特許拒絶査定不服審判
2025-006261
遊技機
- 審判番号
- 2025-006261
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-073511
- 請求日
- 2025年04月23日
- 審決日
- 2026年05月26日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社サンセイアールアンドディ
- 【請求人代理人】田邊 淳也
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼川 康史
- 審判官 山崎 仁之
- 審判官 小野 郁磨
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .575-WZ (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 73511「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年11月 9日出願公開、特開2023-162840〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年4月27日の出願であって、令和6年4月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月14日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月14日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月21日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和7年1月23日付け(送達日:同年2月4日)で、令和6年10月21日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和7年4月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和7年4月23日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和7年4月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和6年6月14日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
(本件補正前の請求項1)
「【請求項1】
遊技状態を切り替える遊技状態切替手段を備える遊技機であって、
前記遊技状態切替手段の切り替え後の遊技状態は、有利状態が継続する変動回数の異なる第1有利状態と第2有利状態を含み、
前記遊技機は、さらに、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する音再生手段を備え、
前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、
前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される、
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
(本件補正後の請求項1)
「【請求項1】
遊技状態を切り替える遊技状態切替手段と、
複数種類の画像を表示可能な表示手段と、を備える遊技機であって、
前記複数種類の画像のうちの一つは、前記表示手段の中央を含んだ領域に表示される装飾図柄であり、
前記遊技状態切替手段の切り替え後の遊技状態は、有利状態が継続する変動回数の異なる第1有利状態と第2有利状態を含み、
前記遊技機は、さらに、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する音再生手段を備え、
遊技状態を前記第1有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目と、遊技状態を前記第2有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目とが同じ場合があり、
前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、
前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される、
ことを特徴とする遊技機。」と補正するものである(下線は、補正箇所を示すために当審で付した。)。
2 補正事項
本件補正は、本件補正前の請求項1において発明を特定するために必要な事項である、「第1有利状態と第2有利状態を含」む「遊技状態の切り替え」について、「遊技状態を前記第1有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目と、遊技状態を前記第2有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目とが同じ場合があ」ることを限定することに付随して、「複数種の画像を表示可能な表示手段」を備えること、及び、「前記複数種類の画像のうちの一つは、前記表示手段の中央を含んだ領域に表示される装飾図柄であ」ることを限定するものである。
3 補正の目的について
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明の発明特定事項を限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
4 新規事項の追加の有無について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)における【0026】、【0208】~【0211】、図1、図27等の記載に基づくものであり、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
5 独立特許要件の判断
上記3で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(符号A等は、分説するため当審で付した。以下「A」等が付された事項を「特定事項A」等という。以下同様。)。
(本件補正発明)
「【請求項1】
A 遊技状態を切り替える遊技状態切替手段と、
B 複数種類の画像を表示可能な表示手段と、を備える遊技機であって、
C 前記複数種類の画像のうちの一つは、前記表示手段の中央を含んだ領域に表示される装飾図柄であり、
D 前記遊技状態切替手段の切り替え後の遊技状態は、有利状態が継続する変動回数の異なる第1有利状態と第2有利状態を含み、
E 前記遊技機は、さらに、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する音再生手段を備え、
F 遊技状態を前記第1有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目と、遊技状態を前記第2有利状態へ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目とが同じ場合があり、
G 前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、
H 前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される、
I ことを特徴とする遊技機。」
(2) 引用文献
ア 引用文献1
(ア) 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021-119875号公報(令和3年8月19日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【0009】
1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。・・・前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。・・・」
「【0011】
・・・遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。・・・」
「【0014】
・・・画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43b(図3参照)にて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。」
「【0041】
・・・図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。・・・」
「【0044】
・・・主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。・・・」
「【0054】
・・・演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。・・・・」
「【0082】
・・・特殊ハズレは、後述する時短状態(微時短状態A、微時短状態B、時短状態B)の制御契機となるハズレである。つまり特別図柄抽選の結果が特殊ハズレである場合、遊技制御用マイコン81は、ハズレ図柄の停止表示後の遊技状態を、時短状態(微時短状態A、微時短状態B、時短状態B)に制御する。・・・
【0083】
・・・本形態では、遊技状態として、非時短状態と時短状態とがある。非時短状態を通常遊技状態とも称する。パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、非時短状態(通常遊技状態)である。時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー22に遊技球が入賞し易くなる遊技状態である。
【0084】
時短状態の種類には、微時短状態A、微時短状態B、時短状態A、時短状態Bの4つがある。時短状態Aは、上述したように、大当たり遊技の終了後に移行する時短状態である(図8参照)。これに対して、微時短状態A、微時短状態B、及び時短状態Bは、大当たり遊技が実行されることなく、ハズレ図柄が停止表示されたことに応じて移行する時短状態である。ここで本形態における微時短状態とは、非時短状態と区別がつき難い程度の時短状態のことである。そのため、後述するように時短状態である微時短状態Aと微時短状態Bは、時短状態A、又は時短状態Bと比べて、電チュー22に遊技球が入賞し難い遊技状態であるが、非時短状態と比べて、電チュー22に遊技球が入賞し易い遊技状態である(図10参照)。」
「【0088】
・・・通常遊技状態において、「特図1_ハズレ図柄B」が停止表示された場合には、その停止時間の経過時に微時短状態Aに制御され、一方で通常遊技状態において「特図1_ハズレ図柄C」が停止表示された場合には、その停止時間の経過時に微時短状態Bに制御される(図9(A)参照)。・・・本形態では、微時短状態Aに制御された場合には時短回数が100回に設定され(図9(A)参照)、微時短状態Bに制御された場合には時短回数が100回に制御される(図9(A)、図9(B)参照)。・・・」
「【0097】
よって、第2始動口21への遊技球の入球し易さは、時短状態B>時短状態A>微時短状態B>微時短状態Aの関係にあると言える。つまり、何れの時短状態も非時短状態よりも遊技者に有利な遊技状態ではあるものの、時短状態の中では、第1特別図柄が特殊ハズレで停止表示された後に移行する時短状態Bが最も遊技者にとって有利であり、次に大当たり遊技の終了後に移行する時短状態Aが遊技者にとって有利であり、次に第1特別図柄が特殊ハズレで停止表示された後に移行する微時短状態Bが遊技者にとって有利であり、次に第1特別図柄が特殊ハズレで停止表示された後に移行する微時短状態Aが遊技者にとって有利であると言える。」
「【0109】
また本形態では、非時短状態にて、特図1の抽選にて「ハズレ図柄B」や「ハズレ図柄C」といった特殊ハズレ(時短ハズレ)を引いた場合には、特図変動パターンP8又はP9が選択され、SPリーチの実行後に後述の時短突入演出が実行される(図11の特図1の欄参照)。これにより、大当たり遊技が実行されることなく微時短状態A、又は微時短状態Bに移行することを遊技者に報知する。・・・」
「【0234】
非時短状態にて、左打ちにて特図1の抽選を主とした遊技を行っているときに、特殊ハズレ(「特図1_ハズレ図柄B」、「特図1_ハズレ図柄C」)を引いた場合には、大当たり遊技が実行されることなく、時短状態である微時短状態A、又は微時短状態Bに移行される。」
「【0261】
・・・演出モードとは、画像表示装置7、スピーカ67、盤ランプ5、及び枠ランプ66等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、例えば画像表示装置7に表示されるキャラクタやアイテム、背景画像等が異なり、演出図柄8L,8C,8Rを用いた変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。」
「【0266】
夜背景モード(図42(B)参照)は、時短回数が100回の微時短状態Aに制御された場合に設定される演出モードである。本形態では、微時短状態Aであるときに設定される夜背景モードは、非時短状態である場合に設定される昼背景モードである場合よりも、普通図柄抽選により当選し、電チュー22が開放された場合に、第2始動口21に遊技球を入賞させ易いため、遊技者は特図2の抽選により大当たり当選、又は小当たり当選を狙うことが可能である。よって、夜背景モードは、昼背景モードよりも遊技者に有利な状態であることを示唆する演出として機能する。なお、微時短状態Aにて「100回」に設定されている時短回数の特図変動が行われた場合(所定回数消化)には、非時短状態に移行すると、昼背景モードに移行する。
【0267】
また、超夜背景モード(図42(C)参照)は、時短回数が100回の微時短状態Bに制御された場合に設定される演出モードである。本形態では、微時短状態Bであるときに設定される超夜背景モードは、非時短状態である場合に設定される昼背景モードである場合、又は微時短状態Aである場合に設定される夜背景モードである場合よりも、普通図柄抽選により当選し、電チュー22が開放された場合に、第2始動口21に遊技球を入賞させ易いため、遊技者は特図2の抽選により大当たり当選、又は小当たり当選を狙うことが可能である。よって、超夜背景モードは、昼背景モード、又は夜背景モードよりも遊技者に有利な状態であることを示唆する演出として機能する。なお、微時短状態Bにて「100回」に設定されている時短回数の特図変動が行われた場合(所定回数消化)には、非時短状態に移行すると、昼背景モードに移行する。」
「【0281】
8-2-5.特殊ハズレ(時短ハズレ)に基づく変動演出
次に、特図抽選の結果が、時短状態(微時短状態A、微時短状態B、時短状態B)への制御契機となる特殊ハズレ(ハズレ図柄Bやハズレ図柄C)である場合の変動演出について説明する。図46では、非時短状態にて、昼背景モードが設定されている場合にて、特殊ハズレ(ハズレ図柄Bやハズレ図柄C)であるときの変動演出について説明する。演出制御用マイコン91は、設定されている演出モードが昼背景モードであれば、遊技制御用マイコン81から受信した特図1変動開始コマンドが示す変動パターンが「P8」又は「P9」である場合、変動パターンが「P1」や「P4」である場合と同様、SPリーチを伴う変動演出を実行する(図11参照)。
【0282】
なお、演出制御用マイコン91は、設定されている演出モードが夜背景モードであれば、遊技制御用マイコン81から受信した特図1変動開始コマンドが示す変動パターンが「P58」又は「P59」である場合、変動パターンが「P1」や「P4」である場合と同様、SPリーチを伴う変動演出を実行する(図13(A)参照)。さらに、演出制御用マイコン91は、設定されている演出モードが夜背景モードであれば、遊技制御用マイコン81から受信した特図1変動開始コマンドが示す変動パターンが「P68」又は「P69」である場合、変動パターンが「P1」や「P4」である場合と同様、SPリーチを伴う変動演出を実行する(図13(B)参照)。
【0283】
このSPリーチでは、図46(A)に示すように、失敗演出(敗北演出)が実行される。ここで、特図抽選の結果が通常ハズレ(ハズレ図柄A)の場合には、SPリーチで失敗演出が実行されると、バラケ目で仮停止表示されている演出図柄8L,8C,8Rはそのまま確定的に停止表示され、これに合わせて、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もバラケ目で停止表示される(図46(B)参照)。
【0284】
これに対して、非時短状態にて、特図抽選の結果が特殊ハズレ(ハズレ図柄B又はハズレ図柄C)の場合には、SPリーチで失敗演出が実行されると、演出図柄8L,8C,8Rが確定的に停止表示されることなく、復活画像G70が表示画面7aに表示される(図42(C)参照)。なお本形態では、復活画像G70は、主人公キャラクタの仲間のキャラクタの画像である。
【0285】
復活画像G70が表示されることにより、遊技者には時短状態に移行することが示唆される。つまり、復活画像G70を表示する演出は、時短状態に移行することを示唆する演出や、特図抽選の結果が通常ハズレではないことを示唆する演出として機能する。なお、復活画像G70を表示する演出を、時短突入演出と称する。時短突入演出の演出内容は、適宜変更可能である。
【0286】
その後、図46(D)に示すように、演出制御用マイコン91は、復活画像G70を非表示とするとともに、中演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを仮停止表示する。本形態では、特殊図柄TZは、移行先の時短状態に対応する演出モード(空背景モード、宇宙背景モード、夜背景モード、超夜背景モード、山火事背景モード)の名称の文字(〇〇背景)を含む画像である。そして、この特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを確定的に停止表示するとともに、小図柄KZ1,KZ2,KZ3を、「1・3・5」の特定目で停止表示する(図46(E)参照)。このように本形態では、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることによっても、時短状態に移行することが示唆される。すなわち、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることは、時短状態に移行すること(特殊ハズレを引いたこと)を遊技者に示唆する演出として機能する。なお、演出図柄8L,8C,8Rの特殊目や、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の特定目は、適宜変更可能である。なお、微時短状態Aにて夜背景モードが設定されている場合に、特殊ハズレ(ハズレ図柄B、又はハズレ図柄C)であるときの変動演出や、微時短状態Bにて超夜背景モード、が設定されている場合に、特殊ハズレ(ハズレ図柄B、又はハズレ図柄C)であるときの変動演出は、図46を用いて説明した非時短状態にて昼背景モードが設定されている場合の特殊ハズレ(ハズレ図柄B、又はハズレ図柄C)であるときの変動演出と同様に、変動演出にてSPリーチと時短突入演出とが実行される場合がある(図13参照)。」
「【0316】
・・・微時短状態Aや、微時短状態Bや、時短状態Bに設定される時短回数は適宜変更可能である。・・・」
「【図1】
[図:0001438028000001.jpg]
」
「【図9】
[図:0001438028000002.jpg]
」
「【図39】
[図:0001438028000003.jpg]
」
「【図42】
[図:0001438028000004.jpg]
」
「【図46】
[図:0001438028000005.jpg]
」
(イ) 認定事項
a 【0011】には「画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。」と記載され、【図1】からは、演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rが横方向に並んで、画像表示装置7の中央を含む左右方向のほぼ全域にわたって表示されることが看取されるから、引用文献1には、演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rが横方向に並んで、画像表示装置7の中央を含む左右方向のほぼ全域にわたって表示されることが記載されていると認められる(認定事項a)。
b 【0286】には、「図46(D)に示すように、演出制御用マイコン91は、復活画像G70を非表示とするとともに、中演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを仮停止表示する。中演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを仮停止表示する。本形態では、特殊図柄TZは、移行先の時短状態に対応する演出モード(空背景モード、宇宙背景モード、夜背景モード、超夜背景モード、山火事背景モード)の名称の文字(〇〇背景)を含む画像である。そして、この特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを確定的に停止表示するとともに、小図柄KZ1,KZ2,KZ3を、「1・3・5」の特定目で停止表示する(図46(E)参照)。このように本形態では、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることによっても、時短状態に移行することが示唆される。すなわち、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることは、時短状態に移行すること(特殊ハズレを引いたこと)を遊技者に示唆する演出として機能する。」との記載によれば、引用文献1には、演出図柄8Cを移行先の時短状態に対応する演出モードの名称の文字を含む画像である特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示することが、時短状態に移行すること(特殊ハズレを引いたこと)を遊技者に示唆する演出であることが記載されていると認められる(認定事項b)。
(ウ) 引用文献1に記載された発明
上記(ア)及び(イ)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板80を備え(【0041】)、遊技状態として、非時短状態と時短状態とがあり(【0083】)、時短状態の種類には、微時短状態A、微時短状態B、時短状態A、時短状態Bの4つがあり、時短状態Aは、大当たり遊技の終了後に移行する時短状態であり、微時短状態A、微時短状態B、及び時短状態Bは、大当たり遊技が実行されることなく、ハズレ図柄が停止表示されたことに応じて移行する時短状態であって(【0084】)、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用マイコン81が実装され(【0044】)、
パチンコ遊技機1(【0009】)の遊技領域3には画像表示装置7が設けられており(【0011】)、画像表示装置7の表示画面7aには、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域(【00011】)、並びに、第1特図保留の記憶数に応じて演出留保9Aを表示する第1演出保留表示エリア及び第2特図保留の記憶数に応じて演出留保9Bを表示する第2演出保留表示エリア(【0014】)があり、
前記演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rが横方向に並んで、画像表示装置7の中央を含む左右方向のほぼ全域にわたって表示されるものであり(認定事項a)、
遊技制御用マイコン81は、ハズレ図柄の停止表示後の遊技状態を、非時短状態よりも遊技者に有利な遊技状態となる微時短状態A又は微時短状態Bといった時短状態に制御し(【0082】、【0097】)、これら微時短状態A及び微時短状態Bに設定される時短回数は適宜変更可能であり(【0316】)、
演出制御用マイコン91は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力し(【0054】)、演出モードとは、画像表示装置7、スピーカ67等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、画像表示装置7の表示が異なり(【0261】)、
通常遊技状態において、ハズレ図柄Bが停止表示された場合には、その停止時間の経過時に微時短状態Aに、通常遊技状態においてハズレ図柄Cが停止表示された場合には、その停止時間の経過時に微時短状態Bにそれぞれ制御され(【0088】)、
演出図柄8Cを移行先の時短状態に対応する演出モードの名称の文字を含む画像である特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示することが、時短状態に移行すること(特殊ハズレを引いたこと)を遊技者に示唆する演出である(認定事項b)、
パチンコ遊技機1(【0009】)。」
イ 引用文献2
(ア) 記載事項
本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2021-168873号公報(令和3年10月28日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。
「【0009】
図1に示す通り、遊技機1は、外枠2および内枠3を具備する。・・・」
「【0130】
本実施形態では、複数種類の時短遊技状態が設けられる。具体的には、本実施形態の時短遊技状態は、第1時短遊技状態、第2時短遊技状態および第3時短遊技状態を含む。第1時短遊技状態には、大当り遊技(エンディング期間)が終了した契機で移行する。第2時短遊技状態には、低確率遊技状態の大当り抽選(大当り判定処理)で予め定められた回数にわたり大当りに非当選の際に移行可能になる。第3時短遊技状態には、予め定められた特別図柄(後述の時短図柄)が低確率非時短遊技状態において停止表示された契機で移行する。
・・・
【0133】
以上の各時短遊技状態は、予め定められた回数の遊技が実行された契機、または、大当り遊技へ移行した契機で終了する。以下、時短遊技状態が終了する遊技回数を当該時短遊技状態の「時短回数」と記載する場合がある。本実施形態では、各時短遊技状態は時短回数が相違する。具体的には、第1時短遊技状態の時短回数は100回である。なお、大当り遊技が開始される際に停止表示された特別図柄(大当り図柄)に応じて、その後の第1時短遊技状態の時短回数が相違する構成としてもよい。また、第1時短遊技状態の時短回数は、100回に限定されず、101回以上であってもよいし、99回以下であってもよい。第2時短遊技状態の時短回数は1000回である。また、第3遊技状態の時短回数は100回または1000回である。
・・・
【0136】
図6(a-1)は、第1特別図柄表示装置20における特別図柄変動の停止結果を大当り、小当り、第3時短、ハズレの何れにするかを判定(大当り抽選)する際に参照される大当り判定テーブルAである。詳細には図7(a-1)から図7(a-4)を用いて後述するが、大当り抽選で大当りに当選すると、大当り図柄(特別図柄Aなど)が表示される。また、小当りに当選すると、小当り図柄(特別図柄K)が表示され、第3時短に当選すると、時短遊技状態(後述の第3時短遊技状態)を作動させる時短図柄(特別図柄J)が表示される。」
「【0167】
特別図柄J1または特別図柄J2が停止表示されると、その後、第3時短遊技状態へ移行する。具体的には、特別図柄J1が停止表示されると、100回の第3時短遊技状態へ移行する。また、特別図柄J2が停止表示されると、1000回の第3時短遊技状態へ移行する。」
「【0589】
・・・第3時短遊技状態の最初の遊技が実行されることを条件に、右打ち開始画像GRが表示され、右打ち遊技を開始すべき旨を指示する音声が出力され、第3時短遊技状態のBGMが出力される構成としてもよい。」
「【0604】
(21)上述の各形態において、各時短遊技状態における演出モード(背景画像GH、BGM、決定され得る演出)は適宜に変更できる。例えば、第3時短遊技状態の演出モードを、時短回数N3(100回、1000回)に応じて相違させてもよい。また、時短回数N3が1000回の第3時短遊技状態において、最初の100回の演出モードを、時短回数N3が100回の第3時短遊技状態の演出モードと共通とし、101回目以降の遊技において演出モードが変化する構成としてもよい。さらに、以上の構成において、第1時短遊技状態の演出モードと第3時短遊技状態の演出モード(変化する前後の演出モード)とが相違する構成が好適である。」
「【0608】
(24)上述の各形態において、時短図柄に対応する演出図柄GAは、時短図柄に応じて相違してもよいし、時短図柄で共通にしてもよい。例えば、1000回の第3時短遊技状態へ移行する時短図柄が停止表示された場合と、100回の第3時短遊技状態へ移行する時短図柄が停止表示された場合とで、停止表示される演出図柄GAを共通としてもよいし、相違させてもよい。」
「【図19】
[図:0001438028000006.jpg]
」
(イ) 引用文献2に記載された事項
上記(ア)から、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2の開示事項」という。)が記載されていると認められる。
(引用文献2の開示事項)
「1000回の第3時短遊技状態へ移行する時短図柄が停止表示された場合と、100回の第3時短遊技状態へ移行する時短図柄が停止表示された場合とで、停止表示される演出図柄GAを共通としてもよいし、相違させてもよい」という点(【0608】)。
(3) 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 特定事項A~C、I
引用発明の「遊技状態」、「遊技制御用マイコン81」、「演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8R」や「演出留保9A」及び「演出留保9B」、「画像表示装置7」、「演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8R」、「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技状態」、「遊技状態切換手段」、「複数種類の画像」、「表示手段」、「装飾図柄」、「遊技機」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rが「横方向に並んで、画像表示装置7の中央を含む左右方向のほぼ全域にわたって表示される」ことは、本件補正発明の装飾図柄が「表示手段の中央を含んだ領域に表示される」ことに相当する。
以上のことから、引用発明は、本件補正発明の特定事項A~C、Iを備える。
イ 特定事項D
引用発明の「微時短状態A」、「微時短状態B」は、本件補正発明の「第1有利状態」、「第2有利状態」に相当する。
また、引用発明は「微時短状態A及び微時短状態Bに設定される時短回数は適宜変更可能であ」るから、引用発明には「微時短状態A」と「微時短状態B」の時短回数が異なるものが記載されている。
以上のことから、引用発明は、本件補正発明の特定事項Dを備える。
ウ 特定事項E
引用発明の「スピーカ67」は、本件補正発明の「音再生手段」に相当する。また、引用発明は「演出モードとは、画像表示装置7、スピーカ67等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、画像表示装置7の表示が異な」るから、引用発明と本件補正発明の特定事項Eとは、遊技機は、さらに、遊技の状態にそれぞれ対応した態様で演出を行うという点で共通する。
エ 一致点・相違点
上記ア~イから見て、本件補正発明と引用発明は、
「A 遊技状態を切り替える遊技状態切替手段と、
B 複数種類の画像を表示可能な表示手段と、を備える遊技機であって、
C 前記複数種類の画像のうちの一つは、前記表示手段の中央を含んだ領域に表示される装飾図柄であり、
D 前記遊技状態切替手段の切り替え後の遊技状態は、有利状態が継続する変動回数の異なる第1有利状態と第2有利状態を含み、」
E’ 前記遊技機は、さらに、遊技の状態にそれぞれ対応した態様で演出を行う
I 遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1](特定事項E、G~H)
「音再生手段」について、本件補正発明では、「前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する」ものであり、「前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される」ものであるのに対し、引用発明では、スピーカ67が微時短状態Aおよび微時短状態Bにそれぞれ対応した音を再生させるものであるのか不明である点。
[相違点2](特定事項F)
遊技状態を第1有利状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目と、遊技状態を第2有利状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目について、本件補正発明では、「同じ場合があ」るのに対し、引用発明では、演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目は、移行先の時短状態に対応してそれぞれ異なるものである点。
(4) 判断
ア 相違点1について
引用発明は、微時短状態Aに制御されると夜背景モードに移行し、微時短状態Bに制御されると超夜景モードに移行するという、微時短状態A及び微時短状態Bに対応するそれぞれの演出モードを備えるものである。
ここで、遊技機において、演出モードに応じて異なるBGMを再生することは、周知の技術である(例えば、特開2019-42531号公報の【0341】、【0346】、特開2019-5139号公報の【0088】、【0106】、【0109】、図17、特開2022-2557号公報の【1121】、特許第6122681号公報の【0397】等参照。)。
また、通常、BGMの変更は、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動において行われる(例えば、特許第6122681号公報の【0397】、【0411】、図47等参照。)。
そして、引用文献1の【0261】には、演出モードの実行にあたり、画像表示装置7及びスピーカ67が用いられ、画像表示装置7に表示される背景画像等が演出モードに応じて異なる旨が記載されている。このことから、引用発明においては、演出モードに応じて背景画像のみならず音による演出も行われることが前提とされており、演出モードに応じて異なる音を再生し得ることは、当業者にとって自明な事項である。
さらに、演出におけるBGMは各演出モードの雰囲気や演出効果を強調するものであって、遊技者に対して時短回数を認識させるものではない。
したがって、引用発明に、上記周知の技術を適用し、微時短状態Aに制御された場合に設定される夜背景モードと、微時短状態Bに制御された場合に設定される超夜背景モードに、それぞれ対応したBGMを、微時短状態A又は微時短状態Bに制御される契機となった変動の次変動から変更して再生するものとし、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
上記(2)イ(イ)で示したとおり、引用文献2には、遊技状態を100回の第3時短遊技状態へ切り替える契機となった変動における時短図柄と、遊技状態を1000回の第3時短遊技状態へ切り替える契機となった変動における時短図柄を、同じとしてもよく、または異なるものとしてもよいことが記載されている。
そうすると、さらなる興趣の向上を目的として、引用発明において、遊技状態を微時短状態Aへ切り替える契機となった変動における演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目と、遊技状態を微時短状態Bへ切り替える契機となった変動における演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目について、引用文献2の開示事項を適用し、それぞれ同じ場合を含むものとし、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書において、「本願発明では、それぞれの有利状態の切り替えの契機となった変動の次変動の変動開始時には、遊技者がどの有利状態へ移行したのか分からないようにするために、それぞれの有利状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目を同じにしています。本願発明では、移行した有利状態に対応した音が再生されることだけで、どの有利状態へ移行したのかが分かります。このため、遊技者はこの音に注意します。これにより、興趣を向上させます。
一方、引用文献1では、それぞれの有利状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目で、どの有利状態へ移行するかが分かります。そのため、遊技者は音に注意しなくなります。
従って、引用文献1には、上述した本願発明の技術的思想について開示も示唆もされていません。このことから、引用文献1には本願発明を想到しようと試みる動機付けとなる記載すら存在しないといえます。」と主張している。
しかしながら、引用文献2には、遊技状態を100回の第3時短遊技状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目と、遊技状態を1000回の第3時短遊技状態へ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目を、同じとしても異なるものとしてもよい旨が開示されている。
このような開示に接した当業者であれば、結果が判明するタイミングを遅らせる、いわゆる焦らし演出を行う目的で、引用発明において、遊技状態を微時短状態Aへ切り替える契機となった変動における装飾図柄の停止出目と、遊技状態を微時短状態Bへ切り替える契機となった変動における前記装飾図柄の停止出目を同じ場合を含むものとすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。
また、このような構成によって奏される「移行した有利状態に対応した音が再生されることだけで、どの有利状態へ移行したのかが分かります。このため、遊技者はこの音に注意します。これにより、興趣を向上させます。」という効果は、引用文献2の開示事項から当業者が当然に予測し得るものであり、格別な効果であるとはいえない。
したがって、審判請求人の主張は採用できない。
(5) まとめ
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明、引用文献2の開示事項及び上記周知の技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
6 補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願の請求項1に係る発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和6年6月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものであり、再掲すると、次のとおりのものである。
「【請求項1】
A’ 遊技状態を切り替える遊技状態切替手段を備える遊技機であって、
D 前記遊技状態切替手段の切り替え後の遊技状態は、有利状態が継続する変動回数の異なる第1有利状態と第2有利状態を含み、
E 前記遊技機は、さらに、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する音再生手段を備え、
G 前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、
H 前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される、
I ことを特徴とする遊技機。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次の理由を含むものである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(進歩性)について
・請求項 1
・引用文献等 1,2
<引用文献等一覧>
1.特開2021-119875号公報
2.特開2022-002557号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1は、上記第2[理由]5(2)アにおいて引用文献1として引用したものであるところ、その記載事項は、上記第2[理由]5(2)アに摘記したとおりであり、引用発明は、上記第2[理由]5(2)ウで認定したとおりである。
4 対比・判断
上記第2[理由]2のとおり、本件補正発明は、本願発明の発明特定事項をすべて含み、その構成をさらに限定したものであるところ、本願発明の特定事項A’は、本件補正発明の特定事項A、Bの検討(上記第2[理由]2(3)ア)から引用発明との一致点であるといえるから、本願発明と引用発明とは、以下の点(相違点3(特定事項E、G~H))で相違し、その余の構成で一致する。
[相違点3]
「音再生手段」について、本願発明では、「前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を再生する」ものであり、「前記音再生手段は、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音を、遊技状態の切り替えの契機となった変動の次変動に再生し、前記第1有利状態および前記第2有利状態にそれぞれ対応した音は、前記有利状態が継続する変動回数そのものを表す音声を含まない演出音として再生される」ものであるのに対し、引用発明では、スピーカ67が微時短状態Aおよび微時短状態Bにそれぞれ対応した音を再生させるものであるのか不明である点。
上記相違点3について検討する。
相違点3は、相違点1と同じであるから、上記第2[理由]5(4)アで検討したとおり、引用発明に上記周知の技術を適用して、特定事項E、G~Hに係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2025-006261