特許訂正審判
2018-390079
弾球遊技機
- 審判番号
- 2018-390079
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2004-059799外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月14日
- 審決日
- 2018年06月25日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ユニバーサルエンターテインメント
- 【請求人代理人】特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4492934号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4492934号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4492934号は、平成16年3月3日(国内優先権主張 平成15年10月31日)を出願日とする出願であって、その請求項1ないし4に係る発明は、平成22年4月16日設定登録がなされ、平成30年5月14日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件訂正審判に係る特許第4492934号(以下「本件特許」という。)の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
本件審判請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下の訂正事項をその訂正内容とするものである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と記載されているのを、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」に訂正する。
請求項1の記載を引用する請求項2ないし4も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明細書の段落【0005】に「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と記載されているのを、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的の適否について
訂正前の請求項1に係る発明では、「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」と規定されているところ、「壁部」に係る特定が他になく、「壁部」と「スペーサ」の関係も特定されない。
したがって、「壁部」は「スペーサ」自体であるとも、あるいは、「スペーサ」以外の部材であるとも特定されないため、どのような構成によって液晶枠が視認不可能となっているのか不明確であることは明らかである。
これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「壁部」との記載の代わりに「スペーサ」と明記することによって、液晶枠を視認不可能とするための構成が「スペーサ」自体であることを明確にするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
同様に、訂正後の請求項2~4は、訂正後の請求項1の記載を引用することによって明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
(2)訂正が本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
訂正前の請求項1に係る発明の「前記貫通孔の周縁の壁部によって前記液晶枠が視認不可能となる」ことと、訂正後の請求項1に係る発明の「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」ことについて検討する(なお、下線は当審が付した。)。
ア 訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」について
「貫通孔の周縁の壁部」に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、段落【0005】に請求項1と同様の記載があるにとどまり、他に「壁部」に係る記載はない。
したがって、図9ないし11を参酌して、「貫通孔の周縁の壁部」を検討する。
ここで、図9ないし11は次のものである。
【図9】
【図10】
【図11】
(ア)本件特許明細書及び図面において、液晶部70a及び液晶枠70bの前面に存在することが明記されている「壁部」と呼べる部材は、「なお、スペーサ110には、発光基板130、電飾用レンズ部材140、球通路部120が備えられている。」(【0021】)との記載を踏まえると、「遊技盤30(遊技板32)」、「スペーサ110」、「球通路部120」、「発光基板130」及び「電飾用レンズ部材140」にとどまる。
(イ)ここで、「遊技盤30」について、「本実施形態では、遊技板32の全部が透明な部材で形成されている」(【0022】)とされ、遊技板32により「液晶枠が視認不可能となる」ことはないため、遊技板32の部材は「貫通孔の周縁の壁部」とはなり得ない。
(ウ)また、「スペーサ110」は、透明とも不透明とも特定されないが、「球通路部120がスペーサ110の裏面に取り付けられることにより、弾球遊技機1において、球通路部120は、正面側から見てスペーサ110の裏面に配置されることになる。このため、遊技者は、透明な遊技板32で構成される遊技盤30を介して、球通路部120を視認してしまうことがない。」(【0053】)とされるため、「スペーサ110」は透明ではなく、不透明であると理解される。
(エ)そして、上記(ウ)に摘記した段落【0053】の記載、及び、「発光基板130がスペーサ110の裏面における所定位置に取り付けられたときは、発光部材131が開口部113と臨む位置に配置されることにより、遊技者は、開口部113を通して発光部材131からの光を視認できる。」(【0042】)との記載から、「スペーサ110」が「球通路部120」及び「発光基板130」を視認不可能とする部材である。
したがって、「球通路部120」及び「発光基板130」が「液晶枠が視認不可能となる」部材とは呼べない。
(オ)さらに、「スペーサ110の前面に取り付けられている電飾用レンズ部材140の構成の説明を行う。電飾用レンズ部材140は、複数の発光部材131からの光を拡散するものである。この電飾用レンズ部材140は、スペーサ110の前面(発光部材131の前面側)に対して、正面側から見て上記複数の発光部材131と重なる位置に配備されている。」(【0055】)との記載から、「電飾用レンズ部材140」は「発光部材131と重なる位置に配備されている」ものであって、かつ、「発光部材131からの光を拡散するものである」から、液晶枠と重なる位置に配備されてることは無く、また、「発光部材131からの光を拡散する」程度の透明度を有するものであると理解される。
したがって、「電飾用レンズ部材140」が「液晶枠が視認不可能となる」部材とは呼べない。
(カ)そうすると、「前記貫通孔の周縁の」にあって「前記液晶枠が視認不可能となる」部材は「スペーサ110」をおいて他にはない。
よって、「前記貫通孔の周縁の壁部」は、「スペーサ110」の「貫通孔の周縁の」「壁部」をなす部分(図10の貫通孔110cの周縁に沿って形成され、貫通孔110cの内側から外側の視認を不可能とする壁状の部分)であると解される。
イ 訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」について
(ア)「前記貫通孔の周縁の前記スペーサ」に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には下記記載がある。
「【0044】
図11は、弾球遊技機1において、スペーサ110と、液晶ディスプレイ部70との間の配置関係を示す図である。図11に示すように、弾球遊技機1において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部と重なる位置に備えられている。具体的には、ベースドア60の前面に対して、スペーサ110が裏面側に取り付けられた遊技盤30が取り付けられている。そして、液晶ディスプレイ部70は、ベースドア60の裏面に対して、正面側から見て液晶枠70bがスペーサ110に隠れる位置に取り付けられている。」
「【0065】
また、スペーサ110が正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられることにより、遊技者は、液晶ディスプレイ部70の周縁部付近に他の部材との間で存在する隙間や、液晶枠70bを視認できない。このため、弾球遊技機1は、外観における美観を向上可能な構造を持つことができる。」
「【0070】
(変更例)
(1)上述した実施形態では、遊技板32と液晶ディスプレイ部70との間において、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重なる位置に備えられていたが、これに限定されず、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部(例えば、液晶枠70b)と重ならない位置に、備えられてもよい。また、スペーサ110は、正面側から見て液晶ディスプレイ部70の周縁部の一部と重なる位置(例えば、液晶ディスプレイ部の液晶枠70bの4角部分と重なる位置)に備えられてもよい。」
(イ)上記(ア)の記載、及び、上記アの図9ないし11の記載から見て、「前記貫通孔の周縁の前記スペーサによって前記液晶枠が視認不可能となる」範囲は、「貫通孔の周縁」に存在する「スペーサ」が、その背後にある部材の視認を妨げる範囲として規定されると理解される。
ウ 訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」と訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」について
上記ア及びイでの検討を踏まえると、訂正前の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の壁部」と訂正後の請求項1に係る発明の「貫通孔の周縁の前記スペーサ」とは、前者は、貫通孔の周縁の「壁部」であるスペーサの部分を特定し、後者は、貫通孔の周縁の「前記スペーサ」の部分を特定するものであって、いずれもスペーサの同じ部分を特定するから、訂正事項1は、本件特許明細書等の記載に基づくものであって、本件特許明細書等のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
よって、訂正事項1は特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて
訂正事項1は、上記(1)のとおり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記(2)のとおり、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1ないし4の訂正である訂正事項1と対応する明細書の記載の訂正として同じ内容であるので、訂正事項1と同様に、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。
第5 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第126条第5項及び同条第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-390079