特許訂正審判
2019-390016
陽極及びこれを用いたX線発生管、X線発生装置、X線撮影システム
- 審判番号
- 2019-390016
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-229593外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年02月01日
- 審決日
- 2019年04月10日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P141 .853-Y (H01J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6429602号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6429602号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6429602号は,平成26年11月12日の出願であって,平成30年11月9日に特許権の設定登録がされ,平成31年2月1日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は,特許第6429602号の明細書及び特許請求の範囲を,本件訂正審判の請求書に添付した明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものである。
2 訂正の内容
本件訂正審判の請求に係る訂正の内容(以下「本件訂正」という。)は以下のとおりである(下線は請求人が付したものである。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記支持面に演出する延出部」と記載されているのを,「前記支持面の延出する延出部」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~16も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0008】に「前記支持面に演出する延出部」と記載されているのを,「前記支持面に延出する延出部」に訂正する。
第3 当審の判断
本件訂正審判は,特許権全体に対して請求するものである。以下,各訂正事項について検討する。
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は,訂正前の請求項1の「前記支持面に演出する延出部」との記載中の「演出する」を「延出する」とするものである。
すなわち,前記訂正前の請求項1の「前記支持面に演出する延出部」が文理的に意味不明であるところ,「延出部」が「延出する」ものであることを明らかにするものである。
したがって,訂正事項1は,特許法第126条第1項ただし書第3項に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)訂正の根拠(新規事項の有無)
ア 願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。以下同じ。)においては以下の記載がある(下線は当審で付加。)。
「【0032】
ターゲット9は,図1(a)に示すように,支持基板21の側面21aを管状陽極部材42の内周に接合材48を介して接合することにより,管状陽極部材42に気密接合され,外囲器111の一部をなす。接合材48としては,金,銀,銅,錫等を含有する合金からなるろう材が用いられ,被接合部材に応じて合金組成を適宜選択することにより,異種材料間の接着性を担保することができる。」
「【0035】
上記したように,ターゲット9と管状陽極部材42との接合に際して,接合材48の量は過不足がないように精密に調整される。さらに,本発明では,ターゲット層22の周縁より外側に支持基板21が延在するように,支持基板21の支持面よりも小さくターゲット層22が形成される。これにより,ターゲット層22の周囲には,ターゲット層22が形成される支持基板21の支持面が露出する。接合材22は,ターゲット層22に比べて支持基板21との親和性が低く,接合時の加熱によって溶融した場合であっても,支持基板21上には流れにくい。従って,接合時にターゲット層22に到達するまで流れ込みにくい。
【0036】
しかしながら,接合材48の量が多かった場合には,加熱によって流動した接合材48が,図1に示すように,ターゲット層22を形成した支持基板21の支持面上にあふれて延出部48aを形成してしまう場合がある。X線放出動作では電子線束5がターゲット層22の中心に衝突した際,X線の放射と共にそのエネルギーの90%以上が熱に変換される。そのために,管状陽極部材42の管径方向において,ターゲット層22の外周から中心に向かって同心円状に支持基板21の温度が高くなる温度勾配が形成される。その結果,支持基板21上に形成された延出部48aは,支持基板21と管状陽極部材42間に挟まれた部位よりも高温になり,粘度が低下してターゲット層22に流れ込み易くなる。」
イ 上記各記載から,延出部48aは,接合材48が支持基板の支持面上にあふれて形成されるものであって,支持面上に延出するものであることが明らかである。
よって,訂正事項1は,当初明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるから,特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正により実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記(1)で検討したとおり,訂正事項1は,文理上不明な記載を明瞭なものとするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから,特許法第126条第6項に適合するものである。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は,明細書の段落【0008】の記載について,前記訂正事項1と実質的に同じ訂正をするものであるから,特許法第126条第1項ただし書第3項に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)訂正の根拠(新規事項の有無)
訂正事項2は,前記1(2)における訂正事項1についての検討と同様に,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされているといえるから,特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正により実質上特許請求の範囲を拡張又は変更することの有無
前記(1)で検討したとおり,訂正事項2は,文理上不明な記載を明瞭なものとするものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものには該当しないから,特許法第126条第6項に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおり,本件訂正は,特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり,また,同条第5項および第6項の規定に適合するものである。
よって,結論のとおり審決する。
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