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特許異議申立

2019-701072

疎水性のゼオライト系材料についての成形物及びその製造方法

審判番号
2019-701072
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-526234
登録番号
特許第6538039号(P6538039)
請求日
2019年12月27日
審決日
2020年10月20日
公報発行日
2021年02月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
  • 【権利者代理人】江藤 聡明
  • 【異議申立人】松永 健太郎
  • 【異議申立人】瀬川 忠世
審判長/審判官
  • 審判長 菊地 則義
  • 審判官 宮澤 尚之
  • 審判官 後藤 政博
分類
P1651.113-YAA(C01B) / P1651.121-YAA(C01B) / P1651.536-YAA(C01B) / P1651.537-YAA(C01B) / P1651.55 -YAA(C01B) / P1651.851-YAA(C01B) / P1651.852-YAA(C01B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6538039号発明「疎水性のゼオライト系材料についての成形物及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6538039号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕、〔14~30〕について訂正することを認める。 特許第6538039号の請求項1~14、16~21、23~30に係る特許を維持する。 特許第6538039号の請求項15、22に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6538039号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~30に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)10月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年10月23日(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和1年6月14日にその特許権の設定登録がされ、令和1年7月3日に特許掲載公報が発行された。その後、令和1年12月27日に特許異議申立人松永健太郎(以下、「申立人1」という。)により、その請求項1~30に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、令和2年1月6日に特許異議申立人瀬川忠世(以下、「申立人2」という。)により、その請求項1~15、23~30に係る特許に対する特許異議の申立てがされ、令和2年3月16日付けで取消理由が通知され、令和2年6月15日に特許権者により意見書の提出及び訂正の請求がされ、令和2年7月8日に訂正の請求に対する手続補正がされ、この訂正の請求に対して申立人1及び申立人2に意見を求めたところ、令和2年8月14日に申立人2により意見書の提出がされたものである。なお、申立人1からの意見書は提出されなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和2年7月8日付けで手続補正された訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、以下のとおりである。(なお、訂正箇所に下線を付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における 「(I)ゼオライト系材料を供給する工程と」を 「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、 (1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、 (2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、 を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程と、」に訂正する。 (当審注:訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1の記載からみて、訂正請求書の「(3)訂正事項」「i)請求項1の訂正」に記載された訂正事項の前半部分は、上記の誤記と認める。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1における 「ゼオライト系材料は、MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含む」を 「ゼオライト系材料は、TS-1を含む」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14における 「前記ゼオライト系材料は、MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライトを含むことを特徴とする」を 「前記ゼオライト系材料は、TS-1を含み、 シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1であり、 前記屈曲度は、298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す、ことを特徴とする」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項15を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項16における 「Yが、4価の元素であり、」を 「Yが、Siであり、」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項19における 「Y原子及び/又はX原子の少なくとも1部分が、1種以上の元素によって同形置換される」を 「Y原子の少なくとも1部分が、Tiによって同形置換される」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項20における 「YO2の前記1種以上の元素」を 「YO2のTi」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項22を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項23における 「請求項14~22のいずれか1項」を 「請求項14、及び16~21のいずれか1項」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項24における 「請求項14~23のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23のいずれか1項」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項25における 「請求項14~24のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、23、及び24のいずれか1項」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項26における 「請求項14~25のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23~25のいずれか1項」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項27における 「請求項14~26のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23~26のいずれか1項」に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項28における 「請求項14~27のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23~27のいずれか1項」に訂正する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項29における 「請求項14~28のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23~28のいずれか1項」に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項30における 「請求項14~29のいずれか1項」を 「請求項14、16~21、及び23~29のいずれか1項」に訂正する。 (17)訂正事項17 明細書の段落【0029】における 「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤としての化合物を含む1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む混合物を提供する工程」を 「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供する工程」に訂正する。 (18)訂正事項18 明細書の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の場合の「ゼオライトH2O吸着[質量%]」の数値を削除する。 ここで、訂正前の請求項2~13が訂正前の請求項1を引用しているため、請求項1~13は一群の請求項であって、訂正事項1及び2の特許請求の範囲の訂正は、この一群の請求項〔1~13〕に対して請求されたものであり、訂正前の請求項15~30が訂正前の請求項14を引用しているため、請求項14~30は一群の請求項であって、訂正事項3~16の特許請求の範囲の訂正は、この一群の請求項〔14~30〕に対して請求されたものである。 また、訂正事項17の明細書の訂正は、一群の請求項〔1~13〕に対して請求されたものであり、訂正事項18の明細書の訂正は、一群の請求項〔1~13〕及び一群の請求項〔14~30〕に対して請求されたものである。 2 訂正要件(訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について)の判断 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」を「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0029】の記載からして、訂正事項1は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項1に記載された「MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライト」を「TS-1」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0024】、【0032】及び【0040】の記載からして、訂正事項2は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項14に記載された「MEL、MFI、MWW、及びこれら2種以上の組み合わせから成る群から選ばれる骨格構造を有する1種以上のゼオライト」を「TS-1」に限定し、さらに、「成形物」の特性を「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」、「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であることに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0024】、【0032】、【0040】及び【0052】の記載からして、訂正事項3は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (4)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項16に記載された「4価の元素」を「Si」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0043】の記載からして、訂正事項5は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (5)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項19の「Y原子及び/又はX原子」との選択的な記載の一部を削除するものであり、さらに、訂正前の請求項19に記載された「1種以上の元素」を「Ti」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0040】の記載からして、訂正事項6は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (6)訂正事項7について 訂正事項7は、訂正前の請求項20に記載された「前記1種以上の元素」を「Ti」に限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。そして、願書に添付された明細書の段落【0040】の記載からして、訂正事項7は、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものである。 (7)訂正事項4及び8について 訂正事項4及び8は、それぞれ、訂正前の請求項15及び22を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであり、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (8)訂正事項9~16について 訂正事項9~16は、それぞれ、訂正前の請求項23~30における選択的引用請求項の一部を削除するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、願書に添付された明細書又は特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項17について 訂正事項17は、本件の願書に最初に添付された明細書(外国語書面)の「(1) providing a mixture comprising one or more sources for YO2 and one or more alkenyltrialkylammonium cation R1R2R3R4N+-containing compounds as structure directing agent;」(第11頁第24~26行)の記載に対する誤訳を訂正するものであるから、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、願書に最初に添付された明細書又は特許請求の範囲(外国語書面)に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)訂正事項18について 訂正事項18は、本件の願書に最初に添付された明細書(外国語書面)の翻訳文の記載からして、誤記を訂正するものであるから、「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであって、願書に最初に添付された明細書又は特許請求の範囲(外国語書面)に記載された事項の範囲内においてなされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~13〕、〔14~30〕について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1~14、16~21、23~30に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~14、16~21、23~30に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 (I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、 (1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、 (2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、 を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程と、 (II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と (III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と (IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と (V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と (VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と を含む成形物の製造方法であって、 工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、 前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び 工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含むことを特徴とする製造方法。 【請求項2】 前記1種以上の結合剤が、無機結合剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 【請求項3】 工程(II)で得られる混合物が、0.1~0.6の範囲の前記1種以上の結合剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(結合剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。 【請求項4】 工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、 前記溶媒系が、1種以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項5】 工程(II)で得られる混合物が、0.7~1.7の範囲の前記溶媒系の前記ゼオライト系材料に対する質量比(溶媒系:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。 【請求項6】 工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を1種以上の造孔剤と混合する工程を更に含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項7】 工程(II)で得られる混合物が、0.1~0.7の範囲の前記1種以上の造孔剤の前記ゼオライト系材料に対する質量比(造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。 【請求項8】 工程(II)が、前記ゼオライト系材料及び前記1種以上の結合剤を溶媒系と混合する工程を更に含み、及び 工程(II)で得られる混合物が、(0.7~1.7):(0.4~1):1の範囲の前記溶媒系:前記1種以上の結合剤及び前記造孔剤:前記ゼオライト系材料の質量比(溶媒系:結合剤及び造孔剤:ゼオライト系材料)を示すことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。 【請求項9】 工程(V)で得られる前記乾燥した成形物のか焼を350~850℃の範囲の温度で行うこと特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項10】 工程(VI)で得られるか焼した成形物を水熱処理する工程(VII)を更に含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項11】 前記水熱処理を、水含有溶媒系及び/又は水溶液を用いて行うことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。 【請求項12】 前記水熱処理を1~48時間の範囲の持続時間の間行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。 【請求項13】 工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料が、1種以上のゼオライトを含むことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。 【請求項14】 相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示すゼオライト系材料を含み、 前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され、及び 前記ゼオライト系材料は、TS-1を含み、 シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1であり、 前記屈曲度は、298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す、ことを特徴とする成形物。 【請求項16】 前記ゼオライト系材料が、YO2、及び任意にX2O3を含むMFI型骨格構造を有し、 Yが、Siであり、Xが3価の元素であり、前記ゼオライト系材料が、少なくとも以下のリフレクション: 【表1】 を含むX線回折パターンを有し、100%はX線粉末回折パターンにおける最大ピーク強度に関することを特徴とする請求項14に記載の成形物。 【請求項17】 前記ゼオライト系材料の29Si MAS NMRが、 -110.4~-114.0ppmの範囲に第1のピーク(P’’1)、及び -100.2~-104.2ppmの範囲に第2のピーク(P’’2)を含むことを特徴とする請求項16に記載の成形物。 【請求項18】 解析された29Si MAS NMRスペクトルが、-113.2~-115.2ppmの範囲に含まれる1個の更なるピークを含むことを特徴とする請求項17に記載の成形物。 【請求項19】 前記MFI型骨格構造におけるY原子の少なくとも1部分が、Tiによって同形置換されることを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項20】 YO2のTiに対するモル比が5~100の範囲であることを特徴とする請求項19に記載の成形物。 【請求項21】 前記ゼオライト系材料の前記MFI型骨格構造がX2O3を含まないことを特徴とする請求項16~20のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項23】 前記ゼオライト系材料が、イオン性の非骨格元素として、1種以上のカチオン及び/又はカチオン性元素を含むことを特徴とする請求項14、及び16~21のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項24】 前記成形物が、更に1種以上の結合剤を含むことを特徴とする請求項14、16~21、及び23のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項25】 前記成形物中に含まれる前記ゼオライト系材料のDIN66131に準じて測定されるBET表面積が、50~700m2/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16~21、23、及び24のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項26】 前記成形物のDIN66131に準じて測定される比表面積が、50~700m2/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16~21、及び23~25のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項27】 前記成形物のDIN66133に準じて測定される細孔容積が、0.1~2.5ml/gの範囲であることを特徴とする請求項14、16~21、及び23~26のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項28】 1~15Nの機械的強度を有することを特徴とする請求項14、16~21、及び23~27のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項29】 前記成形物が、0.3~5.0±0.2の範囲の水に対する屈曲度を有することを特徴とする請求項14、16~21、及び23~28のいずれか1項に記載の成形物。 【請求項30】 触媒、触媒担体、吸着剤としての、又はイオン交換のための請求項14、16~21、及び23~29のいずれか1項に記載の成形物の使用方法。」 2 取消理由の概要について 令和2年3月16日付けの取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)取消理由1 平成31年2月4日の手続補正によって、発明の詳細な説明の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の「ゼオライトH2O吸着[質量%]」の値が「10」から「9」に補正された。 しかしながら、上記補正は、願書に最初に添付された明細書及び特許請求の範囲の翻訳文(以下、「翻訳文等」という。)の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 したがって、平成31年2月4日の手続補正は、翻訳文等に記載された事項の範囲内においてしたものといえないから、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。 (2)取消理由2 訂正前の請求項1~9、13~30に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明、並びに、下記引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~9、13~30に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)取消理由3 訂正前の請求項1~7、9~22、24~30に係る発明は、下記引用文献2に記載された発明、並びに、下記引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1~7、9~22、24~30に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)取消理由4 訂正前の請求項14、15、24及び30に係る発明は、下記引用文献5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、訂正前の請求項1及び13に係る発明は、下記引用文献5に記載された発明及び下記引用文献6に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正前の請求項1、13~15、24及び30に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものである。 (引用文献一覧) 引用文献1:特表2000-511818号公報 (申立人1提出の甲第2号証) 引用文献2:特表2013-512082号公報 (申立人1提出の甲第3号証) 引用文献3:S.P.Mirajkar et al., Sorption Properties of Titanium Silicate Molecular Sieves, The Journal of Physical Chemistry, 1992, Vol.96, No.7, p.3073-3079 (申立人1提出の甲第6号証) 引用文献4:J.Kornatowski et al., Vanadium derivatives of MFI type molecular sieves investigated by sorption and catalytic tests, Progress in Zeolite and Microporous Materials Studies in Surface Science and Catalysis, 1997, Vol.105, p.1795-1802 (申立人1提出の甲第7号証) 引用文献5:特開2003-265922号公報 (申立人2提出の甲第4号証) 引用文献6:特開昭63-240921号公報 3 引用文献の記載事項について (1)引用文献1の記載事項 ア 「1. X線回折によりMFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有し、かつルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、レニウム、金、及び銀から成る群から選ばれる1種以上の貴金属を0.01重量%から30重量%含むチタンシリカライト又はバナジウムシリカライトを主成分とする酸化触媒において、圧密化形状付与プロセスによって成形されていることを特徴とする酸化触媒。」(特許請求の範囲の請求項1) イ 「好ましい実施態様では、本発明により成形した酸化触媒は、触媒の全質量を基準として最高10重量%のバインダーを含む。特に好ましいバインダー含量は、0.1重量%~7重量%、特に1重量%~5重量%である。原則として、かかる目的に対して使用される全ての化合物は好適なバインダーであり、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、リン、ジルコニウム及び/又はチタンの化合物、特に酸化物が好ましい。二酸化ケイ素はバインダーとして特に重要であり、その際シリカゾルの形で又はテトラアルコキシシランの形でSiO2を形状付与工程へ導入することができる。」(第4頁第2~9行) ウ 「実施例1 最初に、オルトケイ酸テトラエチル455gを4つ口フラスコ(容量2リッター)に装入して、撹はん(250rpm、パドル型撹はん機)しながら30分間かけてオルトチタン酸テトライソプロピル15gを滴下濾斗を介して加えた。無色透明な混合物が生成した。最後に、20重量%の水酸化テトラプロピルアンモニウム溶液(アルカリ含量<10ppm)800gを加えたのち、更に1時間撹はんを続けた。加水分解の結果として生成したアルコール混合物(約450g)を90℃から100℃で留去した。この混合物に脱イオン水1.5リッターを加え、この時点でやや不透明なゾルを2.5リッターのステンレススチールの撹はん機付きのオートクレーブに装入した。 オートクレーブ(アンカー型撹はん機、200rpm)を閉じたのち、3°/分の加熱速度で175℃の反応温度まで昇温した。92時間後に反応を完了した。冷却した反応混合物(白色の懸濁液)を遠心分離したのち、水で中性になるまで水で洗浄した。得られた固形物を110℃で24時間乾燥した(重量、149g)。 最後に、ゼオライトの中に未だ残っているテンプレートを、空気中550℃で5時間か焼することによって取り除いた(か焼ロス:14重量%)。 湿式化学分析によると、純粋な白色の生成物は1.5重量%のTiと100ppm未満の残留アルカリを含んでいた。収率は、使用したSiO2を基準として97%であった。クリスタライトを測定すると粒度は0.05~0.25μmであり、この生成物は約950cm-1で典型的なIRバンドを示した。 実施例2 実施例1からのチタンシリカライト1000gを、5重量%の硫酸6リッターと30重量%の過酸化水素溶液600gとの混合物に懸濁させたのち、80℃で2時間撹はんした。その後、このように処理したケイ酸チタンを吸引により濾別し、そして前記のように更に3回処理した。次いで、チタンシリカライトを水6リッターに懸濁させて80℃で2時間撹はんしたのち、吸引により濾別した。このプロセスを1回繰り返した。その後、このように処理した固形物を150℃で乾燥したのち、500℃で5時間空気のもとでか焼した。 実施例3 実施例2からのチタンシリカライト950gを水中の1重量%の酢酸ナトリウム水溶液6リッターに懸濁させて20分間還流させて、その後、チタンシリカライトを吸引により濾別した。この方法を更に2回繰り返した。次いで、このように処理したチタンシリカライトを水6リッターに懸濁させて30分間還流したのち、吸引により濾別した。このプロセスも、繰り返した。次に、チタンシリカライトを150℃で乾燥したのち、500℃でか焼した。」(第9頁第2行~第10頁第11行) エ 「実施例5 実施例3からのチタンシリカライト100gをメチルセルロース5gとドライブレンドした。この混合物に、水70mlとアンモニウム安定型シリカゾル(DuPont社のLudox(登録商標)AS-40、40重量%のSiO2)12.5gを加えて混練機で圧密化して30バールのプレス圧力で加工し、直径2mmの押出品を得た。この押出品を110℃で一晩乾燥したのち、500℃で5時間か焼した。バインダーを4.8重量%を含む押出品の横方向の圧縮強度は22.5Nであった。 実施例6 実施例5によるチタンシリカライト成形品113gを、・・・」(第10頁第18~27行) (2)引用文献2の記載事項 ア 「【請求項1】 炭化水素の転化反応に用いる触媒の製造方法であって、前記触媒はチタンゼオライトと炭質材料を含み、前記触媒は該触媒に含まれるチタンゼオライトの総重量に対して0.01~0.5重量%の量で前記炭質材料を含み、 当該方法は、 (i)チタンゼオライトを含む触媒を製造する工程; (ii)前記触媒を、前記炭化水素転化反応において使用する前に、不活性雰囲気中で少なくとも一種の炭化水素を含む流体に接触させることにより、炭質材料を、該触媒に含まれるチタンゼオライトの総重量に対して0.01~0.5重量%の量で(i)の触媒に付着させて炭質材料含有触媒を得る工程、 を含み、 (ii)において前記触媒を酸素含有ガスに接触させないことを特徴とする製造方法。 ・・・ 【請求項12】 (i)において、前記チタンゼオライトを成形して、好ましくは押出成形して、チタンゼオライトと好ましくは少なくとも一種のバインダー、特にシリカバインダーを含む成形体を得る請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。」 イ 「【0025】 テンプレートとしては、所望のゼオライト構造が得られるならいずれのテンプレートを使用することもできる。窒素またはリンを含む有機化合物が、例えば第三級アミンや4級アンモニウム化合物(例えば、テトラメチルアンモニウムやテトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム、ジベンジルジエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、2-(ヒドロキシアルキル)トリアルキルアンモニウム(ただし、アルキルは、メチル、またはエチル、またはメチルとエチル))などの窒素含有有機塩基が、この少なくとも一種のチタンゼオライトの製造用のテンプレートとして好ましく用いられる。・・・特に、MFI構造をもつチタンゼオライト(チタンシリカライト1(TS-1)としても知られている)の製造には、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、より好ましくはテトラ-n-プロピルアンモニウムヒドロキシドが用いられる。」 ウ 「【0049】 本発明において、完全にまたは部分的にSiO2からなるバインダーが、あるいは少なくとも一つの他の工程でSiO2を形成するSiO2前駆体からなるバインダーが、極めて好ましい。この点で、コロイダルシリカといわゆる「湿式法」シリカといわゆる「乾式法」シリカのすべてが使用できる。・・・ 【0050】 コロイダルシリカ、好ましくはアルカリ性及び/又はアンモニア性溶液としてのコロイダルシリカが、より好ましくはアンモニア性溶液としてのコロイダルシリカが、特に例えば、ルドックス(R)、シトン(R)、ナルコ(R)またはスノーテックス(R)として市販されている。・・・」 エ 「【0055】 使用可能な気孔形成剤の例としては、上記の気孔形成剤があげられる。本発明の成形過程で用いられる気孔形成剤は、水中または水系溶媒混合物中に分散可能、懸濁可能または乳化可能なポリマーであることが好ましい。特に好ましいポリマーは、重合型のビニル化合物であり、具体的にはポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロースまたはメチルセルロースなどのセルロース誘導体などの炭水化物、または糖類または天然繊維などである。他の好適な気孔形成剤は、例えばパルプまたはグラファイトである。」 オ 「【実施例】 【0162】 1. TS-1触媒の調整 粉末の合成 出発原料: 720kgのテトラエトキシシラン(TEOS) 400kgのテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH) (40重量%水溶液) 16kgのテトラエトキシチタン(TEOT) 550kgの脱イオン水 【0163】 反応容器に550kgの脱イオン水を入れ、攪拌した。攪拌しながら400kgのTPAOHを添加した。攪拌を1時間継続した。得られた混合物を適当な容器に移した。この反応容器を、合計で2回、2000lの脱イオン水で洗った。洗浄した反応容器に、300kgのTEOSを添加し攪拌した。80kgのTEOSと16kgのTEOTの混合物を、この300kgのTEOSに添加した。残りのTEOSを加えた。次いでTPAOH溶液を添加し、得られた混合物をさらに1時間攪拌した。次いでこの反応容器を加熱し、得られたエタノールを蒸留で分離した。容器の内温が95℃に達したとき、反応容器を冷却した。容器中に得られた懸濁液に1143kgの水を添加し、この混合物をさらに1時間攪拌した。24時間以内の時間、175℃で自発圧力下で結晶化を行った。得られたチタンシリカライト1結晶を分離・乾燥し、空気中500℃で焼成した。 【0164】 成形 混和機中でTS-1粉末とワコセルを混合し、5分間混合した。10分以内に上記ポリスチレン分散体を連続的に添加した。次いで15lのルドックスを連続的に添加した。得られた混合物を5分間混合し、15分以内にPEOを連続的に添加し、次いで10分間混合した。次いで水を添加した。直径が1.5mmの円孔をもつマトリックスを通して、この成形可能な物質を押し出した。得られたストランドをバンドドライヤ中で120℃の温度で2時間乾燥し、希薄空気(100m3/hの空気/100m3/hの窒素)中で550℃の温度で焼成した。収量は89kg(押出物I)であった。 この方法を繰り返した。収量は88kgであった(押出物II)。」 (3)引用文献5の記載事項 ア 「【請求項1】 30℃,60RH%での水分吸着率が4~8重量%で、細孔径が6Å以下からなる吸着材を使用する事を特徴とする排気ガス処理装置。 【請求項2】 吸着材が、ゼオライト吸着材であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス処理装置。 【請求項3】 吸着材が、ZSM-5型ゼオライトであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の排気ガス処理装置。 【請求項4】 吸着材が、ハニカム状構造に成形されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排気ガス処理装置。」 イ 「【0022】 【実施例】以下の実施例および比較例に基づいて本発明の極性ガス含有排気ガスの処理方法について説明する。 (実施例1)吸着材として30℃、60RH%での水分吸着率が4.5重量%、細孔径が5.5Åの粉末状ZSM-5型ゼオライトを80重量%と、他の構成材料としてケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを20重量%で構成される波長2.6mm、波高1.5mmのハニカム状構造の吸着素子を製作した。・・・」 ウ 「【0023】(実施例2)吸着材として30℃、60RH%での水分吸着率が8重量%、細孔径が5.5Åの粉末状ZSM-5型ゼオライトを80重量%と、他の構成材料としてケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを20重量%で構成される波長2.6mm、波高1.5mmのハニカム状構造の吸着素子作成した。・・・」 4 取消理由に対する当審の判断 (1)取消理由1に対する当審の判断 本件訂正請求による訂正によって、発明の詳細な説明の段落【0112】の【表5】の試料が1、3、4及び5の「ゼオライトH2O吸着[質量%]」の数値は削除された。 したがって、取消理由1に理由はない。 (2)取消理由2に対する当審の判断 ア 本件発明1について (ア)引用文献1に記載された発明(引用1発明1)について 上記3(1)ア~エに摘示した引用文献1の記載を「チタンシリカライト成形品の成形方法」に注目して整理すると、引用文献1には、 「オルトケイ酸テトラエチル、オルトチタン酸テトライソプロピル、水酸化テトラプロピルアンモニウム及び脱イオン水の混合物を形成し、この混合物をオートクレーブで反応させて反応混合物を形成し、反応混合物を乾燥及びか焼し、硫酸及び過酸化水素溶液で処理し、酢酸ナトリウム水溶液で処理して、MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライトを形成すること、 前記チタンシリカライト、メチルセルロース、アンモニウム安定型シリカゾルバインダー及び水を混練すること、 混練された混合物をプレス圧力で加工して押出品を得ること、 押出品を乾燥すること、及び、 乾燥した押出品をか焼すること を含む、チタンシリカライト成形品の成形方法。」 の発明(以下、「引用1発明1」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明1と引用1発明1との対比 本件発明1と引用1発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。 ・引用1発明1の「オルトケイ酸テトラエチル」及び「オルトチタン酸テトライソプロピル」は、本件発明1の「Yが4価の元素であ」る「1種以上のYO2源」に相当する。 ・引用1発明1の「水酸化テトラプロピルアンモニウム」は、本件発明1の「構造指向剤」に相当する。 ・引用1発明1の「MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト」は、本件発明1の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」に相当する。 ・引用1発明1の「前記チタンシリカライト、メチルセルロース、アンモニウム安定型シリカゾルバインダー及び水を混練すること」は、本件発明1の「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」及び「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」に相当する。 ・引用1発明1の「混練された混合物をプレス圧力で加工して押出品を得ること」、「押出品を乾燥すること」、「乾燥した押出品をか焼すること」、「チタンシリカライト成形品の成形方法」は、それぞれ、本件発明1の「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」、「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」、「成形物の製造方法」に相当する。 したがって、本件発明1と引用1発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、 (1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤を提供するステップ、 (2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、 を含み、Yが4価の元素である工程と、 (II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と (III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と (IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と (V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と (VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と を含む成形物の製造方法であって、 工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含む、製造方法。」 (相違点A1) 本件発明1の構造指向剤は、「R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す」、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」であるのに対して、引用1発明1の構造指向剤は、「水酸化テトラプロピルアンモニウム」である点。 (相違点A2) 本件発明1では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用1発明1では、チタンシリカライトの水分吸着特性は明らかでない点。 (ウ)相違点の検討 まず、相違点A1について検討するに、チタンシリカライトを製造するに際して、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を構造指向剤として使用することは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトの製造に「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を構造指向剤として使用することが技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、上記相違点A2について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 イ 本件発明2~9、13について 本件発明2~9及び13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点A1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 ウ 本件発明14について (ア)引用文献1に記載された発明(引用1発明2)について 上記3(1)ア~エに摘示した引用文献1の記載を「チタンシリカライト成形品」に注目して整理すると、引用文献1には、 「MFI、MEL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト、及び、シリカゾルバインダーを含む、チタンシリカライト成形品。」 の発明(以下、「引用1発明2」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明14と引用1発明2との対比 本件発明14と引用1発明2を対比すると、引用1発明2の「MFI、M EL又はMFI/MELの混合構造とされるゼオライト構造を有するチタンシリカライト」、「成形品」は、それぞれ、本件発明14の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。 したがって、本件発明14と引用1発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「ゼオライト系材料を含み、ゼオライト系材料は、TS-1を含む、成形物。」 (相違点A3) 本件発明14では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用1発明2では、チタンシリカライトの水分吸着特性は明らかでない点。 (相違点A4) 本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、引用1発明2では、成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。 (ウ)相違点の検討 事案に鑑み、相違点A4について検討するに、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、上記相違点A3について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 エ 本件発明16~21、23~30について 本件発明16~21及23~30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点A4に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献1に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 オ 小括 上記ア~エの検討のとおりであるから、取消理由2に理由はない。 (3)取消理由3に対する当審の判断 ア 本件発明1について (ア)引用文献2に記載された発明(引用2発明1)について 上記3(2)ア~オに摘示した引用文献2の記載を「成形体の製造方法」に注目して整理すると、引用文献2には、 「反応容器内に、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラエトキシチタン(TEOT)、テンプレートとしてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)、及び、脱イオン水を添加して攪拌して、得られた混合物を結晶化させて、MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)を得ること、 前記チタンシリカライト1(TS-1)、シリカゾルバインダー、ポリエチレンオキシドとポリスチレンの気孔形成剤、ワコセル及び水とを混合すること、 混合物を押出成形してストランド状の押出物を得ること、 押出物を乾燥すること、及び、 乾燥した押出物を焼成すること、 を含む、成形体の製造方法。」 の発明(以下、「引用2発明1」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明1と引用2発明1との対比 本件発明1と引用2発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。 ・引用2発明1の「テトラエトキシシラン(TEOS)」及び「テトラエトキシチタン(TEOT)」は、本件発明1の「Yが4価の元素であ」る「1種以上のYO2源」に相当する。 ・引用2発明1の「テンプレートとしてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)」は、本件発明1の「構造指向剤」に相当する。 ・引用2発明1の「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)」は、本件発明1の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」に相当する。 ・引用2発明1の「前記チタンシリカライト1(TS-1)と、シリカゾルバインダーと、ポリエチレンオキシド及びポリスチレンの気孔形成剤と、ワコセルと、水とを混合すること」は、本件発明1の「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」及び「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」に相当する。 ・引用2発明1の「混合物を押出成形してストランド状の押出物を得ること」、「押出物を乾燥すること」、「乾燥した押出物を焼成すること」、「触媒成形体を製造方法」は、それぞれ、本件発明1の「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」、「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」、「成形物の製造方法」に相当する。 したがって、本件発明1と引用2発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「(I)ゼオライト系材料を供給する工程であり、 (1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤を提供するステップ、 (2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、 を含み、Yが4価の元素である工程と、 (II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程と (III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程と (IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程と (V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程と (VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程と を含む成形物の製造方法であって、 工程(I)で供給されるゼオライト系材料は、TS-1を含む、製造方法。」 (相違点B1) 本件発明1の構造指向剤は、「R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す」、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」であるのに対して、引用2発明1の構造指向剤は、「テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)」である点。 (相違点B2) 本件発明1では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用2発明1では、チタンシリカライト1(TS-1)の水分吸着特性は明らかでない点。 (ウ)相違点の検討 まず、相違点B1について検討するに、チタンシリカライトを製造するに際して、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を構造指向剤として使用することは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトの製造に「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を構造指向剤として使用することが技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、上記相違点B2について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 イ 本件発明2~13について 本件発明2~13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点B1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 ウ 本件発明14について (ア)引用文献2に記載された発明(引用2発明2)について 上記3(2)ア~オに摘示した引用文献2の記載を「成形体」に注目して整理すると、引用文献2には、 「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)、及び、シリカゾルバインダーを含む、成形体。」 の発明(以下、「引用2発明2」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明14と引用2発明2との対比 本件発明14と引用2発明2を対比すると、引用2発明2の「MFI構造をもつチタンシリカライト1(TS-1)」、「成形体」は、それぞれ、本件発明14の「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。 したがって、本件発明14と引用2発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「ゼオライト系材料を含み、ゼオライト系材料は、TS-1を含む、成形物。」 (相違点B3) 本件発明14では、「ゼオライト系材料が、相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用2発明2では、チタンシリカライト1(TS-1)の水分吸着特性は明らかでない点。 (相違点B4) 本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、引用2発明2では、成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。 (ウ)相違点の検討 事案に鑑み、相違点B4について検討するに、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることは、引用文献3及び4のいずれにも記載されていないし、また、チタンシリカライトを含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、上記相違点B3について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 エ 本件発明16~21、24~30について 本件発明16~21及24~30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点B4に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献2に記載された発明、並びに、引用文献3及び4に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 オ 小括 上記ア~エの検討のとおりであるから、取消理由3に理由はない。 (4)取消理由4に対する当審の判断 ア 本件発明1について (ア)引用文献5に記載された発明(引用5発明1)について 上記3(3)ア~ウに摘示した引用文献5の記載を「吸着材の形成方法」に注目して整理すると、引用文献5には、 「30℃、60RH%での水分吸着率が4~8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材、ケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンをハニカム状構造に成形する、吸着材の形成方法。」 の発明(以下、「引用5発明1」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明1と引用5発明1との対比 本件発明1と引用5発明1を対比すると、引用5発明1の「ゼオライト材」、「PVA」、「ハニカム状構造に成形する、吸収材の形成方法」は、それぞれ、本件発明1の「ゼオライト系材料」、「1種以上の結合剤」、「成形物の製造方法」に相当する。 したがって、本件発明1と引用5発明1との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「ゼオライト系材料と1種以上の結合剤とを含む、成形物の製造方法。」 (相違点C1) 本件発明1では、「(I)ゼオライト系材料を供給する工程」、「(II)工程(I)で供給される前記ゼオライト系材料を1種以上の結合剤と混合する工程」、「(III)工程(II)で得られる混合物を混練する工程」、「(IV)工程(III)で得られる混練された混合物を成形して、1種以上の成形物を得る工程」、「(V)工程(IV)で得られる1種以上の成形物を乾燥する工程」及び「(VI)工程(V)で得られる乾燥した成形物をか焼する工程」を含んでいるのに対して、引用5発明1では、ハニカム状構造に成形するための具体的な工程が明らかでない点。 (相違点C2) 本件発明1では、「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用5発明1では、その点が明らかでない点。 (相違点C3) ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明1では、「相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用5発明1では、「30℃、60RH%での水分吸着率が4~8重量%」である点。 (ウ)相違点の検討 事案に鑑み、相違点C2について検討すると、「構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を用いて、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を製造することは、引用文献6に記載も示唆もされていないし、このような製造方法が技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、上記相違点C1及びC3について検討をするまでもなく、本件発明1は、引用文献5に記載された発明及び引用文献6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 イ 本件発明13について 本件発明13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点C2に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記アと同様の理由により、引用文献5に記載された発明及び引用文献6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 ウ 本件発明14について (ア)引用文献5に記載された発明(引用5発明2)について 上記3(3)ア~ウに摘示した引用文献5の記載を「吸着材」に注目して整理すると、引用文献5には、 「30℃、60RH%での水分吸着率が4~8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材、ケブラー、ガラス、PVA、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを含み、ハニカム状構造に成形された吸着材。」 の発明(以下、「引用5発明2」という。)が記載されているといえる。 (イ)本件発明14と引用5発明2との対比 本件発明14と引用5発明2を対比すると、引用5発明2の「ゼオライト材」、「ハニカム状構造に成形された吸着材」は、それぞれ、本件発明14の「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。 したがって、本件発明14と引用5発明2との一致点及び相違点は、次のように認定することができる。 (一致点) 「ゼオライト系材料を含む、成形物。」 (相違点C4) ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明14では、「相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、引用5発明2では、「30℃、60RH%での水分吸着率が4~8重量%」である点。 (相違点C5) ゼオライト系材料について、本件発明14では、「TS-1」を含むものであるのに対して、引用5発明2では、その点が明らかでない点。 (相違点C6) 本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、引用5発明2では、ハニカム状構造に成形された吸着材のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。 (ウ)相違点の検討 事案に鑑み、相違点C6について検討するに、引用5発明2は、「30℃、60RH%での水分吸着率が4~8重量%であって、細孔径が6Å以下のゼオライト材」を含む成形物であるといえるところ、このような水分吸着特性のゼオライト材を含むことで、成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」が「1.2~1.6±0.1」になることが技術常識であるとの証拠は見当たらないから、相違点C6は実質的なものといえる。 したがって、上記相違点C4及びC5について検討をするまでもなく、本件発明14は、引用文献5に記載された発明であるといえない。 エ 本件発明24、30について 本件発明24及30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点C6に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記ウと同様の理由により、引用文献5に記載された発明であるといえない。 オ 小括 上記ア~エの検討のとおりであるから、取消理由4に理由はない。 5 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第113条第2号に係る申立理由について ア 申立人1提出の甲第1号証を主たる証拠とする申立理由 (ア)申立人1は、訂正前の請求項14、15、19、22~24に係る発明は、甲第1号証(特開昭64-71804号公報、以下「甲1-1」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第18頁第19行~第20頁第12行)。 (イ)甲1-1に記載された発明 甲1-1には、その特許請求の範囲、及び、第2頁左下欄第18行~同頁右下欄第15行の記載からみて、 「水分吸着容量は約10~約0.1重量%であり、SiO2/Al2O3のモル比が25~500の結晶性高シリカゼオライトと、亜塩素酸塩類とを主成分とする、ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物。」 の発明(以下、「甲1-1発明」という。)が記載されていると認められる。 (ウ)本件発明14について 本件発明14と甲1-1発明とを対比すると、甲1-1発明の「結晶性高シリカゼオライト」、「ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物」は、それぞれ、本件発明14の「ゼオライト系材料」、「成形物」に相当する。 したがって、本件発明14と甲1-1発明とは、「ゼオライト系材料を含む、成形物。」の点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点D1) ゼオライト系材料の水分吸着について、本件発明14では、「相対湿度85%に晒されるときに4~9質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着は、25℃で、等温条件下に測定され」たものであるのに対して、甲1-1発明では、「水分吸着容量は約10~約0.1重量%」である点。 (相違点D2) ゼオライト系材料について、本件発明14では、「TS-1」を含むものであるのに対して、甲1-1発明では、その点が明らかでない点。 (相違点D3) 本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、甲1-1発明では、ペレット状又は錠剤状の二酸化塩素の徐放性組成物のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点。 そして、上記相違点について検討するに、少なくとも相違点D2及びD3は、実質的なものであるから、本件発明14は、甲1-1に記載された発明といえない。 (エ)本件発明19、23及び24について 本件発明19、23及び24は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点D2及びD3に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲1-1に記載された発明であるといえない。 (オ)小括 上記(ウ)及び(エ)の検討のとおりであるから、申立人1が主張する上記申立理由に理由はない。 イ 申立人1提出の甲第2号証を主たる証拠とする申立理由 申立人1は、訂正前の請求項1、2、4~6、9、13~19、21~24、26、27、29及び30に係る発明は、甲第2号証(特表2000-511818号公報、引用文献1、以下、「甲1-2」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第25頁第5行~第33頁第13行)。 そこで検討するに、甲1-2には、上記4(2)ア(ア)及びウ(ア)において認定した引用1発明1及び引用1発明2が記載されている。 そして、本件発明1、2、4~6、9及び13と引用1発明1とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(2)ア(ウ)で検討した相違点A1で相違しており、当該相違点A1は実質的なものであるから、本件発明1、2、4~6、9及び13は、甲1-2に記載された発明といえない。 また、本件発明14、16~19、21、23、24、26、27、29及び30と引用1発明2とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(2)ウ(ウ)で検討した相違点A4で相違しており、当該相違点A4は実質的なものであるから、本件発明14、16~19、21、23、24、26、27、29及び30は、甲1-2に記載された発明といえない。 したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。 ウ 申立人1提出の甲第3号証を主たる証拠とする申立理由 申立人1は、訂正前の請求項1、2、4、6、9~19、21、22、24~30に係る発明は、甲第3号証(特表2013-512082号公報、引用文献2、以下、「甲1-3」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第37頁第1行~第42頁第14行)。 そこで検討するに、甲1-3には、上記4(3)ア(ア)及びウ(ア)において認定した引用2発明1及び引用2発明2が記載されている。 そして、本件発明1、2、4、6、9~13と引用2発明1とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(3)ア(ウ)で検討した相違点B1で相違しており、当該相違点B1は実質的なものであるから、本件発明1、2、4、6、9~13は、甲1-3に記載された発明といえない。 また、本件発明14、16~19、21、24~30と引用2発明2とを対比すると、前者と後者は、少なくとも、上記4(3)ウ(ウ)で検討した相違点B4で相違しており、当該相違点B4は実質的なものであるから、本件発明14、16~19、21、24~30は、甲1-3に記載された発明といえない。 したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。 エ 申立人2提出の甲第1号証を主たる証拠とする申立理由 (ア)申立人2は、訂正前の請求項1~15、23~30に係る発明は、甲第1号証(特公平5-44408号公報、以下、「甲2-1」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-1に記載された発明並びに甲第4号証(特開2003-265922号公報、以下、「甲2-4」という。)及び甲第5号証(特開2013-112577号公報、以下、「甲2-5」という。)に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行~第28頁第27行)。 (イ)甲2-1に記載された発明 甲2-1には、その特許請求の範囲、及び、実施例1の記載からみて、 「ゼオライト、バインダー及び造粒助剤を混合し、この混合物の混練粗造粒塊の粒径を1~50mmに調整して、これを押出造粒してペレットを形成し、このペレットを乾燥後に焼成する、ゼオライト成形品の形成方法。」 の発明(以下、「甲2-1発明1」という。)、及び、 「ゼオライト及びバインダーから形成されたゼオライト成形品。」 の発明(以下、「甲2-1発明2」という。)が記載されていると認められる。 (ウ)本件発明1について 本件発明1と甲2-1発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-1発明1では、その点が明らかでない点(相違点E1)で少なくとも相違している。 そして、相違点E1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-1に記載された発明といえない。 また、相違点E1に係る本件発明1の特定事項の容易想到性を検討するに、「構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を用いて、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を製造することは、甲2-4及び甲2-5に記載も示唆もされていないし、このような製造方法が技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (エ)本件発明2~13について 本件発明2~13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点E1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-1に記載された発明といえないし、また、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (オ)本件発明14について 本件発明14と甲2-1発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、甲2-1発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点E2)で少なくとも相違している。 そして、相違点E2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-1に記載された発明といえない。 また、相違点E2に係る本件発明14の特定事項の容易想到性を検討するに、ゼオライト系材料を含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることは、甲2-4及び甲2-5に記載も示唆もされていないし、また、ゼオライト系材料を含む成形物の「シクロオクタンに対する屈曲度」を「1.2~1.6±0.1」とすることが技術常識であるとの証拠も見当たらない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (カ)本件発明23~30について 本件発明23~30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点E2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-1に記載された発明といえないし、また、甲2-1に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (キ)小括 上記(ウ)~(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。 オ 申立人2提出の甲第2号証を主たる証拠とする申立理由 (ア)申立人2は、訂正前の請求項1~15、23~30に係る発明は、甲第2号証(特許第2719971号公報、以下、「甲2-2」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-2に記載された発明並びに甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行~第28頁第27行)。 (イ)甲2-2に記載された発明 甲2-2には、その特許請求の範囲、及び、実施例1の記載からみて、 「ゼオライト4A粉末、カルボキシメチルセルロール、珪土及びアルミン酸ナトリウム溶液を混練し、押出し成形し、押出し成形物を熱処理した後焼成する、ゼオライト成形物の形成方法。」 の発明(以下、「甲2-2発明1」という。)、及び、 「ゼオライト4Aを含むゼオライト成形物。」 の発明(以下、「甲2-2発明2」という。)が記載されていると認められる。 (ウ)本件発明1について 本件発明1と甲2-2発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-2発明1では、その点が明らかでない点(相違点F1)で少なくとも相違している。 そして、相違点F1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-2に記載された発明といえない。 また、相違点F1は、上記エ(ウ)において検討した相違点E1と同じ事項であるから、当該相違点E1の検討と同様に、相違点F1に係る本件発明1の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (エ)本件発明2~13について 本件発明2~13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点F1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-2に記載された発明といえないし、また、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (オ)本件発明14について 本件発明14と甲2-2発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、甲2-2発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点F2)で少なくとも相違している。 そして、相違点F2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-2に記載された発明といえない。 また、相違点F2は、上記エ(オ)において検討した相違点E2と同じ事項であるから、当該相違点E2の検討と同様に、相違点F2に係る本件発明14の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (カ)本件発明23~30について 本件発明23~30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点F2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-2に記載された発明といえないし、また、甲2-2に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (キ)小括 上記(ウ)~(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。 カ 申立人2提出の甲第3号証を主たる証拠とする申立理由 (ア)申立人2は、訂正前の請求項1~15、23~30に係る発明は、甲第3号証(特表2011-518660号公報、以下、「甲2-3」という。)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、甲2-3に記載された発明並びに甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの請求項に係る特許は、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反してされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第15頁第11行~第28頁第27行)。 (イ)甲2-3に記載された発明 甲2-3には、発明の詳細な説明の段落【0082】の記載からみて、 「ZSM-5型ゼオライト、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、Si含有結合剤及び水を混練し、鋳型によってストランド状に押出成形し、押出成形体を乾燥後にか焼する、ストランド状成形体の形成方法。」 の発明(以下、「甲2-3発明1」という。)、及び、 「ZSM-5型ゼオライトを含むストランド状成形体。」 の発明(以下、「甲2-3発明2」という。)が記載されていると認められる。 (ウ)本件発明1について 本件発明1と甲2-3発明1とを対比すると、本件発明1では、「(1) 1種以上のYO2源、及び構造指向剤として、1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物を含む混合物を提供するステップ、(2) ステップ(1)で得られる混合物を結晶化してゼオライト系材料を得るステップ、を含み、Yが4価の元素であり、R1、R2及びR3は、互いに独立してアルキルを表し、R4はアルケニルを表す工程」により、「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を供給しているのに対して、引用2-3発明1では、その点が明らかでない点(相違点G1)で少なくとも相違している。 そして、相違点G1は実質的なものであるから、本件発明1は、甲2-3に記載された発明といえない。 また、相違点G1は、上記エ(ウ)において検討した相違点E1と同じ事項であるから、当該相違点E1の検討と同様に、相違点G1に係る本件発明1の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明1は、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (エ)本件発明2~13について 本件発明2~13は、本件発明1を引用するものであって、上記相違点G1に係る本件発明1の特定事項を含むものであるから、上記(ウ)と同様の理由により、甲2-3に記載された発明といえないし、また、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (オ)本件発明14について 本件発明14と甲2-3発明2とを対比すると、本件発明14では、「298.15Kの温度における成形物の屈曲特性を指す」「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であるのに対して、甲2-3発明2では、ゼオライト成形品のシクロオクタンに対する屈曲度は明らかでない点(相違点G2)で少なくとも相違している。 そして、相違点G2は実質的なものであるから、本件発明14は、甲2-3に記載された発明といえない。 また、相違点G2は、上記エ(オ)において検討した相違点E2と同じ事項であるから、当該相違点E2の検討と同様に、相違点G2に係る本件発明14の特定事項についても容易想到の事項ということはできない。 したがって、その他の相違点について検討をするまでもなく、本件発明14は、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (カ)本件発明23~30について 本件発明23~30は、本件発明14を引用するものであって、上記相違点G2に係る本件発明14の特定事項を含むものであるから、甲2-3に記載された発明といえないし、また、甲2-3に記載された発明、並びに、甲2-4及び甲2-5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえない。 (キ)小括 上記(ウ)~(カ)の検討のとおりであるから、申立人2が主張する上記申立理由に理由はない。 (2)特許法第113条第4号に係る申立理由について ア 特許法第36条第4項第1号規定違反の申立理由 申立人1は、発明の詳細な説明には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して、TS-1ゼオライト試料を製造することのみが具体的に記載されており、訂正前の請求項1~30に係る発明に包含される、TS-1以外の、水分吸着量が「4~9重量%の範囲」であるゼオライトの製造には、当業者に期待し得る程度を越える試行錯誤が必要であるため、発明の詳細な説明には、当業者が訂正前の請求項1~30に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、これら請求項に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第13頁第8行~第15頁第1行)。 この点について検討するに、本件訂正請求による訂正によって、本件発明における「ゼオライト系材料」は、「TS-1を含」むものに限定された。 したがって、申立人1の主張する上記申立理由に理由はない。 イ 特許法第36条第6項第1号規定違反の申立理由 (ア)申立人1及び申立人2は、ゼオライト系の触媒特性を向上させるとの課題に対して、発明の詳細な説明には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して作製されたTS-1ゼオライトを用いた実験結果しか記載されておらず、TS-1以外の、水分吸着量が「4~9重量%の範囲」であるゼオライトにまで拡張又は一般化できないから、訂正前の請求項1~~30に係る発明は、上記課題を解決できると認識できる範囲のものといえないため、これら請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人1の特許異議申立書第15頁第2行~第17頁第6行、申立人2の特許異議申立書第29頁第28行~第30頁第21行)。 この点について検討するに、発明の詳細な説明の段落【0006】の記載からみて、本件発明の課題は、通常観察されるものとは異なった物理的特性を有するゼオライト系材料を含む成形物及びその製造方法を提供することといえ、発明の詳細な説明の例1~9には、アリルトリプロピルアンモニウムテンプレートを使用して作製された水分吸着量が2.9~8質量%のTS-1ゼオライトを用いて成形物を製造することや、当該成形物のシクロオクタンに対する屈曲度(T=298.15K)が1.4±0.1~1.8±0.1になることが具体的に記載されている。 これに対して、本件発明1では、構造指向剤として、「1種以上のアルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を使用して作製された「4~9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を用いて、成形物を製造することが特定されている。そして、上記具体例のテンプレートと類似の化学構造を有する「アルケニルトリアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+を含む化合物」を構造指向剤として使用して作製された「4~9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を用いた場合にも、具体例と同様な特性を有する成形物を得られることを当業者であれば認識できるから、本件発明1は、本件発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものといえる。 また、本件発明14では、「4~9質量%の範囲の水分吸着を示す」「TS-1を含む」「ゼオライト系材料」を含む「成形物」の「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」であることを特定しているから、本件発明14も、上記具体例と同様に、本件発明の課題を解決できると当業者が認識できる範囲のものといえる。 さらに、本件発明1を引用する本件発明2~13、本件発明14を引用する本件発明16~21、23~30についても同様である。 したがって、申立人1及び申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。 (イ)上記申立理由に関連して、申立人2は、令和2年8月14日付けの意見書において、発明の詳細な説明の具体例に示されたごく一部の態様を、本件発明1及び14の範囲までに拡張又は一般化できない旨を主張している(第2頁第31行~第3頁第24行)。 しかしながら、上記(ア)で検討したとおりであるから、申立人2の当該主張は採用できない。 ウ 特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号規定違反の申立理由 (ア)申立人2は、訂正前の請求項1に記載された「ゼオライト系材料」との表現は、ゼオライト以外の成分を含むと解されるため、不明確であるし、訂正前の請求項4に記載された「溶媒系」との表現は、溶媒と異なるものなのか不明確であるし、訂正前の請求項27に記載された「細孔容積」は、どのような細孔径の容積か明らかでないし、さらに、訂正前の請求項29に記載された「水に対する屈曲度」の測定方法が明らかでないため、訂正前の請求項1~30に係る発明は、明確でなく、実施も困難であるから、訂正前の請求項1~30に係る特許は、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるとの申立理由を主張している(申立人2の特許異議申立書第29頁第1~27行)。 この点について検討するに、発明の詳細な説明には、「ゼオライト系材料」がゼオライト以外の成分を含む概念であることは記載されていないことからして、本件発明における「ゼオライト系材料」は、ゼオライトの総称として使用されていることは明らかであるし、同様に、本件発明における「溶媒系」も、溶媒の総称として使用されていることは明らかである。 また、本件発明27における「細孔容積」は、「DIN66133に準じて測定される」ものであるから、評価対象となる細孔径は明らかといえる。 さらに、発明の詳細な説明の段落【0051】、【0114】~【0116】に記載されているように、「屈曲度」は、US2007/0099299A1に記載された方法により測定されたものであることは明らかである。 したがって、本件発明は明確であり、当業者が実施できる範囲のものといえるから、申立人2の主張する上記申立理由に理由はない。 (イ)上記申立理由に関連して、申立人2は、令和2年8月14日付けの意見書において、本件発明14における「シクロオクタンに対する屈曲度が、1.2~1.6±0.1」との特定事項に関して、数値範囲が不明確であるし、シクロオクタンに対する屈曲度の測定方法が明らかでないため、本件発明14、16~21、23~30は明確でなく、実施も困難であるから、その特許は、特許法第36条第6項第2号及び第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものである旨を主張している(第4頁第1~12行)。 しかしながら、発明の詳細な説明の段落【0117】【表6】に記載された屈曲度の具体的な数値(誤差を含む数値)からみて、本件発明14における数値範囲は、(1.2±0.1)~(1.6±0.1)を示していることは明らかであるし、また、シクロオクタンに対する屈曲度は、上記(ア)において検討したとおり、US2007/0099299A1に記載された方法により測定されたものであることは明らかであるから、申立人2の当該主張は採用できない。 第4 むすび 以上のとおり、請求項1~14、16~21、23~30に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由、及び、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、他に請求項1~14、16~21、23~30に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項15及び22に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除された。これにより、請求項15及び22に係る特許に対する特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-701072

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