特許拒絶査定不服審判
2017-016002
オフロードを通じた改善されたWLAN使用のための3GPPWLAN相互作用のための方法
- 審判番号
- 2017-016002
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-506673外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年10月27日
- 審決日
- 2019年01月29日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- P18 .537-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-506673「オフロードを通じた改善されたWLAN使用のための3GPPWLAN相互作用のための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/165832、平成28年 5月23日国内公表、特表2016-514930〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)4月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年4月4日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年12月7日に手続補正書が提出され、平成28年10月4日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月21日付けで拒絶査定されたところ、同年10月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~13に係る発明は、平成29年10月27日付け手続補正により補正された請求項1~13に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項4に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、引用する請求項1及び2とともに示すと以下のとおりである。
「 【請求項1】
無線送信/受信ユニット(WTRU)においてWLANネットワークへまたはWLANネットワークからトラフィックをオフロードするか否かを決定する方法であって、
前記WTRUにおいて、少なくとも1つの構成されたWLANオフロード条件に従って、前記WLANネットワークへまたは前記WLANネットワークからトラフィックを導くかどうかを決定することであって、前記構成されたWLANオフロード条件は、少なくともサービングセル測定および設定しきい値に基づく、ことと、
前記構成されたWLANオフロード条件をWTRU高位レイヤにて評価することと、
前記構成されたWLANオフロード条件が満たされている場合には、トラフィックを前記WLANネットワークへまたは前記WLANネットワークから導くことと
を備える方法。
【請求項2】
前記WTRUにおいて、無線アクセスネットワークから前記設定しきい値を受信することであって、前記設定しきい値は、前記WLANネットワークへまたは前記WLANネットワークからトラフィックを導く前記WTRUのための無線アクセスネットワーク設定の前記WTRUへの暗黙の表示を含むことと、
前記WLANネットワークへまたは前記WLANネットワークから導くトラフィックの状況を少なくとも評価することにより前記設定しきい値を評価することと
をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項4】
前記設定しきい値を評価することに応じて、前記設定しきい値またはオフロードを望む表示の少なくとも1つをWTRUアクセス層から前記WTRU高位レイヤに転送することをさらに備える、請求項2の方法。」
第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、平成28年10月4日付け拒絶理由通知の理由は、概略、次のとおりのものである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
・請求項 4
補正後の請求項4における「前記設定しきい値を評価することに応じて、前記設定しきい値またはオフロードを望む表示の少なくとも1つをWTRUアクセス層からWTRU高位レイヤに転送する」という記載は、「前記設定しきい値を評価することに応じて」、「前記設定しきい値」「をWTRUアクセス層からWTRU高位レイヤに転送する」という事項を含むものと認められる。
しかしながら、本願明細書の段落【0110】、【0111】、【0121】~【0123】をみても、発明の詳細な説明には、「前記設定しきい値を評価することに応じて」、「前記設定しきい値」「をWTRUアクセス層からWTRU高位レイヤに転送する」当該事項は、記載も示唆もされていない。
したがって、請求項4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
よって、請求項4に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
第4 当審の判断
1 発明の詳細な説明の記載
本願発明に関連して、本願発明の詳細な説明には次のような記載がある。
「【0105】
サービングセルを、構成されているしきい値Offload_Thresholdと比較するために、OffloadDesired測定イベントが指定されることが可能である。eNBは、しきい値を、パラメータに基づいて、例えば、WTRU負荷、セル輻輳レベルなどに関して、eNBの観点からオフロードが好ましいWTRUを示すことができる高い値に再構成することができる。
【0106】
入る状況が、下記のように特徴付けられることが可能である。
入る状況:サービングセル(Mp)+ヒステリシス+Offload_Offset<Offload_Threshold
【0107】
出る状況が、下記のように特徴付けられることが可能である。
出る状況:サービングセル(Mp)+ヒステリシス+Offload_Offset>Offload_Threshold
【0108】
イベントがトリガーされた場合には、WTRUは、複数のアクションのうちの1または複数を実行するように構成されることが可能である。例えば、入る状況測定イベントがトリガーされて、802.11ネットワークが利用可能である場合には、スタックは、802.11 RAT上での測定を開始するための指示を802.11 WiFiモジュールへ送信することができる。出る状況測定イベントがトリガーされて、802.11ネットワークが利用可能である場合には、スタックは、802.11 RAT上での測定を停止するための指示を802.11 WiFiモジュールへ送信することができる。変数OffloadDesiredIndicationが、WTRUにおいて保持されることが可能である。入る状況測定イベントがトリガーされた場合には、変数OffloadDesiredIndicationが設定されることが可能であり、その値は、より高位のレイヤへ送信されることが可能である。出る状況測定イベントがトリガーされた場合には、変数OffloadDesiredIndicationがリセットされることが可能であり、その値は、より高位のレイヤへ送信されることが可能である。これらの手順は、新たな測定イベントを用いて、または、例えばA2に関する既存の測定イベントを使用してトリガーされることが可能である。
【0109】
WTRUプロトコルスタックまたはより高位のレイヤは、複数のアクションのうちの1または複数を実行することができる。例えば、オフロードに適している付近のアクセスポイント、およびオフロードされるのに利用可能なトラフィックがあるかどうかを特定することを実行し始めるようANDSFポリシーエンジンをトリガーするために、変数OffloadDesiredIndicationが使用されることが可能である。変数OffloadDesiredIndicationを考慮に入れるポリシーまたはルールが、WTRUのANDSFポリシーエンジン内にインストールされることが可能である。その変数の現在の値に基づいて、ポリシールールは、別々のアクションを実行することができる。例えば、OffloadDesiredIndicationがオンである場合には、どのトラフィッククラスがオフロードされるのに適格であるかに関するルールは、異なるものであることが可能であり、例えば、すべてのトラフィッククラスが適格とみなされることが可能である。
【0110】
変数OffloadDesiredIndicationは、より高位のレベル(例えば、接続マネージャー)によって、ANDSFポリシーエンジンまたはルールを迂回するために使用されることが可能である。例えば、WTRUユーザサブスクリプションプロファイルに応じて、WTRU高位レイヤが、より低位のレイヤ、例えば、RRCまたはPHYからの変数OffloadDesiredIndicationの受信時に、ANDSFポリシーエンジンまたはルールを迂回するために、例えば、RRC接続確立またはPDN接続確立中に、ネットワークによって構成または指示されることが可能である。
【0111】
変数OffloadDesiredIndication、例えば、出る状況は、例えば禁止タイマーによって制御される特定の量の時間にわたるオフロードの禁止を、高位のレイヤ、例えば接続マネージャーに示すために使用されることが可能である。変数OffloadDesiredIndicationを受信すると、WTRU高位レイヤは、例えば禁止タイマーによって制御される特定の量の時間にわたってオフロードを禁止することを自律的に決定することができる。変数OffloadDesiredIndication、例えば、出る状況は、WiFi RATから非WiFi RAT(例えば、UTRAN RAT、LTE RAT)へのオフロードを、より高位のレイヤからトリガーするために使用されることが可能である。
・・・略・・・
【0121】
WTRUスタックは、OffloadDesiredIndicationを、WTRU高位レイヤ、例えば接続マネージャーおよび/またはANDSFポリシーエンジンに送信することができる。例えば、OffloadDesiredIndication変数を受信すると、WTRU高位レイヤは、接続マネージャーおよび/またはANDSFポリシールールを評価または実行することができ、その評価の結果として、トラフィックをWTRU WiFi RATへオフロードすることができる。これは、例えば、OffloadDesired測定イベント入る状況ケースから生じるOffloadDesiredIndicationに関するケースである場合がある。
【0122】
OffloadDesiredIndication変数を受信すると、WTRU高位レイヤは、接続マネージャーおよび/またはANDSFポリシールールを評価または実行することができ、その評価の結果として、トラフィックをWTRU非WiFi RAT(例えば、UTRAN RAT、LTE RAT)へオフロードすることができる。これは、OffloadDesired測定イベント出る状況ケースから生じるOffloadDesiredIndicationに関するケースである場合がある。
【0123】
OffloadDesiredIndication、例えば、出る状況は、例えば禁止タイマーによって制御される特定の量の時間にわたるオフローディングの禁止を、より高位のレイヤ、例えば接続マネージャーに示すために使用されることが可能である。OffloadDesiredIndication変数を受信すると、WTRU高位レイヤは、例えば禁止タイマーによって制御される特定の量の時間にわたってオフローディングを禁止することを自律的に決定することができる。」
2.判断
本願の請求項4は「前記設定しきい値を評価することに応じて、設定しきい値またはオフロードを望む表示の少なくとも1つをWTRUアクセス層から前記WTRU高位レイヤに転送すること」を含んでいる。
一方、発明の詳細な説明の記載によると、段落【0108】には、「入る状況測定イベントがトリガーされた場合には、変数OffloadDesiredIndicationが設定されることが可能であり、その値は、より高位のレイヤへ送信される・・・・出る状況測定イベントがトリガーされた場合には、変数OffloadDesiredIndicationがリセットされることが可能であり、その値は、より高位のレイヤへ送信される・・・」と記載されている。
また、段落【0121】には、WTRUスタックが、OffloadDesiredIndicationを接続マネージャーおよび/またはANDSFポリシーエンジンなどのWTRU高位レイヤに送信することが記載されており、段落【0110】【0121】にはWTRU高位レイヤが変数OffloadDesiredIndicationを受信することが記載されている。
ここで、段落【0108】における「より高位のレイヤ」は、段落【0110】【0121】の「WTRU高位レイヤ」に対応するから、発明の詳細な説明には、「変数OffloadDesiredIndication」がWTRU高位レイヤに送信され、WTRU高位レイヤによって受信されることが記載されているといえる。そして、「変数OffloadDesiredIndication」は請求項4の「オフロードを望む表示」に対応することは明らかである。そうしてみると、発明の詳細な説明には、オフロードを望む表示がWTRU高位レイヤに送信されることについては記載されているものの、設定しきい値に関しては段落【0105】~【0108】にイベントのトリガーにしきい値Offload_Thresholdを用いることが記載されてはいるが、上述した段落【0108】【0121】をみても設定しきい値をWTRU高位レイヤに転送することについては記載されていない。
また、段落【0109】~【0111】及び【0121】~【0123】には「変数OffloadDesiredIndication」を高位レイヤで使用することが記載されているが、設定しきい値を高位レイヤで使用することについては記載されていないことから、設定しきい値がWTRU高位レイヤに転送されていることが間接的に示されているということもできない。
そして、設定しきい値をWTRU高位レイヤに転送することは、本願の優先日時点における技術常識に照らしても自明のこととはいえない。
したがって、「前記設定しきい値を評価することに応じて、設定しきい値またはオフロードを望む表示の少なくとも1つをWTRUアクセス層から前記WTRU高位レイヤに転送すること」との事項を含む本願発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない。
なお、請求人の意見書及び審判請求書における主張は、設定しきい値がWTRU高位レイヤに転送されていることは段落【0105】~【0110】及び【0121】の記載などによってサポートされているというものであるが、上述のように発明の詳細な説明の記載を検討しても設定しきい値をWTRU高位レイヤに転送することは記載されているとはいえず、請求人の上記主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、本件出願は、特許請求の範囲の記載に不備があり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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