特許拒絶査定不服審判
2024-001451
ハンドオーバを開始するための方法、ノード、およびUE
- 審判番号
- 2024-001451
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-547532外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年01月26日
- 審決日
- 2025年11月11日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
- 【請求人代理人】園田 吉隆
- 【請求人代理人】小梶 晴美
- 【請求人代理人】仙波 和之
- 【請求人代理人】石岡 利康
- 分類
- P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-547532「ハンドオーバを開始するための方法、ノード、およびUE」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月20日国際公開、WO2020/167189、令和 4年 4月 5日国内公表、特表2022-521073〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)12月20日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2019年2月14日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年10月13日 特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書の
提出
令和4年10月11日付け 拒絶理由通知
令和5年 1月 5日 意見書の提出
令和5年 4月19日付け 拒絶理由通知
令和5年 7月 3日 意見書、手続補正書の提出
令和5年 9月20日付け 拒絶査定
令和6年 1月26日 拒絶査定不服審判請求、手続補正書の提出
令和6年 8月 7日付け 拒絶理由通知
令和7年 2月12日 意見書、手続補正書の提出
令和7年 2月19日付け 拒絶理由通知(最後の拒絶理由)
令和7年 6月 4日 意見書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明は、令和7年2月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。
「 【請求項1】
ソースセル(105a)からターゲットセル(105b)へのユーザ機器(UE)(101)のハンドオーバを開始するために前記UE(101)によって実行される方法であって、
第1のネットワークノード(103a)からハンドオーバ基準を示す情報を取得すること(401)であって、前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である、情報を取得すること(401)と、
2つ以上の候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たしていると判定することと、
複数の候補ターゲットセルから前記ターゲットセル(105b)を選択すること(403)であって、前記複数の候補ターゲットセルの各候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たし、選択済みターゲットセルは、測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えているビームを最大数有する、ターゲットセル(105b)を選択すること(403)と、
前記ソースセル(105a)から前記選択済みターゲットセル(105b)への前記UE(101)のハンドオーバを開始すること(404)と
を含む、方法。」
第3 拒絶の理由
令和7年2月19日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)は、
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
という理由であり、特許請求の範囲の請求項1に対して次の引用例1及び引用例2が引用されている。
引用例1:国際公開第2018/170777号(以下、「引用例1」という。)
引用例2:国際公開第2018/203815号(以下、「引用例2」という。)
第4 引用発明及び技術的事項について
1 引用例1について
当審拒絶理由で引用された引用例1(国際公開第2018/170777号)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。)
(1)「[0044] Figure 1 depicts an embodiment of a wireless communication system 100 for conditional handovers. In one embodiment, the wireless communication system 100 includes remote units 102 and base units 104. Even though a specific number of remote units 102 and base units 104 are depicted in Figure 1, one of skill in the art will recognize that any number of remote units 102 and base units 104 may be included in the wireless communication system 100.
[0045] In one embodiment, the remote units 102 may include computing devices, such as desktop computers, laptop computers, personal digital assistants ( “PDAs” ) , tablet computers, smart phones, smart televisions (e.g., televisions connected to the Internet) , set-top boxes, game consoles, security systems (including security cameras) , vehicle on-board computers, network devices (e.g., routers, switches, modems) , or the like. In some embodiments, the remote units 102 include wearable devices, such as smart watches, fitness bands, optical head-mounted displays, or the like. Moreover, the remote units 102 may be referred to as subscriber units, mobiles, mobile stations, users, terminals, mobile terminals, fixed terminals, subscriber stations, UE, user terminals, a device, or by other terminology used in the art. The remote units 102 may communicate directly with one or more of the base units 104 via UL communication signals.」(9ページ8から22行)
(当審仮訳:
[0044] 図1は、条件付きハンドオーバのための無線通信システム100の一実施形態を示す。一実施形態では、無線通信システム100は、リモートユニット102とベースユニット104とを含む。図1には特定の数のリモートユニット102とベースユニット104が示されているが、当業者であれば、無線通信システム100には任意の数のリモートユニット102とベースユニット104を含めることができることを理解するであろう。
[0045] 一実施形態では、リモートユニット102には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(“PDA”)、タブレットコンピュータ、スマートフォン、スマートテレビ(例えば、インターネットに接続されたテレビ)、セットトップボックス、ゲームコンソール、セキュリティシステム(防犯カメラを含む)、車載コンピュータ、ネットワークデバイス(例えば、ルータ、スイッチ、モデム)などのコンピューティングデバイスが含まれ得る。いくつかの実施形態では、リモートユニット102には、スマートウォッチ、フィットネスバンド、光学式ヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブルデバイスが含まれる。さらに、リモートユニット102は、加入者ユニット、モバイル、モバイルステーション、ユーザ、端末、モバイル端末、固定端末、加入者ステーション、UE、ユーザ端末、デバイスと、又は当該技術分野で使用される他の用語で呼ばれることもある。リモートユニット102は、UL通信信号を介して、1つ以上のベースユニット104と直接通信することができる。)
(2)「[0072] Figure 5 illustrates one embodiment of communications 500 for conditional handovers. By using conditional handovers, too late handover, too early handover, and/or handover to a wrong cell may be avoided. Communications 500 between a UE 502, a gNB 504, and a target gNB 506 are illustrated.
[0073] A first communication 508 transmitted from the UE 502 to the source gNB 504 may include the UE 502 reporting measurement results (e.g., reference signal received power ( “RSRP” ) , reference signal received quality ( “RSRQ” ) ) based on a trigger condition configured by the source gNB 504. A second communication 510 from the source gNB 504 to the target gNB 506 may include, in response to the source gNB 504 making a decision to perform conditional handover based on the measurement result from the UE 502, the source gNB 504 sending a handover request to the target gNB 506. The handover request may be sent to more than one candidate cell (e.g., target gNBs) . A third communication 512 from the target gNB 506 to the source gNB 504 may include the source gNB 504 receiving a handover acknowledge from the target gNB 506 (e.g., one or more candidate cells) . A fourth communication 514 from the source gNB 504 to the UE 502 may include the source gNB 504 sending a RRCconnectionreconfiguration message including mobilityControlInfo IE and a condition for handover configured by the source gNB 504 to the UE 502. Meanwhile, the source gNB 504 may forward data to the target gNB 506 (e.g., all candidate cells) .
[0074] A fifth communication 516 from the UE 502 to the target gNB 506 may include, in response to the condition being met and the UE 502 applying the RRCconnectionreconfiguration, accessing the target gNB 506. A sixth communication 518 from the UE 502 to the target gNB 506 may include the UE 502 informing the target gNB 506 that RRC reconfiguration is complete. A seventh communication 520 from the target gNB 506 to the source gNB 504 may include the target gNB 506 informing the source gNB 504 that handover is completed.
[0075] In certain embodiments, to avoid handover to a wrong cell and/or redundancy handover, the UE 502 may select a candidate cell (out of multiple available candidate cells) with a best channel quality (e.g., highest RSRP) as the target cell if more than one candidate cell meets the condition.」(16ページ1行から29行)
(当審仮訳:
[0072] 図5は、条件付きハンドオーバのための通信500の一実施形態を示している。条件付きハンドオーバを用いることで、遅すぎるハンドオーバ、早すぎるハンドオーバ、及び/又は誤ったセルへのハンドオーバを回避することができる。UE502、gNB504、及びターゲットgNB506間の通信500が示されている。
[0073] UE502からソースgNB504に送信される第1の通信508には、ソースgNB504によって構成されたトリガー条件に基づいて、UE502が測定結果(例えば、基準信号受信電力(“RSRP”)、基準信号受信品質(“RSRQ”))を報告することが含んでもよい。ソースgNB504からターゲットgNB506への第2の通信510には、ソースgNB504がUE502からの測定結果に基づいて条件付きハンドオーバを実行する決定を下したことに応答して、ソースgNB504がターゲットgNB506にハンドオーバ要求を送信することが含んでもよい。ハンドオーバ要求は、複数の候補セル(例えば、ターゲットgNB)に送信されてもよい。ターゲットgNB506からソースgNB504への第3の通信512は、ソースgNB504がターゲットgNB506(例えば、1つ以上の候補セル)からハンドオーバ確認応答を受信することを含んでもよい。ソースgNB504からUE502への第4の通信514は、ソースgNB504が、mobilityControlInfo IEと、ソースgNB504によって構成されたハンドオーバの条件を含むRRCconnectionreconfigurationメッセージをUE502に送信することを含んでもよい。一方、ソースgNB504は、ターゲットgNB506(例えば、すべての候補セル)にデータを転送してもよい。
[0074] UE502からターゲットgNB506への第5の通信516は、条件が満たされ、UE502がRRC接続再構成を適用したことに応答して、ターゲットgNB506にアクセスすることを含んでもよい。UE502からターゲットgNB506への第6の通信518は、UE502がターゲットgNB506にRRC再構成が完了したことを通知することを含んでもよい。ターゲットgNB506からソースgNB504への第7の通信520は、ターゲットgNB506がソースgNB504にハンドオーバが完了したことを通知することを含んでもよい。
[0075] 特定の実施形態では、間違ったセルへのハンドオーバ及び/又は冗長ハンドオーバを回避するために、UE502は、複数の候補セルが条件を満たす場合、最良のチャネル品質(例えば、最高のRSRP)を有する1つの候補セルを(複数の利用可能な候補セルから)ターゲットセルとして選択してもよい。)
(3)「[0080] Figure 6 is a schematic flow chart diagram illustrating one embodiment of a method 600 for conditional handovers. In some embodiments, the method 600 is performed by an apparatus, such as the remote unit 102. In certain embodiments, the method 600 may be performed by a processor executing program code, for example, a microcontroller, a microprocessor, a CPU, a GPU, an auxiliary processing unit, a FPGA, or the like.
[0081] The method 600 may include receiving 602 a handover command involving multiple candidate cells. The method 600 also includes selecting 604 a target cell of the multiple candidate cells in response to the target cell meeting a predetermined condition.
[0082] In one embodiment, selecting the target cell includes selecting the target cell with a best channel quality. In a further embodiment, selecting the target cell includes selecting the target cell with a highest reference signal received power. In certain embodiments, the predetermined condition is indicated in the handover command. In various embodiments, each candidate cell of the multiple candidate cells has a corresponding predetermined condition.」
[0083] In some embodiments, the handover command is a conditional handover command. In one embodiment, the handover command is part of RRCConnectionReconfiguration and includes mobilityControlInfo. In certain embodiments, the method 600 includes applying the RRCConnectionReconfiguration including the handover command in response to selecting the target cell. In various embodiments, the method 600 includes overwriting a previously suspended handover command in response to receiving the handover command having the predetermined condition.」(17ページ19行から18ページ4行)
(当審仮訳:
[0080] 図6は、条件付きハンドオーバの方法600の一実施形態を示す概略フローチャート図である。いくつかの実施形態では、方法600は、リモートユニット102などの装置によって実行される。特定の実施形態では、方法600は、プログラムコードを実行するプロセッサ、例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、CPU、GPU、補助処理装置、FPGAなどによって実行され得る。
[0081] 方法600は、複数の候補セルを含むハンドオーバコマンドを受信すること602を含んでもよい。方法600はまた、ターゲットセルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中からターゲットセルを選択すること604も含む。
[0082] 一実施形態では、ターゲットセルの選択は、チャネル品質が最も良好なターゲットセルを選択することを含む。さらなる実施形態では、ターゲットセルの選択は、基準信号受信電力が最も高いターゲットセルを選択することを含む。特定の実施形態では、所定の条件はハンドオーバコマンドで示される。様々な実施形態では、複数の候補セルの各候補セルは対応する所定の条件を有する。
[0083] いくつかの実施形態では、ハンドオーバコマンドは条件付きハンドオーバコマンドである。一実施形態では、ハンドオーバコマンドはRRCConnectionReconfigurationの一部であり、mobilityControlInfoを含む。特定の実施形態では、方法600は、ターゲットセルの選択に応答して、ハンドオーバコマンドを含むRRCConnectionReconfigurationを適用することを含む。様々な実施形態では、方法600は、所定の条件を有するハンドオーバコマンドの受信に応答して、以前に中断されたハンドオーバコマンドを上書きすることを含む。)
(4)FIG.5
[図:0001433478000001.jpg]
(5)FIG.6
[図:0001433478000002.jpg]
上記記載及び当業者における技術常識からみて、以下のことがいえる。
ア 上記「(2)」の段落72に「図5は、条件付きハンドオーバのための通信500の一実施形態を示している。」と記載され、段落73に「UE502からソースgNB504に送信される第1の通信508」と記載されており、また、上記「(4)」の図5からは、初めに通信508においてUE502からソースgNB504への送信が行われることが見て取れることから、条件付きハンドオーバのための通信500において、初めにUEはソースgNBと通信しており、そして、段落73に続く段落74に「UE502からターゲットgNB506への第5の通信516は、条件が満たされ、UE502がRRC接続再構成を適用したことに応答して、ターゲットgNB506にアクセスすることを含んでもよい。」と記載されていることから、条件付きハンドオーバのための通信500において、初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行っているといえる。
したがって、初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うというUEの動作は、初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためのUEによって実行される動作といえる。
よって、引用例1には、初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためにUEによって実行される方法が記載されているといえる。
イ 上記「(2)」の段落73に「ソースgNB504からUE502への第4の通信514は、ソースgNB504が、mobilityControlInfo IEと、ソースgNB504によって構成されたハンドオーバの条件を含むRRCconnectionreconfigurationメッセージをUE502に送信することを含んでもよい。」と記載されていることから、ソースgNBからUEへハンドオーバの条件を含むRRCconnectionreconfigurationメッセージを送信し、UEが受信しているといえる。
また、上記「(1)」の段落45に「リモートユニット102は、・・・UE・・・と・・・呼ばれることもある。」と記載された上で、上記「(3)」の段落80に「図6は、条件付きハンドオーバの方法600の一実施形態を示す概略フローチャート図である。・・・方法600は、リモートユニット102などの装置によって実行される。」と記載されていることから、方法600は条件付きハンドオーバのUEの動作が記載されているといえる。
そして、上記「(3)」の段落81に「方法600は、複数の候補セルを含むハンドオーバコマンドを受信すること602を含んでもよい。」と記載され、段落83に「ハンドオーバコマンドは条件付きハンドオーバコマンドである。・・・ハンドオーバコマンドはRRCConnectionReconfigurationの一部であり」と記載されていることから、UEが受信するRRCconnectionreconfigurationメッセージは条件付きハンドオーバコマンドを含んでいる。したがって、引用例1のUEは、ソースgNBから条件付きハンドオーバコマンドを受信しているといえる。
また、上記「(3)」の段落81に「方法600はまた、ターゲットセルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中からターゲットセルを選択すること604も含む。」、段落82に「所定の条件はハンドオーバコマンドで示される。・・・複数の候補セルの各候補セルは、対応する所定の条件を有する。」、段落83に「ハンドオーバコマンドは条件付きハンドオーバコマンドである。」と記載されていることから、条件付きハンドオーバコマンドには所定の条件が示され、所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応する。
以上のことから、引用例1のUEは、ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信し、所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応することが記載されているといえる。
ウ 上記「(2)」の段落75に「UE502は、複数の候補セルが条件を満たす場合、最良のチャネル品質(例えば、最高のRSRP)を有する1つの候補セルを(複数の利用可能な候補セルから)ターゲットセルとして選択してもよい。」と記載され、上記「(3)」の段落81に「方法600はまた、ターゲットセルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中からターゲットセルを選択すること604も含む。」と記載され、段落82に「ターゲットセルの選択は、チャネル品質が最も良好なターゲットセルを選択することを含む。」と記載されていることから、引用例1のUEは、複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中から最良のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択することが記載されているといえる。
エ 上記「(2)」の段落74に「UE502からターゲットgNB506への第5の通信516は、条件が満たされ、UE502がRRC接続再構成を適用したことに応答して、ターゲットgNB506にアクセスすることを含んでもよい。」と記載されていることから、引用例1のUEは、ターゲットgNB506にアクセスするといえる。
そして、上記「ア」で説示したとおり、引用例1には、初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためにUEによって実行される方法が記載されていることから、引用例1のUEは、ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットgNBにハンドオーバを行うといえる。また、上記「(2)」の段落74に続く段落75に「UE502は、複数の候補セルが条件を満たす場合、最良のチャネル品質(例えば、最高のRSRP)を有する1つの候補セルを(複数の利用可能な候補セルから)ターゲットセルとして選択してもよい。」と記載されており、ここで選択されたターゲットセルとはハンドオーバ先のセルのことであることは明らかであるから、ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットgNBのターゲットセルへのハンドオーバを行うことが記載されているといえる。
以上のことから、引用例1のUEは、ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行うことが記載されているといえる。
以上を総合すると、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためにUEによって実行される方法であって、
ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信し、所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応することと、
複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中から最良のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択することと、
ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行うことと、
を含む方法。」
2 引用例2について
当審拒絶理由で引用された引用例2(国際公開第2018/203815号)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。)
(1)「If the network tells the wireless device to handover to a cell with very few (e.g. only one) good beams, and this single beam deteriorates shortly thereafter, the wireless device will need to do another handover and a ping-pong will occur. At least at similar cell quality, neighbour cells with more good beams should therefore be preferred to cells with less (or only one) good beams. However, since the network cannot distinguish the two cases described above, the network cannot prioritize cells with more good beams over cells with less good beams.」(9ページ32行から10ページ3行)
(当審仮訳:
ネットワークがワイヤレスデバイスに、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームを有するセルにハンドオーバするように指示し、この1つのビームが直後に劣化した場合、ワイヤレスデバイスは別のハンドオーバを実行する必要があり、ピンポンが発生する。したがって、少なくとも同様のセル品質であれば、良好なビームが多い隣接セルは、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームを有するセルよりも優先されるべきである。ただし、ネットワークは上記の2つのケースを区別できないため、良好なビームが多いセルを良好なビームが少ないセルよりも優先することはできない。)
(2)「The thresholds can be absolute or relative (to the best beam) or both absolute and relative (to the best beam) thresholds. The N1 "good" beams are the ones used for the computation of the cell quality. The N2 "good" beams are the ones used to be included in the measurement reports. The "good" beams are the ones whose filtered beam quality > absolute threshold or filtered beam quality > filtered best beam quality - relative threshold. These filtered values can also be configured differently for the cell quality derivation function and the measurement reporting/events configuration
」(19ページ1行から7行)
(当審仮訳:
閾値は、絶対値、相対値(ベストビームを基準)、あるいは絶対値と相対値(ベストビームを基準)の両方のいずれかである。N1個の“良好な”ビームは、セル品質の計算に使用される。N2個の“良好な”ビームは、測定レポートに含めるために使用される。“良好な”ビームとは、フィルタリングされたビーム品質>絶対値閾値、又はフィルタリングされたビーム品質>フィルタリングされたベストビーム品質-相対値閾値のうちの1つである。これらのフィルタリングされた値は、セル品質導出機能と測定レポート/イベント構成でそれぞれ異なる構成が可能である。)
(3)「Action 1008. The first radio network node 12 may transmit a handover command to the wireless device 10 indicating a neighbor cell to handover to, based on the reported cell quality. Upon receiving measurement reports containing cell quality such as RSRP (based on a number of configured beams) per reported neighbor cells and beam-level quality per cell (based on a number of configured beams, not necessarily the same) the first radio network node 12 may decide to prioritize the neighbors cells as handover target candidates having a higher number of reported beams to avoid ping-pong. At the same time, the first radio network node 12 should define its own quality difference so that if a cell has fewer good beams but it is much better than the best beams of another cell, the cell with a fewer beams should be prioritized. Assuming the first radio network node 12 has these information available these parameters can be reported later. In other words, if there are two neighbor cells A and B with comparable quality and A has more good beams compared to B, then the network should prioritize the cell with more good beams. That has the potential to avoid or reduce ping-pong handovers.」(19ページ26行ないし20ページ4行)
(当審仮訳:
アクション1008 第1無線ネットワークノード12は、報告されたセル品質に基づいて、ハンドオーバする隣接セルを示すハンドオーバコマンドをワイヤレスデバイス10に送信することができる。報告された隣接セルごとの(構成されたビームの数に基づく)RSRPや(構成されたビームの数に基づくが、必ずしも同じではない)セルごとのビームレベルの品質などのセル品質を含む測定レポートを受信すると、第1無線ネットワークノード12は、ピンポンを回避するために、報告されたビームの数が多い隣接セルをハンドオーバターゲット候補として優先することを決定してもよい。同時に、第1無線ネットワークノード12は、セルが非常に少ない良好なビームを持つが、別のセルの最良のビームよりもはるかに優れている場合は、ビームの数が少ないセルを優先するように、独自の品質差を定義する必要がある。第1無線ネットワークノード12がこれらの情報を利用できると仮定すると、これらのパラメータは後で報告される。つまり、同等の品質を持つ2つの隣接セルAとBがあり、AがBと比較して良好なビーム数が多い場合、ネットワークは良好なビーム数が多いセルを優先するべきである。これにより、ピンポンハンドオーバを回避又は軽減できる可能性がある。)
上記記載及び当業者における技術常識からみて、以下のことがいえる。
ア 上記「(2)」の「“良好な”ビームとは、フィルタリングされたビーム品質>絶対値閾値・・・のうちの1つである。」との記載から、良好なビームとは閾値を超えたビームであるといえる。
イ 上記「(1)」に「ネットワークがワイヤレスデバイスに、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームであるセルにハンドオーバするように指示し、この1つのビームが直後に劣化した場合、ワイヤレスデバイスは別のハンドオーバを実行する必要があり、ピンポンが発生する。したがって、少なくとも同様のセル品質であれば、良好なビームが多い隣接セルは、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームであるセルよりも優先されるべきである。」と記載されていることから、ハンドオーバする際に、ピンポンが発生しないために、良好なビームが多い隣接セルは、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームであるセルよりも優先されるべきであるといえる。
また、上記「(3)」に「ピンポンを回避するために、報告されたビームの数が多い隣接セルをハンドオーバターゲット候補として優先することを決定してもよい。・・・同等の品質を持つ2つの隣接セルAとBがあり、AがBと比較して良好なビーム数が多い場合、ネットワークは良好なビーム数が多いセルを優先するべきである。これにより、ピンポンハンドオーバを回避又は軽減できる可能性がある。」と記載されていることから、ハンドオーバする際に、ピンポンを回避するために、ネットワークは良好なビーム数が多いセルを優先するべきであるといえる。
以上を総合すると、引用例2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ハンドオーバする際に、ピンポンハンドオーバを回避するために、良好なビーム数が多い隣接セルは、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームであるセルよりも優先されるべきであり、良好なビームとは閾値を超えたビームである。」
第5 対比及び判断
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「ターゲットセル」、「UE」はそれぞれ、本願発明の「ターゲットセル(105b)」、「ユーザ機器(UE)(101)」に相当する。
2 UEはgNBと通信する上でgNBのセルを介してgNBと通信することは技術常識である。そこで、引用発明の「初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためにUEによって実行される方法」では、「初めにUEはソースgNBと通信」していることからソースgNBのソースセルを介して通信していることは明らかである。また、「その後に、UEはターゲットgNBにアクセスする」ことから、条件付きハンドオーバ後は、ターゲットgNBのターゲットセルを介して通信することは明らかである。したがって、引用発明の条件付きハンドオーバはソースセルからターゲットセルへの条件付きハンドオーバといえる。
ここで、引用発明のソースセルは、本願発明の「ソースセル(105a)」に相当する。
そして、引用発明のUEは、「ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行う」ことから、ハンドオーバを開始するための動作も行われていることは明らかである。したがって、引用発明の「初めにUEはソースgNBと通信し、その後に、UEはターゲットgNBにアクセスすることで条件付きハンドオーバを行うためにUEによって実行される方法」は、UEのハンドオーバを開始するためにUEによって実行される方法を含むものといえる。
したがって、本願発明の「ソースセル(105a)からターゲットセル(105b)へのユーザ機器(UE)(101)のハンドオーバを開始するために前記UE(101)によって実行される方法」と、引用発明の「ソースセルからターゲットセルへの条件付きハンドオーバのためのUEによって実行される方法であって」「ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行う」ことは、「ソースセルからターゲットセルへのユーザ機器(UE)のハンドオーバを開始するために前記UEによって実行される方法」である点で共通する。
3 引用発明では「複数の候補セルの中から最良のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択する」ことから、引用発明の「複数の候補セル」は、ハンドオーバ先のターゲットセルを選択するための複数の候補といえる。そうすると、本願発明の「複数の候補ターゲットセル」に相当する。
そして、引用発明では「所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応する」ことから、「所定の条件」が複数の候補ターゲットセルのための条件であるといえる。
さらに、引用発明は、「ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信」することから、「所定の条件」は、条件付きハンドオーバの条件である。そして、条件付きハンドオーバでは、受信した条件を用いて、該条件を満たしていない場合はハンドオーバを行わず、前記条件を満たした場合にハンドオーバを行うという判断を行うことが技術常識である。そうすると、引用発明の「所定の条件」は条件付きハンドオーバの判断基準といえる。
以上のことから、引用発明の「所定の条件」は本願発明の「ハンドオーバ基準」に含まれ、本願発明の「前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である」ことと、引用発明の「ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信し、所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応すること」とは、「前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である」点で共通する。
そして、引用発明の「ソースgNB」は、ネットワーク側のノードといえることから、本願発明の「第1のネットワークノード(103a)」に含まれる。
また、引用発明では「ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信」することは、所定の条件を示す情報を受信することで所定の条件を示す情報を取得することといえる。そして、上で説示したとおり、引用発明の「所定の条件」は本願発明の「ハンドオーバ基準」に含まれることから、引用発明における所定の条件を示す情報は、本願発明の「ハンドオーバ基準を示す情報」に含まれる。
したがって、本願発明の「第1のネットワークノード(103a)からハンドオーバ基準を示す情報を取得すること(401)」と、引用発明の「ソースgNBから所定の条件を示すハンドオーバコマンドを受信」することとは、「第1のネットワークノードからハンドオーバ基準を示す情報を取得する」点で共通する。
以上のことから、本願発明の「第1のネットワークノード(103a)からハンドオーバ基準を示す情報を取得すること(401)であって、前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である、情報を取得すること(401)」と、引用発明の「ソースgNBから所定の条件を示す条件付きハンドオーバコマンドを受信し、所定の条件は複数の候補セルの各候補セルに対応すること」とは、「第1のネットワークノードからハンドオーバ基準を示す情報を取得することであって、前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である、情報を取得すること」である点で共通する。
4 引用発明では「複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中から最良のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択」していることから、複数の候補セルが所定の条件を満たしていると判定しているといえる。また、上記「3」で説示したとおり、引用発明の「複数の候補セル」は、本願発明の「複数の候補ターゲットセル」に相当し、引用発明の「所定の条件」は本願発明の「ハンドオーバ基準」に含まれる。そして、一般に、「複数」とは、2つ以上の数を表すことが自明であるから、引用発明の「複数の候補セル」は2つ以上の候補セルである。
したがって、本願発明の「2つ以上の候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たしていると判定すること」と、引用発明の「複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答」することとは、「2つ以上の候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たしていると判定すること」である点で共通する。
5 上記「3」で説示したとおり、引用発明の「複数の候補セル」は、本願発明の「複数の候補ターゲットセル」に相当することを考慮すれば、引用発明の「複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中から最良のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択すること」は、本願発明の「複数の候補ターゲットセルから前記ターゲットセル(105b)を選択すること(403)」に含まれる。
また、上記「3」で説示したとおり、引用発明の「所定の条件」は本願発明の「ハンドオーバ基準」に含まれることを考慮すれば、引用発明の「複数の候補セルが所定の条件を満たしている」ことは、本願発明の「前記複数の候補ターゲットセルの各候補ターゲットセルがハンドオーバ基準を満たし」ていることに含まれる。
よって、本願発明の「複数の候補ターゲットセルから前記ターゲットセル(105b)を選択すること(403)であって、前記複数の候補ターゲットセルの各候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たし、選択済みターゲットセルは、測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えているビームを最大数有する、ターゲットセル(105b)を選択すること(403)」ことと、引用発明の「複数の候補セルが所定の条件を満たしていることに応答して、複数の候補セルの中から最長のチャネル品質を有する1つの候補セルをターゲットセルとして選択すること」とは、「複数の候補ターゲットセルから前記ターゲットセルを選択することであって、前記複数の候補ターゲットセルの各候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たし、ターゲットセルを選択すること」である点で共通する。
6 上記「2」で説示したとおり、引用発明の条件付きハンドオーバはソースセルからターゲットセルへの条件付きハンドオーバといえる。そうすると、引用発明のUEが「ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行う」ことは、UEがソースセルからターゲットセルへのハンドオーバを行うことといえ、UEのハンドオーバを開始するための動作も行われていることは明らかである。したがって、「ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行う」ことは、ソースセルからターゲットセルへのUEのハンドオーバを開始することを含むといえる。さらに、アクセスするターゲットセルは、複数の候補セルの中から1つの候補セルをターゲットセルとして選択することで得られた1つのターゲットセルであるから、選択済みターゲットセルといえる。
以上のことから、本願発明の「前記ソースセル(105a)から前記選択済みターゲットセル(105b)への前記UE(101)のハンドオーバを開始すること(404)」と引用発明のUEが「ターゲットgNBにアクセスすることでターゲットセルへのハンドオーバを行う」こととは、「前記ソースセルから前記選択済みターゲットセルへの前記UEのハンドオーバを開始すること」である点で共通する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「 ソースセルからターゲットセルへのユーザ機器(UE)のハンドオーバを開始するために前記UEによって実行される方法であって、
第1のネットワークノードからハンドオーバ基準を示す情報を取得することであって、前記ハンドオーバ基準が複数の候補ターゲットセルのための条件付きハンドオーバ基準である、情報を取得すること
2つ以上の候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たしていると判定することと、
複数の候補ターゲットセルから前記ターゲットセルを選択することであって、前記複数の候補ターゲットセルの各候補ターゲットセルが前記ハンドオーバ基準を満たし、ターゲットセルを選択することと、
前記ソースセルから前記選択済みターゲットセルへの前記UEのハンドオーバを開始することと、
を含む、方法。」
(相違点)
複数の候補ターゲットセルから選択された「選択済みターゲットセル」が、本願発明では、「測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えているビームを最大数有する」ターゲットセルであるという発明特定事項を有するのに対し、引用発明では、1つの候補セルをターゲットセルとして選択する上で、最良のチャネル品質を有するターゲットセルであるが、当該発明特定事項が特定されていない点。
以下、上記相違点について検討する。
上記「第4 引用発明及び技術的事項について」の「2.引用例2について」に説示されたとおり、「ハンドオーバする際に、ピンポンハンドオーバを回避するために、良好なビーム数が多い隣接セルは、非常に少ない(たとえば1つだけ)良好なビームであるセルよりも優先されるべきであり、良好なビームとは閾値を超えたビームである。」ことは公知の技術的事項である。
ここで、「良好なビームとは閾値を超えたビームである」ことは、良好なビームの測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えているビームであることといえる。
そして、引用発明と引用例2の技術的事項とは、ハンドオーバ先のターゲットセルを選択する技術である点で共通しており、ハンドオーバする際に、ピンポンを回避することは周知の技術課題であるから、引用発明において、1つの候補セルをターゲットセルとして選択する上で、周知の技術課題を解決するために、引用例2の技術的事項に基づいて、閾値を超えたビーム数が多い隣接セルをハンドオーバ先の選択済みのターゲットセルとして優先して選択することで、選ばれる1つの「選択済みターゲットセル」をビーム数が最も多い隣接セルとする、つまり、「測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えているビームを最大数有する」ターゲットセルとすることは当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
ここで、令和7年6月4日に提出された意見書において、審判請求人は、「2.本願発明が特許されるべき理由」の「(1)理由1(進歩性)」において、
「しかしながら、引用文献2には、条件付きハンドオーバに関する開示は一切なく、また、同文献に記載された「the first radio network node 12 may decide to prioritize the neighbor cells as handover target candidates having a higher number of reported beams to avoid ping-pong.」という記載は、ネットワークノードが報告されたビームの数が多い隣接セルをハンドオーバ候補として優先すると決定することを述べているに過ぎず、ユーザ機器がターゲットセルを選択するという条件付きハンドオーバ(CHO)については何ら開示されていません。
ましてや、ユーザ機器が、測定量が所定のまたは設定可能な閾値を超えるビームを最大数有するセルをターゲットセルとして選択するという構成については、引用文献2には開示も示唆も一切存在しません。」
と主張している。
請求人の上記主張について検討すると、引用例2には、確かに、条件付きハンドオーバに関する開示はないが、ハンドオーバ時のターゲットセルの選択に関する技術が記載されている。
また、ハンドオーバで問題となるピンポンを回避する必要があることは通常のハンドオーバに限らず、条件付きハンドオーバでもピンポンを回避することは必要な課題である。
したがって、条件付きハンドオーバである引用発明において、ハンドオーバで問題となるピンポンを回避のために引用例2に記載の技術的事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものである。また、ハンドオーバで発生するピンポンが、条件付きハンドオーバでは発生しないということはないことから、引用発明において引用例2の技術的事項を採用するのに阻害要因があるとはいえない。
よって、当該主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-001451