特許拒絶査定不服審判
2022-017268
LTE-NRインターワーキングにおける測定をトリガすることに関する
- 審判番号
- 2022-017268
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-528379外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年10月27日
- 審決日
- 2023年09月12日
- 公報発行日
- 2024年03月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
- 【請求人代理人】園田 吉隆
- 【請求人代理人】小梶 晴美
- 【請求人代理人】石岡 利康
- 分類
- P18 .537-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-528379「LTE-NRインターワーキングにおける測定をトリガすることに関する」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 6月 6日国際公開、WO2019/106575、令和 3年 2月15日国内公表、特表2021-505027〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)11月28日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年11月28日 アメリカ合衆国(US))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月17日付け 拒絶理由通知書
令和3年 9月22日 意見書及び手続補正書の提出
令和4年 2月 7日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和4年 5月13日 意見書の提出
令和4年 6月15日付け 拒絶査定
令和4年10月27日 審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし19に係る発明は、令和3年9月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(記号(A)ないし(E)は、請求項を分節するため当審で付したものであり、以下、発明特定事項(A)ないし(E)という。)。
「 【請求項1】
(A) 無線デバイス(110)における方法であって、(A1)前記無線デバイスは、第1の無線アクセスノード(160)に現在接続され、(A2)前記無線デバイスが測定を実施することを開始するときを制御する、前記第1の無線アクセスノードによるs-measureが設定され、(A3)前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、前記方法は、
(B) 第1のRATと関連付けられている第1のs-measure基準と第2のRATと関連付けられている第2のs-measure基準とを含むs-measure基準を維持することと、
(C) 第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始することと、
(D) 第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの前記測定を実施することを開始することと
(E)を含む、方法。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、令和4年2月7日付けの拒絶理由通知で通知した拒絶の理由であって、概略は以下のとおりのものである。
(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
請求項1の「現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず」との状態で、「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは、発明の詳細な説明に記載されておらず、また発明の詳細な説明の記載から自明な事項ということもできない。
さらに、請求項1の「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの前記測定を実施すること」は、発明の詳細な説明に記載されておらず、また発明の詳細な説明の記載から自明な事項ということもできない。
よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
第4 発明の詳細な説明の記載
前記「第3 原査定における拒絶の理由」は、つまり、「発明特定事項(A3)の前提において発明特定事項(C)が発明の詳細な説明に記載したものでない。又は、発明特定事項(A3)の前提において発明特定事項(D)が発明の詳細な説明に記載したものでない。」ということであるから、以下では発明特定事項(A3)、(C)及び(D)に関連する記載について検討する。
令和3年9月22日に提出された意見書、令和4年5月13日に提出された意見書及び審判請求書で根拠として挙げられた記載として、以下の記載がある。
1 「【0019】
本開示のいくつかの態様およびそれらの実施形態は、本明細書で開示される問題のうちの1つまたは複数に対処するソリューションを提供し得る。たとえば、いくつかの実施形態によれば、2つの無線アクセス技術(RAT)間のデュアルコネクティビティ(DC)モードにおいて動作しているかまたは動作することが可能であるUEに、各RATのためのs-measure設定が設定され得る。
【0020】
いくつかの実施形態は、2つのシナリオに従って動作する。
- DCがセットアップされる前:第1のRATのみ(たとえば、LTE)に接続されたUEに、別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定が設定されたとき、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施することを開始する。
- DCがセットアップされた後:
○ オプション1:DCがセットアップされる前と同じ挙動が適用される(すなわち、第1のRATが第2のRATに関する測定を設定する場合、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施する)
○ オプション2:第2のRATによって設定されたs-measureが、第2のRATに関係している第1のRATによって設定された測定のトリガリングを制御するために使用される(すなわち、UEは、SNのs-measure基準が満たされるとき、第2のRATに関係する測定を、それらの測定が第1のRATによって設定されたのか、第2のRATによって設定されたのかにかかわらず、実施することを開始する)。」
2 「【0089】
図8は、いくつかの実施形態による、無線デバイス110による例示的な方法600を示す。無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードに現在接続され、無線デバイス110が測定を実施することを開始するときを制御する、第1の無線アクセスノードによる少なくとも1つのs-measureで設定される。特定の実施形態では、無線デバイス110は、図4に関して上記で説明されたUE200などのUEを含み得る。特定の実施形態では、第1の無線アクセスノードおよび第2の無線アクセスノードは、図2に関して上記で説明されたネットワークノード160などのネットワークノードを含み得る。
【0090】
ステップ610において、第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに測定を実施することを開始する。
【0091】
ステップ620において、第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」
3 「【0114】
グループA実施形態:
実施形態1(シナリオ1:DCがセットアップされる前): ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であり、第1のノードに現在接続され、ユーザ機器が測定を実施することを開始するときを制御する、第1のノードによるs-measureが設定され、方法は、
第2のRAT上での測定を実施するように第1のノードによって設定されると、第1のノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始すること
を含む、方法。
実施形態2(シナリオ2:DCがセットアップされた後): ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
第2のノードのs-measure基準を満たすと、第2のRAT上で設定されたすべての測定についての測定を、これらの測定が、第1のノードによって設定されたのか、第2のノードによって設定されたのかにかかわらず、実施することを開始すること
を含む、方法。
実施形態3. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとで設定され、方法は、
UEによって、2つの異なるRAT間のデュアルコネクティビティ中の挙動をハンドリングするs-measureを指定するパラメータ(たとえば、inter-RAT-sMeasureActivate)を維持することと、
inter-RAT-sMeasureActivateパラメータが真にセットされた場合、第2のRATのs-measure基準を満たすと、第1のノードによって設定された第2のRAT上での測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態4. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
UEによって、2つのinter-RAT-sMeasureActivateパラメータ、inter-RAT-sMeasureActivate-firstRATとinter-RAT-sMeasureActivate-secondRATと、を維持することと、
inter-RAT-sMeasureActivate-firstRATが真にセットされた場合、第2のRATのs-measure基準を満たすと、第1のノードによって設定された第2のRAT上での測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態5. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
UEによって、2つの設定パラメータ2つのinter-RAT-sMeasureActivateパラメータ、inter-RAT-sMeasureActivate-firstRATとinter-RAT-sMeasureActivate-secondRATと、を維持することと、
inter-RAT-sMeasureActivate-secondRATが真にセットされた場合、第1のRATのs-measure基準を満たすと、第2のノードによって設定された第1のRAT上での測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態6. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
第2のRATのs-measure基準を満たすと、第1のノードによって設定されたすべての測定を実施することを開始すること
を含む、方法。
実施形態7. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
UEによって、2つの異なるRAT間のデュアルコネクティビティ中の挙動をハンドリングするs-measureを指定するパラメータ(たとえば、inter-RAT-sMeasureActivateAll)を維持することと、
このパラメータが真にセットされた場合、第2のRATのs-measure基準を満たすと、第1のノードによって設定されたすべての測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態8. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
UEによって、2つの異なるRAT間のデュアルコネクティビティ中の挙動をハンドリングするs-measureを指定する2つの設定パラメータ(たとえば、inter-RAT-sMeasureActivateAll-FirstRATおよびinter-RAT-sMeasureActivateAll-SecondRAT)を維持することと、
inter-RAT-sMeasureActivateAll-FirstRATが真にセットされた場合、第2のRATのs-measure基準を満たすと、第1のRATによって設定されたすべての測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態9. ユーザ機器(UE)における方法であって、UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し、第1のノードと第2のノードの両方に現在接続され、第1のノードからのs-measureと第2のノードからの別のs-measureとが設定され、方法は、
UEによって、2つの異なるRAT間のデュアルコネクティビティ中の挙動をハンドリングするs-measureを指定する2つの設定パラメータ(たとえば、inter-RAT-sMeasureActivateAll-FirstRATおよびinter-RAT-sMeasureActivateAll-SecondRAT)を維持することと、
inter-RAT-sMeasureActivateAll-SecondRATが真にセットされた場合、第1のRATのs-measure基準を満たすと、第2のノードによって設定されたすべての測定を実施することを開始することと
を含む、方法。
実施形態10. 第1のRATがLTEであり、第2のRATがNRであり、またはその逆もある、上記の実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。」
4 「
[図:0001407307000001.jpg]
」
第5 当審の判断
1 発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことについて
審判請求人は、上記発明特定事項(A3)、(C)及び(D)に関して、令和3年9月22日に提出された意見書においては、「(B) 補正について」の中では「本願明細書段落0020、0089、0114等の記載」を補正の根拠としており、また「(C)本願発明が特許されるべき理由」の中では段落【0114】を引用して説明しており、令和4年5月13日に提出された意見書においては、「本願明細書段落0020、0089、0114等の記載に基づきます」とし、具体的には、段落【0020】と【0114】を根拠に、発明の詳細な説明に記載したものである旨主張し、及び審判請求書において、段落【0019】、【0020】、【0089】ないし【0091】、及び【図8】を根拠に、発明の詳細な説明に記載したものである旨主張している(後記「3」を参照。)。そこで、段落【0019】、【0020】、【0089】ないし【0091】、【0114】、及び【図8】の各記載について、順に検討する。
(1)段落【0019】及び【0020】の記載について
上記「第4」の「1」の段落【0019】には「2つの無線アクセス技術(RAT)間のデュアルコネクティビティ(DC)モードにおいて動作しているかまたは動作することが可能であるUEに、各RATのためのs-measure設定が設定され得る。」との記載がある。当該記載において、無線デバイスであるUEが、デュアルコネクティビティモードにおいて動作していることは明記されている一方で、動作していないことは明記されていない。しかしながら、「デュアルコネクティビティ(DC)モードにおいて動作しているかまたは動作することが可能であるUE」と、デュアルコネクティビティモードにおいて動作していることと並列に、デュアルコネクティビティモードにおいて動作することが可能であることが記載していることを鑑みれば、「デュアルコネクティビティモードにおいて・・・動作することが可能である」とは、デュアルコネクティビティモードにおいて動作することが可能であるが、動作はしていないことを含んでいると解され得る。しかしながら、段落【0019】は、デュアルコネクティビティ(DC)モードを設定可能なUEには、複数のs-measureが設定できるということの記載にすぎず、本願発明の発明特定事項(C)のように、s-measure設定後の「測定の実施」については記載も示唆もない。
また、上記「第4」の「1」の段落【0020】には「2つのシナリオ」として「DCがセットアップされる前」と、「DCがセットアップされた後」について記載されている。ここで、本願発明は、上記発明特定事項(A3)により「前記無線デバイスが、・・・現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」と特定されていることから、本願発明は、「2つのシナリオ」のうち、「DCがセットアップされる前」の動作に関するものであることは明らかである。
そして、「DCがセットアップされる前」について、段落【0020】には「第1のRATのみ(たとえば、LTE)に接続されたUEに、別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定が設定されたとき、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施することを開始する。」と記載されている。しかしながら、当該記載は、上記発明特定事項(C)における「前記第2のs-measure基準が満たされるとき」の動作について記載するものではないから、上記発明特定事項(C)が記載されていることの根拠とならない。
さらに検討すると、当該記載において、測定設定を設定する主体は明示されていないが、「第1のRATのみ(たとえば、LTE)に接続されたUE」との記載から、UEが接続しているのは第1のRATのみであり、UEに対する設定は接続されているRATの無線アクセスノードが行うことが技術常識であることを考慮すると、上記記載における別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定は、第1のRAT(たとえば、LTE)の無線アクセスノードが設定していることは明らかといえる。
これに対し、本願発明は、上記発明特定事項(A3)に「第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノード」と特定されていることから、発明特定事項(C)の「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードからの指示を受信する」とは、第1のRATの測定を実施するように同じ第1のRATの前記第1の無線アクセスノードからの指示を受信することを特定している。
そうすると、段落【0020】は、第1のRATの無線アクセスノードが、第1のRATとは「別のRAT・・・に関する測定設定が設定されたとき」について記載したものであって、上記発明特定事項(C)の「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードからの指示を受信すると、・・・前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことについて記載したものではない。
さらに、段落[0020]における「DCがセットアップされた後」の記載についても検討するに、「DCがセットアップされた後」の動作として、
「 ○ オプション1:DCがセットアップされる前と同じ挙動が適用される(すなわち、第1のRATが第2のRATに関する測定を設定する場合、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施する)
○ オプション2:第2のRATによって設定されたs-measureが、第2のRATに関係している第1のRATによって設定された測定のトリガリングを制御するために使用される(すなわち、UEは、SNのs-measure基準が満たされるとき、第2のRATに関係する測定を、それらの測定が第1のRATによって設定されたのか、第2のRATによって設定されたのかにかかわらず、実施することを開始する)。」
と記載されている。上記記載には「SNのs-measure基準が満たされるとき、第2のRATに関係する測定を・・・実施することを開始する」ことが記載されているものの、「DCがセットアップされた後」の「DCがセットアップされる前と同じ挙動」である「オプション1」とは別の「オプション2」として記載されていることから見ても、段落【0020】の記載を根拠として、本願発明の上記発明特定事項(C)が発明の詳細な説明に記載したものであるとすることはできない。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは、段落【0019】及び【0020】に記載も示唆もされておらず、また段落【0019】及び【0020】の記載から自明であるともいえない。
(2)段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載について
上記「第4」の「2」の段落【0089】には「無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードに現在接続され、」と記載されている一方で、「第2の無線アクセスノード」とも接続されていること、すなわちデュアルコネクティビティにおいて動作していることが明記されていない。そうすると、段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載は、上記発明特定事項(A3)で特定される「現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」という状態における動作についても、含まれていると解することもできる。
そして、段落【0090】には「第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに測定を実施することを開始する。」と記載されている。当該記載において、実施する「測定」が、どのような測定であるか明示されていないが、「第1のRAT上での測定を実施するように・・・設定される」のであるから、当該設定により実施することを開始される「測定」は、「第1のRAT上での測定」と解するのが相当である。また、「設定」について、段落【0090】では「第1のRAT上での測定を実施するように」と記載され、段落【0091】では「第2のRAT上での測定を実施するように」と記載されるように、段落【0090】と【0091】が対になっており、「測定」について、段落【0091】では「第2のRAT上での測定」と記載されていることを鑑みれば、段落【0090】の「測定」は「第1のRAT上での測定」と解釈するのが相当である。そうすると、やはり、段落【0090】の「測定」は「第1のRAT上での測定」を意味し、「第2のRAT上での測定」を含むと解釈することはできない。
したがって、段落【0090】の記載は、第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに第1のRAT上での測定を実施することを開始することを表していると解される。
よって、段落【0090】は、第1のRAT上での測定を実施するように設定されると、第1のRAT上での測定を実施することを開始することを記載したものであって、上記発明特定事項(C)の「第1のRATの測定を実施するように・・・指示を受信すると、・・・前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことについて記載したものではない。さらに、段落【0090】の「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、上記発明特定事項(B)で特定される「第2のRATと関連付けられている第2のs-measure基準」であることは記載されておらず、また段落【0090】には、このような、第2のRATと関連付けられている「第2のs-measure基準が満たされるときに、・・・前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは記載されていない。
次に、段落【0091】には「第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」と記載されている。そうすると、段落【0091】は、第1のRATとは異なる「第2のRAT上での測定を実施するように・・・設定される」ときについて記載したものであって、上記発明特定事項(C)の「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、・・・前記第2の測定を実施することを開始する」ことについて記載したものではない。さらに、段落【0091】には「「第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する」と記載されており、第2のRAT上での測定を、第2のRATと関連付けられている「第2のs-measure基準が満たされるときに、」実施することを開始することについて記載していない。
そして、上記「第4」の「4」の【図8】からは、段落【0090】及び【0091】に記載されたことと同様のことが読み取れるのみである。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは、段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】には記載も示唆もされておらず、また上記段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載から自明であるともいえない。
ここで、上述したように、段落【0090】において、実施する「測定」が、どのような測定であるか明示されていないものの、当該実施する「測定」が「第1のRAT上での測定」を意味し、「第2のRAT上での測定」を含むと解釈することはできない。しかしながら、当該実施する「測定」に「第2のRAT上での測定」が含まれ得る、と仮定した場合についても検討しておく。
上記仮定をした場合、段落【0090】には、UEが、第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに第2のRAT上での測定を実施することを開始する、ことが記載されていることになる。一方で、上記発明特定事項(C)は「前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことが特定され、上記発明特定事項(B)により「前記第2のs-measure基準」とは、「第2のRATと関連付けられている」ものであることが特定されている。そうすると、段落【0090】には「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、第2のRATに関連付けられたものであるとの記載はないから、上記発明特定事項(C)の、第2のRATと関連付けられている「前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことが記載されているとはいえない。
ここで、上記「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」について検討する。段落【0089】には「無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードに現在接続され、無線デバイス110が測定を実施することを開始するときを制御する、第1の無線アクセスノードによる少なくとも1つのs-measureで設定される。」との記載がある。そして、段落【0090】に「第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに測定を実施することを開始する。」との記載があり、段落【0091】に「第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」との記載がある。
まず、段落【0089】の記載から、第1の無線アクセスノードによって設定される「s-measure基準」は「少なくとも1つのs-measure基準」であるから、1つのs-measure基準が設定されることを含んでいる。この場合、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」は、1つの共通の「s-measure基準」となる。しかしながら、本願発明は、上記発明特定事項(B)で特定されるように、2つのs-measure基準、すなわち「第1のRATと関連付けられている第1のs-measure基準」と、「第2のRATと関連付けられている第2のs-measure基準」が用いられるものであるから、段落【0090】び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、1つの共通の「s-measure基準」であると解することは、本願発明と整合しない。
仮に、上記発明特定事項(B)とは整合しないが、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が1つの共通の「s-measure基準」であって、当該1つの共通の「s-measure基準」が、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準と仮定した場合、段落【0090】において、第1のRAT上での測定が設定される際に、当該第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準が満たされるときに、第1のRAT上の測定を実施し、段落【0091】において、第2のRAT上での測定が設定される際には、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、つまり第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準に関係なく、第2のRAT上の測定を実施することは、理にかなっている。
一方で、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が1つの共通の「s-measure基準」であって、当該1つの共通の「s-measure基準」が、第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準と仮定した場合、段落【0091】において、第2のRAT上での測定が設定される際に、第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準と関係なく、第2のRAT上での測定を実施することとなる。そうすると、そもそも、第2のs-measure基準は第2のRAT上での測定を実施する際の基準であるにも関わらず、第2のs-measure基準を満たすか否かを無視して、第2のRAT上での測定を実施することを開始することになってしまい、第2のs-measure基準が第2のRAT上での測定を実施する際の基準であることと矛盾するので、妥当ではない。そうすると、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、1つの共通の「s-measure基準」であると仮定した場合、上記「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」を第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準と解するのは妥当ではない。
次に、段落【0089】の記載から、第1の無線アクセスノードによって設定される「s-measure基準」は「少なくとも1つのs-measure基準」であるから、複数のs-measure基準が設定されることを含んでいる。そうすると、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、それぞれ異なる2つの「s-measure基準」であると考えることができる。この場合、段落【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」を、第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準であると解することは、上述したように、第2のs-measure基準が第2のRAT上での測定を実施する際の基準であるにも関わらず、第2のs-measure基準を満たすか否かを無視して、第2のRAT上での測定を実施することを開始することになってしまい、第2のs-measure基準が第2のRAT上での測定を実施する際の基準であることと矛盾するので、妥当ではない。
そうすると、段落【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」は、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準であると考えられ、これとは異なる段落【0090】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」は、第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準と考えられる。しかしながら、段落【0090】では「第1のRAT上での測定を実施するように」設定される以上、実施される測定には、当然、第1のRAT上での測定も実施することが開始されると考えるのが妥当であるから、段落【0090】では、第1のRAT上での測定を、第2のRATに関連付けられた第2のs-measure基準が満たされるとき、に実施することになってしまう。これは第2のs-measure基準が第2のRAT上での測定を実施する際の基準であることと矛盾するので、妥当ではない。したがって、段落【0090】び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」が、それぞれ異なる2つの「s-measure基準」であると考えることも妥当ではない。
以上のことから、上記発明特定事項(B)とは整合しないが、段落【0090】及び【0091】に記載された「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」は、ともに、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準と考えるのが妥当である。
そうすると、段落【0090】における「測定」に、第2のRAT上での測定が含まれ得ると解した場合であっても、段落【0090】の記載からは、第1のRAT上での測定を実施するように設定されると、無線デバイス110は、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準が満たされるときに、第2のRAT上での測定を実施することを開始することが示されるにとどまり、また段落【0091】の記載は、第2のRAT上での測定を実施するように設定することが示されるものであって、第1のRAT上での測定を実施するように設定することは示されてはいないから、上記段落【0090】及び【0091】には、上記発明特定事項(C)で特定されているような「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされておらず、また上記段落【0090】及び【0091】の記載から自明であるともいえない。
(3)段落【0114】の記載について
上記「第4」の「3」の段落【0114】には「実施形態1」ないし「実施形態10」の実施形態が記載されている。ここで「実施形態1」は「(シナリオ1:DCがセットアップされる前)」と記載されている。一方、「実施形態2」は「(シナリオ2:DCがセットアップされた後)」と記載されており、「実施形態3」ないし「実施形態9」は、いずれも「UEは、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる第1の無線アクセスノードと第2の無線アクセス技術(RAT)を用いる第2の無線アクセスノードとの間のデュアルコネクティビティにおいて動作し」と記載されている。なお、「実施形態10」は「第1のRATがLTEであり、第2のRATがNRであり、またはその逆もある、上記の実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。」と記載されるものであって、第1及び第2のRATがLTE、NRのいずれであるかを特定するのみであって、上記発明特定事項(C)や(D)のような各RATの測定動作に関する記載はない。
まず、上記発明特定事項(A3)により、本願発明が「現在デュアルコネクティビティとして動作しておらず、」と特定されていることから、本願発明に対応する記載は「実施形態1」のみと解される。そして、「実施形態1」には「第2のRAT上での測定を実施するように第1のノードによって設定されると、第1のノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する」ことが記載されている。当該段落【0114】の「実施形態1」の記載は、段落【0020】や段落【0091】の記載と同様、「第2のRAT上での測定を実施するように・・・設定される」ときについて記載したものであって、上記(1)及び(2)で説示したように、上記発明特定事項(C)の「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードからの指示を受信すると、・・・前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことについて記載したものではない。
したがって、上記(1)及び(2)で説示したことと同様、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされておらず、また上記段落【0114】の記載から自明であるともいえない。
そして、上記の段落の他、発明の詳細な説明全体の記載を参酌しても、上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされておらず、自明であるともいえない。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(C)で特定される「第1のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第2のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第2のRATの測定を実施することを開始する」ことは、発明の詳細な説明に記載したものではない。
2 上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことについて
(1)段落【0019】及び【0020】の記載について
上記「第4」の「1」の段落【0019】には「2つの無線アクセス技術(RAT)間のデュアルコネクティビティ(DC)モードにおいて動作しているかまたは動作することが可能であるUEに、各RATのためのs-measure設定が設定され得る。」との記載がある。当該記載において、無線デバイスであるUEが、デュアルコネクティビティモードにおいて動作していることは明記されている一方で、動作していないことは明記されていない。しかしながら、「デュアルコネクティビティ(DC)モードにおいて動作しているかまたは動作することが可能であるUE」と、デュアルコネクティビティモードにおいて動作していることと並列に、デュアルコネクティビティモードにおいて動作することが可能であることが記載していることを鑑みれば、「デュアルコネクティビティモードにおいて・・・動作することが可能である」とは、デュアルコネクティビティモードにおいて動作することが可能であるが、動作はしていないことを含んでいると解され得る。しかしながら、段落【0019】は、デュアルコネクティビティ(DC)モードを設定可能なUEには、複数のs-measureが設定できるということの記載にすぎず、本願発明の発明特定事項(D)のように、s-measure設定後の「測定の実施」については記載も示唆もない。
また、上記「第4」の「1」の段落【0020】には「2つのシナリオ」として「DCがセットアップされる前」と、「DCがセットアップされた後」について記載されている。ここで、本願発明は、上記発明特定事項(A3)により「前記無線デバイスが、・・・現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」と特定されていることから、本願発明は、「2つのシナリオ」のうち、「DCがセットアップされる前」の動作に関するものであることは明らかである。
そして、「DCがセットアップされる前」について、段落【0020】には「第1のRATのみ(たとえば、LTE)に接続されたUEに、別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定が設定されたとき、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施することを開始する。」と記載されている。当該記載において、実施する「測定」が、どのような測定であるか明示されていないが、「別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定が設定されたとき」であるから、これにより開始する「測定」は、別のRAT(たとえば、NR)上での測定と解するのが相当である。このことは、上記「第4」の「2」の段落【0091】の「第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」との記載とも整合する。
そうすると、上記段落【0020】の記載は、第1のRATに接続されたUEが、第1のRATを用いる無線アクセスノードから、第1のRATとは別のRAT、すなわち第2のRAT上での測定が設定されるとき、第2のRATの測定を実施することを開始することを意味していると解される。
したがって、段落【0020】は、第1のRATとは別の第2のRAT上での測定が設定されると、第2のRAT上での測定を実施することを開始することを記載したものであって、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように・・・指示を受信すると、・・・前記第1のRATの前記測定を実施することを開始する」ことについて記載したものではない。さらに、段落【0020】の「第1の無線アクセスノードのs-measure基準」は、上記発明特定事項(B)で特定される「第1のRATと関連付けられている第1のs-measure基準であることは記載されておらず、また段落【0020】には、このような第1のRATと関連付けられている「第1のs-measure基準が満たされるときに、・・・前記第1のRATの前記測定を実施することを開始する」ことも記載していない。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは、段落【0019】及び【0020】には記載も示唆もされておらず、また上記段落の記載から自明であるともいえない。
ここで、上述したように、段落【0020】において、実施する「測定」が、どのような測定であるか明示されておらず、当該実施する「測定」に第1のRAT上での測定が含まれ得る、と仮定した場合についても検討しておく。
上記仮定をした場合、段落【0020】には、UEが、別のRAT(たとえば、NR)上での測定が設定されると、「UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、」第1のRAT(たとえば、LTE)上での測定を実施することを開始する、ことが含まれていることになる。一方で、段落【0020】は「第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、」測定を実施することを開始することを記載しているのであって、第1のRATに関連付けられた「第1のs-measure基準が満たされるときに、」という条件に基づいて、前記測定を実施することを開始することを記載しているとはいえない。
したがって、段落【0020】における「測定」に、第1のRAT上での測定が含まれる、と解した場合であっても、段落【0020】の記載からは、第2のRAT上での測定を実施するように設定されると、UEは、第1のRATに関連付けられた第1のs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第1のRAT上での測定を実施することを開始することが示されるにとどまり、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは段落【0020】には記載も示唆もされておらず、また上記段落【0020】の記載から自明であるともいえない。
よって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは段落【0019】及び【0020】には記載も示唆もされておらず、また上記段落【0019】及び【0020】の記載から自明であるともいえない。
(2)段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載について
上記「第4」の「1」のの段落【0089】には「無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードに現在接続され、」と記載されている一方で、「第2の無線アクセスノード」とも接続されていること、すなわちデュアルコネクティビティにおいて動作していることは明記されていない。そうすると、段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載は、上記発明特定事項(A3)で特定される「現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」という状態における動作についても、含んでいるものと解することもできる。
そして、段落【0090】には「第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるときに測定を実施することを開始する。」と記載されている。そうすると、当該段落【0090】は、「第1のRAT上での測定を実施するように・・・設定される」ときについて記載したものであって、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように・・・指示を受信すると、・・・前記第1のRATの測定を実施することを開始することについて記載したものではない。
また、段落【0091】には「第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」と記載されている。当該段落【0091】は、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように・・・指示を受信する」ときの動作ではあるが、そのとき、段落【0091】では「第2のRAT上での測定を実施することを開始する」ことが記載されている一方、上記発明特定事項(D)のように「前記第1のRATの前記測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされていない。
そして、上記「第4」の「4」の【図8】からは、段落【0090】及び【0091】に記載されたことと同様のことが読み取れるのみである。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは、段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】には記載も示唆もされておらず、また上記段落【0089】ないし【0091】、及び【図8】の記載から自明でもない。
(3)段落【0114】の記載について
上記「1」の(3)で説示したとおり、本願発明が上記発明特定事項(A3)により「現在デュアルコネクティビティとして動作しておらず、」と特定されていることから、段落【0014】に記載された「実施形態1」ないし「実施形態10」のうち、本願発明に対応する記載は「実施形態1」のみと解される。そして、「実施形態1」には「第2のRAT上での測定を実施するように第1のノードによって設定されると、第1のノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する」ことが記載されている。当該段落の記載は段落【0091】の記載と同様なものであって、上記(2)で説示したことと同様、段落【0114】には、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように・・・指示を受信する」ことが記載されているものの、測定については「第2のRAT上での測定を実施することを開始する」ことが記載されおり、上記発明特定事項(D)のように「前記第1のRATの前記測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされていない。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは段落【0114】には記載も示唆もされておらず、また上記段落【0114】の記載から自明であるともいえない。
そして、上記の段落の他、発明の詳細な説明全体の記載を参酌しても、上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは記載も示唆もされておらず、自明であるともいえない。
したがって、本願発明の上記発明特定事項(A3)で特定される「前記無線デバイスが、第1の無線アクセス技術(RAT)を用いる前記第1の無線アクセスノードと第2のRATを用いる第2の無線アクセスノード(160)との間のデュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との状態において、上記発明特定事項(D)で特定される「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、前記第1のs-measure基準が満たされるときに、前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの測定を実施することを開始する」ことは、発明の詳細な説明に記載したものではない。
3 請求人の主張について
(1)令和4年5月13日に提出された意見書における主張について
上記意見書において審判請求人は、「本願明細書段落0020、0089、0114等の記載に基づきます。より具体的には、同段落0020の次の記載を根拠としています。
「いくつかの実施形態は、2つのシナリオに従って動作する。
- DCがセットアップされる前:第1のRATのみ(たとえば、LTE)に接続されたUEに、別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定が設定されたとき、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施することを開始する。」
すなわち、明細書段落0020の「DC(デュアルコネクティビティ)がセットアップされる前」とは、請求項1の「無線デバイスが…(略)…デュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず」との条件を含んでいます。換言すると、明細書段落0020では、DCが動作するようにセットアップされる前の状態で、測定を実施してよいことが示されています。
また、明細書段落0020には、「『別のRAT(たとえば、NR)に関する測定設定』が設定されたとき、UEは、第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、『測定』を実施することを開始する」と記載されています。すなわち、別のRATに関する測定の指示に対応して、UE(無線デバイス)は所定の測定を実施し得ることが示されています。なお、同段落の記載は、第1のRATのs-measure基準を任意で考慮することを妨げるものではありません。明細書段落0114には、「第2のノードによって設定された第1のRAT上での測定を実施することを開始する」という実施形態が例示されていますが、段落0020では特に限定することなく所定の「測定」を実施し得ることが示されていることから、段落0114の例にならい、「第1のノードによって設定された第1のRAT上での測定を実施することを開始する」こともまた含意されているといえます。
したがって、請求項1の「現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず」との条件における「前記第1の無線アクセスノードにより設定されている前記第1のRATの前記測定を実施すること」との動作は、明細書により示されています。」と主張している。
上記主張について検討する。上記「1」の(1)や「2」の(1)で説示したように、段落【0020】において、実施する「測定」が、どのような測定であるのか明示されていないが、別のRATに関する測定が設定された場合に実施される「測定」は、別のRAT上での測定と解するのが相当であるから、段落【0020】は、上記発明特定事項(D)の「第2のRATの測定を実施するように前記第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、・・・前記第1のRATの前記測定を実施することを開始する」ことを記載しているとはいえない。
また、段落【0020】の記載が「第1のRATのs-measure基準を任意で考慮することを妨げるものではありません。」と主張しているが、段落【0020】は「第1のRATのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、測定を実施することを開始する」と記載されているのであるから、上記発明特定事項(D)のように、「第1のRATのs-measure基準が満たされるときに、」という条件に基づいて、前記第1のRATの前記測定を実施することを開始することを記載したものとはいえない。
さらに、段落【0114】の「実施形態5」の「第2のノードによって設定された第1のRAT上での測定を実施することを開始する」ことは、上記「1」の(3)や「2」の(3)で説示したように、デュアルコネクティビティモードにおいて動作しているときの動作である。また、段落【0114】の他、段落【0020】、【0089】ないし【0091】等において「DCがセットアップされる前」と「DCがセットアップされた後」に分けて記載がなされており、一方で、「DCがセットアップされた後」の動作を「DCがセットアップされる前」の動作に適用することができるといった記載もない。そうすると、段落【0020】の「DCがセットアップされる前」、すなわち第2のノードが存在しないときの動作において、第2のノードが存在することを前提とする上記段落【0114】のデュアルコネクティビティモードにおける動作の例にならうことが、発明の詳細な説明に記載から自明であるともいえない。
したがって、上記発明特定事項(A3)を前提とした発明特定事項(C)及び(D)が発明の詳細な説明の記載に記載されておらず、自明であるともいえないことから、審判請求人の主張を採用することはできない。
(2)令和4年10月27日に提出された審判請求書における主張について
上記審判請求書において審判請求人は、「本願発明は、各請求項に記載の構成を有しますが、請求項1の記載を用いて要約すると、本願発明は次の構成を有するといえます。
・・・
(イ) 第1のRATの測定を実施するように第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、第2のs-measure基準が満たされるときに、第1の無線アクセスノードにより設定されている第2のRATの測定を実施することを開始する。
(ウ) 第2のRATの測定を実施するように第1の無線アクセスノードから指示を受信すると、第1のs-measure基準が満たされるときに、第1の無線アクセスノードにより設定されている第1のRATの測定を実施することを開始する。
・・・
上記(イ)および(ウ)の構成は、本願明細書段落0020の他、本願図8および明細書中の説明(段落0089から0091等)の記載に関連しています。
明細書段落0089には、「無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードに現在接続され、」との記載があります。すなわち、同段落以下の説明は、請求項1の「第1の無線アクセスノードに現在接続され、(中略)、前記第1の無線アクセスノードによるs-measureが設定され、前記無線デバイスが、(中略)デュアルコネクティビティにおいて動作することが可能であるが、現在デュアルコネクティビティにおいて動作しておらず、」との記載に対応する状態にある無線デバイスに関係しています。
明細書段落0091には、「ステップ620において、第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定されると、無線デバイス110は、第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する。」と記載されています。ここで、上述の通り、第1の無線アクセスノードは、第1のRAT上での測定と第2のRAT上での測定のどちらも指示できるので、「第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定される」ことも可能であると理解することができます。また、同段落の「第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず」とは、「(第1のs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、)第2のs-measure基準が満たされるとき」を包含する記載であり、本願請求項1の上記(イ)の構成と矛盾するものではありません。
本願請求項1の上記(ウ)の構成についても同様に、第1の無線アクセスノードは第2のRAT上での測定を実施するよう指示することができます。そして、無線デバイスは、明細書段落0090のステップ610の説明にあるように、第1のs-measure基準が満たされるときに第1のRAT上での測定を実施し得ると、理解することができます。」と主張している。
上記主張のうち、上記(イ)の構成について検討する。段落【0089】ないし【0091】の記載を考慮すると、請求人が主張するとおり、第1の無線アクセスノードは、第1のRAT上での測定と第2のRAT上での測定のどちらも指示できるものといえる。しかしながら、発明の詳細な説明では、第1のRAT上での測定を実施するように設定することを段落【0090】で、第2のRAT上での測定を実施するように設定することを段落【0091】で分けて記載している。そうすると、「第1のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定される」場合は、段落【0091】ではなく、段落【0090】に記載された動作が行われるものと考えるのが相当であるから、上記(イ)の構成、すなわち上記発明特定事項(C)が、段落【0091】に記載されているとの主張を採用することはできない。また、仮に、段落【0090】の記載を考慮したとしても、上記「1」の(2)で説示したとおり、上記発明特定事項(C)の根拠とはならない。さらに、段落【0091】の「「第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず」とは、「(第1のs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、)第2のs-measure基準が満たされるとき」を包含する記載であり、本願請求項1の上記(イ)の構成と矛盾するものではありません。」と主張しているが、上述したように、上記(イ)の構成は段落【0091】の記載を根拠としたものとはいえないから、当該主張を採用することはできない。また、段落【0091】は、上記(ウ)の構成に対応するものであるから、上記主張が上記(ウ)の構成に対する主張だとしても、段落【0091】は「第1の無線アクセスノードのs-measure基準が満たされるか否かにかかわらず、第2のRAT上での測定を実施することを開始する」と記載されているのであって、上記発明特定事項(D)のように、「第1のRATのs-measure基準が満たされるときに、」という条件に基づいて、前記第1のRATの前記測定を実施することを開始することを記載するものではない。
次に、上記(ウ)の構成について検討する。上記(イ)の構成について検討したことと同様、「第2のRAT上での測定を実施するように第1の無線アクセスノードによって設定される」場合、段落【0090】ではなく、段落【0091】に記載された動作が行われるものと考えるのが相当である。したがって、上記(ウ)の構成、すなわち上記発明特定事項(D)が、段落【0090】に記載されているとの主張を採用することはできない。また、仮に、段落【0091】の記載を考慮したとしても、上記「2」の(2)で説示したとおり、上記発明特定事項(D)の根拠とはならない。
したがって、「上記(イ)および(ウ)の構成は、本願明細書段落0020の他、本願図8および明細書中の説明(段落0089から0091等)の記載に関連しています。」という審判請求人の主張を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-017268