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特許拒絶査定不服審判

2018-015035

TDDワイヤレス通信システムにおける干渉除去/抑圧

審判番号
2018-015035
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-506357外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年11月12日
審決日
2019年10月24日
公報発行日
2020年05月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2016-506357「TDDワイヤレス通信システムにおける干渉除去/抑圧」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/165468、平成28年 5月23日国内公表、特表2016-514925〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,2014年(平成26年)4月1日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2013年4月5日 米国,2014年3月31日 米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 3月 3日   手続補正書の提出 平成30年 3月 9日付け 拒絶理由通知書 平成30年 6月19日   意見書,及び手続補正書の提出 平成30年 7月 3日付け 拒絶査定 平成30年11月12日   拒絶査定不服審判の請求, 及び手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は,平成30年11月12日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。 「 ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信のための方法であって, 第1のサブフレーム構成の第1のサブフレームを基地局から受信することと, 近隣基地局が前記第1のサブフレームの間に第2のサブフレーム構成に従って動作しているかどうか判断することと,前記第2のサブフレーム構成は前記第1のサブフレーム構成とは異なる, 前記判断に基づいて,前記第1のサブフレームのための干渉管理動作を修正することと を備え,前記干渉管理動作を修正することは,以前に前記第1のサブフレームのために前記干渉管理動作を行っていた場合,前記干渉管理動作を省略することを備える, 方法。」 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,「理由3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,本願の請求項1に係る発明に対して,以下の1,及び2が引用されている。 1 LG Electronics,Remaining issues in feICIC WI[online],3GPP TSG-RAN WG1#70bis,3GPP,2012年10月12日,R1-124315,検索日[2018.03.08],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_70b/Docs/R1-124315.zip> 2 RAN1,LS on feICIC[online],3GPP TSG-RAN WG1#68bis,3GPP,2012年3月30日,R1-121920,検索日[2018.03.08],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121920.zip> 第4 引用例の記載及び引用発明 1 引用例1 原査定の拒絶の理由で引用されたLG Electronics,Remaining issues in feICIC WI(表題の当審訳:「feICIC WIの残りの問題」。)[online],3GPP TSG-RAN WG1#70bis,3GPP,2012年10月12日,R1-124315,検索日[2018.03.08],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_70b/Docs/R1-124315.zip>(以下,「引用例1」という。)には以下の記載がある。(下線は当審が付与。以下同様。) (1)「 2. Signaling Support for Handling The listed information for CRS interference handling in [2] is the minimum information required to signal UE to perform interference mitigation. However, CRS transmission bandwidth information is still missing. One may argue that system bandwidth of cells are mostly the same but it is not actually guaranteed by the specification. Bandwidth of the victim cell may even larger than that of aggressor cell and without the bandwidth information of aggressor cell, the UE receiving listed information for CRS interference handling is not properly able to handle aggressor cell's CRS interference. Alternatively, the UE should be allow to assume that the bandwidth of the aggressor cells are the same as that of its serving cell in order to make clear UE behavior on CRS interference handling of aggressor cells. 」(1ページ9行-17行) (当審訳: 2.ハンドリングのためのシグナリングのサポート [2]のCRSの干渉処理のためのリスト化された情報は,UEが干渉低減を実行するために信号することが必要な最小限の情報である。ただし,CRS送信帯域幅情報は,依然として欠落している。 セルのシステム帯域幅と,ほとんど同じであるとの主張があるかもしれないが,それは実際には,仕様によって保証されていない。被害セルの帯域幅が,攻撃セルの帯域幅よりも大きいことがあり,攻撃セルの帯域幅情報がないと,CRSの干渉処理のリスト化された情報を受信するUEは,攻撃セルのCRSの干渉を適切に処理できない。あるいは,UEは,攻撃セルのCRSの干渉処理でUEの動作を明確にするために,攻撃セルの帯域幅がそのサービングセルの帯域幅と同じであると仮定できるようにする必要がある。) (2)「 Similar to the bandwidth of aggressor cells, TDD UL/DL configuration and special subframe configuration should also be provided for each cell IDs or they should be the same among aggressor cells and the victim cell. In general, network aligns these TDD configurations but not guaranteed by the specification. In a point of UE implementation, it should be clear whether the UE simply assume that the cells in the listed information have the same TDD configurations. If they are not aligned, for example, if a specific subfame is UL subframe of aggressor cell while it is DL subframe of victim cell and that is not know by the UE, the UE may try to suppress CRS interference while there is no CRS interference from the aggressor cell. This misbehavior also leads some problem on channel estimation because the UE may interpolate CRS of the aggressor cell for aggressor cell CRS channel estimation within the subframe, which is actually UL subframe of the aggressor cell. Thus, without having this information or assumption, the UE might need to read SIB of aggressor cells in order to properly handle CRS interference, which is not the intended UE behavior in feICIC.」(1ページ18行-29行) (当審訳: 攻撃セルの帯域幅と同様に,TDD UL/DL構成と特別サブフレームの構成も,各セルID毎に提供されるか,攻撃セルと被害セルとで同じにするべきである。一般には,ネットワークがこれらのTDD構成を調整するが,仕様によって保証されていない。UEの実装のポイントでは,リスト化された情報のセルが同じTDD構成を持っていると,単純にUEが仮定するかどうかを明確にするべきである。それらが整合していない場合,たとえば,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームであり,それがUEによって認識されていない場合には,UEは攻撃セルからのCRSの干渉がないのに,CRSの干渉を抑制を試みる場合がある。この誤動作は,サブフレーム(実際には攻撃セルのULサブフレーム)内の攻撃セルのCRSチャネル推定のために,UEが攻撃セルのCRSを補間する場合があるため,チャネル推定に問題をもたらす。したがって,この情報や仮定を用いずに,UEがCRSの干渉を適切に処理するためには,攻撃セルのSIBを読み取る必要があるが,これはfeICICでの意図したUEの動作ではない。) (3)「 Proposal 1: Additional information such as bandwidth, TDD UL/DL configuration, TDD special subframe configuration for each cell IDs in addition to the information listed in [2] should be known by the UE.」(1ページ30行-32行) (当審訳: 提案1:[2]のリスト化された情報に加えて,各セルID毎の帯域幅,TDD UL/DL構成,TDD特別サブフレームの構成などの追加情報がUEに知られている必要がある。) (4)「 References (中略) [2] R1-121920 LS on feICIC, RAN1」(4ページ1行-4行) (訳は省略する。) 2 引用例2 引用例1のReferenceの[2]として示され,原査定の拒絶の理由で引用されたRAN1,LS on feICIC(表題の当審訳:「feICICにおけるLS」。)[online],3GPP TSG-RAN WG1#68bis,3GPP,2012年3月30日,R1-121920,検索日[2018.03.08],インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_68b/Docs/R1-121920.zip>(以下,「引用例2」という。)には以下の記載がある。 「1. Overall Description: RAN1 continued discussion on feICIC based on the conclusions reached at RAN1#67 [1] and RAN1#68 [2]. RAN1 would like to clarify aspects with respect to handling of CRS interference communicated in [1] whether the needed information indicated in [1] was intended to be provided from the serving cell via higher layer signalling or if the UE was assumed to acquire this information autonomously. For the purpose of CRS interference handling, RAN1 has concluded that the needed information indicated in [1] can be provided from the serving cell via higher layer signaling, i.e: o List of cell ID(s) ・ Parameters for each cell in the list of cell ID(s): ・ Number of CRS ports ・ Subframes containing CRS in the data region (e.g. the cell MBSFN configuration)」(1葉1行-11行) (当審訳: RAN1は,RAN1#67[1]及びRAN1#68[2]で得られた結論に基づいて,feICICに関する議論を続けた。RAN1は,[1]で通信されるCRSの干渉の処理に関する側面,つまり[1]で示された「必要とされる情報」が上位層のシグナリングを介してサービングセルから提供されることを意図していたのか,UEがこの情報を自律的に取得すると仮定されたのかを明確にしたいと考えている。 CRSの干渉処理の目的で,RAN1は[1]に示されている「必要とされる情報」を,上位層のシグナリングを介してサービングセルから提供できることを結論付けた。:すなわち, o セルIDのリスト ・ セルIDのリスト内の各セル毎のパラメータ: ・ CRSポートの数 ・ データ領域にCRSを含むサブフレーム(例:セルMBSFN構成)) 3 引用発明 (1)上記「1 (1)」には,UEが干渉低減の実行のためのリスト化された情報を受信してCRSの干渉処理を行う際に,リスト化された情報に攻撃セルの帯域幅情報がない場合に,攻撃セルのCRSの干渉を適切に処理できない旨が記載されているといえるから,引用例1には,UEが干渉低減の実行のためのリスト化された情報を受信して攻撃セルのCRSの干渉の処理を行う方法が記載されているといえる。 (2)引用例1における「[2]」の内容について,[2]に該当する引用例2の記載を参酌すると,引用例1には,最小限のリスト化された情報として,各セルID毎のパラメータであって,CRSポートの数,データ領域にCRSを含むサブフレームを用いることが記載されているといえる。 (3)上記「1 (2)」によると,UEが,攻撃セルの帯域幅,TDD UL/DL構成,特別サブフレームの構成を仮定できないと,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,UEは攻撃セルからのCRSの干渉がないのに,CRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作をすることが記載されているといえるところ,上記「1 (3)」に記載された提案1は,当該誤動作を防止するためであることは明らかである。したがって,引用例1には,UEは,最小限のリスト化された情報に加えて,各セルID毎の帯域幅,TDD UL/DL構成,TDD特別サブフレームの構成などの追加情報を受信し,当該追加情報を用いて,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉を抑制を試みるとの誤動作を防止することが記載されているといえる。 したがって,引用例1には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「UEが干渉低減の実行のためにリスト化された情報を受信して攻撃セルのCRSの干渉の処理を行う方法であって, リスト化された情報として,各セルID毎のパラメータであって,CRSポートの数,データ領域にCRSを含むサブフレームに加えて, 各セルID毎の帯域幅,TDD UL/DL構成,TDD特別サブフレームの構成などの追加情報を受信し, 当該追加情報を用いて,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作を防止する,方法。」 第5 引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「UE」は,本願発明の「ユーザ機器(UE)」に相当するとは明らかである。 また,引用発明の「UEが干渉低減の実行のためにリスト化された情報を受信して攻撃セルのCRSの干渉の処理を行う方法」は,UEによって実行されるワイヤレス通信のためのものであるから,本願発明の「ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信のための方法」に含まれる。 (2)引用発明の「特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉の抑制を試みる」との事項から,UEは,TDDにおけるDLサブフレームを被害セルから受信していることは自明である。 そして,TDDによる通信がUL/DL構成に基づくことは技術常識であるから,受信する当該DLサブフレームは,UEに構成されているUL/DL構成の特定のサブフレームであることは自明である。そして,引用発明において,UEに構成されているUL/DL構成を「第1のサブフレーム構成」と称し,「特定のサブフレーム」を「第1のサブフレーム」と称し,「被害セル」を「基地局」と称することは任意である。 してみると両者は,「第1のサブフレーム構成の第1のサブフレームを基地局から受信する」点で相違はない。 (3)引用発明の「攻撃セル」は,被害セルにCRSの干渉をするものであるから被害セルの近隣セルと解するのが相当であり,当該「攻撃セル」を「近隣基地局」と称することは任意である。そして,引用発明は,追加情報としてUL/DL構成を受信するものであり,被害セルと攻撃セルとはTDDによる通信を用いるものであるから,引用発明の「特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合」は,被害セルと攻撃セルとで,それぞれ異なるUL/DL構成に従って動作していることを判断していることは明らかである。 また,引用発明の「CRSの干渉の抑制を試みる」ことは,「特定のサブフレーム」における攻撃セルのCRSの干渉の抑制を試みることであるところ,引用発明の「誤動作を防止する」ことは,「CRSの干渉の抑制を試みる」処理に対して何らかの修正を行うことに含まれるから,引用発明の「CRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作を防止する」ことは,本願発明の「第1のサブフレームのための干渉管理動作を修正する」ことに含まれる。 したがって,引用発明の「当該追加情報を用いて,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作を防止する」ことは,本願発明の「近隣基地局が前記第1のサブフレームの間に第2のサブフレーム構成に従って動作しているかどうか判断することと,前記第2のサブフレーム構成は前記第1のサブフレーム構成とは異なる」こと,及び「前記判断に基づいて,前記第1のサブフレームのための干渉管理動作を修正する」ことに含まれる。 したがって,本願発明と引用発明とは,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。 [一致点] 「 ユーザ機器(UE)によって実行されるワイヤレス通信のための方法であって, 第1のサブフレーム構成の第1のサブフレームを基地局から受信することと, 近隣基地局が前記第1のサブフレームの間に第2のサブフレーム構成に従って動作しているかどうか判断することと,前記第2のサブフレーム構成は前記第1のサブフレーム構成とは異なる, 前記判断に基づいて,前記第1のサブフレームのための干渉管理動作を修正することと を備える,方法。」 [相違点] 「干渉管理動作を修正すること」に関して,本願発明では,「以前に前記第1のサブフレームのために前記干渉管理動作を行っていた場合,前記干渉管理動作を省略する」のに対して,引用発明では,当該事項が特定されていない点。 第6 判断 セルのUL/DL構成は所定の期間毎に変更可能であることが当業者の技術常識であることに鑑みれば,攻撃セルのUL/DL構成が変化することは当然にあり得え,それにより以前はあった攻撃セルからのCRSの干渉がなくなる場合があることは明らかである。したがって,引用発明の「攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作」は,上述の場合に攻撃セルのUL/DL構成が変化する前に行っていた干渉を抑制する動作を継続することが含まれることは明らかである。 そうすると,引用発明において,特定のサブフレームが,被害セルのDLサブフレームであるが,攻撃セルのULサブフレームである場合に,「攻撃セルからのCRSの干渉がないのにCRSの干渉の抑制を試みるとの誤動作」を防止するために,「以前に前記第1のサブフレームのために前記干渉管理動作を行っていた場合,前記干渉管理動作を省略する」ことは,当業者であれば自明の事項である。 そして,本願発明の作用効果も,引用発明に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。 したがって,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に想到できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。

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2018-015035

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