特許拒絶査定不服審判
2025-002547
遊技機
- 審判番号
- 2025-002547
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-109859
- 請求日
- 2025年02月19日
- 審決日
- 2025年11月19日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社北電子
- 【請求人代理人】弁理士法人平和国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 秋田 将行
- 審判官 蔵野 いづみ
- 審判官 山崎 仁之
- 分類
- P18 .572-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-109859「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 1月20日出願公開、特開2025- 8026〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願は、令和5年7月4日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下の通りである。
令和 6年 9月 4日付け:拒絶理由通知(最初)
同年10月15日 :意見書及び手続補正書の提出
同年11月18日付け:拒絶理由通知(最後)
同年12月 6日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 7年 1月28日付け:補正の却下の決定(令和6年12月6日提出の手続補正書による補正を却下)、拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年 2月 4日 :原査定の謄本の送達
同年 2月19日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和7年2月19日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年2月19日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲は、以下の通り補正された(なお、下線は補正箇所を明示するために合議体が付したものである。)。
「 【請求項1】
第1設定値と、当該第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段と、
前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報及び第2特定情報を含む複数の特定情報の中から、第1期間において出力する特定情報を決定可能な第1決定手段と、
前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報及び第2特別情報を含む複数の特別情報の中から、前記第1期間とは異なる第2期間において出力する特別情報を決定可能な第2決定手段と、
前記第1決定手段により決定された特定情報を前記第1期間において出力可能であり、前記第2決定手段により決定された特別情報を前記第2期間において出力可能な出力手段と、
を備え、
前記第1決定手段は、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能であり、
前記設定手段によって、前記第2設定値が設定されている場合よりも、前記第1設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能であり、
前記第1特定情報は、
前記第1特別情報と少なくとも一部が同一の情報であり、
前記第2特定情報は、
前記第2特別情報と少なくとも一部が同一の情報である
ことを特徴とするスロットマシン。」
(2) 本件補正前の特許請求の範囲の記載
令和6年10月15日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の特許請求の範囲の記載は、次の通りである。
「 【請求項1】
第1設定値と、当該第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段と、
前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報を含む複数の特定情報の中から、第1タイミングにおいて出力する特定情報を決定可能な第1決定手段と、
前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報を含む複数の特別情報の中から、前記第1タイミングとは異なる第2タイミングにおいて出力する特別情報を決定可能な第2決定手段と、
前記第1決定手段により決定された特定情報を前記第1タイミングで出力可能であり、前記第2決定手段により決定された特別情報を前記第2タイミングで出力可能な出力手段と、
を備え、
前記第1決定手段は、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能であり、
前記第1特定情報は、
前記第1特別情報と少なくとも一部が同一の情報である
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1決定手段は、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合、前記第1特定情報を決定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記設定手段は、
前記第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る設定値であって、前記第2設定値よりも遊技が不利に進行し得る設定値である第3設定値を設定可能であり、
前記第1決定手段は、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第3設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能であり、
前記設定手段によって、前記第2設定値が設定されている場合よりも、前記第3設定値が設定されている場合の方が、低確率で前記第1特定情報を決定可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記複数の特定情報は、
第2特定情報を含み、
前記複数の特別情報は、
前記第2特定情報と少なくとも一部が同一の情報である第2特別情報を含み、
前記第1決定手段は、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第3設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能であり、
前記設定手段によって、前記第3設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能であり、
前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合、前記第2特定情報を決定せず、
前記第2決定手段は、
前記設定手段によって設定されている設定値に関わらず、前記第2特別情報を決定可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記出力手段は、
前記第1決定手段により決定された特定情報を前記第1タイミングで所定情報と共に出力可能であり、
前記第2決定手段により決定された特別情報を前記第2タイミングで前記所定情報と共に出力可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。」
(3) 補正事項
本件補正後の特許請求の範囲に係る補正は、以下の補正事項からなる。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1の「第1特定情報を含む複数の特定情報」を、「第1特定情報及び第2特定情報を含む複数の特定情報」とする補正。
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1の「第1タイミングにおいて出力する特定情報」、「第2タイミングにおいて出力する特別情報」、「特定情報を前記第1タイミングで出力可能」及び「特別情報を前記第2タイミングで出力可能」を、それぞれ「第1期間において出力する特定情報」、「第2期間において出力する特別情報」、「特定情報を前記第1期間において出力可能」及び「特別情報を前記第2期間において出力可能」とする補正。
ウ 補正事項3
本件補正前の請求項1に、「前記設定手段によって、前記第2設定値が設定されている場合よりも、前記第1設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能であり」という記載を追加する補正。
エ 補正事項4
本件補正前の請求項1に、「前記第2特定情報は、前記第2特別情報と少なくとも一部が同一の情報である」という記載を追加する補正。
オ 補正事項5
本件補正前の請求項1の「遊技機」を、「スロットマシン」とする補正。
カ 補正事項6
本件補正前の請求項2~5を削除する補正。
2 補正の適否について
事案に鑑み補正事項2から検討する。
補正事項2では、「タイミング」を「期間」に変更しているが、通常、「タイミング」とは「適当な時を見はからうこと。」であり、「期間」とは「一定の時期から他の一定の時期までの間」を意味するところ(以上「広辞苑第七版」)、「タイミング」と「期間」が概念として上位下位の関係にないことは明らかであるから、補正事項2の目的は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。そして、補正事項2が、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる「請求項の削除」、同項第3号に掲げる「誤記の訂正」、同項第4号に掲げる「明りょうでない記載の釈明」のいずれを目的とするものでないことは明らかである。
したがって、本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反する。
3 本件補正の目的が特許請求の範囲の減縮である場合について
上記2で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれを目的とするものともいえないところ、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、特許法第17条の2第3項に規定する「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において」したものであると仮定した場合についても、予備的に検討する。
本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである場合には、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正後発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定。以下「独立特許要件」という。)から、本件補正後発明が、独立特許要件を満たすものであるかについて検討する。
(1) 本件補正後発明
本件補正後発明は、次のとおりのものである(なお、符号A等は分説のため合議体が付した。また、分説されたそれぞれの発明を特定するために必要な事項を、以下「構成A」等という。)。
「 【請求項1】
A 第1設定値と、当該第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段と、
B 前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報及び第2特定情報を含む複数の特定情報の中から、第1期間において出力する特定情報を決定可能な第1決定手段と、
C 前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報及び第2特別情報を含む複数の特別情報の中から、前記第1期間とは異なる第2期間において出力する特別情報を決定可能な第2決定手段と、
D 前記第1決定手段により決定された特定情報を前記第1期間において出力可能であり、前記第2決定手段により決定された特別情報を前記第2期間において出力可能な出力手段と、
を備え、
前記第1決定手段は、
B1 前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能であり、
B2 前記設定手段によって、前記第2設定値が設定されている場合よりも、前記第1設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能であり、
B3 前記第1特定情報は、
前記第1特別情報と少なくとも一部が同一の情報であり、
B4 前記第2特定情報は、
前記第2特別情報と少なくとも一部が同一の情報である
E ことを特徴とするスロットマシン。」
(2) 引用発明
ア 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2022-67529号公報(公開日:令和4年5月6日。以下「引用文献」という。)には、以下の記載がある(なお、下線は引用発明等の認定に関連する箇所を示すために合議体が付した。)。
「 【0008】
まず、スロットマシン1の全体構成について、図1~図2を参照して説明する。
スロットマシン1は、遊技場等に設置されるものである。
図1~図2に示すように、スロットマシン1は、前扉1a、ベットボタン2a、返却ボタン2c、演出ボタン2d、上部演出ボタン2f、メダル投入口2、スタートレバー3、リール4、停止ボタン5、表示窓6、メダル払出装置7、メダル払出口7b、メイン表示器8、スピーカ9、前面パネル19、ランプ11、ナビランプ12、有利区間ランプ13、確率設定装置14、表示器装飾枠15、ドラムユニット4d、主制御装置10、副制御装置20を備える。」
「 【0023】
主制御装置10は、ベットボタン2a、メダルセレクタ2b、返却ボタン2c、スタートレバー3、停止ボタン5、確率設定装置14(設定手段)、メダル払出装置7、ドラムユニット4dおよび有利区間ランプ13と通信ケーブルで接続されており各機器を制御可能となっている。また、主制御装置10には、記憶部(記憶手段)、制御部が備えられている。
【0024】
設定手段としての確率設定装置14は、特定遊技状態(例えば、疑似ボーナス状態)の当選確率を複数段階(例えば、6段階)に変更することで、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で設定変更可能にするもので、主制御装置10は、確率設定装置14における確率設定操作に基づき、特定遊技状態の当選確率を確率の異なる複数の確率値のうちの何れか1つの確率値に設定する処理を行う。
確率設定装置14で設定される設定値は、設定1が最も低い確率値で、大きい数字ほど確率値が高くなり設定6が最も高い確率値となっている。したがって、設定1が最も遊技者に不利な設定(有利度合いが最も低い設定)であり、大きい数字ほど遊技者に有利になり設定6が最も遊技者に有利な設定(有利度合いが最も高い設定)となっている。」
「 【0036】
ゲームの開始にあたり、メダル投入口2からのメダルを投入、或いはベットボタン2aの操作によりクレジットメダルからベット数の設定を行う。
そして、ベット数が所定数(例えば、3枚)になったときに、ゲームの開始条件の一つが成立して、1回のゲームを実行可能な権利を保有するゲーム開始可能な状態となる。
【0037】
このゲーム開始可能な状態では、スタートレバー3の操作が有効な状態となる。この有効な状態において、スタートレバー3が傾動操作されると、ゲームの開始条件の全てが成立して、ゲームが開始され、複数の図柄の表されたリール4a~4cが変動を開始するとともに、リプレイ役、小役、ボーナス役などの複数の当選役(ハズレを含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール4の停止前に事前に決定する内部抽選処理が実行される。
内部抽選処理では、複数の当選役の中から今回ゲームの当選役を所定の当選確率に基づいて抽選により決定する。例えば、抽選によりリプレイ役やベル役等の抽選結果が導出される。」
「 【0190】
[押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン1]
次に、図7~9を参照して、メイン表示器8で表示される押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターンについて説明する。
前述したように、主制御装置10からの制御情報に基づき副制御装置20は、役の抽選結果に基づいて、メイン表示器8において所定の当選演出を実行するようにしているが、本実施形態においては、押し順ベル役に当選した場合には、ゲーム結果としての図柄組合せ態様の種類や、そのときの疑似ボーナス状態の当選確率状態に応じて、異なる態様の報知を行うようにしている。
【0191】
図7は、押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン1として、リール4上にベル図柄が直線状に並んで停止した場合のメイン表示器8での演出画像を示している。
なお、図7~9は、押し順ベル役の種類として、左停止ボタン5a→中停止ボタン5b→右停止ボタン5cの順に停止操作(特定の押し順による停止操作)が行われた場合にベル図柄が直線状に停止し、それ以外の順で停止操作が行われた場合にベル図柄がV字状に停止する種別の押し順ベル役(5a→5b→5c)に当選した場合を例示している。
図7に示すように、押し順ベル役(5a→5b→5c)に当選して、パターンAでの当選演出が実行されると、主制御装置10でのリール4の停止態様に応じて、副制御装置20によりメイン表示器8においてパターンAでの当選演出時の演出画像が表示される。
【0192】
まず、図7(a)、(b)は、ゲーム開始時のリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図示するように、パターンAでの当選演出が実行されるゲームが開始されると、各リール4の回転が開始されるとともに、図5(a)で説明したように、メイン表示器8の画面の左下側に、所定のキャラクタを示す通常キャラクタ画像30aが表示され、画面の右上側に、疑問符の記号「?」を含んだ通常吹出し画像30bが表示される。
【0193】
次に、図7(c)、(d)は、リール4のうちの一部が停止した時点、すなわち左リール4aが最初に停止され、その次に中リール4bが停止された時点のゲーム途中におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図7(d)に示すように、左リール4a→中リール4bの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4aおよび中リール4bにベル図柄40が直線状に並んだ、所謂テンパイ形態での途中図柄組合せ態様が形成される。
また、左リール4aおよび中リール4bが停止した時点でも、図7(c)に示すように、通常キャラクタ画像30aおよび通常吹出し画像30bは継続して表示される。
【0194】
次に、図7(e)、(f)は、全てのリール4が停止したゲーム終了後におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図7(f)に示すように、左リール4a→中リール4b→右リール4cの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4a、中リール4bおよび右リール4cにベル図柄40が直線状(右斜め下ライン上)に並んだ図柄組合せ態様が形成される。
また、図7(e)に示すように、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、図5(b)で説明したように、メイン表示器8の画面略中央部に、ベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されたことを報知する通常ベル画像30cが表示される。
ゲーム終了後に表示が開始された通常ベル画像30cは、次のゲームが開始されるまで継続して表示される。」
「 【0197】
[押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン2]
次に、図8は、押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン2として、リール4上にベル図柄が直線状に並んで停止した場合に、上記報知パターン1とは異なる態様の当選演出が実行された場合のメイン表示器8での演出画像を示している。
前述したように、主制御装置10では、疑似ボーナス状態の抽選に関して、通常の確率で抽選を行う通常確率状態と、通常確率状態よりも高い確率で抽選を行う高確率状態の2つの確率状態で疑似ボーナス状態の抽選を可能にしている。
【0198】
本実施形態においては、押し順ベル役当選時にパターンAでの当選演出が実行された場合に、そのときの報知態様を変更することで、疑似ボーナス状態の確率状態を示唆するようにしている。
具体的には、副制御装置20は、通常確率状態においては、上記図7で示したような報知パターン1での当選演出を実行するようにしているが、高確率状態においては、押し順ベル役当選時に直線状にベル図柄40が停止したときの所定確率(例えば、10%)で、上記報知パターン1とは異なる報知パターン2での当選演出を実行するようにしている。
したがって、高確率状態となった場合でも、押し順ベル役当選時に直線状にベル図柄40が停止した場合に必ず報知パターン2での当選演出が実行されるのではなく、高確率状態を示唆するように当選演出の報知パターンが変更されるのである。
【0199】
図8は、高確率状態中に押し順ベル役(5a→5b→5c)が当選して、報知パターン2での当選演出を実行することが決定された場合を示していて、押し順ベル役(5a→5b→5c)の当選によりパターンAでの当選演出が実行された場合における、主制御装置10でのリール4の停止態様に応じた副制御装置20によるメイン表示器8においてパターンAでの当選演出時の演出画像を示している。
【0200】
まず、図8(a)、(b)は、ゲーム開始時のリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図示するように、パターンAでの当選演出が実行されるゲームが開始されると、各リール4の回転が開始されるとともに、図5(a)で説明したように、メイン表示器8の画面の左下側に、所定のキャラクタを示す通常キャラクタ画像30aが表示され、画面の右上側に、疑問符の記号「?」を含んだ通常吹出し画像30bが表示される。
【0201】
次に、図8(c)、(d)は、リール4のうちの一部が停止した時点、すなわち左リール4aが最初に停止され、その次に中リール4bが停止された時点のゲーム途中におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図8(d)に示すように、左リール4a→中リール4bの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4aおよび中リール4bにベル図柄40が直線状に並んだ、所謂テンパイ形態での途中図柄組合せ態様が形成される。
また、左リール4aおよび中リール4bが停止した時点でも、図8(c)に示すように、通常キャラクタ画像30aおよび通常吹出し画像30bは継続して表示される。
【0202】
次に、図8(e)、(f)は、全てのリール4が停止したゲーム終了後におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図8(f)に示すように、左リール4a→中リール4b→右リール4cの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4a、中リール4bおよび右リール4cにベル図柄40が直線状(右斜め下ライン上)に並んだ図柄組合せ態様が形成される。
また、図8(e)に示すように、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、ベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されたことを報知する特定ベル画像30dが表示される。
このときの特定ベル画像30dは、配色は同一であるが通常ベル画像30cに比べて形状が拡大したものとなっている。
また、ゲーム終了後に表示が開始された特定ベル画像30dは、次のゲームが開始されるまで継続して表示される。」
「 【0206】
[押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン3]
次に、図9は、押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン3として、リール4上にベル図柄がV字状に並んで停止した場合に、上記報知パターン1および報知パターン2とは異なる態様の当選演出が実行された場合のメイン表示器8での演出画像を示している。
前述したように、主制御装置10では、押し順ベル役の何れかが当選した場合には、当選した押し順ベル役の種類に対応して設定されている停止操作順序で停止ボタン5が停止操作された場合には、リール4上にベル図柄が直線状に並んで停止し、それ以外の停止操作順序で停止ボタン5が停止操作された場合には、リール4上にベル図柄がV字状に並んで停止するようなリール制御を行うようにしている。
【0207】
本実施形態においては、押し順ベル役当選時にパターンAでの当選演出が実行された場合に、そのときの停止ボタン5の停止操作順序、すなわち、リール4上にベル図柄が直線状に並ぶか、V字状に並ぶかに応じて報知態様を変更するようにしている。
具体的には、副制御装置20は、押し順ベル役当選時にリール4上にベル図柄が直線状に並んだ場合には、上記した報知パターン1あるいは報知パターン2での当選演出を実行するようにしているが、リール4上にベル図柄がV字状に並んだ場合には、上記報知パターン1あるいは報知パターン2とは異なる報知パターン3での当選演出を実行するようにしている。
なお、押し順ベル役当選時にリール4上にベル図柄がV字状に並んだ場合には、確率状態の示唆は行われない。
【0208】
図9は、押し順ベル役(5a→5b→5c)が当選したにもかかわらず、左リール4a→右リール4c→中リール4bの順に停止操作が行われた場合の当選演出時の報知パターン3を示していて、押し順ベル役(5a→5b→5c)の当選によりパターンAでの当選演出が実行された場合における、主制御装置10でのリール4の停止態様に応じた副制御装置20によるメイン表示器8においてパターンAでの当選演出時の演出画像を示している。
【0209】
まず、図9(a)、(b)は、ゲーム開始時のリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図示するように、パターンAでの当選演出が実行されるゲームが開始されると、各リール4の回転が開始されるとともに、図5(a)で説明したように、メイン表示器8の画面の左下側に、所定のキャラクタを示す通常キャラクタ画像30aが表示され、画面の右上側に、疑問符の記号「?」を含んだ通常吹出し画像30bが表示される。
【0210】
次に、図9(c)、(d)は、リール4のうちの一部が停止した時点、すなわち左リール4aが最初に停止され、その次に右リール4cが停止された時点のゲーム途中におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図9(d)に示すように、左リール4a→右リール4cの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4aの上段と右リール4cの上段にベル図柄40が停止して、ベル図柄40が直線状もしくはV字状の何れかに停止可能な途中図柄組合せ態様が形成される。
また、左リール4aおよび中リール4bが停止した時点でも、図9(c)に示すように、通常キャラクタ画像30aおよび通常吹出し画像30bは継続して表示される。
【0211】
次に、図9(e)、(f)は、全てのリール4が停止したゲーム終了後におけるリール4およびメイン表示器8の状態を示していて、図9(f)に示すように、押し順ベル役(5a→5b→5c)の当選時に、左リール4a→右リール4c→中リール4bの順に停止ボタン5の停止操作、すなわち、ベル図柄40が直線状に停止されない停止操作が行われると、左リール4aの上段、中リール4bの中段および右リール4cの上段にかけてベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成される。
【0212】
また、図9(e)に示すように、ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、ベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されたことを報知する特別ベル画像30eが表示される。
このときの特別ベル画像30eは、通常ベル画像30cおよび特定ベル画像30dとは内部の模様が異なり、例えば、斜めの斜線が描かれた模様が施されたものとなっている。また、詳細は後述するが、配色も通常ベル画像30cおよび特定ベル画像30dとは異なるものとなっていて、通常ベル画像30cおよび特定ベル画像30dが固定された配色(黄色)が施されているのに対して、特別ベル画像30eがそのときの確率設定装置14での設定値に応じた配色に変化可能となっている。
したがって、特別ベル画像30eが表示された場合には、その画像の配色を確認することで、その時点の確率設定装置14での設定値をある程度予測可能となるのである。
また、ゲーム終了後に表示が開始された特別ベル画像30eは、次のゲームが開始されるまで継続して表示される。」
「 【0218】
[特別ベル画像の配色の選択率]
次に、特別ベル画像の配色の選択率について図10を参照して説明する。
前述したように、押し順ベル役当選時にパターンAでの当選演出が実行された際に、リール4上にベル図柄がV字状に並んで停止した場合には、ゲーム終了後に特別ベル画像30e(図9(e)参照)をメイン表示器8に表示させるようにしているが、副制御装置20は、このときの特別ベル画像30eの配色を確率設定装置14の設定値に応じて決定するようにしている。
特別ベル画像30eの配色としては、青色、緑色、赤色、虹色の4種類が設定されていて、副制御装置20では、確率設定装置14の設定値に応じて設定されている各選択率に基づき、何れか1つの配色を決定するようにしている。
したがって、特別ベル画像30eが表示された際の配色を確認することで、その時点の確率設定装置14の設定値をある程度予想することが可能となっている。
【0219】
図10は、副制御装置20において特別ベル画像30eの配色を決定する際の、確率設定装置14における各設定値に応じた選択率を示している。
まず、図10に示すように、確率設定装置14の設定値が「設定1」であった場合には、「青色」を選択する確率が99%、「緑色」を選択する確率が1%、「赤色」を選択する確率が0%、「虹色」を選択する確率が0%となるように選択制御が行われる。
【0220】
また、確率設定装置14の設定値が「設定2」であった場合には、「青色」を選択する確率が98%、「緑色」を選択する確率が2%、「赤色」を選択する確率が0%、「虹色」を選択する確率が0%となるように選択制御が行われる。
また、確率設定装置14の設定値が「設定3」であった場合には、「青色」を選択する確率が97%、「緑色」を選択する確率が3%、「赤色」を選択する確率が0%、「虹色」を選択する確率が0%となるように選択制御が行われる。
【0221】
また、確率設定装置14の設定値が「設定4」であった場合には、「青色」を選択する確率が95%、「緑色」を選択する確率が4%、「赤色」を選択する確率が1%、「虹色」を選択する確率が0%となるように選択制御が行われる。
また、確率設定装置14の設定値が「設定5」であった場合には、「青色」を選択する確率が93%、「緑色」を選択する確率が5%、「赤色」を選択する確率が2%、「虹色」を選択する確率が0%となるように選択制御が行われる。
また、確率設定装置14の設定値が「設定6」であった場合には、「青色」を選択する確率が90%、「緑色」を選択する確率が6%、「赤色」を選択する確率が3%、「虹色」を選択する確率が1%となるように選択制御が行われる。
【0222】
以上のような各選択率で、特別ベル画像30eの配色が決定されることから、特別ベル画像30eの配色の違いにより、確率設定装置14での設定値を示唆可能となり、青色→緑色→赤色→虹色の順に確率設定装置14の設定値がより高設定となっている可能性が高まることとなる。
すなわち、第2報知制御手段としての副制御装置20は、特別の報知態様(特別ベル画像30e)の種別により、設定手段としての確率設定装置14における設定段階を示唆可能とするのである。」
「
[図:0001431926000001.jpg]
」
「
[図:0001431926000002.jpg]
」
「
[図:0001431926000003.jpg]
」
イ 引用文献の記載から認定される事項
(ア) 認定事項1
上記アの【0191】には「図7は、押し順ベル役当選時のパターンAでの当選演出の報知パターン1として、リール4上にベル図柄が直線状に並んで停止した場合のメイン表示器8での演出画像を示している。」と記載されている。
そして、図7についての説明として、上記アの【0191】に「図7に示すように、押し順ベル役(5a→5b→5c)に当選して、パターンAでの当選演出が実行されると、主制御装置10でのリール4の停止態様に応じて、副制御装置20によりメイン表示器8においてパターンAでの当選演出時の演出画像が表示される。」と記載され、【0194】に「図7(e)に示すように、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、図5(b)で説明したように、メイン表示器8の画面略中央部に、ベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されたことを報知する通常ベル画像30cが表示される。ゲーム終了後に表示が開始された通常ベル画像30cは、次のゲームが開始されるまで継続して表示される。」と記載されている。
このことから、引用文献には、「押し順ベル役(5a→5b→5c)に当選して、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、通常ベル画像30cが表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示される、報知パターン1」が記載されていると認められる。
(イ) 認定事項2
図8についての説明として、上記アの【0199】に「図8は、高確率状態中に押し順ベル役(5a→5b→5c)が当選して、報知パターン2での当選演出を実行することが決定された場合を示していて、押し順ベル役(5a→5b→5c)の当選によりパターンAでの当選演出が実行された場合における、主制御装置10でのリール4の停止態様に応じた副制御装置20によるメイン表示器8においてパターンAでの当選演出時の演出画像を示している。」と記載され、【0202】に「また、図8(e)に示すように、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、ベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されたことを報知する特定ベル画像30dが表示される。このときの特定ベル画像30dは、配色は同一であるが通常ベル画像30cに比べて形状が拡大したものとなっている。また、ゲーム終了後に表示が開始された特定ベル画像30dは、次のゲームが開始されるまで継続して表示される。」と記載されている。
このことから、引用文献には、「押し順ベル役(5a→5b→5c)が当選して、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、配色は同一であるが通常ベル画像30cに比べて形状が拡大したものとなっている特定ベル画像30dが表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示される、報知パターン2」が記載されていると認められる。
ウ 引用発明の認定
上記アに摘記した記載事項及び上記イの認定事項より、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める(符号a等は、本件補正後発明の符号A等に対応させて合議体が付した。)。
「a 設定1が最も遊技者に不利な設定(有利度合いが最も低い設定)であり、設定6が最も遊技者に有利な設定(有利度合いが最も高い設定)となっており、特定遊技状態(例えば、疑似ボーナス状態)の当選確率を複数段階(6段階)に変更することで、遊技者にとっての有利度合いを複数段階で設定変更可能にする確率設定装置14と(【0024】)、
b 押し順ベル役(5a→5b→5c)の当選時に、左リール4a→右リール4c→中リール4bの順に停止ボタン5の停止操作が行われると、左リール4aの上段、中リール4bの中段および右リール4cの上段にかけてベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され(【0211】)、ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、特別ベル画像30eが表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示され(【0212】)、確率設定装置14の設定値に応じて設定されている各選択率に基づき、特別ベル画像30eの配色として設定されている、青色、緑色、赤色、虹色の4種類から、何れか1つの配色を決定するようにしている(【0218】)、副制御装置20と、
c 通常確率状態においては、押し順ベル役(5a→5b→5c)に当選して、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、通常ベル画像30cが表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示される、報知パターン1での当選演出を実行するようにしているが、高確率状態においては、押し順ベル役当選時に直線状にベル図柄40が停止したときの所定確率(例えば、10%)で、押し順ベル役(5a→5b→5c)が当選して、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、メイン表示器8の画面略中央部に、配色は同一であるが通常ベル画像30cに比べて形状が拡大したものとなっている特定ベル画像30dが表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示される、報知パターン2での当選演出を実行するようにしている、副制御装置20と(【0198】、認定事項1及び認定事項2)、
d 特別ベル画像30eが、ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示され(【0212】)、通常ベル画像30cが、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示され(認定事項1)、特定ベル画像30dが、ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると表示され、次のゲームが開始されるまで継続して表示される(認定事項2)、メイン表示器8と、
を備え、
副制御装置20は、
b1 特別ベル画像30eの配色を決定する際、確率設定装置14の設定値が「設定1」であった場合には、「虹色」を選択する確率が0%(【0219】)、設定値が「設定6」であった場合には、「虹色」を選択する確率が1%となるように選択制御が行われ(【0221】)、
b2 特別ベル画像30eの配色を決定する際、確率設定装置14の設定値が「設定6」であった場合には、「青色」を選択する確率が90%(【0221】)、「設定1」であった場合には、「青色」を選択する確率が99%となるように選択制御が行われ(【0219】)、
b3b4 特定ベル画像30dは、配色は同一であるが通常ベル画像30cに比べて形状が拡大したものとなっていて(【0202】)、特別ベル画像30eは、配色が通常ベル画像30cおよび特定ベル画像30dとは異なるものとなっている(【0212】)、
e スロットマシン(【0008】)。」
エ 対比・判断
本件補正後発明と引用発明とを対比する。
(ア) 構成Aについて
引用発明の構成aの「設定1」、「設定6」及び「確率設定装置14」は、それぞれ本件補正後発明の「第1設定値」、「第2設定値」及び「設定手段」に相当する。
よって、引用発明の構成aは、本件補正後発明の構成Aに相当する構成を有する。
(イ) 構成Bについて
引用発明の構成bの「虹色」の配色が決定された「特別ベル画像30e」及び「青色」の配色が決定された「特別ベル画像30e」が、それぞれ本件補正後発明の「第1特定情報」及び「第2特定情報」に相当する。
引用発明の構成bは「確率設定装置14の設定値に応じて設定されている各選択率に基づき、特別ベル画像30eの配色として設定されている」、青色及び虹色を含む「4種類から、何れか1つの配色を決定する」ようにしているから、引用発明の構成bは本件補正後発明の構成Bの「前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報及び第2特定情報を含む複数の特定情報の中から、」「出力する特定情報を決定可能」とすることに相当する構成を備えているといえる。
また、引用発明の構成bは「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると」、「特別ベル画像30eが表示され」、「次のゲームが開始されるまで継続して表示され」ることから、引用発明の構成bの「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」てから、「次のゲームが開始されるまで」が、本件補正後発明の「第1期間」に相当し、引用発明の構成bは本件補正後発明の構成Bの「第1期間において出力する特定情報」に相当する構成を備えているといえる。
そして、引用発明の構成bの「副制御装置20」が、本件補正後発明の「第1決定手段」に相当する。
よって、引用発明の構成bは、本件補正後発明の構成Bに相当する構成を有する。
(ウ) 構成Cについて
引用発明の構成cの「通常ベル画像30c」と「特定ベル画像30d」の一方が、本件補正後発明の「第1特別情報」に相当し、「通常ベル画像30c」と「特定ベル画像30d」の他方が、本件補正後発明の「第2特別情報」に相当する。
また、引用発明の構成cは「通常確率状態においては、」「通常ベル画像30cが表示され、」「高確率状態においては、押し順ベル役当選時に直線状にベル図柄40が停止したときの所定確率(例えば、10%)で、」「特定ベル画像30dが表示され」るから、「通常確率状態」か「高確率状態」かに基づいて、「通常ベル画像30c」及び「特定ベル画像30d」を表示することを決定するものであり、確率設定装置14の設定値に基づいて決定するものではない。したがって、引用発明の構成cは、本件補正後発明の構成Cの「前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報及び第2特別情報を含む複数の特別情報の中から、」「出力する特別情報を決定可能」に相当する構成を備えているといえる。
さらに、「通常ベル画像30c」と「特定ベル画像30d」は、共に「ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、」「表示され、」「次のゲームが開始されるまで継続して表示され」ることから、引用発明の構成cの「ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」てから、「次のゲームが開始されるまで」が、本件補正後発明の「第2期間」に相当する。そして、上記(イ)に記載したとおり、引用発明の構成bの「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」てから、「次のゲームが開始されるまで」が、本件補正後発明の「第1期間」に相当するから、「第1期間」と「第2期間」は異なる期間である。これより、引用発明の構成cは本件補正後発明の構成Cの「前記第1期間とは異なる第2期間において出力する特別情報」に相当する構成を備えているといえる。
そして、引用発明の構成cの「副制御装置20」が、本件補正後発明の「第2決定手段」に相当する。
よって、引用発明の構成cは、本件補正後発明の構成Cに相当する構成を有する。
(エ) 構成Dについて
引用発明の構成dの「メイン表示器8」が、本件補正後発明の構成Dの「出力手段」に相当する。そして、「第1期間」及び「第2期間」については、上記(イ)及び(ウ)に記載したとおりである。
よって、引用発明の構成dは、本件補正後発明の構成Dに相当する構成を有する。
(オ) 構成B1について
引用発明の構成b1の「特別ベル画像30eの配色を決定する際、確率設定装置14の設定値が「設定1」であった場合には、「虹色」を選択する確率が0%、設定値が「設定6」であった場合には、「虹色」を選択する確率が1%となるように選択制御」が行われることは、本件補正後発明の構成B1の「前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能」であることに相当する。
よって、引用発明の構成b1は、本件補正後発明の構成B1に相当する構成を有する。
(カ) 構成B2について
引用発明の構成b2の「特別ベル画像30eの配色を決定する際、確率設定装置14の設定値が「設定6」であった場合には、「青色」を選択する確率が90%、「設定1」であった場合には、「青色」を選択する確率が99%となるように選択制御」が行われることは、本件補正後発明の構成B2の「前記設定手段によって、前記第2設定値が設定されている場合よりも、前記第1設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第2特定情報を決定可能」であることに相当する。
よって、引用発明の構成b2は、本件補正後発明の構成B2に相当する構成を有する。
(キ) 構成B3及び構成B4について
引用発明の構成b3b4には、「特定ベル画像30d」が「通常ベル画像30c」に比べて形状が拡大したものとなっていて、「特別ベル画像30e」は「通常ベル画像30c」及び「特定ベル画像30d」と配色が異なるものとなっているとされている。そのため、「通常ベル画像30c」、「特定ベル画像30d」及び「特別ベル画像30e」は、同じベル画像の大きさ違い及び色違いであるから、少なくとも一部が同一の画像であるといえる。このことは、本願明細書の【0168】に「また、通常遊技状態中に出現するキャラとリザルトで出現するキャラは同一でもよく、非同一が認識困難な態様でもよい。つまり、双方のキャラにおいて、例えば、大きさ違い、形状違い、位置違い、色違い等の程度で同一かほぼ同一(類似)であればよい。すなわち、リザルト時に表示するキャラE(第1特定情報)は、通常遊技状態中に表示するキャラE(第1特別情報)と少なくとも一部が同一の情報であればよい。」と記載されていることとも整合する。
よって、引用発明の構成b3b4は、本件補正後発明のB3及びB4に相当する構成を有する。
(ク) 構成Eについて
引用発明の構成eの「スロットマシン」は、本件補正後発明の「スロットマシン」に相当する。
よって、引用発明の構成eは、本件補正後発明の構成Eに相当する構成を有する。
(ケ) 判断
上記(ア)~(ク)のとおり、本件補正後発明と引用発明は一致し、相違点はない。
よって、本件補正後発明は、引用文献に記載された発明である。
仮に、本件補正後発明と引用発明に相違点があるとしても、その差異は微差であり、本件補正後発明は、引用文献に記載された発明から当業者が容易に想到できたものである。
オ 審判請求人の主張について
審判請求人は令和7年2月19日提出の審判請求書において、本件補正後発明が、令和7年1月28日付け補正の却下の決定において引用された特開2020-31724号公報に記載された発明ではなく、また、当該発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない旨主張する。
しかしながら、上記エに記載したとおり、本件補正後発明は、原査定の拒絶の理由において引用された特開2022-67529号公報に記載された発明と一致し、または、当該発明から当業者が容易に想到できたものであるから、審判請求人の主張は採用できない。
また、審判請求人は審判請求書において、以下の通り本件補正後発明の効果を主張する。
「(2)本願発明の説明
本願発明(補正後の請求項1に係る発明)は、特定情報及び特別情報が出力される期間(場面)が異なる、という特徴的な構成を備えている。
このような特徴的な構成を備える本願発明によれば、従来の遊技機にはない固有の演出を提供することができる。
例えば、特定情報が出力される期間を遊技者の意思が反映されたものにすることができ、特定情報の出力を遊技者が認識できない可能性を低減させることができる、という格別の効果を奏することができる。」
しかしながら、上記エ(ウ)に記載したとおり、引用発明の「特別ベル画像30e」は「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」てから、「次のゲームが開始されるまで」表示させ、「通常ベル画像30c」及び「特定ベル画像30d」は「ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」てから、「次のゲームが開始されるまで」表示させるものであるから、本件補正後発明の「特定情報」に相当する「特別ベル画像30e」と、本件補正後発明の「特別情報」に相当する「通常ベル画像30c」及び「特定ベル画像30d」が表示される期間が異なることは明らかである。
さらに、引用発明では、「通常ベル画像30c」、「特定ベル画像30d」及び「特別ベル画像30e」は、いずれも「次のゲームが開始されるまで」表示され、そして、スタートレバー3の傾動操作によってゲームが開始される(【0037】)ことから、引用発明も、「特別ベル画像30e」が表示される期間を遊技者の意思が反映されたものとしている。
よって、審判請求人の本件補正後発明の効果についての主張は採用できない。
4 むすび(補正の却下の決定のむすび)
以上に検討したところによれば、本件補正は、上記2で検討したとおり、特許法第17条の2第5項各号に掲げる目的に該当しないから、本件補正は同項の規定に違反し、また、本件補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であると仮定したとしても、本件補正後発明は、上記3で検討したとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和7年2月19日に提出された手続補正書による補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和6年10月15日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。(なお、符号A等は分説のため合議体が付した。)
「 【請求項1】
A 第1設定値と、当該第1設定値よりも遊技が有利に進行し得る第2設定値と、を含む複数の設定値の中から何れかの設定値を設定可能な設定手段と、
B’ 前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報を含む複数の特定情報の中から、第1タイミングにおいて出力する特定情報を決定可能な第1決定手段と、
C’ 前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報を含む複数の特別情報の中から、前記第1タイミングとは異なる第2タイミングにおいて出力する特別情報を決定可能な第2決定手段と、
D’ 前記第1決定手段により決定された特定情報を前記第1タイミングで出力可能であり、前記第2決定手段により決定された特別情報を前記第2タイミングで出力可能な出力手段と、
を備え、
前記第1決定手段は、
B1 前記設定手段によって、前記第1設定値が設定されている場合よりも、前記第2設定値が設定されている場合の方が、高確率で前記第1特定情報を決定可能であり、
B3 前記第1特定情報は、
前記第1特別情報と少なくとも一部が同一の情報である
E’ ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、上記第2 3(2)で記載した引用文献に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、当該発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものを含むものである。
3 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献に記載された引用発明は、上記第2 3(2)ウに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 構成Aについて
本願発明の構成Aは、本件補正後発明の構成Aと同一であるから、上記第2 3(2)エ(ア)に記載したとおり、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当する構成を有する。
(2) 構成B’について
引用発明の構成bの「虹色」の配色が決定された「特別ベル画像30e」が、本願発明の「第1特定情報」に相当する。
引用発明の構成bは「確率設定装置14の設定値に応じて設定されている各選択率に基づき」、「特別ベル画像30eの配色として設定されている」、虹色を含む「4種類から、何れか1つの配色を決定する」ようにしているから、引用発明の構成bは、本願発明の構成B’の「前記設定手段により設定された設定値に基づいて、第1特定情報を含む複数の特定情報の中から、」「出力する特定情報を決定可能」とすることに相当する構成を備えているといえる。
また、引用発明の構成bは「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると」、「特別ベル画像30eが表示され」ることから、引用発明の構成bの「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」た時点が、本願発明の「第1タイミング」に相当し、引用発明の構成bは、本願発明の構成B’の「第1タイミングにおいて出力する特定情報」に相当する構成を備えているといえる。
よって、引用発明の構成bは、本願発明の構成B’に相当する構成を有する。
(3) 構成C’について
引用発明の構成cの「通常ベル画像30c」または「特定ベル画像30d」が、本願発明の「第1特別情報」に相当する。
また、引用発明の構成cは「通常確率状態においては、」「通常ベル画像30cが表示され、」「高確率状態においては、押し順ベル役当選時に直線状にベル図柄40が停止したときの所定確率(例えば、10%)で、」「特定ベル画像30dが表示され」るから、「通常確率状態」か「高確率状態」かに基づいて、「通常ベル画像30c」及び「特定ベル画像30d」を表示することを決定するものであり、確率設定装置14の設定値に基づいて決定するものではない。したがって、引用発明の構成cは、本願発明の「前記設定手段により設定された設定値に基づかずに、第1特別情報を含む複数の特別情報の中から、」「出力する特別情報を決定可能」に相当する構成を備えているといえる。
さらに、「通常ベル画像30c」と「特定ベル画像30d」は、共に「ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成されると、」「表示され」ることから、引用発明の構成cの「ゲームが終了した時点でベル図柄40が直線状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」た時点が、本願発明の「第2タイミング」に相当する。そして、上記(2)に記載したとおり、引用発明の構成bの「ゲームが終了した時点でベル図柄40がV字状に並んだ図柄組合せ態様が形成され」た時点が、本願発明の「第1タイミング」に相当するから、「第1タイミング」と「第2タイミング」は異なるタイミングである。これより、引用発明の構成cは本願発明の構成C’の「前記第1タイミングとは異なる第2タイミングにおいて出力する特別情報」に相当する構成を備えているといえる。
よって、引用発明の構成cは、本願発明の構成C’に相当する構成を有する。
(4) 構成D’について
引用発明の構成dの「メイン表示器8」が、本願発明の構成D’の「出力手段」に相当する。そして、「第1タイミング」及び「第2タイミング」については、上記(2)及び(3)に記載したとおりである。
よって、引用発明の構成dは、本願発明の構成D’に相当する構成を有する。
(5) 構成B1、構成B3について
本願発明の構成B1、構成B3は、本件補正後発明の構成B1、構成B3と同一であるから、上記第2 3(2)エ(オ)及び(キ)に記載したとおり、引用発明の構成b1,b3は、本願発明の構成B1、B3に相当する構成を有する。
(6) 構成E’について
引用発明の構成eの「スロットマシン」が、本願発明の「遊技機」に相当することは明らかである。
よって、引用発明の構成eは、本願発明の構成E’に相当する構成を有する。
(7) 小括
上記(1)~(6)のとおり、本願発明と引用発明は一致し、相違点はない。
よって、本願発明は、引用文献に記載された発明である。
仮に、本願発明と引用発明に相違点があるとしても、その差異は微差であり、本願発明は、引用文献に記載された発明から当業者が容易に想到できたものである。
第4 むすび(結論)
以上のとおり、本願発明は、引用文献に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、または、当該発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-002547