特許訂正審判
2017-390138
ピニオンシャフトの製造方法
- 審判番号
- 2017-390138
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2003-136315
- 登録番号
- 特許第4380217号(P4380217)
- 請求日
- 2017年12月01日
- 審決日
- 2018年02月06日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 達之
- 審判官 滝谷 亮一
- 審判官 内田 博之
- 分類
- P141 .851-Y (F16H) / P141 .852-Y (F16H) / P141 .853-Y (F16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4380217号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4380217号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第4380217号(以下、「本件特許」という。)は、平成15年5月14日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明について、平成21年10月2日に特許権の設定登録がなされ、平成29年12月1日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 審判請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第4380217号の明細書、及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」ものであり、その訂正の内容は次のとおりである。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「炭素(C)含有率が0.15重量%以上1.20重量%以下、クロム(Cr)含有率が0.11重量%以上2.50重量%以下、ケイ素(Si)含有率が0.10重量%以上1.20重量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.10重量%以上1.50重量%以下、残部鉄および不可避不純物」との記載を、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」に訂正し、「浸炭処理または浸炭窒化処理」との記載を、「浸炭窒化処理」に訂正し、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を15体積%以上、40体積%以下とする」との記載を、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」に訂正する。
2 訂正事項2
明細書の段落【0011】の「炭素(C)含有率が0.15重量%以上1.20重量%以下、クロム(Cr)含有率が0.11重量%以上2.50重量%以下、ケイ素(Si)含有率が0.10重量%以上1.20重量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.10重量%以上1.50重量%以下、残部鉄および不可避不純物」との記載を、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」に訂正し、同段落の「浸炭処理または浸炭窒化処理」との記載を、「浸炭窒化処理」に訂正し、同段落の「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を15体積%以上、40体積%以下とする」との記載を、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」に訂正する。
3 訂正事項3
明細書の段落【0018】の「硬化層位置におけるの残留オーステナイトの確率密度」との記載を、「硬化層位置における残留オーステナイトの確率密度」に訂正する。
4 訂正事項4
明細書の段落【0045】表2の実施例1~12、及び18を参考例8~17にそれぞれ訂正し、段落【0049】及び【0053】の「各実施例1~18および参考例1~7」との記載を、「各実施例13~17および参考例1~17」に訂正し、段落【0053】の「実施例11及び18」との記載を「参考例15及び17」に訂正する。
第3 当審の判断
1 訂正事項1
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項1の「炭素(C)含有率が0.15重量%以上1.20重量%以下、クロム(Cr)含有率が0.11重量%以上2.50重量%以下、ケイ素(Si)含有率が0.10重量%以上1.20重量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.10重量%以上1.50重量%以下、残部鉄および不可避不純物」との記載を、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」に減縮し、「浸炭処理または浸炭窒化処理」との記載を、「浸炭窒化処理」のみに特定し、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を15体積%以上、40体積%以下とする」との記載を、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」に減縮するものであるから、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項1における、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」とする訂正は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0037】【表1】の材料G(C:1.01wt%、Si:0.23wt%、Mn:0.31wt%、Cr:1.48wt%)及び本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(材料:G)に基き、
「浸炭窒化処理」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0038】の硬化熱処理「ア:浸炭窒化→焼鈍→高周波焼入れ→焼戻し」及び本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(熱処理:ア)に基き、
「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(実施例13の残留オーステナイト量γR量:37Vol.%、実施例14の残留オーステナイト量γR量:31Vol.%、実施例15の残留オーステナイト量γR量:19Vol.%、実施例16の残留オーステナイト量γR量:17Vol.%、実施例17の残留オーステナイト量γR量:16Vol.%)に基くと解されるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の請求項1の「炭素(C)含有率が0.15重量%以上1.20重量%以下、クロム(Cr)含有率が0.11重量%以上2.50重量%以下、ケイ素(Si)含有率が0.10重量%以上1.20重量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.10重量%以上1.50重量%以下、残部鉄および不可避不純物」との記載を、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」に減縮し、「浸炭処理または浸炭窒化処理」との記載を、「浸炭窒化処理」のみに特定し、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を15体積%以上、40体積%以下とする」との記載を、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」に減縮するものであるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項1により訂正された訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明を減縮したものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかであり、特許法126条第7項の規定を満たすものである。
2 訂正事項2
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正(請求項1の減縮)に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、本件特許明細書の段落【0011】の「炭素(C)含有率が0.15重量%以上1.20重量%以下、クロム(Cr)含有率が0.11重量%以上2.50重量%以下、ケイ素(Si)含有率が0.10重量%以上1.20重量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.10重量%以上1.50重量%以下、残部鉄および不可避不純物」との記載を、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」に訂正し、同段落の「浸炭処理または浸炭窒化処理」との記載を、「浸炭窒化処理」に訂正し、同段落の「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を15体積%以上、40体積%以下とする」との記載を、「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」に訂正するものである。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的としたものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項2における、「炭素(C)含有率が1.01重量%、クロム(Cr)含有率が1.48重量%、ケイ素(Si)含有率が0.23重量%、マンガン(Mn)含有率が0.31重量%、残部鉄および不可避不純物」とする訂正は、本件特許の願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0037】【表1】の材料G(C:1.01wt%、Si:0.23wt%、Mn:0.31wt%、Cr:1.48wt%)及び本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(材料:G)に基き、
「浸炭窒化処理」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0038】の硬化熱処理「ア:浸炭窒化→焼鈍→高周波焼入れ→焼戻し」及び本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(熱処理:ア)に基き、
「前記軌道部の最表面層の残留オーステナイト量を16体積%以上、37体積%以下とする」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0045】【表2】の実施例13~17(実施例13の残留オーステナイト量γR量:37Vol.%、実施例14の残留オーステナイト量γR量:31Vol.%、実施例15の残留オーステナイト量γR量:19Vol.%、実施例16の残留オーステナイト量γR量:17Vol.%、実施例17の残留オーステナイト量γR量:16Vol.%)に基くと解されるから、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおり訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであり、訂正事項1と同様に、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
3 訂正事項3
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0018】の「硬化層位置におけるの残留オーステナイトの確率密度」との記載を、「硬化層位置における残留オーステナイトの確率密度」に訂正するものである。
上記記載において、「おけるの」とは日本語表記として意味をなさず、「おける」の誤記であることは明白であるから、訂正事項3に係る訂正は、明白な誤記を本来の意味に正す訂正である。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる、誤記又は誤訳の訂正を目的としたものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおり明白な誤記を本来の意味に正す訂正であるから、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書の明白な誤記を本来の意味に正す訂正であり、訂正事項3による訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、拒絶すべき理由を有しないとして特許された訂正前の特許発明と同一であるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明ではないことは明らかであり、特許法126条第7項の規定を満たすものである。
4 訂正事項4
(1)訂正の目的の適否について
訂正事項4に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正(請求項1の減縮)に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、訂正後の請求項1に含まれなくなった発明の実施例である訂正前の本件特許明細書の段落【0045】表2の実施例1~12、及び18を参考例8~17にそれぞれ訂正し、段落【0049】及び【0053】の「各実施例1~18および参考例1~7」との記載を、「各実施例13~17および参考例1~17」に訂正し、段落【0053】の「実施例11及び18」との記載を「参考例15及び17」に訂正するものである。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的としたものに該当する。
(2)新規事項の有無について
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、訂正後の請求項1に含まれなくなった実施例を参考例に訂正するものであるから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものといえる。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第5項の規定を満たすものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおり訂正事項1により訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであり、訂正事項1と同様に、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定を満たすものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項ないし第7項の規定を満たすものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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