特許訂正審判
2021-390104
特定のユーザの体臭成分を分析する方法
- 審判番号
- 2021-390104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2019-000922
- 登録番号
- 6721893
- 請求日
- 2021年07月20日
- 審決日
- 2021年09月27日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ベネフィット-イオン
- 【請求人代理人】北川 泰隆
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 福島 浩司
- 審判官 渡戸 正義
- 分類
- P141 .851-Y (G01N) / P141 .852-Y (G01N) / P141 .853-Y (G01N) / P141 .854-Y (G01N) / P141 .855-Y (G01N) / P141 .856-Y (G01N) / P141 .857-Y (G01N) / P141 .841-Y (G01N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第7項、特許法第126条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6721893号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第6721893号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判に係る特許第6721893号(以下、「本件特許」という。)についての出願は、平成27年9月24日に出願された特願2015-187378号の一部を、平成31年1月8日に新たに出願したものであって、その請求項1-5に係る発明について、令和2年6月23日に特許権の設定登録がされたものであり、その後、令和3年7月20日に特許権者株式会社ベネフィット-イオン(以下、「請求人」という。)より、本件特許に対して本件訂正審判の請求(以下、「本件請求」という。)がなされたものである。
第2 本件請求の趣旨及び内容
1 本件請求の趣旨
本件請求の趣旨は、「特許第6721893号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
2 本件訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項3に「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項1又は請求項2に記載の方法。」とあるうち、請求項2を引用するものについて「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項2に記載の方法。」に訂正する。そして、請求項3の記載を引用する請求項4、5も同様に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3に「前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、請求項1又は請求項2に記載の方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、
「特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、
前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、
前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、
前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、
前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、方法。」と記載し、新たに請求項6とする。
(3)訂正事項3
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】に記載された「本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。」を「本発明の一側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含む方法である。前記提供工程では、前記試料を密封するパッケージとして提供用のパッケージを使用し、前記回収工程では、前記試料を密封するパッケージとして前記提供用のパッケージとは異なる回収用のパッケージを使用し、前記提供工程は、前記提供用のパッケージに密封された前記試料と、前記回収用のパッケージと、を前記ユーザに提供する工程である、ようにしてもよく、前記回収工程は、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する工程である、ようにしてもよい。また、前記分析工程では、前記試料が官能評価される、ようにしてもよい。更に、前記分析工程では、前記ユーザの体臭成分を含むガスがガスクロマトグラフ分析される、ようにしてもよい。本発明の他の側面は、特定のユーザの体臭成分を分析する方法であって、前記ユーザの肌に直接触れた状態で使用される試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザに提供する提供工程と、前記提供工程で提供された前記ユーザの肌に虹接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、パッケージに密封された状態で前記ユーザから回収する回収工程と、前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分を分析する分析工程と、を含み、前記回収工程は、前氾提供工程で提供された前記ユーザの肌に直接触れた状態で所定期間使用された前記試料を、前記試料がそのままの状態でパッケージに密封された状態で前記
ユーザから回収する工程である、方法である。」に訂正する。
(4)訂正事項4
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0041】に記載されたた「評価装置10では、筒部20が分解され、ユーカリエキスを含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」を「評価装置10では、筒部20が分解され、アルデヒド系の香料を含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」に訂正する。
第3 当審の判断(下線は当審にて付した。)
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項3が引用する請求項のうち、請求項1を削除するものであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正である。
(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項1は、請求項3において、引用する請求項を削除するにすぎないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
(3)独立特許要件について
訂正後の請求項3に記載されている事項により特定される発明及び訂正後の請求項3を引用する請求項4及び5に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由はなく、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2 訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項1又は2を引用する請求項3の記載を、請求項1を引用するものについて独立形式での記載に改める訂正(以下「訂正事項2-1」という。)、及び、訂正前の請求項1に記載された「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した前記ユーザの体臭成分」を、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した前記ユーザの体臭成分」とする訂正(以下「訂正事項2-2」という。)を含んでいる。
そして、訂正事項2-1は、本件訂正前の請求項1又は2を引用する請求項3の記載を、請求項1を引用するものについて独立形式での記載に改める訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正であり、訂正事項2-2は、訂正前の請求項1に記載された「前記ユーザの体臭成分」を、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料に付着した」ものから、「前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料から前記ユーザにおける体臭の発生が集中している部位を特定することによって特定された前記部位に対応する前記回収工程で回収された前記ユーザの肌に所定期間直接触れた前記試料の部分に付着した」ものに限定する訂正であるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項2-1は、引用する請求項の数を減少させ、且つ請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めたものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2-2は、訂正前の請求項1に記載された「前記ユーザの体臭成分」を限定するものであるから、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。そして、本件明細書の発明の詳細な説明に、「【0023】
分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を試料として、例えば、臭いセンサとpHチェッカを用いた分析が行われる。これにより、ユーザにおける体臭の発生が集中している部位が特定され、体臭成分が、酸性又はアルカリ性の何れであるかが判定される。また、分析工程(S31)では、回収工程(S2)で回収された衣服を対象として、官能評価が行われる。これにより、ユーザの体臭を、他人がどのように感じているかが判定される。次に、分析工程(S31)では、試料の衣服から、体臭が集中的に発生している部位に対応する部分が裁断され、裁断された布片がバイアルに密封される。裁断される布片の大きさは、例えば、縦5cm×横5cm程度とされる。その後、バイアル内に揮発した体臭成分を含むガスを対象として、ガスクロマトグラフ分析が行われる。ガスクロマトグラフ分析によれば、前述のガスに含まれる体臭成分が定量的に分析される。ガスクロマトグラフ分析は、公知の分析方法である。そのため、これに関する説明は、省略する。」と記載されていることから、訂正事項2-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そうすると、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)独立特許要件について
訂正後の請求項6に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由はなく、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
3 訂正事項3について
(1)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項3は、訂正事項2に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、上記2と同様に願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは、明らかである。
(3)独立特許要件について
訂正事項3は、上記(1)で説示したとおり同法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、同第1号又は第2号に掲げる事項を目的とする訂正ではないから、同条第7項に規定される独立特許要件は課されない。
4 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0038】には、「S34~S36の実施態様の一例を説明する。この説明では、選択工程(S32)で、消臭成分として、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料が選択されており、ミント油とユーカリエキスとアルデヒド系の香料の順で、評価工程(S34)が行われるとする。」と記載され、また、この明細書の段落【0040】には、「この官能評価が終了した場合、アルデヒド系の香料については、官能評価は行われていない(S35:No)。そこで、検査官は、筒部20を分解し、ユーカリエキスを含む媒体40を取付部26から取り除き、取付部26を洗浄する。検査官は、未使用の媒体40に、アルデヒド系の香料を含む第三溶液を付着させ、この媒体40を洗浄された取付部26にセットし、筒部20を組み立てる。・・・その後、検査官は、容器部11を加熱しつつ、アルデヒド系の香料を含む媒体40を通過して開口21に到達した臭気を官能評価する。この官能評価の終了に伴い、選択工程(S32)で選択された3個の消臭成分の評価が終了する(S35:Yes)。」と記載されているから、官能評価の終了時に「取付部26」にセットされていた「媒体40」は、「アルデヒド系の香料を含む媒体40」である。
そうすると、願書に添付した明細書の段落【0041】に記載された「評価装置10では、筒部20が分解され、ユーカリエキスを含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」は、「評価装置10では、筒部20が分解され、アルデヒド系の香料を含む媒体40が取付部26から取り除かれる。」の誤記であることは明らかであり、訂正事項4は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正である。
(2)新規事項の追加、特許請求の範囲の実質上の拡張・変更の有無について
訂正事項4は、上記(1)のとおり明細書中の誤記を訂正するためのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは、明らかである。
(3)独立特許要件について
訂正事項4は、上記(1)のとおり明細書中の誤記を訂正するためのものであって、特許法第126条第7項の規定を満たすことは明らかである。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項から第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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