特許異議申立
2025-700267
熱エネルギー発生装置
- 審判番号
- 2025-700267
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-112578
- 登録番号
- 7545821
- 請求日
- 2025年03月04日
- 審決日
- 2025年07月11日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日産自動車株式会社
- 【権利者代理人】IBC一番町弁理士法人
- 【権利者】ルノー エス.ア.エス.
- 【権利者代理人】IBC一番町弁理士法人
- 【異議申立人】藤田 淳
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 正木 裕也
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P1651.121-Y (F24V) / P1651.537-Y (F24V)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7545821号発明「熱エネルギー発生装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7545821号の請求項1-15に係る特許を維持する。
理由
理 由
1 手続の経緯
特許第7545821号の請求項1-15に係る特許についての出願は、令和2年6月30日に出願され、令和6年8月28日にその特許権の設定登録がされ、令和6年9月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和7年3月4日に特許異議申立人 藤田 淳(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
2 本件発明
特許第7545821号の請求項1-15の特許に係る発明(以下、「本件発明1」-「本件発明15」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
車両に搭載されるエンジンから排気された排ガスに含まれる排熱を輸送する排熱輸送部と、
前記排熱輸送部で輸送される前記排熱の熱流量を制御する熱流量制御部と、
前記排熱によって加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する発熱材料からなる発熱部と、前記発熱部を収納する収納部を有する過剰熱発生部と、
前記排ガスを前記過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温させる加熱部と、を備える熱エネルギー発生装置。
【請求項2】
前記発熱材料は、前記反応ガスとなる水素ガスの存在下で加熱させて水素を吸蔵させて水素化物合金となり、この水素化物合金の相転移の繰り返しによって前記水素の吸蔵および脱蔵が繰り返されることにより過剰発熱する、水素吸蔵機能を有する合金材料で構成される、請求項1に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項3】
前記過剰熱発生部は、
さらに、前記反応ガスの供給源となるガス供給部と、
少なくとも前記ガス供給部から供給される前記反応ガスの前記収納部への給気量を制御するための給気量調整部を有する給排気量制御部と、を備える、請求項1または2に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項4】
前記給排気量制御部は、さらに、前記収納部からの前記反応ガスの排気量を制御するための排気量調整部を有する、請求項3に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項5】
前記排熱輸送部は、前記収納部に対して前記排熱を直接的あるいは間接的に伝達させる高熱伝導部材からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項6】
前記排熱輸送部は、さらに前記収納部を介して前記発熱部に前記排熱を伝達する蓄熱部を含む、請求項5に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項7】
前記収納部は、前記蓄熱部と当接する部分が前記高熱伝導部材で構成される、請求項6に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項8】
前記排熱輸送部は、前記エンジンから排気された前記排ガスを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項9】
前記熱流量制御部は、前記収納部に対する前記排熱の伝熱状態または断熱状態を切り替える熱スイッチと、蓄熱部の少なくとも一方からなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項10】
前記熱スイッチは、熱放射、熱伝導、熱対流のいずれかの伝熱形態を利用して熱流量を制御する、請求項9に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項11】
外管と、前記外管の内方に設けられる内管と、を含む筐体を含み、
前記外管は、前記排熱輸送部として機能し、
前記熱流量制御部は、前記外管から前記過剰熱発生部に伝達される放射熱の一部を遮蔽する遮蔽板である、請求項1に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項12】
外管と、前記外管の内方に設けられる内管と、を含む筐体を含み、
前記内管は、前記排熱輸送部として機能し、
前記熱流量制御部は、温度昇降に伴って熱伝導率が可変し、前記内管と前記収納部との間の少なくとも一部に設けた間隙に出し入れされる伝熱媒体である、請求項1に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項13】
外管と、前記外管の内方に設けられる内管と、を含む筐体を含み、
前記排熱輸送部は、前記内管から前記外管へと流入する前記エンジンの前記排熱を輸送する前記排ガスであり、
前記熱流量制御部は、前記収納部と前記外管との間に設けられた第2空間を開放又は閉塞して前記第2空間内への前記排ガスの流入量を制御する遮熱板である、請求項1に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項14】
前記発熱材料は、230℃以上の融点を有する第1の金属と、前記第1の金属よりも高い融点を有する第2の金属と、を含み、
前記第1の金属または前記第2の金属の少なくとも一方が、前記第2の金属の融点未満の温度で銀よりも大きい水素溶解度を有し、かつ前記第1の金属または前記第2の金属の少なくとも一方の水素化物が、CaHの標準生成エンタルピー以上の標準生成エンタルピーを有し、前記第2の金属の融点未満の温度において、前記第1の金属および前記第2の金属が水素ガスと接触することにより発熱する、請求項2に記載の熱エネルギー発生装置。
【請求項15】
前記第1の金属は、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、鉛(Pb)の群から選択され、
前記第2の金属は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、カルシウム(Ca)の群から選択される、請求項14に記載の熱エネルギー発生装置。」
3 特許異議の申立の理由
申立人による特許異議の申立の理由の概要は、次のとおりである。
(1)理由1について
申立人は、証拠として実願平3-89311号(実開平5-38314号)のCD-ROM(以下「甲1」という。)、国際公開第2002/080303号(以下「甲2」という。)、特開2016-156360号公報(以下「甲3」という。)、特開2011-12599号公報(以下「甲4」という。)、特開2009-264448号公報(以下「甲5」という。)、及び特開平7-208696号公報(以下「甲6」という。)を提出し、請求項1-15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、請求項1-15に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
(2)理由2について
申立人は、本件発明1-15は、「前記排ガスを前記過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温させる加熱部」を備えることが記載されており、段落【0004】に記載される発明が解決しようとする課題を解決できない場合を含んでいるから、請求項1-15に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当するから、請求項1-15に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
4 当審の判断
(1)理由1について
ア 甲1-6の記載
(ア)甲1
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下、同様)。
あ 「【0016】
図1~図4は第1の実施例を示し、1は自動車のガソリン・エンジンであり、2はエンジン1から排気される排気ガスを排出する排気経路としての排気管である。排気管2の途中には内筒3が設けられ、この内筒3の内部には3元触媒4が設けられている。さらに、この内筒3の外側にはZr・Ti・Fe・V・Cr系の水素吸蔵合金5が設けられている。」
い 「【0024】
次に、前述のように構成された触媒の早期活性化装置の作用について説明する。まず、エンジンの停止中においては、3元触媒4の温度が図4に示すように、Taであるとすると、水素吸蔵合金5が水素を吸蔵するのに必要な最低圧力がPaとなる。ここで、エンジン1を始動するためにエンジンキー9を入力し、可動接点9aがON端子9bに接触すると、電磁開閉弁8が開弁する。」
う 「【0030】
また、水素吸蔵合金5が化学変化を起こし、その反応熱によって内筒3および外筒11が加熱され、熱膨張を起こし、熱膨張率の違いにより、熱応力が発生するが、内筒3と外筒11とはベローズ15によって連結されているため、ベローズ15が伸縮して熱膨張を吸収し、熱歪の発生を防止できる。
図5~図7は第2の実施例を示すもので、第1の実施例と共通する部分は同一番号を付して説明を省略する。
【0031】
3元触媒4を収容する内筒3の外周に設けられた環状空間部12には低温活性形水素吸蔵合金21と高温活性形水素吸蔵合金22の2種類の水素吸蔵合金が収容されている。低温活性形水素吸蔵合金21は、Zr・Ti・Fe・V・Cr系の合金で約10℃で水素反応を起こし、高温活性形水素吸蔵合金22は、Ti・Fe・Co,Zr系の合金で約70℃で水素反応を起こすように形成されている。」
え 「【0036】
そして、電気ヒータ23が発熱して低温活性形水素吸蔵合金21の温度が10℃以上になると、反応が始まり、水素ガスの吸蔵とともに反応熱が発生する。低温活性形水素吸蔵合金21の反応熱はこの周囲を取り囲む高温活性形水素吸蔵合金22に伝わる(TaからTb)。」
【0037】
高温活性形水素吸蔵合金22は温度がTb´になると、反応を始め、水素ガスの吸蔵とともに反応熱が発生してTc´まで反応が進む。高温活性形水素吸蔵合金22も低温活性形水素吸蔵合金21と同じ温度なので、その時には低温活性形水素吸蔵合金21はTcとなり、Pcの圧力の水素ガスを放出して高温活性形水素吸蔵合金22に水素ガスを供給する。この反応は高温活性形水素吸蔵合金22の上限、約25atm,190℃まで続き、その間の反応熱によって3元触媒4が活性化される。
【0038】
3元触媒4が活性化し、エンジン1等の暖気が終了して定常運転が可能になると、今度はエンジン1から排気される排気ガスの熱によって触媒温度は上昇し、低温活性形水素吸蔵合金21と高温活性形水素吸蔵合金22に吸蔵された水素ガスが環状空間部12の内部に放出される。」
お 図5「
[図:0001425789000001.jpg]
」
か 図6「
[図:0001425789000002.jpg]
」
き 上記段落【0030】及び段落【0038】の記載、並びに図5から、排気管2の途中に設けられた内筒3の内部に設けられた3元触媒4は、エンジンから排気される熱が伝えられることで活性化されるものであると理解できる。そうすると、排気管2は、排気ガスに含まれる排熱を、3元触媒4に輸送するものであるといえる。
く 上記段落【0036】の記載から、電気ヒータ23によって加熱された状態で、低温活性形水素吸蔵合金21が反応熱を発生する発熱材料からなることが理解できる。
け 上記段落【0036】及び【0037】の記載から、低温活性形水素吸蔵合金21の反応熱が高温活性形水素吸蔵合金22に伝わり、高温活性形水素吸蔵合金22の温度がTb´になると、高温活性形水素吸蔵合金22が反応熱を発生することが理解できる。そうすると、高温活性形水素吸蔵合金22は、低温活性形水素吸蔵合金21によって加熱された状態で反応熱を発生する発熱材料からなるといえる。
上記によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
〔甲1発明〕
「自動車のガソリン・エンジン1から排気された排ガスに含まれる排熱を輸送する排気管2と、
電気ヒータ23によって加熱された状態で水素ガスとの水素反応によって反応熱を発生する発熱材料からなる低温活性形水素吸蔵合金21及び低温活性形水素吸蔵合金21によって加熱された状態で、水素ガスとの水素反応によって反応熱が発生する発熱材料からなる高温活性形水素吸蔵合金22と、前記低温活性形水素吸蔵合金21と前記高温活性形水素吸蔵合金22を収納する環状空間部12を有する前記低温活性形水素吸蔵合金21、前記高温活性形水素吸蔵合金22及び前記環状空間部12と、
を備える触媒の早期活性化装置。」
(イ)甲2
甲2には、以下の事項が記載されている。
あ 「[0034] [発熱材料の用途(発熱システム)]
上述した形態に係る発熱材料は、熱を利用する種々の用途に適用可能な発熱システムとして用いることができる。すなわち、本発明の他の形態によれば、上述した形態に係る発熱材料が配置された発熱装置と、前記発熱材料を加熱するヒーターと、前記発熱材料に対して水素ガスを供給する水素ガス供給装置とを備えた、発熱システムもまた、提供される。さらには、上述した形態に係る発熱材料を、水素ガスの存在下、前記第1の金属の融点以上、前記第2の金属の融点未満の温度に加熱することにより、前記発熱材料を発熱させることを含む、熱供給方法もまた、提供される。」
い 「[0036] 発熱システムの使用時(熱の供給時)において、発熱装置に配置された発熱材料は、水素ガス(H2)の存在下で上記加熱温度に加熱されることにより、非常に大きな発熱量を外部に放出する。このようにして発熱材料から放出された大量の熱は、発熱システムの外部に位置する熱消費部に供給される。なお、本発明に係る発熱材料が非常に大量の熱(過剰熱)を発生しうるメカニズムは完全には明らかとはなっていない。ただし、後述する実施例の欄において水素TPR法(昇温還元法)により昇温時における発熱材料(1)による水素吸蔵反応のプロファイルを調べた結果から、発熱材料(1)をアルミニウム(Al)の融点よりも高い温度に加熱した際に見られる大きな発熱は、水素吸蔵反応の際の水素吸蔵熱とは異なるものであることが示唆されている。本発明に係る発熱材料による大量の発熱は水素ガス(H2)の存在下でのみ生じることから、本発明者らは、上記発熱のメカニズムとして、水素化物合金の相転移の繰り返しによって水素の吸蔵および脱蔵が繰り返される結果、上述したような大量の発熱が生じるものと推測している。」
う 図4「
[図:0001425789000003.jpg]
」
上記によれば、甲2には、次の事項(以下、「甲2に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲2に記載の技術事項〕
「発熱システムにおいて、水素ガス(H2)の存在下で加熱温度に加熱されることにより、非常に大きな発熱量を外部に放出する発熱装置に配置された発熱材料と、前記発熱材料を加熱するヒーターと、を備えること。」
(ウ)甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。
あ 「【0030】
排気ガス温度制御装置20は、ケース201(筐体)、第1の流路管21、第2の流路管22、蓄熱体30、加熱部材31、断熱材23、流路切替弁25を備えている。なお、後述する制御ユニット60を含まない場合、排気ガス温度制御装置20は、排気ガス温度調整装置と呼ばれても良い。ケース201は、ステンレス鋼、酸化防止処理が施された鋼板から形成されている。第1の流路管21は排気ガスが流れる第1の流路部21aを規定し、第2の流路管22は排気ガスが流れる第2の流路部22aを規定し、第1の流路管21と第2の流路管22とは平行に配置されている。ケース201は、排気ガスを内部に導入するための導入部20aと排気ガスを外部に排出するための排出部20bとを備えている。導入部20aと第1の流路管21および第2の流路管22、排出部20bと第1の流路管21および第2の流路管22とは連通されている。なお、第1の流路管21および第2の流路管22は、中空矩形形状を有しているが、円筒形状並びに他の形状を有していても良い。」
い 「【0032】
蓄熱体30は、第1の流路管21の内部に部分的に配置されている。蓄熱体30は、第1の流路管21の形状に合わせて矩形形状を有しているが円柱形状等他の形状を有していても良い。蓄熱体30は、内部に排気ガスの流動を許容する内部流路を備えるセラミックス材、金属粉末の焼結体、メタルハニカム、エキスパンドメタル等を用いることができる。また、蓄熱体30として、溶融塩等による潜熱蓄熱体を用いることもできる。なお、内部流路は、意図的に形成された流路、たとえば直線流路であっても良く、材料の性質上形成される空隙により形成される流路、たとえば惰行流路であっても良い。なお、蓄熱体30は、必要な熱容量に応じて、第1の流路管21の全部に配置されても良い。」
う 「【0037】
車両の運転状態が冷間始動状態にある場合には、図4に示すように、流路切替弁25は、第1の流路管21を塞ぎ、エンジン510からの排気ガスを第2の流路管22、すなわち、第2の流路部22aへと導くように切り替えられる。冷間始動時にあっては、排気ガス温度は低く(たとえば、50℃程度)、蓄熱体30を排気ガスに曝すと蓄熱体30の温度(蓄熱量)は低下し、また、蓄熱体30にも熱が蓄えられていないので排気ガスと蓄熱体30とを接触させても排気ガスの温度上昇は見込めないからである。また、スイッチ61は開かれており、加熱部材31に対する通電は行われない。なお、排出部20bには、バッテリによって通電される第2の加熱部材35が備えられており、冷間始動時には、通電されて、排気ガスを加熱するために用いられる。
え 「【0039】
車両の運転状態が減速時・低負荷状態にある場合には、図6に示すように、流路切替弁25は、第1の流路管21を塞ぎ、エンジン510からの排気ガスを第2の流路管22、すなわち、第2の流路部22aへと導くように切り替えられる。本実施形態に係る車両は、後述するように、減速時、オルタネータによって減速時の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することによって回生電力を得ることができる。そこで、減速時には、スイッチ61を閉じ、回生電力を用いて加熱部材31を発熱させ、蓄熱体30に蓄熱させる。また、低負荷時であって、車載バッテリの蓄電容量に余裕がある場合には、スイッチ61を閉じ、車載バッテリの電力を用いて加熱部材31を発熱させ、蓄熱体30に蓄熱させる。いずれの場合においても、第1の流路管21を塞ぐのは、排気ガスによって加熱部材31が発生した熱、あるいは、蓄熱体30の熱が奪われることを防止し、より高い熱量を蓄熱体30に蓄えさせるためである。また、定常運転状態からの減速または低負荷状態への移行時には、NOx、HC、CO等はほとんど排出されず、加熱部材31または蓄熱体30によって加熱する必要はないからである。なお、第2の加熱部材35に対する通電も行われない。」
お 「【0041】
車両の運転状態が急加速状態にある場合、または、車両の運転状態が加速状態にあって蓄熱体30が十分に蓄熱していない場合には、図8に示すように、流路切替弁25は、第2の流路管22を塞ぎ、エンジン510からの排気ガスを第1の流路管21、すなわち、第1の流路部21aへと導くように切り替えられる。また、第2の加熱部材35に対する通電も行われる。急加速時にあっては、エンジン負荷も高まり、NOxの排出量も増加すると共に、排気ガス流量が極めて増大するため、蓄熱体30が蓄えている熱だけでは排気ガスを十分に加熱することができず、不足する熱量を第2の加熱部材35による加熱によって補うためである。また、加速時であって、蓄熱体30の蓄熱量が十分でない場合には、増大する排気ガス流量に対して、蓄熱体30が蓄えている熱だけでは排気ガスを十分に加熱することができず、不足する熱量を第2の加熱部材35による加熱によって補うためである。なお、スイッチ61は開かれている。また、第2の加熱部材35の通電による熱および蓄熱体30の蓄熱によっては熱量が不足する場合には、第2の加熱部材35に加えて、加熱部材31を回生電力以外の電力、たとえば、バッテリ42の電力を用いて発熱させても良く、あるいは、第2の加熱部材35を発熱させることなく加熱部材31のみを発熱させても良い。」
上記によれば、甲3には、次の事項(以下、「甲3に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲3に記載の技術事項〕
「排気ガス温度制御装置20において、第1の流路管21の内部に蓄熱体30を配置し、車両の運転状態が減速時・低負荷状態にある場合に、第1の流路管21を塞ぎ、加熱部材31を発熱させて蓄熱体30に蓄熱させ、車両の運転状態が冷間始動状態又は急加速状態にある場合に、第2の加熱部材35が排気ガスを加熱すること。」
(エ)甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。
あ 「【0038】
次に、ステップ14~18において、排ガス流量の下限値QLMTLを設定する。この下限値QLMTLは、排ガス流量QEXがその値を下回ると、フィルタ8の過昇温が生じるような排ガス流量の限界値に相当する。」
い 「【0077】
以上のように、本実施形態によれば、排ガス流量QEXが下限値QLMTLよりも小さいときに、目標吸入空気量QAIRCMDを増大させることによって、排ガス流量を増大側に制御する(図3のステップ19、22、23)。これにより、フィルタ8に流入する排ガス量が増大し、排ガスによってフィルタ8から持ち去られる熱量が増加することで、フィルタ8の過昇温が防止される。」
上記によれば、甲4には、次の事項(以下、「甲4に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲4に記載の技術事項〕
「排ガス流量QEXが、フィルタ8の過昇温が生じるような排ガス流量の限界値である下限値QLMTLよりも小さいときに、排ガス流量を増大側に制御して、フィルタ8の過昇温を防止すること。」
(オ)甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。
あ 「【0016】
図2において、それぞれの水素ガス放出・吸蔵ユニット(以下、それぞれ参照番号10a、10b、10c、10dとして区別する)は、水素ガス配管18によって並列に接続されている。水素ガス配管18は、分岐管18a乃至18dを含み、これら分岐管18a乃至18dは、各水素ガス放出・吸蔵ユニット10a乃至10dの水素ガス出入り口19a乃至19dに接続されている。各分岐管18a乃至18dには、流路を開閉するバルブ20a乃至20dが設けられている。これらの分岐管18a乃至18dは合流して水素ガス配管18に連続する。水素ガス配管18は、水素ガス需要機器22、水素ガス供給系23と切換バルブ24を介して接続されている。水素ガス需要機器22としては、燃料電池発電装置、燃料電池、水素エンジンをはじめとする水素ガスを消費する種々の装置、システムがある。
次に、図2において、参照番号24a乃至24dは、それぞれの水素ガス放出・吸蔵ユニット10a乃至10dの潜熱蓄熱材16を発核させるため過冷却状態を解除するトリガー手段を示す。このトリガー手段は、例えば、潜熱蓄熱材16に刺激を与えるもので、加熱ヒータなどがある。」
い 「【0021】
この実施形態では、制御装置26でトリガー手段24a乃至24bのうち任意のトリガー手段を作動させ、バルブ20a乃至20dのうち任意のバルブを開閉することができるようになっている。例えば、水素ガス放出・吸蔵ユニット10aだけから水素ガスを放出させる場合には、バルブ20aだけを開き、残りのバルブ20b、20c、20dは閉じたままにしておく。そして、トリガー手段24aを作動させて、水素ガス放出・吸蔵ユニット10aの潜熱蓄熱材16の過冷却状態を解除する。水素吸蔵合金14は、潜熱蓄熱材16に回りを囲まれているので、凝固熱によって水素吸蔵合金14は加熱され、水素ガスが発生する。水素ガス放出・吸蔵ユニット10aから放出された水素ガスは、分岐管18aから水素ガス配管18を流れて水素ガス需要機器22に供給される。水素ガスの供給を停止するときには、バルブ20aを閉めればよい。」
う 「【0026】
それぞれの水素ガス放出・吸蔵ユニット10a、10b、10cでは、水素吸蔵合金14に水素が吸蔵されるのと同時に、水素吸蔵熱が発生する。この水素吸蔵熱は、水素吸蔵合金14を取り囲むように配置された潜熱蓄熱材16を溶解することで蓄熱される。こうして、水素を吸蔵した後の水素ガス放出・吸蔵ユニット10aでは、潜熱蓄熱材16の過冷却状態を解除させれば、システムの休止があった場合、連続運転の場合を問わず、いつでも水素を放出可能な状態にすることができる。」
上記によれば、甲5には、次の事項(以下、「甲5に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲5に記載の技術事項〕
「水素ガス放出・吸蔵ユニットから水素ガスを放出させる場合は、潜熱蓄熱材16に刺激を与える加熱ヒータを作動させて、水素吸蔵合金14の回りを囲む潜熱蓄熱材16の過冷却状態を解除して、凝固熱によって水素吸蔵合金14を加熱して、水素ガスを発生させ、水素吸蔵合金14に水素が吸蔵させる場合は、発生する水素吸蔵熱が、潜熱蓄熱材16を溶解することで蓄熱されること。」
(カ)甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。
あ 「【0041】 第2実施例
図4及び図5には、本願発明の第2実施例にかかる水素吸蔵合金タンク1が示されている。この実施例の水素吸蔵合金タンク1は、基本的には上記第1実施例のものと同様であるが、次の点でこれと相違している。即ち、上記第1実施例の水素吸蔵合金タンク1においては上記伝熱フィン6を一枚の板材で構成していたが、この実施例のものにおいては該伝熱フィン6を、一対のフィン片6a,6aを所定間隔をもって対向配置して構成している。さらに、この伝熱フィン6の各フィン片6a,6aの間には、例えば水酸化バリウム8水塩(Ba (OH)2 8H2O)で構成される蓄熱材16が充填配置されている。」
い 図4「
[図:0001425789000004.jpg]
」
上記によれば、甲6には、次の事項(以下、「甲6に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲6に記載の技術事項〕
「水素吸蔵合金タンク1において、一対のフィン片6a,6aの間に蓄熱材16が充填配置した伝熱フィン6を配置すること。」
イ 対比・判断
(ア) 本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明の「自動車のガソリン・エンジン1」は、本件発明1の「車両に搭載されるエンジン」に相当する。同様に、「排気管2」は「排熱輸送部」に相当する。
そうすると、甲1発明の「自動車のガソリン・エンジン1から排気された排ガスに含まれる排熱を輸送する排気管2」は、本件発明1の「車両に搭載されるエンジンから排気された排ガスに含まれる排熱を輸送する排熱輸送部」に相当する。
甲1発明の「水素ガス」は、本件発明1の「所定の反応ガス」に相当する。同様に、「水素反応」は「化学反応」に相当する。
そして、甲1発明の「反応熱」は、高温活性形水素吸蔵合金22が190℃になるまで続く反応によって生じるものであり、高温活性形水素吸蔵合金22の温度は、電気ヒータ23により低温活性形水素合金21が加熱される温度である10℃よりも大きいから、本件発明1における「過剰熱」に相当する。
また、甲1発明の「低温活性形水素吸蔵合金21」及び「高温活性形水素吸蔵合金22」は、本件発明1の「発熱部」に相当する。
そうすると、甲1発明の「電気ヒータ23によって加熱された状態で水素ガスとの水素反応によって反応熱を発生する発熱材料からなる低温活性形水素吸蔵合金21及び低温活性形水素吸蔵合金21によって加熱された状態で、水素ガスとの水素反応によって反応熱が発生する発熱材料からなる高温活性形水素吸蔵合金22」と、本件発明1の「前記排熱によって加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する発熱材料からなる発熱部」は、「加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する発熱材料からなる発熱部」の限りにおいて一致する。
甲1発明の「前記低温活性形水素吸蔵合金21と前記高温活性形水素吸蔵合金22」は、本件発明1の「前記発熱部」に相当する。同様に、「環状空間部12」は「収納部」に、「前記低温活性形水素吸蔵合金21、前記高温活性形水素吸蔵合金22及び前記環状空間部12」は「過剰熱発生部」に相当する。
そうすると、甲1発明の「前記低温活性形水素吸蔵合金21と前記高温活性形水素吸蔵合金22を収納する環状空間部12を有する前記低温活性形水素吸蔵合金21、前記高温活性形水素吸蔵合金22及び前記環状空間部12」は、本件発明1の「前記発熱部を収納する収納部を有する過剰熱発生部」に相当する。
甲1発明の「触媒の早期活性化装置」は、本件発明1の「熱エネルギー発生装置」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明とは、次の一致点で一致し、相違点1-3で相違する。
〔一致点〕
「車両に搭載されるエンジンから排気された排ガスに含まれる排熱を輸送する排熱輸送部と、
加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する発熱材料からなる発熱部と、前記発熱部を収納する収納部を有する過剰熱発生部と、
を備える熱エネルギー発生装置。」
〔相違点1〕
本件発明1は、「前記排熱輸送部で輸送される前記排熱の熱流量を制御する熱流量制御部」を有するのに対し、甲1発明1は、かかる構成を有しているか不明な点。
〔相違点2〕
「加熱された状態」について、本件発明1は、「前記排熱によって加熱され」ているのに対し、甲1発明は、「電気ヒータ23によって加熱され」ていること。
〔相違点3〕
本件発明1は、「前記排ガスを前記過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温させる加熱部」を有するのに対し、甲1発明1は、かかる構成を有しているか不明な点。
特許異議申立書では、相違点2及び3について、それぞれ以下のとおり主張している。
相違点2:本件特許発明1には、「1C 前記排熱によって加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する発熱材料からなる発熱部と、前記発熱部を収納する収納部を有する過剰熱発生部と、」という事項が記載されている。これに対し、甲第1号証には、エンジン1から排気ガスが排気された状態で水素ガスの吸蔵により化学変化し反応熱を発生する水素吸蔵合金5を収容する、内筒3と外筒11とバックアップリング13によって密封された環状空間部12(本件特許発明1の「収納部」に相当)が記載されているが、「過剰熱を発生する発熱材料」は記載されていない点。
相違点3:本件特許発明1には、「1D 前記排ガスを前記過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温させる加熱部と、」という事項が記載されている。これに対し、甲第1号証には、エンジン1が始動すると通電され発熱し、低温活性形水素吸蔵合金21に反応熱を発生させる電気ヒータ23が記載されているが、「過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温 させる加熱部」は記載されていない点。
しかしながら、当審では、上記アの(ア)の記載を踏まえ、上記のとおり相違点2及び3を認定した。
事案に鑑み、相違点3について検討する。
甲1発明の電気ヒータ23は、ガソリン・エンジン1が始動すると通電が開始され、低温活性形水素吸蔵合金21を10℃以上に加熱するものである(段落【0036】を参照)。
そうすると、甲1に記載された電気ヒータ23は、排ガスを昇温させる加熱部ではない。
同様に、甲2に記載の技術事項のヒーターは、発熱装置に配置された発熱材料を加熱するものであり、甲5に記載の技術事項の加熱ヒータは、潜熱蓄熱材16に刺激を与えるものであるから、いずれも排ガスを昇温させる加熱部ではない。
そして、甲3に記載の技術事項の第2の加熱部材35は、排気ガスを加熱するものの、過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで排ガスを昇温させるものではなく、排気ガス温度を、尿素水からアンモニアを得るために適切な温度に制御するもの(段落【0027】を参照)である。
したがって、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1、甲2、甲3及び甲5には記載も示唆もされていない。
また、甲4及び甲6においても、甲4に記載の技術事項及び甲6に記載の技術事項が記載されているものの、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項は、記載も示唆もされていない。
そのため、甲1発明に、甲1-6に記載の技術事項を適用したとしても、上記相違点3に係る本件発明1の構成とすることはできない。
よって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2-6に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立人の理由1に係る主張は採用できない。
(イ) 本件発明2-15について
本件発明1は、上記(ア)のとおり、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件発明1の発明特定事項を全て含む請求項1を直接的又は間接的に引用する本件発明2-15も、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(2)理由2について
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものとされている。
以下、この規範に沿って検討する。
ア 発明の詳細な説明における本件発明1の課題
段落【0004】及び【0005】から、本件発明1が解決しようとする課題は、従来、過剰熱を発生し得る発熱材料を加熱するために、駆動に多くの電力(駆動エネルギー)が消費される加熱装置を用いなければならず、エネルギー効率の観点で改善の余地があったため、過剰熱を発生させる際に消費される機器の駆動エネルギーを極力抑えてエネルギー効率を向上させること、と認められる。
イ 発明の詳細な説明に記載された事項
発明の詳細な説明には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0069】
車両運転時において、排熱源10であるエンジンは通常駆動しており、エンジンからの排ガスGは、エンジン排気管11を通じて内管22および外管21に流通される。この際、熱流量制御部30として機能する遮熱板25は、第2空間23bに排ガスGが流入されるように角度調整されて第2空間23bが開放状態とする。これにより、排ガスGによって輸送された排熱は、収納部42および蓄熱部50に直接的に伝達され、蓄熱部50に徐々に排熱が蓄積される。」
(イ)「【0072】
次に、エンジンをコールドスタートさせる。始動直後のエンジンは、およそ環境温度以下まで冷えているため、暖機されるまでの間、加熱部60を駆動させて排ガスGを補助的に加熱する。
【0073】
また、発熱部41に水素ガスが所定量供給されるように、給排気量制御部43を適宜制御される。これにより、過剰熱発生部40は、活性状態(過剰熱が発生可能な状態)となる。
【0074】
過剰熱発生部40は、収納部42内にガス供給部44からの水素ガスが供給される共に、蓄熱部50に蓄積された熱が、熱伝導によって収納部42に伝達され、発熱部41を構成する発熱材料46が加熱された状態で水素の吸蔵および脱蔵が繰り返し行われて過剰熱を発生する。」
(ウ)「【0076】
従来技術では、エンジン暖機前の状態において、ヒータによって触媒体100を加熱しているため、ヒータ駆動によるエネルギー損失が大きく、過剰熱発生システム全体のエネルギー効率が芳しくなかった。これに対し、本実施形態に係る熱エネルギー発生装置1を用いることにより、排熱源10の排熱を利用して発生した過剰熱で触媒体100を加熱することができる。そのため、加熱部60の駆動は、コールドスタート時のような必要最低限に抑えることができるので、過剰熱発生システム全体のエネルギー効率が向上される。」
ウ 発明の詳細な説明において課題を解決することができると当業者が認識できる範囲
上記イによれば、発明の詳細な説明の記載から、エンジンをコールドスタートさせる場合は、蓄積された排熱によって発熱材料46を加熱するとともに、エンジンが暖機されるまでの間、加熱部60が、排ガスGを補助的に加熱することで、水素ガスが供給される発熱材料46は、過剰熱を発生することができるので、過剰熱を発生させる際に消費される機器の駆動エネルギーを極力抑えてエネルギー効率を向上させるという上記アの課題を解決することができると、当業者が認識し得るものと解される。
エ 特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の記載の比較
請求項1には「前記排ガスを前記過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで前記排ガスを昇温させる加熱部」を備えることが記載されているものの、一方で、「発熱材料からなる発熱部」は、「前記排熱によって加熱された状態で所定の反応ガスとの化学反応によって過剰熱を発生する」と記載されているように、発熱部は、エンジンから排気される排ガスに含まれる排熱により加熱されて、過剰熱を発生することが特定されている。
そうすると、請求項1に記載された熱エネルギー発生装置は、加熱部だけで発熱材料を加熱する場合に比べ、エンジンから排気される排ガスに含まれる排熱を用いて発熱材料を加熱する分、加熱部の駆動に必要なエネルギーは軽減されることは明らかである。
したがって、過剰熱発生部で過剰熱が発生可能な温度まで排ガスを昇温させる加熱部を有する本件発明1が、令和7年3月4日に提出された特許異議申立書の3.(5)具体的理由(理由2)における、発明が解決しようとする課題を解決できない場合を含むとはいえない。
よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されており、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものとはいえない。
オ まとめ
したがって、請求項1-15の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものであり、申立人の理由2に係る主張は採用できない。
6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1-15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1-15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700267