特許拒絶査定不服審判
2023-003103
NRシステムの測位基準信号の設定方法、受信方法及び機器
- 審判番号
- 2023-003103
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-571639外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年02月22日
- 審決日
- 2023年10月17日
- 公報発行日
- 2024年04月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】維沃移動通信有限公司
- 【請求人代理人】あいわ弁理士法人
- 分類
- P18 .537-Z (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-571639「NRシステムの測位基準信号の設定方法、受信方法及び機器」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月26日国際公開、WO2019/242635、令和3年10月14日国内公表、特表2021-528022〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)6月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年6月22日 中華人民共和国(CN))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年 1月12日 手続補正書の提出
令和4年 2月 1日付け 拒絶理由通知書
令和4年 5月 9日 意見書、手続補正書の提出
令和4年 6月17日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和4年 9月27日 意見書、手続補正書の提出
令和4年10月21日付け 拒絶査定
令和5年 2月22日 拒絶査定不服審判の請求
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和4年9月27日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりの発明である。
「 ネットワーク機器に適用されるNR(New Radio)システムの測位基準信号PRS(Positioning Reference Signal)の設定方法であって、
端末機器の測位基準信号PRSを設定するための第1のターゲット設定情報を送信することと、
少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信することとを含み、
前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有するNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法。」
第3 原査定の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項 1(中略)
請求項1記載の
『前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する』
が、発明の詳細な説明のどこに記載されているのかが不明である。
(中略)
出願人は意見書において、
(a)『請求項1における「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」につきまして、明細書の段落[0095]には「(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報」が記載されております。』
(b)『これらの記載から、PRSとQCL関係を有する信号を利用して、前記端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供することによって、端末機器の補助測位を実現できます。』
(c)『よって、PRSリソースの各々は、別々のQCL情報を有する必要があり、そうでない場合には、或るPRSの時間情報とビーム情報を決定できなくなります。』
(d)『これらのことから、請求項1に記載の、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」は、少なくとも明細書の段落[0095]によってサポートされているものと思料いたします。』
と主張する。
以下、出願人の主張について検討する。
・上記(a)に対して
明細書の段落[0095]には、上記(a)で指摘された「(7)・・」が記載されていると認める。
・上記(b)に対して
上記(b)記載の、「PRSとQCL関係を有する信号を利用」して「端末機器の補助測位を実現でき」ることは、技術的には理解できる。
しかしこれは「PRSとQCL関係を有する信号を利用して端末機器の補助測位を実現する」という、追加の構成により実現されることであり、明細書の段落[0095]の「(7)・・」にそこまでの構成が記載されているとは認められない。
さらに明細書の段落[0095]の「(7)・・」には「PRSの時間情報」及び「ビーム情報」が記載されておらず、上記(b)記載の「前記端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供することによって」が、明細書の段落[0095]の「(7)・・」の記載からどのようにして導出されるのかが、不明である。
・上記(c)に対して
明細書の段落[0095]の「(7)・・」及び上記(b)には「PRSリソース」が記載されておらず、上記(c)記載の「よって、PRSリソースの各々は、別々のQCL情報を有する必要があり」がどのようにして導出されるのかが、不明である。
また、明細書の段落[0095]の「(7)・・」には「PRSの時間情報」及び「ビーム情報」が記載されておらず、上記(c)記載の「そうでない場合には、或るPRSの時間情報とビーム情報を決定できなくなります」がどのようにして導出されるのかが、不明である。
・上記(d)に対して
上述したように、意見書の上記(b)及び上記(c)は、明細書の段落[0095]に実質的に記載されたものとは認められず、上記(d)記載の「少なくとも明細書の段落[0095]によってサポートされているものと思料いたします」を認めることはできない。」
第4 本願の発明の詳細な説明の記載
本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同様。)。
(1) 「【0023】
図1は、本開示に係る、ネットワーク機器に適用されるNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法を示す。図1に示すように,該方法は、
端末機器の測位基準信号PRSを設定するための第1のターゲット設定情報を送信するステップ101を含む。」
(2) 「【0036】
選択的に、第1のターゲット設定情報は、測位基準信号PRSの生成パラメータを含み、上記ステップ101の後、本開示のいくつかの実施例に係るNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法は、前記生成パラメータに基づいて前記測位基準信号PRSを生成し、かつ前記測位基準信号PRSを送信することをさらに含む。
【0037】
上記生成パラメータは、前記測位基準信号PRSが位置する無線フレーム内のタイムスロット(slot)番号と、前記測位基準信号PRSが位置するタイムスロット内のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの番号と、前記測位基準信号PRSのCP(Cyclic Prefix)のタイプと、前記測位基準信号PRSのセルID情報と、前記端末機器のID又は前記端末機器が属するユーザグループのIDと、SSB(Synchronization Signal Block)のIDとのうちの少なくとも1つと関連付けられている。」
(3) 「【0051】
選択的に、第1のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSが占有するREの時間領域位置情報及び周波数領域位置情報を含んでもよく、前記周波数領域位置が前記ネットワーク機器の指定されたnumerologyに関連付けられ、前記周波数領域位置情報が前記周波数領域位置の開始点情報を含む。前記開始点情報は、前記ネットワーク機器の第1の共通リソースブロック上の第1のサブキャリアである。
【0052】
それに応じて、「前記測位基準信号PRSを送信する」上記ステップは、具体的には、前記時間領域位置と、前記指定されたnumerologyに関連付けられた前記周波数領域位置で前記測位基準信号PRSを送信することを含んでもよい。
【0053】
具体的には、ある指定されたnumerologyで、ネットワーク機器は、測位基準信号PRSを時間周波数位置が(k,l)のRE(Resource Element)にマッチングして送信してもよい。ここで、kは、該numerologyでの周波数領域位置を示し、前の一例と類似し、lは1つのタイムスロット内のOFDMシンボルの番号を示し、測位基準信号PRSの周波数領域位置の開始点は該測位基準信号PRSを送信するセルの共通リソースブロック0上のサブキャリア0であり、即ち該セルのpoint A(基準ポイントA)であり、かつ、それに応じてk=0である。」
(4) 「【0064】
選択的に、図2に示すように、本開示のいくつかの実施例に係るNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法は、
前記測位基準信号PRSとはQCL(Quasi Co-location)関係であるSSB又はCSI-RS(Channel State Information-Reference Signals)を含む第2のターゲット設定情報を送信するステップ102をさらに含んでもよい。
【0065】
当然のことながら、第2のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSとQCL(Quasi Co-location)関係であるその他の信号をさらに含んでもよく、本開示のいくつかの実施例はそれを限定しない。
【0066】
測位基準信号PRSとはQCL関係である上記SSB又はCSI-RSは、前記端末機器に前記第1のターゲット設定情報を提供し、提供された前記第1のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSの時間情報とビーム情報のうちの少なくとも1種を含む。時間情報は、平均時間遅延及び/又は拡張時間遅延を含んでもよい。
【0067】
2つのアンテナポートの信号がQCL関係を満たせば、2組の信号が被るチャンネルのドップラーシフト、ドップラー拡張、平均時間遅延、時間遅延拡張、空間受信パラメータのうちの少なくとも1つは略同じである。QCLは、
QCLタイプA(QCL-TypeA)、{ドップラーシフト、ドップラー拡張、平均遅延、遅延拡張}
QCLタイプB(QCL-TypeB)、{ドップラーシフト、ドップラー拡張}
QCLタイプC(QCL-TypeC)、{平均遅延、ドップラーシフト}
QCLタイプD(QCL-TypeD)、{空間Rxパラメータ}を含んでもよい。
【0068】
理解されるように、測位基準信号PRSとはQCL関係である信号により前記端末機器に前記測位基準信号PRSの時間情報及びビーム情報を提供し、端末機器の支援型測位を実現することができる。測位時に、端末機器は、SSB又はCSI-RSが提供したビーム情報により、送信ビームの到来角(Arrival of Angle、AOA)などの測位情報を取得して、測位の支援に用いることができる。
【0069】
具体的には、測位基準信号PRS擬似ランダムシーケンスの初期値(Cinit)に、測位基準信号PRSと関連付けられたSSBのID情報を追加してもよい。測位時に、端末機器は、測位基準信号PRSシーケンスへの検出により関連付けられたSSB IDを取得してもよい。SSBのIDは既知であると、測位基準信号PRSを送信するビームがどれであるかを知ることができ、それにより送信ビームのAOAなどの情報を取得して、測位支援に用いる。」
(5) 「【0070】
選択的に、前記第1のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSのセルID情報と、前記端末機器の測位性能指標情報と、前記ネットワーク機器が前記測位基準信号PRSを設定するタイムスロット設定情報と、前記ネットワーク機器が前記測位基準信号PRSを設定するサブキャリア間隔情報と、前記ネットワーク機器が前記端末機器に対して設定した帯域幅情報と、前記測位基準信号PRSのCP情報と、前記ネットワーク機器が前記測位基準信号PRSを設定するポート情報と、前記測位基準信号PRSの電力利得情報とのうちの少なくとも1種をさらに含んでもよい。」
(6) 「【0083】
選択的に、上記第1のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSと第2のプリセット信号とのリソース多重情報をさらに含んでもよい。
【0084】
第2のプリセット信号は、SSBと、CSI-RSと、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)と、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、TRS(Tracking Reference Signals)と、PTRS(Phase Tracking Reference Signals)と、DMRSとのうちの少なくとも1種を含んでもよいが、それらに限定されない。」
(7) 「【0091】
選択的に、図3に示すように、上記いずれかの実施例に係るNRシステムの測位基準信
少なくとも1つのREにマッピングされた少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信するステップ104をさらに含んでもよい。
【0092】
具体的には、ネットワーク機器は、1つのタイムスロット内に、複数の周期的測位基準信号PRSリソースを含んでもよい1つの測位基準信号PRSリソースセットを設定してもよく、かつ1つのタイムスロット内の複数の測位基準信号PRSリソースが同一の周期、帯域幅及び周波数領域密度を有し、測位基準信号PRSリソースの具体的な時間領域及び周波数領域の位置が上位層により柔軟に設定されてもよい。
【0093】
図4に示すように(図4は、本開示のいくつかの実施例に係る測位基準信号PRSリソースマッピング構造概略図である)、ネットワーク機器は1つのタイムスロット(0~13の合計14個のOFDMシンボルを含む)内に1つの測位基準信号PRSリソースセットを設定してもよく、1つの測位基準信号PRSリソースセット内に8つの周期的測位基準信号PRSリソースが含まれる。図4において、符号41及び42が指す、同一のOFDMシンボル中の異なる周波数領域位置にマッピングされた2つのRE上の測位基準信号PRSは1つの測位基準信号PRSリソースである。
【0094】
選択的に、図3に示すように、ステップ104の前に、上記いずれかの実施例に係るNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法は、
前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSを設定するための第3のターゲット設定情報を送信するステップ103をさらに含んでもよい。
【0095】
前記第3のターゲット設定情報は、以下(1)~(7)のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。
(1)測位基準信号PRSリソースIDとも呼ばれる、前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSに対応するリソース設定識別子。
(2)タイムスロットオフセット量のような前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSの周期情報及びタイムスロット情報。
(3)測位基準信号PRSリソースの送信ポート情報、OFDMシンボル、サブキャリア占有位置、周波数領域密度及び帯域幅情報などを含む、前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSと前記ネットワーク機器のリソースとのマッピング情報。周波数領域密度とは、各測位基準信号PRS送信ポートでのPRB(Physical Resource Block)の測位基準信号PRS周波数領域密度であってもよく、測位基準信号PRSは周波数領域に等間隔に分布することができる。帯域幅情報は、測位基準信号PRSの帯域幅及び周波数領域初期PRBインデックス情報を含んでもよい。
(4)測位基準信号PRSのEPRE(Energy per Resource Element)とSSB EPREとの比率、及び、測位基準信号PRS EPREとPDSCH EPREとの比率のうちの少なくとも1つを含んでもよい前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRS電力制御情報。
(5)測位基準信号PRS擬似ランダムシーケンス中の初期値を特定する、ネットワーク機器により設定されてもよいスクランブルID情報のような、前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSを生成する生成パラメータ。
(6)ネットワーク機器がどのBWPで測位基準信号PRSを設定するかを定義する前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのBWP情報。
(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報。
【0096】
第1のターゲット設定情報又は第2のターゲット設定情報と同様に、第3のターゲット設定情報も、上位層シグナリング(例えば、RRC)に基づいて前記第3のターゲット設定情報を送信する方式と、MAC層シグナリングに基づいて前記第3のターゲット設定情報を送信する方式と、DCIに基づいて前記第3のターゲット設定情報を送信する方式と、UEと位置サーバとの間の測位プロトコルLPP(LTE Positioning Protocol)に基づいて前記第3のターゲット設定情報を送信する方式とのうちの少なくとも1種に基づいて、送信されてもよい。」
(8) 「
[図:0001408725000001.jpg]
」
(9) 「
[図:0001408725000002.jpg]
」
(10) 「
[図:0001408725000003.jpg]
」
(11) 「
[図:0001408725000004.jpg]
」
第5 当審の判断
本願の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるかどうかについて、以下検討する。
事案に鑑みて、本願発明について、請求項1の段落4に記載された「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」という発明特定事項が、発明の詳細な説明に記載されたものかどうかを検討する。
ここで、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソース」とは、請求項1の段落3の「少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信することとを含み」という発明特定事項における「少なくとも1つの測位基準信号PRSリソース」を意味することが明らかである。
(1) 上記「第4」の「(1)」ないし「(11)」に摘記した発明の詳細な説明、及び当該説明に関連する図面図1ないし図4には、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことについて、直接的記載はない。
そこで、上記「第4」の「(1)」ないし「(11)」に摘記した発明の詳細な説明、及び当該説明に関連する図面図1ないし図4の記載を総合して、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」という発明特定事項が実質的に記載されたものといえるかどうか、検討を続ける。
(2) 上記「(7)」の段落0091、0094、及び0095には、「図3に示すように、・・・少なくとも1つのREにマッピングされた少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信するステップ104をさらに含んでもよい。・・・図3に示すように、ステップ104の前に、上記いずれかの実施例に係るNRシステムの測位基準信号PRSの設定方法は、・・・前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSを設定するための第3のターゲット設定情報を送信するステップ103をさらに含んでもよい。・・・前記第3のターゲット設定情報は、以下(1)~(7)のうちの1つ又は複数を含む・・・。・・・(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報。」という記載がある。
また、上記「(10)」の図3からは、「少なくとも1つのREにマッピングされた少なくとも1つのPRSリソースを含む1つ又は複数のPRSリソースセットを送信する」S104の前に、「前記PRSリソースセット中のPRSを設定するための第3のターゲット設定情報を送信する」S103を行うことが見て取れる。
以上をまとめると、発明の詳細な説明には、少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信するステップ104の前に、前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSを設定するための第3のターゲット設定情報を送信するステップ103をさらに含み、前記第3のターゲット設定情報は、測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報を含むことが、記載されているといえる。
そうすると、発明の詳細な説明には、測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信する前に送信する「第3のターゲット設定情報」が「QCL情報」を含むことは記載されているが、「少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信すること」(請求項1の段落3)において、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、・・・QCL(quasi co-location)情報を有する」こと(同段落4)が記載されているとはいえない。
したがって、発明の詳細な説明には、「前記測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことが記載されているとはいえない。
(3) また、上記「(3)」の段落0053には、「ある指定されたnumerologyで、ネットワーク機器は、測位基準信号PRSを時間周波数位置が(k,l)のRE(Resource Element)にマッチングして送信してもよい。ここで、kは、該numerologyでの周波数領域位置を示し、・・・lは1つのタイムスロット内のOFDMシンボルの番号を示し」という記載があり、さらに、上記「(7)」の段落0092、及び0093には、「1つのタイムスロット内の複数の測位基準信号PRSリソースが同一の周期、帯域幅及び周波数領域密度を有し、測位基準信号PRSリソースの具体的な時間領域及び周波数領域の位置が上位層により柔軟に設定されてもよい。・・・図4において、符号41及び42が指す、同一のOFDMシンボル中の異なる周波数領域位置にマッピングされた2つのRE上の測位基準信号PRSは1つの測位基準信号PRSリソースである。」という記載がある。
そして、上記「(11)」の図4からは、符号41が指す1つの測位基準信号PRSリソースは、2つのREを含み、各REのOFDMシンボルの番号は共にl=3であり、各REの周波数領域位置は一方が上から3番目であり他方が下から4番目であること、及び、符号42が指す1つの測位基準信号PRSリソースは、2つのREを含み、各REのOFDMシンボルの番号は共にl=12であり、各REの周波数領域位置は一方が上から5番目であり他方が下から2番目であることが、読み取れる。
そうすると、発明の詳細な説明には、測位基準信号PRSリソースは、周期、帯域幅、及び周波数領域密度、並びに、時間領域及び周波数領域位置を有することが記載されているといえる。
加えて、上記「(7)」の段落0091、及び0094には、「少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信するステップ104をさらに含んでもよい。・・・ステップ104の前に、・・・前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSを設定するための第3のターゲット設定情報を送信するステップ103をさらに含んでもよい。」と記載されており、その上、同段落0095には、「前記第3のターゲット設定情報は、以下(1)~(7)のうちの1つ又は複数を含む・・・。・・・(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI・・・状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報。」と記載されている。
そうすると、発明の詳細な説明には、「測位基準信号PRSのQCL情報」が、測位基準信号PRSを設定するための「第3のターゲット設定情報」に含まれることは記載されているが、ステップS104で送信される測位基準信号PRSリソースセットに含まれる「測位基準信号PRSリソース」の各々が、ステップS103で送信される「第3のターゲット設定情報」を有すると認めるに足りる根拠は見当たらない。
したがって、発明の詳細な説明には、「前記測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことが記載されているとはいえない。
(4) 以上のとおりであるから、請求項1の段落4に記載された「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」という発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
したがって、他の発明特定事項について論及するまでもなく、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、本願の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明に含まれる本願発明が、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(5)請求人の主張について
ア 本願発明の「少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースを含む1つ又は複数の測位基準信号PRSリソースセットを送信することとを含み、(改行)前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」という発明特定事項は、令和4年5月9日に提出された手続補正書による手続補正において導入された。
そして、請求人は、同日に提出された意見書の「(2)補正の根拠」において、以下のとおり主張している。
「請求項1の補正は、明細書の段落0092,0095,0096等の記載に基づきます。」
イ 請求人は、令和4年9月27日に提出された意見書の「(2)サポート要件について」において、以下のとおり主張している。
「 請求項1における「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」につきまして、明細書の段落【0095】には「(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報」が記載されております。これらの記載から、PRSとQCL関係を有する信号を利用して、前記端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供することによって、端末機器の補助測位を実現できます。よって、PRSリソースの各々は、別々のQCL情報を有する必要があり、そうでない場合には、或るPRSの時間情報とビーム情報を決定できなくなります。これらのことから、請求項1に記載の、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」は、少なくとも明細書の段落【0095】によってサポートされているものと思料いたします。」
ウ 請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、以下のとおり主張している。
「 ここで、明細書の段落0095には、「(7)測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する、測位基準信号PRS TCI(Transmission Configuration Indicator)状態情報を含む前記測位基準信号PRSリソースセット中の測位基準信号PRSのQCL情報。」と記載されており、これらの記載から、PRSリソースセット中のPRS(PRSリソース)がQCL情報を有していることが示されております。また、測位基準信号PRSが、測位のために用いられる信号であることは、例を挙げるまでもなく周知であり、仮に、QCL情報を有することがないPRSリソースが存在したり、同じQCL情報を有するPRSリソースが複数存在すれば、測位基準信号PRSの時間情報とビーム情報を特定することができず、PRSリソースの設定を正しく行うことができなくなるため、PRSリソースの各々は、その自体のQCL情報を有する必要があります。このことから、請求項1において規定している、「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことは明らかであるものと思料いたします。」
エ 請求人の上記主張について検討する。
(ア) 上記アの主張について、請求人が補正の根拠であると主張する、明細書の段落0092、0095、0096等には、請求項1の段落4に記載された「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」という発明特定事項が記載されているといえないことは、上記「第5」の「(1)」ないし「(4)」で説示したとおりであるから、請求人の当該主張は受け入れられない。
(イ) 上記イの主張について、請求人は、明細書の段落0095の記載から、PRSとQCL関係を有する信号を利用して、前記端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供するために、PRSリソースの各々は、別々のQCL情報を有する必要があることが理解されるから、請求項1の段落4に記載された「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことが、発明の詳細な説明に記載されているといえる旨主張していると解される。
しかしながら、PRSとQCL関係を有する信号を利用して、前記端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供することによって、端末機器の補助測位を実現することについては、明細書の段落0064、0065、及び0068(上記「第4」の「(4)」)において、測位基準信号PRSとはQCL関係であるSSB又はCSI-RSを含む第2のターゲット設定情報を送信するステップ102をさらに含み、上記SSB又はCSI-RSは、端末機器に第1のターゲット設定情報を提供し、提供された前記第1のターゲット設定情報は、前記測位基準信号PRSの時間情報とビーム情報のうちの少なくとも1種を含み、測位基準信号PRSとはQCL関係である信号により前記端末機器に前記測位基準信号PRSの時間情報及びビーム情報を提供し、端末機器の支援型測位を実現することとして記載されている。
そうすると、仮に、PRSとQCL関係を有する信号を利用して、端末機器にPRSの時間情報とビーム情報を提供することが必要であったとしても、前記「第2のターゲット設定情報」を送信することによりPRSの時間情報とビーム情報を提供することができるから、PRSリソースの各々は別々のQCL情報を有する必要があるという請求人の主張は、採用できない。
また、段落0095に記載された「QCL情報」は、「第3のターゲット設定情報」に含まれるのであって、「PRSリソースの各々」が有するものでないことは、上記「第5」の「(1)」ないし「(4)」で説示したとおりであるから、請求項1の段落4に記載された「前記少なくとも1つの測位基準信号PRSリソースの各々は、別々のQCL(quasi co-location)情報を有する」ことが、発明の詳細な説明に記載されているとする請求人の主張もまた、受け入れられない。
(ウ) 上記ウの主張について、請求人は、段落0095の記載から、「PRSリソースセット中のPRS(PRSリソース)がQCL情報を有していることが示されて」いる旨主張しているが、段落0095に記載された「QCL情報」は、「第3のターゲット設定情報」に含まれるのであって、「PRSリソースの各々」が有するものでないことは、上記「第5」の「(1)」ないし「(4)」で説示したとおりであるから、請求人の当該主張は採用されない。
また、請求人は「仮に、QCL情報を有することがないPRSリソースが存在したり、同じQCL情報を有するPRSリソースが複数存在すれば、測位基準信号PRSの時間情報とビーム情報を特定することができず、PRSリソースの設定を正しく行うことができなくなるため、PRSリソースの各々は、その自体のQCL情報を有する必要があります。」とも主張している。
しかしながら、「第2のターゲット設定情報」を送信することによって、PRSの時間情報とビーム情報を端末機器に提供しうることは、上記「(イ)」で説示したとおりであり、また、「第3のターゲット設定情報」を送信することによって、測位基準信号PRSのQCLソース基準信号を指示する情報を含むQCL情報を端末機器に提供しうることもまた、段落0095に記載されたとおりであるから、端末機器に対してPRSの時間情報とビーム情報、又はQCL情報を提供するためには、PRSリソースの各々がそれ自体のQCL情報を有する必要があるとする請求人の主張もまた、受け入れられない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明に含まれる本願発明が、発明の詳細な説明に記載したものでないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-003103