2019-390026
免疫療法のための組成物および方法
- 審判番号
- 2019-390026
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2015-534828外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月14日
- 審決日
- 2019年05月08日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 分類
- P141 .852-Y (C12N) / P141 .853-Y (C12N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
特許第6441802号は、平成25年10月2日(パリ条約による優先権主張 2012年10月2日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日として出願され、その請求項1~42に係る発明について平成30年11月30日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、平成31年2月14日に本件の訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨および訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第6441802号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項2~4、6~32及び35~40について訂正することを認めるとの審決を求めるものであって、その訂正の内容は、下記訂正事項のとおりである。
1 訂正事項
(1) 訂正事項1
請求項2における「5×10-8M以上の結合親和性Kd」を「5×10-8M以上の解離定数(Kd)」と訂正する。
(2) 訂正事項2
請求項3における「1×10-7M以上の結合親和性Kd」を「1×10-7M以上のKd」と訂正する。
(3) 訂正事項3
請求項4における「1×10-6M以上の結合親和性Kd」を「1×10-6M以上のKd」と訂正する。
(4) 上記訂正事項1ないし3はいずれも、本件特許請求の範囲中の、「○○以上の結合親和性Kd」という記述を「○○以上の解離定数(Kd)」又は「○○以上のKd」と訂正するものであり、○○という数値が「結合親和性」についての数値であったものを「解離定数」についての数値に訂正するものということができる。(以下、上記訂正事項1ないし3をまとめて「本件訂正」という。)
第3 当審の判断
1 一群の請求項について
請求項6ないし32及び35ないし40は、本件訂正の対象である請求項2ないし4のいずれか1項の記載を直接又は間接的に引用する関係にあるので、本件訂正は一群の請求項2~4、6~32及び35~40について訂正することを請求するものである。
2 訂正の目的について
本件訂正前の請求項2ないし4は「【請求項2】 前記CARが、5×10-8M以上の結合親和性Kdで前記第1の抗原に結合する、請求項1に記載の免疫応答細胞。【請求項3】 前記CARが、1×10-7M以上の結合親和性Kdで前記第1の抗原に結合する、請求項1に記載の免疫応答細胞。【請求項4】 前記CARが、1×10-6M以上の結合親和性Kdで前記第1の抗原に結合する、請求項1に記載の免疫応答細胞。」と記載されており、これらの請求項は、いずれも、「前記CAR」と「前記第1の抗原」との結合に関する数値を特定する請求項であると認められる。
ここで、AとBが結合してA・B複合体を形成する平衡反応における結合定数Kは、
K=[A・B複合体]/([A]×[B])
で表され、
また、A・B複合体がAとBに解離する平衡反応における解離定数K’は、
K’=([A]×[B])/[A・B複合体]
で表される(ここで、[A]、[B]、[A・B複合体]は、それぞれ、Aのモル濃度、Bのモル濃度、A・B複合体のモル濃度を表す。)ことは、当該技術分野における技術常識であり、また、結合定数Kの単位がM-1(モル濃度の逆数)であること、解離定数K’の単位がM(モル濃度)であることも、当該技術分野における技術常識である。
そして、前記訂正事項を含む請求項2ないし4に示された数値の単位がM(モル濃度)であることからすると、これらの請求項に示された数値は「解離定数」についての数値であることは明らかであるため、本件訂正はいずれも、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
また、訂正前の「結合親和性」について、本件明細書の段落【0025】には「『親和性』とは、抗体と単一のハプテンもしくは抗原決定基との間の結合強度の尺度を意味する。」と記載されていることから、「結合親和性」とは「結合の強さ」を意味するものと認められるが、これは、通常、上述した結合定数Kによって表される。しかし、訂正前の請求項2ないし4では、その数値の単位を解離定数の単位であるM(モル濃度)で示していることから、これらの請求項の記載には不合理な部分が存在していた。そして、本件訂正はそのような不合理な記載を訂正し、本来の意味とするものであることから、本件訂正はいずれも、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
3 願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて
本件特許の国際出願日における国際出願の明細書の[0029]には、「用語『抗原認識レセプター』とは、本明細書で使用される場合、抗原の結合に応答して免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化することができるレセプターをいう。例示的な抗原認識レセプターは、天然又は内因性のT細胞レセプターであるか、又は腫瘍抗原結合ドメインが免疫細胞(例えば、T細胞)を活性化することができる細胞内シグナル伝達ドメインに融合されているキメラ抗原レセプターであり得る。(当審による翻訳)」と、[0030]には、「本発明の種々の実施形態において、上記抗原認識レセプターは低親和性を有する。低親和性は、マイクロモル濃度又はナノモル濃度の親和性(例えば、10-5、50-6、10-6、5×10-7、10-7、5×10-8、10-8、5×10-9、10-9M)を含む。(当審による翻訳。また、下線は当審で付与した。)」と記載されていることから、訂正後の請求項2ないし4において特定された「前記CAR(キメラ抗原レセプター)」と「前記第1の抗原」が5×10-8M、10-7M又は10-6Mという結合の強さで結合することは願書に最初に添付した外国語書面の明細書に記載されている。そうしてみると、低親和性について、これらの数値の下限値を特定する訂正後の請求項2ないし4は、願書に最初に添付した外国語書面の明細書の記載から自明な事項であり、本件訂正は特許法第126条第5項に適合する。
4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないことについて
前記2のとおり、本件訂正は誤記の訂正を目的とするものであり、かつ、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、本件訂正の前後において特許請求の範囲に拡張又は変更はないことから、本件訂正は特許法第126条第6項に適合する。
5 独立して特許を受けることができるものであることについて
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しないので、本件訂正は特許法第126条第7項に適合する。
第4 むすび
本件審判請求における請求項2~4、6~32、35~40に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号又は第3号に規定する事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおりに審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2019-390026