特許訂正審判
2018-390001
ボールねじ用ボール循環こま及びボールねじ
- 審判番号
- 2018-390001
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-268795
- 登録番号
- 特許第4036066号(P4036066)
- 請求日
- 2017年12月28日
- 審決日
- 2018年05月07日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 平田 信勝
- 審判官 小関 峰夫
- 審判官 尾崎 和寛
- 分類
- P141 .851-Y (F16H) / P141 .853-Y (F16H) / P141 .854-Y (F16H) / P141 .855-Y (F16H) / P141 .856-Y (F16H)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第36条第4項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4036066号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4036066号の明細書、及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4036066号(以下、「本件特許」という。)は、平成14年9月13日に出願され、平成19年11月9日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年12月28日に本件訂正審判請求がされ、その後、平成30年3月7日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年3月30日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 平成30年3月30日付け手続補正書による訂正審判の審判請求書の補正、及びその適否
1 訂正審判の審判請求書の補正
平成30年3月30日付け手続補正書の補正の内容のうち、訂正の要旨に関する補正は、平成29年12月28日付け審判請求書の訂正事項のうち、訂正事項3、訂正事項4、及び訂正事項6を削除するものである。
2 補正の適否
審判請求書においては、訂正事項として訂正事項1~6を請求していたところ、上記審判請求書の補正は、当該訂正事項のうちの一部の訂正事項である、訂正事項3、訂正事項4、及び訂正事項6について削除する補正であるから、当該補正は、請求書の要旨を変更するものとはせず、当該補正を認める。
第3 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、特許第4036066号の明細書、及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、前記「第2」のとおりであるので、その内容は次のとおりである。(審決注:下線部分が訂正箇所である。)
1 訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記応力集中緩和面の曲率半径と前記ボールの直径との比を、0.05<R/Dw<0.2の範囲内に設定した」とあるのを、
「前記応力集中緩和面の曲率半径と前記ボールの直径との比を、0.05<R/Dw≦0.16の範囲内に設定した」に訂正する(請求項1を直接引用する請求項2においても同様に訂正する。)。
2 訂正事項2
本件特許の明細書の段落【0007】に「前記応力集中緩和面の曲率半径と前記ボールの直径との比を、0.05<R/Dw<0.2の範囲内に設定した」とあるのを、
「前記応力集中緩和面の曲率半径と前記ボールの直径との比を、0.05<R/Dw≦0.16の範囲内に設定した」に訂正する。
3 訂正事項5
本件特許の明細書の段落【0016】に「応力集中緩和面21aの曲率半径比R/Dwが0.05以下になるとボール循環こまの寿命比が5以下の値となり」とあるのを、
「応力集中緩和面21aの曲率半径比R/Dwが0.05以下になるとボール循環こまの寿命比が5未満の値となり」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、応力集中緩和面の曲率半径Rとボールの直径Dwとの比の数値範囲について、「0.05<R/Dw<0.2」とされているのを、「0.05<R/Dw≦0.16」に狭めるものであるから、当該訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「本件特許明細書等」という。)の段落【0014】(【表1】)及び【図5】には、応力集中緩和面の曲率半径Rとボールの直径Dwとの比が、ボール循環こま「TP6」(R/Dwが0.06)、「TP7」(R/Dwが0.1)、及び「TP8」(R/Dwが0.16)では、ボール循環こまの寿命比がほぼ「5」の値をとることが示されているから、訂正事項1の「前記応力集中緩和面の曲率半径と前記ボールの直径との比を、0.05<R/Dw≦0.16の範囲内に設定した」との事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
前記「(1)」のとおり、訂正事項1は、応力集中緩和面の曲率半径Rとボールの直径Dwとの比の数値範囲について、より狭くするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
ア 訂正後の請求項1について
前記「(1)」のとおり、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、応力集中緩和面の曲率半径Rとボールの直径Dwとの比の数値範囲について、より狭くするものであるから、当該請求項に係る発明について特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正事項1により当該請求項に係る発明が特許法第36条第4項第1項又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
イ 訂正後の請求項2について
訂正後の請求項2に係る発明は、訂正事項1により間接的に訂正されるものであるが、訂正後の請求項1に係る発明を更に限定したものであるから、当該請求項に係る発明について特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、訂正事項1により特許法第36条第4項第1項又は第6項(第4号を除く)に規定する要件を満たさなくなるものでもない。
ウ 小括
以上のことから、訂正後の請求項1及び2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
前記「1(2)」と同様の理由により、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項2は、特許請求の範囲の記載との整合を図るために、明細書の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
3 訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正前の明細書の段落【0016】には、「図5は、ボール循環こまTP1~TP14の寿命比とR/Dwとの関係を示す図である。同図から明らかなように、応力集中緩和面21aの曲率半径比R/Dwが0.05以下になるとボール循環こまの寿命比が5以下の値となり」と記載されているのに対して、後記「(2)」で述べるとおり、【図5】には、R/Dwが0.05以下の場合に寿命比が5未満であることが示されているから、明細書の発明の詳細な説明の記載と図面の記載とが対応しておらず、明瞭でないといえるところ、訂正事項5は、明細書の記載と図面の記載との整合を図るための訂正である。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件特許明細書等の段落【0014】(【表1】)、及び【図5】には、ボール循環こま「TP1」(R/Dwが0.0)、「TP2」(R/Dwが0.01)、「TP3」(R/Dwが0.03)、「TP4」(R/Dwが0.04)、及び「TP5」(R/Dwが0.05)の場合に寿命比が5未満であることが示されているから、訂正事項5の「応力集中緩和面21aの曲率半径比R/Dwが0.05以下になるとボール循環こまの寿命比が5未満の値となり」との事項は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項5は、図面に記載した事項との整合を図るために、明細書の記載を訂正するものであるから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 当審が通知した訂正拒絶理由について
当審では、平成30年3月30日付けの手続補正書による補正前の訂正請求のうち、訂正事項3、4及び6は、特許法第126条第1項だたし書各号のいずかを目的としたものではなく、かつ、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものでもないから、訂正事項3、4及び6を含む本件訂正は不適法なものであって、これを認めることはできない旨を、平成30年3月7日付けの訂正拒絶理由で通知した。
しかし、前記「第2」に記載したように、平成30年3月30日付けの手続補正書の補正によって、訂正事項3、4及び6は、審判請求書の請求の理由から削除された結果、この訂正拒絶理由は解消した。
第5 まとめ
以上のとおり、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項から第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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