特許異議申立
2018-701033
搬送装置および搬送方法
- 審判番号
- 2018-701033
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-220159
- 登録番号
- 特許第6345077号(P6345077)
- 請求日
- 2018年12月20日
- 審決日
- 2019年04月24日
- 公報発行日
- 2019年06月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】西松建設株式会社
- 【権利者代理人】特許業務法人エム・アイ・ピー
- 【異議申立人】中川 賢治
- 審判長/審判官
- 審判長 小野 忠悦
- 審判官 西田 秀彦
- 審判官 住田 秀弘
- 分類
- P1651.161-Y (E21D) / P1651.121-Y (E21D) / P1651.537-Y (E21D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6345077号発明「搬送装置および搬送方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6345077号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6345077号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成26年10月29日に特許出願され、平成30年6月1日に特許の設定登録がされ、平成30年6月20日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、平成30年12月20日に特許異議申立人中川賢治(以下「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~11に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される、下記のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する搬送装置であって、
各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体と、
前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段とを含む、搬送装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記シールドマシンを搬送するための第1装置と、前記第1装置に並設され、前記資機材を搬送するための第2装置とから構成され、前記第1装置および前記第2装置の各々が、前記回転構造体と複数の前記回転手段とを含む、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記シールドマシンは、前記第1シールドトンネルの底部に設けられた開口を通して前記第1装置内の搬送ユニットへ搬入され、前記資機材は、前記第1シールドトンネルの両側部に設けられた2つの開口を通して前記第2装置内の搬送ユニットへ搬入される、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1シールドトンネルの外面から離間した前記地盤には、支持構造物が構築され、前記搬送装置は、前記支持構造物に支持される、請求項1~3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記回転構造体は、複数の前記回転手段に加え、前記搬送ユニット内に設置された錘により回転する、請求項1~4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ユニットは、円筒状の外枠部と、前記外枠部の内側に設けられる円筒状の内枠部と、前記外枠部と前記内枠部との間に該内枠部を回転可能に支持する回転支持手段とを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記搬送ユニットは、前記内枠部の回転を停止させるための回転停止手段を備える、請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送ユニットは、前記シールドマシンの外部に露出する外胴と該外胴内に組み込まれる内胴のうち該外胴のみを搬送し、前記第2シールドトンネルを構築するために使用した他のシールドマシンの内胴を、該外周内に組み込んでシールドマシンを組み立てた後、組み立てたシールドマシンを前記周方向の所定位置へ搬送する、請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する方法であって、
各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結する円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体の各搬送ユニット内に、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の各々を通して各前記搬送物を搬入する工程と、
前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設された複数の回転手段により各前記回転構造体を回転させ、前記第1シールドトンネルの周方向に各前記搬送物を搬送する工程とを含む、搬送方法。
【請求項10】
前記搬送物を搬入する工程は、前記回転構造体と複数の前記回転手段とを含む第1装置の搬送ユニット内に、前記第1シールドトンネルの底部に設けられた開口を通して前記シールドマシンを搬入する工程と、前記回転構造体と複数の前記回転手段とを含む第2装置の搬送ユニット内に、前記第1シールドトンネルの両側部に設けられた2つの開口を通して前記資機材を搬入する工程とを含む、請求項9に記載の搬送方法。
【請求項11】
前記第1装置の搬送ユニットにより、前記シールドマシンの外部に露出する外胴と該外胴内に組み込まれる内胴のうち該外胴のみを搬送する工程と、前記第2シールドトンネルを構築するために使用した他のシールドマシンの内胴を、該外周内に組み込んでシールドマシンを組み立てた後、組み立てたシールドマシンを前記周方向の所定位置へ搬送する工程とをさらに含む、請求項10に記載の搬送方法。」
第3 申立理由の概要
1 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、本件特許の出願後に特許掲載公報の発行若しくは出願公開公報の発行がされた甲第1号証の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の出願の発明者が本件特許の出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明、甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3 本件の請求項2~8に係る特許は、請求項の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、取り消すべきものである。
[証拠方法]
甲第1号証:特願2014-1746号(特開2015-129411 号)
甲第2号証:特開平7-208070号公報
甲第3号証:特開2014-43738号公報
第4 各甲号証の内容
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載事項(下線は決定で付した。以下同様。)
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法に関する。」
イ「【0025】
以下、本発明の実施の形態によるシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態によるシールドトンネルに用いる資材供給装置10(図4参照)は、例えば大断面の道路トンネルなどの地中空洞部Kを施工するに際して、その地中空洞部Kの掘削予定位置の内側に本線シールドトンネル1を予め施工しておき、その本線シールドトンネル1の外側に複数の外殻シールドトンネル2を施工することにより、それら外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲む外殻体20を構築し、この外殻体20の内側を掘削して地中空洞部Kを構築するシールドトンネルの施工に用いられている。本線シールドトンネル1および外殻シールドトンネル2は、在来のシールド工法により施工されるものである。
ここで、本線シールドトンネル1におけるトンネル軸方向を符号Xで示す。
なお、図2では、見易くするために複数の外殻シールドトンネル2のうち一部(紙面手前側に位置するもの)を省略している。
【0027】
本実施の形態の地中空洞部Kは、図2及び図3に示すように、本線シールドトンネル1を施工した後、本線シールドトンネル1における発進基地部において周方向の一部分を切り広げた円周シールド発進基地3A(円周シールド発進部)を施工し、円周シールド発進基地3Aから円周シールド機5によって本線シールドトンネル1の外周面1aに沿って周方向に掘削してリング状の外殻シールド発進基地3B(外殻シールド発進部)を施工し、さらに外殻シールド発進基地3Bより外殻シールド機6を発進させて、複数の外殻シールドトンネル2を設けることにより施工される。
【0028】
外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地3Bから本線シールドトンネル1と平行に発進させると共に、掘進に従って漸次、本線シールドトンネル1から径方向の外側に離れる方向に向けて掘進される。また、外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地3Bにおいて周方向に沿って配置される複数の外殻シールド機6を同時、あるいは適宜な順番で掘進させることにより、施工される。」
ウ「【0030】
資材供給装置10は、図4に示すように、地中空胴部Kを施工する過程において、主に複数の外殻シールドトンネル2を施工するための外殻シールド発進基地3B内に設置されている。そして、この資材供給装置10を使用して、外殻シールド機6を外殻シールド発進基地3B内に設置して発進準備をし、発進した後において、本線シールドトンネル1の外周部分に掘進に伴って発生するセグメント、各種管材、枕木等の資材が供給される。
なお、資材供給装置10は、資材の供給、搬入に使用されることに限らず、資材の搬出にも使用できることは言うまでもない。
【0031】
図4乃至図6に示すように、資材供給装置10は、本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置されるガイドレール11、12と、ガイドレール11、12に沿って旋回するとともに、筒軸C(図5、図6)を本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の回転ドラム13と、回転ドラム13内で筒軸C回りに周回可能に設けられたステージ14と、を備えている。
【0032】
ガイドレール11、12は、互いに本線シールドトンネル1に同軸に配置される内周レール11と外周レール12を有し、内周レール11及び外周レール12ともにトンネル軸方向Xに一定の間隔をあけて一対設けられている。
図7に示すように、内周レール11は、外殻シールド発進基地3Bにおいて、本線シールドトンネル1の外周面1aの外側に配置され、そのレール外周面には全周にわたって第1係止歯11aが形成されている。
外周レール12は、発進基地部1Aにおいて、内周レール11の径方向の外側に配置され、そのレール内周面には全周にわたって第2係止歯12aが形成されている。
【0033】
回転ドラム13は、図4及び図5に示すように、内周レール11と外周レール12の間で、両レール11、12に案内されるように設けられ、本線シールドトンネル1の外側を
旋回領域とするように配置されている。回転ドラム13は、図7に示すように、筒状に形成されたドラム本体13Aと、本線シールドトンネル1の外周面1a及び外殻シールド発進基地3Bのセグメント内面に沿って周方向に走行可能に支持された走行支持部13Bと、を備えている。
ステージ14を備えた回転ドラム13は、ガイドレール11、12内で複数(ここでは、図5に示すように3つ)設けられている。
【0034】
回転ドラム13のドラム本体13Aには、トンネル軸方向Xに配置される一対のガイドレール11、11(12、12)に対応する位置に、H形鋼等の鋼材を環状に形成した一対の支持リング13C(図4参照)が設けられている。そして、図7に示すように、これら支持リング13Cの周面には、全周にわたって上記内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに噛合する第3係止歯13aが形成されている。なお、図7では、見易くするために第3係止歯13aの上下の一部のみを示している。
【0035】
走行支持部13Bは、ドラム本体13Aの周面に対して転動するローラ13bと、本線シールドトンネル1の外周面1a及び外殻シールド発進基地3Bのセグメント内面に沿って転動する走行輪13cと、が連結材13dによって一体に設けられた構成となっている。さらに走行支持部13Bには、ドラム本体13Aの第3係止歯13aに噛合する駆動モータ13Dが固定されている。回転ドラム13は、駆動モータ13Dを駆動させることにより、筒軸Cを中心に正逆いずれかに回転し、ガイドレール11、12に案内されて、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回する。
【0036】
回転ドラム13のドラム本体13Aには、図5に示すように、ガイドレール11、12の周方向の所定位置(真下の位置)で本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられている。この資材投入部13Eは、開口の状態でもよいし、図示しない開閉扉を設けた開閉式でもよい。」
エ「【0038】
次に、上述した資材供給装置10を用いた大断面トンネルの施工方法について、図面に基づいてさらに詳しく説明する。
本実施の形態では、図3に示すように、本線シールドトンネル1が所定の予定位置に達した時点で、解体することを考慮したセグメントと、円周シールド機5を案内させるための一対のリング状のガイドリング51A、51Bを組み立てた後、さらに掘進を続ける。そして、本線シールドトンネル1の発進基地部1Aにおいて、円周シールド機5により、本線シールドトンネル1の周囲にドーナツ状(リング状)の外殻シールド発進基地3B(図1参照)を築造し、この発進基地内部より外殻シールド機6(図2参照)を発進させる。
なお、これらガイドリング51A、51B同士の間における本線シールドトンネル1の発進基地部1Aには、円周シールド発進基地3A、および円周シールド機5の掘進に伴うセグメント撤去作業を容易にするため、多分割化された仮設セグメントが採用されている。
・・・
【0041】
次に、図1に示すように、外殻シールド発進基地3B内において、複数の円形断面の外殻シールド機6を設置し、トンネル軸方向Xに平行に発進させることにより、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する。
【0042】
具体的には、図4及び図6に示すように、外殻シールド発進基地3Bのトンネル軸方向Xの後半部分(掘進方向側とは反対側の部分)に資材供給装置10を設置する。そして、外殻シールド発進基地3Bに面する本線シールドトンネル1の下部分を撤去して、外殻シールド発進基地3B内に連通する資材投入口1b(図5参照)を設ける。
【0043】
その後、資材供給装置10の回転ドラム13を資材投入口1bに位置する真下の位置へ旋回させ、回転ドラム13内のステージ14上に外殻シールド機6を供給する。そして、回転ドラム13をガイドレール11、12に沿って所定の発進位置に旋回させる。このときステージ14が回転ドラム13に対して相対的に回転可能に設けられているので、回転ドラム13の旋回移動に追従させてステージ14を筒軸C回り(図7の矢印F方向)に回転せることで、回転ドラム13の周方向に位置にかかわらずステージ14の載置面を常に水平になるように保持することができる。そして、外殻シールド機6を載置させたままステージ14を水平移動させ、ステージ14から外殻シールド機6を発進させて、複数の外殻シールドトンネル2を施工することができる。
・・・・・
【0047】
次に、上述したシールドトンネルに用いる資材供給装置、及びトンネル施工方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図4に示すように、本実施の形態では、本線シールドトンネル1に設置された回転ドラム13内のステージ14上に資材を供給した後、回転ドラム13をガイドレール11、12に沿って案内させて周方向に旋回することで、ステージ14上の資材を、本線シールドトンネル1の外周部分の所定位置へ運搬することができる。
このように、ステージ14への資材の供給部分を本線シールドトンネル1の一部のみ(本実施の形態では本線シールドトンネル1の真下の位置(資材投入口1b))で行うことができるうえ、ステージ14を有する回転ドラム13が本線シールドトンネル1の外周部分のみを旋回する構成となるので、資材の供給に必要な占有面積を小さくすることが可能となり、本線シールドトンネル1の断面全体を塞ぐように資材搬入用の仮設構台を設ける従来の場合に比べて、本線シールドトンネル1で行う他の作業への影響を低減することができる。
【0048】
そして、上記資材供給装置10を使用してトンネルを施工する場合には、外殻シールドトンネル2の一部に全周にわたって外殻シールド発進基地3Bを設け、この外殻シールド発進基地3Bに資材供給装置10を設置することで、回転ドラム13の旋回領域を本線シールドトンネル1の外周側とすることができ、本線シールドトンネル1の断面を有効に使用することができる。しかも、資材供給装置10を使用して外殻シールド機6の搬入・組立作業が可能となり、工期短縮を図ることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、回転ドラム13の旋回領域を本線シールドトンネル1の外周側とすることができ、本線シールドトンネル1内に回転ドラムが旋回することがないので、回転ドラム13を使用した資材運搬時において本線シールドトンネル1の断面を有効に使用することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、回転ドラム13は内周レール11と外周レール12との両者によって内外から支持された状態でガイドレール11、12に沿って旋回することができるので、振れのない安定した旋回が可能となり、重量の大きな資材を回転ドラム13によって運搬することができる。
【0051】
さらに、本実施の形態では、資材の供給時に資材投入部の位置に回転ドラム13を旋回移動させることで、本線シールドトンネル1内部から回転ドラム13の内部へ資材を供給することができる。回転ドラム13はガイドレール11、12に案内されて旋回可能であるので、少なくとも1箇所の資材投入部を設けておくことにより、資材の供給を容易に行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ステージ14上に供給される資材をガイドレール11、12の周方向の所定位置で回転ドラム13の外方に移動させることができる。そのため、回転ドラム13に対して資材を供給、搬出する作業を回転ドラム13の外方で行うことができるので、作業効率を向上させることができる。」
オ 図面
「【図1】
【図4】
【図5】
【図7】
」
図5から、資材供給装置10において、内周レール11と、外周レール12と、複数の回転ドラム13とを含む、構造体が看て取れる。
また、図7から、複数の駆動モータ13Dが、走行支持部13Bに固定されている点が看て取れる。
(2)甲第1号証に記載された発明
上記(1)のア~オを踏まえると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」及び「甲1発明の2」という。)が記載されていると認められる。
(甲1発明)
「大断面の道路トンネルなどの地中空洞部Kを施工するに際して、その地中空洞部Kの掘削予定位置の内側に本線シールドトンネル1を予め施工しておき、その本線シールドトンネル1の外側に複数の外殻シールドトンネル2を施工することにより、それら外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲む外殻体20を構築し、この外殻体20の内側を掘削して地中空洞部Kを構築するシールドトンネルの施工に用いられる、外殻シールド機6及びセグメント、各種管材、枕木等の資材を供給する資材供給装置であり、
本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置される内周レール11と、外周レール12と、筒状に形成されたドラム本体13Aと、走行支持部13Bと、内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに噛合する第3係止歯13aが形成された鋼材を環状に形成した一対の支持リング13Cが設けられるとともに、真下の位置に資材投入口1bが設けられた本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられ、筒軸Cを本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の複数の回転ドラム13とを含む、構造体と、
走行支持部13Bに固定されており、駆動させることにより、回転ドラム13を筒軸Cを中心に正逆いずれかに回転し、内周レール11と、外周レール12に案内されて、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回させる複数の駆動モータ13Dとを含む、
資材供給装置。」
(甲1発明の2)
甲1発明を使用した資材供給方法。
2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の記載事項
ア「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地山内の外殻構造体が複数のシールドトンネルの重合体で構成される大断面トンネルを構築するにあたり、シールドトンネルを形成するためのシールド機を立坑から発進させる方法およびその発進立坑に関する。」
イ「【0007】
【作用】本発明によれば、発進位置に架台ごとシールド機を軌道部材に沿って移動させそこからシールド機を発進させる。発進位置すべてにシールド機発進用の架台を設置する必要がなく、よってシールド機を発進させるたびに架台の組立ておよび解体作業を必要としなくなり、その結果、架台の組立ておよび解体作業にかかる膨大な費用と時間が省略され、大断面トンネル構築の工期の短縮とコストの低減を大幅に達成することができる。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。図1および図2は本発明に係るシールド機発進用の立坑1を示しており、この立坑1は、地表から地山Gに掘削して形成した掘削孔G1の内壁2が打設コンクリートにより補強され、その内側にガイドレール(軌道部材)3が設置され、かつこのガイドレール3にシールド機4がセットされるゲージ(架台)5が複数設置されるよう構成されている。
【0009】ガイドレール3は、構築すべき大断面トンネルの外形断面(この場合円形)に即した輪郭に形成された内レール10および外レール11からなる二重リング構造で、内壁2の前壁部2aおよび後壁部2bに互いに対向して設置されている。各レール10、11の内周面にはゲージ5をガイドレール3に沿って移動させるためのギヤ10a、11a(図3、図4参照)が一体に形成されている。ガイドレール3の内側の空間には、図1に示すように、前後壁部2a、2b間にわたって張られた複数の梁12および複数のステージ13により資機材Wの置き場14が複数階層形成することができる。
【0010】ゲージ5は充分な剛性を有する円筒状のケーシング15の内底部にシールド機4を安定して載せるための載置台16が設けられてなるもので、ケーシング15の両端部の外周は縮径されており、この縮径部15aには、図3および図4に示すように、ガイドレール3を構成する内外のレール10、11のギヤ10a、11aに対して別個に噛合する内側ギヤ17および外側ギヤ18がそれぞれ回転自在に、かつ互いに同軸的に装着されている。このように前後のガイドレール3、3のギヤ10a、11aに内側ギヤ17、外側ギヤ18が噛合されてゲージ5はその両端部が前後のガイドレール3、3に支持され、この支持状態でその軸方向が略水平とされる。なお図示例では内側ギヤ17が縮径部15aの端部側、外側ギヤ18が内側にそれぞれ配されているが、この配列は逆でもかまわない。内側ギヤ17および外側ギヤ18は図示せぬモータ等の駆動機構により互いに逆方向に、かつ外側ギヤ18が内側ギヤ17よりも適宜に速く回転させられ、これら各ギヤ17、18の回転作用により、ゲージ5は載置台16が水平を維持したままでガイドレール3、3に沿って移動できるようになっている。また、内側ギヤ17と外側ギヤ18を同方向に回転させればゲージ5の位置をそのままとしてゲージ5自体を軸回りに回転させることができる。またゲージ5はガイドレール3、3に少なくとも1つ設置するようにし、図示例では4つ設置されている。ゲージ5の設置数は作業手順によっては多数設置でき、最大では構築する小口径のシールドトンネル数の半分の数を設置できる。」
ウ「【0017】上記の立坑およびこの立坑からのシールド機の発進方法によれば、シールド機4の発進位置すべてにシールド機発進用のゲージ5を設置する必要がなく、発進位置にゲージ5をガイドレール3、3に沿って移動させればよい。すなわち1つのゲージ5をシールド機4の発進のために何回も繰り返し流用することによりシールド機4を発進させるたびにゲージ5の組立ておよび解体作業を必要としなくなり、その結果、ゲージ5の組立ておよび解体作業にかかる膨大な費用と時間が省略され、大断面トンネル構築の工期の短縮とコストの低減を大幅に達成することができる。
【0018】また、ガイドレール3、3に沿ってゲージ5を移動自在に支持させる構造は、ガイドレール3側のギヤ10a、10bに対してゲージ5の両端部のギヤ17、18を噛合させ、これらギヤ17、18を回転させるといった単純な構造であるから、製造が容易であるとともにさらなるコスト低減のための手段として好適である。」
エ 図面
「【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
」
図1~3から、シールド機4が、立坑1の内壁の前壁部2a、後壁部2bに互いに対向して円形状に設置されたガイドレール3,3と、ガイドレールに設置された複数のゲージ5を含む装置によって円形状に移動できるようになっている点が看て取れる。
また、図1~3から、シールド機4を移動する装置において、内レール10および外レール11からなる二重リング構造のガイドレール3、3と、複数設置されるゲージとを含む、構造体が看て取れる。
(2)甲第2号証に記載された発明
上記(1)のア~エを踏まえると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」及び「甲2発明の2」という。)が記載されていると認められる。
(甲2発明)
「シールド機4を移動する装置であって、
立坑1の内壁2の前壁部2aおよび後壁部2bに互いに対向して設置され、内レール10および外レール11からなる二重リング構造のガイドレール3、3と、ガイドレール3を構成する内外のレール10、11のギヤ10a、11aに対して別個に噛合する内側ギヤ17および外側ギヤ18がそれぞれ回転自在に、かつ互いに同軸的に装着されている縮径部15aを有する円筒状のケーシング15を備え、前後のガイドレール3、3のギヤ10a、11aに内側ギヤ17、外側ギヤ18が噛合されてゲージ5はその両端部が前後のガイドレール3、3に支持され、ガイドレール3、3に沿って円形状に移動させる複数設置されるゲージ5とを含む、構造体と、
互いに逆方向に、かつ外側ギヤ18が内側ギヤ17よりも適宜に速く回転させ、これら各ギヤ17、18の回転作用により、ゲージ5は載置台16が水平を維持したままでガイドレール3、3に沿って移動できるようにするモータ等の駆動機構とを含む、
シールド機4を移動する装置。」
(甲2発明の2)
甲2発明を使用したシールド機4の移動方法。
3 甲第3号証について
(1)甲第3号証の記載事項
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、本線シールドトンネルの外側を拡幅することで設け地中空洞部を施工するための大断面トンネルの施工方法に関する。」
イ「【0016】
図1および図2に示すように、本実施の形態による大断面トンネルの施工方法は、例えば大断面の道路トンネルなどの地中空洞部10を施工するに際して、その地中空洞部10の掘削予定位置の内側に本線シールドトンネル1を予め施工しておき、その本線シールドトンネル1の外側に複数の外殻シールドトンネル2を施工することにより、それら外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲む外殻体20を構築し、該外殻体20の内側を掘削して地中空洞部10を構築するものである。ここで、本線シールドトンネル1おとび外殻シールドトンネル2は、在来のシールド工法により施工されるものである。
ここで、本線シールドトンネル1におけるトンネル軸方向を符号Xで示す。
なお、図1では、見易くするために複数の外殻シールドトンネル2のうち一部(紙面手前側に位置するもの)を省略している。
【0017】
本実施の形態の地中空洞部10の施工方法は、本線シールドトンネル1を施工する工程と、本線シールドトンネル1における発進基地部1Aにおいて周方向の一部分を切り広げた円周シールド発進基地3(円周シールド発進部)を施工する工程と、円周シールド発進基地3から円周シールド機5(図4参照)によって本線シールドトンネル1の外周面1aに沿って周方向に掘削してリング状の外殻シールド発進基地4(外殻シールド発進部)を施工する工程と、外殻シールド発進基地4における本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに直交する平面を有する側壁部41Bより外殻シールド機6を発進させて、複数(図3の図示例では16本)の外殻シールドトンネル2を施工する工程と、を有している。
【0018】
外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地4から本線シールドトンネル1と平行に発進させると共に、掘進するに従って漸次、本線シールドトンネル1から径方向の外側に離れる方向に向けて掘進されている。
また、外殻シールドトンネル2は、外殻シールド発進基地4において周方向に沿って配置される複数の外殻シールド機6を同時、あるいは適宜な順番で掘進させることにより、施工される。」
ウ「【0020】
次に、上記大断面トンネルの施工方法について、図面に基づいてさらに詳しく説明する。
本実施の形態では、図4に示すように、本線シールドトンネル1が所定の予定位置に達した時点で、解体することを考慮した一次セグメントとガイドリング51A、51Bを組み立てた後、さらに掘進を続ける。そして、本線シールドトンネル1の発進基地部1Aにおいて、円周シールド機5により、本線シールドトンネル1の周囲にドーナツ状(リング状)の外殻シールド発進基地4(図1参照)を築造し、この発進基地内部より外殻シールド機6(図2参照)を発進させる。
【0021】
具体的には、図4に示すように、先ず本線シールドトンネル1における発進基地部1Aの掘進時において、円周シールド機5を案内させるための一対のリング状のガイドリング51A、51Bを外周面1aに沿って延在するように設けておく。なお、これらガイドリング51A、51B同士の間における本線シールドトンネル1の発進基地部1Aには、円周シールド発進基地3、および円周シールド機5の掘進に伴うセグメント撤去作業を容易にするため、多分割セグメント11により組み立てられている。
【0022】
次に、ガイドリング51A、51B同士の間における本線シールドトンネル1の底部において、多分割セグメント11を解体、撤去し、山留めを行いながら掘削することにより、ボックス形状の円周シールド発進基地3を形成する。そして、円周シールド発進基地3内において、円周シールド機5を組み立てて設置する。
【0023】
ここで、円周シールド機5は、矩形断面の掘削面板52およびスキンプレート53を備えている。スキンプレート53の内周板53A(本線シールドトンネル1側)と外周板53Bとは、本線シールドトンネル1と同軸の円弧板状をなしている。内周板53Aのトンネル軸方向Xの前後縁端部には、ガイドリング51A、51Bに移動可能に係合する摺動部54A、54Bが設けられている。つまり、円周シールド機5は、ガイドリング51A、51Bに摺動部54A、54Bを案内させながら、本線シールドトンネル1の外周面1aに沿って掘進し、円周シールド機5のテール内において、断面視でコの字形の円周セグメント41を順次組み立てて覆工を行うことにより、本線シールドトンネル1の外周面1aに沿うリング状の外殻シールド発進基地4を施工する。
【0024】
外殻シールド発進基地4を構成する円周セグメント41は、本線シールドトンネル1と同軸をなすトンネル円周方向に組み立てられる円周壁部41Aと、この円周壁部41Aのトンネル軸方向Xの前後両端と本線シールドトンネル1の外周面1aとの間の開口を塞ぐ側壁部41B、41Cと、からなる(図1参照)。ここで、側壁部41B、41Cの径方向の高さ寸法は、外殻シールド機6の径寸法よりも大きく設定され、図1および図2に示す外殻シールド機6が掘進方向をトンネル軸方向Xと平行に向けた状態で発進可能な寸法とされる。
【0025】
次に、円周シールド機5の切羽前面の山留めを撤去し、円周シールド機5の掘進を開始し、裏込め注入を行い、円周セグメント41の組み立てるとともに、本線シールドトンネル1の撤去可能な多分割セグメント11の撤去を繰り返し、本線シールドトンネル1の外側を周方向に略一周、掘進させることで、その本線シールドトンネル1の周方向全周にわたって延在する外殻シールド発進基地4を築造する。
【0026】
次に、図2に示すように、外殻シールド発進基地4内において、複数の円形断面の外殻シールド機6を、その掘削面板61を円周セグメント41のトンネル軸方向Xの前側の側壁部41Bに対向させて設置し、トンネル軸方向Xに平行に発進させることにより、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する。
【0027】
すなわち、発進した外殻シールドトンネル2は、発進直後においてトンネル軸方向Xにほぼ平行に掘進させて第1直線部2Aを形成し、適宜な距離を掘進した時点、例えば外殻シールド機6の機体全体が外殻シールド発進基地4から地盤内に進出したときに、本線シールドトンネル1から径方向の外側に離れるように曲げながら掘進させて曲線部2Bを形成し、本線シールドトンネル1に対して所定の径方向の位置で本線シールドトンネル1と平行な第2直線部2Cを形成することで1本の外殻シールドトンネル2を構築する。
【0028】
次に、施工された複数本の外殻シールドトンネル2のうち周方向に隣り合う外殻シールドトンネル2、2同士の間を、凍結工法、薬液注入工法等により地盤改良を行った後、切開き構造体として接続することにより一体化を図り、これにより支保機能、及び止水機能を有する外殻体20を形成する。この外殻体20は、本線シールドトンネル1の前記発進基地部1Aから進行方向に向かうに従って漸次拡大し、所定の径に達した時点で第2直線部2Cを形成する。この場合、内部空間の必要性によっては第2直線部2Cを形成しなくても良い。
なお、外殻シールド機6は、外殻シールドトンネル2を掘進し、分岐拡幅部の褄壁予定地点に到達させて解体、回収し、再び外殻シールド発進基地4で組み立てて発進させ、別の外殻シールドトンネル2を施工するように繰り返し使用するようにしても良い。
【0029】
その後、褄壁予定地点の本線シールドトンネル1の褄壁付近のセグメントを解体、撤去して褄壁を構築しながら、外殻体20の内側を掘削するとともに、本線シールドトンネル1のシールドルーフ内の残りのセグメントを解体、撤去し、地中空洞部10を形成する。」
エ 図面
「【図1】
【図2】
」
第5 判断
1 拡大先願(特許法第29条の2)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、
甲1発明の「本線シールドトンネル1」は、本件発明1の「第1シールドトンネル」に相当し、
また、甲1発明の本線シールドトンネル1の外側に施工される「複数の外殻シールドトンネル2」は、本件発明1の第1シールドトンネルの周囲に構築される「複数の第2シールドトンネル」に相当する。
また、甲1発明の「外殻シールド機6及びセグメント、各種管材、枕木等の資材」は、外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲んで構築される外殻体20を構築するシールドトンネルの施工に用いられるものであるから、本件発明1の「第2シールドトンネルを構築するために使用」される「シールドマシンおよび資機材」又は「搬送物」に相当し、
また、甲1発明の「供給する資材供給装置」は、本件発明1の「搬送する搬送装置」に相当する。
そうすると、甲1発明の「本線シールドトンネル1の外側に複数の外殻シールドトンネル2を施工することにより、それら外殻シールドトンネル2によって本線シールドトンネル1を取り囲む外殻体20を構築」する「シールドトンネルの施工に用いられる、外殻シールド機6及びセグメント、各種管材、枕木等の資材を供給する資材供給装置であり、」は、本件発明1の「第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する搬送装置であって、」に相当する。
また、甲1発明の「本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置される内周レール11と、外周レール12」と、本件発明1の「前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠」とは、「前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる外側の環状体と、前記外側の環状体の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる内側の環状体」である点で共通する。
また、甲1発明の「本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられ、筒状に形成されたドラム本体13Aと、走行支持部13Bと、内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに噛合する第3係止歯13aが形成された鋼材を環状に形成した一対の支持リング13Cが設けられるとともに、真下の位置に資材投入口1bが設けられた本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられ、筒軸Cを本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の複数の回転ドラム13」と、本件発明1の「前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニット」とは、甲1発明の「回転ドラム13」が「搬送ユニット」相当し、そして、「ドラム本体13A」が、円筒状であって、本線シールドトンネル1の真下の位置に設けられた資材投入口1bと連通する開口から資材が投入される構造体であって、投入された資材を本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回するもの、すなわち、トンネルの周方向に搬送させることができるものであることから、「前記第1シールドトンネルに設けられた開口を通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニット」である点で共通する。
また、甲1発明の「とを含む、構造体と、」と、本件発明1の「各々が、」「とを含む、2以上の回転構造体と、」とは、「とを含む、構造体」である点で共通する。
また、甲1発明の「走行支持部13Bに固定されており、駆動させることにより、回転ドラム13を筒軸Cを中心に正逆いずれかに回転し、内周レール11と、外周レール12に案内されて、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回させる複数の駆動モータ13D」と、本件発明1の「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段」とは、「駆動モータ13D」が、構造体のうちの「回転ドラム13」を、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回させる、すなわち回転させる手段であるといえ、一方、本件発明1の回転される「回転構造体」には「搬送ユニット」が含まれるから、「構造体のうちの搬送ユニットを回転させるための複数の回転手段」である点で共通する。
そうすると、両者の一致点および相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
「第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する搬送装置であって、
前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる外側の環状体と、前記外側の環状体の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる内側の環状体と、前記第1シールドトンネルに設けられた開口を通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、構造体と、
構造体のうちの搬送ユニットを回転させるための複数の回転手段とを含む、搬送装置。」
(相違点1)
構造体について、本件発明1では、「各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結している、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体」であるのに対して、甲1発明では、「本線シールドトンネル1と同軸に、且つ外周に沿ってリング状に配置される内周レール11と、外周レール12と、筒状に形成されたドラム本体13Aと、走行支持部13Bと、内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに噛合する第3係止歯13aが形成された鋼材を環状に形成した一対の支持リング13Cが設けられるとともに、真下の位置に資材投入口1bが設けられた本線シールドトンネル1内と連通する開口をなす資材投入部13Eが設けられ、筒軸Cを本線シールドトンネル1のトンネル軸方向Xに平行に向けた円筒状の複数の回転ドラム13とを含む、構造体」である点
(相違点2)
構造体を回転させるための複数の回転手段について、本件発明1では、「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段」であるのに対して、甲1発明では、「走行支持部13Bに固定されており、駆動させることにより、回転ドラム13を筒軸Cを中心に正逆いずれかに回転し、内周レール11と、外周レール12に案内されて、本線シールドトンネル1の中心軸回りに旋回させる複数の駆動モータ13D」である点。
イ 判断
(ア)上記相違点1について
本件発明1の構造体が、円筒状の外枠と円筒状の内枠とが搬送ユニットにより連結されている回転構造体であるのに対して、甲1発明の構造体は、内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに対して、支持リング13Cに形成された第3係止歯13aが噛合するものであり、内周レール11及び外周レール12と支持リング13Cとが連結されていないのであるから、両者の構造体における部品の相互関係が明らかに相違している。
よって、相違点1は、実質的な相違点である。
(イ)上記相違点2について
本件発明1の構造体が、回転される構造体が円筒状の外枠と円筒状の内枠とが搬送ユニットにより連結されている回転構造体であることを前提としたうえで、本件発明1の回転手段が、地盤と各前記外枠との間及び第1シールドトンネルと各内枠との間に配設されるものであるのに対して、甲1発明の回転手段は、構造体の走行支持部13Bに固定されているのであるから、両者の回転手段の配設される位置が明らかに相違している。
よって、相違点2は実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
上記のとおり、上記相違点1及び相違点2は、実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明と同一ではない。
ウ 申立人の主張について
申立人は、本件発明1と甲1発明とは、<1>本件発明1は、回転構造体が「2以上」であるのに対し、甲1発明は、明示的には構造体(「回転構造体」に相当)は1つである点、<2>本件発明1は、第1シールドトンネルに設けられる開口が2以上であるのに対し、甲1発明は、開口の数について開示されていない点、及び<3>本件発明1は、外枠と内枠の間に搬送ユニットを有する機構において、外枠及び内枠を回転することで搬送ユニット内の搬送物を搬送するのに対し、甲1発明は外周レール12(「外枠」に相当)と内周レール11(「内枠」に相当)の間に回転ドラム(「搬送ユニット」に相当)を有する機構において、回転ドラムを回転することで回転ドラム内の搬送物を搬送する点で相違するものの、各相違点に係る本件発明1の構成は、適宜設計すべき事項であって、慣用技術に過ぎないものであるから、これらの相違部分は、実質同一(課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)である場合)と判断すべきである旨主張している。(申立書33頁下から1行~36頁3行)。
しかしながら、本件発明1と甲1発明との相違点は、上記イで説示したとおりの相違点1及び2であって、いずれも実質的な相違点であるから、本件発明1は、甲1発明と同一ではない。
また、申立人は、相違部分が実質同一であると判断すべきと主張するが、その根拠となる慣用技術が存在することを何ら示していないのであるから、当該相違点部分を実質同一であるということはできない。
よって、申立人の主張を採用することはできない。
エ 小括
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明とは同一ではないから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
(2)本件発明2~8について
本件発明2~8は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み更に減縮した発明であるので、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2~8は、甲第1号証に記載された発明とは同一ではないから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
(3)本件発明9
ア 対比
本件発明9と甲1発明の2とを対比すると、両者は、少なくとも下記相違点3及び相違点4で相違する。
(相違点3)
搬送方法で使用される構造体について、本件発明9では、「各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結する円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体」であるのに対して、甲1発明の2では、そのような特定がなされていない点
(相違点4)
搬送方法で使用される構造体を回転させるための複数の回転手段について、本件発明9では、「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設された複数の回転手段」であるのに対して、甲1発明の2では、そのような特定がなされていない点。
イ 判断
(ア)上記相違点3について
本件発明9の搬送方法で使用される構造体が、円筒状の外枠と円筒状の内枠とが搬送ユニットにより連結されている回転構造体であるのに対して、甲1発明の2の構造体は、内周レール11の第1係止歯11aと外周レール12の第2係止歯12aに対して、支持リング13Cに形成された第3係止歯13aが噛合するものであり、内周レール11及び外周レール12と支持リング13Cとが連結されていないのであるから、構造体における両者の構成が明らかに相違している。
よって、相違点3は、実質的な相違点である。
(イ)上記相違点4について
本件発明9の搬送方法で使用される回転手段が、回転される構造体が円筒状の外枠と円筒状の内枠とが搬送ユニットにより連結されている回転構造体であることを前提としたうえで、地盤と各前記外枠との間及び第1シールドトンネルと各内枠との間に配設されるものであるのに対して、甲1発明の2の回転手段は、構造体の走行支持部13Bに固定されているのであるから、回転手段における両者の構成が明らかに相違している。
よって、相違点4は実質的な相違点である。
(ウ)まとめ
上記のとおり、上記相違点3及び相違点4は、実質的な相違点であるから、本件発明9は、甲1発明の2と同一ではない。
ウ 申立人の主張について
申立人の主張及びその検討は、上記(1)ウと同様である。
エ 小括
したがって、本件発明9は、甲第1号証に記載された発明とは同一ではないから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
(4)本件発明10~11について
本件発明10~11は、本件発明9の発明特定事項をすべて含み更に減縮した発明であるので、本件発明9についての判断と同様の理由により、本件発明10~11は、甲第1号証に記載された発明とは同一ではないから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件発明1ないし11は、甲第1号証に記載された発明とは同一ではないから、その特許は特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。
2 進歩性欠如(特許法第29条2項)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、
甲2発明の移動される「シールド機4」は、本件発明1の「シールドマシン」に相当する。
また、甲2発明の「シールド機4」は、搬送物として搬送されることは明らかであるから、甲2発明の「シールド機4を移動する装置」は、本件発明1の「シールドマシン」「を搬送物として搬送する搬送装置」に相当する。
また、甲2発明の「内レール10および外レール11からなる二重リング構造のガイドレール3、3」と、本件発明1の「円筒状の内枠」及び「円筒状の外枠」とは、「内側の環状体」及び「外側の環状体」である点で共通する。
また、甲2発明の「ガイドレール3を構成する内外のレール10、11のギヤ10a、11aに対して別個に噛合する内側ギヤ17および外側ギヤ18がそれぞれ回転自在に、かつ互いに同軸的に装着されている縮径部15aを有する円筒状のケーシング15を備え、前後のガイドレール3、3のギヤ10a、11aに内側ギヤ17、外側ギヤ18が噛合されてゲージ5はその両端部が前後のガイドレール3、3に支持され、ガイドレール3、3に沿って円形状に移動させる複数設置されるゲージ5」と、本件発明1の「前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニット」とは、甲2発明の「ゲージ5」が備える「ケーシング15」が円筒状であり、ゲージ5によってシールド機4が移動される、すなわち搬送されることから、「円筒状の複数の搬送ユニット」である点で共通する。
また、甲2発明の「とを含む、構造体と、」と、本件発明1の「各々が、」「とを含む、2以上の回転構造体と、」とは、「とを含む、構造体」である点で共通する。
また、甲2発明の「互いに逆方向に、かつ外側ギヤ18が内側ギヤ17よりも適宜に速く回転させ、これら各ギヤ17、18の回転作用により、ゲージ5は載置台16が水平を維持したままでガイドレール3、3に沿って移動できるようにするモータ等の駆動機構」と、本件発明1の「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段」とは、甲2発明の「モータ等の駆動機構」が「ギヤ17、18」(すなわち、複数のギア)を回転できるように備えられていること、「モータ等の駆動機構」によって構造体のうちの「ゲージ5」をガイドレール3、3に沿って円形状に移動させることができる、すなわち、回転させることができること、一方、本件発明1の回転される「回転構造体」には「搬送ユニット」が含まれることから、「構造体のうちの搬送ユニットを回転させるための複数の回転手段」である点で共通する。
そうすると、両者の一致点および相違点は、以下のとおりである。
(一致点)
シールドマシンを搬送物として搬送する搬送装置であって、
外側の環状体と、前記外側の環状体の内側である内側の環状体と、搬入された前記搬送物を搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、構造体と、
構造体のうちの搬送ユニットを回転させるための複数の回転手段とを含む、搬送装置。
(相違点5)
搬送物について、本件発明1では、「第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材」であるのに対して、甲2発明では、「シールド機4」である点。
(相違点6)
構造体について、本件発明1では、「各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体」であるのに対して、甲2発明では、「立坑1の内壁2の前壁部2aおよび後壁部2bに互いに対向して設置され、内レール10および外レール11からなる二重リング構造のガイドレール3、3と、ガイドレール3を構成する内外のレール10、11のギヤ10a、11aに対して別個に噛合する内側ギヤ17および外側ギヤ18がそれぞれ回転自在に、かつ互いに同軸的に装着されている縮径部15aを有する円筒状のケーシング15を備え、前後のガイドレール3、3のギヤ10a、11aに内側ギヤ17、外側ギヤ18が噛合されてゲージ5はその両端部が前後のガイドレール3、3に支持され、ガイドレール3、3に沿って円形状に移動させる複数設置されるゲージ5とを含む、構造体」である点。
(相違点7)
複数の回転手段について、本件発明1では、「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段」であるのに対して、甲2発明では、「互いに逆方向に、かつ外側ギヤ18が内側ギヤ17よりも適宜に速く回転させ、これら各ギヤ17、18の回転作用により、ゲージ5は載置台16が水平を維持したままでガイドレール3、3に沿って移動できるようにするモータ等の駆動機構」である点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)相違点5について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する搬送装置が記載も示唆もされていない。
また、甲2発明は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明において、相違点5に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
(イ)相違点6について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体が、記載も示唆もされていない。
また、甲2発明は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明において、相違点6に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
(ウ)相違点7について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段が記載も示唆もされていない。
また、甲2発明は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明において、相違点7に係る本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
ウ 申立人の主張
申立人は、本件発明1と甲2発明とは、[相違点1]本件発明1が第1シールドトンネルの周囲に第2シールドトンネルを構築するのに対し、甲2発明は、第1シールドトンネルについて開示していない点、[相違点2]本件発明1は、資機材も搬送物とするところ、甲2発明は、資機材を搬送するか否か明示されていない点、[相違点3]本件発明1は、「第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して」搬送物を搬入するのに対し、甲2発明は、第1トンネルについて開示していない点、[相違点4] 本件発明1は、回転構造体を2以上備えるのに対し、甲2発明は回転構造体が1つであることしか明示されていない点、[相違点5]本件発明1は、「前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段」を備えるのに対し、甲2発明は、「前記レール11と前記レール10との間において、前記ゲージ5を回転させるための回転手段」を備える点、において相違するものの、いずれの相違点についても、甲2発明をもとに、周知技術を適用することで、又は周知技術とともに甲第3号証に記載された発明を適用することで、当業者が容易に想到することができる旨、主張している。(申立書47頁下から8行~50頁17行)
しかしながら、本件発明1と甲2発明との相違点は、上記イで説示したとおりの相違点5~7であって、相違点5~7に係る本件発明1の構成はいずれも、申立人が提出した甲第3号証に記載も示唆もされていない。
また、申立人が、相違点5~7に係る本件発明1の構成が周知技術であると主張するが、その根拠となる周知技術が存在することを何ら示していないのであるから、当業者が、相違点5~7に係る本件発明1の構成に容易に想到することできるということはできない。
よって、申立人の主張を採用することはできない。
エ 小括
したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~8について
本件発明2~8は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み更に減縮した発明であるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、甲2発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明9
ア 対比
本件発明9と甲2発明の2とを対比すると、両者は、少なくとも下記相違点8~相違点10で相違する。
(相違点8)
搬送方法で使用される搬送物について、本件発明9では、第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材であるのに対して、甲2発明の2では、そのような特定がなされていない点。
(相違点9)
搬送方法で使用される構造体について、本件発明9では、各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体であるのに対して、甲2発明の2では、そのような特定がなされていない点。
(相違点10)
搬送方法で使用される複数の回転手段について、本件発明9では、前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるためのものであるのに対して、甲2発明の2では、そのような特定がなされていない点。
イ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)相違点8について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、第1シールドトンネルの周囲に複数の第2シールドトンネルを構築するために使用するシールドマシンおよび資機材を搬送物として搬送する点が記載も示唆もされていない。
また、甲2発明の2は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明の2において、相違点8に係る本件発明9の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
(イ)相違点9について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、各々が、前記第1シールドトンネルの外面から離間して設けられる円筒状の外枠と、前記外枠の内側であって、前記第1シールドトンネルの外面に近隣して設けられる円筒状の内枠と、前記外枠と前記内枠とを連結し、前記第1シールドトンネルに設けられた2以上の開口の1つを通して搬入された前記搬送物を該第1シールドトンネルの周方向に搬送するための円筒状の複数の搬送ユニットとを含む、2以上の回転構造体が記載も示唆もされていない。
また、甲2発明の2は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明の2において、相違点9に係る本件発明9の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
(ウ)相違点10について
甲第3号証には、複数の外殻シールドトンネル2を施工し、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造することについては記載されているが、前記第1シールドトンネルの外面から離間した地盤と各前記外枠との間および該第1シールドトンネルと各前記内枠との間に配設され、各前記回転構造体を回転させるための複数の回転手段が記載も示唆もされていない。
また、甲2発明の2は、立坑において設けられる装置であるから、甲第3号証に記載されている、本線シールドトンネル1の周囲に、複数本の外殻シールドトンネル2からなる外殻体20を築造する技術を適用する動機付けもない。
よって、甲2発明の2において、相違点10に係る本件発明9の構成とすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。
ウ 申立人の主張について
申立人の主張及びその検討は、上記(1)ウと同様である。
エ 小括
したがって、本件発明9は、甲2発明の2及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)本件発明10~11について
本件発明10~11は、本件発明9の発明特定事項をすべて含み更に減縮した発明であるから、本件発明9についての判断と同様の理由により、本件発明10~11は、甲2発明の2及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件発明1~11は、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
3 明確性要件違反について(特許法第36条6項2号)
(1)本件発明2は、第1装置によって、シールドマシンを搬送し、第2装置によって資機材を搬送する旨が特定されているが、装置の構成として、シールドマシンを搬送するか、それとも資機材を搬送するかは、特に差が生じないから、シールドマシンを搬送する第1装置では、当然、資機材も搬送できることからも明らかである。したがって、このように搬送物をシールドマシン又は資機材として特定しても、装置という物の発明においてどのような意義を有しているのか不明である旨主張している。(申立書58頁2-11行)
しかしながら、請求項2には、「前記搬送装置は、前記シールドマシンを搬送するための第1装置と、前記第1装置に並設され、前記資機材を搬送するための第2装置とから構成され、前記第1装置および前記第2装置の各々が、前記回転構造体と複数の前記回転手段とを含む・・・」と記載されており、当該記載から、本件発明2は、「第1装置」及び「第2装置」の各々が、前記回転構造体と複数の前記回転手段を含む点が規定され、また、「第1装置」については「シールドマシンを搬送するため」と、また、「第2装置」については、「資機材を搬送するため」とあるように、各装置において搬送する対象物を特定にすることが規定され、そして、「第1装置」及び「第2装置」が並設されることが規定された発明であると理解できるから、その記載は明瞭である。
請求項2の上記記載では、第1装置及び第2装置については、申立人が指摘するとおり装置の構成として差がないとしても、上記のとおり、各装置において搬送する対象物を特定にするという意義があるといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(2)本件発明8は、シールドマシンを解体、搬送する順序について特定しているが、シールドマシンの解体、搬送順序を特定したとしても、搬送装置の構成自体には、何ら差が生じないので、シールドマシンを解体、搬送する順序を特定しても、装置という物の発明において、どのような意義を有しているのか不明である旨主張している。(申立書58頁13-18行)
しかしながら、請求項8には、「前記搬送ユニットは、前記シールドマシンの外部に露出する外胴と該外胴内に組み込まれる内胴のうち該外胴のみを搬送し、前記第2シールドトンネルを構築するために使用した他のシールドマシンの内胴を、該外周内に組み込んでシールドマシンを組み立てた後、組み立てたシールドマシンを前記周方向の所定位置へ搬送する、請求項1~7のいずれか1項に記載の搬送装置。」と記載されており、当該記載から、本件発明8は、搬送ユニットによりシールドマシンの外部に露出する外胴のみが搬送され、前記第2シールドトンネルを構築するために使用した他のシールドマシンの内胴を、当該外周内に組み込んでシールドマシンが組み立てられた後、組み立てたシールドマシンを周方向の所定位置へ搬送するという、「搬送ユニット」における搬送の内容がより具体的に特定された発明であると理解できるから、その記載は明瞭である。
請求項8の上記記載では、搬送の内容を具体的に規定しても「搬送ユニット」における具体的構造が限定されることにはならないが、上記のとおり、「搬送ユニット」における搬送の内容をより具体的に特定したという意義があるといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件の請求項2~8に係る特許は、請求項の記載が明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定に違反してされたものではない。
第6 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-701033