特許異議申立
2023-700764
接続モジュール
- 審判番号
- 2023-700764
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-219298
- 登録番号
- 7212504
- 請求日
- 2023年07月24日
- 審決日
- 2024年04月11日
- 公報発行日
- 2024年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社オートネットワーク技術研究所
- 【権利者代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
- 【権利者】住友電装株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
- 【権利者】住友電気工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
- 【権利者】住友電工プリントサーキット株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
- 【権利者】トヨタ自動車株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人暁合同特許事務所
- 【異議申立人】日置 綾子
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 信一
- 審判官 小池 秀介
- 審判官 畑中 博幸
- 分類
- P1651.113-YAA(H01M) / P1651.121-YAA(H01M) / P1651.16 -YAA(H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7212504号発明「接続モジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7212504号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4-11〕について訂正することを認める。
特許第7212504号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7212504号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成30年11月22日に出願され、令和5年1月17日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月25日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 7月24日 :特許異議申立人日置綾子により請求項1ないし 11に係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年10月26日付け:取消理由通知
令和5年12月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 2月 8日 :特許異議申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和5年12月27日付けの訂正請求の趣旨は、特許第7212504号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし11について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びている」と記載されているのを、「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び3も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記第1可動部が、前記基板本体から延び、少なくとも1つの湾曲部を有する線ばね状の第1ばね部を備える」と記載されているのを、「前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項3も同様に訂正する)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びている」と記載されているのを、「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項6~11も同様に訂正する)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びている」と記載されているのを、「前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項6~11も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に「前記第1可動部が、前記基板本体から延び、少なくとも1つの湾曲部を有する線ばね状の第1ばね部を備える」と記載されているのを、「前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7~11も同様に訂正する)。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1可動部」を、「前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」形状に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、当該訂正における「前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え」る点は、本件特許明細書の段落【0007】における「前記第1可動部が・・・<略>・・・線ばね状の第1ばね部を備えていても構わない。」との記載に基づくものであるから、新規事項の追加には該当しない。
また、当該訂正における「前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え」る点は、本件図面の図5に、第1ばね部(31)が、基体本体(21)から基体本体(21)の長手方向に沿った方向に延びる直線状基部と、その先端から基体本体(21)の長手方向に沿った方向とは異なる方向(反対方向)に延びるように湾曲させる第1湾曲部(32)が記載されているので、新規事項の追加には該当しない。
また、当該訂正における「前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」点は、本件図面の図5に、基体本体(21)と第1湾曲部(32)との間に位置する直線状基部が、基体本体(21)の外縁から凹む凹み部の内側に収まる点が記載されているので、新規事項の追加には該当しない。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1ばね部」を、「前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える」形状に限定しているため、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
なお、訂正事項2に係る訂正は、本件訂正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記第1可動部が、前記基板本体から延び、少なくとも1つの湾曲部を有する線ばね状の」を削除するものでもあるが、当該構成は、請求項2が引用する請求項1において訂正事項1により限定されているため、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、当該訂正における「前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える」点は、本件特許明細書の段落【0033】における「第1湾曲部32の延出端から連なり、長辺21LAに沿って延びる直線部33」との記載及び本件図面の図5の記載(第1湾曲部(32)の延出端が直線状基部とは反対側にある点、直線部(33)の延びる方向が直線状基部の延びる方向とは反対向きである点)に基づくものであるから、新規事項の追加には該当しない。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)訂正事項3
訂正事項3に係る訂正は、本件訂正前の請求項4に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1可動部」を、「前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」形状に限定するものであり、訂正事項1に係る訂正で限定した形状と同一の形状に限定するものである。
そうすると、訂正事項3に係る訂正は、上記(1)に記載した理由のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加には該当しない。
よって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(4)訂正事項4
訂正事項4に係る訂正は、本件訂正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1可動部」を、「前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている」形状に限定するものであり、訂正事項1に係る訂正で限定した形状と同一の形状に限定するものである。
そうすると、訂正事項4に係る訂正は、上記(1)に記載した理由のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加には該当しない。
よって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(5)訂正事項5
訂正事項5に係る訂正は、「第1ばね部」を「前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える」形状に限定するものであり、訂正事項2に係る訂正で限定した形状と同一の形状に限定するものである。
なお、訂正事項5に係る訂正は、本件訂正前の請求項6に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記第1可動部が、前記基板本体から延び、少なくとも1つの湾曲部を有する線ばね状の」を削除するものでもあるが、当該構成は、請求項6が引用する請求項4又は請求項5に対して訂正事項3又は訂正事項4により限定されているため、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そうすると、訂正事項5に係る訂正は、上記(2)に記載した理由のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項の追加には該当しない。
よって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(6)特許異議申立人の主張について
特許異議申立人日置綾子(以下、「申立人」という。)は、令和6年2月8日の意見書において、概略、次のように主張している(意見書の第3頁第9~21行参照)。
図5に示された直線状基部、湾曲部(32)、及び直線部(33)は、第1ばね部(31)として一体的に成形されており、「第1ばね部を第1の方向と反対向きの第2の方向に直線部を延ばすように湾曲する湾曲部」以外の湾曲部を認定できる余地がなく、結果として「第1の方向とは異なる方向」が特定されているにすぎない本件訂正特許発明1は、本件特許明細書に記載されておらず、図5から導き出すことができない。
よって、本件訂正請求項1、4、5に係る訂正事項1、3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合しないものである。
上記主張について検討する。
申立人が主張するとおり、図5には、第1の方向と反対向きの第2の方向に直線部を延ばすように湾曲する湾曲部が記載されているのみで、その他の方向に直線部を延ばすように湾曲する湾曲部は記載されていない。
しかし、本件特許明細書の段落【0081】に、「上記実施形態では、第1可動部31が第1湾曲部32および第2湾曲部34を備えていたが、湾曲部は1つでも、3つ以上であっても構わない。」と記載されているように、第1可動部31の形状は図5に記載された略S字状に限定されるものではない。
したがって、これらの記載内容を総合的に考慮すれば、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であると認められる。
よって、申立人の主張は採用できない。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項2、3は、訂正前の請求項1を直接的に引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1~3に対応する訂正後の請求項〔1-3〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
また、訂正前の請求項6~11は、訂正前の請求項4を直接的又は間接的に引用しており、訂正事項3によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項4、6~11に対応する訂正後の請求項4、6~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
また、訂正前の請求項6~11は、訂正前の請求項5を直接的又は間接的に引用しており、訂正事項4によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項5~11に対応する訂正後の請求項5~11は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
ここで、複数の「一群の請求項」が共通の請求項を有する場合、これら複数の「一群の請求項」は一体として特許請求の範囲の一部を形成するように関連している関係にあるといえるところ(特許法施行規則第45条の4)、上記「一群の請求項」は、請求項6~11を共有するから、これらは一体として1つの「一群の請求項」を構成するものである。
したがって、訂正前の請求項4~11に対応する訂正後の請求項〔4-11〕は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
4 小括
以上とおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、〔4-11〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1ないし11に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明11」という。)は、その訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】
電極端子を備える複数の蓄電素子において隣り合う前記電極端子同士を接続する接続部材に接続されるフレキシプルプリント基板であって、
基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、フレキシプルプリント基板。
【請求項2】
前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える、請求項1に記載のフレキシプルプリント基板。
【請求項3】
前記基板本体が位置決め孔を有している、請求項1または請求項2に記載のフレキシプルプリント基板。
【請求項4】
電極端子を備える複数の蓄電素子により構成される蓄電素子群に取り付けられて前記複数の蓄電素子を接続する接続モジュールであって、
フレキシプルプリント基板と、
前記フレキシプルプリント基板に接続されて、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、
複数の前記接続部材と前記フレキシプルプリント基板とを保持する保持部材とを備え、
前記フレキシプルプリント基板が、基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、接続モジュール。
【請求項5】
電極端子を備える複数の蓄電素子により構成される蓄電素子群に取り付けられて前記複数の蓄電素子を接続する接続モジュールであって、
フレキシプルプリント基板と、
前記フレキシプルプリント基板に接続されて、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、
複数の前記接続部材と前記フレキシプルプリント基板とを保持する保持部材とを備え、
前記フレキシプルプリント基板が、基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記保持部材が、前記基板本体に沿って配置される保持本体と、前記保持本体に対して隙間を空けて配置され、前記保持本体との間で前記基板本体を保持する押さえ片とを備えており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、接続モジュール。
【請求項6】
前記第1ばね部は、前記湾曲部における前記直線状基部とは反対側の端部から前記第1の方向と反対向きの第2の方向に延びる直線部を備える、請求項4または請求項5に記載の接続モジュール。
【請求項7】
前記保持部材が、前記基板本体が固定される基板保持部と、前記接続部材が固定される接続部材保持部と、前記基板保持部と前記接続部材保持部とを連結する第2可動部とを備えており、
前記第2可動部が、前記接続部材保持部を、前記基板保持部に対して変位を許容しつつ連結している、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の接続モジュール。
【請求項8】
複数の前記第2可動部が、前記基板保持部の一縁に沿って並んで配置されており、
複数の前記第2可動部のそれぞれが、前記一縁に沿う方向に伸縮可能な第2ばね部を備える、請求項7に記載の接続モジュール。
【請求項9】
前記保持部材が、隣り合う前記接続部材保持部を、前記一縁に沿う方向への変位を許容しつつ連結する連結部を備えている、請求項8に記載の接続モジュール。
【請求項10】
前記基板本体が位置決め孔を有しており、
前記基板保持部が、前記基板本体に沿って配置される保持本体と、前記保持本体から突出して前記位置決め孔に挿通されることにより前記保持本体に対する前記基板本体の位置決めを行う位置決め突起を備えている、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の接続モジュール。
【請求項11】
前記接続部材保持部が、
前記接続部材に沿って配置される基部と、前記基部から連なる係止部とを備えており、
前記係止部が、前記基部から突設され、撓み可能な撓み部と、前記撓み部から突出して前記基部との間で前記接続部材を挟み付けて保持する係止爪とを備える、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の接続モジュール。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和5年10月26日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
取消理由1(新規性)
下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
取消理由2(進歩性)
下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
取消理由3(拡大先願)
下記の請求項に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものである。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●取消理由1(新規性)について
・請求項 1-6
・引用文献等 1
●取消理由2(進歩性)について
・請求項 7,8,10,11
・引用文献等 1,2
・請求項 9
・引用文献等 1-3
●取消理由3(拡大先願)について
・請求項 1-6
・引用文献等 4
<引用文献等一覧>
1.台湾特許第I642245号公報(甲第1号証)
2.特開2015-22965号公報(甲第2号証)
3.特開2015-185226号公報(甲第3号証)
4.特願2018-126988号(特開2019-23996号公報参照)(甲第6号証)
2 文献の記載
(1)引用文献1に記載された発明
引用文献1(台湾特許第I642245号公報(甲第1号証))には、図面とともに、次の事項が記載されている。
なお、引用文献1の日本語パテントファミリーである引用文献4(特開2019-23996号公報(甲第6号証))の記載事項を、引用文献1の翻訳文として併記する。
「
[図:0001412296000001.jpg]
」
(【請求項1】
バッテリ接続モジュールであって、
搬送トレイと、
該搬送トレイ上に装着されるように構成された複数のバスバーと、を含む、電極接続トレイと、
該電極接続トレイ上に構成されるフレキシブル回路基板であって、前記複数のバスバーは、前記フレキシブル回路基板に隣接して配置され、該フレキシブル回路基板は、本体と、該本体から延在する複数のL字型可撓性アームと、を含み、該複数のL字型可撓性アームは、前記複数のバスバーとそれぞれ移動可能に接続されるように構成され、前記L字型可撓性アームは、
前記本体から前記複数のバスバーに向かって外向きに延在する第1のセクションと、
該第1のセクションと接続し、前記複数のバスバーと前記本体との間の方向に延在する、第2のセクションと、
該第2のセクションの遠位端に位置付けられ、対応するバスバーと接続する、端部と、を含む、フレキシブル回路基板と、を備える、バッテリ接続モジュール。)
「
[図:0001412296000002.jpg]
」
(【0036】
図4に示すように、搬送トレイ310は、長さ方向すなわち長手方向Xと、幅方向すなわち横断方向Yと、トレイ面に垂直な上下方向Zと、を有する、矩形のトレイである。搬送トレイ310は、その周囲に位置付けられたフレーム350と、長手方向Xに延在し、搬送トレイ310の横断方向Yの中間に位置付けられた、中間装着部分314と、中間装着部分314及びフレーム350を横断方向Yにおいて接続して、中間装着部分314の両側に位置付けられ、複数のバスバー322を装着するために使用される、複数のバスバー受容溝320を形成する、複数の間隔保持バー335と、を有する。フレキシブル回路基板200は、電極接続トレイ300の中間装着部分314上に構成され、複数のバスバー322及び複数のバスバー受容溝320は、フレキシブル回路基板200の両側に隣接して配置される。図3と合わせて参照すると、それぞれのバスバー受容溝320は、フレキシブル回路基板200に隣接する内側フレーム部分3201(内側フレーム部分3201は、中間装着部分314の一部又は延在部であってもよい)と、内側フレーム部分3201と対向する外側フレーム部分3202(外側フレーム部分3202は、フレーム350の一部であってもよい)と、内側フレーム部分3201及び外側フレーム部分3202の両端をそれぞれ接続する2つのサイドフレーム部分3203(それぞれのサイドフレーム部分3203は、間隔保持バー335又はフレーム350の一部であってもよい)と、を含み、内側フレーム部分3201、外側フレーム部分3202、及び2つのサイドフレーム部分3203は、バスバー受容溝320の周辺部を形成するように取り囲んでいる。それぞれのバスバー受容溝320の内側フレーム部分3201は、フレキシブル回路基板200に隣接し、それぞれのバスバー受容溝320の底面は、内側フレーム部分3201の底面及び外側フレーム部分3202の底面を接続する1つ以上の底面支持バー316を含み、底面支持バー316の上方にそれぞれ位置付けられた1つ以上の上方位置制限突出部318は、外側フレーム部分3202の内壁に設けられる。
【0037】
図2から図4に示すように、バスバー受容溝320は、中間装着部分314の両側に長
手方向Xに設けられていてもよい。バスバー322をバスバー受容溝320に設けると、バスバー322を上方位置制限突出部318と、底面支持バー316との間に斜めに挿入して、バスバー322のそれぞれの緩衝屈曲部分323をそれぞれの底面支持バー316で支持させ、それぞれの上方位置制限突出部318は、(図5a及び図5bに示すように)バスバー322の対応する緩衝屈曲部分323の上方に位置付けられ、バスバー322の上方最高移動点が、外側フレーム部分3202側で制限できる。バスバー322が、バスバー受容溝320にそれぞれ設けられた後、図1を再度参照すると、バスバー322の電極接続部分321にバッテリ902のバッテリ電極(904a及び904b)をそれぞれ接続することができる。それぞれのバスバー322は、2つ以上のバッテリ902を直列に又は直列及び並列に接続可能である。)
「
[図:0001412296000003.jpg]
」
(【0038】
・・・<略>・・・
【0039】
・・・<略>・・・
【0040】
図2を再度参照すると、図2は、本開示の実施形態のバッテリ接続モジュール10のフレキシブル回路基板200及び電極接続トレイ300の分解斜視図である。図8と合わせて参照すると、図8は、本開示の実施形態のフレキシブル回路基板200の斜視図である。フレキシブル回路基板200は、本体201と、複数のL字型可撓性アーム204と、本体201の側面から延在する複数の位置制限プレート208と、を含む。それぞれのL字型可撓性アーム204の遠位端は、導電板206と接続され、それぞれのL字型可撓性アーム204は、導電板206を介してバスバー322に移動可能に接続される。位置制限プレート208の中間に、孔210が設けられてもよく、フレキシブル回路基板200はまた、固定孔224を有してもよく(図8参照)、フレキシブル回路基板200の固定孔224を、位置制限プレート208の孔210に重ね合わせることができるので、フレキシブル回路基板200と位置制限プレート208とを共に貫入することができる。位置制限プレート208は、金属又は非金属であってもよく、フレキシブル回路基板200に溶接又は接着により固定されていてもよい。)
「
[図:0001412296000004.jpg]
」
(【0041】
図3を再度参照すると、図3は、図2の部分領域Aの拡大斜視図である。図3に示すように、可撓性アーム受容溝304は、電極接続トレイ300のバスバー受容溝320の内側フレーム部分3201に設けられ、L字型可撓性アーム204の端部204cを受容するように構成されてもよく、位置制限プレート受容溝306は、バスバー受容溝320の内側フレーム部分3201に設けられ、位置制限プレート208を受容するように構成されてもよく、位置制限プレート208は、位置制限プレート受容溝306に受容された基部部分2081と、突出部分2082と、を含み、孔210は、位置制限プレート208の基部部分2081に設けられており、位置制限プレート装着支柱308は、位置制限プレート受容溝306に設けられ、位置制限プレート208の中間の孔210を通過して、位置制限プレート208を装着するように構成されてもよく、その後、位置制限プレート装着支柱308は、(図6に示されるように)加熱溶融されて、頭部を拡大させ、位置制限プレート208は、位置制限プレート受容溝306に固定される。
【0042】
・・・<略>・・・)
「
[図:0001412296000005.jpg]
」
(【0043】
図5a及び図5bに示すように、フレキシブル回路基板200は、本体201と、バスバー322とそれぞれ接続された複数のL字型可撓性アーム204と、を含む。それぞれのL字型可撓性アーム204は、本体201からバスバー322に向かって外向きに延在する第1のセクション204aであって、本体201及びバスバー322に対して概ね垂直であってもよい(すなわち、第1のセクション204aは、概ね横断方向Yに沿い、長手方向Xに垂直な方向に外向きに延在する)、第1のセクション204aと、第1のセクション204aと接続し、バスバー322と、本体201との間の方向に延在する、第2のセクション204bであって、本体201及びバスバー322に概ね平行であってもよい(すなわち、第2のセクション204bは、長手方向Xに略平行であり、横断方向Yに垂直な方向に延在する)、第2のセクション204bと、第2のセクション204bの遠位端に位置付けられ、導電板206と接続し、導電板206を介して順にバスバー322と接続している、端部204cと、を含む。図3に示す可撓性アーム受容溝304の空間は、端部204cを受容した際、図5bに示すように端部204cより僅かに大きいので、端部204cの変位のための隙間305が設けられる。)
「
[図:0001412296000006.jpg]
」
「
[図:0001412296000007.jpg]
」
「
[図:0001412296000008.jpg]
」
「
[図:0001412296000009.jpg]
」
「
[図:0001412296000010.jpg]
」
「
[図:0001412296000011.jpg]
」
上記記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「バスバー(322)の電極接続部分(321)にバッテリ(902)のバッテリ電極(904a及び904b)をそれぞれ接続し、それぞれのバスバー(322)は2つ以上のバッテリ(902)を直列に又は直列及び並列に接続したバッテリ接続モジュール(10)であって、
搬送トレイ(310)と、搬送トレイ(310)上に装着されるように構成された複数のバスバー(322)と、を含む、電極接続トレイ(300)と、
電極接続トレイ(300)上に構成されるフレキシブル回路基板(200)であって、複数のバスバー(322)は、フレキシブル回路基板(200)に隣接して配置され、フレキシブル回路基板(200)は、本体(201)と、本体(201)から延在する複数のL字型可撓性アーム(204)と、を含み、複数のL字型可撓性アーム(204)は、複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され、L字型可撓性アーム(204)は、本体(201)から複数のバスバー(322)に向かって外向きに延在する第1のセクション(204a)と、第1のセクション(204a)と接続し、複数のバスバー(322)と本体(201)との間の方向に延在する、第2のセクション(204b)と、第2のセクション(204b)の遠位端に位置付けられ、対応するバスバーと接続する、端部(204c)と、を含む、フレキシブル回路基板(200)と、を備え、
搬送トレイ(310)は、その周囲に位置付けられたフレーム(350)と、中間装着部分(314)と、複数のバスバー受容溝(320)を形成し、
フレキシブル回路基板(200)の固定孔(224)を位置制限プレート(208)の孔(210)に重ね合わせ、フレキシブル回路基板(200)と位置制限プレート(208)とを共に貫入し、位置制限プレート受容溝(306)に設けられた位置制限プレート装着支柱(308)を、位置制限プレート(208)の中間の孔(210)に通過させた後、加熱溶融させて頭部を拡大させ、位置制限プレート(208)を位置制限プレート受容溝(306)に固定した
バッテリ接続モジュール(10)。」
(2)引用文献2に記載された発明
引用文献2(特開2015-22965号公報(甲第2号証))には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0041】
また、回路基板固定部材13にはバスバー保持部材132が取り付けられている。一方、回路基板固定部材13には、固定部中心部131を有する。この固定部中心部131とバスバー保持部材132とは、図2に示すように、波状に形成された合成樹脂製の二箇所の連結部1321、1322によって連結されている。なお、この波状の連結部1321、1322は二箇所でなく一箇所でも良い。また、可撓性があれば良く、波状でなくても良い。
【0042】
この連結部1321、1322は、バスバー保持部材132が、リードフレーム154の長手方向(矢印Y1方向)に動き易くしている。」
「
[図:0001412296000012.jpg]
」
上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用技術2」という。)が記載されていると認められる。
「バスバー保持部材を動きやすくするため、回路基板固定部材とバスバー保持部材とを波状に形成された連結部によって連結すること。」
(3)引用文献3に記載された発明
引用文献3(特開2015-185226号公報(甲第3号証))には、次の事項が記載されている。
「【0023】
前後に隣接する保持枠部40の間すなわち前側の保持枠部40の後側の枠部と後側の保持枠部40の前側の枠部との間には、左右一対をなす逆U字状の連結片46が架設されている(図5~図7参照)。連結片46は、主として前後方向に撓み変形可能に形成されている。これにより、連結片46は、前後に隣接する保持枠部40の前後方向の変位を吸収することができる。また、被覆部42は、各バスバー26のターミナル部34を被覆している(図9参照)。被覆部42は、弾性を有しており、ターミナル部34の撓み変形に追従して弾性変形することができる。」
「【0034】
・・・<略>・・・
バスバーモジュール14は、各モジュール構成体M1,M2のバスバー26のターミナル部34(保持部材30の被覆部42を含む)の撓み変形、保持部材30の連結片46の撓み変形、及び、通信線(フレキシブル基板)58の撓み変形(伸縮変形)によって、電池集合体12の各電池セル16と各保持板部44との間の変位(主として電池集合体12の電池セル16の並び方向の変位)を吸収することができる。」
「
[図:0001412296000013.jpg]
」
上記記載から、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用技術3」という。)が記載されていると認められる。
「電池と保持板部との間の変位を吸収するため、保持部材どうしを撓み変形する連結片で接続すること。」
(4)引用文献4に記載された発明
引用文献4は引用文献1のパテントファミリーであり、引用文献1と引用文献4が開示する発明は同一である。
したがって、上記(1)と同じく、引用文献4に係る出願の当初明細書には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「バスバー(322)の電極接続部分(321)にバッテリ(902)のバッテリ電極(904a及び904b)をそれぞれ接続し、それぞれのバスバー(322)は2つ以上のバッテリ(902)を直列に又は直列及び並列に接続したバッテリ接続モジュール(10)であって、
搬送トレイ(310)と、搬送トレイ(310)上に装着されるように構成された複数のバスバー(322)と、を含む、電極接続トレイ(300)と、
電極接続トレイ(300)上に構成されるフレキシブル回路基板(200)であって、複数のバスバー(322)は、フレキシブル回路基板(200)に隣接して配置され、フレキシブル回路基板(200)は、本体(201)と、本体(201)から延在する複数のL字型可撓性アーム(204)と、を含み、複数のL字型可撓性アーム(204)は、複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され、L字型可撓性アーム(204)は、本体(201)から複数のバスバー(322)に向かって外向きに延在する第1のセクション(204a)と、第1のセクション(204a)と接続し、複数のバスバー(322)と本体(201)との間の方向に延在する、第2のセクション(204b)と、第2のセクション(204b)の遠位端に位置付けられ、対応するバスバーと接続する、端部(204c)と、を含む、フレキシブル回路基板(200)と、を備え、
搬送トレイ(310)は、その周囲に位置付けられたフレーム(350)と、中間装着部分(314)と、複数のバスバー受容溝(320)を形成し、
フレキシブル回路基板(200)の固定孔(224)を位置制限プレート(208)の孔(210)に重ね合わせ、フレキシブル回路基板(200)と位置制限プレート(208)とを共に貫入し、位置制限プレート受容溝(306)に設けられた位置制限プレート装着支柱(308)を、位置制限プレート(208)の中間の孔(210)に通過させた後、加熱溶融させて頭部を拡大させ、位置制限プレート(208)を位置制限プレート受容溝(306)に固定した
バッテリ接続モジュール(10)。」
3 当審の判断
(1)取消理由1(新規性)について
ア 請求項1に係る発明について
本件発明1と引用発明1とを対比すると、
(ア) 引用発明1の「バッテリ電極(904a及び904b)」は、本件発明1の「電極端子」に相当する。
(イ) 引用発明1の「バッテリ(902)」は、本件発明1の「蓄電素子」に相当する。
(ウ) 引用発明1の「バスバー(322)」は、本件発明1の「接続部材」に相当する。
(エ) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、本件発明1の「フレキシブルプリント基板」に相当する。
(オ) 引用文献1の図1に示されているとおり、引用発明1のフレキシブル回路基板(200)は、バスバー(322)に接続され、バスバー(322)は隣り合うバッテリ電極(904a及び904b)同士を接続している。
したがって、引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、バッテリ電極(904a及び904b)を備える複数のバッテリ(902)において隣り合うバッテリ電極(904a及び904b)同士を接続するバスバー(322) に接続されている。
(カ) 引用発明1の「本体(201)」は、本件発明1の「基板本体」に相当する。
(キ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、本件発明1の「第1可動部」に相当する。
(ク) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、「本体(201)と、本体(201)から延在する複数のL字型可撓性アーム(204)と、を含み、複数のL字型可撓性アーム(204)は、複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、本体(201)と、本体(201)とバスバー(322)とを連結するL字型可撓性アーム(204)とを備え、L字型可撓性アーム(204)が、バスバー(322)を、本体(201)に対して変位を許容しつつ連結しているものと認められる。
(ケ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1のフレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁は凹み部を有しており、L字型可撓性アーム(204)が当該凹み部の内縁から延びている。
(コ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、「第2のセクション(204b)」は直線状の部材、「第1のセクション(204a)」は曲線状の部材であるから、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、それぞれ、本件発明1の「直線状基部」及び「湾曲部」に相当し、それら両者をあわせて本件発明1の「第1ばね部」に相当する。
(サ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、「L字型」の「可撓性」部材であり、「複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、「L字型可撓性アーム(204)」の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、線ばね状に形成されていると認められる。
(シ) 引用発明1の「第2のセクション(204b)」は「第1のセクション(204a)」から延びており、「本体(201)」からは延びていない。また、引用発明1の「第1のセクション(204a)」は「本体(201)」から延びており、「第2のセクション(204b)」の先端からは延びていない。
すなわち、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の配置は、本件発明1の「直線状基部」及び「湾曲部」の配置と順番が逆である。
したがって、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の形状は、本件発明1の「直線状基部」及び「湾曲部」の形状とは異なる。
(ス) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1の「第2のセクション(204b)」は、フレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁に形成された凹み部の内側に配置されている。
したがって、本件発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
電極端子を備える複数の蓄電素子において隣り合う前記電極端子同士を接続する接続部材に接続されるフレキシプルプリント基板であって、
基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、直線状基部と、湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、フレキシプルプリント基板。
【相違点1】
本件発明1では、「直線状基部」が「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる」ことを特定し、「湾曲部」が「前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは界なる方向に延びるように湾曲させる」ことを特定するのに対し、引用発明1では、「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」が、そのような形状を特定していない点。
よって、上述のとおり、相違点があるから、本件発明1は引用文献1に記載された発明ではない。
イ 申立人の主張について
申立人は、令和6年2月8日の意見書において、概略、次のように主張している(意見書の第7頁第5~12行参照。)。
引用文献1の図5bに示すように、引用文献1におけるL字型可撓性アーム(204)の第1のセクション(204a)は、フレキシブル回路基板(200)の本休(201)の一部であり、図5bの破線で示す本体(201)の凹み部の内縁を構成するものである。また、L字型可撓性アーム(204)の第2のセクション(204b)は破線で示す本体(201)の凹み部の内縁から、長手方向x(第1の方向)に略平行に延びている。よって、L字型可撓性アーム(204)の第2のセクション(204b)は、本件発明の構成A1「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、」を充足している。
上記主張について検討する。
引用文献1の第12頁第1~4行目(翻訳文は、引用文献4の段落【0043】を参照。)には、「それぞれのL字型可撓性アーム204は、本体201からバスバー322に向かって外向きに延在する第1のセクション204aであって、本体201及びバスバー322に対して概ね垂直であってもよい(すなわち、第1のセクション204aは、概ね横断方向Yに沿い、長手方向Xに垂直な方向に外向きに延在する)」と記載されていることから、「第1のセクション204a」は「本体201」の一部ではなく、「本体201からバスバー322に向かって外向きに延在する」部材である。また、その延在方向は、「長手方向Xに垂直な方向」であって、長手方向Xに沿った方向ではない。
したがって、引用発明1は本件発明の構成A1「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、」を充足していない。
よって、申立人の主張は採用できない。
ウ 請求項2~3に係る発明について
請求項2~3は請求項1を引用するものであり、本件発明2~3は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記(1)に示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~3は引用文献1に記載された発明ではない。
エ 請求項4に係る発明について
本件発明4と引用発明1とを対比すると、
(ア) 引用発明1の「バッテリ電極(904a及び904b)」は、本件発明4の「電極端子」に相当する。
(イ) 引用発明1の「バッテリ(902)」は、本件発明4の「蓄電素子」に相当する。
(ウ) 引用発明1の「バッテリ接続モジュール(10)」は、本件発明4の「接続モジュール」に相当する。
(エ) 引用文献1の図1に示されているとおり、引用発明1の「バッテリ接続モジュール(10)」は、バッテリ電極(904a及び904b)を備える複数のバッテリ(902)により構成される蓄電素子群に取り付けられて複数のバッテリ(902)を接続している。
(オ) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、本件発明4の「フレキシブルプリント基板」に相当する。
(カ) 引用発明1の「バスバー(322)」は、本件発明4の「接続部材」に相当する。
(キ) 引用文献1の図1に示されているとおり、引用発明1の複数の「バスバー(322)」は、フレキシブル回路基板(200)に接続されて、隣り合うバッテリ(902)のバッテリ電極(904a及び904b)同士を接続している。
(ク) 引用発明1の「電極接続トレイ(300)」は、本件発明4の「保持部材」に相当する。
(ケ) 引用文献1の図4に示されているとおり、引用発明1の「電極接続トレイ(300)」は、複数のバスバー受容溝(320)に複数のバスバー(322)を装着し、中間装着部分(314)上にフレキシブル回路基板(200)を装着しているので、「電極接続トレイ(300)」は、複数のバスバー(322)とフレキシブル回路基板(200)とを保持していると認められる。
(コ) 引用発明1の「本体(201)」は、本件発明4の「基板本体」に相当する。
(サ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、本件発明4の「第1可動部」に相当する。
(シ) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、「本体(201)と、本体(201)から延在する複数のL字型可撓性アーム(204)と、を含み、複数のL字型可撓性アーム(204)は、複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、本体(201)と、本体(201)とバスバー(322)とを連結するL字型可撓性アーム(204)とを備え、L字型可撓性アーム(204)が、バスバー(322)を、本体(201)に対して変位を許容しつつ連結しているものと認められる。
(ス) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1のフレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁は凹み部を有しており、L字型可撓性アーム(204)が当該凹み部の内縁から延びている。
(セ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、「第2のセクション(204b)」は直線状の部材、「第1のセクション(204a)」は曲線状の部材であるから、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、それぞれ、本件発明4の「直線状基部」及び「湾曲部」に相当し、それら両者をあわせて本件発明4の「第1ばね部」に相当する。
(ソ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、「L字型」の「可撓性」部材であり、「複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、「L字型可撓性アーム(204)」の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、線ばね状に形成されていると認められる。
(タ) 引用発明1の「第2のセクション(204b)」は「第1のセクション(204a)」から延びており、「本体(201)」からは延びていない。また、引用発明1の「第1のセクション(204a)」は「本体(201)」から延びており、「第2のセクション(204b)」の先端からは延びていない。
すなわち、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の配置は、本件発明4の「直線状基部」及び「湾曲部」の配置と順番が逆である。
したがって、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の形状は、本件発明4の「直線状基部」及び「湾曲部」の形状とは異なる。
(チ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1の「第2のセクション(204b)」は、フレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁に形成された凹み部の内側に配置されている。
したがって、本件発明4と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
電極端子を備える複数の蓄電素子により構成される蓄電素子群に取り付けられて前記複数の蓄電素子を接続する接続モジュールであって、
フレキシプルプリント基板と、
前記フレキシプルプリント基板に接続されて、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、
複数の前記接続部材と前記フレキシプルプリント基板とを保持する保持部材とを備え、
前記フレキシプルプリント基板が、基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、直線状基部と、湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、接続モジュール。
【相違点2】
本件発明4では、「直線状基部」が「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる」ことを特定し、「湾曲部」が「前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは界なる方向に延びるように湾曲させる」ことを特定するのに対し、引用発明1では、「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」が、そのような形状を特定していない点。
よって、上述のとおり、相違点があるから、本件発明4は引用文献1に記載された発明ではない。
なお、本件発明4に対する新規性欠如についての申立人の主張と、それに対する当審の判断は、上記イに記載したとおりである。
オ 請求項5に係る発明について
本件発明5と引用発明1とを対比すると、
(ア) 引用発明1の「バッテリ電極(904a及び904b)」は、本件発明5の「電極端子」に相当する。
(イ) 引用発明1の「バッテリ(902)」は、本件発明5の「蓄電素子」に相当する。
(ウ) 引用発明1の「バッテリ接続モジュール(10)」は、本件発明5の「接続モジュール」に相当する。
(エ) 引用文献1の図1に示されているとおり、引用発明1の「バッテリ接続モジュール(10)」は、バッテリ電極(904a及び904b)を備える複数のバッテリ(902)により構成される蓄電素子群に取り付けられて複数のバッテリ(902)を接続している。
(オ) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、本件発明5の「フレキシブルプリント基板」に相当する。
(カ) 引用発明1の「バスバー(322)」は、本件発明5の「接続部材」に相当する。
(キ) 引用文献1の図1に示されているとおり、引用発明1の複数の「バスバー(322)」は、フレキシブル回路基板(200)に接続されて、隣り合うバッテリ(902)のバッテリ電極(904a及び904b)同士を接続している。
(ク) 引用発明1の「電極接続トレイ(300)」は、本件発明5の「保持部材」に相当する。
(ケ) 引用文献1の図4に示されているとおり、引用発明1の「電極接続トレイ(300)」は、複数のバスバー受容溝(320)に複数のバスバー(322)を装着し、中間装着部分(314)上にフレキシブル回路基板(200)を装着しているので、「電極接続トレイ(300)」は、複数のバスバー(322)とフレキシブル回路基板(200)とを保持していると認められる。
(コ) 引用発明1の「本体(201)」は、本件発明5の「基板本体」に相当する。
(サ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、本件発明5の「第1可動部」に相当する。
(シ) 引用発明1の「フレキシブル回路基板(200)」は、「本体(201)と、本体(201)から延在する複数のL字型可撓性アーム(204)と、を含み、複数のL字型可撓性アーム(204)は、複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、本体(201)と、本体(201)とバスバー(322)とを連結するL字型可撓性アーム(204)とを備え、L字型可撓性アーム(204)が、バスバー(322)を、本体(201)に対して変位を許容しつつ連結しているものと認められる。
(ス) 引用発明1の「位置制限プレート受容溝(306)」は、本件発明5の「保持本体」に相当する。
(セ) 引用発明1の「位置制限プレート装着支柱(308)」の「頭部」は、本件発明5の「押さえ片」に相当する。
(ソ) 引用文献1の図3に示されているとおり、引用発明1の位置制限プレート受容溝(306)は、フレキシブル回路基板(200)の本体(201)の長辺に沿って配置されている。
また、引用発明1の位置制限プレート装着支柱(308)は、頭部を拡大させてフレキシブル回路基板(200)と位置制限プレート(208)の両方を固定しているため、位置制限プレート受容溝(306)と当該頭部との間には、フレキシブル回路基板(200)と位置制限プレート(208)の厚みに相当する隙間が空いていると認められる。
したがって、引用発明1の「電極接続トレイ(300)」は、本体(201)に沿って配置される位置制限プレート受容溝(306)と、位置制限プレート受容溝(306)に対して隙間を空けて配置され、位置制限プレート受容溝(306)との間で本体(201)を保持する位置制限プレート装着支柱(308)の頭部とを備えていると認められる。
(タ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1のフレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁は凹み部を有しており、L字型可撓性アーム(204)が当該凹み部の内縁から延びている。
(チ) 引用文献1の図5bに示されているとおり、「第2のセクション(204b)」は直線状の部材、「第1のセクション(204a)」は曲線状の部材であるから、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、それぞれ、本件発明5の「直線状基部」及び「湾曲部」に相当し、それら両者をあわせて本件発明5の「第1ばね部」に相当する。
(ツ) 引用発明1の「L字型可撓性アーム(204)」は、「L字型」の「可撓性」部材であり、「複数のバスバー(322)とそれぞれ移動可能に接続されるように構成され」ているので、「L字型可撓性アーム(204)」の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」は、線ばね状に形成されていると認められる。
(テ) 引用発明1の「第2のセクション(204b)」は「第1のセクション(204a)」から延びており、「本体(201)」からは延びていない。また、引用発明1の「第1のセクション(204a)」は「本体(201)」から延びており、「第2のセクション(204b)」の先端からは延びていない。
すなわち、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の配置は、本件発明5の「直線状基部」及び「湾曲部」の配置と順番が逆である。
したがって、引用発明1の「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の形状は、本件発明5の「直線状基部」及び「湾曲部」の形状とは異なる。
(ト) 引用文献1の図5bに示されているとおり、引用発明1の「第2のセクション(204b)」は、フレキシブル回路基板(200)の本体(201)の外縁に形成された凹み部の内側に配置されている。
したがって、本件発明5と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
電極端子を備える複数の蓄電素子により構成される蓄電素子群に取り付けられて前記複数の蓄電素子を接続する接続モジュールであって、
フレキシプルプリント基板と、
前記フレキシプルプリント基板に接続されて、隣り合う前記蓄電素子の前記電極端子同士を接続する複数の接続部材と、
複数の前記接続部材と前記フレキシプルプリント基板とを保持する保持部材とを備え、
前記フレキシプルプリント基板が、基板本体と、前記基板本体と前記接続部材とを連結する第1可動部とを備えており、
前記第1可動部が、前記接続部材を、前記基板本体に対して変位を許容しつつ連結しており、
前記保持部材が、前記基板本体に沿って配置される保持本体と、前記保持本体に対して隙間を空けて配置され、前記保持本体との間で前記基板本体を保持する押さえ片とを備えており、
前記基板本体が、外縁から凹む凹み部を有しており、
前記第1可動部が前記凹み部の内縁から延びており、
前記第1可動部は、線ばね状の第1ばね部を備え、
前記第1ばね部は、直線状基部と、湾曲部と、を備え、
前記直線状基部は前記凹み部の内側に配されている、接続モジュール。
【相違点3】
本件発明5では、「直線状基部」が「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる」ことを特定し、「湾曲部」が「前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは界なる方向に延びるように湾曲させる」ことを特定するのに対し、引用発明1では、「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」が、そのような形状を特定していない点。
よって、上述のとおり、相違点があるから、本件発明5は引用文献1に記載された発明ではない。
なお、本件発明5に対する新規性欠如についての申立人の主張と、それに対する当審の判断は、上記イに記載したとおりである。
カ 請求項6に係る発明について
請求項6は請求項4または請求項5を引用するものであり、本件発明6は、本件発明4または本件発明5の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記(4)(5)に示した本件発明4または本件発明5についての判断と同様の理由により、本件発明6は引用文献1に記載された発明ではない。
キ まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし6は、引用文献1に記載された発明ではない。
(2)取消理由2(進歩性)について
ア 請求項7に係る発明について
本件発明7と引用発明1とを対比すると、上記相違点2または上記相違点3に加え、以下相違点4で相違する。
【相違点4】
本件発明7は「基板保持部と前記接続部材保持部とを連結する第2可動部とを備えており、前記第2可動部が、前記接続部材保持部を、前記基板保持部に対して変位を許容しつつ連結している」のに対し、引用発明1は、そのような可動部を有していない点。
上記相違点2及び上記相違点3について検討する(上記「相違点2」の内容と上記「相違点3」の内容とは実質的に同一であるため、以下にまとめて検討する。)。
引用文献1には、「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の配置を逆転させるなどして上記相違点2または上記相違点3に係る構成とすることができるとの記載も示唆もされていない。
また、引用文献2及び引用文献3には、本件発明7が特定する「第1ばね部」の形状、すなわち「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え」る形状が開示されていない。
よって、他の相違点(上記相違点4)を検討するまでもなく、本件発明7は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明7は、引用発明1、引用技術2または引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
イ 請求項8~11に係る発明について
請求項8~11は請求項7を引用するものであり、本件発明8~11は、本件発明7の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記アに示した本件発明7についての判断と同様の理由により、本件発明8~11は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、引用発明1、引用技術2または引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
ウ まとめ
以上のとおり、本件発明7ないし11は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、引用発明1、引用技術2または引用技術3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(3)取消理由3(拡大先願)について
上記「2(4)」に記載したとおり、引用文献4は引用文献1のパテントファミリーであり、引用文献1と引用文献4が開示する発明は同一である。
そして、上記「(1)取消理由1(新規性)について」に記載したとおり、請求項1~6に係る発明は引用文献1に記載された発明ではない。
また、上記「(2)取消理由2(進歩性)について」で検討したとおり、請求項1~6に係る発明と引用文献1に記載された発明との相違点(上記相違点1~3参照)は、課題解決のための具体化手段における微差ではない(上記相違点1の内容は上記相違点2及び上記相違点3の内容と実質的に同一であるから、上記相違点1についての検討内容は、上記相違点2及び上記相違点3の検討内容と同様である。)。
したがって、請求項1~6に係る発明は引用発明4ではなく、請求項1~6に係る発明と引用発明4との相違点は、課題解決のための具体化手段ではない。
よって、請求項1~6に係る発明は、引用文献4に係る出願の当初明細書等に記載された発明と実質的に同一ではない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立理由(進歩性)について
申立人は、本件発明1~6は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるから、請求項1~6に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
また、申立人は、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証、又は甲第3号証と、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項を適用し、当業者が容易に想到し得るものであるから、請求項11に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
2 当審の判断
(1)請求項1に係る発明について
本件発明1と甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。引用発明1と同じ。)との相違点は上記「相違点1」のとおりである。
上記相違点1について検討する。
甲第1号証には、「第2のセクション(204b)」及び「第1のセクション(204a)」の配置を逆転させるなどして上記相違点1に係る構成とすることができるとの記載も示唆もされていない。
よって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)申立人の主張について
申立人は、令和6年2月8日の意見書において、概略、次のように主張している(意見書の第9頁第11行~第10頁第6行参照。)。
引用文献1(甲第1号証)に記載の発明が備えるL字型可撓性アーム(204)は、(i)フレキシブル回路基板(200)の本体(201)の一部から形成されており、(ii)線ばねとして変位が許容されており、(iii)フレキシブル回路基板(200)の短手方向に大型化が抑制されている点において、本件訂正特許発明1が備える直線状基部、及び当該直線状基部を一部として含む第1ばね部と機能・作用等が共通している。また、引用文献1(甲第1号証)を知る当業者が、(iv)L字型可撓性アーム(204)の変位を許容するための長さを調整することは適宜なし得る設計変更である。
すなわち、たとえ引用文献1(甲第1号証)に構成Aが記載されていなかったとしても、当該構成Aは、引用文献1(甲第1号証)を知る当業者にとって、課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項の採用にすぎないことは明らかである。
上記主張について検討する。
本件発明1の「第1可動部」が有する機能・作用と、甲1発明の「L字型可撓性アーム(204)」が有する機能・作用とを比較・検討する。
甲1発明の「L字型可撓性アーム(204)」は、甲第1号証の図5bに示されるとおり、まずはじめに湾曲部に相当する「第1のセクション(204a)」が基体本体から延出されるため、その距離は必然的に短くなるが(1/4円弧分)、甲1発明の「第1可動部」は、本件図面の図5に示されるとおり、「直線状基部」が基体本体から延出されるため、後続の「湾曲部」の距離を比較的長く形成することができる(1/2円弧分)。
そうすると、本件発明1の「第1可動部」は、甲1発明の「L字型可撓性アーム(204)」と比較して、湾曲部の距離の差だけ、より柔軟に変位できるため、組み付け作業性を向上できるという機能・作用に優れていると考える。
したがって、上記湾曲部の距離に基づく機能・作用の差異を考慮すれば、本件発明1が特定する「第1ばね部」の形状、すなわち「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え」る形状は、課題を解決するための技術の具体的適用に伴う設計変更や設計的事項ではなく、より優れた作用・効果を奏する形状であると認められる。
以上を踏まえると、本件発明1は、甲1発明の「L字型可撓性アーム(204)」を設計変更し、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、申立人の主張は採用できない。
(3)請求項2~3に係る発明について
請求項2~3は請求項1を引用するものであり、本件発明2~3は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記(1)に示した本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~3は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)請求項4に係る発明について
本件発明4と甲1発明との相違点は上記「相違点2」のとおりである。
また、上記「相違点2」の内容は、上記「相違点1」の内容と実質的に同一である。
そうすると、上記(1)に示した相違点1についての判断と同様の理由により、本件発明4は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)請求項5に係る発明について
本件発明5と甲1発明との相違点は上記「相違点3」のとおりである。
また、上記「相違点3」の内容は、上記「相違点1」の内容と実質的に同一である。
そうすると、上記(1)に示した相違点1についての判断と同様の理由により、本件発明5は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(6)請求項6に係る発明について
請求項6は請求項4または請求項5を引用するものであり、本件発明6は、本件発明4または本件発明5の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記(4)または(5)に示した本件発明4または本件発明5についての判断と同様の理由により、本件発明6は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(7)請求項11に係る発明について
上記「第4(2)イ」に記載したとおり、甲第2号証及び甲第3号証には、本件発明11が特定する「第1ばね部」の形状、すなわち「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え」る形状が開示されていない。
また、甲第4号証及び甲第5号証にも、本件発明11が特定する当該「第1ばね部」の形状は記載されていない。
したがって、本件発明11は、甲1発明、甲第2号証、又は甲第3号証と、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、申立人は、特許異議申立書において、甲第1号証の発明に、甲第2号証、又は甲第3号証と、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項を適用し、当業者が本件特許発明11を想到することは容易である旨を主張している(特許異議申立書の第61頁第2~4行参照)。
しかし、甲第4号証及び甲第5号証には、本件発明11が特定する「第1ばね部」の形状、すなわち「前記基板本体から前記基板本体の長手方向に沿った第1の方向に延びる直線状基部と、前記直線状基部の先端から延び前記第1ばね部を前記第1の方向とは異なる方向に延びるように湾曲させる湾曲部と、を備え」る形状が記載されていないため、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項を適用したとしても、上記結論を左右するものではない。
よって、本件発明11は、甲1発明、甲第2号証、又は甲第3号証と、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(8)まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし6は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明11は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証、又は甲第3号証と、甲第4号証、又は甲第5号証に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1ないし11に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に請求項1ないし11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700764