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特許異議申立

2017-700259

ぽん酢醤油調味料

審判番号
2017-700259
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2016-005478
登録番号
特許第5993526号(P5993526)
請求日
2017年03月13日
審決日
2018年06月13日
公報発行日
2018年10月26日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】株式会社Mizkan Holdings
  • 【権利者代理人】特許業務法人平木国際特許事務所
  • 【権利者代理人】平木 祐輔
  • 【権利者代理人】藤田 節
  • 【権利者代理人】深見 伸子
  • 【権利者】株式会社Mizkan
  • 【権利者代理人】特許業務法人平木国際特許事務所
  • 【異議申立人】清水 隆男
  • 【異議申立人代理人】森本 敏明
  • 【異議申立人】番場 大円
審判長/審判官
  • 審判長 田村 嘉章
  • 審判官 佐々木 正章
  • 審判官 山崎 勝司
分類
P1651.113-ZDA(A23L) / P1651.121-ZDA(A23L) / P1651.537-ZDA(A23L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条6項2号特許法113条2号特許法113条4号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5993526号発明「ぽん酢醤油調味料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5993526号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕、7について訂正することを認める。 特許第5993526号の請求項3~6に係る特許を取り消す。 同請求項1、2、7に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5993526号の請求項1~7に係る特許についての出願は、平成28年1月14日の出願であって、平成28年8月26日に特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人清水隆男(平成29年3月13日)及び番場大円(平成29年3月14日)よりそれぞれ特許異議の申立てがされ、平成29年8月1日付けで取消理由が通知され、平成29年9月29日に意見書の提出及び訂正の請求がされ、平成29年11月8日に特許異議申立人清水隆男から、平成29年11月13日に特許異議申立人番場大円から、それぞれ意見書の提出がされ、その後平成30年2月5日付けで取消理由(決定の予告を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何ら応答がなかったものである。 第2 訂正の請求についての判断 1 訂正の内容 平成29年9月29日の訂正請求書による訂正の請求は、「特許第5993526号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求める。」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。 (訂正事項1) 特許請求の範囲の請求項1及び7に「(a)p-シメン:0.0006~4.0ppm」とあるのを、「(a)p-シメン:0.001~0.100ppm」に訂正する。 (訂正事項2) 特許請求の範囲の請求項2に「カリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の質量比(K/N)が0.03~0.5」とあるのを、「カリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の質量比(K/N)が0.03~0.48」に訂正する。 (訂正事項3) 特許請求の範囲の請求項3に「解離型酢酸濃度が0.002~1.0質量%である、請求項1または2に記載のぽん酢醤油調味料。」とあるのを、「解離型酢酸濃度が0.0560~1.0質量%であり、柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料であって、該調味料中の成分(a)~(e)の含有量が以下の範囲であることを特徴とする、ぽん酢醤油調味料(ただし、0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除く)。 (a)p-シメン:0.0006~4.0ppm (b)カリウムイオン:0.02~5.0質量% (c)ナトリウムイオン:0.5~4.0質量% (d)酢酸:0.5~3.5質量% (e)クエン酸:0.2~4.5質量%」に訂正する。 (訂正事項4) 特許請求の範囲の請求項4及び5に「ぽん醤油調味料」とあるのを、「ぽん酢醤油調味料」に訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 上記訂正事項1は、p-シメンの含有量について、訂正前の「0.0006~4.0ppm」から、訂正後の「0.001~0.100ppm」へと、その範囲を狭めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項1は、本件特許明細書の段落【0022】に「本発明の調味料においてp-シメンの含有量は、0.0006~4.0ppm、・・・、さらに好ましくは0.001~0.1ppm、・・・である。」と記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 上記訂正事項2は、カリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の質量比(K/N)について、訂正前の「0.03~0.5」から、訂正後の「0.03~0.48」へと、その範囲を狭めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項2は、本件特許明細書の段落【0059】の表1-2の試験No.5にカリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の質量比(K/N)が「0.48」のものが記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 上記訂正事項3は、請求項間の引用関係を解消すると共に、請求項1を引用するものに限定し、解離型酢酸濃度について、訂正前の「0.002~1.0質量%」から、訂正後の「0.0560~1.0質量%」へと、その範囲を狭め、また、ぽん酢醤油調味料として、「0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除く」ものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び第4号に規定する他の請求項を引用する請求項を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項3は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項3は、本件特許明細書の段落【0059】の表1-2の試験No.10に解離型酢酸濃度が「0.0560」のものが記載されており、ぽん酢醤油調味料から、単に0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除くものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 上記訂正事項4は、「ぽん醤油調味料」が「ぽん酢醤油調味料」であることの誤記を訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 上記訂正事項4は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 上記訂正事項4は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1等に「ぽん酢醤油調味料」が記載されているから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第5項に適合するものである。 (5)一群の請求項について 訂正前の請求項1~6は、請求項2~6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。 したがって、本件訂正は、一群の請求項ごとにされたものである。 (6)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~6〕、7についての訂正を認める。 第3 本件特許発明 上記のとおり本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~7に係る発明(以下「本件発明1~7」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された以下の事項により特定される、次のとおりのものである。 「【請求項1】 柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料であって、該調味料中の成分(a)~(e)の含有量が以下の範囲であることを特徴とする、ぽん酢醤油調味料。 (a)p-シメン:0.001~0.100ppm (b)カリウムイオン:0.02~5.0質量% (c)ナトリウムイオン:0.5~4.0質量% (d)酢酸:0.5~3.5質量% (e)クエン酸:0.2~4.5質量% 【請求項2】 カリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の合計が0.5~6.0質量%であって、カリウムイオンとナトリウムイオンの含有量の質量比(K/N)が0.03~0.48である、請求項1に記載のぽん酢醤油調味料。 【請求項3】 解離型酢酸濃度が0.0560~1.0質量%であり、柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料であって、該調味料中の成分(a)~(e)の含有量が以下の範囲であることを特徴とする、ぽん酢醤油調味料(ただし、0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除く)。 (a)p-シメン:0.0006~4.0ppm (b)カリウムイオン:0.02~5.0質量% (c)ナトリウムイオン:0.5~4.0質量% (d)酢酸:0.5~3.5質量% (e)クエン酸:0.2~4.5質量% 【請求項4】 クエン酸と酢酸の含有量の質量比(クエン酸/酢酸)が0.2~10.0である、請求項1~3のいずれかに記載のぽん酢醤油調味料。 【請求項5】 ロイシンの含有量が0.03~0.5質量%である、請求項1~4のいずれかに記載のぽん酢醤油調味料。 【請求項6】 pHが1.9~4.5である、請求項1~5のいずれかに記載のぽん酢醤油調味料。 【請求項7】 柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料に、成分(a)~(e)を以下の範囲で含有させることを特徴とする、ぽん酢醤油調味料のヒネ臭の抑制方法。 (a)p-シメン:0.001~0.100ppm (b)カリウムイオン:0.02~5.0質量% (c)ナトリウムイオン:0.5~4.0質量% (d)酢酸:0.5~3.5質量% (e)クエン酸:0.2~4.5質量%」 第4 当審の判断 1 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 平成29年8月1日付け取消理由通知の概要は、以下のとおりである。 以下、特許異議申立人清水隆男による平成29年3月13日付け特許異議申立を「異議申立1」といい、特許異議申立人番場大円による平成29年3月14日付け特許異議申立を「異議申立2」という。 ア 特許法第29条第1項第3号、第2項について 引用例1:特開2014-147366号公報(異議申立1の甲第1号証) 引用例2:「七訂 食品成分表 2016」、女子栄養大学出版部、2016年4月1日発行、p.90、156、214-219(異議申立1の甲第2号証) 引用例3:製品情報、[online]、富田製薬株式会社ウェブサイト、[平成29年3月7日検索]、インターネット<URL:http://www.tomitaph.co.jp/products/food/index3.html>(異議申立1の甲第3号証) 引用例4:よくあるご質問 栄養成分について、[online]、日本うま味調味料協会ウェブサイト、[平成29年3月7日検索]、インターネット<URL:https://www.umamikyo.gr.jp/qanda/nutrition.html>(異議申立1の甲第4号証) 引用例5:業務用商品 高酸度酢<HA-100>、[online]、マルカン酢株式会社ウェブサイト、[平成29年3月7日検索]、インターネット<URL:http://www.marukan.com/pages/jyozou/179.html>(異議申立1の甲第5号証) 引用例6:伊藤 三郎編、「シリーズ<食品の科学> 果実の科学」、株式会社朝倉書店、1991年10月30日発行、p.64、65、142、143(異議申立1の甲第6号証) 引用例7:Moufida Saidani Tounsi 他7名、「Juice components and antioxidant capacity of four Tunisian Citrus varieties」、JSci Food Agric、2011年、91、p.142-151(異議申立1の甲第7号証) 引用例8:下村 吉治、「クエン酸もしくはレモン果汁摂取による運動後の血中乳酸消去の促進」、ビタミン広報センター、2001年11月、No.104(異議申立1の甲第8号証) 引用例9:「五訂増補 調理のためのベーシックデータ」、女子栄養大学出版部、2008年2月発行、p.121(異議申立1の甲第9号証) 引用例10:北迫 勇一、「酸蝕症の病態と臨床対応」、日補綴会誌、2015年、7巻、2号、p.142~147 (異議申立1の甲第10号証) 引用例11:川上 文代、「たれとソースの早引き便利帳」、株式会社青春出版社、2004年3月15日発行、p.24、25(異議申立2の甲第1号証) 引用例12:特開2009-27974号公報(異議申立2の甲第2号証) 引用例13:特開2001-299263号公報(異議申立2の甲第3号証) 引用例14-1:計量スプーンや計量カップの容量と重さとの関係、[online]、農林水産省ホームページ、インターネット<URL:http://www.maff.go.jp/j/fs/diet/table/spoon.html>(異議申立2の甲第4-1号証) 引用例14-2:異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の日本農林規格、[online]、農林水産省ホームページ、インターネット<URL:http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000986.html>(異議申立2の甲第4-2号証) 引用例15:「七訂 食品成分表 2017」、女子栄養大学出版部、2017年2月25日発行、p.88、89、90、91、110、111、122、123、156、157、210、211、214-217、384(異議申立2の甲第5号証) 引用例16:昆布講座 9.だしのとり方、[online]、株式会社くらこんウェブサイト、インターネット<URL:https://www.kurakon.jp/ency_kombu/10.html>(異議申立2の甲第6号証) 引用例17:Moufida Saidani Tounsi 他7名、「Juice components and antioxidant capacity of four Tunisian Citrus varieties」、JSci Food Agric、2011年、91、p.142-151(異議申立2の甲第7号証、引用例7と同じであるが、取消理由と引用例との対応関係を明確とするために再掲した。) 引用例18:筬島 豊 他3名、「かんきつ酢(酸用果汁)の分析化学的研究」、学芸雑誌、1971年11月、25巻、3・4号、p.155~162(異議申立2の甲第8号証) 引用例19:余 小林 他2名、「産地別ユズ果汁の糖、有機酸およびアスコルビン酸含量の高速液体クロマトグラフィーによる分析」、園学雑、2004年、73巻、3号、p.293~298(異議申立2の甲第9号証) 引用例20:三宅 義明 他5名、「ヒトにおけるレモン果汁およびクエン酸摂取が運動後の血中乳酸濃度に及ぼす影響」、日本栄養・食糧学会誌、2001年、54巻、1号、p.29~33(異議申立2の甲第10号証) 引用例21:Nguyen Thi Lan Phi 他1名、「Characteristic Aroma Composition Profile of Mature Stage Citrus junos(Yuzu) Peel Oil from Different Origins」、Food Sci.Technol.Res、2008年、14巻、4号、p.359-366(異議申立2の甲第11号証) 引用例22:酢酸、[online]、Wikipediaホームページ、インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%A2%E9%85%B8>(異議申立2の甲第12号証) 引用例23:業務用商品ご案内、ヒガシマル醤油株式会社、2015年1月発行(異議申立2の甲第13号証) 引用例24:奈賀 俊人 他1名、「PETボトル詰柑橘果汁の光劣化異臭」、東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書、2009年、27、p.65~69(異議申立2の甲第14号証) (ア)本件発明1及び3~7は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 (イ)本件発明1~7は、引用例1に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 (ウ)本件発明1~6は、引用例11、12又は13に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。 (エ)本件発明1~6は、引用例11~24に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 イ 特許法第36条第6項2号について 本件発明1~6は、以下の理由により、不明確であるから、その特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない出願に対してされたものである。 (理由)p-シメンの配合量は保存中に刻々と変化していくものと考えられるが、本件発明1~6のp-シメンの含有量は、どの時点での含有量を特定しているのか明らかでないから、不明確である。 ウ 特許法第36条第6項1号について 本件発明1~6は、以下の理由により、発明の詳細な説明に記載した範囲内のものでないから、その特許は、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない出願に対してされたものである。 (理由)p-シメンの配合量は保存中に刻々と変化していくものと考えられるが、本件特許明細書の実施例及び比較例のp-シメンの含有量と本件発明1~6で特定されるp-シメンの含有量との関係が明らかでないから、本件発明1~6が、課題を解決できることが発明の詳細な説明の記載からは、認識できない。したがって、本件発明1~6は発明の詳細な説明に記載されたものでない。 (2)取消理由についての判断 ア 特許法第29条第1項第3号、第2項について ア-1 本件発明1について (ア)引用例1、11、12又は13に記載された発明 A 引用例1に記載された発明 引用例1の試験品9(【0034】)には、以下の発明が記載されている。 「減塩醤油 210.0ml、食塩 17.0g、塩化カリウム 50.0g、グルタミン酸ナトリウム 15.0g、昆布だし汁 350.0ml、鰹節エキス5.0g、エタノール 1.0ml、醸造酢 100.0ml、ゆず果汁(ストレート) 20.0ml、レモン果汁(ストレート) 35.0g、水248.4mlからなるぽん酢醤油。」(引用発明1-1) 「減塩醤油 210.0ml、食塩 17.0g、塩化カリウム 50.0g、グルタミン酸ナトリウム 15.0g、昆布だし汁 350.0ml、鰹節エキス5.0g、エタノール 1.0ml、醸造酢 100.0ml、ゆず果汁(ストレート) 20.0ml、レモン果汁(ストレート) 35.0g、水248.4mlからなるぽん酢醤油の製造方法。」(引用方法発明1-1) また、試験品10(【0034】)には、以下の発明が記載されている。 「減塩醤油 210.0ml、食塩 17.0g、塩化カリウム 50.0g、グルタミン酸ナトリウム 15.0g、昆布だし汁 350.0ml、鰹節エキス5.0g、エタノール 1.0ml、醸造酢 100.0ml、ゆず果汁(ストレート) 30.0ml、レモン果汁(ストレート) 52.5g、水220.9mlからなるぽん酢醤油。」(引用発明1-2) 「減塩醤油 210.0ml、食塩 17.0g、塩化カリウム 50.0g、グルタミン酸ナトリウム 15.0g、昆布だし汁 350.0ml、鰹節エキス5.0g、エタノール 1.0ml、醸造酢 100.0ml、ゆず果汁(ストレート) 30.0ml、レモン果汁(ストレート) 52.5g、水220.9mlからなるぽん酢醤油の製造方法。」(引用方法発明1-2) B 引用例11に記載された発明 引用例11には、以下の発明が記載されている。 「だいだいの搾り汁 大さじ3、酢 大さじ3、しょう油 大さじ5、みりん 大さじ1、昆布(粗切り) 1/8カップ(5cm角)、削り節 1/4カップ(5g)からなるポン酢しょう油。」(引用発明11) C 引用例12に記載された発明 引用例12の試験品1(【0065】)には、以下の発明が記載されている。 「食塩 0.30、上白糖 60.00、グルタミン酸ナトリウム 4.00、イノシン酸2ナトリウム 0.50、醤油(減塩) 230.00、食酢(msv310) 125.00、ゆず果汁(ストレート) 20.00、レモン(ストレート) 50.00、塩化カリウム 19.20 アスパラギン酸ナトリウム 6.30、かつお節調味料 10.00、調味料(蛋白加水分解物) 120.00、90%乳酸 1.00、クエン酸 5.00、エタノール 3.00、水 345.70からなるポン酢醤油。」(引用発明12-1) また、試験品4(【0065】)には、以下の発明が記載されている。 「食塩 18.61、上白糖 60.00、グルタミン酸ナトリウム 4.00、イノシン酸2ナトリウム 0.50、醤油(減塩) 230.00、食酢(msv310) 125.00、ゆず果汁(ストレート) 20.00、レモン(ストレート) 50.00、塩化カリウム 19.20 アスパラギン酸ナトリウム 6.30、かつお節調味料 10.00、調味料(蛋白加水分解物) 120.00、90%乳酸 1.00、クエン酸 5.00、エタノール 3.00、水 327.39からなるポン酢醤油。」(引用発明12-2) D 引用例13に記載された発明 引用例13の実施例1(【0013】~【0015】)には、以下の発明が記載されている。 「食酢(酸度:4%) 20.0%、醤油 20.0%、ブドウ糖果糖液糖 15.0%、約2mmの大きさのゆず果皮粉砕物(生) 5.0%、ゆず果汁 5.0%、みりん 3.0%、食塩 1.5%、煮干しエキス(固形分:95%) 0.6%、キサンタンガム 0.1%、清水で 100.0%であるpH3.9の酸性液体調味料。」(引用発明13) (イ)対比 本件発明1と引用発明1-1、1-2、11、12-1、12-2又は13とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点1> 本件発明では、「(a)p-シメン:0.001~0.100ppm」含有するのに対して、引用発明1-1、1-2、12-1、12-2、13では、ゆず果汁を、引用発明11では、だいだいの搾り汁を含有しており、p-シメンを含有するものの、p-シメンの含有量が明確でない点。 (ウ)当審の判断 乙第1号証(澤村正義、「香り選書7 ユズの香り -柚子は日本が世界に誇れる柑橘-」、フレグランスジャーナル社、平成20年11月25日)には、33頁の5~6行に「果汁中の精油含量は実生で0.87%、接木で0.62%でありました。」、53頁の「表3 ユズ精油組成」には、「p-シメン 0.61%」と記載されており、ゆず果汁にp-シメンが37~53ppm程度含まれていることが記載されている。 引用例1、12、13において用いる「ゆず果汁」は、その採取時期や搾汁方法等が記載されていないことから、一般的なゆず果汁と考えられるところ、乙第1号証のゆず果汁中のp-シメン含有量から各引用発明のp-シメン含有量を算出すると、引用発明1-1では0.74~1.59ppm、引用発明1-2では1.11~2.65ppm、引用発明12-1、12-2では0.74~1.06ppm、引用発明13では1.85~2.65ppm含有していることとなり、本件発明1より少なくとも数倍多くのp-シメンを含有している。 そうすると、相違点1は、実質的な相違点であるから、本件発明1が引用発明1-1、1-2、12-1、12-2又は13であるとはいえない。また、引用発明1-1、1-2、12-1、12-2又は13において、引用例1~24を参酌しても、p-シメンの含有量を少なくする動機付けはないから、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることを当業者が容易に想到し得たとはいえない。 また、引用例11において用いる「だいだいの搾り汁」は、その採取時期や搾汁方法等が記載されていないことから、一般的なだいだい果汁と考えられるところ、引用例17のTable2には、だいだい果汁(Bitter orrange)に占めるアロマ成分の合計量が6.34±3.2μg/mlで、アロマ成分中のp-シメンの配合割合が1.11±0.01%と記載されているから、だいだい果汁中のp-シメン含有量は0.03454~0.106848ppmであり、乙第3号証(Moufida S. 他1名、「Biochemical characterization of blood orange、sweet orange、lemon、bergamot and bitter orange、Phytochemistry 62、2003年、p.1283-1289)のTable2.には、だいだい果汁(Bitter orrange)に0.937ppmのp-シメンが含有すると記載されている。 そうすると、だいだい果汁中のp-シメン含有量は、引用例17と乙3号証とで約9~27倍異なる数値であり、天然物である柑橘果汁に含まれるp-シメン含有量が、その搾汁方法や収穫時期の違いによって大きく変動することが技術常識(乙第1号証、乙第2号証:三宅正起 外3名、「ジャバラとユズの搾汁と品質特性について」、日本食品工業学会誌、1990年、Vol.37、No.5、p.346~354参照。)であることを考慮すると、引用例17又は乙第3号証が、一般的なだいだい果汁中のp-シメン含有量を示しているとの証拠もないから、一般的なだいだい果汁中のp-シメン含有量が、引用例17であるとも、乙第3号証であるともいえない。 ゆえに、一般的なだいだい果汁中のp-シメン含有量は不明であるから、相違点1は、実質的な相違点である。 そして、引用発明11において、引用例1~24を参酌しても、p-シメンの含有量を0.001~0.100ppmとなるようにだいだい果汁を調整する動機付けはない。 ここで、異議申立人清水隆男は、本件特許明細書の試験No.9のデータのゆず果汁含有量 7重量%、p-シメン濃度 0.464ppm(ゆず果汁中のp-シメン含有量 6.63ppm)に基づいて、引用発明1-1及び1-2のp-シメン含有量を算出すると、引用発明1-1では0.13ppmであり、引用発明1-2では、0.20ppmであり、本件発明1の上限である「0.100ppm」には、この数値を境界として本件発明の課題解決の可否が決まるといった特段の事情はないから、引用発明1-1又は1-2において、p-シメン含有量を「0.100ppm」とすることは、単なる設計変更でしかない旨主張する(平成29年11月8日付け意見書6頁2行~8頁7行)。 しかし、ゆず果汁に含まれるp-シメン含有量は、収穫時期、成熟度、搾汁方法等によって大きく異なることが技術常識であるところ(乙第1号証、乙第2号証)、引用発明1-1及び1-2で用いたゆず果汁が、本件特許明細書の試験No.9で用いたゆず果汁と同じp-シメン含有量のものであるとする証拠はなく、また、仮にそれが同程度のp-シメン含有量のものであるとしても、引用発明1-1及び1-2のp-シメン含有量の範囲外であり、そのp-シメン含有量を調整する動機付けがないことは、既に示したとおりである。 したがって、異議申立人清水隆男の上記主張は採用できない。 (エ)小括 上記のとおりであるから、本件発明1は、引用発明1-1、1-2、11、12-1、12-2又は13であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるとはいえないし、引用発明1-1、1-2、11、12-1、12-2又は13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるともいえない。 ア-2 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付与したものであるから、上記ア-1で検討したのと同じ理由により、引用発明11、12-1、12-2又は13であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるとはいえないし、引用発明1-1、1-2、11、12-1、12-2又は13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるともいえない。 ア-3 本件発明3について (ア)引用発明13について 引用発明13は、ゆず果汁、食酢(酸度:4%)及び醤油を含む酸性液体調味料であるから、柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料と表現できるものであり、その含まれる各成分は以下のとおりである。 <p-シメン含有量> 引用発明13は、ゆず果汁 5.0%を含有し、乙第1号証によると、一般的なゆず果汁はp-シメンを37~53ppm含んでいるから、引用発明13はp-シメンを1.85~2.65ppm含んでいる。 <カリウムイオン含有量> 引用発明13は、食酢(酸度:4%) 20.0%、醤油 20.0%、ゆず果皮粉砕物(生) 5.0%、ゆず果汁 5.0%、みりん 3.0%、食塩 1.5%、煮干しエキス(固形分:95%) 0.6%を含有するから、醤油が「濃口醤油」、「薄口醤油」、食酢が「米酢」、「穀物酢」の場合を勘案して、引用例15から、これらに含まれるカリウムイオンの含有量を算出すると、カリウムイオン含有量は、0.132~0.148質量%である。 <ナトリウムイオン含有量> 引用発明13は、食酢(酸度:4%) 20.0%、醤油 20.0%、ゆず果皮粉砕物(生) 5.0%、ゆず果汁 5.0%、みりん 3.0%、食塩 1.5%、煮干しエキス(固形分:95%) 0.6%を含有するから、醤油が「濃口醤油」、「薄口醤油」、食酢が「米酢」、「穀物酢」の場合を勘案して、引用例15から、これらに含まれるナトリウムイオンを算出すると、ナトリウムイオン含有量は、1.799~1.92質量%である。 <酢酸含有量> 引用発明13は、食酢(酸度:4%) 20.0%を含有するから、酢酸含有量は、0.8質量%である。 <クエン酸含有量> 引用発明13は、ゆず果汁 5.0%を含有するから、引用例19から、含まれるクエン酸を算出すると、クエン酸含有量は、0.204質量%である。 <解離型酢酸濃度> 引用発明13は、pH3.9で、酸度(酢酸含有量)4%であるから、解離酢酸濃度は、本件特許明細書の【0035】~【0038】に基づき算出すると、0.0970である。 (イ)対比 本件発明3と引用発明13とを対比すると、以下の点で一致し、以下の点で相違する。 <一致点> 「解離型酢酸濃度が0.0560~1.0質量%であり、柑橘果汁、食酢、及び醤油を含有するぽん酢醤油調味料であって、該調味料中の成分(a)~(e)の含有量が以下の範囲であることを特徴とする、ぽん酢醤油調味料。 (a)p-シメン:0.0006~4.0ppm (b)カリウムイオン:0.02~5.0質量% (c)ナトリウムイオン:0.5~4.0質量% (d)酢酸:0.5~3.5質量% (e)クエン酸:0.2~4.5質量%」 <相違点2> 本件発明3は、「ただし、0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除く」のに対して、引用発明13では、「約2mmの大きさのゆず果皮粉砕物(生) 5.0%」含有している点。 (ウ)当審の判断 上記相違点2について検討するに、引用例13の【0007】には、「これら粉砕物の大きさは、0.5~7mmが好ましく、1~5mmがさらに好ましい。粉砕物の大きさが0.5mmより小さいと経時的に柑橘類の香りと風味が弱くなり易く、一方、7mmより大きいと、食感が悪いばかりか、上記範囲にある粉砕物を同量含有させたものと比較し、柑橘類の香りと風味が弱く好ましくない。」と記載されているが、当該記載は、好適な範囲を例示しているにすぎないと解され、引用発明13において、例えば、舌触り等の観点から、ゆず果皮粉砕物をより細かく、すなわち0.5mm未満とすることは当業者が必要に応じて適宜なし得たことである。 そして、本件発明3の保存中のヒネ臭や加熱殺菌による劣化臭の発生の抑制の効果は、p-シメン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、酢酸及びクエン酸の含有量を特定の範囲に調整することで奏するものであるから(本件明細書【0008】)、引用発明13も同様の効果を奏することは明らかである。 (エ)小括 上記のとおりであるから、本件発明3は、引用発明13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 ア-4 本件発明4について 引用発明13のクエン酸と酢酸の含有量の質量比(クエン酸/酢酸)は、0.255である。 本件発明4と引用発明13とを対比すると、上記相違点2の点で相違し、その余の点で一致する。 そして、上記相違点2については、上記ア-3(ウ)と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得たことであり、本件発明4は、引用発明13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 ア-5 本件発明5について 引用発明13は、醤油 20.0%、みりん 3.0%を含有するから、醤油が「濃口醤油」、「薄口醤油」の場合を勘案して、引用例15から、これらに含まれるロイシンを算出すると、ロイシン含有量は、0.1106~0.0866質量%である。 本件発明5と引用発明13とを対比すると、上記相違点2の点で相違し、その余の点で一致する。 そして、上記相違点2については、上記ア-3(ウ)と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得たことであり、本件発明5は、引用発明13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 ア-6 本件発明6について 本件発明6と引用発明13とを対比すると、上記相違点2の点で相違し、その余の点で一致する。 そして、上記相違点2については、上記ア-3(ウ)と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得たことであり、本件発明6は、引用発明13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 ア-7 本件発明7について 本件発明7と引用方法発明1-1、1-2とを対比すると、少なくとも以下の点で相違する。 <相違点3> 本件発明7では、「(a)p-シメン:0.001~0.100ppm」含有するのに対して、引用方法発明1-1、1-2では、ゆず果汁を含有しており、p-シメンを含有するものの、p-シメンの含有量が明確でない点。 上記相違点3については、上記相違点1と実質的に同じであるから、上記ア-1(ウ)と同様の理由により、本件発明7は、引用方法発明1-1、1-2であるとはいえないから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるとはいえないし、引用方法発明1-1、1-2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるともいえない。 イ 特許法第36条第6項2号について 本件特許明細書の【0051】~【0052】には、ぽん酢醤油調味料におけるp-シメンの含有量の測定方法が記載されており、当業者であれば、ぽん酢醤油調味料中のp-シメンの含有量が、その測定方法により特定できることが理解できる。 そうすると、本件発明1の「ぽん酢醤油調味料」が「(a)p-シメン:0.001~0.100ppm」含有することは、p-シメンの配合量が保存中に刻々と変化していくとしても、明確に把握できる。 したがって、本件発明1の「(a)p-シメン:0.001~0.100ppm」は明確であり、同様に本件発明2~6のp-シメンの含有量も明確であるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえない。 ウ 特許法第36条第6項1号について 上記イに示したように、p-シメン含有量に係る特定は明確であるから、本件特許明細書の【0051】~【0052】のぽん酢醤油調味料において、p-シメンの含有量と官能評価との関係は明確であり、当業者であれば、本件発明1~6が本件発明の課題を解決できることは理解できる。 したがって、本件発明1~6は、発明の詳細な説明に記載した範囲内のものであるから、本件発明1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるとはいえない。 2 訂正により新たに生じた取消理由について 一般に粒子径の大きさは、短軸径、長軸径等種々の大きさの定義が存在するところ、本件発明3の「ただし、0.5mm以上7mm以下の大きさの柑橘類の果皮粉砕物を生換算で0.5%~10%含有するものを除く」との記載は、柑橘類の果皮粉砕物の大きさについて、本件特許明細書には計測手法が記載されておらず、どのような大きさの果皮粉砕物について特定されているのか明確でない。 したがって、本件発明3及び本件発明3を引用する4~6は、不明確であるから、その特許は、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない出願に対してされたものである。 第5 むすび 以上のとおり、本件発明3~6は、引用発明13に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、また、本件発明3~6は、不明確であるから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないものである。 したがって、本件発明3~6に係る特許は、特許法第113条第2号及び第4号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明1、2、7に係る特許については、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1、2、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700259

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