特許異議申立
2017-701036
静電チャックおよびウェーハ処理装置
- 審判番号
- 2017-701036
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-086807外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月07日
- 審決日
- 2018年09月27日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 訂正認容
- 分類
- P1652.113-YAA(H01L) / P1652.121-YAA(H01L) / P1652.536-YAA(H01L) / P1652.537-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6124156号発明「静電チャックおよびウェーハ処理装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6124156号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4~15〕について訂正することを認める。
特許第6124156号の請求項4、15に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6124156号の請求項1~15に係る特許についての出願は、平成27年4月21日に特許出願され、平成29年4月14日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項4及び15に係る特許について、平成29年11月7日に特許異議申立人 廣瀬敏一(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年12月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年3月6日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人から平成30年6月22日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成30年3月6日にされた訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4に、
「処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、周端部に設けられ前記第1主面の一部を形成するシールリングと、を有し、多結晶セラミック焼結体であるセラミック誘電体基板と、
前記セラミック誘電体基板の前記第1主面と前記第2主面との間に介設され、前記セラミック誘電体基板に一体焼結された電極層と、
を備え、
前記第1主面と直交する方向にみて、前記セラミック誘電体基板の外周と、前記電極層の外周と、の間隔が均一となるように前記セラミック誘電体基板の外周が設けられ、
前記セラミック誘電体基板の中央から外周方向に伸ばした第1仮想線上において、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔は、2ミリメートル以下とされ、
前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔の相互誤差が200マイクロメートル以下であり、
前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下であることを特徴とする静電チャック。」
とあるのを、
「処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、周端部に設けられ前記第1主面の一部を形成するシールリングと、を有し、多結晶セラミック焼結体であるセラミック誘電体基板と、
前記セラミック誘電体基板の前記第1主面と前記第2主面との間に介設され、前記セラミック誘電体基板に一体焼結された電極層と、
を備え、
前記第1主面と直交する方向にみて、前記セラミック誘電体基板の外周と、前記電極層の外周と、の間隔が均一となるように前記セラミック誘電体基板の外周が設けられ、
前記セラミック誘電体基板の中央から外周方向に伸ばした第1仮想線上において、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔は、2ミリメートル以下とされ、
前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔の相互誤差が200マイクロメートル以下であり、
前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下である、ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く、ことを特徴とする静電チャック。」
に訂正する。
請求項4の記載を引用する請求項5~15も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落【0021】を、
「第4の発明は、処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、周端部に設けられ前記第1主面の一部を形成するシールリングと、を有し、多結晶セラミック焼結体であるセラミック誘電体基板と、前記セラミック誘電体基板の前記第1主面と前記第2主面との間に介設され、前記セラミック誘電体基板に一体焼結された電極層と、を備え、前記第1主面と直交する方向にみて、前記セラミック誘電体基板の外周と、前記電極層の外周と、の間隔が均一となるように前記セラミック誘電体基板の外周が設けられ、前記セラミック誘電体基板の中央から外周方向に伸ばした第1仮想線上において、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔は、2ミリメートル以下とされ、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔の相互誤差が200マイクロメートル以下であり、前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下である、ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く、ことを特徴とする静電チャックである。」
に訂正する。
2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正前の請求項4~15に係る発明に対して、訂正後の請求項4~15は、「ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く」との記載を追加するものである。請求項4には、電極層が、第1主面と第2主面との間に介設される旨の特定があるのであるから、電極層がセラミック誘電体基板から露出する場合は含まれないところ、訂正前の「前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下である」との特定では、電極層がセラミック誘電体基板から露出する場合を含むこととなり、記載が整合していなかった。訂正事項1は、訂正後の請求項4~15に係る発明における、シールリングの内周側端部と電極層の外周端部との間の直線距離について、整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
上記アのとおり、訂正事項1は、電極層がセラミック誘電体基板から露出する場合を除外するものであるが、例えば、明細書の段落【0054】に、「セラミック誘電体基板11は、電極層12と第1主面11aとの間の第1誘電層111と、電極層12と第2主面11bとの間の第2誘電層112と、を有する。」と記載されているように、電極層と第1主面との間に第1誘電層が存在する、すなわち電極層が露出していない旨が示されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと。
訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
エ 一群の請求項
訂正前の請求項4~15について、訂正前の請求項5~15は、訂正前の請求項4を直接又は間接的に引用するものであり、請求項5~15は、一群の請求項である。
(2)訂正事項2
訂正事項2は、訂正事項1による特許請求の範囲の訂正に伴い、対応する明細書の記載の整合を図るためにする訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔4~15〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項4及び15に係る発明(以下「本件発明4及び15」という。)は、その特許請求の範囲の請求項4及び15に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
(1)本件発明4
「処理対象物を載置する第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、周端部に設けられ前記第1主面の一部を形成するシールリングと、を有し、多結晶セラミック焼結体であるセラミック誘電体基板と、
前記セラミック誘電体基板の前記第1主面と前記第2主面との間に介設され、前記セラミック誘電体基板に一体焼結された電極層と、
を備え、
前記第1主面と直交する方向にみて、前記セラミック誘電体基板の外周と、前記電極層の外周と、の間隔が均一となるように前記セラミック誘電体基板の外周が設けられ、
前記セラミック誘電体基板の中央から外周方向に伸ばした第1仮想線上において、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔は、2ミリメートル以下とされ、
前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔の相互誤差が200マイクロメートル以下であり、
前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下である、ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く、ことを特徴とする静電チャック。」
(2)本件発明15
「請求項1~14のいずれか1つに記載の静電チャックを備えたことを特徴とするウェーハ処理装置。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項4及び15に係る特許に対して平成29年12月27日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項4及び15に係る発明は、甲第1号証(特開2006-270084号公報)及び甲第2号証(特表2003-504871号公報)に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項4及び15に係る特許は、取り消されるべきものである。
(2)請求項4及び15に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)請求項4及び15に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
3 甲号証の記載
(1)甲第1号証の記載事項及び記載された発明
甲第1号証には次の記載がされている(下線は、当審で付した。)。
ア 「【0019】
したがって、本発明は、一方の主面が被保持物を載せる載置面であり、他方の主面あるいは内部に静電吸着用電極を備え、上記載置面の外周端部に設けられた、上記被保持物と接触する環状凸部と、該環状凸部の内側に設けられた貫通孔と、を有する板状セラミックス体を備える静電チャックであって、上記環状凸部の、上記被保持物と接触する面の算術平均粗さRaの最大値をRa(max)、最小値をRa(min)としたときに、 {Ra(max)-Ra(min)}/Ra(max)が0.2以下であることを特徴とする静電チャックにある。
【0020】
また、本発明は、上記静電チャックにおいて、上記環状凸部の内側に環状凹部を設けても良い。」
イ 「【実施例3】
【0127】
実施例1と同様に板状セラミックス体を作製し、板状セラミックス体の下面に金属Ti膜を形成し、これを静電吸着用電極とした。環状凸部の幅を1.5mmとし、その内側に1mm幅の環状凹部を形成した。そして、静電吸着用電極は櫛歯形状の双曲型として外形は円形とした。そして静電吸着用電極の外径円の大きさを環状凹部の外径円と同じものを試料No.31~33、35~37とした。また、静電吸着用電極の外径を環状凹部の内径とおなじものとしたものを試料No.34とした。
ウ
以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(括弧内は対応する本件発明の用語である。)。
「被保持物を載せる載置面である一方の主面(処理対象物を載置する第1主面)と、前記一方の主面(第1主面)とは反対側の他方の主面(第2主面)と、周端部に設けられ前記一方の主面(第1主面)の一部を形成する環状凸部(シールリング)と、を有し、板状セラミックス体(多結晶セラミック焼結体であるセラミック誘電体基板)と、
前記板状セラミックス体(セラミック誘電体基板)の前記一方の主面(第1主面)と前記他方の主面(第2主面)との間に介設され、前記板状セラミックス体(セラミック誘電体基板)に一体焼結された静電吸着用電極(電極層)と、
を備え、
前記一方の主面(第1主面)と直交する方向にみて、前記板状セラミックス体(セラミック誘電体基板)の外周と、前記静電吸着用電極(電極層)の外周と、の間隔が均一となるように前記板状セラミックス体(セラミック誘電体基板)の外周が設けられ、
前記板状セラミックス体(セラミック誘電体基板)の中央から外周方向に伸ばした第1仮想線上において、前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔は、1.5mm(2ミリメートル以下)とされる、静電チャック(静電チャック)。」
(2)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には次の記載がされている。
ア 「【0006】
そこで、図8に示すように、誘電体としてセラミック層を使用した静電チャックが考えられた。この静電チャックは、円板状金属基板51上に接着剤層52によってセラミック層53を接着したもので、このセラミック層53中に高融点電極54が埋設される。この構成では、静電吸着力を増大させるという観点から、電極54は、セラミック層53中に、その表面寄りに配置されている。具体的には、例えば、セラミック層53の厚さを1mmとすると、セラミック層53の表面より0.3mm、セラミック層53の下面より0.7mmの位置に電極54が埋設される。また、セラミック層53の表面には、図7の静電チャックと同様に、セラミック層53の円周方向に延びた冷却ガス溝55が形成される。この溝55は、ヘリウムガスの流れを考慮すると、ある程度の深さが必要である。したがって、セラミック層53の表面寄りに配置した電極54の形成位置に前記溝55を形成すると、溝55の底部と電極54との距離が短かくなり、セラミック層53の絶縁耐圧が不十分となる。そこで、この例では、セラミック層53の端部から1~2mm内側の位置に溝55が形成され、その溝55より内側に電極54が形成されている。」
イ 「【0014】
図1は、本発明の実施の形態の静電チャックを示す断面図である。この図に示すように、本実施の形態の静電チャックにおいては、円板状金属基板60上に接着剤層70を介して所定厚さの円板状のセラミック層80が接着される。このセラミック層80内には、該セラミック層80の表面と平行に例えばタングステンからなる平面状の電極90が埋設される。この際、電極90は、セラミック層80の厚さの2分の1の深さに、すなわち厚さ方向の中央で該セラミック層80内に形成される。」
ウ
エ
4 判断
(1) 取消理由通知に記載した取消理由について
ア 特許法第29条第2項について
本件発明4と引用発明とを対比すると、引用発明は、次の事項を有していない。
(相違点1)「前記電極層の外周と、前記セラミック誘電体基板の外周と、の間隔の相互誤差が200マイクロメートル以下であ」る点。
(相違点2)「前記シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が、-2ミリ以上2ミリメートル以下である、ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く」点。
事案に鑑み、相違点2について検討する。
上記3(1)イに示したとおり、甲第1号証には「環状凸部の幅を1.5mmとし、その内側に1mm幅の環状凹部を形成」する点は記載されている。しかしながら、「板状セラミックス体」の厚さについては明示する記載はない。
一方、対応する、上記3(1)ウの図3(b)の図面では、環状凸部よりも環状凹部の幅が広く描かれており、上記記載を正確に反映したものとは認められない。
してみると、図面から寸法を認定することは困難であり、甲第1号証からは、相違点2に関する記載がなされていたものとは認められない。
また、甲第2号証には、厚さに関する記載は存在するが、引用発明の「板状セラミックス体」の厚さを、甲第2号証に示されたような「1mm」とする動機付けは存在しない。
そして、当該事項により、本件発明4は、段落【0022】に記載された、「この静電チャックによれば、セラミック誘電体基板の外周と、電極の外周と、の間隔の、電極外径に対するばらつきが少ない。そのため、セラミック誘電体基板の外周部での絶縁耐圧を保持しつつ、セラミック誘電体基板の外周部に、大きくてかつ一定な吸着力を得ることができる。さらに、処理対象物の温度分布の均一化を図ることができる。また、セラミック誘電体基板の外周に近い位置まで電極層が配置されることで、シールリングの幅が狭くとも、セラミック誘電体基板の外周部における吸着力が一定になる。これにより、ウェーハとセラミック誘電体基板との間の接触面積と、セラミック誘電体基板における吸着力と、が周方向で均一となり、処理対象物の温度の経時変化率の低減と、処理対象物の端部の温度変化の低減と、を両立することができる。」という効果を奏するものである。
したがって、本件発明4は、引用発明及び甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明4を引用する本件発明15も同様に、引用発明及び甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 特許法第36条第4項第1号について
訂正により、発明の詳細な説明の記載において「ただし前記シールリングの高さが2ミリメートル以下で前記直線距離の絶対値が前記シールリングの高さ以下である場合、及び、前記シールリングの高さが2ミリメートル以上である場合を除く」とされ、実施できない態様が除かれたので、発明の詳細な説明の記載は当業者が発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとなった。
ウ 特許法第36条第6項第1号について
上記イと同様に、請求項4の記載において、実施できない態様が除かれたので、請求項4及び15は、発明の詳細な説明に記載したものとなった。
エ 特許異議申立人の意見について
特許異議申立人は平成30年6月22日提出の意見書において、「電極層12がセラミックス誘電体基板11の内部に埋設されること(主張1)」及び「電極層の位置を外側から正確に把握できること(主張2)」について、言及している。
主張1については、当審も引用発明は電極層がセラミックス誘電体基板の内部に埋設されていると認定しており、当該主張は採用している。
主張2についても、異議申立人の主張のとおり、特許権者の主張は請求項の文言に基づかない主張であるが、上記アにおける判断のとおり、「可視光に対する透過率」が規定されていないくても、引用発明及び甲第2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではないのであるから、当該主張は採用できない。
(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項4及び15に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当する旨主張しているが、上記(1)アのとおり、本件発明4及び15は、引用発明とは相違点1及び2を有しており、本件発明4及び15は甲第1号証に記載された発明ということはできないのであるから、かかる主張は理由がない。
イ 特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項4及び15に係る発明は、シールリングの内周側端部と前記電極層の外周端部との間の直線距離が負の値や0が含まれるから、明確でなく、特許法第36条第6項第2号の規定を満たさない旨主張している。
しかしながら、負の値については、段落【0161】に記載されており、負の値は明確に理解できるし、請求項4及び15に係る発明は直線距離が0になる場合を除いているから、かかる主張は理由がない。
ウ 特許異議申立人は、訂正前の明細書に関し、特許異議申立書において、「図22によれば、シールリングの幅が5mm以上の場合、処理対象物の温度の経時変化率が22%を超えることとなる。・・・よって、本発明4は、たとえば、シールリングの幅が5mmを超える場合に本発明の効果を奏する静電チャックをどのようにして得るかについて十分に記載されていない」と主張している。しかしながら、経時変化率のみが本件発明4及び15の効果ではなく、経時変化率が22%を超える場合を含むからといって、実施可能要件を満たさないとはいえないから、かかる主張は理由がない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4及び15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項4及び15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-701036