特許拒絶査定不服審判
2019-008402
記録制御システム、表示制御システム及びプログラム
- 審判番号
- 2019-008402
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-106139外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年06月25日
- 審決日
- 2020年11月17日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ユピテル
- 分類
- P18 .121-WZ (G08G) / P18 .537-WZ (G08G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-106139「記録制御システム、表示制御システム及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月24日出願公開、特開2017-208099〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年6月20日に出願した特願2012-139056号の一部を平成29年5月30日に新たに特許出願したものであって、平成30年8月14日付け(発送日:平成30年8月21日)で拒絶理由が通知され、平成30年10月10日に意見書が提出されたが、平成31年3月25日付け(発送日:平成31年3月27日)で拒絶査定がされ、これに対して令和元年6月25日に拒絶査定不服審判が請求され、令和2年6月11日(発送日:令和2年6月16日)に当審において拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和2年7月31日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和2年7月31日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
所定条件を満たした際に所定期間に亘る車両の挙動情報と前記所定条件を満たした時点を特定可能とする特定用情報とを関連付けて記録手段に記録する機能を備える記録制御システムであって、
すでに前記所定条件を満たしたとして車両の挙動情報が記録される第一の期間と、新たに所定条件を満たした際に記録する当該新たに所定条件を満たした時点の前後に亘る期間である第二の期間とに、重なりがある場合に、第一の期間に亘る車両挙動の最後尾に続けて、第二の期間のうち第一の期間に亘る車両挙動と重複する部分を除いた第一の期間に亘る車両挙動の最後尾の時点以降の続きの部分の車両挙動を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として前記記録手段に記録し、前記第一の期間に関連付けて前記記録手段に記録される第一の特定用情報に前記新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報を関連付けて前記記録手段に記録する機能を備え、
前記連続する一連の期間の車両の挙動情報を、前記記録手段に一のデータファイルとして記録する機能を備えること
を特徴とする記録制御システム。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。
1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(進歩性)について
・請求項1及び2に係る発明に対して 引用文献1ないし2
・請求項3及び4に係る発明に対して 引用文献1ないし3
●理由2(明確性)について
請求項2ないし4にかかる発明は、明確でない。
引 用 文 献 等 一 覧
1.国際公開第2007/066613号
2.特開2012-49956号公報
3.特開2010-79825号公報
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1
当審拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2007/066613号(以下「引用文献1」という。)には、「情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体」に関して、図面(特に図1ないし3を参照。)と共に次の事項が記載されている(なお、下線は理解の一助のために当審で付与したものである。以下同様。)。
ア「[0001] この発明は、情報を記録する情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体には限られない。
背景技術
[0002] 従来、飛行機に搭載されたフライトレコーダと同様に、走行中の車両の周辺状況の記録をおこなうドライブレコーダが知られている。このようなドライブレコーダは、たとえば、車両前方を撮影する前方カメラ、後方を撮影する後方カメラ、前方および後方映像を基準信号に同期して画像メモリの所定領域に書き込む機能を有しており、画像メモリ情報に車両位置情報および時刻情報を付与した記録情報をバッファメモリに定常的に記録する。そして、衝撃検知センサによって所定値以上の衝撃を検知すると、検知時点から所定時間の間の記録情報をストレージメモリに保存する。このように、あて逃げ事件などの事件に遭遇したとき、ストレージメモリに保存された記録情報を確認してあて逃げ車両の特定をおこなうことができる(たとえば、下記特許文献1参照。)。」
イ「[0013] 以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報記録装置、情報記録方法、情報記録プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
[0014] (実施の形態)
(情報記録装置の機能的構成)
図1を用いて、本実施の形態にかかる情報記録装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる情報記録装置の機能的構成の一例を示すプロック図である。
[0015] 図1において、情報記録装置100は、記録部101と、検知部102と、制御部103と、判断部104と、記録領域105と、記録媒体106と、を含み構成されている。
[0016] 記録部101は、移動体から撮像された一連の映像データを所定の記録領域105に上書き記録する。また、記録部101は、後述する制御部103の制御によって設定された記録先に、映像データを記録する。
[0017] 検知部102は、移動体の危険な挙動を検知する。移動体の危険な挙動は、たとえば、移動体の動作や操作など、移動体に搭載された各種センサの出力などに基づいて検知する構成でもよい。各種センサは、たとえば、振動センサやGセンサや移動体に対する接触センサ、およびハンドル操作や方向指示信号の入力操作やアクセルぺダルの操作やブレーキペダルの操作などの操作に関する情報を出力できるセンサでもよい。
[0018] また、検知部102による危険な挙動の検知は、たとえば、振動センサやGセンサなど各種センサの出力値が規定以上の値であったり、異常を示す所定のパターンと近似した場合や、接触センサが作動した場合などを危険な挙動として検知してもよい。また、移動体の操作に関する情報に基づいて、危険な操作であった場合に、危険な挙動となる操作と判断するものであってもよい。より具体的には、たとえば、所定の角度以上に急ハンドルをおこなう操作や方向指示の伴わないハンドル操作や不必要な加速および減速などの情報の出力があった場合に、移動体の操作が危険な挙動となる操作と検知する構成でもよい。
[0019] 制御部103は、記録部101を制御して、検知部102によって危険な挙動が検知された場合、第1の検知時点からの第1の所定期間の映像データの記録先を、所定の記録領域105から記録媒体106に設定する。さらに、制御部103は、第1の所定期間中に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合、記録部101を制御して、第2の検知時点からの第2の所定期間の映像データの記録先を、第1の所定期間の映像データに引き続き記録媒体106に設定する。なお、映像データの記録の概要については、図3に後述する。
[0020] また、制御部103は、第1の所定期間経過後に検知部102によって危険な挙動があらたに検知され、後述する判断部104によって、第3の検知時点前後の第3の所定期間の開始時点が、第1の所定期間の終了時点前であると判断された場合、記録部101を制御して、第1の所定期間の終了時点からの第3の所定期間の映像データを、第1の所定期間の映像データに引き続き記録媒体106に設定する。なお、映像データの記録の概要については、図3に後述する。
[0021] 判断部104は、第1の所定期間経過後に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合、第3の検知時点前後の第3の所定期間の開始時点が、第1の所定期間の終了時点前であるか否かを判断する。より具体的には、たとえば、第1の検知時点から記録媒体106に記録する第1の所定期間の映像データの終了時刻と、第3の検知時点における第3の所定期間の映像データの開始時刻を比較して、第3の所定期間における映像データの開始時刻の方が早いかを判断することとしてもよい。
[0022] 記録領域105は、記録部101によって上書き記録された映像データを一時保持する。換言すれば、記録領域105に上書き記録された映像データは、所定容量蓄積され、順次上書きされるものである。また、記録媒体106は、記録部101によって記録された映像データを情報記録装置100の電源が切れても失われないよう不揮発に保持する。なお、本実施の形態では、映像データを記録する記録領域105と、記録媒体106と、をそれぞれ分けて説明しているが、一つの記録媒体に、映像データを上書き記録する記録領域と、映像データを不揮発に記録する記録領域を備える構成としてもよい。また、映像データを上書き記録する記録媒体と、映像データを不揮発に記録する記録媒体を備える構成としてもよい。
[0023] (情報記録装置の処理の内容)
つぎに、図2を用いて本実施の形態にかかる情報記録装置100の処理の内容について説明する。図2は、本実施の形態にかかる情報記録装置の処理の内容を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、まず、情報記録装置100は、移動体から撮像された一連の映像データの入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS201)。ここで、映像データの入力を受け付けるのを待って、受け付けた場合(ステップ S201:Yes)は、記録部101は、制御部103の制御にしたがって、映像データを記録領域105に上書き記録する(ステップS202)。
[0024] つづいて、検知部102は、移動体の危険な挙動を検知したか否かを判断する(ステップS203)。移動体の挙動は、たとえば、移動体の動作や操作を含む情報で、移動体に搭載された各種センサの出力に基づいて検出してもよい。ステップS203において、移動体の危険な挙動を検知しない場合(ステップS203:No)は、映像データの入力が終了したか否かを判断する(ステップS206)。
[0025] ステップS203において、移動体の危険な挙動を検知した場合(ステップS203:Yes)は、制御部103は、記録部101を制御して、映像データの記録先を設定する(ステップS204)。記録先の設定は、たとえば、映像データを上書き記録する記録領域105から、映像データを不揮発に記録する記録媒体106に設定する。より具体的には、ステップS203において、危険な挙動が検知された第1の検知時点から第1の所定期間の映像データの記録先を、所定の記録領域105から記録媒体106に設定することとしてもよい。
[0026] つぎに、検知部102は、移動体の危険な挙動をあらたに検知したか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205における危険な挙動のあらたな検知に関する判断は、一定の期間おこなう構成でもよく、より具体的には、たとえば、ステップS204において記録先が設定された映像データの第1の所定期間に、危険な挙動をあらたに検知したかを判断する。
[0027] ステップS205において、危険な挙動をあらたに検知した場合(ステップS205: Yes)は、ステップS204に戻り、制御部103は、記録部101を制御して、危険な挙動があらたに検知された第2の検知時点からの第2の所定期間の映像データの記録先を、第1の所定期間の映像データに引き続き記録媒体106に設定する。
[0028] ステップS205において、危険な挙動をあらたに検知しない場合(ステップS205:No)は、つぎに、情報記録装置100は、移動体から撮像された一連の映像データの入力が終了したか否かを判断する(ステップS206)。
[0029] ステップS206において、映像データの入力が終了しない場合(ステップS206:No)は、ステップS202に戻って処理を繰り返す。また、映像データの入力が終了した場合(ステップS206:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。
[0030] なお、本図の説明では、ステップS205における危険な挙動のあらたな検知に関する判断は、第1の所定期間に、危険な挙動をあらたに検知したかを判断することとしたが、第1の所定期間経過後に危険な挙動をあらたに検知したかを判断してもよい。より具体的には、たとえば、第1の所定期間経過後に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された第3の検知時点前後の第3の所定期間の開始時点が、第1の所定期間の終了時点前となる期間に判断をおこなってもよい。その場合、ステップS205における第3の検知時点前後の第3の所定期間の開始時点を、判断部104によって、第1の所定期間の終了時点前であるか否かを判断し、第1の所定期間の終了時点前であると判断された場合、ステップS204に戻って、制御部103は、記録部101を制御して、第1の所定期間の終了時点からの第3の所定期間の映像データを、第1の所定期間の映像データに引き続き記録媒体106に設定することとしてもよい。
[0031] つぎに、図3を用いて、本実施の形態にかかる映像データの記録の概要について説明する。図3は、本実施の形態にかかる映像データの記録の一例を示す説明図である。図3において、グラフ300は、時刻340を横軸に、開始時刻Ts(1)313から終了時刻Te(1) 314までの映像データ(1)301と、開始時刻Ts(2)323から終了時刻Te(2)324までの映像データ(2)302と、開始時刻Ts(3)333から終了時刻Te(3)334までの映像データ(3)303と、が示されている。
[0032] 映像データ(1)301は、危険な挙動の検知時点T(1)310における、検知前時間tb(1)311と、検知後時間ta(1)312の期間、記録媒体106に記録される。また、映像データ(2)302は、危険な挙動の検知時点T(2)320における、検知前時間tb(2)321と、検知後時間ta(2)322の期間、記録媒体106に記録される。同様に、映像データ(3)303は、危険な挙動の検知時点T(3)330における、検知前時間tb(3)331と、検知後時間ta(3)332の期間、記録媒体106に記録される。
[0033] ここで、本図を用いて、移動体の危険な挙動を検知した場合における映像データの記録の概要について、図2に沿って説明する。記録部101は、移動体から撮像された一連の映像データを、ステップS202において記録領域105に上書き記録する。そして、ステップS203において移動体の危険な挙動が検知された場合、記録部101は、制御部103の制御にしたがって、第1の検知時点T(1)310から第1の所定期間(本図では、検知前時間tb(1)311と、検知後時間ta(1)312の期間)の映像データ(1)301を記録媒体106に不揮発に記録する。
[0034] つづいて、検知部102によって、ステップS205において映像データ(1)301の第1の所定期間に危険な挙動をあらたに検知した場合、記録部101は、制御部103の制御にしたがって、危険な挙動があらたに検知された第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間(本図では、検知前時間tb(2)321と、検知後時間ta(2)322の期間)の映像データ(2)302を、第1の所定期間の映像データ(1)301に引き続き記録媒体106に不揮発に記録する。換言すれば、記録部101は、連続する危険な挙動の検知時点T(1)310、検知時点T(2)320の映像データを含む記録データ(1)341を、記録媒体106に記録する。
[0035] また、映像データ(1)301の第1の所定期間経過後であっても、一定時間待機して、検知部102によって危険な挙動があらたに検知された第3の検知時点Τ(3)330の前後の第3の所定期間(本図では、検知前時間tb(3)331と、検知後時間ta(3)332の期間)の映像データ(3)303の開始時刻Ts(3)333が、第1の所定期間の終了時刻Te(1)314の前となるか判断部104によって判断してもよい。判断部104によって、映像データ(3)303の開始時刻Ts(3)333が、第1の所定期間の終了時刻Te(1)314の前となると判断された場合、記録部101は、制御部103の制御にしたがって、第3の検知時点T(3)330からの第3の所定期間の映像データ(3)303を、第1の所定期間の映像データ(1)301に引き続き記録媒体106に不揮発に記録する。換言すれば、記録部101は、連続する危険な挙動の検知時点T(1)310、検知時点T(3)330の映像データを含む記録データ(2)342を、記録媒体106に記録する。
[0036] 以上説明したように、本実施の形態によれば、移動体の危険な挙動を検知した後、一定時間内にあらたに危険な挙動を検知した場合は、映像データの記録先を継続して記録媒体に設定する。したがって、連続して危険な挙動があった場合でも、映像データを欠くことなく連続的に記録することができる。」
ウ「[0041] また、図示しないが、車載用カメラ411は、車両の後部に取り付けられていてもよい。車両の後部に車載用カメラ411が取り付けられている場合、車両の後方の安全確認ができる他、他の車両力も追突された際に追突時の状況を記録することができる。この他、車載用カメラ411は、暗所の記録をおこなう赤外線カメラであってもよい。また、車載用カメラ411および車載用マイク412は、車両に複数設置されていてもよいし、固定式でなく可動式のカメラであってもよい。
[0042] ナビゲーシヨン装置400は、目的地点までの経路探索および情報記録をおこなう他、車両の走行状態について記録するドライブレコーダ機能を有している。ドライブレコーダ機能は、車載用カメラ411や車載用マイク412で得られた映像および音声や後述するGPSユニット515や各種センサ516で得られた車両の現在地点情報や走行速度の変化などを、ナビゲーシヨン装置400の記録媒体(後述する磁気ディスク505、光ディスク507)に記録する。
[0043] このようなドライブレコーダ機能を用いて走行状態を常時記録することによって、自車が事故に巻き込まれた場合や、自車の周囲で事故が発生した場合に、事実関係の究明に用いる資料を得ることができる。ドライブレコーダ機能を用いて記録する情報は、記録媒体の記録容量を超えない限り蓄積してもよいし、所定時間分の記録を残して逐次消去してもよい。また、記録媒体は、走行状態を常時上書き記録する上書き用記録領域と、事故に巻き込まれた場合に走行状態を保存する保存用記録領域を有するものであってもよいし、上書き記録用の記録媒体と保存用の記録媒体をそれぞれ複数備える構成としてもよい。」
エ「[0051] また、CPU501は、後述する各種センサ516によって、トリガーが検知された場合に、常時記録していた車両の走行状態の記録先を切り替える構成としてもよい。走行状態の記録先は、たとえば、走行状態を常時上書き記録する上書き用記録領域と、トリガーを検知した場合に走行状態を保存する保存用記録領域を有するものであってもよいし、上書き記録用の記録媒体と保存用の記録媒体を備える構成としてもよい。また、上書き用記録領域や上書き記録用の記録媒体は、複数あってもよい。なお、記録先の切り替えの詳細については、図6および図7に後述する。
[0052] 磁気ディスクドライブ504は、CPU501の制御にしたがって磁気ディスク505に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク505は、磁気ディスクドライブ504の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク505としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
[0053] また、光ディスクドライブ506は、CPU501の制御にしたがって光ディスク507に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク507は、光ディスクドライブ506の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク507は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク507のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
[0054] 磁気ディスク505、光ディスク507に記録される情報の一例として、図4に示した車載用カメラ411や車載用マイク412で得られた車内外の映像や音声、後述するGPSユニット515で検出された車両の現在地点情報、後述する各種センサ516からの出力値などが挙げられる。また、各種センサ516の出力から検知したトリガーに基づいてトリガー情報を累積保存してもよい。これらの情報は、ナビゲーシヨン装置400が有するドライブレコーダ機能によって記録され、交通事故発生時の検証用資料などとして用いられる。」
オ「[0063] カメラ517は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ517によって車両内部の搭乗者の挙動を撮影し、撮影した映像を映像I/F512を介して磁気ディスク505や光ディスク507などの記録媒体に出力する。また、カメラ517によって車両外部の状況を撮影し、撮影した映像を映像I/F512を介して磁気ディスク505や光ディスク507などの記録媒体に出力する。また、記録媒体に出力された映像は、ドライブレコーダ用画像として上書き記録や保存がおこなわれる。」
カ「[0074] 各種センサ516は、車速センサや加速度センサ、Gセンサ、角速度センサなどであり、その出力値は、GPSユニット515による現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。また、各種センサ516は、ドライバーによる車両の各操作を検知するセンサなども含む。車両の各操作の検知は、たとえば、ハンドル操作やウィンカーの入力やアクセルペダルの踏み込みやブレーキペダルの踏み込みなどを検知する構成としてもよい。また、各種センサ516の出力値は、ドライブレコーダ機能で記録するデータとしてもよい。
[0075] また、各種センサ516においては、あらかじめ、ドライブレコーダ用画像を保存する際のトリガーを設定しておき、トリガーが検知された場合にドライブレコーダ用画像を保存する構成としてもよい。トリガーは、たとえば、ドライブレコーダ用画像を保存するきっかけとなるものなどで、各種センサ516における、所定のしきい値以上の出力や所定のパターンと近似する出力などをトリガーとする構成でもよい。より具体的に、たとえば、各種センサ516におけるトリガーは、振動センサで規定以上の振動や所定の振動パターンを検知した場合に設定してもよい。所定の振動パターンは、急激な立ち上がりなど、異常を示す振動パターンであればよい。また、トリガーは、たとえば、Gセンサで規定以上のGや所定のGのかかり方のパターンを検知した場合に設定してもよい。所定のGのかかり方は、急激な立ち上がりなど、異常を示すパターンであればよい。あるいは、車体の接触センサによる、他との接触の有無やエアバッグなどの作動や車両の停止をトリガーとする構成でもよい。さらに、前述のトリガーは一つ以上であればよく、複数を組み合わせてトリガーとしてもよい。
[0076] なお、実施の形態にかかる情報記録装置100の機能的構成のうち、記録部101は磁気ディスクドライブ504や光ディスクドライブ506によって、検知部102は各種センサ516によって、制御部103や判断部104はCPU501によって、記録領域105および記録媒体106は磁気ディスク505や光ディスク507によって、それぞれその機能を実現する。
[0077] (ナビゲーシヨン装置400の処理の内容)
つぎに、図6を用いて、本実施例1にかかるナビゲーシヨン装置400の処理の内容について説明する。図6は、本実施例1にかかるナビゲーシヨン装置の処理の内容を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、まず、ナビゲーシヨン装置400は、車両が走行中となったか否かを判断する(ステップS601)。車両の走行に関する判断は、たとえば、各種センサ516の出力を参照しておこなってもよい。
[0078] ステップS601において、車両が走行中となるのを待って、走行中となった場合(ステップS601:Yes)は、カメラ517は、ドライブレコーダ用画像の撮影を開始する(ステップS602)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、車両周辺の画像などで一定時間における動画でもよい。
[0079] つづいて、CPU501は、磁気ディスクドライブ504や光ディスクドライブ506を制御して、磁気ディスク505や光ディスク507などの記録媒体に、ステップS602において撮影されたドライブレコーダ用画像を上書き記録する(ステップS603)。上書き記録は、たとえば、一定時間における動画を、記録媒体の記録容量を超えないように、順次上書きして記録することであり、上書き記録用の記録媒体や上書き記録用の記録 領域を有する記録媒体に記録する。
[0080] つぎに、CPU501は、トリガーを検知したか否かを判断する(ステップS604)。トリガーは、たとえば、各種センサ516の出力によって、ドライブレコーダ用画像を保存するきっかけなどでよい。より具体的には、振動センサで規定以上の振動や所定の振動パターンを検知した場合に設定してもよい。所定の振動パターンは、急激な立ち上がりの振動など、異常を示す振動パターンであればよい。また、トリガーは、たとえば、Gセンサで規定以上のGや所定のGのかかり方のパターンを検知した場合に設定してもよい。所定のGのかかり方は、急激な立ち上がりのGなど、異常を示すパターンであればよい。あるいは、車体の接触センサによる、他との接触の有無やエアバッグなどの作動をトリガーとする構成でもよい。
[0081] また、CPU501は、各種センサ516の出力によって車両の危険な挙動となるドライバーの運転操作を検知して、トリガーを検知する構成としてもよい。より具体的には、所定の角速度を超えた急ハンドルやウィンカーを出さずに指定以上の角度のハンドル操作や眠気を催したときに特有なハンドル操作など通常と異なるハンドル操作をトリガーとしてもよい。また、指定の加速度以上の加速・減速や信号のない交差点で減速がなかったことや赤信号(黄信号)で減速がなかったことや眠気を催したときに特有のペダル操作など通常と異なるペダル操作をトリガーとする構成としてもよい。なお、ハンドル操作やペダル操作の異常は、あらかじめ動作パターンを登録して、登録された動作パターンと比較する構成でもよい。また、信号のない交差点やその他停止の必要がある地点は、記録媒体に記録された地図情報に基づいて取得してもよい。信号の色は、カメラ517で撮影した画像から判断する構成でもよい。
[0082] ステップS604において、トリガーを検知しない場合(ステップS604:No)は、つづいて、ナビゲーシヨン装置400は、車両の走行が終了したか否かを判断する(ステップS609)。車両の走行に関する判断は、たとえば、各種センサ516の出力を参照しておこなってもよい。より具体的には、各種センサ516の出力が停止した時点で車両の走行が終了したと判断してもよい。
[0083] また、ステップS604において、トリガーを検知した場合(ステップS604:Yes)は、CPU501は、ステップS603において上書き記録されているドライブレコーダ用画像の記録先を切り替える(ステップS605)。記録先の切り替えは、たとえば、磁気ディスク505や光ディスク507など、上書き記録用の記録媒体や上書き記録用の記録領域を有する記録媒体から、保存用の記録媒体や保存用の記録領域を有する記録媒体に記録先を切り替えることとしてもよい。そして、ステップS605において切り替えられた保存用の記録媒体や保存用の記録領域を有する記録媒体にドライブレコーダ用画像を保存する(ステップS606)。ドライブレコーダ用画像は、たとえば、ステップS604においてトリガーを検知した検知時点とその前後の検知前時間と検知後時間における画像を保存する構成でもよい。また、検知前時間や検知後時間は搭乗者によって設定できる構成でもよい。
[0084] つづいて、CPU501は、ステップS605において切り替えられた記録先を戻す(ステップS607)。より具体的には、たとえば、ステップS606において保存用の記録媒体や保存用の記録領域を有する記録媒体へのドライブレコーダ用画像の保存後に、記録先を上書き記録用の記録媒体や上書き記録用の記録領域を有する記録媒体に戻して、ドライブレコーダ用画像の上書き記録をおこなう構成としてもよい。つぎに、CPU501は、検知後時間を経過したか否かを判断する(ステップS608)。検知後時間を経過しない場合(ステップS608:No)は、ステップS604に戻って処理を繰り返す。換言すれば、ステップS606においてドライブレコーダ用画像を保存し、検知後時間が経過するまでの間トリガー検知をおこなう。そして、トリガーが検知される都度、ドラ イブレコーダ用画像を継続して保存することとなる。
[0085] また、ステップS608において、検知後時間を経過した場合(ステップS608:Yes)は、ナビゲーシヨン装置400は、車両の走行が終了したか否かを判断する(ステップS609)。
[0086] ステップS609において、車両の走行が終了しない場合(ステップS609:No)は、ステップS603に戻って、ドライブレコーダ用画像の上書き記録を繰り返す。また、ステップS609において、車両の走行が終了した場合(ステップS609:Yes)は、そのまま一連の処理を終了する。
[0087] なお、本図の説明では、ステップS602において車両周辺の画像をドライブレコーダ用画像として撮影して上書き記録する構成としているが、その他各種センサ516の出力など走行状態に関する情報をあわせて上書き記録する構成としてもよい。また、その場合、ステップS604において、トリガーを検知した段階で、検知した検知時点とその前後一定時間における出力を保存してもよい。
[0088] 以上説明したように、本実施例1によれば、トリガーを検知して、ドライブレコーダ用画像を保存する検知後時間の間に、あらたにトリガーを検知した場合は、連続してドライブレコーダ用画像の保存をおこなうことができる。したがって、あて逃げ事故後の走行や玉突きなどによる連続的な事故であっても、ドライブレコーダ用画像の中断部分をなくすことができる。また、連続的な事故のドライブレコーダ用画像を中断部分なく保存することができるため、一連の事故について正確な事故資料の提供を図ることができる。
[0089] また、本実施例1によれば、トリガー検知後の検知後時間を経過した後は、ドライブレコーダ用画像の保存から、上書き記録へ切り替えて上書き記録を継続するため、ドライブレコーダ用画像の保存による記録媒体の容量のオーバーフローを防ぎ、記録媒体の有効利用を図ることができる。換言すれば、機器に対する負荷の軽減を図るとともに、必要なデータを確実に保存することができる。
[0090] また、本実施例1によれば、事故に遭遇した時点にくわえて事故未遂(ヒヤリハット)の時点におけるトリガーを検知した場合に、ドライブレコーダ用画像の保存をおこなうため、保存されたドライブレコーダ用画像を安全運転に幅広く活用することができる。」
キ「[0103] 以上説明したように、本発明によれば、移動体の危険な挙動を検知した後、一定時間内にあらたに危険な挙動を検知した場合は、映像データの記録先を継続して記録媒体に設定する。したがって、連続して危険な挙動があった場合でも、映像データを欠くことなく連続的に記録することができる。
[0104] また、本発明によれば、トリガーを検知して、ドライブレコーダ用画像を保存する検知後時間の間に、あらたにトリガーを検知した場合は、連続してドライブレコーダ用画像の保存をおこなうことができる。したがって、あて逃げ事故後の走行や玉突きなどによる連続的な事故であっても、ドライブレコーダ用画像の中断部分をなくすことができる。また、連続的な事故のドライブレコーダ用画像を中断部分なく保存することができるため、一連の事故について正確な事故資料の提供を図ることができる。
[0105] さらに、本発明によれば、トリガー検知後の検知後時間を経過した後は、ドライブレコーダ用画像の保存から、上書き記録へ切り替えて上書き記録を継続するため、ドライブレコーダ用画像の保存による記録媒体の容量のオーバーフローを防ぎ、記録媒体の有効利用を図ることができる。換言すれば、機器に対する負荷の軽減を図るとともに、必要なデータを確実に保存することができる。
[0106] くわえて、本発明によれば、事故に遭遇した時点にくわえて事故未遂(ヒヤリハット)の時点におけるトリガーを検知した場合に、ドライブレコーダ用画像の保存をおこなうため、保存されたドライブレコーダ用画像を安全運転に幅広く活用することができる。
[0107] なお、本発明では連続して検知したトリガーに対するドライブレコーダ用画像を連続して保存する構成としているが、それぞれのドライブレコーダ用画像を保存して、重複する部分があった場合に、合成して一連の画像とする構成でもよい。
[0108] また、本発明は、本実施例1と本実施例2についてそれぞれ説明をしたが、本実施例1あるいは本実施例2の機能を少なくとも一つ以上有していればよい。連続するトリガーに対して、複数の時間によって連続した保存を判断することで、本発明の汎用的な利用を図ることができる。
[0109] なお、本実施の形態で説明した情報記録方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体力も読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。」
ク 上記記載事項イ(特に段落[0027]、[0034]を参照。)及びキ(特に段落[0107]を参照。)並びに図3の図示内容からみて、引用文献1には、情報記録装置100のドライブレコーダ機能が、すでに危険な挙動を検知したとして映像データ(1)が記録される第1の所定期間と、第1の所定期間中に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合に記録する当該あらたに検知された場合の第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間とに、重なりがある場合において、映像データ(1)301と映像データ(2)302とを合成して一連の画像として記録することが記載されているといえる。
上記記載事項及び認定事項並びに図面の図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
〔引用発明〕
「振動センサやGセンサなど各種センサの出力値が規定以上の値であったり、異常を示す所定のパターンと近似した場合や、接触センサが作動した場合など、検知部102による危険な挙動を検知した場合に、第1の検知時点T(1)310から第1の所定期間の映像データと前記危険な挙動を検知したトリガーに基づくトリガー情報とを記録媒体106に記録するドライブレコーダ機能を備える情報記録装置100であって、
すでに前記危険な挙動を検知したとして映像データ(1)301が記録される第1の所定期間と、第1の所定期間中に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合に記録する当該あらたに検知された場合の第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間とに、重なりがある場合に、第1の所定期間の映像データ(1)301と第2の所定期間の映像データ(2)302とを合成して第1の所定期間と第2の所定期間との連続する期間の一連の記録データ(1)341として前記記録媒体106に記録し、前記第1の所定期間の第1の検知時点T(1)310におけるトリガー情報と前記第2の所定期間の第2の検知時点T(2)320におけるトリガー情報とを前記記録媒体106に記録するドライブレコーダ機能を備え、
前記連続する期間の記録データ(1)341を、前記記録媒体106に記録する機能を備える、
情報記録装置100。」
2 引用文献2
当審拒絶理由において引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-49956号公報(以下「引用文献2」という。)には、「運転記録装置に搭載可能な半導体集積回路およびその動作方法」に関して、図面(特に図4及び5を参照。)と共に次の事項が記載されている。
ア「【0036】
図3に示すように加速度データファイル51に記録された加速度データは、衝突の瞬間の最大値の加速度だけではなく、衝突前の加速度と衝突後の加速度を含んでいる。事故の原因究明では、運転記録装置DRSのHDD記録媒体装置5から加速度データファイル51を読み出して、パーソナル・コンピュータ等による解析によって、所定のしきい値を超過する加速度が最初に記録された時間を衝突時刻として特定するものである。しかし、この衝突時刻を正確に特定することが困難である。尚、図3に示した加速度データファイル51に記録された加速度データの例は、衝突時には後部車両から追突されたために正の大きな加速度が発生して、その直後に自車が前方車両に追突したため負の大きな加速度(減速)が発生したいわゆる玉突き事故の状況を示したものである。」
イ「【0044】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態は、車載カメラ(2)からの画像データと車載マイクロフォン(3)からの音声データと車載加速度センサ(4)からの加速度データを車載記憶媒体装置(5)に記録可能な運転記録装置(DRS)に搭載可能な半導体集積回路(1)である。
【0045】
前記半導体集積回路(1)は、動画像エンコーダ(10)と、音声圧縮エンコーダ(11)と、加速度解析器(12)と、動画像符号化データと音声圧縮データと加速度データとの多重化によって多重化情報を生成するマルチプレクサ(14)と、前記多重化情報を含む1個のファイル(50)を生成して前記車載記憶媒体装置(5)に格納する制御部(15)とを具備する。
【0046】
前記1個のファイルは、ムーブボックス(moov box)とメタデータボックス(mdat)とを含むMP4ファイルフォーマットによって構成される。
【0047】
前記ムーブボックスには、映像トラック(Video trak)としての第1のトラックと、音声トラック(Audio trak)としての第2のトラックと、加速度トラック(G-sensor trak)としての第3のトラックとが含まれ、前記第1のトラックと前記第2のトラックと前記第3のトラックとには映像再生の時刻情報と音声再生の時刻情報と加速度表示の時刻情報とがそれぞれ格納可能とされる。」
ウ「【0053】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態は、車載カメラ(2)からの画像データと車載マイクロフォン(3)からの音声データと車載加速度センサ(4)からの加速度データを車載記憶媒体装置(5)に記録可能な運転記録装置(DRS)に搭載可能な半導体集積回路(1)である。
【0054】
前記半導体集積回路(1)は、前記画像データから動画像符号化データを生成する動画像エンコーダ(10)と、前記音声データから音声圧縮データを生成する音声圧縮エンコーダ(11)と、前記加速度データを解析する加速度解析器(12)と、前記動画像符号化データと前記音声圧縮データと前記加速度データとの多重化によって多重化情報を生成するマルチプレクサ(14)と、前記マルチプレクサによって生成される前記多重化情報を含む少なくとも1個のファイル(50)を生成して前記車載記憶媒体装置(5)に格納する制御部(15)とを具備する。
【0055】
前記少なくとも1個のファイルは、ムーブボックス(moov box)とメタデータボックス(mdat)とを含むMP4ファイルフォーマットによって構成される。
【0056】
前記ムーブボックスには、映像トラック(Video trak)としての第1のトラックと、音声トラック(Audio trak)としての第2のトラックと、加速度トラック(G-sensor trak)としての第3のトラックとが含まれ、前記第1のトラックと前記第2のトラックと前記第3のトラックとには映像再生の時刻情報と音声再生の時刻情報と加速度表示の時刻情報とがそれぞれ格納可能とされる。
【0057】
前記メタデータボックスの画像チャンクと音声チャンクと加速度チャンクには、前記動画像符号化データと前記音声圧縮データと前記加速度データがそれぞれ格納可能とされたことを特徴とする(図4、図5参照)。
【0058】
前記実施の形態によれば、衝撃検出時点での画像データと音声データとの特定を容易とすることができる。
【0059】
好適な実施の形態では、前記加速度解析器(12)は前記加速度データが所定のしきい値を超過した場合には、衝突として判断して衝突情報を生成する。」
エ「【0074】
前記半導体集積回路(1)は、前記画像データから動画像符号化データを生成する動画像エンコーダ(10)と、前記音声データから音声圧縮データを生成する音声圧縮エンコーダ(11)と、前記加速度データを解析する加速度解析器(12)と、前記動画像符号化データと前記音声圧縮データと前記加速度データとの多重化によって多重化情報を生成するマルチプレクサ(14)と、前記マルチプレクサによって生成される前記多重化情報を含む少なくとも1個のファイル(50)を生成して前記車載記憶媒体装置(5)に格納する制御部(15)とを具備する。
【0075】
前記少なくとも1個のファイルは、ムーブボックス(moov box)とメタデータボックス(mdat)とを含むMP4ファイルフォーマットによって構成される。
【0076】
前記ムーブボックスには、映像トラック(Video trak)としての第1のトラックと、音声トラック(Audio trak)としての第2のトラックと、加速度トラック(G-sensor trak)としての第3のトラックとが含まれ、前記第1のトラックと前記第2のトラックと前記第3のトラックとには映像再生の時刻情報と音声再生の時刻情報と加速度表示の時刻情報とがそれぞれ格納可能とされる。
【0077】
前記メタデータボックスの画像チャンクと音声チャンクと加速度チャンクには、前記動画像符号化データと前記音声圧縮データと前記加速度データがそれぞれ格納可能とされたことを特徴とする(図4、図5参照)。
【0078】
前記実施の形態によれば、衝撃検出時点での画像データと音声データとの特定を容易とすることができる。」
オ「【0089】
《統合運転記録情報としてのMP4ファイルの特徴》
図4に示す本発明の実施の形態1において、HDD記録媒体装置5に統合運転記録情報として格納されるMP4ファイルフォーマットのファイル50は、標準規格ISO/IEC 14496-14に準拠するMP4ファイルフォーマットの下記の特徴を利用したものである。
【0090】
すなわち、図4に示したMP4ファイル50の全メタデータ包含コンテナ“moov”が従来の画像トラックVideo trakと音声トラックAudio trakとともにシーン記述等に利用可能な第3のトラックを含むことを利用している。この第3のトラックは、冒頭で説明したバイナリー・フォーマット・フォー・シーン・ディスクリプション(BIFS)のトラック“trak”やオブジェクトディスクリプター(OD)のトラック“trak”のようにテキスト情報等を含むことが可能である。具体的には、図4に示した本発明の実施の形態1では、この第3のトラックは加速度センサ4からの加速度情報の格納に利用される。
【0091】
更に画像トラックVideo trakと音声トラックAudio trakとこの第3のトラックとは、同時に1つのファイルに格納可能である。また画像トラックと音声トラックと第3のトラックの各トラックの階層構造の下層のサンプルテーブルボックス“stbl”にはデコーディングタイムツーサンプル“stts”、サンプルツーチャンク・パーシャルデータオフセット情報“stsc”、チャンクオフセット・パーシャルデータオフセット情報“stco”等の時刻情報が含まれているので、画像再生と音声再生と第3のトラックのテキスト情報等の表示による加速度の表示とは正確に同期されることが可能となる。」
カ「【0100】
ステップS2の初期設定の後に、ステップS3での車載カメラ2からの画像データ入力と、ステップS4での車載マイクロフォン3からの音声データ入力と、ステップS5での加速度センサ4からの加速度データ入力とが、並列に実行される。
【0101】
その後、車載カメラ2からの画像データの動画像エンコーダ10によるステップS6でのH.264方式の動画像エンコード処理と、車載マイクロフォン3からの音声データの音声圧縮エンコーダ10によるステップS7でのAMR-NB方式の音声圧縮エンコード処理と、加速度センサ4からの加速度データの加速度センサ解析器13によるステップS8での加速度データ解析処理とが、並列に実行される。
【0102】
その後、ステップS9では、MP4マルチプレクサ14によって動画像エンコーダ10からの動画像情報と音声圧縮エンコーダ10からの音声情報と加速度センサ解析器13からの加速度情報とが多重化される。
【0103】
その後、ステップS10では、MP4マルチプレクサ14から生成されるチャンク数Nでサンプル数Mの多重化データは、HDDコントローラ15によって制御されたHDD記録媒体装置5の内部でチャンク数Nとサンプル数Mによって指定される格納領域に格納される。
【0104】
その後、ステップS11では、先のステップS8で加速度データ解析処理された加速度データが事故での衝突に対応する所定のしきい値を超過しているか否かが加速度センサ解析器13によって判定される。ステップS11で事故での衝突が検出されなかった場合には、ステップS12に移行する。尚、ステップS11での加速度センサ解析器13による衝突検出は、中央処理ユニット12に供給される。」
キ「【0115】
《実施の形態1による効果》
以上、図4乃至図6を使用して説明した本発明の実施の形態1によれば、標準規格ISO/IEC 14496-14に準拠するMP4ファイルフォーマットのファイル50のムーブボックスmoov boxには、画像トラックと音声トラックと第3トラックとしての加速度トラックと、各トラックの時刻情報が含まれる。従って、動画像再生と音声再生と加速度データ出力表示とは正確に同期されることが可能となる。その結果、衝撃検出時点での画像データと音声データとの特定を容易とすることが可能となる。」
上記記載事項及び図面(特に図4及び5を参照。)の図示内容からみて、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。
〔引用文献2記載事項〕
「運転記録装置において、複数の画像データ、音声データ、加速度データ等のドライブレコーダ情報を、加速度データが所定のしきい値を超過している衝撃検出時点を特定する時刻情報とともに、1つのMP4ファイル50として車載記憶媒体装置に記録すること。」
第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「記録媒体106」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「記録手段」に相当し、以下同様に、「情報記録装置100」は「記録制御システム」に、「映像データ」は「車両の挙動情報」に、「第1の所定期間」は「第一の期間」に、「第2の所定期間」は「第二の期間」に、それぞれ相当する。
引用発明の「振動センサやGセンサなど各種センサの出力値が規定以上の値であったり、異常を示す所定のパターンと近似した場合や、接触センサが作動した場合など、検知部102による危険な挙動を検知した場合」は、「ドライブレコーダ機能」が記録を開始するための所定条件を満たした場合といえるから、本願発明の「所定条件を満たした際」に相当する。
引用発明の「危険な挙動を検知したトリガーに基づくトリガー情報」は、各種センサの出力から危険な挙動を検知した場合の情報であって、当該トリガー情報は、交通事故発生時の検証用資料に用いられること(段落[0054]参照。)、及び、ドライブレコーダは通常、カメラで撮影した画像に時刻情報を付与して記録情報を記録するものであること(段落[0002]参照。)という記載から、上記相当関係を踏まえると、本願発明の「前記所定条件を満たした時点を特定可能とする特定用情報」に相当する。そして、引用発明の「ドライブレコーダ機能」においては、映像データと、時刻情報を含むトリガー情報とを「関連づけて」、記録媒体106に記録しているといえる。
引用発明の「すでに前記危険な挙動を検知したとして映像データ(1)301が記録される第1の所定期間」は、上記相当関係を踏まえると、本願発明の「すでに前記所定条件を満たしたとして車両の挙動情報が記録された第一の期間」に相当する。
引用発明の「第1の所定期間中に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合に記録する当該あらたに検知された場合の第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間」は、上記相当関係を踏まえると、本願発明の「新たに所定条件を満たした際に記録する当該新たに所定条件を満たした時点の前後に亘る期間である第二の期間」に相当する。
引用発明の「第1の所定期間の映像データ(1)301と第2の所定期間の映像データ(2)302とを合成して第1の所定期間と第2の所定期間との連続する期間の一連の記録データ(1)341として前記記録媒体106に記録し」と本願発明の「第一の期間に亘る車両挙動の最後尾に続けて、第二の期間のうち第一の期間に亘る車両挙動と重複する部分を除いた第一の期間に亘る車両挙動の最後尾の時点以降の続きの部分の車両挙動を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として前記記録手段に記録し」とは、上記相当関係を踏まえると、「第一の期間に亘る車両の挙動情報と第二の期間に亘る車両の挙動情報を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として前記記録手段に記録し」という限りにおいて一致する。
引用発明の「前記第1の所定期間の第1の検知時点T(1)310におけるトリガー情報」及び「前記第2の所定期間の第2の検知時点T(2)320におけるトリガー情報」は、引用文献1の段落[0002]及び[0054]の記載並びに上記相当関係を踏まえると、本願発明の「前記第一の期間に関連付けて前記記録手段に記録される第一の特定用情報」及び「前記新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報」に相当する。そして、引用発明の「ドライブレコーダ機能」は、映像データと、時刻情報を含むトリガー情報とを「関連づけて」、記録媒体106に記録しているものであるから、引用発明の「前記第1の所定期間の第1の検知時点T(1)310におけるトリガー情報と前記第2の所定期間の第2の検知時点T(2)320におけるトリガー情報とを前記記録媒体106に記録するドライブレコーダ機能」は、本願発明の「前記第一の期間に関連付けて前記記録手段に記録される第一の特定用情報に前記新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報を関連付けて前記記録手段に記録する機能」に相当する。
引用発明の「前記連続する期間の記録データ(1)341を、前記記録媒体106に記録する機能」と本願発明の「前記連続する一連の期間の車両の挙動情報を、前記記録手段に一のデータファイルとして記録する機能」とは、上記相当関係を踏まえると、「前記連続する一連の期間の車両の挙動情報を、前記記録手段に記録する機能」という限りにおいて一致する。
したがって、両者には、次の一致点、相違点がある。
〔一致点〕
「所定条件を満たした際に所定期間に亘る車両の挙動情報と前記所定条件を満たした時点を特定可能とする特定用情報とを関連付けて記録手段に記録する機能を備える記録制御システムであって、
すでに前記所定条件を満たしたとして車両の挙動情報が記録された第一の期間と、新たに所定条件を満たした際に記録する当該新たに所定条件を満たした時点の前後に亘る期間である第二の期間とに、重なりがある場合に、第一の期間に亘る車両挙動と第二の期間に亘る車両挙動を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として前記記録手段に記録し、前記第一の期間に関連付けて前記記録手段に記録される第一の特定用情報に前記新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報を関連付けて前記記録手段に記録する機能を備え、
前記一連の期間の車両の挙動情報を、前記記録手段に記録する機能を備える、
記録制御システム。」
〔相違点1〕
「第一の期間に亘る車両挙動と第二の期間に亘る車両挙動を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として前記記録手段に記録し」に関して、本願発明は、「第一の期間に亘る車両挙動の最後尾に続けて、第二の期間のうち第一の期間に亘る車両挙動と重複する部分を除いた第一の期間に亘る車両挙動の最後尾の時点以降の続きの部分の車両挙動を、連続する一連の期間に亘る車両の挙動情報として」記録手段に記録するのに対して、引用発明は、かかる事項を備えるかどうか不明な点。
〔相違点2〕
「前記一連の期間の車両の挙動情報を前記記録手段に記録する機能」に関して、本願発明は、連続する一連の期間の車両の挙動情報を「一のデータファイルとして」記録するのに対し、引用発明は「一のデータファイルとして」記録するかどうか不明な点。
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「すでに前記危険な挙動を検知したとして映像データ(1)301が記録される第1の所定期間と、第1の所定期間中に検知部102によって危険な挙動があらたに検知された場合に記録する当該あらたに検知された場合の第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間とに、重なりがある場合に、第1の所定期間の映像データ(1)301と第2の所定期間の映像データ(2)302とを合成して第1の所定期間と第2の所定期間との連続する期間の一連の記録データ(1)341として前記記録媒体106に記録」するものである。
引用文献1の段落[0107]には、「本発明では連続して検知したトリガーに対するドライブレコーダ用画像を連続して保存する構成としているが、それぞれのドライブレコーダ用画像を保存して、重複する部分があった場合に、合成して一連の画像とする構成でもよい。」と記載されている。複数のデータが重複する部分を持つデータを合成して一連のデータとする場合、当該重複する部分はデータ保存の際にどちらか一方が不要であることは当業者が通常認識することであり、データ量の節約のために不要なデータを除いて保存することも当業者の常套手段であるといえる。そして、不要なデータを除く場合に、(A)先に保存されるデータを全て保存しつつ、後から保存されるデータは先に保存されるデータ最後尾の時点以降の続きのデータのみを追加して保存する態様とするか、(B)重複する時点までは先に保存されるデータを保存しつつ、重複する時点以降は後から保存されるデータを全て保存する態様とするかは、当業者が適宜選択すべき事項である。
そうすると、引用発明において、「第1の所定期間の映像データ(1)301」と「第2の所定期間の映像データ(2)302」とを合成して「一連の記録データ(1)341」とする場合に、重複する部分のデータを除く態様として、第1の所定期間の映像データ(1)301の最後尾に続けて、第2の所定期間の映像データ302のうち重複する部分を除いた第1の所定期間の映像データ(1)301の最後尾の時点以降の続きの映像データを合成して、一連の記録データ(1)341とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
上記相違点2について検討する。
引用文献2記載事項は、「運転記録装置において、複数の画像データ、音声データ、加速度データ等のドライブレコーダ情報を、加速度データが所定のしきい値を超過している衝撃検出時点を特定する時刻情報とともに、1つのMP4ファイル50として車載記憶媒体装置に記録すること。」である。
本願発明と引用文献2記載事項とを対比すると、引用文献2記載事項の「1つのMP4ファイル50」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明の「一のデータファイル」に相当し、以下同様に、「運転記録装置」は「記録制御システム」に、「複数の画像データ、音声データ、加速度データ等のドライブレコーダ情報」は「車両の挙動情報」に、「加速度データが所定のしきい値を超過している衝撃検出時点を特定する時刻情報」は「特定用情報」に、「車載記憶媒体装置」は「記録手段」に、それぞれ相当する。
そうすると、引用文献2記載事項を、本願発明の用語で整理すると、
「記録制御システムにおいて、車両の挙動情報を特定用情報とともに一のデータファイルとして、記録手段に記録すること。」といえる。
引用発明は、連続する第1の所定期間と第2の所定期間とに亘る車両の挙動情報である、第1の所定期間の映像データ(1)と第2の所定期間の映像データ(2)とを、連続する期間に亘る1つの記録データ(1)として、記録装置106に記録するものである。
引用発明と引用文献2記載事項とは、車両の挙動情報と特定用情報とを記録手段に記録する記録制御システムに関する技術として共通するものであり、記録制御システムにおいて事故が発生した際の正確な資料を提供するという共通の作用機能を有するものである。
そうすると、引用発明において、引用文献2記載事項を適用して、第1の所定期間と第2の所定期間との連続する期間の複数の映像データを、一のデータファイルとして、記録手段に記録することは、当業者が容易になし得たことである。
よって、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 審判請求人の主張について
請求人は令和2年7月31日の意見書(以下「意見書」という。)の3.において次のように主張している。
(主張1)「引用文献1に記載の発明は、その[0054]に記載のように「検知したトリガーに基づいてトリガー情報を累積保存」する程度の開示しかなく、本願のような「第一の期間に関連付けて記録手段に記録される第一の特定用情報に新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報を関連付けて記録手段に記録」することは開示されていません。また、引用文献1は、その[0034]に「換言すれば、記録部101は、連続する危険な挙動の検知時点T(1)310、検知時点T(2)320の映像データを含む記録データ(1)341を、記録媒体106に記録する」との記載がありますが、この記載を、本願発明を見て都合よく解釈すること(いわゆる後知恵)は許されません。引用文献1のこの記載の具体的な構成はその前の行にある「・・・危険な挙動があらたに検知された第2の検知時点T(2)320からの第2の所定期間(本図では、検知前時間tb(2)321と、検知後時間ta(2)322の期間)の映像データ(2)302を、第1の所定期間の映像データ(1)301に引き続き記録媒体106に不揮発に記録する」ものです。すなわち、引用文献1の図3において、tb(1)、ta(1)の記録に引き続いて、tb(2)の全体、ta(2)の記録を行うものにすぎません。これは引用文献1がその[0004]に記載のように、「・・上述した従来技術によれば、衝撃を検知した時点から所定時間の間に別の衝撃を検知した場合、直前の衝撃検知による記録情報の保存をおこなっているため、別の衝撃検知に関する記録情報の保存がおこなえない。したがって、あて逃げ事故後の走行や玉突きなどによる連続的な事故に遭遇した場合、最初の衝撃より後の事故に関する記録情報の保存ができないという問題が一例として挙げられる。」といったレベルの課題を解決する構成にすぎず、本願ように本願の上述した効果に対応する課題の把握(着想)がなされていないためです。こうした引用文献の課題、及び、引用文献1の「tb(1)、ta(1)の記録に続いて、tb(2)の全体、ta(2)の順に記録を行う」という思想は、本願発明に至る阻害要因にすらなりうるものです。
以上のように、本願記載の発明と引用文献に記載の発明とはその技術的思想が異なるものであり、本願発明は引用文献とは異質な固有の効果を奏する特徴的な構成要素及び構成要素間の有機的連携を有する構成であり、補正後の請求項1に記載の発明は、特許を受けるべき発明です。また請求項1を引用する請求項2に記載の発明も特許を受けるべき発明です。」(意見書の2ページ2行ないし30行)
(主張2)「このような構成により、第一の期間に関連付けて記録手段に記録される第一の特定用情報に新たに所定条件を満たした時点を特定可能とする第二の特定用情報を関連付けて記録手段に記録されるため第一の特定用情報と第二の特定用情報の関連性を特定することが可能となるとともに、例えば本願の図3(d)に示すような連続する一連の期間の車両挙動を一のデータファイルとして取得することができます。例えば、図3(d)の例であれば、第一の期間にあたるPA1とPB1に続いて第二の期間のうちPB1の最後尾の時点(te1)以降の部分であるPA2aから記録されるため、te1の時点での車両挙動の連続性を維持して、データの提示(例えば再生等)を行うことが容易にできます。車両挙動として映像を記録するケースであれば、例えばte1の時点の前後で映像の時間的連続性を保って再生することが可能となります。しかもこうした特徴のある一のデータファイルは、[0035]に記載のように、例えば「一連の期間の車両の挙動情報を別の記録媒体や記録装置に移動したり、コピーしたりすることや、パーソナルコンピュータ(PC)に読み込ませることが容易にでき」、例えば「一連の挙動情報のうち、一部のみコピーして他の部分のコピーを忘れたり、一部を削除してしまったりすること」がなくなる形で取り扱うことが可能となります。」(意見書の1ページ下から14行ないし2ページ1行)
上記主張1について検討すると、上記「第5 対比・判断」において上記相違点1についての検討で述べたとおり、引用文献1の段落[0107]には、「本発明では連続して検知したトリガーに対するドライブレコーダ用画像を連続して保存する構成としているが、それぞれのドライブレコーダ用画像を保存して、重複する部分があった場合に、合成して一連の画像とする構成でもよい。」と記載されている。また、複数のデータが重複する部分を持つデータを合成して一連のデータとする場合、当該重複する部分はデータ保存の際にどちらか一方が不要であることは当業者が通常認識することであり、データ量の節約のために不要なデータを除いて保存することも当業者の常套手段であるといえる。そして、不要なデータを除く場合に、(A)先に保存されるデータを全て保存しつつ、後から保存されるデータは先に保存されるデータ最後尾の時点以降の続きのデータのみを追加して保存する態様とするか、(B)重複する時点までは先に保存されるデータを保存しつつ、重複する時点以降は後から保存されるデータを全て保存する態様とするかは、当業者が適宜選択すべき事項である。
したがって、引用発明において請求人が主張するような本願発明に至る阻害要因となる事項はなく、引用発明において上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たものである。
また、請求人が上記主張2で主張している本願発明が奏する作用効果は、引用文献1の段落[0036]、[0088]、[0104]及び[0108]の記載や引用文献2記載事項における「1つのMP4ファイル50として車載記憶媒体装置に記録すること」から、当業者が予測できる範囲内のものである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-008402