特許訂正審判
2018-390125
リターンチューブ、及びボールねじ
- 審判番号
- 2018-390125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2006-196970
- 登録番号
- 特許第4893133号(P4893133)
- 請求日
- 2018年08月29日
- 審決日
- 2019年01月29日
- 公報発行日
- 2019年04月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 尾崎 和寛
- 審判官 内田 博之
- 分類
- P141 .853-Y (F16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第131条の2第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4893133号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4893133号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正請求審判に係る特許第4893133号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成18年7月19日(優先権主張 平成18年1月13日)に出願され、その請求項1~4に係る発明について平成24年1月6日に特許権の設定登録がされたものである。
その後、平成30年8月29日に特許権者日本精工株式会社(以下、「請求人」という。)より、本件特許に対して訂正審判の請求(以下、「本件訂正請求」という。)がなされ、その後の手続の経緯は次のとおりである。
平成30年10月16日付け:訂正拒絶理由通知
平成30年11月2日 :意見書及び手続補正書の提出
第2 訂正拒絶理由の概要
当審が平成30年10月16日付けで請求人に通知した訂正拒絶理由の概要は次のとおりである。
・訂正事項5の明細書の段落【0029】についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでない。
第3 手続補正の適否
1.補正の内容
請求人が、平成30年11月2日に提出した手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)の内容は以下のとおりである。
(1)補正事項1
審判請求書の「(2)訂正事項」の「オ 訂正事項5」から『明細書の段落【0029】の「上記実施の形態」との記載を「上記実施及び参考の形態」に訂正し、』との記載を削除する。
(2)補正事項2
審判請求書の「(3)訂正の理由」の「(オ) 訂正事項5」中の、『訂正前の明細書の段落【0029】の「上記実施の形態」は、「第1実施形態」~「第3実施形態」を示すから、訂正事項3及び4により訂正される「第2参考形態」及び「第3参考形態」との関係で、不明瞭となる。』との記載を『訂正前の明細書の段落【0030】の「上記実施形態」は、「第1実施形態」~「第3実施形態」を示すから、訂正事項3及び4により訂正される「第2参考形態」及び「第3参考形態」との関係で、不明瞭となる。』に補正する。
(3)補正事項3
審判請求書に添付した訂正明細書の段落【0029】の記載を特許査定時の記載に戻す。
2.本件補正についての当審の判断
本件補正は、補正前の訂正事項5が、実質的には明細書の段落【0029】に関するものと、段落【0030】に関するものであったものを、段落【0029】に関する訂正事項を削除することを目的とするものであるといえる。
したがって、本件補正は、実質的には訂正事項を削除するものといえ、審判請求書の要旨を変更するものではない。
よって、本件補正は、特許法第131条の2第1項の記載に適合するから、本件補正を認める。
そして、このことにより当審による上記訂正拒絶理由は解消した。
第4 請求の趣旨、訂正の内容
上記「第3」のとおり、審判請求書の補正が認められることから、本件訂正審判請求の趣旨は、特許第4893133号の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるというものであり、その訂正の内容は以下の訂正事項1~5のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
1.訂正事項1
明細書の段落【0010】の記載を削除する。
2.訂正事項2
明細書の段落【0012】から「また、ボールねじ内に形成された螺旋状通路からボールをすくい上げるタング部を備えたリターンチューブであって、前記タング部は、根元の隅がR形状に形成され、そのR形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを示す最大高さが1μmより大きく且つ20μmより小さいものとしてもよい。」との記載を削除する。
3.訂正事項3
明細書の段落【0021】の「第2実施形態」との記載を「第2参考形態」に訂正し、明細書の段落【0023】の「本実施形態」との記載を「本参考形態」に訂正し、明細書の段落【0024】の「上記実施形態」との記載を「上記参考形態」に訂正し、明細書の段落【0024】の「実施例」との記載を「参考例」に訂正する。
4.訂正事項4
明細書の段落【0026】の「第3実施形態」との記載を「第3参考形態」に訂正し、明細書の段落【0027】の「本実施形態」との記載を「本参考形態」に訂正し、明細書の段落【0028】の「上記実施形態」との記載を「上記参考形態」に訂正、明細書の段落【0028】の「実施例」との記載を「参考例」に訂正する。
5.訂正事項5
明細書の段落【0030】の「上記実施形態」との記載を「上記実施形態及び参考形態」に訂正する。
第5 当審の判断
1.訂正事項1
(1)訂正の目的
訂正前の明細書の段落【0010】には、「また、本発明のリターンチューブは、ボールねじ内に形成された螺旋状通路からボールをすくい上げるタング部を備えたリターンチューブであって、前記タング部は、根元の隅がR形状に形成され、そのR形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを示す算術平均粗さが0.2μmより大きく且つ10μmより小さくなっていることを特徴とする。」と記載されている。しかし、この態様は、明細書の段落【0008】及び【0009】の記載との関係からみて、特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明の発明特定事項である「そのR形状とされた部分の内径側縁部が面取りされ、前記タング部は、前記R形状とされた部分の内径側縁部がチューブ肉厚の20~50%で面取りされていること」を含まないものであるから、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。
訂正事項1は、上記不明瞭な点を解消するために、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させることを目的とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲に含まれない態様を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2.訂正事項2
(1)訂正の目的
訂正前の明細書の段落【0012】には、「また、ボールねじ内に形成された螺旋状通路からボールをすくい上げるタング部を備えたリターンチューブであって、前記タング部は、根元の隅がR形状に形成され、そのR形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを示す最大高さが1μmより大きく且つ20μmより小さいものとしてもよい。」と記載されている。しかし、この態様は、特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明の発明特定事項である、「そのR形状とされた部分の内径側縁部が面取りされ、前記タング部は、前記R形状とされた部分の内径側縁部がチューブ肉厚の20~50%で面取りされていること」を含まないものであるから、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。
訂正事項2は、上記不明瞭な点を解消するために、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させることを目的とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、特許請求の範囲に含まれない態様を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3.訂正事項3
(1)訂正の目的
訂正前の明細書の段落【0021】~【0025】には、特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明の発明特定事項である「そのR形状とされた部分の内径側縁部が面取りされ、前記タング部は、前記R形状とされた部分の内径側縁部がチューブ肉厚の20~50%で面取りされていること」を含まない態様(第2の方法)が「第2実施形態」及び「実施例」として記載されており、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。
訂正事項3は、上記不明瞭な点を解消するために、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させることを目的として、特許請求の範囲に含まれない態様を参考形態及び参考例に訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の明細書の段落【0030】には「そのR形状とされた部分の内径側縁部を面取りする方法(第1の方法)、前記R形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを算術平均粗さで0.2μmより大きく且つ10μmより小さくする方法(第2の方法)、前記R形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを示す最大高さが1μmより大きく且つ20μmより小さくする方法(第3の方法)をそれぞれ個別に行う例を示した。」と記載されており、第2の方法すなわち第2実施形態が、第1の方法すなわち請求項1~4の発明特定事項を含まないことが記載されている。
訂正事項3は、「第2実施形態」が特許請求の範囲に含まれないことを明らかにするための訂正であり、何ら新規事項を追加するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
4.訂正事項4
(1)訂正の目的
訂正前の明細書の段落【0026】~【0029】には、特許請求の範囲の請求項1~4に係る発明の発明特定事項である「そのR形状とされた部分の内径側縁部が面取りされ、前記タング部は、前記R形状とされた部分の内径側縁部がチューブ肉厚の20~50%で面取りされていること」を含まない態様(第3の方法)が「第3実施形態」及び「実施例」として記載されており、特許請求の範囲の記載との間で不明瞭である。
訂正事項4は、上記不明瞭な点を解消するために、特許請求の範囲の記載と明細書の記載を整合させることを目的として、特許請求の範囲に含まれない態様を参考形態及び参考例に訂正するものであり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正前の明細書の段落【0030】には「そのR形状とされた部分の内径側縁部を面取りする方法(第1の方法)、前記R形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを算術平均粗さで0.2μmより大きく且つ10μmより小さくする方法(第2の方法)、前記R形状とされた部分及び側面部分の表面粗さを示す最大高さが1μmより大きく且つ20μmより小さくする方法(第3の方法)をそれぞれ個別に行う例を示した。」と記載されており、第3の方法すなわち第3実施形態が、第1の方法すなわち請求項1~4の発明特定事項を含まないことが記載されている。
訂正事項4は、「第3実施形態」が特許請求の範囲に含まれないことを明らかにするための訂正であり、何ら新規事項を追加するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
5.訂正事項5
(1)訂正の目的
訂正事項3及び4により、明細書中の「第2実施形態」及び「第3実施形態」をそれぞれ「第2参考形態」及び「第3参考形態」に訂正する。一方、訂正前の明細書の段落【0030】の「上記実施形態」は、「第1実施形態」~「第3実施形態」を示すから、訂正事項3及び4により訂正される「第2参考形態」及び「第3参考形態」との関係で不明瞭となる。
訂正事項5は、訂正事項3及び4により生じる不明瞭な記載を整合させるための訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
(2)新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、訂正事項3及び4により生じる不明瞭な記載を整合させるものにすぎず、何ら新規事項を追加するものではなく、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、本件訂正審判の訂正の趣旨は、上記「第4」のとおりであり、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するといえる。
第6 むすび
以上のとおり、本件訂正請求に係る訂正事項1~5は、いずれも特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-390125