特許異議申立
2017-700384
メイクアップ支援装置、メイクアップ支援方法、およびメイクアップ支援プログラム
- 審判番号
- 2017-700384
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-018266外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月18日
- 審決日
- 2017年11月14日
- 公報発行日
- 2018年02月23日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【権利者代理人】鷲田 公一
- 【異議申立人】高橋 昌嗣
- 分類
- P1651.113-YAA / P1651.121-YAA / P1651.841-YAA
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第113条第2号、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6008323号発明「メイクアップ支援装置、メイクアップ支援方法、およびメイクアップ支援プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6008323号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、9、10について訂正することを認める。
特許第6008323号の請求項1、3~10に係る特許を維持する。
特許第6008323号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第60083223号(請求項の数10。以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成25年2月1日の出願であって、平成28年9月23日に特許権の設定登録がされたものである(同年10月19日特許掲載公報の発行)。
これに対し、平成29年4月18日に特許異議申立人高橋昌嗣より本件特許の請求項1ないし10に係る特許について特許異議の申立てがされ、平成29年6月7日付けで特許権者に取消理由が通知され、同年8月4日付けで特許権者より意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がされた。
なお、平成29年9月20日に特許異議申立人より意見書が提出されている。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正は、次の訂正事項からなる。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記顔の肌状態を取得する肌状態取得部と、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するメイク提示部と、を有する」と記載されているのを、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する肌状態取得部と、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応付けて提示し、選択された前記スキンケアを提示するメイク提示部と、を有し、前記肌補正用のメイク選択部は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3、請求項4、請求項6、請求項7、請求項8にそれぞれ「請求項2に記載のメイクアップ支援装置」と記載されているのを、「請求項1に記載のメイクアップ支援装置」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に「前記顔用メイク選択部は、前記顔の顔部品特徴量を取得し、取得され得る顔部品特徴量と顔用メイクとを予め対応付けて登録した顔用メイクテーブルを参照して、前記顔用メイクを選択し、前記肌補正用メイク選択部は、前記分割顔領域毎に肌特徴量を取得し、取得され得る肌特徴量と肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照して、前記肌補正用メイクを選択する」と記載されているのを、「前記顔用メイク選択部は、前記顔部品毎の顔部品特徴量を取得し、取得され得る顔部品特徴量のグループと、顔部品印象補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記顔用メイクとを予め対応付けて登録した顔用メイクテーブルを参照することにより、前記顔部品について取得された前記顔部品特徴量に対応する前記顔用メイクを選択する」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項9に「前記顔の肌状態を取得するステップと、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップと、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するステップと、を有する」と記載されているのを、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出するステップと、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップと、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応付けて提示し、選択された前記スキンケアを提示するステップと、を有し、前記肌補正用メイクを選択するステップは、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクと予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照にすることにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「前記顔の肌状態を取得する処理と、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示する処理と、を実行させる」と記載されているのを、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する処理と、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応させて提示し、選択された前記スキンケアを提示する処理と、を実行させ、前記肌補正用メイクを選択する処理は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する。
(7)訂正事項7
明細書の【0011】に「前記顔の肌状態を取得する肌状態取得部と、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するメイク提示部と、を有する」と記載されているのを、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する肌状態取得部と、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応付けて提示し、選択された前記スキンケアを提示するメイク提示部と、を有し、前記肌補正用メイク選択部は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する。
(8)訂正事項8
明細書の【0012】に「前記顔の肌状態を取得するステップと、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップと、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するステップと、を有する」と記載されているのを、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出するステップと、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップと、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応させて提示し、選択された前記スキンケアを提示するステップと、を有し、前記肌補正用メイクを選択するステップは、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する。
(9)訂正事項9
明細書の【0013】に「前記顔の肌状態を取得する処理と、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示する処理と、を実行させる」と記載されているのを、「前記顔の顔値域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する処理と、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理と、ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応させて提示し、選択された前記スキンケアを提示する処理と、を実行させ、前記肌補正用メイクを選択する処理は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」に訂正する
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、
1a)訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「肌状態取得部」について、「前記顔の肌状態を取得する肌状態取得部」を、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する肌状態取得部」と限定し、
1b)同「肌補正用メイク選択部」について、上記1a)で加入された「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載との重複を避けるために、「前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部」から、「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載を削除し、
1c)同「肌補正用メイク選択部」について、上記1b)による削除後の「前記肌状態に基づいて、」「肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部」を、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部」であって、かつ「前記肌補正用のメイク選択部は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」と限定し、
1d)同「メイク提示部」について、「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するメイク提示部」を、「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応付けて提示し、選択された前記スキンケアを提示すメイク提示部」と限定し、
1e)同「有する」を、前後の文章の繋がりを考慮して「有し、」と表現ぶりを整える、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の【請求項2】、【請求項6】、同明細書の段落【0052】、【0056】、【0085】~【0089】、【0115】、【0126】、【0127】等の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でしたものであって新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項2を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
訂正事項1に係る訂正により、訂正後の請求項1には、訂正前の請求項2に記載に係る技術的事項が追加され、また、訂正事項2に係る訂正により、訂正前の請求項2は削除された。
訂正事項3に係る訂正は、訂正事項1、2に係るこれらの訂正に対応して、訂正前の請求項3、4、6、7、8がそれぞれ引用していた請求項2を請求項1と改める訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4について
訂正事項4に係る訂正は、
4a)訂正前の特許請求の範囲の請求項6の「顔用メイク選択部」について、「前記顔用メイク選択部は、前記顔の顔部品特徴量を取得し、取得され得る顔部品特徴量と顔用メイクとを予め対応付けて登録した顔用メイクテーブルを参照して、前記顔用メイクを選択し、」を、「前記顔用メイク選択部は、前記顔部品毎の顔部品特徴量を取得し、取得され得る顔部品特徴量のグループと、顔部品印象補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記顔用メイクとを予め対応付けて登録した顔用メイクテーブルを参照することにより、前記顔部品について取得された前記顔部品特徴量に対応する前記顔用メイクを選択する」と限定し、
4b)同「前記肌補正用メイク選択部は、前記分割顔領域毎に肌特徴量を取得し、取得され得る肌特徴量と肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照して、前記肌補正用メイクを選択する」の記載について、当該記載に係る技術的事項が、訂正事項1に係る訂正により、訂正後の請求項1に追加されたことに伴い、請求項1を引用する請求項6から重複となる当該記載を削除する、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項4に係る訂正は、特許明細書等の段落【0071】~【0075】、【0108】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)訂正事項5について
訂正事項5に係る訂正は、
5a)訂正前の特許請求の範囲の請求項9の「前記顔の肌状態を取得するステップ」を、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出するステップ」と限定し、
5b)同「前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップ」について、上記5a)で加入された「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載との重複を避けるために、「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載部分を削除し、
5c)上記5b)による削除後の「前記肌状態に基づいて、」「肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップ」を、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択するステップ」であって、かつ「前記肌補正用メイクを選択するステップは、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクと予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照にすることにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」と限定し、
5d)同「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示するステップ」を、「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応付けて提示し、選択された前記スキンケアを提示するステップ」と限定し、
5e)同「有する」を、前後の文章の繋がりを考慮して「有し、」と表現ぶりを整える、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項5に係る訂正は、特許明細書等の【請求項2】、【請求項6】、段落【0052】、【0056】、【0085】~【0089】、【0115】、【0126】、【0127】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)訂正事項6について
訂正事項6に係る訂正は、
6a)訂正前の特許請求の範囲の請求項10の「前記顔の肌状態を取得する処理」を、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する処理」と限定し、
6b)同「前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理」について、上記6a)で加入された「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載との重複を避けるために、「肌補正用メイクアップの仕方である」の記載部分を削除し、
6c)上記6b)による削除後の「前記肌状態に基づいて、」「肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理」を、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する処理」であって、かつ「前記肌補正用メイクを選択する処理は、取得され得る肌状態特徴量のグループと、肌状態補正用のメイク種別、色、濃度及び範囲を含む前記肌補正用メイクとを予め対応付けて登録した肌補正用メイクテーブルを参照することにより、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に対応する前記肌補正用メイクを選択する」と限定し、
6d)同「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示すると共に、選択された前記肌補正用メイク/前記スキンケアを提示する処理」を、「ユーザに対して、選択された前記顔用メイクを対応する前記顔部品の領域に対応付けて提示し、選択された前記肌補正用メイクを対応する前記要肌補正領域に対応させて提示し、選択された前記スキンケアを提示する処理」と限定し、
6e)同「実行させる」を、前後の文章の繋がりを考慮して「実行させ、」と表現ぶりを整える、
という訂正であるから、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項6に係る訂正は、特許明細書等の【請求項2】、【請求項6】、段落【0052】、【0056】、【0085】~【0089】、【0115】、【0126】、【0127】等の記載に基づくものであるから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)訂正事項7について
訂正事項7に係る訂正は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項7に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(8)訂正事項8について
訂正事項8に係る訂正は、訂正事項5に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項8に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(9)訂正事項9について
訂正事項9に係る訂正は、訂正事項6に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項9に係る訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 異議申立人の主張について
異議申立人は、本件訂正請求につき、意見書において概ね次のような主張をしている。
(主張1)
訂正後の請求項1の記載では、「基礎化粧の仕方であるスキンケア」が何に基づいて選択されるのか明らかでないから、訂正後の請求項1に係る発明は明確でない。同様に訂正後の請求項3~10に係る発明も明確でない。
(主張2)
訂正後の請求項1、3~10おける「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出」し、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、」「基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」する事項は、特許明細書等に記載されていないので、本件訂正のうち、訂正事項1、5、6に係る訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものではない。
以下、上記各主張について検討する。
(主張1について)
訂正後の請求項1に記載の「・・・に基づいて、・・・を取得し、・・・に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する・・・」という文の構造からみて、訂正後の請求項1に係る発明においては、「と共に」で結ばれた「肌補正用メイクを選択する」ことと「基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」こととは、「前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量」に基づいて為されている、と解するのが日本語として自然な解釈といえるところ、請求項1の他の部分の記載をみても、このような解釈を妨げる事情は見当たらない。
そうすると、訂正後の請求項1の記載において、「肌状態特徴量」に基づき「基礎化粧の仕方であるスキンケア」の選択が行われることは明らかであるから、訂正後の請求項1に係る発明が明確でないとはいえないし、同様に、訂正後の請求項3~10に係る発明が明確でないともいえない。
(主張2について)
特許明細書等段落【0126】の「スキンケア選択のための肌状態情報は、上述の、肌補正用メイク選択のための肌状態情報とは、異なる場合がある。」の記載によれば、スキンケアを選択するための肌状態情報は、「肌補正用メイク選択のための肌状態情報」とは異ならない場合があることが示唆され、また、同段落【0127】には、「メイクアップ支援装置100は、顔部品あるいは分割顔領域毎に、スキンケアの選択および提示を行ってもよい。」と、スキンケアの選択が、分割顔領域毎に為され得ることも記載されている。
そこで、この「肌補正用メイク選択のための肌状態情報」について検討するに、特許明細書等段落【0052】における「肌状態取得部260は、顔の分割顔領域毎に、肌状態を取得する。・・・肌状態取得部260は、取得した各分割顔領域の肌状態を数値化し、得られた数値を上記所定のレベルを示す値と比較することにより、要肌補正領域を検出する。そして、肌状態取得部260は、検出した要肌補正領域およびその肌状態を示す情報(以下「肌状態情報」という)を、肌補正用メイク選択部280へ出力する。」の記載によると、肌補正用メイク選択において用いられる「肌状態情報」とは、「検出した要肌補正領域」「の肌状態を示す情報」であることが分かる。
また、特許明細書段落【0115】における「そして、図9のステップS1500において、肌補正用メイク選択部280は、肌状態特徴量を取得し、肌補正用メイクを選択する。肌状態特徴量は、上述の通り、肌状態の特徴を示す所定のパラメータについての多変量データである。肌補正用メイク選択部280は、例えば、肌状態情報(図13参照)から、肌状態特徴量を取得する。・・・」の記載をも併せみれば、肌補正用メイクの選択に当たっては、より具体的には、単に肌状態情報をそのまま利用するのではなく、肌状態情報から取得される肌状態特徴量なる情報を最終的に利用していることも理解できる。
このような理解を踏まえつつ、特許明細書等の段落【0052】、【0115】、【0126】、【0127】等の記載を総合すれば、スキンケアを選択するに当たり、「肌補正用メイク選択のための肌状態情報とは異な」らない肌状態情報として、上記「検出した要肌補正領域」「の肌状態を示す情報」、即ち、訂正後の請求項1に記載された「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態」を用いること、加えて、斯かる「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態」を用いる際に、より具体的には、「肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し」、「取得された前記肌状態特徴量」を用いることは、特許明細書等に実質的に記載されているに等しい事項といえるものである。
そうすると、上記の訂正事項1に関し、訂正前の「前記顔の肌状態を取得する肌状態取得部と、前記肌状態に基づいて、肌補正用メイクアップの仕方である肌補正用メイク/基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部」を、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する肌状態取得部と、検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する肌補正用メイク選択部」と訂正することよって、特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しているとまではいえない。
よって、本件訂正の訂正事項1に係る訂正は、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであり、同様に、訂正事項5、6に係る訂正も、特許明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであるから、異議申立人の上記主張は採用できない。
4 一群の請求項等について
本件訂正請求の訂正の趣旨は、「特許第6008323号の明細書、特許請求の範囲を本件訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~8、9、10について訂正することを求める。」というものであるところ、本件訂正前の請求項1~8は、請求項2~8が本件訂正請求の対象である請求項1を引用するものであるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
してみると、本件訂正請求は、一群の請求項ごとに、また、請求項ごとにされたものである。
5 小括
したがって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~8〕、9、10について、一群の請求項ごと、また、請求項ごとに訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、3~10に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」などという。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、3~10に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1~10に係る特許に対して、上記平成29年6月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
なお、この取消理由と特許異議申立書の「申立ての理由」とに差異はない。また、本件訂正前の請求項に係る発明を、以下「本件特許発明1」などという。
(1)甲号証
甲第1号証:特表2004-501707号公報
甲第2号証:特開2002-203238号公報
甲第3号証:特開2009-169758号公報
甲第4号証:特開2010-86036号公報
(2)取消理由1
本件特許発明1、9、10は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(3)取消理由2A
本件特許発明1、9、10は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(4)取消理由2B
本件特許発明2~6は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、あるいは、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
(5)取消理由2C
本件特許発明7、8は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、あるいは、甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
3 取消理由についての検討
(1)本件訂正発明1について
甲第1号証には、「特にケア、メーキャップまたは彩色のための、美容処理方法および装置」(【発明の名称】)について、例えば、「本発明は、メーキャップ方法または彩色方法であって、処置すべき人間の身体の少なくとも一部を撮像するステップと、前記部分の局部的特徴を分析するステップと、前記局部的特徴に基づいて前記部分に処置製品を塗布するステップとを含む方法に関する。」(【要約】)、「ここで言う「身体、特に人間の身体の部分」の用語は、例えば顔…」(段落【0041】)、「…中央演算ユニットは、例えば乾燥膚または皺が寄った皮膚の場合、メーキャップ製品または彩色製品の塗布の前に処置製品の塗布が必要かどうかを決定するために、前記二次元画像または三次元画像からメーキャップまたは着色すべき表面の特徴を分析して、前記表面のトポロジー的特徴を決定する。二次元画像は、乾燥膚または不均一な色(色素沈着マークまたは傷)について適している。…」(段落【0053】)、「色素沈着マークがカメラ1によって検出され、中央演算ユニット3によって同定された場合、処置製品は、この色素沈着マークに残りの皮膚と同じ外観を与えることを可能にするカバー製品であるか、またはこれを含んでもよい。」(段落【0059】)、「ファンデーションタイプのカバー製品」(段落【0066】)などの記載があり、顔の肌状態を取得すると共に、前記肌状態(色素沈着マーク等の状態)に基づいて、肌補正用メイク(カバー製品)を選択するという事項が一応記載されてはいる。
しかしながら、甲第1号証には、少なくとも、肌補正メイク及びスキンケアの選択に関し、本件訂正発明1を特定するための事項である「顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得」すること、「取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する」すること、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得」すること、「前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」ことが、いずれも記載されておらず、また、示唆もない。
甲第2号証には、「…基礎化粧により被験者の素肌が改善される様子を予測し、表示する素肌のシミュレーション画像の形成方法に関する。」(段落【0001】)ものについて、例えば、「…当該被験者の素肌を被験者の希望に沿ったものとするために適した基礎化粧の方法を見出し、被験者に推奨することができる。より具体的には、例えば、毛穴、ニキビ跡、シミ、ソバカス等が目立たなくしたいとの具体的な希望や、肌に透明感、明るさ、ふんわり感、柔らかい感じを持たせたいという抽象的な希望に対しては、画像処理ソフトのぼかしの手法を用いてシミュレーション画像を形成する。また、これらの希望に対応する基礎化粧方法としては、保湿効果の高い化粧水、乳液、美容液等の全顔への使用や、角質除去剤の特定部位への使用を推奨する。」(段落【0018】~【0019】)などの記載があり、被験者に対し適したスキンケア(基礎化粧)の方法を見出して推奨するという事項については、記載されてはいるものの、少なくとも、肌補正メイク及びスキンケアの選択に関し、本件訂正発明1を特定するための事項である「顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得」すること、「取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する」すること、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得」すること、「前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」ことについて、記載も示唆もない。
甲第3号証には、「肌色評価方法、肌色評価装置、肌色評価プログラム、及び該プログラムが記録された記録媒体」(【発明の名称】)について、例えば、「入力された顔領域を含む画像から肌色を評価する肌色評価方法において、前記画像の顔領域全体に対して予め設定される少なくとも25箇所からなる第1特徴点と、前記第1特徴点を用いて設定される第2特徴点とにより所定の領域に分割する分割ステップと、前記分割ステップにより分割された領域毎に、…XYZ表色系における三刺激値X、Y、Z、RGBの各値、色相H、明度V、彩度C、メラニン量、及びヘモグロビン量のうち、少なくとも1つを用いて平均値による肌色分布を生成し、測定結果に基づく評価を行う肌色分布評価ステップと、前記測定結果又は評価結果を画面に表示する画面生成ステップとを有することにより、上記課題を解決する。」(【要約】)などの記載があり、顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態(XYZ表色系における三刺激値X、Y、Z、RGBの各値、色相H、明度V、彩度C、メラニン量、及びヘモグロビン量等)を取得するという事項については、記載されてはいるものの、少なくとも、肌補正メイク及びスキンケアの選択に関し、本件訂正発明1を特定するための事項である「取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する」すること、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得」すること、「前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」ことについて、記載も示唆もない。
甲第4号証には、「…診断装置及び診断方法に係り、特に、被化粧者の化粧前の顔画像を撮像し、過去の顔画像と比較することにより現在の被化粧者の顔及び/又は肌の状態を診断する診断装置及び診断方法に関する。」(段落【0001】)というものについて、例えば、「次に、化粧法解析部44は、データ解析部24の解析結果に基づいて、化粧法データベース46から最も適切なケア方法、化粧方法を選択する(ステップS5)。さらに、選択された化粧方法に基づいて、化粧品データベース42から最も適切な化粧品を選択する(ステップS6)。…」(段落【0063】)などの記載があり、被化粧者に適したケア方法、化粧方法、化粧品を選択するという事項が記載されてはいるものの、少なくとも、肌補正メイク及びスキンケアの選択に関し、本件訂正発明1を特定するための事項である「顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得」すること、「取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する」すること、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得」すること、「前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」ことについて、記載も示唆もない。
してみると、甲第1~4号証のいずれにも、少なくとも、本件訂正発明1を特定するための事項である「取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出」し、「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」事項について、記載や示唆はなく、しかも、当該事項が、単なる設計変更に相当する事項であるともいえない。
そして、本件訂正発明1は、その発明特定事項により、訂正明細書に記載された作用効果を奏するものである。
よって、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(2)本件訂正発明3~8について
本件訂正発明3~8は、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用するものであるから、本件訂正発明1について検討したのと同様の理由により、甲第1号証なしい甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件訂正発明9、10について
本件訂正発明9、10は、「前記顔の顔領域を分割した分割顔領域毎に肌状態を取得し、取得された前記肌状態に基づいて、肌補正用のメイクアップの仕方である肌補正用メイクを適用すべき分割顔領域を、要肌補正領域として検出する」事項及び「検出された前記要肌補正領域について取得された前記肌状態に基づいて、前記要肌補正領域の肌状態特徴量を取得し、前記要肌補正領域について取得された前記肌状態特徴量に基づいて、前記肌補正用メイクを選択すると共に、基礎化粧の仕方であるスキンケアを選択する」事項という、本件訂正発明1と共通する事項を発明を特定するための事項として具備する発明であるから、本件訂正発明1について検討したのと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第1号証なしい甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
(4)小括
したがって、本件訂正発明1、3~10に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由並びに特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、3~10係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項2に係る特許について、上記「第2」のとおり、請求項2に係る特許を削除する本件訂正請求による訂正が認められたので、請求項2に係る特許についての本件特許異議申立ては、その対象が存在しないものとなった。
したがって、請求項2に係る特許についての本件特許異議申立ては、不適法な特許異議申立てであって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定によって却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700384