特許訂正審判
2017-390102
タンパク質キナーゼのモジュレーターとしての新規化合物
- 審判番号
- 2017-390102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-509494外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月28日
- 審決日
- 2018年01月12日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】ライゼン・ファーマシューティカルズ・エスアー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】堀江 健太郎
- 分類
- P141 .851-Y (C07D) / P141 .853-Y (C07D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条3項特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第3項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6118314号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6118314号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔15-19、23-37〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6118314号(以下「本件特許」という。)は、2012年5月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年5月4日 2012年1月9日 いずれもインド(IN))を国際出願日とする特願2014-509494号の請求項1~39に係る発明について平成29年3月31日に特許権の設定登録がなされたものである。そして、平成29年9月28日に本件訂正審判の請求(以下「本件請求」という。)がされ、同年11月17日に手続補正書が提出された。
第2 本件審判請求の内容
1 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6118314号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項15~19及び23~37について訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
2 訂正の内容
訂正の内容は次のとおりである。
[訂正事項1]
請求項15の「R3が、水素、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のヘテロアリールである、請求項10および12~14のいずれか1項記載の化合物。」との記載を、
「2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オンまたはその薬学的に許容し得る塩である、請求項10記載の化合物。」に訂正する。
[訂正事項2]
請求項16の「請求項15」との記載を、
「請求項10および12~14のいずれか1項」に訂正する。
[訂正事項3]
請求項17の「請求項15」との記載を、
「請求項10および12~14のいずれか1項」に訂正する。
[訂正事項4]
請求項18の「R’およびR”のそれぞれが、水素またはC1~6アルキルから選択されるか、あるいは-NR’R”は一緒につながって、置換または非置換の飽和または不飽和3~10員環を形成しており、それが同一または異なっていてもよく、NRf(式中、Rfは、水素、または置換もしくは非置換のアルキルである)またはSから選択されるヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、請求項13記載の化合物。」との記載を、
「(+)-2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オンまたはその薬学的に許容し得る塩である、請求項13記載の化合物。」に訂正する。
[訂正事項5]
請求項19の「R’およびR”のそれぞれが、水素またはメチルから選択されるか、あるいは-NR’R”が一緒に、
【化10】
から選択される、請求項18記載の化合物。」との記載を、
「(-)-2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3- (3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オンまたはその薬学的に許容し得る塩である、請求項13記載の化合物。」に訂正する。
[訂正事項6]
請求項37の「請求項1~21」との記載を、
「請求項1~14、16、17、20および21」に訂正する。
そして、訂正事項1~5による本件訂正により、請求項15~19を直接的又は間接的に引用する請求項23~36も実質的に訂正され、訂正事項2及び3により、請求項16及び17を引用する請求項37も実質的に訂正される。
第3 当審の判断
1 本件訂正前の各請求項の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、10、12~19、23~37の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
式:
【化1】
・・・
の化合物、またはその互変異性体、そのN-酸化物、もしくはその薬学的に許容しうる塩であって、
式中、
Rのそれぞれの出現は、独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、・・・から選択され、・・・;
R1およびR2は、同一または異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換のC1~6アルキル、・・・から選択されるか・・・;
Cy1は、・・・置換または非置換のアリール、・・・から選択され;
Cy2は、置換または非置換の複素環基、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリールから選択され;
L1は、存在しないか、・・・から選択され;
・・・である、
化合物、またはその互変異性体、そのN-酸化物、もしくはその薬学的に許容しうる塩。」
「【請求項10】
L1-Cy2が、
【化3】
から選択され、
式中、
Xは、CR3であり;
R3のそれぞれの出現は独立して、水素、・・・置換もしくは非置換のアリール、・・・から選択され・・・;
R’およびR”のそれぞれの出現は独立して、水素、・・・から選択されるか・・・;
・・・である、
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物。」
「【請求項12】
式(IA-I)、・・・または(IA-IIb):
【化5】
の化合物か、またはその互変異性体、そのN-酸化物、もしくはその薬学的に許容しうる塩であって、
式中、
Rは、ハロゲン、・・・から選択され;
R1およびR2は、同一または異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換のC1~6アルキルから選択されるか・・・;
Cy1は、・・・置換または非置換のアリール、・・・から選択される単環基であり;
Xは、CR3であり;
R3のそれぞれの出現は独立して、水素、・・・置換もしくは非置換のアリール、・・・から選択され・・・;
R’およびR”のそれぞれの出現は独立して、水素、・・・から選択されるか・・・;
・・・である、
化合物か、またはその互変異性体、そのN-酸化物、もしくはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項13】
式(IA-VI):
【化6】
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩であって、
式中、
R、R1およびR2が、請求項1記載の通りであり;
R3、R’、R”、およびXが、請求項10記載の通りであり;
R5のそれぞれの出現が、水素、C1~6アルキル、またはハロゲンであり;
pが、0、1、2、3、4、または5である、化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項14】
式(IA-VIII):
【化7】
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩であって、
式中、
R、R1、R2が、請求項1記載の通りであり;
Xが、請求項10記載の通りであり;
R5のそれぞれの出現が、水素、C1~6アルキル、またはハロゲンであり;
pが、0、1、2、3、4、または5である、化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項15】
R3が、水素、ハロゲン、シアノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のヘテロアリールである、請求項10および12~14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
R3が、
【化8】
から選択され、
式中、
前記変化し得るR3についての化学式中のXのそれぞれの出現が独立して、CR4、またはNであり;
X1が、O、S、またはNR4であり;
R4のそれぞれの出現が独立して、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル環、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換のグアニジン、-COORx、-C(O)Rx、-C(S)Rx、-C(O)NRxRy、-C(O)ONRxRy、-NRyRz、-NRxCONRyRz、-N(Rx)SORy、-N(Rx)SO2Ry、-(=N-N(Rx)Ry)、-NRxC(O)ORy、-NRxRy、-NRxC(O)Ry-、-NRxC(S)Ry、-NRxC(S)NRyRz、-SONRxRy-、-SO2NRxRy-、-ORx、-ORxC(O)NRyRz、-ORxC(O)ORy-、-OC(O)Rx、-OC(O)NRxRy、-RxNRyC(O)Rz、-RxORy、-RxC(O)ORy、-RxC(O)NRyRz、-RxC(O)Rx、-RxOC(O)Ry、-SRx、-SORx、-SO2Rx、または-ONO2から選択され、ここで上記基のそれぞれにおけるRx、Ry、およびRzは、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキルアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換の複素環、置換のヘテロシクリルアルキル環、または置換もしくは非置換のアミノであってもよく、あるいはRx、Ry、およびRzのうちの任意の2つがつながって、置換または非置換の飽和または不飽和3~10員環を形成していてもよく、それが同一または異なっていてもよく、O、NRf(式中、Rfは、水素、または置換もしくは非置換のアルキルである)またはSから選択されるヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R3が、
【化9ーA】
【化9ーB】
から選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
R’およびR”のそれぞれが、水素またはC1~6アルキルから選択されるか、あるいは-NR’R”は一緒につながって、置換または非置換の飽和または不飽和3~10員環を形成しており、それが同一または異なっていてもよく、NRf(式中、Rfは、水素、または置換もしくは非置換のアルキルである)またはSから選択されるヘテロ原子を任意で含んでいてもよい、請求項13記載の化合物。
【請求項19】
R’およびR”のそれぞれが、水素またはメチルから選択されるか、あるいは-NR’R”が一緒に、
【化10】
から選択される、請求項18記載の化合物。」
「【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項記載の化合物および薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項24】
抗癌剤、抗炎症薬、免疫抑制剤、ステロイド剤、非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、およびそれらの混合物から選択される1種以上の更なる治療薬を更に含む、請求項23記載の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~22のいずれか記載の化合物の有効量を含む、細胞内に存在するPI3キナーゼの触媒活性を阻害するための組成物。
【請求項26】
癌、骨障害、炎症性疾患、免疫疾患、神経系疾患、代謝疾患、呼吸器疾患、血栓症、または心臓疾患である疾患または障害に罹患した対象において使用される、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
キナーゼの触媒活性を阻害することが有利となるであろう疾患、障害または状態を治療する医薬品の製造における、請求項1~22のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項28】
前記キナーゼがPI3キナーゼである、請求項27記載の化合物の使用。
【請求項29】
請求項1~22のいずれか1項記載の化合物の有効量を含む、PI3K関連疾患または障害を治療するための組成物。
【請求項30】
少なくとも1種の他の抗癌剤、抗炎症薬、免疫抑制剤、ステロイド剤、非ステロイド系抗炎症薬、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、またはそれらの混合物と組み合わせて同時または連続投与されるものである、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
PI3K関連疾患、障害または状態が免疫系に関連する疾患、炎症を含む疾患もしくは障害、癌もしくは他の増殖性疾患、肝臓疾患もしくは障害、または腎臓疾患もしくは障害である、請求29または30記載の組成物。
【請求項32】
PI3K関連疾患、障害または状態が炎症、糸球体腎炎、ブドウ膜炎、肝臓疾患または障害、腎臓疾患または障害、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、血管炎、皮膚炎、骨関節炎、炎症性筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗しょう症、湿疹、同種異系間または異種間移植、移植片拒絶、移植片対宿主病、エリテマトーデス、肺線維症、皮膚筋炎、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎、肝炎、アトピー性皮膚炎、喘息、シェーグレン症候群、臓器移植片拒絶、多発性硬化症、ギラン・バレー病、自己免疫性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫などの血管炎、ベーチェット病、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、I型または免疫性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎および睾丸炎、副腎の自己免疫障害、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、移植片拒絶、皮膚移植片拒絶、関節炎、骨吸収の増加に関連する骨疾患;回腸炎、バレット症候群、成人性呼吸促迫症候群、慢性閉塞性疾患、角膜ジストロフィー、トラコーマ、オンコセルカ症、交感性眼炎、眼内炎;歯肉炎、歯周炎;結核;らい病;腎不全合併症、ネフローゼ;硬化性皮膚炎、乾癬、神経系の慢性脱髄疾患、AIDS関連の神経変性疾患、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症、ウイルスまたは自己免疫性脳炎;自己免疫障害、免疫複合体血管炎、全身性狼瘡およびエリテマトーデス;全身性エリテマトーデス(SLE);心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性硬化症、子癇前症;慢性肝不全、脳および脊髄損傷、ならびに癌から選択される、請求項29または30記載の組成物。
【請求項33】
PI3K関連疾患、障害または状態がリンパ球系列の造血細胞腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫;骨髄系列の造血細胞腫瘍、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球性白血病;膀胱の癌腫、乳房の癌腫、結腸の癌腫、腎臓の癌腫、肝臓の癌腫、肺の癌腫、小細胞肺癌;食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌、皮膚癌、扁平上皮癌;間葉系臓器の腫瘍、線維肉腫、横紋筋肉腫;中枢および末梢神経系の腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞種、グリオーマ、神経鞘腫;黒色腫、セミノーマ、テラトカルシノーマ、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌およびカポジ肉腫から選択される、請求項29または30記載の組成物。
【請求項34】
PI3K関連疾患、障害または状態が慢性閉塞性肺疾患、喘息、関節リウマチ、慢性気管支炎、炎症性腸疾患、アレルギー性鼻炎、エリテマトーデスおよび潰瘍性大腸炎から選択される、請求項32記載の組成物。
【請求項35】
PI3K関連疾患、障害または状態がリンパ球系列の造血細胞腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫;骨髄系列の造血細胞腫瘍、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球性白血病、またはくすぶり型多発性骨髄腫、非分泌骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、プラズマ細胞白血病、孤立型形質細胞腫、および骨髄外形質細胞腫をはじめとする多発性骨髄腫から選択される、請求項33記載の組成物。
【請求項36】
PI3K関連疾患、障害または状態が慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、またはインドレント非ホジキンリンパ腫(I-NHL)から選択される、請求項33または35記載の組成物。
【請求項37】
式(10)、(12)、(14)、および(15)から選択される化合物であって、
【化11】
式中、
R、R1、R2、およびCy1が請求項1~21のいずれか一項に記載の通りであり、
Xがハロゲンである、化合物。」
2 一群の請求項ごとに訂正を請求することについて
本件請求は、二以上の請求項が記載された特許請求の範囲の訂正を、請求項ごとに請求するものであるので、本件訂正が特許法第126条第3項の規定に適合するものであるかを検討する。
訂正事項1は請求項15について、訂正事項2は請求項16について、訂正事項3は請求項17について、訂正事項4は請求項18について、訂正事項5は請求項19について、訂正事項6は請求項37についてそれぞれ訂正をするものであるところ、本件訂正前の請求項23~37は、いずれも直接的又は間接的に請求項15~19を引用するから、訂正事項1~5により実質的に訂正されるものであり(なお、請求項37は訂正事項6によりその記載自体訂正される)、請求項15~19及び23~37は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
そして、本件請求は、請求項15~19及び23~37について請求するものであるから、特許法第126条第3項に適合する。
3 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
訂正事項1は請求項15についてのものであるところ、本件訂正後の「2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン」は「
」
の化学構造を有する化合物である。そして、本件訂正前に、請求項15は請求項10及び12~14を引用し、請求項10は請求項1~9を引用するところ、本件訂正前の請求項1、請求項10の記載は上記1で示したとおりである。
ここで、本件訂正後の請求項15に記載の化合物は、本件訂正前の請求項15に記載の化合物における少なくとも次の化合物に該当する。
請求項1を引用する請求項10を引用する請求項15において、請求項1に記載の式(I)のRがフルオロであり、R1及びR2の一方が水素で、他方がメチルであり、Cy1が3-フロオロ-フェニルであり、かつ、L1-Cy2が、請求項10に記載のbであって、X=CR3のR3が水素であり、ピラゾール環に結合するR3が3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニルである化合物
したがって、本件訂正後の請求項15の化合物は、本件訂正前の請求項15に記載された化合物のうちの1つの化合物であり、また、請求項15について、本件訂正前に請求項10及び12~14を引用していたものを請求項10を引用するものとすることで引用する請求項のうち請求項12~14を削除するものであることから、訂正事項1による本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項1による本件訂正後の請求項15に記載の化合物は、特許請求の範囲の請求項22の6番目及び明細書の段落【0428】の実施例6に記載された化合物であるから、訂正事項1による本件訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項1による本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更について
訂正事項1による本件訂正後の請求項15に記載の化合物は、本件訂正前の請求項15に記載された化合物のうちの1つの化合物であることから、訂正事項1による本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1による本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1による本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、訂正事項1による本件訂正後の請求項15に記載の化合物は、特許請求の範囲の請求項22及び明細書に記載された化合物であるから、訂正事項1による訂正後の請求項15に記載されている事項により特定される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項1による本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
訂正事項1について、本件訂正前後に請求項15を直接的又は間接的に引用する請求項23~36についても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、独立特許要件を満たすものである。
4 訂正事項2及び3について
訂正事項2は請求項16についての訂正であり、訂正事項3は請求項17についての訂正であるところ、本件訂正前の請求項16及び17は上記1で示したとおりである。
そして、本件訂正前の請求項16及び17はいずれも請求項15を引用し、本件訂正前の請求項15は請求項10及び12~14を引用するところ、本件訂正後の請求項15に係る発明は1の特定の化合物についてのものであり、かつ、本件訂正後の請求項15に記載の化合物におけるR3の一つは水素であって、本件訂正前の請求項16及び17に記載のR3とは異なるから、請求項16及び17が請求項15を引用したままでは請求項16及び17の記載が明瞭でないものとなる。したがって、訂正事項2及び3による本件訂正は、請求項16及び17の記載について、引用する請求項を、請求項15から、本件訂正前に請求項15を介して引用していた請求項10及び12~14に訂正することで、明瞭でない記載を釈明するものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
そして、前記のとおり、訂正事項2及び3による本件訂正は、請求項16及び17について、それらが引用していた請求項15から本件訂正前に請求項15を介して引用していた請求項10及び12~14に変更するに過ぎないものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
訂正事項2及び3について、本件訂正前後に請求項16及び17を直接的又は間接的に引用する請求項23~37についても、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
5 訂正事項4について
(1)訂正の目的について
訂正事項4は請求項18についてのものであるところ、本件訂正後の「(+)-2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン」(本件訂正後の請求項15に記載の化合物について旋光性を+に特定したものである。)は、本件訂正前の請求項18において、本件訂正前の請求項18が引用し、置換基の定義において請求項1及び10を引用する請求項13に記載の式(IA-VI)のRがフルオロであり、R1及びR2の一方が水素で、他方がメチルであり、X=CR3のR3が水素であり、ピラゾール環に結合するR3が3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニルであり、R’及びR’’が水素であり、pが1であり、R5が3位のフルオロであって、旋光性が+である化合物に該当する。
したがって、本件訂正後の請求項18の化合物は、本件訂正前の請求項18に記載された化合物のうちの1つの化合物であることから、訂正事項4による本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項4による本件訂正後の請求項18に記載の化合物は、特許請求の範囲の請求項22の7番目及び明細書の段落【0429】の実施例7に記載された化合物であるから、訂正事項4による本件訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項4による本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更について
訂正事項4による本件訂正後の請求項18に記載の化合物は、本件訂正前の請求項18に記載された化合物のうちの1つの化合物であることから、訂正事項4による本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4による本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項4による本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、訂正事項4による本件訂正後の請求項18に記載の化合物は、特許請求の範囲の請求項22及び明細書に記載された化合物であるから、訂正事項4による訂正後の請求項18に記載されている事項により特定される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項4による本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
訂正事項4について、本件訂正前後に請求項18を直接的又は間接的に引用する請求項23~36についても、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、独立特許要件を満たすものである。
6 訂正事項5について
(1)訂正の目的について
訂正事項5は請求項19についてのものであるところ、本件訂正後の「(-)-2-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-5-フルオロ-3-(3-フルオロフェニル)-4H-クロメン-4-オン」(本件訂正後の請求項15に記載の化合物について旋光性を-に特定したものである。)は、本件訂正前の請求項19において、本件訂正前の請求項19が請求項18を介して引用し、置換基の定義において請求項1及び10を引用する請求項13に記載の式(IA-VI)のRがフルオロであり、R1及びR2の一方が水素で、他方がメチルであり、X=CR3のR3が水素であり、ピラゾール環に結合するR3が3-フルオロ-4-イソプロポキシフェニルであり、R’及びR’’が水素であり、pが1であり、R5が3位のフルオロであって、旋光性が-である化合物に該当する。
したがって、本件訂正後の請求項19の化合物は、本件訂正前の請求項19に記載された化合物のうちの1つの化合物である。
また、本件訂正前に請求項19は請求項18を引用するところ、本件訂正により、請求項18に係る化合物は請求項19に係る化合物とは異なる化合物となり、請求項18を引用したままでは請求項19の記載が不明瞭となる。
したがって、訂正事項5による本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当する。
(2)新規事項の追加の有無について
訂正事項5による本件訂正後の請求項19に記載の化合物は、特許請求の範囲の請求項22の8番目及び明細書の段落【0429】の実施例8に記載された化合物であるから、訂正事項5による本件訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項5による本件訂正は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の実質上の拡張・変更について
訂正事項5による本件訂正後の請求項19に記載の化合物は、本件訂正前の請求項19に記載された化合物のうちの1つの化合物であることから、訂正事項5による本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4による本件訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項5による本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるところ、訂正事項5による本件訂正後の請求項19に記載の化合物は、本件明細書に記載された化合物であるから、訂正事項5による訂正後の請求項19に記載されている事項により特定される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、訂正事項5による本件訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
訂正事項5について、本件訂正前後に請求項19を直接的又は間接的に引用する請求項23~36についても、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加はなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、独立特許要件を満たすものである。
7 訂正事項6について
訂正事項6による本件訂正は、請求項37について、本件訂正前に請求項1~21を引用していたのを、本件訂正後に請求項1~14、16、17、20及び21を引用するものとするものであるところ、当該訂正は、引用する請求項のうち請求項15、18及び19を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、また、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでなく、訂正後の請求項19に記載されている事項により特定される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、特許法第126条第5項ないし第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、訂正事項1~6による請求項15~19、23~37についての本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項の一方又は両方を目的とする訂正に該当し、特許法第126条第3項及び第5項ないし第7項の規定に適合するものであるから、本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項15~19、23~37について訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-390102