特許訂正審判
2024-390123
ルシフェリン分解産物による阻害に対して改善された耐性を持つ熱安定性ルシフェラーゼ
- 審判番号
- 2024-390123
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-519212
- 登録番号
- 7175881
- 請求日
- 2024年10月24日
- 審決日
- 2025年04月02日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】プロメガ コーポレイション
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】須田 洋之
- 【請求人代理人】山崎 一夫
- 【請求人代理人】浅井 賢治
- 【請求人代理人】服部 博信
- 【請求人代理人】松田 七重
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 高堀 栄二
- 審判官 名和 大輔
- 分類
- P141 .851-Z (C12N) / P141 .852-Z (C12N) / P141 .853-Z (C12N) / P141 .854-Z (C12N) / P141 .855-Z (C12N) / P141 .857-Z (C12N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7175881号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7175881号(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成29年10月13日(パリ条約による優先権主張 2016日10月13日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日として出願され、その請求項1~13に係る発明について、令和4年11月11日に特許権の設定登録がされ、その後、令和6年10月24日に本件の訂正審判が請求されたものである。
これに対して、令和6年12月18日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、指定した期間内に何ら応答がなされなかった。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7175881号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲の通り、訂正後の請求項1及び請求項4~13について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の訂正事項1のとおりである。
<訂正事項1>
特許請求の範囲の訂正前の請求項1に記載の置換「C300V」を、『C300G』と訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)一群の請求項について
本件訂正前の請求項4~13は、本件訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1、4~13は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正の目的について
訂正事項1の目的について、請求人は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものであると主張している。
「誤記の訂正」とは、本来その意であることが本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面などの記載から明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうところ、以下に検討する。
本件特許の設定登録時の明細書及び図面(以下「本件明細書等」という。)には、本件訂正に関連する以下の記載がある(下線は当審による。)
ア 「一部の実施形態では、阻害剤耐性ルシフェラーゼは、配列番号3に対して少なくとも1つの置換を含み、少なくとも1つの置換は、I240L、H244R、Y254S、C300G、T344A、I396K、及び/またはそのような置換の保存的なもしくは半保存的な変異から選択される。」(【0006】)
イ 「一部の実施形態では、阻害剤耐性ルシフェラーゼは、配列番号3に対して少なくとも1つの置換を含み、少なくとも1つの置換は、H244R、C300G、I396K、及び/またはそのような置換の保存的なもしくは半保存的な変異から選択される。」(【0008】)
ウ 「一部の実施形態では、阻害剤耐性ルシフェラーゼは、配列番号3に対して少なくとも1つの置換を含み、少なくとも1つの置換は、H244R、C300G、T344A、I396K、及び/またはそのような置換の保存的なもしくは半保存的な変異から選択される。」(【0011】)
エ 「一部の実施形態では、ルシフェラーゼは配列番号3に対してC300Gの置換を含む。」(【0068】)
オ 「一部の実施形態では、本明細書のルシフェラーゼは、たとえば、I240L、H244R、Y254S、C300G、T344A、I396Kのような、配列番号3に対するアミノ酸置換、及び/またはそのような置換の保存的なまたは半保存的な変異の組み合わせを含む。」(【0074】)
カ 「一部の実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号3に対する少なくとも70%の配列同一性を有するが、I240L、H244R、Y254S、C300G、T344A、I396Kに対応する少なくとも1つの置換、及び/またはそのような置換の保存的なまたは半保存的な変異を有するルシフェラーゼである。」(【0075】)
キ 「
[図:0001426733000001.jpg]
」(図4の下欄)
ク 「
[図:0001426733000002.jpg]
」(図5の下欄)
ケ 「配列番号7-B7ルシフェラーゼ突然変異体(タンパク質)
MADKNILYGPEPFYPLEDGTAGEQMFDALSRYAAIPGCIALTNAHTKENVLYEEFLKLSCRLAESFKKYGLKQNDTIAVCSENSLQFFLPVIASLYLGIIVAPVNDKYIERELIHSLGIVKPRIVFCSKNTFQKVLNVKSKLKSIETIIILDLNEDLGGYQCLNNFISQNSDSNLDVKKFKPYSFNRDDQVASIMFSSGTTGLPKGVMLTHKNIVARFSIAKDPTFGNAINPTSAILTVLPFHHGFGMMTTLGSFTCGFRVVLMHTFEEKLFLQSLQDYKVESTLLVPTLMAFLAKSALVEKYDLSHLKEIASGGAPLSKEIGEMVKKRFKLNFVRQGYGLTEATSAVLITPKGDAKPGSTGKIVPLHAVKVVDPTTGKILGPNEPGELYFKGPMKMKGYYNNEEATKAIIDNDGWLRSGDIAYYDNDGHFYIVDRLKSLIKYKGYQVAPAEIEGILLQHPYIVDAGVTGIPDEAAGELPAAGVVVQTGKYLNEQIVQDYVASQVSTAKWLRGGVKFLDEIPKGSTGKIDRKVLRQMLEKHTNGHHHHHHHH」(【0120】)(配列表の配列番号7で示されるアミノ酸配列もこれと同一である。)
コ 「配列番号5-E6ルシフェラーゼ突然変異体(タンパク質)
MADKNILYGPEPFYPLEDGTAGEQMFDALSRYAAIPGCIALTNAHTKENVLYEEFLKLSCRLAESFKKYGLKQNDTIAVCSENSLQFFLPVIASLYLGIIVAPVNDKYIERELIHSLGIVKPRIVFCSKNTFQKVLNVKSKLKSIETIIILDLNEDLGGYQCLNNFISQNSDSNLDVKKFKPYSFNRDDQVASIMFSSGTTGLPKGVMLTHKNIVARFSIAKDPTFGNAINPTSAILTVIPFHRGFGMMTTLGYFTCGFRVVLMHTFEEKLFLQSLQDYKVESTLLVPTLMAFLAKSALGEKYDLSHLKEIASGGAPLSKEIGEMVKKRFKLNFVRQGYGLTETTSAVLITPKGDAKPGSTGKIVPLHAVKVVDPTTGKILGPNEPGELYFKGPMKMKGYYNNEEATKAIIDNDGWLRSGDIAYYDNDGHFYIVDRLKSLIKYKGYQVAPAEIEGILLQHPYIVDAGVTGIPDEAAGELPAAGVVVQTGKYLNEQIVQDYVASQVSTAKWLRGGVKFLDEIPKGSTGKIDRKVLRQMLEKHTNGHHHHHHHH」(【0118】)(配列表の配列番号5で示されるアミノ酸配列もこれと同一である。)
本件明細書等には、上記ア~クのとおり、C300Gに関する記載があり、本件訂正前の請求項1で特定される、「置換I240L、Y254S、C300V、T344A、及びI396K」について、本件訂正の対象である「C300V」以外の置換を含むルシフェラーゼとして、上記キ、クのとおり、「B7=I240L+Y254S+C300G+T344A+I396K」と記載されている。
ここで、配列番号3で示されるアミノ酸配列との比較で、B7ルシフェラーゼのアミノ酸配列を示す上記ケをみると、I240L、Y254S、T344A、及びI396Kのアミノ酸変異を有する一方、300位については、C300GではなくC300Vのアミノ酸変異を有している。
B7ルシフェラーゼに関する上述の記載状況は、上記キ、クで示す図4、5において、B7ルシフェラーゼと並んで記載されているE6ルシフェラーゼについて、同図4、5で「E6=H244R+C300G+I396K」と記載された上で、そのアミノ酸配列(上記コ)で当該変異内容が一致している記載状況とは異なるものである。
以上のとおり、B7ルシフェラーゼは、上記キ、クで示す図4、5では、C300Gを有することが記載されているものの、上記ケで示す具体的なアミノ酸配列では、C300Vを有するものとなっており、どちらの変異を有するものであるかを本件明細書等から一義的に把握できない。
そして、本件訂正前の請求項1で特定される、「置換I240L、Y254S、C300V、T344A、及びI396K」について、本件訂正の対象である「C300V」以外の置換を含むルシフェラーゼとして、B7ルシフェラーゼ以外に、具体的なアミノ酸配列を伴って本件明細書等で示されるルシフェラーゼは見当たらない。
そうすると、本件訂正前の請求項1における「C300V」が誤記であり、当然に「C300G」を意味するものと客観的に認められるとはいえないから、訂正事項1が、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものとは認められない。
また、訂正事項1は、同第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」、同第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」、及び同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものではないことも明らかである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書に掲げる各号を目的とするものではないため、本件訂正は認められない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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