特許異議申立
2017-700363
非水電解質二次電池
- 審判番号
- 2017-700363
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-508629外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月12日
- 審決日
- 2017年10月31日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】日産自動車株式会社
- 【権利者代理人】八田国際特許業務法人
- 【権利者】オートモーティブエナジーサプライ株式会社
- 【権利者代理人】八田国際特許業務法人
- 【異議申立人】小宮 邦彦
- 分類
- P1651.121-YAA(H01M) / P1651.537-YAA(H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6007315号発明「非水電解質二次電池」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6007315号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された明細書、特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。
特許第6007315号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6007315号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~11に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、2014年3月26日(優先権主張 平成25年3月26日、日本国)を国際出願日として特許出願され、平成28年9月16日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、平成29年4月12日付けで特許異議申立人 小宮 邦彦(以下、単に「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年6月6日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月4日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下、単に「本件訂正請求」という。)があり、その訂正の請求に対して、同年9月25日に申立人から意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)及び(2)のとおりである(当審注:当該欄における下線は、特許件者が付したものである。)。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満である」と記載されているのを、「前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満となるように発電要素に群圧を付与している」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2~11も同様に訂正する。)。
(2) 訂正事項2
明細書の段落【0023】に、「ガス排出という本発明の効果」と記載されているのを、「電池の出力性能およびガス排出の両立という本発明の効果」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1) 訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前請求項1に係る「正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合」を「前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して」、「0.85以上1.0未満」とする手段として、「発電要素に群圧を付与している」ことに限定するものである。
したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮に該当し、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものである。
そして、この訂正事項1は、願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)の段落【0029】の「電解液層の厚さを制御する方法は特に限定されるものではないが、好適な一実施形態は、電池要素に掛かる群圧を制御する方法である。」という記載に基づいたものであって、特許明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
そのうえ、訂正事項1によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、特許明細書の段落【0023】の「本発明の効果」として、「ガス排出」と記載されているのを、「電池の出力性能およびガス排出の両立」に訂正し、本発明の効果を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、この訂正事項2は、特許明細書の段落【0023】の「正極、負極およびセパレータの合計厚みの割合が、正極、負極、セパレータおよび電解液層の合計厚みに対して0.85を下回ると、リチウムイオンの通り道が長くなり、電池内のイオン移動が阻害される。」、「正極、負極およびセパレータの合計厚みの割合が1.0以上であると、セパレータ等の樹脂層が圧縮されガスが排出されることとなり、ガスの系外への排出が円滑に行われなくなる。」との記載から、電解液層の厚みが大きすぎると正負極間の距離が大きくなることから、イオンの移動距離が長くなり電池の出力性能が悪くなること、また、電解液層がなくなる(正極、負極およびセパレータの合計厚みが1.0以上になる)と、ガス排出という効果が発揮されなくなることから、正極、負極およびセパレータの合計厚みの割合が、正極、負極、セパレータおよび電解液層の合計厚みに対して0.95以上1.0未満であることで、電池の出力性能とガス排出の両立が図れることは、特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基づいて導き出される事項であり、特許明細書のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許明細書に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。
そのうえ、訂正事項2によって、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明の拡張又は変更はないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもなく、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。
さらに、訂正事項2は、特許請求の範囲に記載した全ての請求項に関係しており、本件訂正では、実質的に全ての請求項について訂正を請求している。したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。
3 一群の請求項について
訂正事項1、2による本件訂正は、一群の請求項1~11に係るものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
4 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前請求項1、2について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前請求項1、2に係る訂正事項1、2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
また、本件訂正の対象である請求項3~11は、特許異議の申立ての請求がされていない請求項であり、その訂正については、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定が適用されるところ、下記「第3」に記載するように、訂正後の請求項1、2に係る発明(本件発明1、2)に対する無効理由に理由がなく、また、訂正後の請求項3~11の記載について不備はないことから、本件発明1、2を限定する訂正後の請求項3~11に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるということはできない。なお、平成29年9月25日付けで申立人が提出した意見書を参照する限りにおいて、申立人は、訂正後の請求項3~11に係る発明について、独立特許要件を充足しない、との主張はしていない。
5 訂正請求についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正に係る請求項1~11からなる一群の請求項についての訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、または、第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第4項~第7項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正は上記「第2」で検討したとおり認められるので、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1、2」という。また、まとめて、「本件発明」ということもある。)は、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。さらに、本件訂正請求により訂正された明細書を「本件明細書」という。
「【請求項1】
正極活物質層が正極集電体の表面に形成されてなる正極と、
水系バインダーを含む負極活物質層が負極集電体の表面に形成されてなる負極と、
前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されるセパレータと、を含む発電要素を有し、
前記負極活物質層の密度が1.4~1.6g/cm3であり、
前記負極活物質層および前記正極活物質層のうち少なくとも一層と前記セパレータとの間に液体電解質から構成される電解液層が配置され、前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満となるように発電要素に群圧を付与している、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.95以上1.0未満である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。」
2 申立理由の概要
申立人は、証拠として、
・ 特開2002-110252号公報(以下、「甲第1号証」という。)
・ 特開2005- 5113号公報(以下、「甲第2号証」という。)
・ 特開2010- 80297号公報(以下、「甲第3号証」という。)
・ 特開2008-293715号公報(以下、「甲第4号証」という。)
・ 特開2013- 45598号公報(以下、「甲第5号証」という。)
・ 特開2005-259635号公報(以下、「甲第6号証」という。)
・ 特開平11-111339号公報(以下、「甲第7号証」という。)
・ 特開2012- 89444号公報(以下、「甲第8号証」という。)
を提出し、以下の申立理由1、及び、申立理由2によって請求項1、及び、請求項2に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1) 申立理由1
本件発明1、2は、甲第1~6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(2) 申立理由2
本件発明1、2は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、その特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
3 取消理由の概要
当審において、本件訂正請求による訂正前の請求項1、2に係る特許に対して通知した取消理由は、上記申立理由2に基づく、以下のものである。
本件請求項1、2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
本件発明1の「前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満である」について、当該「割合」は、「正極、負極、セパレータおよび前記電解液層の合計厚み」に対する「正極、負極および前記セパレータの合計厚み」の「比」であって、本件発明1においては、当該割合(比)を「0.85以上1.0未満」とすることによって、「負極活物質層のバインダーとして水系バインダーを用いた非水電解質二次電池であって、初回充放電時に電極から発生したガスを効率的に電極外へ排出させることができ、長期にわたって使用しても電池容量の低下が少ない非水電解質二次電池を提供すること」(本件明細書の段落【0006】、【0007】参照。)という課題を解決するものであるところ、当該「割合」は、「電解液層」の厚さを制御することによって調整できるものであり、また、制御するためには、加圧手段等、何らかの外力を付加する手段が必要であると認められるところ、当該手段が何ら言及されていない、本件発明1においては、初回充放電時や長期にわたって使用しても当該割合を維持することができるのかどうか不明であり、その場合、上記課題を解決できるとは認められない。
そうすると、外力を付加する手段が何ら特定されていない、本件発明1の範囲まで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるものではなく、本件発明2においても、同様である。
4 判断
特許権者は、本件訂正請求により、請求項1を訂正し、請求項1に係る「正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合」を「前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して」、「0.85以上1.0未満」とする手段として、「発電要素に群圧を付与している」ことを特定し、平成29年8月4日付け意見書において、「例えば、電池内部の発電要素に加圧力(群圧)を付与する手法としては、乙第1号証(当審注:「特開2001-68074号公報」のこと。)【0009】、乙第2号証(当審注:「特開平10-144352号公報」のこと。)【0016】、乙第3号証(当審注:「特開2005-116482号公報」のこと。)【0057】、【0058】にみられるように、電池内部を減圧することによって大気圧と電池の内部の圧力(内圧)とに差圧を発生させ、差圧によって電池を押圧して発電要素に加圧力(群圧)を付与する技術が周知であり、当業者であれば、必ずしも上記のような加圧部材2を用いて発電要素に加圧力を付与する必要はない」旨述べている。ここで、「発電要素」とは、請求項1における「正極活物質層が正極集電体の表面に形成されてなる正極と、水系バインダーを含む負極活物質層が負極集電体の表面に形成されてなる負極と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されるセパレータと、を含む」ものである。
そして、本件明細書の段落【0013】によれば、「電解液層(負極(正極)活物質層/セパレータ間に位置する)の厚さが特定の範囲内」であることにより、「電解液層が存在することにより、発電要素内のガスの通り道を抜けたガスが、電解液層から発電要素系外に排出される」とのことから、上記割合が上記「特定の範囲内」、すなわち、「0.85以上1.0未満」であれば、電解液層が存在し、発電要素内のガスの通り道を抜けたガスが、電解液層から発電要素系外に排出されることは、当業者に明らかであり、また、本件明細書の段落【0029】、【0030によれば、それぞれ、「電解液層の厚さを制御する方法は特に限定されるものではないが、好適な一実施形態は、電池要素に掛かる群圧を制御する方法である。」、「群圧の制御は特に限定されるものではないが、発電要素に物理的に直接または間接的に外力を付加し、該外力を制御することで制御できる。かような外力の付加方法としては、外装体に圧力を付加させる加圧部材を用いることが好ましい。」とのことであり、「発電要素に群圧を付与している」ことによって電解液層の厚さを制御し、上記割合「0.85以上1.0未満」とすることが技術的に明らかになり、また、群圧を付与する手法としては、加圧手段のみではなく、電池内部を減圧することによって大気圧と電池の内部の圧力(内圧)とに差圧を発生させ、差圧によって電池を押圧して発電要素に加圧力(群圧)を付与する手段が周知であるから、加圧手段等、何らかの外力を付加する手段まで特定する必要はなく、本件発明1が、本件明細書に記載される発明の課題を解決することを当業者が理解できるように記載された範囲を超えるものとはいえなくなった。
よって、本件発明1、及び、本件発明1を引用する本件発明2は、発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえないから、本件発明1、2は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。
5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1) 申立理由1について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、上記2(1)の申立理由1であり、訂正前の請求項1、2に係る発明についての甲第1~6号証に基づく進歩性違反であり、以下、当該申立理由1について検討する。
ア 甲第1号証について
(ア) 甲第1号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第1号証には、「電池の製造方法」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている(なお、下線は当審が付加したものであり、「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。)。
1a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 外装部材内に正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有する発電要素を密封した後、圧力容器内で加圧処理することを特徴とする電池の製造方法。
【請求項2】 前記外装部材は、金属シートと樹脂フィルムを重ね合せた積層フィルムからなる袋状の外装フィルムであることを特徴とする請求項1記載の電池の製造方法。
【請求項3】 前記発電要素は、外部端子が電気的に接続された正極と、外部端子が電気的に接続された負極と、これら正負極間に介在されたセパレータと、非水電解液とからなり、前記袋状の外装フィルム内にその熱シール部で前記各外部端子が接着封止されるとともに、外部に延出するように密封されることを特徴とする請求項2記載の電池の製造方法。」
1b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外装部材の内部に発電要素を密封した電池の製造方法に関する。」
1c 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近のように高容量化、特にエネルギー密度を上げる要請に応えるために、電極群の電極内や電極間の空隙を極力減らし、この電極群を外装部材内に高気密充填すると、電極内や電極間の空隙に電解液や高分子ゲル状電解質が十分含浸できない問題が発生するようになった。」
1d 「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を外装部材としては金属シートと樹脂フィルムを重ね合せた積層フィルムからなる袋状の外装フィルムを用いた薄形電池(例えば薄形非水電解液二次電池)を図面を参照して説明する。
【0009】(第1工程)まず、活物質および結着剤を含む正極活物質層が例えば集電体両面に担持された正極、セパレータ、活物質および結着剤を含む負極活物質層が例えば集電体両面に担持された負極およびセパレータを渦巻状に捲回してほぼ円筒状物を作製する。なお、この捲回時に正負極に外部端子を例えば溶接によりそれぞれ接続する。
【0010】次いで、得られた円筒状の電極物を加熱加圧成形することにより図1,図2に示す活物質および結着剤を含む正極活物質層1が集電体2の両面に担持された正極3とセパレータ4と活物質および結着剤を含む負極活物質層5が集電体6の両面に担持された負極7とを有する扁平状電極体(電極群)8を作製する。前記正負極3,7に接続された外部端子9,10は、それぞれ前記電極体8の同一側面から外部に延出されている。
【0011】(第2工程)前記電極群の長辺より僅かに長く、かつその短辺の例えば2倍の長さの寸法を有する二つ折りのカップ型外装材用フィルム素材を用意し、図3、図4に示すようにこの外装フィルム用素材11の絞り成型により形成されたカップ12内に前記扁平状の電極体8をその外部端子9,10と反対側の側面が前記素材の折り曲げ部に位置するように収納する。前記外装フィルム用素材11は、前記電極体8が位置する内面側からシーラントフィルム13、アルミニウムまたはアルミニウム合金のシート14および剛性を有する樹脂フィルム15をこの順序で積層した積層フィルムにより構成されている。この時、接着性絶縁フィルム16を前記正極の外部端子9の上下面と前記外装フィルム用素材11の熱融着性樹脂フィルム13との間および前記負極の外部端子10の上下面と前記外装フィルム用素材11のシーラントフィルム13との間にそれぞれ介在させる。ひきつづき、前記電極体8の長辺に対応する前記外装フィルム用素材11の左端部よび前記外部端子9,10の延出側に対応する前記素材11の端部においてシーラントフィルム13同士およびシーラントフィルム13と接着性絶縁フィルム16を熱シールし、さらに溶融された接着性絶縁フィルム16と外部端子9,10とを密着させてシール部17a,17bを形成する。
【0012】(第3工程)非水電解液を前記外装材フィルム用素材11の未シール部(右端部)を通して注液し、前記電極体8の右端部付近の未シール部においてシーラントフィルム13同士を熱シールする。その後、余分な外装材フィルム用素材11を裁断除去することにより図5に示す袋状の外装フィルム18で扁平状電極体8が密封された未充電状態の薄形非水電解液二次電池19を作製する。
【0013】(第4工程)前記二次電池を図示しない圧力容器に収納し、加圧処理することにより前記二次電池内において非水電解液を扁平状電極体に含浸することにより薄形非水電解液二次電池を製造する。」
1e 「【0015】1)正極3
この正極3は、例えば集電体2の両面に活物質および結着剤を含む正極活物質層1を担持した構造を有する。なお、正極は集電体の片面に正極活物質層を担持させた構造であってもよい。
・・・
【0021】3)負極7
この負極7は、集電体6の両面に活物質および結着剤を含む負極活物質層5を担持した構造を有する。なお、負極は集電体の片面に負極活物質層を担持させた構造であってもよい。
・・・
【0024】前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロライド、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、スチレン-ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の結着剤を含有することが好ましい。」
1f 「【0064】(実施例1)
<正極の作製>正極活物質として平均粒径3μmのLiCoSn0.02O289重量部、導電フィラーとしてグラファイト(ロンザ社製KS6)6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製商品名;#1100)3重量部を溶剤であるN-メチルピロリドン25重量部に加え、均一せん断攪拌した後、ビーズミルを用いて分散して正極スラリーを調製した。このスラリーの見掛けの粘度は、7500mPa・sであった。つづいて、この正極スラリーを集電体である厚さ20μmの帯状アルミニウム箔両面に均一に塗付し、溶剤を乾燥させ、さらにロールプレス機で加圧成形した後、所定の大きさに切断することにより、帯状の正極を作製した。その後、前記正極の集電体の一端に厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmのアルミニウム製外部端子を溶接により取り付けた。」
1g 「【0065】<負極の作製>カルボキシメチルセルロース1.5重量部に鱗片状黒鉛50重量部を分散し、カーボンのマスターバッチ塗料を作製した。この分散液に繊維状炭素材を50重量部添加し同様にせん断分散し、更にスチレンブタジエンゴムラテックス2.4重量部を添加し均一混合攪拌し、負極スラリーを調製した。このスラリーの見掛けの粘度は、4500mPa・sであった。つづいて、この負極スラリーを集電体である厚さ10μmの帯状銅箔の両面に均一に塗付し、溶剤を乾燥させ、更にロールプレス機で加圧成形した後、所定の大きさに切断することにより帯状の負極を作製した。その後、前記負極の集電体の一端に厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmのニッケル製外部端子を溶接により取り付けた。」
1h 「【0066】次いで、前記帯状の正極と帯状の負極を、厚さ25μm、気孔率50%、透気度300秒/100ccのポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介して、正極/セパレータ/負極/セパレータの順序に積層し、断面が扁平状の巻芯で渦巻き状に捲回し、さらに油圧式プレスで加熱圧縮し、成形して扁平状電極体(電極群)を作製した。」
1i 「【0068】次いで、非水電解液を外装フィルム用素材の開放された長辺側部分を通して1torr以下の真空下で注入・含浸させた。この非水電解液としては、エチレンカーボネート/γ-ブチロラクトン=1/3(体積比)の混合液にトリオクチルフォスフェート(TOP)を0.5重量%加えた溶媒に対してLiBF4を1.25モル/Lとなるように添加したものを用いた。その後未シール部を210℃に加熱したプレスヘッド(図示せず)により、5秒間加圧し、マレイン化ポリプロピレンフィルム同士を接着させて、シール部を形成し、余分な外装フィルム用素材部分を裁断除去して未充電状態の薄形非水電解液二次電池を作製した。つづいて、この二次電池を圧力容器であるオートクレーブ内に設置し、この圧力容器内に乾燥空気を供給することにより前記二次電池をゲージ圧0.5MPaで10分間加圧した。この後、20℃、0.2Cの条件で初充電を8時間行うことにより外寸法が厚さ3.6mm、幅35mm、高さ62mmで、容量が650mAh(0.2C)の薄形非水電解液二次電池を製造した。」
1j 「
」
(イ) 甲第1号証に記載された発明
a 上記1eの段落【0015】の記載によれば、正極3は、集電体2の両面に活物質および結着剤を含む正極活物質層1を担持した構造を有することから、甲第1号証には、正極活物質層1が集電体2の両面に形成されてなる正極3、が記載されていると認められる。
b 上記1eの段落【0021】の記載によれば、負極7は、集電体6の両面に活物質および結着剤を含む負極活物質層5を担持した構造を有することから、甲第1号証には、結着剤を含む負極活物質層5が集電体6の両面に形成されてなる負極7、が記載されていると認められる。
c 上記1eの段落【0010】、【0013】、上記1jの【図1】~【図5】の記載によれば、発電要素は、外部端子9が接続された正極3と、外部端子10が接続された負極7と、これら正負極間に介在されたセパレータ4と、非水電解液とからなり、ここで、正極3と負極7は、上記a、bより、それらの両面に、それぞれ正極活物質層1、負極活物質層5が形成されていることから、甲第1号証には、正極活物質層1と負極活物質層5との間に配置されるセパレータと、非水電解液を含む発電要素、が記載されていると認められる。
d 上記1eの段落【0013】の記載によれば、薄形非水電解液二次電池を製造したとのことであるから、甲第1号証には、非水電解液二次電池、が記載されていると認められる。
e 上記a~dの検討事項に基づくと、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「正極活物質層1が集電体2の両面に形成されてなる正極3と、
結着剤を含む負極活物質層5が集電体6の両面に形成されてなる負極7と、
正極活物質層1と負極活物質層5との間に配置されるセパレータ4と、
非水電解液と、を含む発電要素を有する、
非水電解液二次電池。」(以下、「甲1発明」という。)
イ 甲第2号証について
(ア) 甲第2号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第2号証には、「非水電解質二次電池」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
2a 「【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関するものである。」
2a 「【0056】
得られた黒鉛質物粒子100重量部に対して、エーテル化度の分布が0.6~0.8で、重量平均分子量の分布が20万~25万のカルボキシメチルセルロース(CMC)を1.8重量部と、スチレンブタジエンゴム(SBR)を1.5重量部とを添加し、水の存在下で混練することにより固形分量が40重量%で、B型粘度計(50rpm)による粘度が10000mPa・sのペーストを調製した。得られたペーストを厚さが12μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥し、プレスすることにより、電極密度が1.45g/cm3で、負極集電体の両面に負極層が担持された構造を有する負極を作製した。」
ウ 甲第3号証について
(ア) 甲第3号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第3号証には、「非水電解質二次電池用負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用負極の製造方法」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
3a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用負極、それを備えた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池用負極の製造方法に関する。」
3b 「【0053】
次に、負極形成用スラリーを銅箔の両面に、目標塗工量を204mg/10cm2として塗工し、乾燥させた後、充填密度が1.60g/cm3となるように圧延し、本発明負極t1を得た。なお、正極と負極との対向容量比は、1.10で負極リッチとなるように調整した。」
エ 甲第4号証について
(ア) 甲第4号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第4号証には、「非水電解質二次電池電極」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
4a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー電解質と、活物質とを含む活物質層を有する非水電解質二次電池電極であって、
前記ポリマー電解質と前記活物質との界面に形成されてなる電解液層を含み、前記電解液層が、活物質100体積%に対して5体積%未満である、非水電解質二次電池電極。」
4b 「【0004】
非水電解質二次電池の初回充放電時には、電池要素からガスが発生することが知られている。このガスは、パッケージする際に内部に入り込んだ空気や、負極の細孔内に吸着していた空気、または負極表面に被膜が形成される際の電解液の分解などにより発生したものと考えられている。
【0005】
このようなガスをそのままにしておくと、電極の活物質の剥離等が起こり、充放電特性や電池寿命等の特性が低下する原因となる。ここで、電極に含まれる電解質が液体電解質である場合、初回充電時に電極において発生したガスを電極外部に抜くことは比較的容易である。一方、ゲルポリマー電解質や真性ポリマー電解質などのポリマー電解質が電極に含まれる場合、電極において発生したガスを電極外部に抜くことは困難である。これは、活物質粒子の周囲をバインダーおよび固体状態のポリマー電解質が包囲するという電極の構造に起因するものと考えられる。」
4c 「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記ガスの発生によって、電解質と電極との間だけではなく、活物質とポリマー電解質との界面の接着性が低下することを見出した。かような活物質とポリマー電解質との界面の接着性の低下は、電池の反応抵抗の増大を引き起こすため、発電性能が低下する場合があり、また電池耐久性の点で問題が生ずる場合がある。
【0008】
本発明の目的は、非水電解質二次電池において、初回充放電時のガス発生に起因する発電性能の低下および耐久性の低下を防止しうる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電極製造の際に予め発生させたガスを脱気することでガス流路を形成させ、前記ガス流路を電解液で置換することによって、活物質とポリマー電解質との間に電解液層を設けることで上記問題の解決を図ることができることを見出し、本発明を完成させた。」
オ 甲第5号証について
(ア) 甲第5号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第5号証には、「電池用電極の製造方法」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
5a 「【0025】
本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、図1に示すように、負極集電体10の上に負極活物質からなる第1線状部12a及び第2線状部12b(負極活物質層12)と、セパレータ20を含む電解質液層14と、正極集電体18の上に正極活物質からなる第1線状部16a及び第2線状部16b(正極活物質層16)と、を積層した構造を有している。負極集電体10と負極活物質層12とが負極を構成し、正極活物質層16と正極集電体18とが正極を構成する。本明細書においては、X、Y及びZ座標方向を図1及び図2に示すように定義する。」
5b 「【図1】
」
カ 甲第6号証について
(ア) 甲第6号証の記載事項
本件特許に係る出願の出願日前に頒布された甲第6号証には、「非水電解質二次電池」(発明の名称)に関して、以下の事項が記載されている。
6a 「【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で用いる水系バインダーとは、水にバインダーを分散させた状態で活物質と混合して用いるバインダーを意味し、代表的なものとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いることができ、これにカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合することもできるし、SBRに替えてCMC単独で用いることもできる。」
キ 本件発明1について
(ア) 本件発明1と甲1発明との対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「正極活物質層1」、「集電体2」、「両面」、「正極3」、「負極活物質層5」、「集電体6」、「負極7」、「セパレータ4」は、それぞれ、本件発明1の「正極活物質層」、「正極集電体」、「表面」、「正極」、「負極活物質層」、「負極集電体」、「負極」、「セパレータ」に相当する。
b 本件発明1の「非水電解質二次電池」は、「液体電解質から構成される電解液層」を含むことから、甲1発明の「非水電解液二次電池」は、本件発明1の「非水電解質二次電池」に相当するといえる。
上記の検討から、本件発明1と甲1発明とは、
「正極活物質層が正極集電体の表面に形成されてなる正極と、
負極活物質層が負極集電体の表面に形成されてなる負極と、
前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置されるセパレータと、を含む発電要素を有する、非水電解質二次電池。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1>
負極活物質層について、本件発明1は、「水系バインダーを含む」ものであるのに対して、甲1発明は、「結着剤を含む」ものである点。
<相違点2>
負極活物質層について、本件発明1は、「密度が1.4~1.6g/cm3であ」るのに対して、甲1発明は、密度についての特定がない点。
<相違点3>
本件発明1は、「前記負極活物質層および前記正極活物質層のうち少なくとも一層と前記セパレータとの間に液体電解質から構成される電解液層が配置され、前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満となるように発電要素に群圧を付与している」のに対して、甲1発明は、非水電解液を含むものの電解液層が配置されているか不明である点。
(イ)判断
a 相違点3についての判断
甲1号証の上記1cによれば、【発明が解決しようとする課題】として、「しかしながら、最近のように高容量化、特にエネルギー密度を上げる要請に応えるために、電極群の電極内や電極間の空隙を極力減らし、この電極群を外装部材内に高気密充填すると、電極内や電極間の空隙に電解液や高分子ゲル状電解質が十分含浸できない問題が発生するようになった。」と記載されていることから、甲1号証には、甲1発明の前提として、高容量化、特にエネルギー密度を上げるために電極間等の空隙を極力減らすことが記載されているといえる。
一方、本件発明1は、「前記負極活物質層および前記正極活物質層のうち少なくとも一層と前記セパレータとの間に液体電解質から構成される電解液層が配置され、前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満となるように発電要素に群圧を付与している」を発明特定事項とするものであり、ここから、厚みの割合が0超0.15以下の電解液層が電極間に配置されているといえる。
そうすると、甲1発明において、電極間の空隙を極力減らす代わりに電極間に厚みの割合が0超0.15以下の電解液層を配置すること、特に、厚みの割合が0.15付近の電解液層は、甲1発明の上記前提に反することであるから、甲1号証に接した当業者にとってそのようにする動機づけはないし、発明の課題を解決しないものとなる電解液層を配置することには、阻害要因があるといえる。
仮に、阻害要因がないとしても、本件発明1における「前記正極、前記負極および前記セパレータの合計厚みの割合が、前記正極、前記負極、前記セパレータおよび前記電解液層の合計厚みに対して、0.85以上1.0未満となるように発電要素に群圧を付与している」という発明特定事項については、甲第2~6号証やその他の刊行物を参照しても、記載も示唆もされていないことは明らかである。
そして、本件明細書の段落【0013】によれば、「正極、負極およびセパレータの合計厚みの割合が、正極、負極、セパレータおよび電解液層の合計厚みに対して0.85を下回ると、リチウムイオンの通り道が長くなり、電池内のイオン移動が阻害される。このため、電極面内で反応が不均一となり、ガス発生量が多い電圧が高い部分が電極内で部分的に存在することとなる。また、正極、負極およびセパレータの合計厚みの割合が1.0以上であると、セパレータ等の樹脂層が圧縮されガスが排出されることとなり、ガスの系外への排出が円滑に行われなくなる。このため、正極、負極およびセパレータの合計厚みが正極、負極、セパレータおよび電解液層の合計厚みに対して1.0以上である、または0.85未満であると、電池の長期サイクル特性が低下する。」とのことであり、本件発明1は、上記発明特定事項により、0.85以上であると電池の長期サイクル特性が低下することなく、また、1.0未満であるとガスの系外への排出が円滑に行われ、0.85以上1.0未満であると、電池の長期サイクル特性とガスの系外への排出に関する両方の効果を満たすものと認められる。
よって、甲1発明において上記相違点3に係る本件発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得ることではない。
そして、本件発明1は、その構成により、「負極活物質層のバインダーとして水系バインダーを用いた場合であっても、発生したガスが電極外へ放出されやすくなるため、長期にわたって使用しても電池容量の低下が少ない非水電解質二次電池が可能となる」(本件明細書の段落【0014】)という効果を奏するものである。
b 判断のまとめ
甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。
よって、本件発明1は、相違点1及び相違点2について検討するまでもなく、また、技術常識に照らしても、甲第1~6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ク 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を有し、これをさらに限定したものであるから、上記キ(ア)で検討したと同様に、甲1発明と少なくとも相違点1~相違点3の点で相違しており、上記キ(イ)で検討したとおり、甲1発明において、相違点3に係る本件発明1の特定事項とすることが容易であるとはいえないから、甲1発明と少なくも相違点3において相違している本件発明2についても同様に、甲第1~6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
ケ まとめ
以上より、本件発明1、2は、甲第1~6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、その特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。
6 むすび
以上のとおり、上記申立理由1、2によっては、請求項1、2に係る本件特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2に係る本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700363