特許訂正審判
2019-390050
衝撃吸収式ステアリングコラム装置
- 審判番号
- 2019-390050
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2000-259145
- 登録番号
- 特許第4470299号(P4470299)
- 請求日
- 2019年04月18日
- 審決日
- 2019年09月04日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 島田 信一
- 審判官 岡▲さき▼ 潤
- 審判官 氏原 康宏
- 分類
- P141 .853-Y (B62D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4470299号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4470299号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第4470299号の請求項1~3に係る特許についての出願は、平成12年8月29日に特許出願され、平成22年3月12日にその特許権の設定登録がされ、そして、平成31年4月18日付けで本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4470299号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 本件訂正内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線部分が訂正箇所である。
1 訂正事項1
本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。さらに、図面を併せたものを「本件明細書等」という。)【0022】に、
「同図中の実線はこの際(大コラプス荷重時)の試験結果を示している」と記載されているのを、
「同図中の実線はこの際(大コラプス荷重時)の移動ストロークを示している」に訂正する。
2 訂正事項2
本件明細書【0024】に、
「図7中の破線はこの際(小コラプス荷重時)の試験結果を示しており」と記載されているのを、
「図7中の破線はこの際(小コラプス荷重時)の移動ストロークを示しており」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前の本件明細書等には、「この際(大コラプス荷重時)の試験結果」に関し、「試験」において用いられるステアリングコラムの形式(形態)や、荷重の大きさ、荷重をかけるための具体的方法等の条件が記載されていないので該「試験」の具体的内容が明らかでないことに加え、図7中の実線が「試験結果」による作動荷重と移動ストロークの関係を示しているものか明らかでなかったものを、訂正後に「同図中の実線は、この際(大コラプス荷重時)の移動ストローク」と訂正し、図7の内容を説明している記載に改めるものであるから、訂正事項1の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加の有無について
本件明細書の段落【0022】には「コラプシブルコラム1がコラプスを開始する際、本実施形態では、第1金属球保持筒35と第2金属球保持筒37とが連結されているため、両金属球保持筒35,37は一体となって、インナコラム5の移動量の半分の移動量をもって、アウタコラム3とインナコラム5との間を前進する。これにより、アウタコラム3の内周面とインナコラム5の外周面とには、第1金属球保持筒35側の鋼球41と第2金属球保持筒37側の鋼球43とによる塑性溝がそれぞれ形成され、比較的大きな衝撃エネルギの吸収が実現されることになる。図7はアウタコラム3の移動ストロークとコラプス荷重との関係を示すグラフであり、同図中の実線はこの際(大コラプス荷重時)・・・」と記載されている。
また、本件明細書の段落【0024】には「この状態で運転者がステアリングホイール23に二次衝突すると、上述した場合と同様のプロセスにより、アウタコラム3が脱落した後、コラプシブルコラム1がコラプスを開始する。この際、第2金属球保持筒37がピストン55により係止されているため、図8に示したように、第1金属球保持筒35と伴に後退できず(係止爪等による係合力に打ち勝って両金属球保持筒35,37が分離し)、第1金属球保持筒35側の鋼球41による塑性溝のみが形成され、衝撃エネルギの吸収量が比較的小さくなる。その結果、運転者が小柄な女性等であっても、コラプシブルコラム1のコラプスが円滑に行われ、運転者の胸部や頭部に大きな衝撃が加わることがなくなる。図7中の破線はこの際(小コラプス荷重時)・・・」と記載されている。
さらに、図7には、横軸を「移動ストローク」を示すものと記載されている。
ここで、本件明細書の段落【0022】の「図7はアウタコラム3の移動ストロークとコラプス荷重との関係を示すグラフであり」との記載及び図7の横軸を示す「移動ストローク」との記載を踏まえると、図7には、縦軸上の各コラプス荷重に対して移動ストロークが実線及び破線でプロットされたグラフが示されているといえる。また、図7には、横軸上で同一の移動ストロークでは縦軸上の作動荷重に関して、破線のほうが実線より小さいことも示されている。
そうすると、本件明細書の段落【0022】に記載された「同図中の実線」は、「この際(大コラプス荷重時)」の「移動ストローク」を示しているといえる。
したがって、訂正事項1の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、新規事項を導入するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的の適否について
上記1(1)で検討したのと同様に、訂正前の本件明細書等には、「この際(小コラプス荷重時)の試験結果」に関し、該「試験」の具体的内容が明らかでないことに加え、図7中の破線が「試験結果」による作動荷重と移動ストロークの関係を示しているものか明らかでなかったものを、訂正後に「図7中の破線はこの際(小コラプス荷重時)の移動ストローク」と訂正し、図7の内容を説明している記載に改めるものであるから、訂正事項2の訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
(2)新規事項の追加の有無について
上記1(2)における検討を踏まえると、本件明細書の段落【0024】に記載された「同図中の破線」は、「この際(小コラプス荷重時)」の「移動ストローク」を示しているといえる。
したがって、訂正事項2の訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、新規事項を導入するものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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