特許異議申立
2017-700121
歯科用光重合性組成物
- 審判番号
- 2017-700121
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-151979外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月08日
- 審決日
- 2017年09月01日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社トクヤマデンタル
- 【異議申立人】松村 朋子
- 分類
- P1651.113-YAA(A61K) / P1651.121-YAA(A61K) / P1651.537-YAA(A61K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5968128号発明「歯科用光重合性組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5968128号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
特許第5968128号の請求項1、2及び5に係る特許を維持する。
特許第5968128号の請求項3、4及び6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5968128号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成24年7月6日に出願され、平成28年7月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 松村朋子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年4月17日付けで取消理由が通知され、同年6月20日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があり、これに対して、申立人から同年8月1日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求は、一群の請求項である請求項1~6について訂正を求めるものであり、その訂正の内容は、次のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項1に、
「(A)ラジカル重合性単量体、
(B)可視光重合開始剤、
(C)フタル酸エステル系蛍光剤、および
(D)ベンゾトリアゾール化合物
を含有してなる歯科用光重合性組成物(カチオン重合性単量体を含むものを除く)。」
とあるのを、
「(A)ラジカル重合性単量体、
(B)可視光重合開始剤、
(C)フタル酸エステル系蛍光剤、および
(D)ベンゾトリアゾール化合物
を含有し、
(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、
(B)可視光重合開始剤0.01~10質量部、
(C)フタル酸エステル系蛍光剤0.01~0.1質量部、および
(D)ベンゾトリアゾール化合物0.01~10質量部
を含有し、(D)ベンゾトリアゾール化合物の配合割合が、(C)フタル酸エステル系蛍光剤1質量部に対して3~20質量部であって、
(D)ベンゾトリアゾール化合物が下記一般式(2)で表される化合物である歯科用光重合性組成物(カチオン重合性単量体、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く)。
【化3】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基、R6はアルキル基であり、R7はアルキル基又はハロゲン原子であり、mは0~4の整数である。)」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び5も同様に訂正する)。
(2)訂正事項2
請求項3を削除する。
(3)訂正事項3
請求項4を削除する。
(4)訂正事項4
請求項5に「請求項1~4のいずれか一項に記載の歯科用光重合性組成物からなる歯科用修復材料。」とあるのを、「請求項1又は2に記載の歯科用光重合性組成物からなる歯科用修復材料。」に訂正する。
(5)訂正事項5
請求項6を削除する。
(6)訂正事項6
願書に添付した明細書(以下、「本件特許明細書」という。)の段落【0010】に「 即ち、本発明は、(A)ラジカル重合性単量体、(B)可視光重合開始剤、(C)フタル酸エステル系蛍光剤、および(D)ベンゾトリアゾール化合物を含有してなる歯科用光重合性組成物(カチオン重合性単量体を含むものを除く)である。」とあるのを、「 即ち、本発明は、(A)ラジカル重合性単量体、(B)可視光重合開始剤、(C)フタル酸エステル系蛍光剤、および(D)ベンゾトリアゾール化合物を含有し、(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、(B)可視光重合開始剤0.01~10質量部、(C)フタル酸エステル系蛍光剤0.01~0.1質量部、および(D)ベンゾトリアゾール化合物0.01~10質量部を含有し、(D)ベンゾトリアゾール化合物の配合割合が、(C)フタル酸エステル系蛍光剤1質量部に対して3~20質量部であって、(D)ベンゾトリアゾール化合物が下記一般式(2)で表される化合物である歯科用光重合性組成物(カチオン重合性単量体、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く)。である。
【化4】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基、R6はアルキル基であり、R7はアルキル基又はハロゲン原子であり、mは0~4の整数である。)」に訂正する
(7)訂正事項7
本件特許明細書の段落【0043】に
「【化3】
」
とあるのを、
「【化3】
」
に訂正する。
(8)訂正事項8
本件特許明細書の段落【0046】に「 上記R5及びR6としては、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~8の非置換のアルキル基がより好ましい。このようなアルキル基を再度具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n-プロピル基、t-ブチル基等が挙げられる。また該R5及びR6の結合位置としては、これらが共にアルキル基である場合には3位及び5位が一般的であり、R5が水素原子である場合には、R6が5位に結合しているのが一般的である。」とあるのを、「 上記R5及びR6としては、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~8の非置換のアルキル基がより好ましい。このようなアルキル基を再度具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n-プロピル基、t-ブチル基等が挙げられる。」に訂正する。
(9)訂正事項9
本件特許明細書の段落【0070】に「実施例1~12、比較例1~5、参考例1」とあるのを、「実施例1~4、7~10、比較例1~5、参考例1」に訂正する。
(10)訂正事項10
本件特許明細書の段落【0072】の【表1】を差し替える。
(差し替えた【表1】は以下のとおりである。
)
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に係る発明の構成成分(A)~(D)について、(A)に対する(B)~(D)の配合割合が特定されていなかったものを特定の配合割合であるものに限定し、更に、(D)ベンゾトリアゾール化合物を一般式(2)で表される化合物に限定し、請求項1に係る発明の「歯科用光重合性組成物」が更に2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除くことを明らかにするものであって、各成分の配合割合については、本件特許明細書の段落【0020】、【0039】、【0049】、【0050】に記載され、(D)ベンゾトリアゾール化合物については、本件特許明細書の段落【0042】~【0046】に記載されている。
また、「2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く」との事項は、いわゆる「除くクレーム」であって、新たな技術的事項を導入するものではない。
請求項1の記載を引用する請求項2及び5についても、請求項1と実質的に同様の限定を付すものである。
そうすると、上記訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、本件特許明細書に記載された事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2、3及び5について
訂正事項2、3及び5は、訂正前の請求項3、4及び6を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
(3)訂正事項4について
訂正事項4は、請求項5において、上記訂正事項2、3による訂正に伴い、削除されて存在しなくなった請求項3、4を引用する不合理を正すものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項6~8について
訂正事項6~8は、上記訂正事項1による訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項6~8は、一群の請求項である請求項1~6の全てを対象として請求されたものである。
(5)訂正事項9、10について
訂正事項9、10は、上記訂正事項1による訂正に伴い、訂正後の請求項1、2又は5に係る発明の実施例には該当しなくなった実施例5、6、11、12を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正事項9、10は、一群の請求項である請求項1~6の全てを対象として請求されたものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1~6]について訂正を認める。
第3 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1、2及び5に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、それぞれ、訂正特許請求の範囲の請求項1、2及び5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
【請求項1】
(A)ラジカル重合性単量体、
(B)可視光重合開始剤、
(C)フタル酸エステル系蛍光剤、および
(D)ベンゾトリアゾール化合物
を含有し、
(A)ラジカル重合性単量体100質量部当たり、
(B)可視光重合開始剤0.01~10質量部、
(C)フタル酸エステル系蛍光剤0.01~0.1質量部、および
(D)ベンゾトリアゾール化合物0.01~10質量部
を含有し、(D)ベンゾトリアゾール化合物の配合割合が、(C)フタル酸エステル系蛍光剤1質量部に対して3~20質量部であって、
(D)ベンゾトリアゾール化合物が下記一般式(2)で表される化合物である歯科用光重合性組成物(カチオン重合性単量体、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く)。
【化3】
(式中、R5は水素原子又はアルキル基、R6はアルキル基であり、R7はアルキル基又はハロゲン原子であり、mは0~4の整数である。)
【請求項2】
(C)フタル酸エステル系蛍光剤が下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1記載の歯科用光重合性組成物。
【化1】
(式中、R1及びR2は各々独立に、アルキル基であり、R3は水素原子、アミノ基、又は水酸基であり、R4はアミノ基、又は水酸基である。)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
請求項1又は2に記載の歯科用光重合性組成物からなる歯科用修復材料。
【請求項6】
(削除)
第4 特許異議の申立てについて
1 申立人による特許異議申立ての理由の概要
申立人は、以下に示す甲第1号証~甲第10号証(以下、「甲1」等という。)を提出して、概要、次のとおり主張している。
[申立理由ア]特許法第29条第1項第3号(同法113条第2号)について
・請求項1ないし6に係る発明は、甲1に記載された発明である。
・請求項1、2、4ないし6に係る発明は、甲2に記載された発明である。
・請求項1ないし6に係る発明は、甲5に記載された発明である。
[申立理由イ]特許法第29条第2項(同法113条第2号)について
・請求項1ないし6に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項1、2、4ないし6に係る発明は、甲2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
・請求項1ないし6に係る発明は、甲5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
[申立理由ウ]特許法第36条第6項第1号(同法113条第4号)について
請求項1及び3に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものである。
(証拠方法)
甲1:米国特許出願公開第2003/0212194号明細書
甲2:米国特許出願公開第2010/0297588号明細書
甲3:特開平9-100208号公報
甲4:国際公開第2011/006552号
甲5:米国特許出願公開第2002/0152930号明細書
甲6:特開2012-31155号公報
甲7:特表2007-514660号公報
甲8:特表2002-520347号公報
甲9:米国特許第6242505号明細書
甲10:商公昭59-48208号公報
2 当合議体から通知した取消理由の概要
請求項1~6に係る特許に対して平成29年4月17日付けで当合議体から特許権者に通知した取消理由は、概要、次のとおりである。
[取消理由1]請求項1~6に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された発明、又は甲5に記載された発明であるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
刊行物1:米国特許出願公開第2003/0212194号明細書(甲1)刊行物2:米国特許出願公開第2010/0297588号明細書(甲2)
刊行物3:米国特許出願公開第2002/0152930号明細書(甲5)
周知文献として
周知A:特開平3-160001号公報
周知B:特開2011-124259号公報
周知C:特開2012-31155号公報(甲6)
周知D:特開平9-100208号公報(甲3)
周知E:特開平2-11607号公報
周知F:特開昭60-132909号公報
周知G:国際公開第2011/006552号(甲4)
周知H:特開2001-139411号公報
周知I:特開平10-298021号公報
周知J:特表2007-514660号公報(甲7)
周知K:特開2002-338422号公報
周知L:特開2008-239599号公報
[取消理由2]請求項1~6に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。
具体的には、以下を理由とするものである。
本件発明の課題は「太陽光安定性に優れ、さらに十分な蛍光性を示す歯科用光重合性組成物を得ること」であるところ、本件明細書には、【0041】に「当該ベンゾトリアゾール化合物は、トリアゾール構造の窒素原子に結合した芳香環の2位の位置にヒドロキシル基が結合していればよく、公知のものが特に制限なく使用できる。」と記載され、【0042】に「代表的なベンゾトリアゾール化合物としては下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。」として、実施例ではもっぱら、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BT1)、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BT2)の2つの化合物のみが用いられており、歯科用修復材料において蛍光性と太陽光安定性(色調変化)、表面未重合量を実際に確認しているのはこの2つの化合物を用いた場合のみである。これに対し、請求項1の記載では、トリアゾール構造の窒素原子に結合した芳香環の2位の位置にヒドロキシル基が結合されていることは特定されておらず、紫外線吸収特性を有するか否かさえ明らかでない化合物まで包含されており、このようなベンゾトリアゾール化合物を用いた場合に、上記課題が解決できたことを当業者が認識することはできない。
また、本願明細書【0046】には「R5及びR6の結合位置としては、これらが共にアルキル基である場合には3位及び5位が一般的であり、R5が水素原子である場合には、R6が5位に結合しているのが一般的である。」と記載されるのに対して、請求項3ではR5及びR6の結合位置が特定されていない。本件明細書には、一般式(2)の化合物のうち、置換基の位置が3位及び5位、または置換基が5位のみの化合物以外のものを用いた場合にも、BT1やBT2と同様に、(A)ラジカル重合性単量体、(B)可視光重合開始剤、(C)フタル酸エステル系蛍光剤を含む系において太陽光安定性と十分な蛍光性を示すといえる技術的な根拠が示されていない。
したがって、請求項1及び3の記載はいわゆるサポート要件を満たさない。これらの請求項を引用する請求項2、4~6の記載についても同様である。
3 甲各号証の記載事項及び引用発明
(1)甲1:米国特許出願公開第2003/0212194号明細書
甲1は、修復歯科で有用な、充填され、流動性があり、光重合性のポリマー組成物に関する技術を開示するもの(甲1の[0002])であるが、甲1の[0029]、表1には、サンプルAとして、以下の組成(重量%)の樹脂を含む流動性歯科修復用組成物を調製したことが記載されている。
サンプルA
Bis-GMA 22.65
EBP-DMA 44.31
PCDMA 31.51
カンファーキノン 0.10
EDMAB 0.20
Lucirin TPO 0.49
UV-5411 0.73
Uvitex OB 0.01
LUMILUX Blue LZ 0.02
そして、[0008][0023][0030]によれば、サンプルAは、重合性のエチレン性不飽和樹脂としてBis-GMA(2,2'-[4-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル]-プロパン)、EBP-DMA(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、PCDMA(ポリカーボネートジメタクリレート)を含み、カンファーキノン又はLucirin TPOは重合開始剤として用いられ、UV-5411は紫外線吸収剤であり、EDMAB(4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル)は光硬化を促進するために用いられ、LAMILUX Blue LZ(当合議体注:LUMILUX Blue LZの誤記と認められる)は歯科用修復組成物の色の調整に用いられ、Uvitex OBは増白剤として用いられるものである。
そうすると、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」)という。)が記載されているといえる。
「以下の組成(重量%)の樹脂を含む流動性歯科修復用組成物
Bis-GMA 22.65
EBP-DMA 44.31
PCDMA 31.51
カンファーキノン 0.10
EDMAB 0.20
Lucirin TPO 0.49
UV-5411 0.73
Uvitex OB 0.01
LUMILUX Blue LZ 0.02
ここで、Bis-GMA(2,2'-[4-(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-フェニル]-プロパン)、EBP-DMA(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、及びPCDMA(ポリカーボネートジメタクリレート)は重合性のエチレン性不飽和樹脂であり、カンファーキノン又はLucirin TPOは重合開始剤、UV-5411は紫外線吸収剤であり、EDMAB(4-(ジメチルアミノ)安息香酸エチル)は光硬化を促進するために用いられ、LUMILUX Blue LZは歯科用修復組成物の色の調整に用いられ、Uvitex OBは増白剤である。」
(2)甲2:米国特許出願公開第2010/0297588号明細書
甲2は、硬化された際に自然の歯の蛍光を有する硬化性歯科用組成物に関する技術を開示するもの(甲2の[0006])であるが、甲2の[0135]、[0146]、表9、[0147]には、以下に示す表9に実施例6の重合性樹脂混合物の組成として列挙される成分を混合し、次いで2,5-ジメトキシテレフタル酸ジエチルを0.465重量%を混合して得た2,5-ジメトキシテレフタル酸ジエチル含有重合性樹脂混合物に、ジルコニア充填剤、シリカ充填剤、及びZr-Si充填剤を添加して充填剤混合物を含む硬化性歯科用組成物を提供したことが記載されている。
表9
---------------------------------
実施例6の重合性樹脂混合物の組成.
---------------------------------
成分 樹脂中の成分重量パーセント
---------------------------------
bisGMA 24.20
UDMA 33.88
bisEMA6 33.88
TEGDMA 4.84
CPQ 0.16
DPIHFP 0.48
EDMAB 0.97
BHT 0.15
TINUVIN 1.45
更に、比較例3として、2,5-ジメトキシテレフタル酸ジエチルをLUMILUX BLUE LZに置き換えたことを除いて、実施例6に記載のように調製した硬化性組成物が記載されている。
そして、[0135]の略号と材料の説明及び供給元の表によれば、bisGMA(2,2'-[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン)、UDMA(ジウレタンジメタクリレート)、bisEMA6(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、CPQ(カンファーキノン)、DPIHFP (ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、EDMAB(4-(N,N-ジメチルアミノ)安息香酸エチル)、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、TINUVIN(TINUVIN R 796の商品名で照会される重合性紫外線安定剤)であることがわかる。
そうすると、甲2には、比較例3として、以下の発明(以下、「甲2発明」)という。)が記載されているといえる。
「以下の組成(重量パーセント)の重合性樹脂混合物
bisGMA 24.20
UDMA 33.88
bisEMA6 33.88
TEGDMA 4.84
CPQ 0.16
DPIHFP 0.48
EDMAB 0.97
BHT 0.15
TINUVIN 1.45
に、
LUMILUX BLUE LZ 0.465重量パーセント
を混合して得たLUMILUX BLUE LZ含有重合性樹脂混合物に
更に、ジルコニア充填剤、シリカ充填剤、及びZr-Si充填剤からなる充填剤混合物を添加した充填剤混合物を含む硬化性歯科組成物。
ここで、bisGMA(2,2'-[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン)、UDMA(ジウレタンジメタクリレート)、bisEMA6(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、CPQ(カンファーキノン)、DPIHFP (ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート)、EDMAB(4-(N,N-ジメチルアミノ)安息香酸エチル)、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、TINUVIN(TINUVIN R 796の商品名で照会される重合性紫外線安定剤)、LUMILUX BLUE LZ(2,5-ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル)である。」
(3)甲5:米国特許出願公開第2002/0152930号明細書
甲5は20~50μmの平均粒子サイズを有する粒子複合材料に関する技術を開示するもの(甲5の請求項1)であるが、請求項10、27には、
「10. 少なくとも1つの重合可能モノマーおよび/またはプレポリマー、少なくとも1つの重合開始剤、および前記する少なくとも1つの請求項に記載の粒子複合材料を含む、組成物。」
「27.歯科材料、特に、歯科用充填材料、インレーまたはアンレーのための材料、歯科用セメント、歯冠およびブリッジのための前装材料、義歯のための材料として使用するための、請求項10~26に記載の組成物。」
と記載されており、実施例2([0072][0073])として
「実施例2
複合フィラーに基づく光硬化歯科材料(コンポジット)
実施例1に従う39.5重量%の粒子複合材料を、1.5μmの平均粒径を有する39.5重量%のバリウムガラス粉末、以下に述べる組成を有する15.5重量%のモノマー混合物および2.5重量%のベントナイトペーストを含む均一なペーストに混合した。このベントナイトペーストは、12.5重量%のベントナイト(層状シリケート)および87.5重量%のモノマー混合物を含む。膨張計を使用して重合収縮を測定するために、0.1gのペーストを、小さいガラスプレートに固定し、水銀でコーティングし、そして距離記録計を水銀上に浮かせて配置した。このペーストを、光重合装置(500mW/cm2)で小ガラスプレートを通して60秒間光照射した。1.6%の重合収縮を測定した。
歯科材料の調製のためのモノマー混合物
---------------------------------
重合可能モノマー:
UDMA 45重量%
ビスフェノール-A-ジメタクリレート 33.32重量%
エトキシル化ビスフェノール-A
ジメタクリレート 20重量%
開始材混合物/安定化剤:
カンファーキノンDL(光開始剤) 0.33重量%
4-ジメチルアミノ-安息香酸-エチルエステル(急結剤)
0.6重量%
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド
(共開始剤(coinitiator)) 0.4重量%
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシド
0.012重量%
添加剤:
青色蛍光色素 0.04重量%
(Lumilux Flu blue)
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール(UV安定剤) 0.3重量%
コンポジット:
モノマー混合物 15.5重量%
バリウムガラス粉末 39.5重量%
(平均粒径1.5μm)
複合フィラー 39.5重量%
層状シリケートペースト 2.5重量%
(モノマー混合物中12.5重量%分散)
三フッ化イッテルビウム 3.0重量%
が記載され、[0024]には、ウレタンジメタクリレート(UDMA)」と記載されている。
そうすると、甲5には、以下の発明(以下、「甲5発明」)という。)が記載されているといえる。
「複合フィラーに基づく光硬化歯科材料(コンポジット)を調製するためのモノマー混合物であって、
以下の組成(重量%)のモノマー混合物
重合可能モノマー:
ウレタンジメタクリレート(UDMA) 45重量%
ビスフェノール-A-ジメタクリレート 33.32重量%
エトキシル化ビスフェノール-Aジメタクリレート
20重量%
開始材混合物/安定化剤:
カンファーキノンDL(光開始剤) 0.33重量%
4-ジメチルアミノ-安息香酸-エチルエステル(急結剤)
0.6重量%
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド(共開始剤) 0.4重量%
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシド
0.012重量%
添加剤:
青色蛍光色素 0.04重量%
(Lumilux Flu blue)
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール(UV安定剤) 0.3重量%」
4 当合議体の判断
当合議体は、平成29年4月17日付けで通知した取消理由1、2、及び、申立人の主張する申立理由ア~ウのいずれにも理由がないと判断する。
その理由は、以下のとおりであるが、まずは当合議体から通知した取消理由2、1の順に検討し、次いで、取消理由に採用しなかった申立理由について検討する。
(1)取消理由2(特許法第36条第6項第1号)について
上記「第2 2(1)」で検討したとおりの本件訂正請求における訂正事項1に係る訂正によって、「(D)ベンゾトリアゾール化合物」が一般式(2)で表される化合物に限定され、本件訂正発明1は、本件特許明細書において発明の課題が解決できることを当業者が認識できる範囲内のものとなった。
そして、それに伴い、請求項3は削除された(訂正事項2)。
したがって、取消理由2は解消された。
なお、申立人による申立理由ウは、上記取消理由2と同旨である。
(2)取消理由1(特許法第29条第1項第3号)について
(2-1)甲1に基づく新規性
ア 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲1発明とを対比する。
ここで、甲1発明の成分である「Lucirin TPO」は、BASF社の商標名であって、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを成分とする周知の光重合開始剤である(必要であれば、周知Aの12頁左下欄20行~右下欄2行、及び、周知Bの【0047】参照)。
そうすると、本件訂正発明1と引用発明1とは、少なくとも次の点で相違する。
<相違点1>:
本件訂正発明1の歯科用光重合性組成物は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く、すなわち、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含まないものであるのに対して、甲1発明は、Lucirin TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド)を含む点。
(イ) <相違点1>についての検討
Lucirin TPOは上記(ア)のとおり、光重合開始剤であって、甲1発明の流動性歯科修復用組成物の構成成分として必須のものである。
したがって、<相違点1>は実質的な相違点であって、本件訂正発明1は、甲1発明と同一であるとはいえない。
イ 本件訂正発明2、5について
本件訂正発明2及び5はいずれも請求項1を引用するものであって、甲1発明との対比において、少なくとも上記<相違点1>において、甲1発明と相違する。
そして、上記ア(イ)で述べたとおり、<相違点1>は実質的な相違点であるから、本件訂正発明2及び5は、甲1発明と同一であるとはいえない。
(2-2)甲2に基づく新規性
ア 本件訂正発明1について
(ア)本件訂正発明1と甲2発明とを対比する。
(ア1)本件特許明細書【0013】の記載からみて、甲2発明の「bisGMA」「UDMA」「bisEMA6」及び「TEGDMA」は、本件訂正発明1の(A)成分の「ラジカル重合性単量体」に相当する。
・甲2発明の「CPQ」は本件訂正発明1の(B)成分の「可視光重合開始剤」に相当する。
・甲2発明の「LUMILUX BLUE LZ」は、蛍光性化合物として周知の2,5-ジヒドロキシテレフタル酸ジエチルであるから、本件訂正発明1の(C)成分の「フタル酸エステル系蛍光剤」に相当する。
(ア2)周知G(甲4)の38頁、表1の説明によれば、Tinuvin(登録商標)R796は、市場で入手可能なUV-反応性アクリレート官能基を有するUV-吸収剤(2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール)であって、本件特許明細書の一般式(2)において、R6がメタクリロキシエチル基である化合物である。
一方、本件特許明細書【0044】には、「R5、R6及びR7におけるアルキル基としては置換基を有しているものでもよく」と記載されていることから本件訂正発明1の「(D)ベンゾトリアゾール化合物」にはR6が置換基を有するアルキル基である場合が包含されるといえるので、甲2発明の「TINUVIN」は、本件訂正発明1の(D)成分に相当するといえる。
(ア3)また、質量と重量とは同等であるとの前提のもと、甲2発明の各成分の配合割合を算定すると、
「bisGMA」「UDMA」「bisEMA6」及び「TEGDMA」の合計量24.20+33.88+33.88+4.84=96.80重量%に対して、
「CPQ」が0.16重量%、
「LUMILUX BLUE LZ」が0.465重量%、
「TINUVIN」が1.45重量%であるから、
これを、「bisGMA」「UDMA」「bisEMA6」及び「TEGDMA」の合計量100質量部当たりに換算すると、おおよそ、
「CPQ」の量は0.17質量部、
「LUMILUX BLUE LZ」は0.48質量部、
「TINUVIN」は1.50質量部となる。
そして、「TINUVIN」の配合割合は、「LUMILUX BLUE LZ」1質量部に対して3.1質量部となる。
(ア4)甲2発明は硬化性歯科用組成物であり、上記(ア1)のとおり、ラジカル重合性単量体と光重合開始剤を含む組成物であるから、「歯科用光重合性組成物」ということができる。そして、甲2発明には、カチオン重合性単量体、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドは含まれていない。
そうすると、本件訂正発明1と甲2発明とは、少なくとも次の点で相違する。
<相違点2>:
ラジカル重合性単量体100質量部当たりのフタル酸エステル系蛍光剤の配合割合が、本件訂正発明1は0.01~0.1質量部であるのに対して、甲2発明は、0.48質量部である点。
(イ)<相違点2>についての検討
歯科用組成物において、構成成分の配合割合が異なることは実質的な相違点であるから、本件訂正発明1は、甲2発明と同一であるとはいえない。
イ 本件訂正発明2、5について
本件訂正発明2及び5はいずれも請求項1を引用するものであるから、甲2発明との対比において、少なくとも上記<相違点2>において、甲2発明と相違する。
そして、上記ア(イ)で述べた理由により、上記相違点は実質的な相違点であるから、本件訂正発明2及び5は、甲2発明と同一であるとはいえない。
(2-3)甲5に基づく新規性
ア 本件訂正発明1について
(ア) 本件訂正発明1と甲5発明とを対比すると、本件訂正発明1と甲5発明とは、少なくとも次の点で相違する。
<相違点3>:
本件訂正発明1の歯科用光重合性組成物は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含むものを除く、すなわち、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含まないものであるのに対して、甲5発明は、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含む点。
(イ)<相違点3>についての検討
甲5発明において、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドは共開始剤であるから、甲5発明の複合フィラーに基づく光硬化歯科材料(コンポジット)を調製するためのモノマー混合物の構成成分として必須のものと解される。
したがって、<相違点3>は実質的な相違点であって、本件訂正発明1は、甲5発明と同一であるとはいえない。
イ 本件訂正発明2、5について
本件訂正発明2及び5はいずれも請求項1を引用するものであるから、甲5発明との対比において、少なくとも上記<相違点3>において、甲5発明と相違する。
そして、上記ア(イ)で述べたとおり、<相違点3>は実質的な相違点であるから、本件訂正発明2及び5は、甲5発明と同一であるとはいえない。
(2-4) 小括
以上のとおり、本件訂正発明1、2及び5は、いずれも、甲1に記載された甲1発明、又は、甲2に記載された甲2発明、或いは、甲5に記載された甲5発明であるとはいえないので、本件訂正発明1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当する発明に対してされたものであるとの取消理由1には理由がない。
なお、申立人による申立理由アは、上記取消理由1と同旨である。
(3)取消理由通知において採用しなかった申立理由イ(特許法第29条第2項)について
(3-1)甲1に基づく容易想到性
ア 上記(2-1)ア(イ)で検討した本件訂正発明1と甲1発明との<相違点1>について更に検討する。
甲1発明は、サンプルAとして完成された処方であって、そもそも、この処方の中から必須の構成成分の1つを除こうとする動機付けがない。すなわち、Lucirin TPOを成分から除くことは当業者が容易になし得ることとはいえない。
したがって、本件訂正発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ 本件訂正発明1の特定事項をすべて含み、さらに技術的限定を加えて特定したものである本件訂正発明2及び5は、上記アで述べたのと同様の理由により、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3-2)甲2に基づく容易想到性
ア 上記(2-2)ア(イ)で示した、本件訂正発明1と甲2発明との<相違点2>について検討する。
甲2に開示される技術は、硬化された際に自然の歯の蛍光を有する新規な硬化性歯科用組成物の提供を目的として、蛍光剤として特定のテレフタル酸誘導体を用いることに着目したもの(甲2の[0006])であって、蛍光剤の配合量(配合割合)を調整することに関する特段の記載は見当たらない。
そうすると、甲2発明において、蛍光剤である「LUMILUX BLUE LZ(2,5-ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル)」の配合割合を本件訂正発明1で特定される数値範囲程度に少なくしようとする動機付けがない。
したがって、本件訂正発明1は甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ 本件訂正発明1の特定事項をすべて含み、さらに技術的限定を加えて特定したものである本件訂正発明2及び5は、上記アで述べたのと同様の理由により、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3-3)甲5に基づく容易想到性
ア 上記(2-3)ア(イ)で検討した本件訂正発明1と甲5発明との<相違点3>について更に検討する。
甲5に開示される技術は、微粒子複合材料に関するものであり、微粒子複合材料の用途として複合フィラーに基づく光硬化歯科材料(コンポジット)が挙げられ、その実施例2として甲5発明の組成が示されているものである。このような甲5発明の組成から、光硬化に必要な成分と解される共開始剤である2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシドを含まないものとすることは、光硬化歯科材料(コンポジット)としての所期の機能を奏さなくなるおそれもあり、当業者が通常行なうこととはいえない。
したがって、本件訂正発明1は、甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
イ 本件訂正発明1の特定事項をすべて含み、さらに技術的限定を加えて特定したものである本件訂正発明2及び5は、上記アで述べたのと同様の理由により、甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
(3-4) 小括
以上のとおり、本件訂正発明1、2及び5は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも、甲2発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとも、また、甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえないので、本件訂正発明1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとの申立人の主張する申立理由イには理由がない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、 取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正発明1、2及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1、2及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、請求項3、4及び6に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項3、4及び6に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700121