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特許異議申立

2019-700069

ハーネス

審判番号
2019-700069
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2017-177733
登録番号
特許第6365753号(P6365753)
請求日
2019年01月31日
審決日
2019年04月23日
公報発行日
2019年06月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】住友電装株式会社
  • 【権利者代理人】恩田 誠
  • 【権利者代理人】恩田 博宣
  • 【異議申立人】白澤 哲明
審判長/審判官
  • 審判長 酒井 朋広
  • 審判官 井上 信一
  • 審判官 國分 直樹
分類
P1651.121-Y (H01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6365753号発明「ハーネス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6365753号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6365753号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、平成26年10月31日に出願した特願2014-223663号の一部を平成29年9月15日に新たな特許出願としたものであって、平成30年7月13日にその特許権の設定登録がなされ、同年8月1日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1ないし4に係る特許に対して、平成31年1月31日に特許異議申立人 白澤 哲明により特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明 特許第6365753号の請求項1ないし4の特許に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」という。)は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 少なくともABSセンサ用ケーブル及びパーキングブレーキ用ケーブルをシースの内部に収容するハーネスであって、 前記シースの端部において前記ABSセンサ用ケーブルと前記パーキングブレーキ用ケーブルとを分岐させて引き出し方向を固定するとともに前記シースの端部の止水を行う止水部と、ブラケットを取り付けるブラケット取付部とをウレタンにより一体成形し、 前記ブラケット取付部は前記シース上に設けられていることを特徴とするハーネス。 【請求項2】 前記止水部と前記ブラケット取付部とは前記シースの長手方向に沿って並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載のハーネス。 【請求項3】 前記ABSセンサ用ケーブル及び前記パーキングブレーキ用ケーブルの分岐部位は、前記シースから露出された部分に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のハーネス。 【請求項4】 前記止水部は、前記ABSセンサ用ケーブル及び前記パーキングブレーキ用ケーブルの分岐部位から前記シースの端部の外周面までを覆うように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のハーネス。」 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第12号証を提出し、本件発明1ないし4は、甲第1号証に記載された発明、周知技術及び/又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである旨主張している。 [証拠] 甲第1号証:国際公開第2014/103499号 甲第2号証:特許第4794988号公報 甲第3号証:特開平10-233124号公報 甲第4号証:特許第3296750号公報 甲第5号証:実願昭50-67526号(実開昭51-146383号) のマイクロフィルム 甲第6号証:特開2008-268016号公報 甲第7号証:特開2008-209197号公報 甲第8号証:特開2003-197037号公報 甲第9号証:特開2003-234144号公報 甲第10号証:特開2005-294132号公報 甲第11号証:特開2005-332607号公報 甲第12号証:特開平6-267336号公報 第4 甲第1号証ないし甲第12号証の記載 1.甲第1号証(国際公開第2014/103499号) 甲第1号証には、「ワイヤハーネス」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「[0002] 従来、車輌には例えばABS(Anti-lock Brake System)などの車輌制御のために、車輪速センサが搭載されている。車輪速センサは、車輪と共に回転するロータに対向して設けられ、ロータの回転による磁束変量を検出し、検出結果に応じた電気信号を出力する。車輪速センサには、磁束変量を電気信号に変換する磁電変換子(例えばホールIC(Integrated Circuit)などのセンサ部品)が用いられる。」 (2)「[0007] 一方、近年の車輌においては、搭載される電子部品の数が増加する傾向にあり、車輌内に配される電線又はワイヤハーネス等の数も増大している。このため多数の電線を束ねて1本のワイヤハーネスとすることが望まれている。ただし、車輪速センサに接続される2本の電線を含むワイヤハーネスに、更に別の電線を束ねて1本のワイヤハーネスとした場合、別の電線には別の電子部品を接続する必要がある。このためワイヤハーネスの端部近傍などにおいては、ワイヤハーネスを被覆している合成樹脂を取り除き、ワイヤハーネス内の複数の電線を分岐させてホールIC及び電子部品に接続しなければならない。」 (3)「[0036] ワイヤハーネス7は、一端に車輪速センサ1が接続された2本の電線7aと、その他の複数の電線7bとを束ねて樹脂被覆などを行うことにより、1本のワイヤとしたものである。その他の電線7bは、車輪速センサ1の近傍に配置された他の電子部品などに接続される。他の電子部品として、例えば電動パーキングブレーキの制御機器などを電線7bに接続する構成としてよい。ワイヤハーネス7の両端部では、樹脂被覆が除去されて電線7a及び7bが露出している。露出した電線7a及び7bの一端には上記のように車輪速センサ1及び他の電子部品などが接続され、他端にはコネクタ8が接続されている。コネクタ8は、車輌に搭載された制御装置などに接続するためのものである。」 ・甲第1号証に記載の「ワイヤハーネス」は、上記(1)~(3)の記載事項、及び図1によれば、ABSなどの車輌制御のための車輪速センサ1に接続される2本の電線7aと、別の電子部品に接続される2本の別の電線7bとを束ねて合成樹脂で被覆し、1本のワイヤハーネス7としたものである。 ・上記(2)、(3)の記載事項、及び図1によれば、ワイヤハーネス7の端部近傍において、ワイヤハーネス7を被覆している合成樹脂を取り除いて各電線7a,7bを露出させ、ワイヤハーネス7内の2本の電線7aと別の2本の電線7bとを分岐させてそれぞれに車輪速センサ1及び他の電子部品が接続されてなるものである。 ・上記(3)の記載事項によれば、別の2本の電線7bに接続される他の電子部品としては、例えば電動パーキングブレーキの制御機器である。 したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「ABSのための車輪速センサに接続される2本の電線及び電動パーキングブレーキの制御機器に接続される別の2本の電線とを合成樹脂で被覆したワイヤハーネスであって、 ワイヤハーネスの端部近傍において、被覆している前記合成樹脂を取り除いて各電線を露出させ、ワイヤハーネス内の前記2本の電線と前記別の2本の電線とを分岐させたワイヤハーネス。」 2.甲第2号証(特許第4794988号公報) 甲第2号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【請求項1】 導体、前記導体の外周に設けられたポリオレフィン系樹脂またはポリ塩化ビニル樹脂の第1の被覆体および前記第1の被覆体の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体からなる複数の絶縁線心と、前記複数の絶縁線心の外周に設けられた熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースとを有するケーブルと、 前記ケーブルの端末の前記シースが除去されて露出した前記複数の絶縁線心の前記熱可塑性ポリウレタン樹脂の第2の被覆体および前記熱可塑性ポリウレタン樹脂のシースのそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂で射出成形して形成され、前記第2の被覆体および前記シースを被覆してシールする成形体と、 を有することを特徴とする絶縁ケーブル端末。」 (2)「【0001】 本発明は、各種センサーや端子、コネクタ等に接続した際に、高い気密性能および水密性能を発揮する絶縁ケーブル端末に関する。 【背景技術】 【0002】 自動車、ロボット、電子機器等における各種センサー等の機器部品や電極端子、コネクタに接続される、複数の絶縁電線の外周にシースを設けてなる絶縁ケーブルは、その端末の接続部分に気密性や水密性が要求される場合がある。ケーブル内部からのガスや水分の進入により、接続された電気機器へ損傷を与えるおそれがあるためである。」 (3)「【0031】 (絶縁ケーブル端末の作製) まず、複数の絶縁線心120を用意し、これらを綿糸介在115と共に撚り合わせ、その上から第1のテープ113、シールド導体112、第2のテープ114、シース111を順番に被覆し、ケーブル110を作製する。 【0032】 なお、ケーブル110内の複数の絶縁線心120の形態は、撚り合わせでなくともよい。 【0033】 次に、ケーブル110の端末のシース111、第2のテープ114、シールド導体112、第1のテープ113、綿糸介在115を除去し、絶縁線心120を露出させる。 【0034】 次に、絶縁線心120を露出させたケーブル110の端末を所定のキャビティ形状を有する金型内に固定した後、加熱により溶かした熱可塑性ポリアミド樹脂を金型内に流入して成形体130を形成し、絶縁ケーブル端末100を作製する。 【0035】 ここで、成形体130を形成する際、成形体130は複数の絶縁線心120およびシース111にそれぞれ融着し、これらを被覆する。 【0036】 (第1の実施の形態の効果) この第1の実施の形態によれば、第2の被覆体123およびシース111に熱可塑性ポリウレタン樹脂を、成形体130に熱可塑性ポリアミド樹脂を用いて、成形体130を第2の被覆体123およびシース111に熱融着させることにより、接続機器へのケーブル内外からのガスおよび水分の流入を防ぐ、高い気密性および水密性を有する絶縁ケーブル端末100を作製することができる。」 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第2号証には、次の技術事項が記載されている。 「複数の絶縁線心の外周にシースを設けてなる絶縁ケーブルにおいて、 前記絶縁線心を露出させた当該絶縁ケーブルの端末を、前記絶縁線心の熱可塑性ポリウレタン樹脂の被覆体および前記シースの熱可塑性ポリウレタン樹脂のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体で被覆して高い気密性および水密性が得られるようにしたこと。」 3.甲第3号証及び甲第4号証 3-1.甲第3号証(特開平10-233124号公報) 甲第3号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【請求項1】絶縁導体を複数本撚り合わせた多芯撚線の外側に2層以上の被覆層を設けたケーブルにおいて、前記被覆層のうちの最外層の平均肉厚が0.25mm~0.7mmとし、該最外層を熱可塑性ポリウレタン100~30重量%およびポリエステルエラストマー0~70重量%をベース樹脂とする樹脂組成物を押出成形し電子線照射して架橋度を5~40%の架橋体で構成したことを特徴とするケーブル。」 (2)「【0002】 【従来の技術】自動車、ロボット、電子機器用等に使用されるケーブルの絶縁層としては、機械特性、柔軟性が良好である熱可塑性ポリウレタン系組成物が被覆材として採用されている。 このようなケーブルに、センサ-などの機器部品や電極端子を接続する場合には、その接続部およびその近傍の周囲を樹脂モ-ルド(成形体)で気密もしくは水密に成形し保護する。このように樹脂モールドで気密、水密を確保するには、成形のしやすさ、機械的強度に優れるポリエチレンテレフタレ-トやポリブチレンテレフタレ-トがモールド材料として頻繁に用いられている。」 (3)「【0024】得られた各ケーブルについて、下記の試験方法で各種の特性を評価した。 ・・・・・(中 略)・・・・・ 図2に示すように、ケ-ブルの被覆層2および1bを除去して導体1aを露出させ、その端部に電極端子5を接続した。次いで、接続部とその近傍周囲をポリブチレンテレフタレ-ト(大日本インキ製)で射出成形し樹脂成形体4を形成し、接続部を保護した。このケーブルについて、120℃×1時間、-40℃×1時間を1サイクルとして、10サイクルのヒ-トサイクル試験を行なった。その後、樹脂成形体側と反対の端末より、2気圧の圧縮空気を注入し、樹脂成形体側から漏れがないかを、水中に浸漬し、気泡の有無で、気密性を確認した。5サンプルについて、試験をおこない、全て合格した場合を○、いずれかのサンプルが不合格であった場合を×とした。」 3-2.甲第4号証(特許第3296750号公報) 甲第4号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【請求項1】 絶縁導体を複数本撚り合わせた多芯撚線の外側に被覆層を設けたケーブルにおいて、少なくとも前記被覆層の最外層が、ポリアミドをハードセグメントとするブロック共重合体100~10重量%と熱可塑性ポリウレタン0~90重量%をベース樹脂とする熱可塑性樹脂組成物を押出成形し、電子線照射した架橋体で構成されていることを特徴とするケーブル。」 (2)「【0002】 【従来の技術】自動車、ロボット、電子機器等に使用されるケーブルの絶縁層としては、機械特性、柔軟性が良好である熱可塑性ポリウレタン系組成物が被覆材として採用されている。このようなケーブルに、センサーなどの機器部品を接続したり、電極端子を接続する場合には、その接続部およびその近傍の周囲を樹脂モールド(成形体)で気密もしくは水密に保護する。このように樹脂モールドで気密、水密を確保するには、成形のしやすさや機械的強度に優れる、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、等のポリアミド樹脂がモールド材料としてよく用いられる。」 (3)「【0015】得られた各ケーブルについて、下記の試験方法で各種の特性を評価した。 (1)端末の気密性 図2に示すように、ケーブルの被覆層2および絶縁層1bを除去して導体1aを露出させ、その端部に電極端子5を接続した。次いで、接続部とその近傍周囲をポリアミド樹脂(ナイロン12)によるモールドにより、樹脂成形体4で覆った。このケーブルについて、120℃×1時間、-40℃×1時間を1サイクルとして、10サイクルのヒートサイクル試験を行った。その後、樹脂成形体側と反対の端末より、2気圧の圧縮空気を注入し、樹脂成形体側から漏れがないかを、水中に浸漬して気泡の有無で気密性を確認した。5サンプルについて、試験をおこない、全て合格した場合を○、いずれかのサンプルが不合格であった場合を×とした。」 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第3号証及び甲第4号証には、次の技術事項が記載されている。 「絶縁導体を2本撚り合わせた多芯撚線の外側に被覆層を設けたケーブルにおいて、 当該ケーブルの被覆層および前記絶縁導体の絶縁層を除去して導体を露出させその端部に電極端子を接続してなる接続部とその近傍周囲を、樹脂モールド(成形体)で覆って気密もしくは水密に保護するようにしたこと。」 4.甲第5号証〔実願昭50-67526号(実開昭51-146383号)のマイクロフィルム〕 甲第5号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「実用新案登録請求の範囲 ケーブルシースの外周に、ケーブル取付金具を取り付けるためのモールド保護部をあらかじめ設けて構成されることを特徴とするケーブル。」(1頁3~6行) (2)「これを添付図面に於て説明するに、1は幹線ケーブル、2は分岐線ケーブルにして両者は電気的に接続されている。 3は接続された外周を覆う様にして設けられたモールド部であり、このケーブルはいわゆる分岐線付きケーブルである。 4はモールド部3の一部分より成るモールド保護部にして、ケーブル取付金具(図示せず)に合致する様な形状に成形されており、この上からケーブル取付金具を造営材に固定させる場合確実に且つ、ケーブル線心に損傷を与えることなく固定できるものである。 モールド保護部4の製造はモールド成形金型に加工を加え、ケーブル分岐部のモールド部3の成形時に一括してモールドすれば良いもので、簡単に製造することができるものである。」(2頁11行~3頁6行) 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第5号証には、次の技術事項が記載されている。 「幹線ケーブルと分岐線ケーブルとが電気的に接続されたケーブルにおいて、 ケーブル分岐部の外周を覆うモールド部と、当該モールド部の一部分として、前記幹線ケーブルのケーブルシースの外周にケーブル取付金具を取り付けるためのモールド保護部とを成形時に一括して設けるようにしたこと。」 5.甲第6号証及び甲第7号証 5-1.甲第6号証(特開2008-268016号公報) 甲第6号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0018】 上記ホルダー20には、上記リード片12と出力ケーブル6の対の可撓芯線6aとの両接続部の間に位置してその両芯線6a、6aの接触を防止する隔壁21が設けられている(図4参照)。この隔壁21を挟むように、出力ケーブル6の両芯線6a、6aをリード片12、12上にセットして半田付けによって接続する。 この後、ホールIC11、リード片12、ホルダー20の全体、出力ケーブル6及び取付金具10の一部を埋設する樹脂被覆4を射出成形する。取付金具10は樹脂被覆4によって構成することもできる(特許文献2 図1参照)。」 5-2.甲第7号証(特開2008-209197号公報) 甲第7号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0022】 このホルダー20に取付けられた検出部aのリード片12に可撓芯線6aが半田付けによって接続される。そのリード片12に可撓芯線6aが接続された後、図6に示すように、金型Dのキャビティ内にその検出部a付きホルダー20及び出力ケーブル6をセットするとともに、押えピンcをホルダー20の裏面及び係止具8の表面に当てがって(孔27に嵌めて)、ホルダー20等を位置決め固定する。 その状態において、樹脂注入口Tから溶融樹脂bを金型のキャビティ内に注入し、ホールIC11、リード片12、ホルダー20の全体、出力ケーブル6及び取付金具10の一部を埋設する樹脂被覆4を射出成形して回転検出センサPを得る。取付金具10は樹脂被覆4によって構成することもできる(特許文献2 図1参照)。」 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第6号証及び甲第7号証には、次の技術事項が記載されている。 「端部に露出した2本の可撓芯線のそれぞれにリード片を接続してなる出力ケーブルにおいて、 前記リード片の全体、当該出力ケーブルの一部(端部)及び取付金具の一部を埋設する樹脂被覆を成形するようにしたこと。」 6.甲第8号証及び甲第9号証 6-1.甲第8号証(特開2003-197037号公報) 甲第8号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0012】本実施形態のワイヤーハーネス20は、複数本の電線21と、各電線21の端末部に個別に固着したコネクタ22と、一括シールド手段30とから構成されている。電線21は、導電性の芯線21aを絶縁被覆21bで包囲した非シールドタイプのものであり、その両端部においては絶縁被覆21bが剥き取られて芯線21aが露出されている。コネクタ22は、端子金具23と、この端子金具23を樹脂モールドによって包囲するように成形されたコネクタ本体26とを備えて構成され、複数の電線21からなるワイヤーハーネス20の端部においては複数の端子金具23に対して個別にコネクタ本体26がモールド成形された形態となっている。 【0013】端子金具23の前端部は前後方向に長い平板状をなす端子接続部24とされ、その端子接続部24にはボルト孔24aが形成されている。端子金具23の後端部にはオープンバレル状をなす電線接続部25が形成され、この電線接続部25には電線21の芯線21aが圧着により導通可能に接続されている。コネクタ本体26は、端子金具23のうち端子接続部24の後端部と、電線接続部25の全体、及び絶縁被覆21bの前端部を包囲するようにモールド成形されており、コネクタ本体26の前端面からは端子金具23の端子接続部24が突出され、後端面からは電線21のうちの絶縁被覆21bで覆われた部分が導出されている。コネクタ本体26の後端部外周は円形をなし、その外周面にはシール溝27が形成され、このシール溝27にはシールリング28が装着されている。また、コネクタ本体26の後端部外周におけるシール溝27よりも後方の位置には、ボルト孔29aを有するブラケット29が取り付けられている。」 6-2.甲第9号証(特開2003-234144号公報) 甲第9号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0013】 【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図5を参照して説明する。本実施形態のコネクタ100は電線120の端末部に接続されており、その接続済みの電線120及びコネクタ100が複数本(本実施形態では3本)束ねられるとともに、これらを筒状の編組線からなるシールド部材121に挿通させることでワイヤーハーネス122が構成されている。このワイヤーハーネス122は、シールドケース130内に収容されたモータ装置などの機器131(本発明の構成要件である接続相手)に接続されるようになっている。このシールドケース130には円形をなす複数の取付孔132が形成され、シールドケース130の内部には、各取付孔132と対応するように機器側端子133が設けられている。また、コネクタ100が接続されている電線120は、導電性の芯線120aを絶縁被覆120bで包囲した非シールドタイプのものであり、その端部においては絶縁被覆120bが剥き取られて芯線120aが露出されている。 【0014】次に、本実施形態のコネクタ100について説明する。コネクタ100は、端子金具101と、この端子金具101を樹脂モールドによって包囲するように成形された外装体110とを備えて構成されている。端子金具101の略前半部分は、前後方向に長い平板状をなすとともにボルト孔103の形成された機器接続部102とされ、端子金具101の略後半部分は、底板104aの両側縁からカシメ片104bを立ち上げたオープンバレル状の電線接続部104とされ、機器接続部102と電線接続部104とは段違い状の板状をなす連結部105によって連結されている。電線接続部104には電線120の芯線120aが圧着により導通可能に接続されていて、この連結部105により、圧着状態では、電線120の軸線120Aに対して機器接続部102の中心102A(上下及び左右の両方向における中心)が一致するようになっているとともに、端子金具101と電線120とが全体としてほぼ一直線状に連なった形態となっている。また、電線120の絶縁被覆120bの表面には、その電線接続部104に近い前端位置に、外装体110をモールドするのに先だって接着剤125が塗布されるようになっている。尚、接着剤125としては、エピクロルヒドリンゴム等の接着剤を用いることができる。 ・・・・・(中 略)・・・・・ 【0016】外装体110は、端子金具101のうち機器接続部102の後端部のくびれ部106を含む領域と、電線接続部104の全体、及び絶縁被覆120bの前端部のうち接着剤125が塗布される領域を包囲するように樹脂モールドによって端子金具101と一体に成形されている。外装体110をモールド成形するための樹脂材料として、本実施形態では、ガラス繊維を含有する6-6ナイロン(登録商標)が用いられているが、6-12ナイロンを用いることもできる。 【0017】外装体110の前端面からは端子金具101の機器接続部102が突出され、後端面からは電線120のうちの絶縁被覆120bで覆われた部分が導出されている。外装体110の後端部外周は電線120と同心の円形部111とされ、その外周面のシール溝112にはシールリング113が装着されている。尚、このシール溝112は、電線接続部104の後端部と対応するように位置している。また、外装体110の後端部外周におけるシール溝112よりも後方の位置には外装体110とは別体のブラケット114が取り付けられている。このブラケット114は電線接続部104よりも後方であって電線120の絶縁被覆120bの前端部と対応するように位置している。」 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第8号証及び甲第9号証には、次の技術事項が記載されている。 「導電性の芯線を絶縁被覆で包囲した複数本の電線を筒状のシールド部材に挿通してなるワイヤーハーネスであって、 ワイヤーハーネスの端部において、各電線は絶縁被覆が剥き取られて芯線が露出され、各芯線にはそれぞれ端子金具の電線接続部が接続されてなり、 各電線毎に、前記電線接続部の全体、前記絶縁被覆の前端部を包囲するように樹脂でモールド成形するとともに、その樹脂モールドにおける前記絶縁被覆の前端部と対応する位置にブラケットを取り付けるようにしたこと。」 7.甲第10号証ないし甲第12号証 7-1.甲第10号証(特開2005-294132号公報) 甲第10号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0001】 本発明は、外装モールドハーネスに関し、さらに詳しくは、例えば自動車に配索されるワイヤハーネスにグロメット、プロテクタ、クランプ等の外装部品が一体的に取り付けられた外装モールドハーネス及びその外装モールドハーネスの製造方法、並びにこの外装モールドハーネスが搭載された自動車に関する。」 (2)「【0019】 以下に本明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る外装モールドハーネスの外観を示している。この外装モールドハーネス10はオレフィン系樹脂被覆電線12の電線被覆材12aの外周面に熱可塑性エストラマによる外装部品の一例としてグロメット14がインサートモールド成形により一体的に固着(溶着)形成されたものである。外装部品の例としては、その他にプロテクタやクランプ等も挙げられる。」 (3)「【0023】 一方、熱可塑性エストラマによる外装部品の材料としては、スチレン-ブタジエン系、スチレン-イソプレン系、スチレン-エチレン-ブタジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系(PVC)、ポリアミド系、ふっ素ゴム系などの各種の熱可塑性エストラマが挙げられるが、その中でも特に燃焼時の環境汚染の問題を考慮すれば、PVC系、ふっ素ゴム系は避けた方が良い。またポリウレタン系やポリアミド系はオレフィン系樹脂被覆材との相溶性が良くないので避けた方が良い。」 7-2.甲第11号証(特開2005-332607号公報) 甲第11号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0001】 本発明は、グロメット一体型モールドハーネスに関し、さらに詳しくは、例えば自動車に配索されるワイヤハーネスにグロメットのような外装部品が一体的に取り付けられたグロメット一体型モールドハーネス及びその製造方法並びにこのグロメット一体型モールドハーネスが搭載された自動車に関する。」 (2)「【0024】 以下に本明の各種の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るグロメット一体型モールドハーネスの外観形態を示している。この図1(a)に示されるグロメット一体型モールドハーネス10は、電線Wの被覆材の外周面に外装部品としてのグロメット14が金型インサートモールド成形により一体的に装着されたものである。」 (3)「【0033】 一方、熱可塑性エストラマによる外装部品の材料としては、スチレン-ブタジエン系、スチレン-イソプレン系、スチレン-エチレン-ブタジエン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系(PVC)、ポリアミド系、ふっ素ゴム系などの各種の熱可塑性エストラマが挙げられるが、その中でも特に燃焼時の環境汚染の問題を考慮すれば、PVC系、ふっ素ゴム系は避けた方が良い。またポリウレタン系やポリアミド系はオレフィン系樹脂被覆材との相溶性が良くないので避けた方が良い。」 7-3.甲第12号証(特開平6-267336号公報) 甲第12号証には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。 (1)「【0002】 【従来の技術】近年のカーエレクトロニクス化の急激な普及により、センサーケーブルをはじめとする各種ケーブルが自動車に使用されるようになった。かかるケーブルは、自動車内部という苛酷な条件で使用されるため、その被覆材料や外装シース材料には耐熱性,耐外傷性,耐水性,耐油性といった種々の特性が要求されており、その要求に適合する素材として、一般にポリウレタンが用いられている。」 上記記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第10号証ないし甲第12号証には、次の技術事項が記載されている。 「自動車に使用されるハーネスやケーブルにおいて、外装シース材料や電線の被覆材の外周面に一体的に装着される外装部品の材料としてポリウレタンが用いられること。」 第5 当審の判断 1.本件発明1について (1)対比・判断 本件発明1と甲1発明とを対比すると、 ア.甲1発明における「ABSのための車輪速センサに接続される2本の電線及び電動パーキングブレーキの制御機器に接続される別の2本の電線とを合成樹脂で被覆したワイヤハーネスであって」によれば、 甲1発明における「ABSのための車輪速センサに接続される2本の電線」、「電動パーキングブレーキの制御機器に接続される別の2本の電線」は、それぞれ本件発明1でいう「ABSセンサ用ケーブル」、「パーキングブレーキ用ケーブル」に相当する。 また、甲1発明における、2本の電線及び別の2本の電線を被覆する「合成樹脂」は、これら電線を内部に収容しているとみることができることから、本件発明1でいう「シース」に相当し、 そして、甲1発明における「ワイヤーハーネス」は、本件発明1でいう「ハーネス」に相当するものである。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「少なくともABSセンサ用ケーブル及びパーキングブレーキ用ケーブルをシースの内部に収容するハーネス」である点で一致する。 イ.甲1発明における「ワイヤハーネスの端部近傍において、被覆している前記合成樹脂を取り除いて各電線を露出させ、ワイヤハーネス内の前記2本の電線と前記別の2本の電線とを分岐させた・・」によれば、 甲1発明でいう「ワイヤーハーネスの端部近傍」は、露出させた各電線を2本の電線と別の2本の電線とに分岐させる部分であるから、本件発明1でいう「シースの端部」に相当し、 本件発明1と甲1発明とは、「前記シースの端部において前記ABSセンサ用ケーブルと前記パーキングブレーキ用ケーブルとを分岐させ」てなるものである点で共通する。 ただし、本件発明1では、「(分岐させた両ケーブルの)引き出し方向を固定するとともに前記シースの端部の止水を行う止水部と、ブラケットを取り付けるブラケット取付部とをウレタンにより一体成形し、前記ブラケット取付部は前記シース上に設けられている」旨特定するのに対し、甲1発明では、止水部やブラケット取付部を設けること自体の特定がない点で相違している。 よって、本件発明1と甲1発明とは、 「少なくともABSセンサ用ケーブル及びパーキングブレーキ用ケーブルをシースの内部に収容するハーネスであって、 前記シースの端部において前記ABSセンサ用ケーブルと前記パーキングブレーキ用ケーブルとを分岐させたことを特徴とするハーネス。」 である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 本件発明1では、「(分岐させた両ケーブルの)引き出し方向を固定するとともに前記シースの端部の止水を行う止水部と、ブラケットを取り付けるブラケット取付部とをウレタンにより一体成形し、前記ブラケット取付部は前記シース上に設けられている」旨特定するのに対し、甲1発明では、止水部やブラケット取付部を設けること自体の特定がない点。 そこで、上記[相違点]について検討する。 (a)甲第2号証には、複数の絶縁線心の外周にシースを設けてなる絶縁ケーブルにおいて、前記絶縁線心を露出させた当該絶縁ケーブルの端末を、前記絶縁線心の熱可塑性ポリウレタン樹脂の被覆体および前記シースの熱可塑性ポリウレタン樹脂のそれぞれと融着する熱可塑性ポリアミド樹脂からなる成形体で被覆して高い気密性および水密性が得られるようにした技術事項が記載(上記「第4 2.」を参照)されている。 しかしながら、甲第1号証には、そもそもワイヤーハーネスの端部や、ワイヤハーネスの端部近傍における、露出させた各電線を2本の電線と別の2本の電線とに分岐させる部分について止水する必要があることの記載も示唆もなく、甲1発明に対して甲第2号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けは見出せない。 なお仮に、甲1発明に対して甲第2号証に記載の技術事項を適用できたとしても、甲第2号証に記載のものは、気密性および水密性を得るための成形体として「熱可塑性ポリアミド樹脂」を用いることを前提とするものであり、本件発明1のように「ウレタン」により成形することは導き出せない。さらに、甲第2号証における絶縁ケーブルの端末から露出された複数の絶縁線心は、特に図1B(a)から明らかなように互いに接触した状態にあり、「分岐」されていないことを踏まえると、甲1発明において、ワイヤハーネスの端部を気密性および水密性を得るために成形体で被覆することが導き出せ得るにすぎず、本件発明1のように、2本の電線と別の2本の電線とに分岐させる部分についても成形体で被覆することまでは導き出すことはできない。 (b)次に、甲第3号証及び甲第4号証には、絶縁導体を2本撚り合わせた多芯撚線の外側に被覆層を設けたケーブルにおいて、当該ケーブルの被覆層および前記絶縁導体の絶縁層を除去して導体を露出させその端部に電極端子を接続してなる接続部とその近傍周囲を、樹脂モールド(成形体)で覆って気密もしくは水密に保護するようにした技術事項が記載(上記「第4 3.」を参照)され、また、甲第6号証及び甲第7号証には、端部に露出した2本の可撓芯線のそれぞれにリード片を接続してなる出力ケーブルにおいて、前記リード片の全体、当該出力ケーブルの一部(端部)及び取付金具の一部を埋設する樹脂被覆を成形するようにした技術事項が記載(上記「第4 5.」を参照)されている。 しかしながらいずれにおいても、1本のケーブルにおいてその端部に露出した2本の導体(芯線)に端子(リード片)を接続してなる部分を樹脂モールド(樹脂被覆)してなるものであって、甲第1号証に記載のものでいえば、一方のケーブル(車輪速センサに接続される2本の電線7a)の端部に露出した2本の電線と車輪速センサの端子との接続部分あるいは他方のケーブル(電動パーキングブレーキの制御機器に接続される別の2本の電線7b)の端部に露出した別の2本の電線と電動パーキングブレーキの制御機器の端子との接続部分を樹脂モールド(樹脂被覆)するものに他ならず、一方のケーブルと他方のケーブルとが分岐する部分を樹脂モールド(樹脂被覆)するものではないことから、甲1発明に対してこれら甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証に記載の技術事項を適用したとしても、上記相違点に係る構成を導き出すことはできない。 (c)また、甲第5号証には、幹線ケーブルと分岐線ケーブルとが電気的に接続されたケーブルにおいて、ケーブル分岐部の外周を覆うモールド部と、当該モールド部の一部分として、前記幹線ケーブルのケーブルシースの外周にケーブル取付金具を取り付けるためのモールド保護部とを成形時に一括して設けるようにした技術事項が記載(上記「第4 4.」を参照)されている。 しかしながら、幹線ケーブルと分岐線ケーブルとは電気的に接続されていることからみて、ケーブル分岐部ではそれぞれのケーブルの金属線が露出しており、モールド部は、その露出した金属線を覆うように設けられてなるものであって、露出した金属線を保護するためのものであるといえる。一方、甲1発明では、車輪速センサに接続される2本の電線と電動パーキングブレーキの制御機器に接続される別の2本の電線とを分岐させている部分は、単に各電線を分岐させるだけであって、分岐のために各電線の金属線を露出させたものではないことから、甲1発明に対して甲第5号証に記載の技術事項を適用すべき動機付けがない。 (d)さらに、甲第8号証及び甲第9号証には、導電性の芯線を絶縁被覆で包囲した複数本の電線を筒状のシールド部材に挿通してなるワイヤーハーネスであって、ワイヤーハーネスの端部において、各電線は絶縁被覆が剥き取られて芯線が露出され、各芯線にはそれぞれ端子金具の電線接続部が接続されてなり、各電線毎に、前記電線接続部の全体、前記絶縁被覆の前端部を包囲するように樹脂でモールド成形するとともに、その樹脂モールドにおける前記絶縁被覆の前端部と対応する位置にブラケットを取り付けるようにした にした技術事項が記載(上記「第4 6.」を参照)されている。 しかしながらこれは、ワイヤーハーネスの端部においてシールド部材から露出した各電線毎に、電線接続部等を樹脂でモールド成形するとともに、ブラケットを取り付けてなるものであり、シールド部材の端部を樹脂でモールド成形等したものではないことから、甲1発明に対して甲第5号証に記載の技術事項を適用したとしても、上記相違点に係る構成を導き出すことはできない。 (e)そして、甲第10号証ないし甲第12号証には、自動車に使用されるハーネスやケーブルにおいて、外装シース材料や電線の被覆材の外周面に一体的に装着される外装部品の材料としてポリウレタンを用いるという技術事項が記載(上記「第4 7.」を参照)されているのみであり、シースの端部に、本件発明1でいう「止水部」や「ブラケット取付部」を設けることの記載も示唆もない。 以上のことから、本件発明1における上記相違点に係る構成〔中でも「(分岐させた両ケーブルの)引き出し方向を固定するとともに前記シースの端部の止水を行う止水部」を設けるという発明特定事項〕は、甲第1号証ないし甲第12号証のいずれからも導き出すことはできない。 よって、本件発明1は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2.本件発明2ないし4について 請求項2ないし4は、請求項1に従属する請求項であり、本件発明2ないし4は、本件発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2ないし4は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.まとめ 以上のとおり、本件発明1ないし4は、甲1発明及び甲第2号証ないし甲第12号証に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえず、したがって、本件の請求項1ないし4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるということはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700069

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