「右方が開口されたポケット状に形成され」た「その他入賞口45」のように、複数の普通入賞口の開口の向きが異なる構成が開示されている。

すると、引用発明の「サイド装飾体38」に設けられた「2つの普通入賞口」の開口の向きを異なる方向とすることは、当業者が容易になし得たものである。

また、本件補正発明により奏される効果は、引用発明および引用文献2に記載の技術事項から、当業者が予測可能な範囲内のものである。

(2-5)請求人の主張について

請求人は、令和2年1月28日付け審判請求書において、次の主張をしている。

「本願請求項1の発明は、隣接突部に備えられた特別入球部に、2つの入賞口が設けられ、これら2つの入賞口が互いに異なる方向に開口している、という特徴的な構成を有しています。2つの入賞口の開口の向きが異なることで、特別入球部に到達した遊技球が、一方の入賞口には入球できないような方向から流下してきたとしても、他方の入賞口には入球して特典を得られることもあり、遊技球の多様な流下態様に対応して、入賞口に入賞する遊技球の動作のバリエーションを増やすことができ、趣向性が高い遊技を楽しむことができます。
これに対して、引用文献1(特開2015-097765号公報)の発明では、段落[0037]、図3及び図4に、隣接突部(前構成部材42)に、入賞口(第2入賞口45)が1つ備えられている、という記載があります。また、段落[0070]には、隣接突部に入賞口を2つ以上設ける構成を採用し得る、との記載があります。しかしながら、隣接突部に2つの入賞口を設ける構成を採用し得たとしても、これら入賞口の開口の向きが異なるという本願の特徴的な構成についての記載や示唆は一切ありません。しかも、引用文献1では、段落[0036]、[0037]に、隣接突部に備えられた入賞口だけではなく、2つのアウト口(47,49)もすべて上方に開口するとの記載があり、これらの記載から、たとえ隣接突部に2つの入賞口を設ける構成を採用し得たとしても、2つの入賞口は全て上方に開口する構成にしかなり得ません。この構成では、入賞口がみな同じ向きに開口しているので、入賞口に入賞する遊技球の動作は同じようなものとなってしまいます。」(4.本願発明が特許されるべき理由)

そこで、請求人の上記主張について検討する。

上記第2[理由]2(1)ウ(イ)で検討したとおり、本件効果は、本件補正事項のみで奏し得るものではなく、当初明細書等記載の構成と合せて奏し得るものである。

すると、請求人が主張する上記効果は、本件補正発明が奏し得るものではないから、請求人の上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではない。

よって、請求人の上記主張を採用することはできない。

(2-6)小括

本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明および引用文献2に記載の技術事項から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。

上記(2-3)~(2-5)における検討内容より、本件補正発明は、引用発明1、および、引用文献2に記載の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

(3)まとめ

上記(1)、(2)より、本件補正は、同法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、仮に同法第17条の2第3項の規定に違反せず同法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるとしても、本件補正発明は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和元年7月3日付け手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであるところ、上記第2[理由]1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2015-97765号公報

3 引用文献に記載された事項

原査定の拒絶の理由に引用文献として引用された引用文献1の記載事項、および、引用発明の認定については、上記「第2[理由]2(2)イ(ア)」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2[理由]2(2)ア」で検討した本件補正発明から、構成Gの限定を省くものである。

そうすると、上記「第2[理由]2(2)ウ」における検討内容からみて、本願発明と引用発明とを対比したとき、相違する点はない。

したがって、本願発明は、引用発明である。

5 むすび

上記1~4より、本願発明は、特許法第29条第1項第3項に該当し特許を受けることができない。

したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-001128

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