特許訂正審判
2017-390134
転がり軸受の超音波探傷方法
- 審判番号
- 2017-390134
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2005-131649
- 登録番号
- 特許第4645289号(P4645289)
- 請求日
- 2017年11月30日
- 審決日
- 2018年01月09日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本精工 株式会社
- 【請求人代理人】松山 美奈子
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 松岡 智也
- 審判官 信田 昌男
- 分類
- P141 .851-Y (G01N) / P141 .852-Y (G01N) / P141 .853-Y (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項特許法126条7項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4645289号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4645289号の明細書、特許請求の範囲及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第4645289号に係る出願は、平成17年4月28日(優先権主張 平成16年9月16日)に出願され、平成22年12月17日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年11月30日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件審判請求書の「5 請求の趣旨」に記載されるとおり、特許第4645289号の明細書、特許請求の範囲、及び図面を、本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲、及び図面のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正の内容
1 訂正事項1
本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「特許明細書等」という。)の特許請求の範囲の請求項3を削除する。
2 訂正事項2
特許明細書等の特許請求の範囲の請求項4を削除する。
3 訂正事項3
特許明細書等の特許請求の範囲の請求項5を削除する。
4 訂正事項4
特許明細書等の明細書の段落【0014】の「また、請求項3に記載した発明は、(ビーム径r/振動子の径R)を0.8以下にすると共に、探触子を、上記検査対象面に沿って軸受の軸方向に移動しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。」との記載を削除する。
5 訂正事項5
特許明細書等の明細書の段落【0015】の「また、請求項4に記載した発明は、探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。」との記載を削除する。
なお、訂正審判請求書の「6 請求の理由」「(2)訂正事項」「オ 訂正事項5」には、「…請求項1又は~請求項3の…」と記載されているが、特許明細書等の明細書の記載から、「…請求項1~請求項3の…」の誤記であることは明らかである。
6 訂正事項6
特許明細書等の明細書の段落【0016】の「また、請求項5に記載した発明は、軌道輪の軌道面又は転動体の転動面の少なくとも一方の面を検査対象面として探傷を行う超音波探傷方法であって、探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行い、その探触子の回転中心軸を下記(a)~(c)の条件を満たすように設定すると共に、該探触子を、上記検査対象面に立てた法線に対し上記探触子の回転中心軸に沿うように傾けることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。
(a)探傷する検査対象面の幅方向での中心点を通る。
(b)探傷する検査対象面に立てた法線に対して垂直である。
(c)検査対象となる軌道輪若しくは転動体の軸に対して垂直な面上にある。
ここで、請求項3はオフセット方式を使用するものであり、請求項4,5は入射角方式を使用するものである。」との記載を削除する。
7 訂正事項7
特許明細書等の明細書の段落【0019】の「ことから、上述の通り、(r/R)≦0.8と規定した」との記載を削除する。
8 訂正事項8
特許明細書等の明細書の段落【0020】の「上記請求項5に記載の発明は、」との記載を削除し、同段落末尾の「ことから発明したものである」との記載を削除する。
9 訂正事項9
特許明細書等の明細書の段落【0053】の「実施例2」との記載を「第1参考例」に訂正し、同段落の「第2実施例」との記載を「第1参考例」に訂正する。
なお、下線は、請求人が付与したものである。以下同様。
10 訂正事項10
特許明細書等の明細書の段落【0057】【表2】の「実施例1」~「実施例14」との記載をそれぞれ「参考例1」~「参考例14」に訂正する。
11 訂正事項11
特許明細書等の明細書の段落【0059】の「実施例1~6」との記載を「参考例1~6」に訂正する。
12 訂正事項12
特許明細書等の明細書の段落【0061】の「本発明により、」との記載を削除する。
13 訂正事項13
特許明細書等の明細書の段落【0062】の「実施例3」との記載を「第2参考例」に訂正し、同段落の「上記発明を具体的に説明する実施例を以下に示す。」との記載を削除する。
14 訂正事項14
特許明細書等の明細書の段落【0063】【表3】の「比較例1」「実施例1」「比較例2」及び「実施例2」との記載を、それぞれ「比較例2-1」「参考例2-1」「比較例2-2」及び「参考例2-2」に訂正する。
15 訂正事項15
特許明細書等の明細書の段落【0067】の「実施例4」との記載を「第3参考例」に訂正し、同段落の「実施例」との記載を「参考例」に訂正し、同段落の「実施例3」との記載を「第2参考例」に訂正する。
16 訂正事項16
特許明細書等の明細書の段落【0068】【表4】の「比較例3」~「比較例8」との記載をそれぞれ「比較例2-3」~「比較例2-8」に訂正し、同表の「実施例3」~「実施例8」との記載をそれぞれ「参考例2-3」~「参考例2-8」に訂正する。
17 訂正事項17
特許明細書等の明細書の段落【0071】の「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)」との記載を「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)」に訂正する。
18 訂正事項18
特許明細書等の図面の【図11】の「本発明範囲」との記載及び本発明範囲を示す矢印及びr/Rが0.8の位置の直線を削除する。
19 訂正事項19
特許明細書等の明細書の段落【0048】の「検査開始が出来るととも、」との記載を、「検査開始が出来るとともに、」に訂正する。
第4 当審の判断
1 訂正の目的について
(1)訂正事項1-3について
訂正事項1-3は、それぞれ、特許明細書等の特許請求の範囲の請求項3-5を削除するというものであるから、当該訂正事項1-3は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)訂正事項4-8について
訂正事項4-8は、訂正事項1-3により請求項3-5が削除されたことに伴い、特許明細書等の明細書内の対応する記載を削除することによって、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(3)訂正事項9-16、18について
訂正事項9-16は、訂正事項1-3により請求項3-5が削除されたことに伴い、特許明細書等の明細書の請求項3-5に係る発明の態様を「実施例」から「参考例」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項18は、訂正事項1により請求項3が削除されたことに伴い、特許明細書等の図面の請求項3に対応する記載を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(4)訂正事項17について
ア 明細書の記載
願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という)には、以下の記載がある。また、特許明細書等の明細書にも同一の記載がある。
(ア)「【0053】
この表1から分かるように、仕上げ後に超音波探傷を行い、その超音波伝達媒体として灯油その他の液体炭化水素2を使用することが、種々の点で優れていることが分かる。
「実施例2」
次に、第2実施例について図面を参照しつつ説明する。
ハブ軸受に代表される玉軸受の探傷可否を評価するために6206からなる内外輪4を製作し、所定の熱処理を施し研削後、内外輪4について超音波探傷に実施した。
また比較例として転動体の走行部分に対して端部まで走行部分がかからない例として円筒ころ軸受NU311の内輪を製作し、所定の熱処理を施し研削後に超音波探傷を行った。
【0054】
検出する対象の欠陥は、図5に示すような、長さ2mm、深さ0.5mm、幅0.5mmの表面キズを放電加工により軌道面4aの中央位置および端部に導入したものを試験片として検査に使用した。検査試験片の概要図を図6~図8に示す。
ここで、超音波探傷装置は、上記実施形態で説明した構成からなる。
また、探傷条件を次のように設定した。
探触子8:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17~25°(屈折角:45~90°)
媒体:白灯油(+防錆油)」
(イ)「【0062】
「実施例3」
上記発明を具体的に説明する実施例を以下に示す。
玉軸受の入射方式の違いによる探傷能力を検証するために6206外輪を製作し、所定の熱処理を施し研削後外輪を超音波探傷に供した。
検出する対象の欠陥は、長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズを放電加工により軌道面の中央位置および端部に導入したものを検査に供した(図22参照)。
超音波探傷は図1に示す構成からなり、探傷条件として、
探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17°~25°(屈折角:45°~90°)
媒体:白灯油(+防錆油)
水距離:20mm
検査ワークを回転テーブルに配置し、回転を行いながら探触子の配置をオフセット方式、および入射角方式とし、ワークの軌道面に沿って探触子をワーク1周毎に軸方向に0.1mmピッチ移動させ軌道面全面を探傷し、ベースノイズおよび人工欠陥からの反射強度について評価を行った。
評価結果を表3に示す。」
(ウ)「【0067】
「実施例4」
次に、入射方式の違いと、検査対象となるワークの寸法について説明する実施例を以下に示す。
実施例3と同じ条件で、軸受の軌道径を変えた、上段人工欠陥導入リングを製作し、軌道径と検出能力およびベースノイズの関係について調査を行った。
結果を表4に示す。」
イ 当初明細書等の記載から自明な事項
上記アから、当初明細書等の実施例2-4においては、「放電加工により」導入された「長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズ」の探傷において、「振動子径6.5mm」の探傷子が用いられていることがわかる。
ウ 訂正前の【0071】段落の記載
訂正前の【0071】段落の記載は、以下のとおりである。
「【0071】
その他検査条件を下記に示す。
NG信号の判断は、本例検査ワーク内輪軌道面に、長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズを放電加工により形成して、マスターを製作した。
次いで、この人工欠陥を次の探傷条件より、信号が50%となる感度に設定後、さらに感度を倍とし、その感度で50%以上有した欠陥をNGとして判定を行った。
探触子他、設備の条件を以下に示す。
探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17~25°(屈折角:45~90゜)
媒体:自灯油(+防錆油)
上記条件にて、円周方向および軸方向共に0.5mmピッチにて探傷検査を行い、50%を超える個数をカウントした。図24にその結果を示す。」
エ 訂正事項17の目的について
【0071】段落の「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)」との記載は、振動子径について、整数部分の数字が脱落しており、当該記載に誤記があることは明らかである。
そして、【0071】段落においては、実施例2-4とは異なる探触子を用いる旨の記載はなく、また、探傷対象のキズは、実施例2-4と同じ「放電加工により」形成された「長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズ」であるから、探触子として、実施例2-4のものと同じものを用いていることは、明らかである。
したがって、【0071】段落の「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)」との記載には誤記があり、正しい記載が、「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)」であることは明らかである。
以上のことから、訂正事項17は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
(5)訂正事項19について
訂正前の【0048】段落の「また、(2)転がり軸受の転動軌道面を超音波探傷にて検査する方法において、予め測定部以外の箇所で探傷ワークを媒体中に没し、泡を除去した後、探傷位置まで媒体中で移動し、測定を開始する方法とすることで、測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るととも、これにより従来の検査サイクルを阻害することなく、事前に泡の除去が可能となり、かつ精細な検査が、高い信頼性を持って行えることを見出した。」との記載について、「測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るととも、」の部分に誤記があり、正しい記載が、「測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るとともに、」であることは明らかである。
したがって、訂正事項19は、誤記の訂正を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第2号に規定する誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。
2 その他の要件について
(1)新規事項の追加について
ア 訂正事項1-16、18について
上記1(1)-(3)で検討したように、訂正事項1-16、18は、請求項3-5の削除及び当該請求項3-5の削除に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載とを整合させるものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
イ 訂正事項17について
上記1(4)で説示したとおり、当初明細書等における【0071】段落の「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)」との記載が、「探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)」の意味であることは明らかである。
したがって、訂正事項17は、当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
ウ 訂正事項19について
上記1(5)で説示したとおり、当初明細書等の【0048】段落における「測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るととも、」との記載が、「測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るとともに、」の意味であることは明らかである。
したがって、訂正事項19は、当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものであり、新たな技術的事項を導入するものではない。
エ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1-19は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(2)特許請求の範囲の拡張又は変更について
ア 訂正事項1-16、18について
訂正事項1-16、18は、請求項3-5の削除及び請求項3-5を削除したことに伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載とを整合させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項17、19について
訂正事項17、19は、明細書の明らかな誤記を訂正するものであり、当該誤記を訂正することにより、本件訂正前後で、特許請求の範囲が拡張又は変更されるものではない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1-19は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(3)独立特許要件について
ア 訂正事項1-3について
訂正事項1-3は、請求項3-5を削除するものであるから、当該訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができなくなることはない。
イ 訂正事項17、19について
訂正事項17、19は、明細書の明らかな誤記を訂正するものであるから、当該訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができなくなることはない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号を目的とする訂正事項1-3及び特許法第126条第1項ただし書第2号を目的とする訂正事項17、19は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第5 むすび
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号乃至第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項乃至第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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