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特許異議申立

2023-700093

軟質ポリウレタンフォーム用組成物、軟質ポリウレタンフォーム並びに車両用シートパッド

審判番号
2023-700093
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-525256
登録番号
7113011
請求日
2023年01月30日
審決日
2024年06月20日
公報発行日
2024年09月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社アーケム
  • 【権利者代理人】杉村 憲司
  • 【権利者代理人】杉村 光嗣
  • 【権利者代理人】塚中 哲雄
  • 【権利者代理人】小松 靖之
  • 【異議申立人】松永 健太郎
審判長/審判官
  • 審判長 細井 龍史
  • 審判官 藤井 勲
  • 審判官 近野 光知
分類
P1651.537-YAA(C08G) / P1651.113-YAA(C08G) / P1651.121-YAA(C08G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7113011号発明「軟質ポリウレタンフォーム用組成物、軟質ポリウレタンフォーム並びに車両用シートパッド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7113011号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、〔3-6〕について訂正することを認める。 特許第7113011号の請求項1、3、5、6に係る特許を維持する。 特許第7113011号の請求項2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7113011号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年5月24日(優先権主張 平成29年6月20日)を国際出願日とする特許出願(特願2019-525256号)に係るものであって、令和4年7月27日に特許権の設定登録がされ、同年8月4日に特許掲載公報が発行されたされたものである。 その後、その特許に対し、令和5年1月30日に、特許異議申立人である松永健太郎(以下「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1~6)がされた。 その後の経緯は、以下のとおりである。 令和5年 4月10日付け 取消理由通知書 同年 6月 9日提出 意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 6月19日付け 訂正請求があった旨の通知書(申立人宛て) 同年 9月28日付け 取消理由通知書(決定の予告) 同年11月24日提出 意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年11月30日付け 訂正請求があった旨の通知書(申立人宛て) 令和6年 3月25日 応対記録(初回応対日) 同年 4月11日付け 取消理由通知書(軽微な記載不備) 同年 5月 1日提出 意見書及び訂正請求書(特許権者) 同年 5月 9日付け 手続補正指令書(方式) 同年 5月17日提出 手続補正書(方式) なお、令和5年6月9日及び同年11月24日提出の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 また、申立人に対して、令和5年6月19日及び同年11月30日付け通知書により、訂正請求があった旨の通知をしたが、申立人からの応答はなかった。 そして、令和6年5月1日に提出され、同年同月17日に提出の手続補正書(方式)によって補正された訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。また、本件訂正請求書による訂正請求を以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)については、すでに申立人に意見書の提出の機会が与えられた令和5年11月24日提出の訂正請求書による訂正(上述のとおり、この訂正の請求があった旨の通知に対して申立人の応答はなかった。)と、一部の記載不備が是正されている点を除いて、実質的に同様のものであり、特許法第120条の5第5項ただし書に規定する「特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるとき」に該当すると認められるから、申立人に意見書を提出する機会を与えないこととした。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 以下、本件訂正請求書による本件訂正は以下のとおりである(当審注:下線は、訂正箇所を表し、当審が付した。)。また、本件特許の願書に添付した明細書を、「本件明細書」といい、本件特許の願書に添付した明細書又は特許請求の範囲を「本件明細書等」という。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、 前記触媒が、N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、高活性シリコーンであり、前記高活性シリコーンが、15mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム用組成物。」と記載されているのを、 「 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、 前記触媒が、炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム用組成物(ただし、整泡剤がF-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォーム用組成物を除く)。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、 「 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む発泡原液を発泡してなる軟質ポリウレタンフォームであって、 前記触媒が、N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、高活性シリコーンであり、前記高活性シリコーンが、15mN/m以上の表面張力を有する、 軟質ポリウレタンフォーム。」と記載されているのを、 「 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む発泡原液を発泡してなる軟質ポリウレタンフォームであって、 前記触媒が、炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム(ただし、整泡剤がF-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォームを除く)。」と訂正する。 (請求項3の記載を引用する請求項5、6も同様に訂正する) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「前記整泡剤の配合量が、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上である、請求項3又は4に記載の軟質ポリウレタンフォーム。」と記載されているのを、「前記整泡剤の配合量が、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上である、請求項3に記載の軟質ポリウレタンフォーム。」に訂正する。 (請求項5の記載を引用する請求項6も同様に訂正する) (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「請求項3~5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォームを用いてなる車両用シートパッド。」と記載されているのを、「請求項3又は5に記載の軟質ポリウレタンフォームを用いてなる車両用シートパッド。」に訂正する。 (7)一群の請求項について 訂正前の請求項1、2について、請求項2は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 よって、訂正事項1、2は、一群の請求項〔1、2〕ごとにされたものである。 訂正前の請求項3~6について、請求項4~6は請求項3を直接又は間接的に引用するものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。 よって、訂正事項3~6は、一群の請求項〔3~6〕ごとにされたものである。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1をア~ウに分けて検討する。 ア 訂正前の請求項1の「N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒」から、訂正後の請求項1の「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」とする訂正は、「N,N-ジメチル構造を有」する「炭素数が11~24のアミン触媒」が「N,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」であることに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、本件明細書の段落【0036】には、「炭素数が11以上のアミン触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミンが例示できる。」こと、実施例の「5.アミン触媒」として「5-2.炭素数12:「N,N-ジメチルデシルアミン」」、「5-3.炭素数14:「N,N-ジメチルドデシルアミン」」、「5-4.炭素数20:「N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン」」が記載され、ここに例示された「アミン触媒」はいずれも「N,N-ジメチル構造」を置換基として持つ「直鎖アルキル」を有する「炭素数が11~24のアミン触媒」であって、それ以外の構造をもつものは例示されていないから、「直鎖アルキル」との文言は、本件明細書の記載から自明な事項である。 したがって、当該訂正事項は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。 イ 訂正前の請求項1の「整泡剤」が「高活性シリコーンであり、前記高活性シリコーンが、15mN/m以上の表面張力を有する、」とあるのを、訂正後の請求項1の「整泡剤」が「ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、」とする訂正において、前者は、「高活性シリコーン」を「ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー」に具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、後者の、上記「ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー」が「22mN/m以上の表面張力を有する」とする訂正は、「表面張力」の下限を引き上げるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるし、また「高活性シリコーン」が明確でないとの取消理由に対応して、「シリコーン」の表面張力が22mN/m以上であることを特定することで、訂正前の「高活性シリコーン」を明確にしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 なお、訂正により「高活性」との文言自体は削除されたものの、この「高活性」は表面張力が22mN/m以上であることで担保されているものと認められる。 また、本件明細書の段落【0039】には、「整泡剤」について、「一般には、直鎖状、枝分かれ、ペンダント構造を有するポリエーテル/シロキサン型のシリコーン系界面活性剤が使用され、例えば、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、ビニルシラン-ポリアルキルポリオール重合体などを用いることができる。」ことが記載され、さらに同段落には、「本発明では、整泡剤として、高活性シリコーンを用いることが好ましい。高活性シリコーンを用いることにより、成形時に気泡の破裂を防止し、多数の微細な独立気泡を作ることが容易になり、振動吸収性を高くすることができる。本明細書において高活性シリコーンとは、表面張力が、好ましくは15mN/m以上、より好ましくは20mN/m以上、更に好ましくは22mN/m以上のシリコーンを意味する。」ことが記載されていたものである。 したがって、当該訂正事項は、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ 訂正前の請求項1に記載した事項から、「(ただし、整泡剤がF-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742))であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォームを除く)」ことは、訂正後の請求項1の「整泡剤」を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上の特許請求の範囲の拡張し、又は変更するものでない。 そして、当該訂正事項は、訂正前の請求項1の「整泡剤」から、当該訂正事項に係る「整泡剤」を特定量で配合する場合を除外するものであって、新たな技術的事項を導入するものでないから、本件明細書及び特許請求の範囲に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項は、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてなされたものであって、新規事項の追加に該当しない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、請求項2の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2に係る請求項2の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、上記(1)の訂正事項1において検討したア~ウの判断と同じであるから、上記訂正事項1と同様に適法な訂正である。 (4)訂正事項4について 訂正事項4は、請求項4の削除であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項4に係る請求項4の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (5)訂正事項5について 訂正事項5は、訂正前の請求項5が、請求項3又は4を引用するものであるところ、上記(4)を受けて、訂正後の請求項5が、請求項3を引用するものとなり、引用する請求項の数が減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、引用する請求項の数が減少するものであるから、訂正事項5に係る請求項5の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 (6)訂正事項6について 訂正事項6は、訂正前の請求項6が、請求項3~5のいずれか1項を引用するものであるところ、上記(4)を受けて、訂正後の請求項6が、請求項3又は5を引用するものとなり、引用する請求項の数が減少するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項6は、引用する請求項の数が減少するものであるから、訂正事項6に係る請求項6の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。 3 独立特許要件 訂正前の全ての請求項1~6について特許異議申立てがなされているので、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する第126条第7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)は課されない。 4 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するものであるから、結論のとおり、本件訂正を認める。 第3 訂正後の特許請求の範囲の記載 本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、 前記触媒が、炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム用組成物(ただし、整泡剤がF-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォーム用組成物を除く)。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む発泡原液を発泡してなる軟質ポリウレタンフォームであって、 前記触媒が、炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム(ただし、整泡剤がF-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォームを除く)。 【請求項4】 (削除) 【請求項5】 前記整泡剤の配合量が、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上である、請求項3に記載の軟質ポリウレタンフォーム。 【請求項6】 請求項3又は5に記載の軟質ポリウレタンフォームを用いてなる車両用シートバッド。」 以下では、本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明を、「本件発明1」~「本件発明6」といい、これらをまとめて「本件発明」ともいう。 第4 特許異議申立書の申立理由と当審が通知した取消理由 1 特許異議申立書(以下「申立書」ということがある。)の申立理由 (1)申立理由1(甲第1号証に基づく新規性、進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~4、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、又は甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)申立理由2(サポート要件) 本件訂正前の請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 具体的理由の概要は以下のとおり。 本件特許の請求項1に係る発明において、「触媒が、N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒」であり、「整泡剤が、高活性シリコーンであり、前記高活性シリコーンが、15mN/m以上の表面張力を有」し、「連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオール」であるという発明特定事項だけでは、「クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度の軟質ポリウレタンフォーム用組成物、軟質ポリウレタンフォーム並びに車両用シートパッドを提供」できるようにはならない。 2 証拠方法 申立人が、申立書に添付した証拠は、以下のとおりである。 ・甲第1号証:国際公開第2015/190595号 ・甲第2号証:船津実ら、ポリウレタン生成反応における第三アミン類の触媒能、工業化学雑誌、第65巻、第9号(1962)、第1426-1430頁 ・甲第3号証:特開平7-173242号公報 ・甲第4号証:荒井昭治ら、ポリウレタン生成反応における第3級アミンの触媒作用、東洋曹達研究報告、第28巻、第1号(1984)、第23-34頁 ・甲第5号証:三田達監訳、高分子大辞典、丸善株式会社(平成6年9月20日発行)、第1005-1012頁 ・甲第6号証:伊藤邦雄編、シリコーンハンドブック、日刊工業新聞社発行、初版1刷、第176-194頁 (以下、順に「甲1」のようにいう。) 3 当審が通知した令和5年9月28日付け取消理由(決定の予告) 当審で通知した取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。 ・理由1(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 具体的理由の概要は以下のとおり。 (1)ア 請求項1及び3において、「前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、ビニルシラン-ポリアルキルポリオール共重合体からなる群から選ばれるシリコーンであ」ることが特定されているが、「ビニルシラン-ポリアルキルポリオール共重合体」は「シリコーン」に該当しない。 イ 請求項1及び3において、「(ただし、整泡剤がF-3であり、・・・、を除く。)」と特定されているが、該「F-3」がいかなるものか不明である。 (2)請求項2及び4において、「前記高活性シリコーン」との特定があるも、請求項2及び4が引用する請求項1及び3には、「高活性シリコーン」に係る特定がない。 ・理由4(サポート要件)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 具体的理由の概要は以下のとおり。 請求項1において、整泡剤であるシリコーンが、15mN/m以上の表面張力を有することが特定されているが、実施例では21mN/mの表面張力を有する整泡剤が、本件発明の課題を解決していない。 4 当審が通知した令和6年4月11日付け取消理由(軽微な記載不備) 当審で通知した取消理由(軽微な記載不備)の概要は以下のとおりである。 ・取消理由(明確性)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 具体的理由の概要は以下のとおり。 請求項1、3では、「(ただし、整泡剤がF-3(エポック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742))であり、・・・を除く)」と特定されるところ、該「F-3(エポック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742))」が如何なるものか不明である。 第5 当審の判断 当審は、上記第4 4の令和6年4月11日付け取消理由(軽微な記載不備)は、本件訂正請求書が提出されたことにより解消し、上記第4の各申立理由及び取消理由(決定の予告)のいずれによっても、本件特許の請求項1、3、5、6に係る特許を取り消すことはできない、と判断する。 また、上記第2に示したとおり、請求項が削除されたことにより申立ての対象が存在しないものとなったので、本件特許の請求項2、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 1 令和5年9月28日付け取消理由(決定の予告)の理由1(明確性)について (1)請求項1、3、5、6について ア 本件訂正により、取消理由(明確性)の対象であった「ビニルシラン-ポリアルキルポリオール共重合体」が削除され、請求項1又は3において、「整泡剤」が「ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー」に特定されたため、上記取消理由1(1)アが解消された。 イ 本件訂正により、請求項1又は3において、「整泡剤」が「F-3(エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742))であ」ることに特定されたため、上記取消理由1(1)イが解消された。 ウ よって、請求項1又は3は明確である。 また、請求項3を直接又は間接的に引用する請求項5又は6についても同様である。 (2)小括 以上から、本件特許の請求項1、3、5、6に係る発明は明確であり、令和5年9月28日付け取消理由(決定の予告)の理由1(明確性)には理由がない。 2 令和5年9月28日付け取消理由(決定の予告)の理由4(サポート要件)及び申立理由2(サポート要件)について (1)サポート要件の判断基準について 特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第1号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。 同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 以下、この観点から検討する。 (2)本件明細書の記載事項について 本件発明1では、「軟質ポリウレタンフォーム用組成物」として、「ポリオール成分」、「イソシアナート成分」、「発泡剤」、「整泡剤」、「連通化剤」及び「触媒」を含むことが特定されており、各々について、本件明細書には以下の記載がある。 「【0008】 本発明の課題は、クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度の軟質ポリウレタンフォーム用組成物、軟質ポリウレタンフォーム並びに車両用シートパッドを提供することである。」 「【0012】 <軟質ポリウレタンフォーム> 本発明の軟質ポリウレタンフォームは、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールである連通化剤、及び炭素数が11以上のアミン触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物から得られる。具体的には、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、エチレンオキシドの含有率が50モル%超である連通化剤及び炭素数が11以上のアミン触媒を含む発泡原液を発泡して得られる。本明細書において発泡原液は、軟質ポリウレタンフォーム用組成物である。 上記構成とすることで、クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度の軟質ポリウレタンフォームを実現することができる。 【0013】 本発明の軟質ポリウレタンフォームが、「クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度」という上記の特性を有する理由として、次の理由が推察される。 【0014】 軟質ポリウレタンフォームの製造時には、ウレタン結合、尿素結合、ビュレット結合、アロファネート結合等を生成する各種反応が生じる。 本発明で用いる炭素数が11以上のアミン触媒を用いることにより、ウレタンフォーム表面のクッション性が向上する。 また、ウレタンフォーム表面で速やかにウレタン結合の生成反応が起こるため、独立気泡率を上げることなく、ウレタンフォーム表面のセル径を細かくすることができる。これにより、ウレタンフォームに高い振動吸収性を付与することができる。 【0015】 本発明では、連通化剤として、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールを使用する。エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールの存在により、ウレタン結合が優先的に生成され、ウレタンフォームのクッション性が向上する。」 「【0022】 軟質ポリウレタンフォームの表層(スキン層とも呼ぶ)のセル径は400μm以下であることが好ましく、100~320μmであることがより好ましい。 セル径を細かくし、セルに空気の出入りに伴う粘性作用を与えることで、軟質ポリウレタンフォームの振動吸収性が高くなる。セル径が320μm以下であると、通気性の過度の上昇が抑制され、樹脂のクッション性が上昇しにくくなり、樹脂自体の振動伝達性能が強くなりにくくなり、軟質ポリウレタンフォームの振動吸収性が悪化しにくくなる。また、セル径が100μm以上であると、クッション性を得易い。」 「【0024】 〔ポリオール成分〕 発泡原液は、ポリオール成分を含有する。 【0025】 ポリオール成分は特に限定されないが、水酸基価が15~200mgKOH/gの汎用ポリエーテルポリオールを用いることができる。また、ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール以外に、ポリマーポリオールを含んでもよい。」 「【0031】 〔イソシアネート成分〕 発泡原液は、イソシアネート成分を含有する。 イソシアネート成分としては公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族及び芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。 本発明においては、成形密度領域の観点から、トリレンジイソシアネート(TDI)及び/又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むことが好ましい。」 「【0033】 〔発泡剤〕 発泡原液は、発泡剤を含有する。 発泡剤は、例えば水である。」 「【0034】 〔連通化剤〕 発泡原液は、連通化剤を含有する。 連通化剤は、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、エチレンオキシドの含有率は、70~100モル%であることが好ましい。 更に、連通化剤として用いる上記のポリオールは、水酸基価が20~110mgKOH/gであることが好ましく、官能基数が3~7であることが好ましく、重量平均分子量が3000~12000であることが好ましい。 連通化剤の含有量は、クッション性と高振動吸収性を両立させる観点から、上記ポリオール成分と連通化剤の合計100質量部に対し、1~10質量部が好ましく、2~10質量部がより好ましく、3~8質量部が更に好ましい。」 「【0035】 〔触媒〕 発泡原液は、触媒を含有する。 触媒は、炭素数が11以上のアミン触媒を主成分として含有する。アミン触媒の炭素数は、11~24であることが好ましく、11~15であることがより好ましい。 本明細書における主成分とは、最も含有率が多い成分を意味し、その含有率は典型的には50質量%以上である。 【0036】 炭素数が11以上のアミン触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミンが例示できる。 【0037】 発泡原液中の、炭素数が11以上のアミン触媒の含有量は、クッション性と高振動吸収性を両立させる観点から、ポリオール成分100質量部中、0.2~1.5質量部が好ましく、0.3~1.0質量部がより好ましい。」 「【0039】 〔整泡剤〕 発泡原液は、更に整泡剤を含有することが好ましい。 整泡剤を用いることで、軟質ポリウレタンフォームの気泡の大きさ(セル径)を制御し易くなる。 一般には、直鎖状、枝分かれ、ペンダント構造を有するポリエーテル/シロキサン型のシリコーン系界面活性剤が使用され、例えば、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、ビニルシラン-ポリアルキルポリオール重合体などを用いることができる。 本発明では、整泡剤として、高活性シリコーンを用いることが好ましい。高活性シリコーンを用いることにより、成形時に気泡の破裂を防止し、多数の微細な独立気泡を作ることが容易になり、振動吸収性を高くすることができる。本明細書において高活性シリコーンとは、表面張力が、好ましくは15mN/m以上、より好ましくは20mN/m以上、更に好ましくは22mN/m以上のシリコーンを意味する。表面張力は、毛管上昇法で測定した値である。 【0040】 発泡原液中の整泡剤の含有量は、クッション性と高振動吸収性を両立させる観点から、ポリオール成分100質量部に対して、0.3~5質量部が好ましく、0.3~3質量部がより好ましく、0.3~2質量部が更に好ましく、0.7~1.2が最も好ましい。 整泡剤の含有量が多くなるほど、独立気泡を作り易くなるためクッション性は低下するが、整泡剤の含有量を上記範囲とすることで、クッション性と高振動吸収性を両立させることができる。」 「【実施例】 【0045】 次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。 【0046】 <発泡原液の調製> 表1及び表2に示すポリイソシアネート成分を除いた残りの各成分を混合し、液温が20~40℃のポリオール混合物を得た。表1及び表2に示すポリイソシアネート成分の液温を20~30℃とし、ポリオール混合物と混合して、実施例及び比較例の発泡原液を調製した。 表1及び表2に示す各成分の詳細は次のとおりである。 【0047】 1.ポリオール成分: 1-1.PPG(ポリエーテルポリオール):BASF社製「Pluracol 1603」、水酸基価31.5mgKOH/g 1-2.POP(ポリマーポリオール):住化コベストロウレタン(株)製「E-850」、水酸基価20mgKOH/g 2.イソシアネート成分:東ソー製、CORONATE(R)1021(TDI/MDI(質量比)が80/20) 3.発泡剤:水 4.連通化剤: 4-1.住化コベストロウレタン(株)製「MULTRANOL 9185」、EO含有率82モル%、水酸基価100mgKOH/g 4-2.三洋化成工業(株)製「サンニックスFA103」、EO含有率70モル%、水酸基価24mgKOH/g 4-3.ダウ・ケミカル日本(株)製「Volanol 4053」、EO含有率100モル%、水酸基価31mgKOH/g 5.アミン触媒: 5-1.炭素数11未満:「トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液」 5-2.炭素数12:「N,N-ジメチルデシルアミン」 5-3.炭素数14:「N,N-ジメチルドデシルアミン」 5-4.炭素数20:「N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン」 5-5.炭素数25:「N,N-ジドデシルメチルアミン」 6.整泡剤: 6-1.高活性シリコーン:Evonik社製「B8742」、表面張力23mN/m 6-2.高活性シリコーン以外の整泡剤:Evonik社製「B8746」、表面張力21mN/m」 【0048】 <発泡成形> 発泡原液の調製直後に、発泡原液を金型温度55~60℃の金型内に大気圧下にて注入し、注入し終えた直後に減圧を開始した。なお、金型の寸法は、縦400mm×横400mm×深さ100mmである。その後、金型内にて発泡原液を発泡させ、硬化した。硬化時間は300秒とした。次いで、脱型し、軟質ポリウレタンフォームを得た。得られた軟質ポリウレタンフォームを下記方法にて評価した。評価結果を表1及び表2に示す。 なお、表1及び表2の「イソシアネート成分(インデックス)」とは、下記式の値を意味する。下記式において、当量イソシアネート部数とは、反応させる活性水素が完全に反応しきるのに必要な机上のイソシアネート量を意味する。 「インデックス」=「実際に使用するイソシアネートの配合部数」/「当量イソシアネート部数」×100 【0049】 <評価方法> 密度(オーバーオール密度): 軟質ポリウレタンフォームの密度は、JIS K-6400(2004)に準拠して測定したフォーム全体の見かけ密度(単位:kg/m3)として得た。 成形した直方体の軟質ポリウレタンフォーム(縦400mm×横400mm×厚み100mm)の重さ(W)を測定し、次いで、該直方体の縦、横、厚みから体積(V)を求め、次式からオーバーオール密度(ρ)を算出した。 ρ=(W/V)×106 [ρ:オーバーオール密度(kg/m3)、W:試験片の質量(g)、V:試験片の体積(mm3)] 密度の目標値は、35~64kg/m3である。 【0050】硬度(25%ILD): 軟質ポリウレタンフォームの硬度(25%ILD)は、JIS K6400に準拠した方法により、成形した直方体の軟質ポリウレタンフォーム(縦400mm×横400mm×厚み100mm)を直径200mmの加圧板で25%圧縮したときの荷重(N)として測定した。測定は、23℃、相対湿度50%の環境にて行った。 【0051】 クッション性: 軟質ポリウレタンフォームのヒステリシスロスを測定してクッション性を評価した。ヒステリシスロスは、JISK6400-2の試験法に準拠して測定しているが、予備圧縮の回数や加圧板の圧縮速度などは下記条件にて測定した。 (予備圧縮) 成形した直方体の軟質ポリウレタンフォーム(縦400mm×横400mm×厚み100mm)を直径200mmの加圧板で65%圧縮する。この時の加圧板の圧縮速度は100mm/minである。この圧縮工程は、予備圧縮といい、予備圧縮回数は1回である。 (本試験) 予備圧縮後、待機時間なしで、すぐさま本試験(圧縮)を開始する。 同じく65%圧縮し、加圧板の速度は100mm/minである。 本試験によって得られたデータより、ヒステリシスロスを算出する。(JIS法に準拠) この試験法により得られるヒステリシスロスの目標値は18%以下、より好ましくは16%以下である。 表1及び表2において、クッション性について、以下のように評価した。 ◎ (優):ヒステリシスロス 16%以下 ○ (良):ヒステリシスロス 16%超~18% × (不可):ヒステリシスロス 18%超 【0052】 振動吸収性: 軟質ポリウレタンフォームの共振周波数及び振動倍率を測定して振動吸収性を評価した。共振周波数及び振動倍率は、JASO B 408(自動車用シートのパッド材の性能試験方法)に準拠した方法で測定した。 共振周波数の目標値は3.9Hz以下、より好ましくは3.7Hz以下、更に好ましくは3.6Hz以下であり、振動倍率の目標値は3.8倍以下、より好ましくは3.6倍以下、更に好ましくは3.3倍以下である。 表1及び表2において、振動吸収性について、以下のように評価した。 ◎ (優):振動倍率 3.3倍以下かつ共振周波数 3.6Hz以下 ○ (良):◎を除き、振動倍率 3.6倍以下かつ共振周波数 3.7Hz以下 △ (可):◎○を除き、振動倍率 3.8倍以下かつ共振周波数 3.9Hz以下 ×(不可):振動倍率 3.8倍超及び/又は共振周波数 3.9Hz超 【0053】 【表1】 [図:0001414147000001.jpg] 【0054】 【表2】 [図:0001414147000002.jpg] 【0055】 表1及び表2より、実施例1~19の軟質ポリウレタンフォームは、ヒステリシスロスが18%以下、共振周波数が3.9Hz以下、振動倍率が3.8倍以下、密度35~64kg/m3の条件を全て満たしており、クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度の軟質ポリウレタンフォームであることが確認された。 なお、表1及び表2中「インデックス」は、下記式により得られる。 「インデックス」=「実際に使用するイソシアネートの配合部数」/「当量イソシアネート部数」×100 当量イソシアネート部数とは、反応させる活性水素が完全に反応しきるのに必要な机上のイソシアネート量を意味する。 【産業上の利用可能性】 【0056】 本発明の軟質ポリウレタンフォームは、クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度にすることができるため、車両用シートパッドとして適している。」 (3)本件発明の解決しようとする課題について 本件明細書の段落【0008】によると、クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度の軟質ポリウレタンフォーム用組成物、軟質ポリウレタンフォーム並びに車両用シートパッドを提供することを課題としている(以下、「本件発明の課題」という。)。 (4)判断 ア 本件発明1について (ア)本件発明1の「軟質ポリウレタンフォーム」は、特定の水酸基価を有し、特定のエチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)が特定の質量比である「ポリオール成分」、「イソシアネート成分」、「発泡剤」、22mN/m以上の表面張力を有するポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーである「整泡剤」、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールである「連通化剤」、及び炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン「触媒」を含むことが特定されている。 (イ)そして、本件明細書には、「軟質ポリウレタンフォーム組成物」において、「クッション性と高振動吸収性を兼ね備え、かつ、低密度」という特性をもたらす理由について、以下の説明がなされている。 (ウ)炭素数が11以上のアミン「触媒」を用いることにより、ウレタンフォーム表面のクッション性が向上すること、ウレタンフォーム表面で速やかにウレタン結合の生成反応が起こるため、独立気泡率を上げることなく、ウレタンフォーム表面のセル径を細かくすることができ、ウレタンフォームに高い振動吸収性を付与することができること(【0014】)、「連通化剤」として、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールを使用することで、ウレタン結合が優先的に生成され、ウレタンフォームのクッション性が向上すること(【0015】)が記載されている。 (エ)「触媒」として、炭素数が11以上のアミン「触媒」を主成分として含有すること(【0035】)、炭素数が11以上のアミン「触媒」としては、例えば、N,N-ジメチルドデシルアミン、N,N-ジメチルデシルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミンが例示されること(【0036】)、発泡原液中の、炭素数が11以上のアミン「触媒」の含有量は、クッション性と高振動吸収性を両立させる観点から、ポリオール成分100質量部中、0.2~1.5質量部が好ましいこと(【0037】)、実施例において、「5.アミン触媒」として、5-2.炭素数12:「N,N-ジメチルデシルアミン」、5-3.炭素数14:「N,N-ジメチルドデシルアミン」、5-4.炭素数20:「N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン」を単独で、ポリオール成分100質量部に対し1質量部用いることで、クッション性及び振動吸収性に優れることが示されている。 (オ)「連通化剤」として、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであることが好ましいこと(【0034】)、実施例において、「4.連通化剤」として、「4-1.住化コベストロウレタン(株)製「MULTRANOL 9185」、EO含有率82モル%、水酸基価100mgKOH/g」、「4-2.三洋化成工業(株)製「サンニックスFA103」、EO含有率70モル%、水酸基価24mgKOH/g」、「4-3.ダウ・ケミカル日本(株)製「Volanol 4053」、EO含有率100モル%、水酸基価31mgKOH/g」を用いることで、クッション性及び振動吸収性に優れることが示されている。 (カ)「整泡剤」として、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーなどを用い、その表面張力が22mN/m以上のシリコーンである高活性シリコーンが好ましいこと(【0039】)、実施例において、「6.整泡剤」として、「6-1.高活性シリコーン:Evonik社製「B8742」、表面張力23mN/m」を用いることで、クッション性と高振動吸収性に優れることが示されている。 (キ)以上から、本件発明1で特定された「ポリオール成分」、「イソシアネート成分」、「触媒」、「連通化剤」、「整泡剤」を含む「軟質ポリウレタンフォーム組成物」により、本件発明の課題を解決できると当業者が認識できるように、本件明細書の発明の詳細な説明は記載されているといえる。 イ 本件発明3について 上記アと同様の理由により、本件発明3は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものである。 ウ 本件発明5、6について 本件発明5、6は、本件発明3を直接又は間接的に引用するものであるから、上記イと同様の理由により、本件発明5、6は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものである。 エ 小括 以上から、本件特許の請求項1、3、5、6に記載された発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であり、令和5年9月28日付け取消理由(決定の予告)の理由4(サポート要件)及び申立理由2(サポート要件)には理由がない。 3 申立理由1(甲1に基づく新規性、進歩性欠如)について (1)甲1に記載された発明 甲1の実施例10に着目すると、次の発明が記載されているものと認められる。 「ポリエーテルポリオールとして、EO/POモル比13/87、重量平均分子量7000、3官能のポリエーテルポリオール(ポリオール(A1-1))80.00重量部、 ポリマーポリオールとして、固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)(ポリマーポリオール(A2-1))20.00重量部、 架橋剤として、EO/POモル比100/0、分子量400、官能基数4の市販のポリエーテルポリオール(商品名:ポリエーテルポリオールE)(架橋剤(C-2))1.00重量部、 触媒として、市販の樹脂化触媒:1,1'-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))0.15重量部、市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミンDM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))0.75重量部、 整泡剤として、エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)(整泡剤(F-3))0.40重量部、 発泡剤として、水(発泡剤(G-1))2.80重量部を含む混合液と、 イソシアネートとして、DOW社製の「NE135」と称されるMDI系のイソシアネート(イソシアネート(B-1))80重量部とを混合して調製した発泡原液。」(以下、「甲1発明A」という。) また、甲1には、自動車部品、室内生活用品などの各種成形品に用いられる軟質ポリウレタンフォーム、及びその軟質ポリウレタンフォームを用いたシート用パッド(シート用クッション材)に関すること([0001])、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームであること([0011])、発泡原液を金型に注入して、発泡成形することによりシート用パッドを製造したこと([0060])が記載されていることから、甲1発明Aは、発泡成形により、軟質ポリウレタンフォームとなり、該軟質ウレタンフォームをシート用パッドとして用いることが理解できる。また、該シート用パッドは、段落[0001]、[0002]、「0005」の記載から乗り物を想定しており、自動車を意図していることが把握できる。 してみると、甲1には、さらに、以下の発明が記載されているものと認められる。 「甲1発明Aを発泡成形して得られた軟質ポリウレタンフォーム。」(以下、「甲1発明B」という。) 「甲1発明Bを用いた自動車のシート用パッド。」(以下、「甲1発明C」という。) (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明Aとを対比する。 (ア)甲1発明Aの「ポリエーテルポリオール」である「EO/POモル比13/87、重量平均分子量7000、3官能のポリエーテルポリオール(ポリオール(A1-1))」、「ポリマーポリオール」である「固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)(ポリマーポリオール(A2-1))」は、本件発明1の「ポリオール成分」に相当する。そして、甲1発明Aの「ポリエーテルポリオール(ポリオール(A1-1))」中の「EO/POモル比13/87」において、EO単位、PO単位の各重量がそれぞれ44、58であることから、EO/POモル比=13/87を用いて計算すると、「EO/PO」の「質量比」は約10.2/89.8(44×13/58×87から百分率で得られる)となる。 そうすると、甲1発明Aの「ポリエーテルポリオール」及び「ポリマーポリオール」と、本件発明1の「ポリオール成分は、水酸基価が15~200mgKOH/gであり、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位がプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EP/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含」むこととは、「ポリオール成分」が「エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位がプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含」む限りにおいて一致する。 (イ)甲1発明Aの「イソシアネート」である「DOW社製の「NE135」と称されるMDI系のイソシアネート(イソシアネート(B-1))」、「発泡剤」である「水(発泡剤(G-1))」は、本件発明1の「イソシアネート成分」、「発泡剤」にそれぞれ相当する。 (ウ)甲1発明Aの「整泡剤」である「エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)(整泡剤(F-3))」は、本件明細書の実施例で使用している「6.整泡剤:6-1.高活性シリコーン:Evonik社製「B8742」、表面張力23mN/m」と同じ整泡剤であるから、甲1発明Aの「エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)(整泡剤(F-3))」は、本件発明1の「整泡剤」に相当し、該「整泡剤」が「ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー」であり、「22mN/m以上の表面張力を有する」ことに相当する。 (エ)甲1の段落[0036]には、「連通化剤としては、架橋剤を用い、EO(基)/PO(基)=2以上が好ましい。」ことが記載されており、甲1発明Aの「架橋剤」は「連通化剤」としても機能すると解される。 そうすると、甲1発明Aの「EO/POモル比100/0、分子量400、官能基数4の市販のポリエーテルポリオール(商品名:ポリエーテルポリオールE)(架橋剤(C-2))」は、エチレンオキシドの含有率が100モル%のポリオールであって、「連通化剤」であるといえるから、本件発明1の「連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオール」に相当する。 (オ)甲1発明Aの「触媒」は、「市販の樹脂化触媒:1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」、「市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミン DM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」は、炭素数が順に11、12であり、ポリオール成分100重量部(ポリオール(A1-1)80.00重量部及びポリマーポリオール(A2-1)20.00重量部)に対して、触媒(E-2)、触媒(E-4)を順に0.15重量部、0.75重量部を含むものである。 ここで、甲1発明Aの「触媒(E-4)」は、「N,N-ジメチルデシルアミン」をポリオール成分100重量部に対して0.75重量部含むものであるから、本件発明1の「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」を0.2~1.5質量部を含有することに相当するものの、甲1発明Aの「触媒」は、「市販の樹脂化触媒:1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」0.15重量部と、「市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミン DM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」0.75重量部とを、ポリオール成分100重量部に対して含有するものである。 そうすると、甲1発明Aの「触媒」と、本件発明1の「触媒が、炭素数11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒であり、前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であ」ることとは、「触媒が、N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒を含み、前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100重量部に対し、0.2~1.5質量部であ」る限りにおいて一致する。 (カ)上記(ア)~(オ)を踏まえると、甲1発明Aの「EO/POモル比13/87、重量平均分子量7000、3官能のポリエーテルポリオール(ポリオール(A1-1))」、「固形分33%、水酸基価23mgKO/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)(ポリマーポリオール(A2-1))」、「EO/POモル比100/0、分子量400、官能基数4の市販のポリエーテルポリオール(商品名:ポリエーテルポリオールE)(架橋剤(C-2))」、「市販の樹脂化触媒:1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」、「市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミンDM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))、「エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)(整泡剤(F-3))」、「水(発泡剤(G-1))」を含む混合液と、「DOW社製の「NE135」と称されるMDI系のイソシアネート(イソシアネート(B-1))」とを混合して調製した「発泡原液」は、甲1の段落[0011]によると、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して、軟質ポリウレタンフォームを得るものだから、上記「発泡原液」は、本件発明1の「ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明Aとは、 「ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、整泡剤、連通化剤及び触媒を含む軟質ポリウレタンフォーム用組成物であって、 前記触媒が、N,N-ジメチル構造を有し、炭素数が11~24のアミン触媒であり、 前記アミン触媒の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対し、0.2~1.5質量部であり、 前記連通化剤が、エチレンオキシドの含有率が50モル%超のポリオールであり、 前記ポリオール成分は、エチレンオキシド(EO)に由来する繰り返し単位とプロピレンオキシド(PO)に由来する繰り返し単位の質量比(EO/PO)が、5/95~25/75であるポリエーテルポリオールを含み、 前記整泡剤が、ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ポリジメチロールシロキサン-ポリアルキレンオキシドブロックコポリマーが、22mN/m以上の表面張力を有する、軟質ポリウレタンフォーム用組成物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 触媒に関し、本件発明1が「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」であるのに対し、甲1発明Aが「市販の樹脂化触媒:1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」と「市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミン DM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」とを併用する点 <相違点2> ポリオール成分の水酸基価が、本件発明1が「15~200mgKOH/g」であるのに対し、甲1発明Aでは不明である点 <相違点3> 軟質ポリウレタンフォーム用組成物に関し、本件発明1が「整泡剤がF-3(エポック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォーム用組成物を除く」の対し、甲1発明Aではそのような特定がない点 イ 判断 <相違点1>から検討する。 甲1発明Aの、泡化触媒である、炭素数が12の「N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」は、上記ア(オ)に示したように、本件発明1の触媒は「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」である。 しかしながら、甲1発明Aの「触媒」は、樹脂化触媒である、炭素数が11の「1,1'-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」と泡化触媒である、炭素数が12の「N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」とを併用するものであるのに対し、本件発明1の「触媒」は、「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」を単独で使用するものであるから、両者は異なっている。 してみると、<相違点1>は実質的な相違点である。 ついで、<相違点1>の容易想到性について検討する。 甲1発明Aでは、触媒として、樹脂化触媒である「1,1'-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」と泡化触媒である「N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」とを併用するものであるところ、本件発明1の「触媒」に相当する、泡化触媒である「N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」を単独で使用することが、当業者にとって容易に想到しうるか否かについて検討する。 甲1には、触媒としてアミン系触媒が挙げられること([0037])、通常、公知の触媒は大きく分けて、ポリウレタンの樹脂化を促進する樹脂化触媒と、ポリイソシアネート成分の発泡を促す泡化触媒とに分類されること([0038])、発泡原液には、触媒成分として、樹脂化触媒及び泡化触媒のうち、少なくとも樹脂化触媒が含有されることが好ましいこと、発泡原液に含有される、樹脂化触媒:泡化触媒の質量比は100:0~100:100が好ましく、100:0~100:50がより好ましく、100:0~20がさらに好ましいこと([0039])が記載されている。 これらの記載によると、触媒として通常、樹脂化触媒、泡化触媒が挙げられるところ、発泡原液には樹脂化触媒が必須であって、泡化触媒は含有しても含有しなくてもよいことが理解できる。 してみると、甲1に基づけば、当業者が、泡化触媒を単独で使用することは考えにくいといえ、<相違点1>は、当業者が容易に想到しえたことではない。 よって、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明A、すなわち甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、甲1の実施例10(甲1発明Aに相当)のほか、甲1の実施例11~14、29、30を引用発明とする場合も、上記と同様の理由により、本件発明1は甲1に記載された発明ではないし、これに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3について 本件発明3は、軟質ポリウレタンフォームに関する独立請求項の発明であるところ、基本的には、本件発明1の軟質ポリウレタンフォーム用組成物を発泡原液として用い、該発泡原液を発泡してなる軟質ポリウレタンフォームであることを特定している。 そこで、本件発明3と甲1発明Bとを対比すると、上記(2)アと同様の相当関係があり、以下の点で相違し、その余において一致する。 <相違点1’> 触媒に関し、本件発明3が「炭素数が11~24のN,N-ジメチル直鎖アルキルアミン触媒」であるのに対し、甲1発明Bが「市販の樹脂化触媒:1,1’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2-プロパノール)(触媒(E-2))」と「市販の泡化触媒(花王社製、商品名:ファーミン DM1098):N,N-ジメチルデシルアミン(触媒(E-4))」とを併用する点 <相違点2’> ポリオール成分の水酸基価が、本件発明3が「15~200mgKOH/g」であるのに対し、甲1発明Bでは不明である点 <相違点3’> 軟質ポリウレタンフォーム用組成物に関し、本件発明3が「整泡剤がF-3(エポック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)であり、その配合量が0.40である軟質ポリウレタンフォームを除く」の対し、甲1発明Bではそのような特定がない点 そこで判断するも、上記(2)イで述べたのと同様の理由により、<相違点1’>は実質的な相違点であり、さらに当業者が容易に想到しえたことではない。 よって、本件発明3は甲1発明B、すなわち甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明5について 本件発明5は、本件発明3を直接又は間接的に引用するものであるから、上記(3)と同様の理由により、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明6について 本件発明6は、本件発明3又は5の軟質ポリウレタフォームを用いてなる車輌用シートパッドに関する発明であるが、基本的に本件発明3を直接又は間接的に引用するものであるから、上記(3)と同様の理由により、甲1発明C、すなわち甲1に記載された発明ではないし、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)小括 以上から、本件発明1、3、6は、甲1に記載された発明ではないし、また本件発明1、3、5、6は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由1(甲1に基づく新規性、進歩性欠如)には理由がない。 第6 むすび 以上のとおり、特許異議申立書に記載した申立理由、並びに当審から通知した取消理由通知(決定の予告)及び同(軽微な記載不備)の取消理由によっては、本件特許の請求項1、3、5、6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1、3、5、6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項2、4が本件訂正により削除されたことにより、申立人による請求項2、4に係る特許異議の申立てについては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700093

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