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特許異議申立

2017-700134

眼科解析装置及びプログラム

審判番号
2017-700134
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2012-019306外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月15日
審決日
2018年04月12日
公報発行日
2018年09月28日
結論
請求成立(取消)
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.113-ZDA(A61B) / P1651.121-ZDA(A61B) / P1651.536-ZDA(A61B) / P1651.537-ZDA(A61B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5970833号発明「眼科解析装置及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5970833号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、4、5について訂正することを認める。 特許第5970833号の請求項4に係る特許を取り消す。 同請求項1、5に係る特許を維持する。 同請求項2及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第5970833号の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成28年7月22日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年2月15日付けで特許異議申立人齋藤 貴広(以下、「申立人」という。)より請求項1~5に対して特許異議の申立てがされ、平成29年4月21日付けで取消理由が通知され(以下、「取消理由通知」という。)、同年6月20日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年8月29日に申立人から意見書が提出され、同年11月17日付けで取消理由通知(決定の予告)(以下、「決定の予告」という。)がされ、平成30年1月19日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年3月22日に申立人から意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容(以下、下線部は訂正箇所を示す。) 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1~5を以下の事項により特定されるとおりの請求項1~5として訂正することを請求する(訂正事項1~10)。 「【請求項1】 被検眼の正面像を取得するための正面像取得手段と、 被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段と、 前記正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示するための表示手段と、 操作入力手段と、 前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段と、 を備え、 前記演算制御手段は、 前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示し、 前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて、前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータを、前記被検眼の解析に関する所定のパラメータとして算出することを特徴とする眼科解析装置。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 被検眼の正面像を取得するための正面像取得手段と、 被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段と、 前記正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示するための表示手段と、 操作入力手段と、 前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて前記正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段と、を備え、 前記演算制御手段は、前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準として互いに直交する断層像を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示することを特徴とする眼科解析装置。 【請求項5】 正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示手段に表示するステップと、 操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示するステップであって、前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示するステップと、 前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて、前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータを、前記被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するステップと、 をコンピュータに実行させることを特徴とする眼科解析プログラム。」 特許権者は、明細書の段落【0008】を以下のとおりの段落【0008】として訂正することを請求する(訂正事項11~13)。 「【0008】 (1) 本開示の第1態様に係る眼科解析装置は、 被検眼の正面像を取得するための正面像取得手段と、 被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段と、 前記正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示するための表示手段と、 操作入力手段と、 前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段と、 を備え、 前記演算制御手段は、 前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層上を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示し、 前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて、前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータを、前記被検眼の解析に関する所定のパラメータとして算出することを特徴とする。 (2) 本開示の第2態様に係る眼科解析装置は、 被検眼の正面像を取得するための正面像取得手段と、 被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段と、 前記正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示するための表示手段と、 操作入力手段と、 前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて前記正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段と、を備え、 前記演算制御手段は、前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準として互いに直交する断層像を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示することを特徴とする。 (3) 本開示の第3態様に係る眼科解析プログラムは、 正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示手段に表示するステップと、 操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示するステップであって、前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示するステップと、 前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて、前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータを、前記被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するステップと、 をコンピュータに実行させることを特徴とする。」 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1~10は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項11は、請求項1を訂正する訂正事項1~4に対応し、訂正事項12は、請求項4を訂正する訂正事項7に対応し、訂正事項13は、請求項5を訂正する訂正事項8~10に対応して、【課題を解決するための手段】の項の記載と特許請求の範囲との整合を図るものであるから、明細書の段落【0008】に関する訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正前の請求項1~3は、請求項2及び3が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。 3 小括 したがって、上記訂正請求による訂正事項1~13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕、4、5及び明細書の段落【0008】について訂正を認める。 第3 当審の判断 1 訂正後の請求項1ないし5に係る発明 上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1~5」という。)は、上記第2の1 訂正の内容において示したとおりのものである。 2 決定の予告で通知した取消理由について (1)取消理由の概要 決定の予告で通知した取消理由は、 平成29年6月20日付けの訂正請求において訂正された訂正後の請求項1、2、4及び5に係る特許は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、平成29年6月20日付けの訂正請求において訂正された訂正後の請求項1、2、4及び5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、平成29年6月20日付けの訂正請求において訂正された訂正後の請求項1、2、4及び5に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、平成29年6月20日付けの訂正請求において訂正された訂正後の請求項3に係る特許については、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に平成29年6月20日付けの訂正請求において訂正された訂正後の請求項3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 というものである。 (2)刊行物に記載された事項 ア 甲第1号証に記載された事項 決定の予告において引用した甲第1号証(RTVue Model-RT100 User’s Manual Version3.0 (Optvue 社))には、以下の事項が記載されている。 (甲1a)「The RTVue is an optical coherence tomography system indicated for the in vivo imaging and measurement of the retina, retinal nerve fiber layer, and optic disc as an aid in the diagnosis and management of retinal diseases.」(第1-1頁第23-25行、当審訳:「RTVueは、網膜患者の診断及び管理における支援として網膜、網膜神経線維(RNFL)、及び視神経乳頭のin vivoでの撮影及び測定に適応される光コヒーレンストモグラフィシステムである。」) (甲1b)「2 Instrument Description 2.1 RTVue System Configuration; The RTVue system is shipped in one paletted box, which contains the following hardware: 1. RTVue Scanner: This is the main component of the RTVue system. It is used to view and scan the patient's retina, collect the OCT signal, and send it to the computer for processing. It also provides a fixation light target on which the patient can fixate during the scan, as well as a position sensor for automatic detection of whether the left or right eye is aligned for scanning. Communication between the scanner and computer is achieved via a USB cable connection. The RTVue uses a medical-grade power supply. 2. Computer: The computer is used to control the scanner during the patient examination. The application software provides data analysis, presentation, and data storage and archiving. A relational database is included to organize all patient information and data, as well as to allow for search capability. 3. System Table: The system table provides power to the RTVue scanner, computer, and computer display through a medical-grade isolation transformer to prevent leakage current from main AC power. The table elevation can be adjusted to fit patient height. The telescopic lift that supplies the power of the RTVue system is medical grade. 4. Monitor (Computer Display): A 17" LCD flat panel display for graphic user interface and data presentation. 5. Keyboard and Mouse System Configuration; Model: RT100-1: 110V AC. Model: RT100-2: 230V AC」(第2-1頁第2-30行、当審訳:「2 機器説明 2.1 RTVeuシステム構成 RTVueシステムは、以下のハードウェアを含む1つのパレットボックスで出荷される。 1.RTVueスキャナ: これは、RTVueシステムの主要な構成要素である。これは、患者の網膜を観察してスキャンし、OCT信号を収集し、処理を行うコンピュータへそれを送信するために用いられる。(中略) 2 .コンピュータ: コンピュータは、患者の検査中にスキャナを制御するために用いられる。アプリケーションソフトウェアは、データの解析、提示、及びデータの記憶とアーカイブを提供する。(中略) 3 .システムテーブル: (中略) 4 .モニタ(コンピュータディスプレイ) グラフィックユーザインターフェイス及びデータ表示のための17インチ液晶フラットパネル。 5 .キーボード、マウス (略)」) (甲1c)「第2-2頁の図 」 (甲1d)「6.4.3 3D Macula Presentation 」(第6-5頁図6.4.3、当審訳:「3次元黄斑の表示」) (甲1e)「・ Red line: Position of vertical B-scan. ・ Green line: Position of horizontal B-Scan. ・・・ ・ Clicking anywhere in the SLO image in the upper left will automatically section the 3D presentation and B-Scan slice to the corresponding cross section.」(第6-15頁第1-14行、当審訳「・ 赤線:垂直B-スキャンの位置 ・ 緑線:水平B-スキャンの位置 (中略) ・ 左上のSLO画像の任意の場所をクリックすると、断面に対応する 三次元表示の断面図とB-スキャン断面の断面図を自動的に描く。」) (甲1f)「 Macular thickness values and retinal cross sectional images can be seen by moving the mouse cursor around the macular color-coded map. The grid shows the MM5 scan pattern (scans indicated in white). The horizontal and vertical cross section image will be displayed corresponding to the red color highlighted scan lines. The thickness and coordinates at the tip of the cursor are displayed in the center area of the page.」(第6-16頁図6.4.4、当審訳:「M5解析レポート 黄斑色分けマップの周囲でマウスカーソルを移動させることにより、黄斑厚値と網膜断面像を観察することができる。グリッドは、MM5スキャンパターンを示している(白色で示したスキャン)。赤色で強調されたスキャンラインに対応して、水平及び垂直の断面像が表示される。カーソル先端における厚さと座標とが、ページの中央領域に表示される。」) (甲1g)「B. Fundus Imager: FOV:32°(H)x 22° (V) Monochrome CCD Camera: 768 × 498 pixel 1/3" CCD Format NIR Illumination: 735nm LED」(第10-1頁第18-21行、当審訳:「B.眼底撮像装置: FOV:32°(H)×22°(V) 白黒CCDカメラ:768×498ピクセル 1/3“ CCDフォーマット 近赤外(NIR)照明:735nmLED」) イ 甲第2号証に記載された事項 決定の予告において引用した甲第2号証(特表2009-523563号公報)には、以下の事項が記載されている。 (甲2a)「【0057】 f´(x,y)=f(x,y)-xK 視神経乳頭の境界は、上述のアルゴリズムによって自動的にセグメント化することができる、またはオペレータが補助画面903を見ながら描画することができる。視神経乳頭の境界は、903の断面図におけるRPE(網膜色素上皮)の先端として表示される。或るスキャンにおける先端は、先端上方の網膜血管の影に隠れることになる。正面視画像901の黒色領域が、RPEの先端が位置する場所を明確に示している。オペレータは各断面画像を、ライン906及び908をスライダ905及び907でスライドさせることにより閲覧することができる。」 (甲2b)「図9 」 (3) 刊行物に記載された発明 ア 甲第1号証に記載された発明 (ア)上記(甲1g)には、「眼底撮像装置」として「白黒CCDカメラ」と「近赤外(NIR)照明:735nmLED」が記載されている。そして、上記(甲1d)及び(甲1f)の図から、「SLO画像画面」として眼底の正面像を表示部に表示している点が見て取れる。 (イ)上記「SLO画像画面」は上記(甲1g)の「眼底撮像装置」で取得されたものであることは明らかである。 (ウ)上記(甲1a)より、「RTVue」は、「網膜患者の診断及び管理における支援として網膜、網膜神経線維(RNFL)、及び視神経乳頭のin vivoでの撮影及び測定に適応される光コヒーレンストモグラフィシステム」であり、上記(甲1b)より、「RTVue」システムの主要な構成要素である「RTVueスキャナ」は、患者の網膜を観察してスキャンし、OCT信号を収集し、処理を行うコンピュータへそれを送信するために用いられる点が理解できる。 (エ)上記(甲1b)には、「モニタ」が記載されている。また、上記(甲1c)の図にも「モニタ」が備えられている点が見て取れる。そして、上記(甲1d)の図の説明として、「左上のSLO画像の任意の場所をクリックすると、断面に対応する三次元表示の断面図とB-スキャン断面の断面図を自動的に描く。」と記載されていることから、上記(甲1d)の図は、「SLO画像画面」と、「B-スキャン断面の断面図」が表示されている点が理解できる。 (オ)上記(甲1b)及び(甲1c)には、「キーボードとマウス」が記載されている。 (カ)上記(甲1b)には、「コンピュータ」が記載されており、該「コンピュータ」は、「患者の検査中にスキャナを制御するために用いられる」ものであり、「アプリケーションソフトウェア」を備えていることは明らかである。そして、「アプリケーションソフトウェア」は、「データの解析、提示、及びデータの記憶とアーカイブを提供する」ものである。 甲第1号証の「RTVue」は、上記(甲1d)より、「左上のSLO画像の任意の場所をクリックすると、断面に対応する三次元表示の断面図とB-スキャン断面の断面図を自動的に描」き、該「B-スキャン断面の断面図」は、「垂直B-スキャン位置」と「水平B-スキャン位置」とに対応するものであり、上記(甲1e)より、「黄斑色分けマップの周囲でマウスカーソルを移動させることにより、黄斑厚値と網膜断面像を観察することができ」、「カーソル先端における厚さと座標とが、ページの中央領域に表示」するものである点が理解できる。そして、これらの処理は、上記「コンピュータ」が行うことは明らかである。 (キ)以上のことから、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が、記載されていると認められる。 「眼底の正面像であるSLO画像画面を取得する眼底撮像装置と、 患者の網膜を観察してスキャンし、OCT信号を収集し、処理を行うコンピュータへそれを送信するために用いられるRTVueスキャナと、 SLO画像画面と、B-スキャン断面の断面図が表示されているモニタと、 キーボード及びマウスと、 データの解析、提示、及びデータの記憶とアーカイブを提供するアプリケーションソフトウェアを備え、患者の検査中にスキャナを制御するために用いられ、 左上のSLO画像の任意の場所をクリックすると、垂直B-スキャン位置と水平B-スキャン位置とに対応するB-スキャン断面の断面図を自動的に描き、マウスカーソルを移動させることにより、カーソル先端における厚さと座標とが、ページの中央領域に表示する処理を行うコンピュータとを備えた、 RTVueシステム」 (4) 本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「眼底の正面像であるSLO画像画面」、「眼底撮像装置」、「SLO画像画面」、「B-スキャン断面の断面図」、「モニタ」、「マウスカーソル」、「キーボード及びマウス」及び「RTVueシステム」は、それぞれ本件発明1の「被検眼の正面像」、「正面像取得手段」、「前記正面像取得手段」「によって取得された画像」、「断層像取得手段によって取得された画像」、「表示手段」、「ポインタ」、「操作入力手段」及び「眼科解析装置」に相当する。 (イ)甲1発明の「患者の網膜を観察してスキャンし、OCT信号を収集し、処理を行うコンピュータへそれを送信するために用いられるRTVueスキャナ」から送信された「OCT信号」は、該「コンピュータ」で処理された結果、「モニタ」に「B-スキャン断面の断面図が表示されている」から、甲1発明の「RTVueスキャナ」は、本件発明1の「被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段」に相当する。 (ウ)甲1発明の「コンピュータ」は、本件発明1の「演算制御手段」に相当する。そして、甲1発明の「コンピュータ」は、「マウスカーソル」を「操作入力手段」の一つである「マウス」から入力される操作信号に基づいて「モニタ」に表示するものであり、甲1発明は「左上のSLO画像の任意の場所をクリック」できることから、甲1発明の「マウスカーソル」は、「SLO画像画面」上に移動可能に表示されることは明らかである。 また、甲1発明の「コンピュータ」は、「左上のSLO画像の任意の場所をクリックすると、垂直B-スキャン位置と水平B-スキャン位置とに対応するB-スキャン断面の断面図を自動的に描き」、「カーソル先端における厚さと座標と」をページの中央領域に表示する処理を行っている。そして、「左上のSLO画像の任意の場所」には、「マウスカーソル」が表示されていることは明らかである。ここで、「カーソル先端における厚さ」は、「被検眼の解析に関する所定のパラメータ」の一つであって、「B-スキャン断面の断面図」から取得されることは明らかであり、「カーソル先端における座標」も取得している。 そうすると、甲1発明の「コンピュータ」と、本件発明1の「演算制御手段」とは、「前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示し、 前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層上を表示し、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された位置から前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記所定部位に関する位置情報を用いて、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出する」点で共通する。 そうすると、本件発明1と引用発明とは、次の(一致点)で一致し、次の(相違点1)及び(相違点2)で相違する。 (一致点) 「 被検眼の正面像を取得するための正面像取得手段と、 被検眼から反射された測定光と参照光との干渉を用いて被検眼の断層像を得るための断層像取得手段と、 前記正面像取得手段及び断層像取得手段によって取得された画像を表示するための表示手段と、 操作入力手段と、 前記操作入力手段から入力される操作信号に基づいて正面像上で二次元的に移動可能なポインタを前記表示手段に表示すると共に、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段と、 を備え、 前記演算制御手段は、 前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して、移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層上を表示し、 前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された位置から前記所定部位に関する位置情報を取得し、 取得された前記所定部位に関する位置情報を用いて、被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出することを特徴とする眼科解析装置。」 (相違点1) 移動されたポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を、本件発明1は、「前記表示手段にリアルタイムで随時更新して表示」するのに対し、甲1発明は、そのような特定がなされていない点。 (相違点2) 算出される被検眼の解析に関する所定のパラメータが、本件発明1は、「正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて」算出される「前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータ」である(特に、下線部)のに対し、甲1発明は、「マウスカーソル」によって指定される「カーソル先端における厚さと座標」である点。 イ 判断 (ア)相違点1について 甲第2号証には、「オペレータは各断面画像を、ライン906及び908をスライダ905及び907でスライドさせることにより閲覧することができる。」(甲2a)と記載されている。また、図9には、「スライダ905及び907」に対応した「ライン906及び908」における断層像を画面902及び903に表示している点が見て取れる。そして、通常スライダは、スライドのみができるものであり、スライダをスライドさせることにより画像を閲覧させる場合は、閲覧させる画像をスライダの移動にあわせてリアルタイムで随時更新して表示するものであるから、甲第2号証には、移動されたスライダの位置を基準とした互いに直交する断層像を、前記表示手段に、リアルタイムで随時更新して表示する構成が記載されているといえる。 そうすると、甲1発明のクリックされたマウスカーソルの位置において、垂直B-スキャン位置と水平B-スキャン位置とに対応するB-スキャン断面の断面図を自動的に描く構成に、甲第2号証に記載された上記構成を適用し、移動されたマウスカーソルの位置を基準とした互いに直交する断層像を、前記表示手段に、リアルタイムで随時更新して表示する構成とすることは当業者が容易に想到できたことである。 (イ)相違点2について 甲1発明では、カーソル先端の厚さと座標を取得するのであって、厚さと座標は、カーソル先端一点のみで取得し得るパラメータであると認められる。すると、「少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報」に関する厚さと座標という技術事項は、想定し得るものでないことは明らかである。 したがって、相違点2は、甲1発明から当業者が容易に想到し得るものとはいえない。 そうすると、例え、相違点1が、当業者が容易に想到できたことであったとしても、本件発明1は、上記甲1発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (ウ)小括 上記(ア)及び(イ)より、本件発明1は、上記甲1発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本件発明2及び3について 訂正により、削除されたため、本件発明1及び2に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 (6)本件発明4について ア 対比・判断 本件発明4は、本件発明1の「演算制御手段」が、「前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像が前記正面像上での前記ポインタの移動に同期して前記表示手段に表示された状態において、前記正面像上のポインタによって指定された少なくとも2点の位置にて前記所定部位に関する位置情報を取得し、取得された前記少なくとも2点の位置での前記所定部位に関する位置情報を用いて、前記少なくとも2点の位置にて選択された領域に関する所定のパラメータを、前記被検眼の解析に関する所定のパラメータとして算出する」との特定を除いたものであるから、本件発明4と甲1発明とを比較すると、上記相違点1のみで相違するものである。 そうすると、相違点1は、上記(4)イ(ア)で検討したとおり、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものであるから、本件発明4は、上記甲1発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ 本件発明4の効果について 本件発明4の効果は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された技術的事項より容易に予測できる程度のものである (7)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1の「眼科解析装置」が行う「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出する」方法を、「眼科解析プログラム」として記載したものであり、本件発明5と甲1発明とを比較すると、上記相違点1及び2で相違し、その余の点で一致するものである。 そうすると、本件発明5は、上記(4)イと同様の理由により、上記甲1発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 3 取消理由通知で通知した取消理由について (1)取消理由1について、 ア 請求項1に関して 取消理由通知において、請求項1の「所定のパラメータを算出するための」及び「位置情報を取得するため」は、どの言葉を修飾しているのか不明であり、請求項1の「所定のパラメータを算出するための」が、例えば「位置情報」を修飾しているとすると、「所定のパラメータを算出するための」「位置情報」とは、どの様な情報なのか不明である。そして、請求項1の「所定部位に関する位置情報を取得するため」が、例えば「演算制御手段」を修飾するものであるとすると、「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を取得するため」に備える「演算制御手段」とは、眼科解析装置として、どの様な構成となるか不明である旨通知したが、請求項1は訂正により、「・・・所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、・・・」と訂正されたため、明確となった。 イ 請求項5に関して 取消理由通知において、請求項5についても請求項1と同様の理由により、不明である旨通知したが、請求項5も訂正により、「・・・所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を前記正面像上のポインタによって指定された位置から取得するため、・・・」と訂正されたため、明確となった。 (2)取消理由2について 取消理由2は、本件発明1ないし5と、甲1発明との間に差異がないか、例えあったとしても当業者が容易に想到できたものであるとの理由であるが、上記2で検討したとおり、本件発明1及び5は、当業者が容易に想到できたものではなく、本件発明2及び3は、訂正により削除されたため、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在せず、本件発明4は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものである。 4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第36条第6項第1号について 申立人は、申立書において、本件発明1ないし3及び5に関し、 本件発明1は、「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示する演算制御手段」であり、本件発明5は、「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出するための所定部位に関する位置情報を取得するため、前記正面像上でのポインタの位置を基準とした互いに直交する断層像を前記表示手段に表示するステップ」であるが、実施例に位置情報として記載があるのは、「位置情報31、41」(段落【0031】(当審注:段落【0013】の誤記であると認められる。))のみであり、該「位置情報31、41」を用いて「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出する」具体的な説明は何ら記載されていないから、本件発明1ないし3及び5は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨主張している。 確かに、本件明細書には、段落【0013】には、「位置情報31、41」が記載され、該「位置情報31、41」を用いて「被検眼の解析に関する所定のパラメータを算出する」具体的な説明は何ら記載されていないが、OCTにおいて、被検眼の位置情報からその位置の網膜の厚さ等のパラメータを算出できることは、当該技術分野において明らかであるから、本件発明1ないし3及び5は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとはいえない。 したがって、申立人の主張は理由がない。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明4は、甲1発明及び甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明4に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明1及び5に係る特許については、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、本件発明2及び3に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項2及び3に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700134

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