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特許異議申立

2017-701166

遊技機

審判番号
2017-701166
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-102240外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年12月11日
審決日
2018年08月01日
公報発行日
2018年10月26日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-YAA(A63F) / P1651.121-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6148283号発明「遊技機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6148283号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第6148283号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本件特許第6148283号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願は、平成29年5月26日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年12月11日付けで特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より特許異議の申立てがなされたものであり、平成30年2月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年4月19日付けで意見書の提出及び訂正請求がなされたものである。 第2 訂正請求について 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、 「前記遊技機へ電力供給が停止しても、・・・遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、」を、 「前記遊技機への電力供給が停止しても、・・・遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、」に訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、 「前記遊技機へ電力供給が停止しても、・・・演出バックアップデータ保持手段と、」を、 「前記遊技機への電力供給が停止しても、・・・演出バックアップデータ保持手段と、」に訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、 「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、」を、 「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わず、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、」に訂正する。 (4)訂正事項4 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項3の後に、 「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御開始手段により前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す前記演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段と、」を加える。 (5)訂正事項5 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、上記訂正事項4の後の「を含み、」の後に、 「前記制御情報送信手段は、前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後、前記復帰時制御情報を送信し、」を加える。 (6)訂正事項6 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における、 「前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、」を、 「前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報であって前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、」に訂正する。 (7)訂正事項7 願書に添付した明細書の段落【0009】における、 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、 所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、 ゲームの進行制御を行うとともに、該ゲームの進行制御に基づく制御情報を送信する遊技制御手段と、 演出を行う演出装置と、 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて前記演出装置による出力制御を行う演出制御手段と、 を備え、 前記遊技制御手段は、 予め決められた順番で処理を実行する基本処理を行う基本処理手段と、 一定間隔毎に前記基本処理に割り込んで処理を実行する定期割込処理を行う定期割込処理手段と、 制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、 前記基本処理において前記ゲームの進行制御に応じて制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する制御情報生成手段と、 前記遊技機へ電力供給が停止しても、前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を含む前記遊技制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記遊技制御手段の制御状態を前記遊技バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させることが可能な遊技復帰手段と、 前記遊技復帰手段が電力供給停止前の制御状態に復帰させるときに復帰時制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する復帰時制御情報生成手段と、 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して送信する手段であって、前記制御情報格納手段に格納された順番で前記定期割込処理において所定個数ずつ送信する制御情報送信手段と、 を含み、 前記演出制御手段は、 制御情報の受信に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する制御状態更新手段と、 前記演出制御手段の制御状態に基づいて前記演出装置の出力制御を行う演出出力制御手段と、 前記遊技機へ電力供給が停止しても、前記演出制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための演出バックアップデータを保持する演出バックアップデータ保持手段と、 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記復帰時制御情報を受信したか否かに関わらず、前記演出制御手段の制御状態を前記演出バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させる演出復帰手段と、 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、 を含み、 前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、 ことを特徴としている。」を、 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、 所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、 ゲームの進行制御を行うとともに、該ゲームの進行制御に基づく制御情報を送信する遊技制御手段と、 演出を行う演出装置と、 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて前記演出装置による出力制御を行う演出制御手段と、 を備え、 前記遊技制御手段は、 予め決められた順番で処理を実行する基本処理を行う基本処理手段と、 一定間隔毎に前記基本処理に割り込んで処理を実行する定期割込処理を行う定期割込処理手段と、 制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、 前記基本処理において前記ゲームの進行制御に応じて制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する制御情報生成手段と、 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を含む前記遊技制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記遊技制御手段の制御状態を前記遊技バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させることが可能な遊技復帰手段と、 前記遊技復帰手段が電力供給停止前の制御状態に復帰させるときに復帰時制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する復帰時制御情報生成手段と、 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して送信する手段であって、前記制御情報格納手段に格納された順番で前記定期割込処理において所定個数ずつ送信する制御情報送信手段と、 を含み、 前記演出制御手段は、 制御情報の受信に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する制御状態更新手段と、 前記演出制御手段の制御状態に基づいて前記演出装置の出力制御を行う演出出力制御手段と、 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記演出制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための演出バックアップデータを保持する演出バックアップデータ保持手段と、 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記復帰時制御情報を受信したか否かに関わらず、前記演出制御手段の制御状態を前記演出バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させる演出復帰手段と、 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わず、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御開始手段により前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す前記演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段と、 を含み、 前記制御情報送信手段は、前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後、前記復帰時制御情報を送信し、 前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報であって前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、 ことを特徴としている。」に訂正する。 2 訂正の適否について (1)訂正事項1 ア 訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1における「前記遊技機への電力供給」の記載に整合させるために訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項1は、上記のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「願書に添付した明細書等」という。)の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項1によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項1における「前記遊技機への電力供給」の記載に整合させるために訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項2は、上記のとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項2によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的 訂正事項3は、「演出出力制御開始手段」が、「前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わ」ない点を限定するものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0152】には、「復帰コマンド、RAM異常を示すエラーコマンドまたは設定変更開始コマンドのいずれかを受信するまでは、制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力制御は行わず、復旧処理中である旨を報知する復旧中パターンAに応じた出力制御を行う。」と記載されており、訂正事項3は、上記の記載等に基づくものである。 したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項3によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的 訂正事項4は、「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御開始手段により前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す前記演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段」を加えて限定するものであるから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0152】には、「また、サブCPU91aは、電源投入時においてメインCPU41aよりも先に起動するとともに、・・・復帰コマンド、RAM異常を示すエラーコマンドまたは設定変更開始コマンドのいずれかを受信するまでは、制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力制御は行わず、復旧処理中である旨を報知する復旧中パターンAに応じた出力制御を行う。これにより液晶表示器51には復旧処理中を示す復旧中画像が表示され、演出効果LED52は消灯状態となる。・・・その後、復帰コマンドを受信した場合には、制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力制御を行い、この時点で演出装置の出力状態が復旧中パターンAから制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力状態に切り替わる。」と記載されており、訂正事項4は、上記の記載等に基づくものである。 したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項4によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的 訂正事項5は、「制御情報送信手段」が、「前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後、前記復帰時制御情報を送信」する点を限定するものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0135】には、「また、基本処理においてコマンド送信用バッファにコマンドを格納する際に、これらコマンドをその生成順に格納するとともに、コマンド送信処理ではコマンド送信用バッファに生成・格納された順番でコマンドを送信するようになっている。すなわちコマンド送信用バッファに格納されたコマンドは、生成・格納された順番で送信されるようになっている。」と記載されており、段落【0149】には、「また、メインCPU41aは、電断前の制御状態に復帰させる場合に、コマンド送信用バッファもそのままの状態で復帰させるため、電断前にコマンド送信用バッファに未送信のコマンドが格納されている場合には、復帰コマンドが未送信のコマンドの後に生成され、格納されることとなり、この場合には、復帰コマンドの方が後に生成され、コマンド送信用バッファに格納されるので、復帰コマンドは、未送信のコマンドが全て送信された後に送信されることとなる。」と記載されており、訂正事項5は、上記の記載等に基づくものである。 したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項5によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的 訂正事項6は、遊技機への電力供給が開始した後、「制御状態更新手段」が復帰時制御情報を受信する前に受信する「復帰時制御情報以外の制御情報」が、「前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報」である点を限定するものであるから、当該訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 願書に添付した明細書の段落【0153】には、「また、前述のようにメインCPU41aは、電断前の制御状態に復帰させる際に、電断前にコマンド送信用バッファに未送信のコマンドが格納されている場合には、復帰コマンドが、未送信のコマンドが全て送信された後に送信されることとなるが、サブCPU91aは、その起動時に制御状態を電断前の制御状態に復帰させた後、復帰コマンド、RAM異常を示すエラーコマンドまたは設定変更開始コマンドのいずれも受信していない状態で、他のコマンドを受信した場合には、制御パターン格納領域に設定されている電断前の制御パターンを当該コマンドに応じた制御パターンに更新するようになっている。」と記載されており、訂正事項6は、上記の記載等に基づくものである。 したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項6によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的 訂正事項7は、訂正事項1~6に係る訂正にともない、特許請求の範囲の記載と願書に添付した明細書の記載との整合を図るため、願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張又は変更について 訂正事項7は、上記(1)~(6)で検討したとおり、願書に添付した明細書等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項7によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項に適合する。 3 むすび したがって、本件訂正の訂正事項1~2、7は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合し、訂正事項3~6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(当審において請求項1をA~Sに分説した。)。 「【請求項1】 A 所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、 ゲームの進行制御を行うとともに、該ゲームの進行制御に基づく制御情報を送信する遊技制御手段と、 B 演出を行う演出装置と、 C 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて前記演出装置による出力制御を行う演出制御手段と、 を備え、 D 前記遊技制御手段は、 予め決められた順番で処理を実行する基本処理を行う基本処理手段と、 E 一定間隔毎に前記基本処理に割り込んで処理を実行する定期割込処理を行う定期割込処理手段と、 F 制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、 G 前記基本処理において前記ゲームの進行制御に応じて制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する制御情報生成手段と、 H 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を含む前記遊技制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、 I 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記遊技制御手段の制御状態を前記遊技バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させることが可能な遊技復帰手段と、 J 前記遊技復帰手段が電力供給停止前の制御状態に復帰させるときに復帰時制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する復帰時制御情報生成手段と、 K 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して送信する手段であって、前記制御情報格納手段に格納された順番で前記定期割込処理において所定個数ずつ送信する制御情報送信手段と、 を含み、 L 前記演出制御手段は、 制御情報の受信に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する制御状態更新手段と、 M 前記演出制御手段の制御状態に基づいて前記演出装置の出力制御を行う演出出力制御手段と、 N 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記演出制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための演出バックアップデータを保持する演出バックアップデータ保持手段と、 O 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記復帰時制御情報を受信したか否かに関わらず、前記演出制御手段の制御状態を前記演出バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させる演出復帰手段と、 P 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わず、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、 Q 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御開始手段により前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す前記演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段と、 を含み、 R 前記制御情報送信手段は、前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後、前記復帰時制御情報を送信し、 S 前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報であって前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、遊技機。」 2 取消理由の概要 (1)平成30年2月20日付けの取消理由 訂正前の請求項1に係る特許に対して平成30年2月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は次のとおりである。 ア 取消理由1 訂正前の本件発明は、刊行物(甲第1号証)に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 イ 取消理由2 訂正前の本件発明は、刊行物(甲第1号証)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ウ 取消理由3 訂正前の本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定に違反してされたものである。 エ 取消理由4 訂正前の本件発明は、明確でないから、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定に違反してされたものである。 3 特許異議申立理由の概要 (1)特許異議申立書の異議理由 特許異議申立人は、特許異議申立書において、証拠方法として甲第1~2号証を提出し、訂正前の本件発明について、以下のとおり主張している。 ア 異議理由1 訂正前の本件発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 イ 異議理由2 訂正前の本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 ウ 異議理由3 訂正前の本件発明の特許請求の範囲の記載には不備があり、請求項1に係る特許は、特許法第36条第6項第1号又は第2号に規定に違反してされたものである。 <証拠方法> 甲第1号証:特開2008-307263号公報 甲第2号証:特開2006-075655号公報 4 甲各号証の記載 (1)甲第1号証 取消理由で通知した甲第1号証(特開2008-307263公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (1-a)「【0028】 本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するには1枚BETスイッチ5、またはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1~L4(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。尚、本実施例では、規定数の賭数として後述する初期遊技状態、RT(1)及びRT(2)においては3枚が定められており、後述するレギュラーボーナス中においては、1枚が定められている。尚、遊技状態に対応する規定数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。 ・・・ 【0033】 図3は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図3に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板100が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板100によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。」 (1-b)「【0039】 また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1~3BETLED14~16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED10、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板100を介して前述したホッパーモータ34が接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。 【0040】 遊技制御基板40には、CPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0~16383)の乱数を発生させる乱数発生回路42、乱数発生回路から乱数を取得するサンプリング回路43、遊技制御基板40に直接または電源基板100を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはCPU41aからの初期化命令が入力されないときにCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、遊技制御基板40と投入メダルセンサ31との間の電気的な接続状態及び遊技制御基板40と演出制御基板90との間の電気的な接続状態を監視する断線監視IC50、その他各種デバイス、回路が搭載されている。 ・・・ 【0043】 メイン制御部41は、信号入力端子DATAを備えており、遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態がこれら信号入力端子DATAを介して入力ポートに入力される。これら信号入力端子DATAの入力状態は、CPU41aにより監視されており、CPU41aは、信号入力端子DATAの入力状態、すなわち各種スイッチ類の検出状態に応じて段階的に移行する基本処理を実行する。 【0044】 また、CPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっている。本実施例では、割込1~4の4種類の割込を実行可能であり、各割込毎にカウンタモード(信号入力端子DATAとは別個に設けられたトリガー端子CLK/TRGからの信号入力に応じて外部割込を発生させる割込モード)とタイマモード(CPU41aのクロック入力数に応じて内部割込を発生させる割込モード)のいずれかを選択して設定できるようになっている。 ・・・ 【0049】 メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU41aによりリフレッシュ動作が行われてRAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。」 (1-c)「【0057】 演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、・・・CPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンド、演出制御基板90に接続されたスイッチ類の検出を受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。 ・・・ 【0063】 サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、CPU91aによりリフレッシュ動作が行われてRAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。」 (1-d)「【0106】 また、CPU41aは、起動時にRAM41cに記憶されているデータに基づいて処理状態を電断前の状態に復帰させる場合に、いずれかの特別役の当選フラグが設定されているか否か、すなわち電断前にいずれかの特別役が当選していたか否かを判定し、いずれかの特別役の当選フラグが設定されている場合には、特別役の当選を示す電源投入コマンドを送信し、サブ制御部91に対して特別役が当選している旨の報知を指示する。一方、いずれの特別役の当選フラグも設定されていない場合には、特別役の非当選を示す電源投入コマンドを送信する。サブ制御部91のCPU91aは、起動時にメイン制御部41から電源投入コマンドを受信したときに、特別役の当選を示す電源投入コマンドであれば液晶表示器51などによって特別役の当選を示す告知演出を実行し、その後その特別役が入賞するまで継続するのに対して、特別役の非当選を示す電源投入コマンドであれば、バックアップされている演出状態に復帰する。 ・・・ 【0108】 すなわち、メイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、特別役の当選を示す電源投入コマンドを送信し、特別役の当選を示す電源投入コマンドをサブ制御部91が受信すると、特別役の当選を示す告知演出を実行するとともに、サブ制御部91側で電源投入コマンドの受信を回避し、特別役の当選を示す告知演出の実行を回避することは不可能であるため、このようにメイン制御部41の起動時に電断前の状態に復帰し、かつ電断前から特別役が当選している場合には、必ず特別役の当選が報知されることとなる。」 (1-e)「【0206】 初期化1は、起動時において設定キースイッチ37がONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合において、その前に行う初期化、及び復帰不可能なエラー(断線異常エラー、RAM異常エラー、異常入賞エラー)の発生時に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化2は、ビッグボーナス終了時に行う初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。 ・・・ 【0208】 本実施例では、メイン制御部41のCPU41aが演出制御基板90に対して、BETコマンド、内部当選コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、初期化コマンド、設定終了コマンド、電源投入コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。 ・・・ 【0219】 初期化コマンドは、遊技状態が初期化された旨及び設定変更モードの開始を示すコマンドであり、RAM41cが初期化され、設定変更モードに移行した時点で送信される。 ・・・ 【0222】 これら各コマンドは、後述する起動処理及びゲーム処理において生成され、RAM41cの特別ワークに設けられたコマンドキューに一時格納され、前述したタイマ割込処理(メイン)において送信される。 【0223】 次に、メイン制御部41のCPU41aが演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。 【0224】 サブ制御部91のCPU91aは、メイン制御部41のCPU41aが送信したコマンドを受信した際に、ROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の制御を行う。 【0225】 制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様等、これら演出装置の制御パターンが登録されており、CPU91aは、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の制御を行う。これにより演出パターン及び遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。 ・・・ 【0227】 演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、CPU91aは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっている。」 (1-f)「【0238】 そして、CPU91aは、起動時(再起動時)においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいて電断前の演出状態(詳しくは電断前に最後にコマンドを受信した時点の状態)に復帰させるようになっている。具体的には、最後に実行していた制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づく制御を実行する。これにより電断前に実行していた制御パターンに基づく演出が最初から実行されることとなる。また、起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいて計算したRAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM91cの全ての領域を初期化するようになっている。 ・・・ 【0240】 また、CPU91aは、起動時にRAM91cに記憶されているデータに基づいて電断前の演出状態に復帰可能な否かに関わらず、実際に演出を開始する前に、初期化コマンドまたは電源投入コマンドのいずれかを受信するまで待機する。そしてこの状態で初期化コマンドを受信した場合には、RAM91cのデータをクリアする。また、この状態で特別役の当選を示す電源投入コマンドを受信した場合には、特別役の当選を示す告知演出を実行し、特別役の非当選を示す電源投入コマンドを受信した場合には、電断前の演出状態に復帰可能であれば復帰し、復帰不能であればデモ演出を実行する。また、初期化コマンドまたは電源投入コマンドの受信待ちの状態では、コマンドの受信に基づき演出を実行するタイマ割込処理の実行は許可されないようになっており、他のコマンドを受信した場合でも、受信したコマンドに基づく演出が行われることはなく、起動後、初期化コマンドまたは電源投入コマンドを受信して、タイマ割込処理の実行が許可されるまでは、何らの演出も行われることはない。 【0241】 一方、CPU91aは、後述する表示制御回路92からのVブランク割込信号が一定期間入力されなかった場合、表示制御回路92に対して命令したにも関わらず、命令に対応する完了割込信号が一定期間入力されなかった場合、すなわち何らかの原因で表示制御回路92がハングアップした場合において、電断割込処理(サブ)を実行する前にRAM91cに再起動フラグを設定し、その後起動したCPU91aが、再起動フラグの有無を判定することにより、電源投入による起動であるか、表示制御回路92のハングアップによる再起動であるか、を区別できるようになっている。 【0242】 そして、CPU91aは、表示制御回路92のハングアップによる再起動であると判定した場合において、再起動前の演出状態に復帰可能であれば、初期化コマンドまたは電源投入コマンドの受信を待たず、再起動前の演出状態に復帰させるようになっている。このため、CPU91aが、電源投入による起動ではなく、表示制御回路92のハングアップによって再起動する場合であるにも関わらず、初期化コマンドも電源投入コマンドも受信できずに、演出が行われなくなってしまうことを防止できる。」 (1-g)「【0291】 連続演出は、いずれも液晶表示器51に所定の画像を表示することにより行われる。また、連続演出における個々のゲーム毎の演出は、いずれもスタートスイッチ7の操作時(内部当選コマンドを受信したとき)に開始し、リール2L、2C、2Rの全ての回転が停止したとき(全てのリールについてリール停止コマンドを受信したとき)に終了するものである。最終ゲーム以外の個々のゲーム毎の演出の結果は、遊技者側の攻撃、遊技者側のダメージの2通りであり、最終ゲームの演出の結果は、遊技者の勝ち、負けの2通りであるが、演出の過程としてはこれよりも多くの種類のものがある。」 (1-h)「【0385】 図24に戻り、Sa9のステップにおいて破壊診断用データが正常であると判定した場合には、RAM41cのデータは正常であるので、RAM41cの非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域を初期化する初期化3を行った後(Sa11)、破壊診断用データをクリアする(Sa12)。次いで、各レジスタを電断前の状態、すなわちスタックに保存されている状態に復帰し(Sa13)、割込を許可して(Sa14)、電断前の最後に実行していた処理に戻る。 ・・・ 【0392】 図27は、CPU41aが実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。 【0393】 ゲーム処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、リール回転処理(Sd3)、入賞判定処理(Sd4)、払出処理(Sd5)、ゲーム終了時処理(Sd6)を順に実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再びBET処理に戻る。」 (1-i)「【0475】 図34及び図35は、CPU41aが割込3の発生に応じて、すなわち0.56msの間隔で起動処理やゲーム処理に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)の制御内容を示すフローチャートである。 【0476】 タイマ割込処理(メイン)においては、まず、割込を禁止する(Si1)。すなわち、タイマ割込処理(メイン)の実行中に他の割込処理が実行されることを禁止する。そして、使用中のレジスタをスタック領域に退避する(Si2)。 ・・・ 【0480】 Si6のステップにおいてタイマ割込2の場合には、各種表示器をダイナミック点灯させるLEDダイナミック表示処理(Si10)、各種LED等の点灯信号等のデータを出力ポートへ出力する制御信号等出力処理(Si11)、各種ソフトウェア乱数を更新する乱数更新処理(Si12)、各種時間カウンタを更新する時間カウンタ更新処理(Si13)、コマンドキューに格納されたコマンドを演出制御基板90に対して送信するコマンド送信処理(Si14)、外部出力信号を更新する外部出力信号更新処理(Si15)を順次実行した後、Si2においてスタック領域に退避したレジスタを復帰し(Si20)、Si1のステップにおいて禁止した割込を許可して(Si21)、割込前の処理に戻る。」 (1-j)「【0493】 次に、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91のCPU91aが実行する各種制御内容を、図38~図40のフローチャートに基づいて以下に説明する。 【0494】 CPU91aは、サブ制御部91にリセット回路95からリセット信号が入力されると、図38に示す起動処理(サブ)を行う。尚、リセット信号は、電源投入時及びサブ制御部91の動作が停滞した場合に出力される信号であるので、起動処理は、電源投入に伴うCPU91aの起動時及びCPU91aの不具合または表示制御回路92の不具合に伴う再起動時に行われる処理である。 ・・・ 【0498】 RAM91cのデータが正常であれば、RAMパリティが0になるはずであり、Sk8のステップにおいてRAMパリティが0であれば、RAM91cに格納されているデータが正常であるので、Sk9のステップに進み、電断前の演出状態を復帰させる。Sk9のステップでは、電断前に最後に実行していた制御パターンを設定した後、コマンド受信割込処理のみを許可し(Sk10)、Sk11のステップに進む。 ・・・ 【0501】 Sk12のステップでは、初期化コマンドを受信したか否かを判定し、初期化コマンドを受信していない場合には、Sk13のステップに進み、電源投入コマンドを受信した否かを判定する。また、初期化コマンドを受信した場合には、RAM91cを初期化した後(Sk20)、設定中報知パターンを制御パターンとして設定し(Sk21)、Sk16のステップに進む。 【0502】 Sk13のステップにおいて、電源投入コマンドを受信しなかった場合には、再びSk12のステップに戻り、電源投入コマンドを受信した場合には、Sk14のステップに進む。 【0503】 Sk14のステップでは、Sk13のステップにおいて受信した電源投入コマンドに基づいて電断前の状態で特別役が当選しているか否かを判定し、電断前の状態で特別役が当選している場合には、特別役の当選を報知する特別役告知パターンを制御パターンとして設定した後(Sk15)、設定された制御パターンに従って、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の制御を行う演出制御処理を実行し(Sk16)、全ての割込を許可して(Sk17)、ループ処理に移行する。 【0504】 Sk14のステップにおいて、電断前の状態で特別役が当選していない場合には、Sk9のステップにおいて設定された制御パターン、すなわち電断前に設定されていた制御パターンに従って、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の制御を行う演出制御処理を実行し(Sk16)、全ての割込を許可して(Sk17)、ループ処理に移行する。」 以上の事項を総合すれば、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(a~sは、本件発明のA~Sに対応させて付した。)。 「a 遊技を行うことが可能なスロットマシン1であって、(【0028】~【0033】) 遊技状態を制御するメイン制御部41と、(【0033】、【0039】) b 演出を行う液晶表示器51と、(【0106】、【0291】など) c メイン制御部41から受信したコマンドに基づいて液晶表示器51の制御を行うサブ制御部91と、を備え、(【0224】) d メイン制御部41は、 BET処理、内部抽選処理、リール回転処理、入賞判定処理、払出処理、ゲーム終了時処理、を順に実行するゲーム処理を行うCPU41aの機能と、(【0043】、【0392】~【0393】、図27) e 0.56msの間隔でゲーム処理に割り込んでタイマ割込処理(メイン)を実行するCPU41aの機能と、を有し、(【0044】、【0475】~【0476】、図35~36) f 複数種類のコマンドを格納可能なコマンドキューを含むRAM41cを備え、(【0040】、【0208】~【0222】、図3) g ゲーム処理において各コマンドを生成し、RAM41cに格納する機能を有し、(【0043】、【0208】、【0222】、図3) h 停電時においても、RAM41cに記憶されている、処理状態を電断前の状態に復帰させるためのデータを、バックアップ電源により保持する機能と、(【0049】、【0106】) i 起動時に、RAM41cに記憶されている前記データに基づいて処理状態を電断前の状態に復帰させることが可能とする機能と、(【0106】、【0385】、図24) j 起動時に電断前の状態に復帰した場合には(【0106】、【0108】)、電源投入コマンドが生成され、RAM41cのコマンドキューに格納される機能と(【0222】)、 k RAM41cのコマンドキューに格納されたコマンドをサブ制御部91に対して送信するコマンド送信処理をタイマ割込処理によって実行する機能とを含み、(【0057】、【0480】) l サブ制御部91は、 内部当選コマンドを受信した際に、演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定する機能と、(【0224】、【0227】) m サブ制御部91が受信したコマンドの種類に対応する制御パターンに基づいて液晶表示器51の表示パターンの制御を行う機能と、(【0224】、【0225】) n 停電時において、電断前の演出状態に復帰させるための、RAM91cに記憶されているデータを保持するためのバックアップ電源と、(【0063】、【0238】) o 電源投入に伴うCPU91aの起動時に行う起動処理において、RAM91cに格納されているデータが正常であれば、電源投入コマンド受信よりも先に(図38)、電断前に最後に実行していた制御パターンを設定して電断前の演出状態に復帰させる機能と(【0063】、【0240】、【0493】~【0494】、【0498】、【0501】~【0502】、図38)、 p 電源投入後、電源投入コマンドを受信した場合、前記設定した、電断前に最後に実行していた制御パターン、及び、電源投入コマンドからの電断前に特別役が当選していたか否かの判定により設定された制御パターンに基づいて、液晶表示器51の制御を実行する機能と、を含み、(【0063】、【0240】、【0493】~【0494】、【0498】、【0501】~【0504】、図38) r メイン制御部41は、起動時に電断前の状態に復帰させて電源投入コマンドを送信し、(【0106】、【0108】、図24) s サブ制御部91は、電源投入後、電源投入コマンドを受信する前に、起動時に設定キースイッチ37がONの場合に設定変更モードに移行して送信される初期化コマンドを受信した場合には、RAM91cを初期化したあと設定中報知パターンを制御パターンとして設定し、初期化コマンド又は電源投入コマンドの受信待ちの状態では他のコマンドを受信しても処理を行わない、スロットマシン1。(【0206】、【0219】、【0240】~【0242】、【0501】、図38)」 5 当審の判断 5-1 特許法第29条第2項について (1)対比 本件発明と甲1発明とを対比する。 ア 構成A~Cについて 甲1発明の「スロットマシン1」、「液晶表示器51」、「コマンド」は、本件発明の「遊技機」、「演出装置」、「制御情報」に、それぞれ、相当する。 また、甲1発明の「メイン制御部41」、「サブ制御部91」は、本件発明の「遊技制御手段」、「演出制御手段」に、それぞれ対応する。 イ 構成D~Jについて 甲1発明の「メイン制御部41」における、「ゲーム処理を行うCPU41aの機能」、「タイマ割込処理(メイン)を実行するCPU41aの機能」、「RAM41c」、「ゲーム処理において各コマンドを生成し、RAM41cに格納する機能」、「処理状態を電断前の状態に復帰させるためのデータを、バックアップ電源により保持する機能」、「処理状態を電断前の状態に復帰させることが可能とする機能」、「電源投入コマンドが生成され、RAM41cのコマンドキューに格納される機能」を実行する手段は、本件発明の「遊技制御手段」における、「基本処理手段」、「定期割込処理手段」、「制御情報格納手段」、「制御情報生成手段」、「遊技バックアップデータ保持手段」、「遊技復帰手段」、「復帰時制御情報生成手段」に、それぞれ相当する。 ウ 構成M~Pについて 甲1発明の「サブ制御部91」における、「制御パターンに基づいて液晶表示器51の表示パターンの制御を行う機能」、「RAM91cに記憶されているデータを保持するためのバックアップ電源」、「電断前の演出状態に復帰させる機能」、「電源投入コマンドを受信した場合、前記設定した、電断前に最後に実行していた制御パターン、及び、電源投入コマンドからの電断前に特別役が当選していたか否かの判定により設定された制御パターンに基づいて、液晶表示器51の制御を実行する機能」を実行する手段は、本件発明の「演出制御手段」における、「演出出力制御手段」、「演出バックアップデータ保持手段」、「演出復帰手段」、「演出出力制御開始手段」にそれぞれ相当する。 エ 構成K、Rについて 甲1発明において、コマンドを一時格納する「キュー」は「待ち行列」ともいわれ、複数のデータをFIFO方式(格納した順に順次出力される)で入出力する入出力方式やそのためのデバイスを指す用語であることを参酌すれば、甲1発明の「メイン制御部41」において、「コマンドキュー」から「コマンドをサブ制御部91に対して送信するコマンド送信処理をタイマ割込処理によって実行する」ことは、本件発明の「前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して送信」することであって、「前記制御情報格納手段に格納された順番で前記定期割込処理において所定個数ずつ送信する」ことに相当する。 また、甲1発明の「起動時に電断前の状態に復帰させて電源投入コマンドを送信」することと、本件発明の「前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後、前記復帰時制御情報を送信」することとは、「制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、復帰時制御情報を送信」することである点で、共通する。 オ 構成L、Sについて 甲1発明の「サブ制御部91」において、「内部当選コマンドを受信した際に、演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定する機能」を実行する手段は、本件発明の「制御情報の受信に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する制御状態更新手段」に相当する。 また、甲1発明の「電源投入後、電源投入コマンドを受信する前に、起動時に設定キースイッチ37がONの場合に設定変更モードに移行して送信される初期化コマンドを受信した場合には、RAM91cを初期化したあと設定中報知パターンを制御パターンとして設定」することと、本件発明の「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報であって前記制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する」こととは、「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する」ことである点で、共通する。 カ 一致点及び相違点 したがって、本件発明1と甲1発明とは、 「A 所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、 ゲームの進行制御を行うとともに、該ゲームの進行制御に基づく制御情報を送信する遊技制御手段と、 B 演出を行う演出装置と、 C 前記遊技制御手段から受信した制御情報に基づいて前記演出装置による出力制御を行う演出制御手段と、 を備え、 D 前記遊技制御手段は、 予め決められた順番で処理を実行する基本処理を行う基本処理手段と、 E 一定間隔毎に前記基本処理に割り込んで処理を実行する定期割込処理を行う定期割込処理手段と、 F 制御情報を複数格納可能な制御情報格納手段と、 G 前記基本処理において前記ゲームの進行制御に応じて制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する制御情報生成手段と、 H 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を含む前記遊技制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための遊技バックアップデータを保持する遊技バックアップデータ保持手段と、 I 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記遊技制御手段の制御状態を前記遊技バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させることが可能な遊技復帰手段と、 J 前記遊技復帰手段が電力供給停止前の制御状態に復帰させるときに復帰時制御情報を生成し、前記制御情報格納手段に格納する復帰時制御情報生成手段と、 K 前記制御情報格納手段に格納されている制御情報を前記演出制御手段に対して送信する手段であって、前記制御情報格納手段に格納された順番で前記定期割込処理において所定個数ずつ送信する制御情報送信手段と、 を含み、 L 前記演出制御手段は、 制御情報の受信に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する制御状態更新手段と、 M 前記演出制御手段の制御状態に基づいて前記演出装置の出力制御を行う演出出力制御手段と、 N 前記遊技機への電力供給が停止しても、前記演出制御手段の制御状態を電力供給停止前の制御状態へ復帰させるための演出バックアップデータを保持する演出バックアップデータ保持手段と、 O 前記遊技機への電力供給が開始したときに、前記復帰時制御情報を受信したか否かに関わらず、前記演出制御手段の制御状態を前記演出バックアップデータに基づいて電力供給停止前の制御状態に復帰させる演出復帰手段と、 P 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わず、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、を含み、 R’前記制御情報送信手段は、前記遊技復帰手段により前記遊技制御手段の制御状態が電力供給停止前の制御状態に復帰し、前記復帰時制御情報を送信し、 S’前記制御状態更新手段は、前記遊技機への電力供給が開始した後、前記復帰時制御情報を受信する前に、該復帰時制御情報以外の制御情報を受信したときでも、該受信した制御情報に基づいて前記演出制御手段の制御状態を更新する、遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1](構成Q) 本件発明は、遊技機への電力供給が開始した後、演出出力制御開始手段により演出出力制御手段による演出制御手段の制御状態に基づく演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段を備えるのに対して、甲1発明は、そのような手段を備えていない点。 [相違点2](構成R) 本件発明は、制御情報送信手段に関して、電力供給停止前の制御状態に復帰し、制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を前記制御情報格納手段に格納された順番で送信した後に復帰時制御情報を送信するのに対して、甲1発明は、電力供給停止前の制御状態に復帰した際に復帰時制御情報(電源投入コマンド)を送信するものの、制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報の送信は行わない点。 [相違点3](構成S) 本件発明は、制御状態更新手段に関して、遊技機への電力供給が開始した後、復帰時制御情報を受信する前に演出制御手段の制御状態を更新する際に受信して更新に用いる制御情報が、復帰時制御情報以外の制御情報であって制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報であるのに対して、甲1発明は、復帰時制御情報以外の制御情報(初期化コマンド)を受信して更新に用いるものの、制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報を受信して更新に用いない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点2及び3について検討する。また、相違点2及び3は、いずれも電力供給停止前に格納された制御情報に関するものなので、まとめて検討する。 ア [相違点2及び3](構成R、S)について 甲1発明においては、遊技機への電力供給が開始した後、電源投入コマンド(復帰時制御情報)の受信待ちの状態で、電源投入コマンドの受信前に受信して制御状態を更新するコマンドは、初期化コマンドのみであり、他の通常のコマンドは受信しても処理が行われないものとなっている。そして、初期化コマンドは、起動時に設定キースイッチ37がONの場合に設定変更モードに移行して生成されるものであり、電力供給停止前に格納されたコマンドではない。 このような、電源投入コマンドの受信前に受信した他の通常のコマンドの処理を行わない甲1発明において、電力供給停止前に格納された未送信のコマンドを電源投入コマンドの前に送信する必要性はなく、甲1発明において、電力供給停止前の制御状態に復帰した際、電力供給停止前に格納された制御情報が残っている場合に、電力供給停止前に格納された制御情報を制御情報格納手段に格納された順番で送信した後に復帰時制御情報を送信するとともに、復帰時制御情報を受信する前に受信した帰時制御情報以外の制御情報であって制御情報格納手段に電力供給停止前に格納された制御情報に基づいて制御状態を更新するように構成(相違点2及び3)することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 そして、上記相違点2及び3に係る本件発明の構成(構成R、S)により「演出制御手段が、電力供給が開始した後、非復帰時制御情報または復帰時制御情報の受信前の状態であり、電力供給停止前の制御状態に基づいて演出装置の出力が復帰していない状態であっても、他の制御情報を受信した際に、受信した制御情報に基づいて演出制御手段の制御状態は更新され、復帰時制御情報を受信した後、更新された制御状態に基づいて演出装置の出力が開始するので、制御情報格納手段に未送信の制御情報が格納されたままの状態で復帰した場合でも、他の制御情報と同様に復帰時制御情報を生成し、制御情報格納手段に格納し、他の制御情報と同様の制御で生成された順番に復帰時制御情報を送信することで、演出制御手段の制御状態に未送信の制御情報を反映させることができる。」(段落【0010】)という効果を奏するものであり、この効果は、甲1発明から予測し得るものではない。 イ まとめ したがって、上記アで検討したとおり、相違点2及び3に係る本件発明の構成は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 5-2 特許法第29条第1項第3号について 本件訂正により、訂正後の本件発明と甲1発明とを対比すると、上記5(1)で検討したとおり、相違点1~3の点で相違するから、本件発明は甲第1号証に記載された発明とはいえず、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものではないことは明らかである。 5-3 特許法第36条第6項第1号について 訂正後の本件発明の請求項1には「前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を行わず、前記復帰時制御情報を受信したときに、前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御を開始させる演出出力制御開始手段と、 前記遊技機への電力供給が開始した後、前記演出出力制御開始手段により前記演出出力制御手段による前記演出制御手段の制御状態に基づく前記演出装置の出力制御が開始されるまで、復帰中を示す前記演出装置の出力制御を行う復帰中出力制御手段と、」と記載されている。 そして、発明の詳細な説明の段落【0152】には、電源投入時において、復帰コマンド等を受信するまでは、制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力制御は行わず、復旧処理中を示す復旧中画像を表示し、その後、復帰コマンドを受信した場合には、制御パターン格納領域に設定されている制御パターンに応じた出力制御を行うことが記載されており、上記「演出出力制御開始手段」及び「復帰中出力制御手段」による出力制御に対応するものである。 よって、本件訂正により、訂正後の本件発明の請求項1に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものとなったため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 5-4 特許法第36条第6項第2号について 本件発明の請求項1の「演出出力制御手段」における「演出装置の出力制御を開始させる」に関して、訂正後の本件発明の請求項1においては、復帰中出力制御手段が行う復帰中を示す演出装置の出力制御とは別の出力制御であって、復帰時制御情報を受信したときに演出出力制御手段による演出制御手段の制御状態に基づく演出装置の出力制御を開始させることが明確となっている。 よって、本件訂正により、訂正後の本件発明の請求項1に係る発明は明確となったため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすものである。 6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 特許異議申立人は、平成29年12月11日付け特許異議申立書において、異議理由2として、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであると主張するが、甲第2号証には、遊技機への電力供給が復帰した後、電断復帰コマンドを受信したときに、特別図柄表示装置47に「停電復帰中」と表示させる構成が記載されているものの、電力供給停止前に格納されたコマンドの処理に関する記載はなく、上記5で検討した相違点2及び3に係る本件発明の構成は、甲第2号証に記載された事項を参酌しても、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、本件特許は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 7 特許異議申立人の対応について 特許異議申立人に対し、平成30年5月16日付けで訂正請求があった旨の通知を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、異議申立人からは何らの応答もなかった。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-701166

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