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特許異議申立

2017-700109

スロットマシン

審判番号
2017-700109
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2014-193261外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年02月06日
審決日
2017年11月14日
公報発行日
2018年02月23日
結論
訂正認容
当事者
審判長/審判官
分類
P1651.536-YAA(A63F) / P1651.537-YAA(A63F) / P1651.853-YAA(A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項第3号、特許法第36条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5985565号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5985565号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第5985565号の請求項1に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本件特許第5985565号(以下「本件特許」という。)は、平成20年3月11日に出願した特願2008-60452号の一部を、平成23年6月20日に新たな出願(特願2011-136080号)とし、さらにその一部を平成25年5月10日に新たな出願(特願2013-100265号)とし、さらにその一部を平成26年4月1日に新たな出願(特願2014-75802号)とし、さらにその一部を平成26年9月24日に新たな出願(特願2014-193261号)としたものであり、平成28年8月12日付けで設定登録されたものである。 その後、前記本件特許について、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社より平成29年2月6日付けで特許異議の申し立てがなされ、平成29年5月17日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年7月24日に意見書及び訂正請求書が特許権者より提出され、それに対する意見書が特許異議申立人より平成29年9月21日付けで提出された。 第2.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。(下線は補正箇所を示すため当審にて付与。) (1)訂正事項1 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における 「前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、」という記載を、 「前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、」に訂正する。 (2)訂正事項2 本件特許の特許請求の範囲の請求項1における 「前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、」という記載を、 「前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、」に訂正する。 (3)訂正事項3 本件特許明細書の【0007】における 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 表示結果が導出される前に、入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、 表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、 を備え、 前記事前決定手段の決定結果は、 第1入賞の発生を許容する旨及び第2入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第1特定結果と、 前記第1入賞の発生を許容する旨及び第3入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第2特定結果と、 を含み、 前記導出制御手段は、 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 前記第1特定結果に対応する操作順序と前記第2特定結果に対応する操作順序とが異なるともに、前記第1特定結果に対応する操作タイミングと前記第2特定結果に対応する操作タイミングとが異なり、 前記スロットマシンは、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となったときに該第1特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知し、前記第2特定結果となったときに該第2特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備える ことを特徴としている。」という記載を、 「上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のスロットマシンは、 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 表示結果が導出される前に、入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、 表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、 を備え、 前記事前決定手段の決定結果は、 第1入賞の発生を許容する旨及び第2入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第1特定結果と、 前記第1入賞の発生を許容する旨及び第3入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第2特定結果と、 を含み、 前記導出制御手段は、 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せを導出し、 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 前記第1特定結果に対応する操作順序と前記第2特定結果に対応する操作順序とが異なるともに、前記第1特定結果に対応する操作タイミングと前記第2特定結果に対応する操作タイミングとが異なり、 前記スロットマシンは、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となったときに該第1特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知し、前記第2特定結果となったときに該第2特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備える ことを特徴としている。」に訂正する。 (4)訂正事項4 本件特許明細書の【0008】における 「本発明の手段1に記載のスロットマシンは、」という記載を 「手段1のスロットマシンは、」に訂正する。 (5)訂正事項5 本件特許明細書の【0010】における 「本発明の手段2に記載のスロットマシンは、」という記載を 「手段2のスロットマシンは、」に訂正する。 (6)訂正事項6 本件特許明細書の【0011】における 「本発明の手段3に記載のスロットマシンは、」という記載を 「手段3のスロットマシンは、」に訂正する。 (7)訂正事項7 本件特許明細書の【0012】における 「本発明の手段4に記載のスロットマシンは、」という記載を 「手段4のスロットマシンは、」に訂正する。 (8)訂正事項8 本件特許明細書の【0013】における 「本発明のスロットマシンは、」という記載を 「手段5のスロットマシンは、」に訂正する。 2.訂正の目的の適否について (1)訂正事項1について 訂正事項1は、訂正前の「操作タイミングに関わらず」なる記載が何の操作タイミングを指すのか必ずしも明確ではなかったため、それが「全ての可変表示部」を指すことを明確化させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の「操作タイミングに関わらず」なる記載が何の操作タイミングを指すのか必ずしも明確ではなかったため、それが「全ての可変表示部」を指すことを明確化させるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (3)訂正事項3について 訂正事項3は、訂正事項1~2のとおりに訂正することに伴い、訂正された請求項1との整合を図るために、本件特許明細書のうち関連する発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (4)訂正事項4~8について 訂正事項4~8は、それぞれ本件特許明細書の【0008】~【0009】、【0010】、【0011】、【0012】、【0013】に記載された構成やその作用効果が、本件訂正後の請求項1に記載された発明の構成と直接関係しないことを明確化するために、請求項1に係る発明を意味する「本発明の」なる記載を省くことを目的とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 3.訂正についての新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について (1)訂正事項1~3について ア 本件訂正後発明 説明の便宜のため、上記本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正後発明」という。)を以下のとおり分説する。(構成要素ごとの「A」~「I」の符号は当審にて付与した。以下、各構成要素について該符号を用い「構成A」などという。下線は訂正箇所を示すため当審にて付与。) 「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 B 表示結果が導出される前に、入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、 C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、 D 表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、を備え、 E 前記事前決定手段の決定結果は、 E-1 第1入賞の発生を許容する旨及び第2入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第1特定結果と、 E-2 前記第1入賞の発生を許容する旨及び第3入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第2特定結果と、を含み、 F 前記導出制御手段は、 F-1-1 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 F-1-2 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せを導出し、 F-1-3 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 F-2-1 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 F-2-2 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せを導出し、 F-2-3 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 G 前記第1特定結果に対応する操作順序と前記第2特定結果に対応する操作順序とが異なるともに、前記第1特定結果に対応する操作タイミングと前記第2特定結果に対応する操作タイミングとが異なり、 H 前記スロットマシンは、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となったときに該第1特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知し、前記第2特定結果となったときに該第2特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備える I ことを特徴とするスロットマシン。」 イ 本件特許明細書による裏付けについて 【0349】~【0357】には、 「「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(1)、「黒7-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(2)、「網7-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(3)、「白7-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(4)及び「BAR-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(5)が同時に当選」する「リプレイGR(1)」なる内部当選役と、(【0349】) 「「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(1)、「リプレイ-黒7-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(6)、「リプレイ-網7-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(7)、「リプレイ-白7-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(8)及び「リプレイ-BAR-リプレイ」の組み合わせが入賞ラインLに停止したときに入賞となるリプレイ(9)が同時に当選」する「リプレイGR(2)」なる内部当選役と、(【0349】) に関し、それらに内部当選している際の遊技者によるリール停止操作とリールの停止制御との関係についての一実施例が記載されている。 当該実施例において、「リプレイGR(1)」・「リプレイGR(2)」双方で入賞が許容される「リプレイ(1)」と、前者でのみ入賞が許容される「リプレイ(2)」、後者でのみ入賞が許容される「リプレイ(6)」なる各役に注目すると、それらの入賞条件について本件特許明細書には以下のa~dの記載がある。 a.「リプレイGR(1)が当選し、中リールまたは右リールを第1停止とした場合には、中リールまたは右リールの入賞ラインLにリプレイ(1)・・・を構成する「リプレイ」が必ず停止する・・・。リプレイGR(1)が当選し、中リールまたは右リールの入賞ラインLにリプレイ(1)・・・を構成する「リプレイ」が停止している状態で、左リールの停止操作がなされた場合には、リプレイ(1)を構成する「リプレイ」が必ず左リールの入賞ラインLに停止する・・・。すなわちリプレイGR(1)が当選し、左リール以外のリールを第1停止とした場合には、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたタイミングに関わらず、リプレイ(1)が必ず入賞する」(【0352】~【0353】)、 b.「リプレイGR(1)が当選し、左リールを第1停止とした場合には、左リールの入賞ラインLにリプレイ(2)を構成する「黒7」、リプレイ(3)を構成する「網7」、リプレイ(4)を構成する「白7」、リプレイ(5)を構成する「BAR」のいずれかが必ず停止する・・・左リールの入賞ラインLにリプレイ(2)を構成する「黒7」、リプレイ(3)を構成する「網7」、リプレイ(4)を構成する「白7」、リプレイ(5)を構成する「BAR」のいずれかが停止している状態で、中、右リールの停止操作がなされた場合には、リプレイ(2)~(5)を構成する「リプレイ」が必ず中、右リールの入賞ラインLに停止することとなる。すなわちリプレイGR(1)が当選し、左リールを第1停止とした場合には、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたタイミングに関わらず、リプレイ(2)~(5)のいずれかが必ず入賞する」(【0350】~【0351】) c.「リプレイGR(2)が当選し、左リールまたは右リールを第1停止とした場合には、左リールまたは右リールの入賞ラインLにリプレイ(1)(6)~(9)を構成する「リプレイ」が必ず停止する・・・。次いで、リプレイGR(2)が当選し、左リールまたは右リールの入賞ラインLにリプレイ(1)(6)~(9)を構成する「リプレイ」が停止している状態で、中リールの停止操作がなされた場合には、入賞ラインL上に最大4コマの引込範囲でリプレイ(1)を構成する「リプレイ」を停止させる制御を行う。・・・リプレイGR(2)が当選し、中リール以外のリールを第1停止とした場合には、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたタイミングに関わらず、リプレイ(1)が必ず入賞する」(【0356】~【0357】) d.「リプレイGR(2)が当選し、中リールを第1停止とした場合には、中リールの入賞ラインLにリプレイ(6)を構成する「黒7」、リプレイ(7)を構成する「網7」、リプレイ(8)を構成する「白7」、リプレイ(9)を構成する「BAR」のいずれかが必ず停止する・・・。リプレイGR(2)が当選し、中リールの入賞ラインLにリプレイ(6)を構成する「黒7」、リプレイ(7)を構成する「網7」、リプレイ(8)を構成する「白7」、リプレイ(9)を構成する「BAR」のいずれかが停止している状態で、左、右リールの停止操作がなされた場合には、リプレイ(6)~(9)を構成する「リプレイ」が必ず左、右リールの入賞ラインLに停止することとなる。すなわちリプレイGR(2)が当選し、中リールを第1停止とした場合には、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたタイミングに関わらず、リプレイ(6)~(9)のいずれかが必ず入賞する」(【0354】~【0355】) 前記aの記載から、「リプレイGR(1)」に当選した状態で中リールまたは右リールを第1停止とした場合は、必ず、すなわち該各リールの停止操作のタイミングに関わらず、中リールと右リールの入賞ラインに「リプレイ」が停止し、残る左リールの入賞ラインについても、前記必ず停止する「リプレイ」が中・右リールに停止していることのみを前提として「リプレイ」が必ず、すなわち左リールの停止操作のタイミングに関わらず停止するのであるから、本件特許明細書には、リプレイGR(1)に当選した状態では、全てのリールの操作タイミングに関わらず、「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せからなる「リプレイ(1)」に入賞することが記載されているといえる。(以下「認定事項あ」という。) 前記bの記載から、「リプレイGR(1)」に当選した状態で左リールを第1停止とした場合は、該左リールの入賞ラインには「黒7」・「網7」・「白7」・「BAR」の4図柄のいずれかが必ず停止し、残る中・右リールには、前記必ず停止する前記4図柄のいずれかが該左リールの入賞ラインに停止していることのみを条件として、「リプレイ」が必ず、すなわち該各リールの停止操作のタイミングに関わらず停止するのであるから、前記4図柄のうち特にリプレイ(2)に係る「黒7」を左リールの入賞ラインに停止させるには、いわゆる「目押し」すなわち該「黒7」を入賞ラインに停止させうるタイミングで該左リールの停止操作を行うことが必要であり、よって、本件特許明細書には、「リプレイGR(1)」に当選した状態で左リールを第1停止とした場合は、適切なタイミングで左リールの停止操作を行うことにより左リールの入賞ラインに「黒7」を停止させられた場合にのみ、「黒7-リプレイ-リプレイ」の組合せからなる「リプレイ(2)」に入賞できること、及び、もし左リールの操作タイミングが前記適切なタイミングではなく、左リールの入賞ラインに「黒7」を停止させることができなかった場合には、リプレイ(1)にもリプレイ(2)にも入賞できないこと、が記載されているといえる。(以下「認定事項い」という。) 前記cの記載から、「リプレイGR(2)」に当選した状態で左リールまたは右リールを第1停止とした場合は、必ず、すなわちそれら該各リールの停止操作のタイミングに関わらず、左リールと右リールの入賞ラインに「リプレイ」が停止し、残る中リールの入賞ラインについても、前記必ず停止する「リプレイ」が左・右リールに停止していることのみを前提として「リプレイ」が必ず、すなわち該リールの停止操作のタイミングに関わらず停止するのであるから、本件特許明細書には、リプレイGR(2)に当選した状態では、全てのリールの操作タイミングに関わらず、「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組合せからなる「リプレイ(1)」に入賞することが記載されているといえる。(以下「認定事項う」という。) 前記dの記載から、「リプレイGR(2)」に当選した状態で中リールを第1停止とした場合は、該中リールの入賞ラインには「黒7」・「網7」・「白7」・「BAR」の4図柄のいずれかが必ず停止し、残る左・右リールには、前記必ず停止する前記4図柄のいずれかが該中リールの入賞ラインに停止していることのみを条件として、「リプレイ」が必ず、すなわち該各リールの停止操作のタイミングに関わらず停止するのであるから、前記4図柄のうち特にリプレイ(6)に係る「黒7」を中リールの入賞ラインに停止させるには、いわゆる「目押し」すなわち該「黒7」を入賞ラインに停止させうるタイミングで該中リールの停止操作を行うことが必要であり、よって、本件特許明細書には、「リプレイGR(2)」に当選した状態で中リールを第1停止とした場合は、適切なタイミングで中リールの停止操作を行うことにより中リールの入賞ラインに「黒7」を停止させられた場合にのみ、「リプレイ-黒7-リプレイ」の組合せからなる「リプレイ(6)」に入賞できること、及び、もし中リールの操作タイミングが前記適切なものではなく、中リールの入賞ラインに「黒7」を停止させることができなかった場合には、リプレイ(1)にもリプレイ(6)にも入賞できないこと、が記載されているといえる。(以下「認定事項え」という。) また、図3から明らかなとおり、また、スロットマシンの一般的な構成においても、各リールにおける図柄の配列は相互に異なっていることから、「リプレイGR(1)」当選時に左リールに「黒7」を停止させるために必要な操作タイミングと「リプレイGR(2)」当選時に中リールに「黒7」を停止させるために必要な操作タイミングとは、最大4コマの引込範囲に存在する他の図柄との関係や該「黒7」が存在するリールの回転位置について該各当選時で相違するといえるし、「リプレイGR(1)」当選時は左リールについてのみ、「リプレイGR(2)」当選時には中リールについてのみ、適切な停止操作タイミングを必要とする点で、適切な停止操作タイミングを必要とする対象となるリールが異なるということにおいても、該各当選時で相違するといえる。(以下「認定事項お」という。) 以上のことから、前記認定事項あ~おにおける「リプレイGR(1)」、「リプレイGR(2)」、「リプレイ(1)」、「リプレイ(2)」、「リプレイ(6)」がそれぞれ本件訂正後発明の「第1特定結果」、「第2特定結果」、「第1入賞」、「第2入賞」、「第3入賞」に対応し、前記認定事項あの「中リールまたは右リールを第1停止とした場合」、前記認定事項うの「左リールまたは右リールを第1停止とした場合」、前記認定事項いの「適切なタイミング」、前記認定事項えの「適切なタイミング」がそれぞれ本件訂正後発明の構成F-1-1の「第1特定結果に対応する操作順序で操作されたとき」、同構成F-2-1の「第2特定結果に対応する操作順序で操作されたとき」、同構成F-1-2の「第1特定結果に対応する操作タイミング」、同構成F-2-2の「第2特定結果に対応する操作タイミング」に対応し、そして、上記訂正事項1~3に関係する認定事項あ・うの各「全てのリールの操作タイミングに関わらず」がそれぞれ本件訂正後発明の構成F-1-1・F-2-1の「全ての可変表示部の操作タイミングに関わらず」に対応し、前記認定事項あ~おを導出した【0349】~【0357】に記載された実施例が全体として本件訂正後発明の構成E~Gに対応することが明らかであるといえる。 よって、上記訂正事項1~3は、該各訂正事項を含む、内部当選役並びにリール停止操作手順及びそれによるリールの停止制御との関係全体についてみても、本件特許明細書に記載された事項に対応しており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項4~8について 訂正事項4~8は、本件特許明細書【0008】~【0013】に記載されたスロットマシンの構成自体を変更するものではなく、請求項1に記載された本件訂正後発明との関係に関する文言を修正したものにすぎないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかである。 (3)むすび 以上のとおりであるから,本件訂正請求に係る訂正事項1~8はいずれも、特許法第120条の5第2項第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正請求に係る訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについて 1.本件発明 本件訂正後発明は、上記第2.の3.(1)に記載したとおりのものである。 また、本件訂正前の本件請求項1に係る発明(以下「本件訂正前発明」という。)は以下のとおりである。(本件訂正後発明に対応する分説を当審にて付した。上記本件訂正後発明と共通の分説記号を付した構成は、本件訂正の前後で実質的変更点のない構成である。) 「A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、 B 表示結果が導出される前に、入賞について発生を許容するか否かを決定する事前決定手段と、 C 遊技者が表示結果を導出させるために操作する導出操作手段と、 D 表示結果を導出する制御を行う導出制御手段と、を備え、 E 前記事前決定手段の決定結果は、 E-1 第1入賞の発生を許容する旨及び第2入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第1特定結果と、 E-2 前記第1入賞の発生を許容する旨及び第3入賞の発生を許容する旨を同時に決定する第2特定結果と、を含み、 F 前記導出制御手段は、 F-1-1’前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 F-1-2 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せを導出し、 F-1-3 前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となり、かつ該第1特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第1特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 F-2-1’前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応する操作順序で操作されたときには、操作タイミングに関わらず、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せを導出し、 F-2-2 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応する操作タイミングで操作されたときには、前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せを導出し、 F-2-3 前記事前決定手段の決定結果が前記第2特定結果となり、かつ該第2特定結果に対応しない操作順序で操作されたときに、該第2特定結果に対応しない操作タイミングで操作されたときには、前記第1入賞を発生させる第1表示結果の組合せも前記第2入賞を発生させる第2表示結果の組合せも前記第3入賞を発生させる第3表示結果の組合せも導出せず、 G 前記第1特定結果に対応する操作順序と前記第2特定結果に対応する操作順序とが異なるともに、前記第1特定結果に対応する操作タイミングと前記第2特定結果に対応する操作タイミングとが異なり、 H 前記スロットマシンは、前記事前決定手段の決定結果が前記第1特定結果となったときに該第1特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知し、前記第2特定結果となったときに該第2特定結果に対応する操作順序を特定可能に報知することが可能な報知手段をさらに備える I ことを特徴とするスロットマシン。」 2.取消理由の概要 訂正前の本件請求項1に係る特許に対して平成29年5月17日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は,次のとおりである。 (1)理由1 (特許法36条6項1号 サポート要件違反) 上記本件訂正前発明の上記構成F-1-1’及びF-2-1’については、発明の詳細な説明及び図面の何れにも記載されておらず、本件訂正前発明は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、本件特許は特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条第4号の規定により取り消されるべきである。 (2)理由2 (特許法第36条第6項第1号 サポート要件) 上記本件訂正前発明の構成Gについては、発明の詳細な説明及び図面の何れにも記載されておらず、本件訂正前発明は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、本件特許は特許法第36条第6項第1号の規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、同法113条第4号の規定により取り消されるべきである。 (3)理由3 (特許法第17条の2第3項 不適法な補正) 上記本件訂正前発明の構成Gのうち「前記第1特定結果に対応する操作順序と前記第2特定結果に対応する操作順序とが異なるともに、」なる構成を加入補正した前記審判請求時補正は、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、本件特許は特許法第17条の2第3項の要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであるから、同法113条第1号の規定により取り消されるべきである。 (4)理由4 (特許法第36条第4項第1号 委任省令要件違反) 本件特許明細書の【0011】~【0013】には、「本発明の手段」即ち本件訂正前発明について、「発明が解決しようとする課題」の「解決手段」及びそれにより解決される課題・作用効果が列挙されているが、何れも本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る本件訂正前発明の特定事項と直接関係しないから、当業者による本件訂正前発明の技術上の意義の理解を妨げるものと言え、本件特許は特許法第36条第4項第1号の規定する要件を満たさない出願に対してなされたものであるから、同法113条第4号の規定により取り消されるべきである。 3.当審の判断 (1)理由1~3について 上記本件訂正前発明の構成F-1-1’、F-2-1’が訂正された構成F-1-1、F-2-1、及び上記本件訂正により訂正されていない構成Gを含む、本件訂正後発明の構成E~Gが、本件特許明細書の【0349】~【0357】に記載された実施例に対応することは、上記第2.の3.(1)で説示したとおりである。 よって、本件訂正後発明は発明の詳細な説明中に記載されたものであり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 (2)理由4について 本件訂正の上記訂正事項4~8による訂正後の本件明細書の【0008】~【0013】に記載された構成は、「手段1(~5)のスロットマシン」についてのものとなり、本件訂正後発明とは直接関係しない態様についての記載であると解されることから、当業者による本件訂正後発明の技術上の意義の理解を特段妨げるものではなく、本件特許は、特許法第36条第4項第1号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではない。 4.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)異議申立人は、特許異議申立書の申立て理由2(第43頁第10行~第48頁第23行)として、請求項1に記載された「第1入賞」、「第2入賞」、「第3入賞」、「第1特定結果」、「第2特定結果」なる各語句が、該請求項1を転記した段落を除く本件特許明細書【0008】以下に記載されていない点で、用語の不統一に該当し、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができない旨、主張している。 しかし、上記訂正後の特許の特許請求の範囲の請求項1および明細書の記載事項からみて、上記第2.3.(1)イで説示したとおり、請求項1に記載された「第1入賞」、「第2入賞」、「第3入賞」、「第1特定結果」、「第2特定結果」は、それぞれ【0349】~【0357】に記載された実施例における「リプレイ(1)」、「リプレイ(2)」、「リプレイ(6)」、「リプレイGR(1)」、「リプレイGR(2)」に対応することが明らかであるし、具体例である実施例における各要素名と特許請求の範囲に記載する構成要素名とは、対応関係が明瞭であれば足り、両者の名称が一致する必要まではないことから、当該主張は採用できない。 (2)異議申立人はまた、特許異議申立書の申立て理由5(第63頁第13行~第65頁第1行)として、平成28年5月19日提出の手続補正書により、実質的に本件訂正前発明の構成Gを追加する補正を行ったが、構成E-1、E-2と共に構成Gを充足する説明がないから、当該補正が特許法第17条の2第3項に違反してなされたものである旨、主張している。 しかし、当該構成E-1、E-2、Gを含め、本件訂正前及び訂正後の本件発明のA~Iのすべての要件を充たす発明は、上記第2.3.(1)イで説示したとおり、【0349】~【0357】に記載された実施例として記載されているといえるから、当該主張は採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから,取消理由及び異議申立の理由によっては,本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり決定する。

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2017-700109

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