特許訂正審判
2019-390103
電流印加装置及び半導体素子の製造方法
- 審判番号
- 2019-390103
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2013-236886外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年08月28日
- 審決日
- 2019年11月20日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】本田技研工業 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人創成国際特許事務所
- 分類
- P141 .852-Y (G01R) / P141 .853-Y (G01R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5782498号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第5782498号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第5782498号(以下、「本件特許」という。)は、平成25年11月15日に特許出願され、平成27年7月24日にその特許権の設定登録がなされ、その後、令和元年8月29日に本件訂正審判が請求されたものである。
2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書および特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付した訂正明細書および訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを認める。との審決を求めるものであって、その請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1における、
「・・・前記アクティブ領域の電流密度の高くなる部分に対応する前記突起の配置密度が、該電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より小さくなるように設定されていることを特徴とする電流印加装置。」
との記載を、
「・・・前記アクティブ領域の電流密度の高くなる部分に対応する前記突起の配置密度が、該電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より大きくなるように設定されていることを特徴とする電流印加装置。」
との記載に訂正する。
また、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~6の記載も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の【0010】における、
「・・・前記アクティブ領域の電流密度の高くなる部分に対応する各突起の配置密度が、該電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より小さくなるように設定されていることを特徴とする電流印加装置。」
との記載を、
「・・・前記アクティブ領域の電流密度の高くなる部分に対応する前記突起の配置密度が、該電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より大きくなるように設定されていることを特徴とする電流印加装置。」
との記載に訂正する。
3 当審の判断
(1)訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、独立特許要件
ア 訂正事項1
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項1は、電流密度の高くなる部分に対応する突起の配置密度が、電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より「小さく」なるとされていたものを、「大きく」なると訂正するものである。
明細書においては、
「【0006】
・・・この場合、大電流を接触領域の全体にわたって極力均一に印加できるように、上述のような突起群を有する接触部を用い、検査電流を各突起により均等に分散させて印加するのが好ましいと考えられる。」(下線は当審による。以下同様。)
「【0008】
しかしながら、このような接触部を用いた場合、必要な大きさの検査電流よりも小さい電流を接触部に供給するだけで一部の突起に流れる電流値が限界電流値に達してしまい、必要な大きさの検査電流を印加することができないという不都合があることが判明した。
【0009】
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、半導体素子の検査に必要な大きさの検査電流を支障なく印加できる電流印加装置と、これを用いて適正に検査された半導体素子を製造する方法を提供することである。」
とされており、明細書に記載された発明が、各突起に均等に電流を分散させることを目的とするものであることがわかる。
さらに、電流密度と、突起の配置密度とについて、明細書の具体的な記載を見ると、
「【0052】
すなわち、各接触点25の近傍の電流密度は、アクティブ領域23の接触領域24の内側部分よりも外周部分に位置する接触点25の近傍の方が高い。・・・」
「【0060】
また、図6のように、突起21の配置間隔が全体的に均一である突起群を有する従来の接触部により電流を印加した場合にアクティブ領域23の電流密度が高くなる部分を認識して、図5に示すように、この部分に対応する部分の突起21の配置間隔を、該電流密度が低くなる部分に対応する部分の突起21の配置間隔よりも小さくすることにより、各突起21からアクティブ領域23に流入する電流の大きさを突起群全体にわたってさらに効果的に均一化することができる。」
「【0062】
上述した実施形態では、接触面4上の複数の突起21の配置密度を外側の方が内側よりも大きくなるようにするために、複数の突起21のうち外側の突起21の配置間隔を、内側の突起21の配置間隔より小さく設定しているが、複数の突起21の配置間隔でなく、配置面積を変えるようにしてもよい。」
として、電流密度が高くなる外側部分の突起の配置密度を内側よりも大きくなるように設定して電流の大きさを突起群全体にわたって均一化させる構成が示されている。そして、電流密度が高くなるのに応じて突起の配置密度を大きくすれば、各突起に流れる電流の大きさが均一化され、その逆ではないことは、技術常識といえる。また、予想される電流密度と突起の配置密度とに関し、上記以外の関係についての記載も示唆もない。
そうすると、訂正前の、電流密度の高くなる部分に対応する突起の配置密度が、電流密度の低くなる部分に対応する各突起の配置密度より「小さく」なるとされている構成が、各突起に均等に電流を分散させるという効果を奏し得ないことは技術常識からみても明らかであって、当業者が明細書の上記記載をふまえて、本件訂正前の上記「小さく」との記載を読めば、これが「大きく」の誤記であることを当然に理解し得たものと認められる。
したがって、訂正事項1は、誤記の訂正を目的とするものであるといえる。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
上記(ア)で検討したとおり、訂正事項1は設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全体から、「小さく」の記載が誤りであり、「大きく」という記載が正しいものであることが明らかであって、これを訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(ウ)新規事項の有無について
上記(ア)で検討したとおりであるから、訂正事項1は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(エ)独立特許要件について
本件訂正後の請求項1ないし6に係る発明について、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるとする理由を発見しない。
イ 訂正事項2
(ア)訂正の目的の適否について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載と、明細書の段落【0010】の記載とを整合させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無について
上記(ア)で検討したとおり、訂正事項2は明細書の記載を、訂正事項1に係る訂正後の請求項1の記載と整合させるものであって、また、上記「ア 訂正事項1」の(イ)(ウ)で検討したとおり、訂正事項1は実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、訂正事項2も実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえる。
4 むすび
以上のとおり、訂正事項1及び2は、特許法第126条第1項ただし書第2号または第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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