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特許拒絶査定不服審判

2017-012461

エンハンスト・アップリンク送信における不連続データ・ブロックを転送する方法および装置

審判番号
2017-012461
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-207931外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年08月23日
審決日
2019年07月29日
公報発行日
2020年02月28日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H04W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-207931「エンハンスト・アップリンク送信における不連続データ・ブロックを転送する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月10日出願公開、特開2016- 34137〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2005年(平成17年)4月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2004年4月29日 米国)を国際出願日とする特願2007-510744号の一部を、平成23年10月24日に新たな特許出願とした特願2011-233127号の一部を、平成25年9月27日に新たな特許出願とした特願2013-201884号の一部を、平成26年7月16日に新たな特許出願とした特願2014-145863号の一部を、平成27年10月22日に更に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 8月 5日   手続補正書の提出 平成28年 9月13日付け 拒絶理由通知書 平成29年 3月17日   意見書、手続補正書の提出 平成29年 4月19日付け 拒絶査定 平成29年 8月23日   拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出 平成30年10月18日付け 拒絶理由通知書 平成31年 4月19日   意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明について 1.本願発明 本願の請求項1-7に係る発明は、平成31月4月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。 「 ハイブリッド自動再送要求(HARQ)処理を使用して、拡張アップリンク送信において、拡張専用チャネルを介して無線送受信ユニット(WTRU)から関連する優先順位を有するデータブロックを受信し、 前記受信したデータブロックに応答して、前記HARQ処理を使用して前記WTRUへ肯定応答メッセージ又は否定応答メッセージを送信し、 前記受信したデータブロックを再順序化バッファにストアし、 少なくとも前記ストアされたデータブロックのシーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマを初期化し、 前記タイマの満了に応答して、前記再順序化バッファから上位のレイヤへ不連続なデータブロックを転送しており、 前記再順序化バッファからの前記不連続なデータブロックは、前記受信した少なくとも1つの欠落したデータブロックのシーケンス番号よりも後のシーケンス番号を有する、1つ以上のデータブロックを含む、 方法。」 第3 拒絶の理由 平成30年10月18日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、補正前の請求項1に対して引用例1、3、5、6が引用されている。 引用例1.Panasonic, E-DCH protocol issues, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #39 R2-032367, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_39/Docs/R2-032367.zip>,2003年11月13日アップロード 引用例3:特開2003-283596号公報 引用例5:3GPP TS 25.321 V6.1.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Medium Access Control (MAC) protocol specification(Release 6), P.12-13,51-57, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.321/25321-610.zip>, 2004年3月24日アップロード 引用例6:InterDigital, Forwarding of Non-consecutive Data Blocks, 3GPP TSG-RAN Working Group 2 Meeting #24 TSGR2#24(01)2342, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_24/Docs/Zips/R2-012342.zip>, 2001年10月19日アップロード 第4 引用発明及び周知技術 1.引用発明 当審拒絶理由で引用されたPanasonic, E-DCH protocol issues, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #39 R2-032367インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_39/Docs/R2-032367.zip>,2003年11月13日アップロード(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) (1)「E-DCH protocol issues E-DCH transport channel To support the uplink enhancements an enhanced dedicated transport channel, called E-DCH, has been considered by RAN WG1.」(1葉22-25行) (当審訳:E-DCHプロトコル問題 E-DCH トランスポートチャネル アップリンクの拡張をサポートするため、E-DCHと呼ばれる拡張専用トランスポートチャネルについてRAN WG1で検討がされてきた。) (2)「The new functionalities of Node B controlled Hybrid ARQ and Node B controlled scheduling, considered as enhancements for the uplink dedicated transport channel, are proposed to be included in a new MAC entity, which is referred to as MAC-eu [2]. This new MAC entity is added to the Rel99/4/5 MAC layer in UE respectively Node B.  HARQ related functionality, e.g. generation of ACK/NACK and retransmissions, and the scheduling is covered by the new MAC entity. RAN WG2 should define the architecture and functionality of the new MAC entity.」(2葉1-5行) (当審訳:アップリンク専用トランスポートチャネルの拡張として考慮される、ノードB制御ハイブリッドARQ及びノードB制御スケジューリングの新しい機能は、MAC-eu[2]と呼ばれる新しいMACエンティティに含めることが提案された。この新しいMACエンティティは、UE、ノードBそれぞれのRel 99/4/5MACレイヤに追加される。HARQ関連の機能、例えば、ACK/NACKの生成及び再送信、ならびにスケジューリングは、新しいMACエンティティによってカバーされる。RAN WG2は、新しいMACエンティティのアーキテクチャ及び機能性を定義するべきである。) (3)「HARQ protocol Node B controlled Hybrid ARQ allows for rapid retransmissions of erroneously received data packets. A protocol structure with multiple stop-and-wait hybrid ARQ processes can be used, similar to the scheme employed for the downlink HS-DSCH in HSDPA, but with appropriate modifications motivated by the differences between uplink and downlink [1].」(2葉10-14行) (当審訳:HARQ プロトコル ノードB制御ハイブリッドARQは、誤って受信されたデータパケットを迅速に再送信することを可能にする。HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法と同様に、複数のストップ・アンド・ウエイト ハイブリッドARQプロセスを有するプロトコル構造が使用されるが、アップリンクとダウンリンクとの間の差によって動機付けされる適切な修正を伴う[1]。) 上記各記載及び当業者における技術常識からみて、 ア.上記(1)によれば、アップリンクの拡張専用トランスポートチャネルがE-DCHと呼ばれ、上記(2)によれば、ノードBのハイブリッドARQが、アップリンク専用トランスポートチャネルに対する拡張として考慮されと記載されている。ここで、アップリンクであることから、ノードBでUEからのデータを受信しており、UEからのデータは、E-DCHを介して伝送されており、ハイブリッドARQがノードBで動作することから、ノードBでは、ハイブリッドARQを使用して、アップリンク拡張専用トランスポートチャネルE-DCHを介してUEからデータを受信しているといえる。そして、上記(3)によれば、ノードBで受信するデータはデータパケットを用いて行われていることから、ノードBでは「アップリンク拡張専用チャネルE-DCHを介してUEからデータパケットを受信」し、「ハイブリッドARQを使用」する制御を行っているといえる。 イ.上記(2)によれば、新しいMACエンティティは、UE、ノードBそれぞれのMACレイヤに追加されること、及び、ACK/NACKを生成することが記載されている。よって、ノードBでは、アップリンク拡張専用トランスポートチャネルE-DCHを介してUEからデータパケットを受信した場合には、UEからの受信に応答し、ACK/NACKを生成することは明らかである。よって、引用例1には、ノードBが「受信したデータパケットに応答して、ハイブリッドARQを使用してUEへACKまたはNACKを送信する方法」が記載されているといえる。 ウ.上記(2)によれば、ノードBの「ハイブリッドARQに、HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法を使用できる」ことが記載されているといえる。 したがって、上記の摘記した引用例1の記載及び当業者における技術常識からみて、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明) 「 ハイブリッドARQを使用して、アップリンク拡張専用トランスポートチャネルE-DCHを介してUEからデータパケットを受信し、 受信したデータパケットに応答して、ハイブリッドARQを使用してUEへACKまたはNACKを送信する方法であって、 ハイブリッドARQに、HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法を使用できる、 方法。」 2.周知技術1 (1)当審拒絶理由で引用された特開2003-283596号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。) ア.「【0028】前記MAC-hs副階層は、物理階層の上位に位置してパケットのスケジューリングやHARQ及びLA機能を遂行することができる。また、前記MAC-hs副階層は、HSDPAデータ伝送のために使用されるHS-DSCH(High Speed-Downlink Shared Channel)という新しい伝送チャンネルを使用する。このHS-DSCHチャンネルは、データがMAC-hs副階層と物理階層間で交換される時使用される。」(段落28) 「【0041】データブロックが格納されるHARQプロセスは、もしデータブロックにエラーがあると、NACK情報をUTRANに伝送してデータブロックの再伝送を要求し、エラーがないと、データブロックを再整理(Reordering)バッファーに伝達し、UTRANにACK情報を伝送する。再整理バッファーは、UTRANの送信バッファーと同様な優先順位を有している。HARQプロセスは、データブロックに含まれた優先順位識別子を通してデータブロックを再整理バッファーに伝達する。再整理バッファーの大きな特性は、データの順次的な伝送を支援する点にある。」(段落41) イ.「【0126】前記HARQ部は、hybrid ARQのために必要な全てのタスク(task)を含むHARQプロトコルに関連された各MAC機能を遂行する。また、HARQ部310は、UTRANのピアエンティティーから伝送された各データブロックが受信されたか否かを示す応答(ACK)及び不正応答(NACK)信号を伝送する。前記HARQ部310は、並列に動作される複数のHARQプロセス(310-1~310-n)を含んでいる。HARQプロセスの数は、プロトコルの一つ以上の上位階層により決定される。それぞれのHARQプロセスは、各ブロックのヘッダーにある優先順位識別情報に基づいて、HS-DSCHチャンネルから再整理バッファーに各データブロックを伝送する。それらデータブロックは、MAC-hsプロトコルデータユニット(PDUs)またはサービスデータユニット(SDUs)を含んだり、前記ユニット形態でもある。 【0127】前記再整理キュー分配部320は、各ブロックのヘッダーにあるキュー識別(ID)情報に基づいて、各データブロックを正しい再整理バッファーにルーチングする。前記情報は、例えば、他の再整理キューに属しているデータの独立的なバッファー処理を支援するために使用される再整理キューの識別を提供する。 【0128】各再整理バッファーは、各ブロックのヘッダーにある伝送シーケンスナンバー(TSN)に基づいて、再整理キュー分配部320から各データブロックを再整理し(reorder)、前記各バッファーは、前記各ブロックを上位階層に順次伝達する。前記各ブロックの伝達は次のように行われる。各バッファーでは、連続的なTSNを有する各ブロックは受信と共に関連された分解部350に伝達される。しかし、もし一つ以上の先行データブロック(例えば、下位伝送シーケンスナンバーを有するブロック)が受信されないと、前記データブロックは分解部350に直ちに伝送されない。この場合、各データブロックは再整理バッファーに臨時的に格納された後、本発明の交錯タイマーの制御により出力される。一つの再整理バッファーが各キュー識別のために提供され、各伝送シーケンスナンバーは特定のHS-DSCHに対して提供される。TSNとキューID情報は、スケジューラとUTRANにあるHARQエンティティにより各データブロックのヘッダーに挿入される。 【0129】前記各分解部150は、再整理バッファーから夫々出力された各データブロックを分解する。もし、前記データブロックがMAC-hs PDUを含んでいると、データブロックはヘッダー情報を除去し、MAC-d PDUを抽出し、存在しているパッディングビット(padding bit)を除去することで分解される。次いで、前記各MAC-d PDUは上位階層に伝達される。 【0130】前記各交錯タイマーは、各データブロックが再整理バッファーから出力される時前記各ブロックを制御する。一つの交錯タイマーが各再整理バッファーのために提供されることが好ましい。多重(multiple)タイマーが使用されることもあるが、一つでも充分である。各バッファーのための交錯タイマーは、データブロックが上位階層に直ちに伝達されない時初めて活性化される。このような場合は、一つ以上の先行ブロック(下位伝送シーケンスナンバーを有するブロック)が受信されない場合に発生する。従って、全ての以前のデータブロックが受信されて伝達された時、データブロックが上位階層に伝達されるという規則は、全ての先行データブロックがバッファー内に格納されて、交錯タイマーが最初に活性化された時に適用される。 (中略) 【0141】もし、前記データブロックが交錯タイマーの周期の間上位階層に伝達されなかった場合、次の工程が遂行される。最初に、受信されたデータブロックが上位階層に伝達されないと、前記交錯タイマーの周期の間受信された全てのデータブロックは順次的に再整理バッファー内に位置される(ブロック410)。従って、例えば、SN-4からSN-1までのデータブロックが遺失される間、交錯タイマーがデータブロックSNで動作を開始し、SN-4、SN-2及びSN-1のデータブロックが交錯タイマー周期の間受信された場合、SN-4のデータブロックは直ちに上位階層に伝達され、SN-2とSN-1のデータブロックは再整理バッファーに格納される。 【0142】交錯タイマーの周期が満了されると、交錯タイマーが動作しはじめたSNのデータブロックまでの全てのデータブロックは適切に処理される(ブロック413)。前記SNのデータブロックまでの各データブロック中、正確に受信されたが伝達されなかった各データブロックは、順次的に上位階層に伝達される。これらデータブロックは、以後に受信されるデータブロックのための空間を設けるためにバッファーから除去される。これら工程は、次のように整理される。 【0143】-タイマーT1が満了された時、正確に受信されたSN-1までの全てのMAC-hs PDUは分解機能に伝達され、再整理バッファーから除去される。 【0144】もちろん、SNデータブロックも全ての先行データブロックが伝達された後で伝達されるものと理解することができる。 【0145】本発明による方法は、伝送効率を一層高めるために、前記追加的な工程を遂行することができる。交錯タイマー周期の間、各先行データブロック(例えば、SN-1、SN-2)に付加して、データブロックSNより大きなTSNを有する各データブロック(例えば、SN+1、SN+2)が受信される。少なくとも一つの先行データブロックが伝達されなかったため、前記連続されたデータブロックは伝達されないこともある。その代わりに、前記各データブロックはデータブロックSNと共に再整理バッファーに格納される。」(段落126-段落145) ウ.「【0188】図12A及び図12Bは、交錯状態を回避する方法で、どうように本発明の方法が再整理バッファーで各データブロックの格納を管理する交錯タイマーを動作させるかを示した一例である。 【0189】初期に、例えば、移動端末機受信機にあるMAC階層は、送信シーケンスナンバー13、14を有する各データブロックを順次的に受信する。各先行データブロックが直に上位層に伝達されたため、データブロック13、14は再整理バッファーに格納されず上位階層に伝達される。然し、送信シーケンスナンバー18を有するデータブロックが受信される時、各先行データブロック15、16、17は受信されないと検出されるため、データブロック18は再整理バッファーに格納されて交錯タイマーが動作される。交錯タイマーが動作される時、ただ、データブロック18のみが再整理バッファー内に格納され、このような状況は、図12Aに示されている。 【0190】交錯タイマーの周期の間、MAC階層はどのデータブロックが受信されたかを検査する。図12Bに示したように、データブロック16が連続されたデータブロック18、19、20、22、23、25に従って、この時間の間受信される。データブロック21、24は受信されないと検出される。 【0191】交錯タイマー周期が終了される時、本発明では、データブロック16がデータブロック18と共に伝達される。また、データブロック19、20が送信シーケンスナンバー順に(例えば、データブロック18、19、20間に遺失データブロックが存在しないため)順次的にデータブロック18に従っているため、データブロック19、20は、追加遅延なしに上位階層に伝達される。伝達された全てのデータブロックは、例えば、以後受信される各データブロックの格納空間を確保するため、再整理バッファーから削除される。また、使用者装置のMAC階層は、データブロック15、17がタイマー周期の終了以前に受信されないと、UTRANにデータブロック15、17を再伝送しないように指示するメッセージを送信することができる。」(段落188-段落191) エ. 上記各記載からみて、 (ア)上記ア.には、MAC-hs層は、HSDPAデータ伝送のために使用されるHS-DSCH(High Speed-Downlink Shared Channel)という伝送チャンネルを使用し、このHS-DSCHチャンネルは、データがMAC-hs副階層と物理階層間で交換される時使用されることが記載され、上記イ.の段落126には、HARQプロセスは、各ブロックのヘッダーにある優先順位識別情報に基づいて、HS-DSCHチャンネルから再整理バッファーに各データブロック(PDU)を伝送することも記載されているから、MAC-hs層が「HS-DSCHを介して受信したデータブロックを再整理バッファー(reordering buffer)に格納」しているといえる。 (イ)上記イ.の段落130によれば、一つ以上の先行データブロック(下位伝送シーケンスナンバーを有するブロック)が受信されない場合、交錯タイマーが活性化され、段落142によれば、交錯タイマーが満了したとき、再整理バッファーから上位階層に伝送シーケンスナンバー(TSN)が不連続のデータブロックを伝達することが記載されている。すなわち、「シーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマをスタートし、タイマーが満了したとき、再整理バッファー(reordering buffer)から上位階層にTSNが不連続のデータブロックを伝達」しているといえる。 (ウ)引用例3のイ.の段落141には、「例えば、SN-4からSN-1までのデータブロックが遺失される間、交錯タイマーがデータブロックSNで動作を開始し」と記載されており、SN-4からSN-1までのデータブロックが遺失していることから、データブロックがSN-5まで遺失無く処理された後、SN-4でなく、SNのデータブロックを受信した場合が記載されており、この時に、交錯タイマーの動作を開始することが記載されている。そして、段落141ないし段落142には、その後タイマーが満了されると、正確に受信されたが上位階層に伝達されなかったデータブロック(例えば、SN-2、SN-1)が上位階層に伝達されること、当該伝達されなかったデータブロックは再整理バッファーに格納されていたことが記載されている。ここで、SN-2、SN-1は、遺失したデータブロック(SN-4又は、SN-3)より後のシーケンス番号を有するものである。そうすると、再整理バッファーから上位階層に伝達する伝送シーケンスナンバー(TSN)が「不連続のデータブロックは、遺失した(欠落した)データブロックのシーケンス番号よりも後のシーケンス番号を有」しているといえる。 また、上記ウ.の段落188ないし段落191及び上記エ.図12にも、 シーケンスナンバー13、14を有する各データブロックを順次的に受信した後、データブロック15でなく18を受信すること、すなわち、欠落したデータブロック15の識別に応答してタイマーを稼働し、データブロック18を再整理バッファーに格納し、その後、タイマーの満了に応答して、欠落したシークエンス番号(15)より後のシークエンス番号(16、18)を有している不連続なデータブロックが、格納された再整理バッファーから上位階層に伝達されることが記載されている。そうすると、再整理バッファーから上位階層に伝達する伝送シーケンスナンバー(TSN)が「不連続のデータブロックは、遺失した(欠落した)データブロックのシーケンス番号(15)よりも後のシーケンス番号(16、18)を有」しているといえる。 したがって、引用例3には、 「HS-DSCHを介して受信したデータブロックを再整理バッファー(reordering buffer)に格納し、 シーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマーをスタートし、 タイマーが満了したとき、再整理バッファー(reordering buffer)から上位階層にTSNが不連続のデータブロックを伝達すること、 その際、不連続なデータブロックは欠落したデータブロックのシーケンス番号より後のシーケンス番号を有する。」こととする技術が記載されている。 (2)当審拒絶理由で引用された 3GPP TS 25.321 V6.1.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Medium Access Control (MAC) protocol specification(Release 6), P.12-13,51-57, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.321/25321-610.zip>, 2004年3月24日アップロード(以下、「引用例5」という。)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) ア.「4.2.3.3 MAC-hs entity-UE Side The MAC-hs handles the HSDPA specific functions. In the model below the MAC-hs comprises the following entities: - HARQ: The HARQ entity is responsible for handling the MAC functions relating to the HARQ protocol. The HARQ functional entity handles all the tasks that are required for hybrid ARQ. It is responsible for generating ACKs or NACKs. The detailed configuration of the hybrid ARQ protocol is provided by RRC over the MAC-Control SAP. - Reordering Queue distribution: The reordering queue distribution function routes the MAC-hs PDUs to the correct reordering buffer based on the Queue ID. - Reordering: The reordering entity reorders received MAC-hs PDUs according to the received TSN. MAC-hs PDUs with consecutive TSNs are delivered to the disassembly function upon reception. MAC-hs PDUs are not delivered to the disassembly function if MAC-hs PDUs with lower TSN are missing. There is one reordering entity for each Queue ID configured at the UE. - Disassembly: The disassembly entity is responsible for the disassembly of MAC-hs PDUs. When a MAC-hs PDU is disassembled the MAC-hs header is removed, the MAC-d PDUs are extracted and any present padding bits are removed. Then the MAC-d PDUs are delivered to higher layer.」(12-13ページ) (当審訳:4.2.3.3 UE側MAC-hsエンティティ MAC-hsは、HSDPA固有機能を扱う。MAC-hs以下のモデルでは、以下のエンティティを含む。 -HARQ: HARQエンティティは、HARQプロトコルに関連するMAC機能を処理する役割を担う。HARQ機能エンティティは、ハイブリッドARQに必要とされるすべてのタスクを処理する。これは、ACK又はNACKを生成することに関与する。ハイブリッドARQプロトコルの詳細な構成は、RRCによってMAC制御SAPを介して提供される。 -再順序化キュー配分: 再順序化キュー配分機能は、MAC-hs PDUをキューIDに基づいて正しい再順序化バッファにルーティングする。 -再順序化: 再順序化エンティティは、受信されたTSNに従って受信されたMAC-hs PDUを再順序化する。連続するTSNを有するMAC-hs PDUは、受信時に分解機能に配信される。MAC-hs PDUは、より低いTSNを有するMAC-hs PDUが欠落している場合、分解機能に配信されることはない。UEにおいて構成された各キューIDに対して1つの再順序付けエンティティが存在する。 -分解: 分解エンティティはMAC-hs PDUの分解に責任を負う。MAC-hs PDUが分解されると、MAC-hsヘッダが除去され、MAC-d PDUが抽出され、任意の現在のパディングビットが除去される。次に、MAC-d PDUが上位層に送られる。) イ. ウ.「11.6.2.3.2 Reordering functionality If no timer T1 is active: - the timer T1 shall be started when a MAC-hs PDU with TSN >next_expected_TSN is correctly received. - T1_TSN shall be set to the TSN of this MAC-hs PDU. If a timer T1 is already active: - no additional timer shall be started, i.e. only one timer T1 may be active at a given time. The timer T1 shall be stopped if: - the MAC-hs PDU with TSN = T1_TSN can be delivered to the disassembly entity before the timer expires. When the timer T1 expires and T1_TSN > next_expected_TSN: - all correctly received MAC-hs PDUs with TSN > next_expected_TSN up to and including T1_TSN-1 shall be delivered to the disassembly entity; - all correctly received MAC-hs PDUs up to the next not received MAC-hs PDU shall be delivered to the disassembly entity. - next_expected_TSN shall be set to the TSN of the next not received MAC-hs PDU. When the timer T1 is stopped or expires, and there still exist some received MAC-hs PDUs that can not be delivered to higher layer: - timer T1 is started - set T1_TSN to the highest TSN among those of the MAC-hs PDUs that can not be delivered. Transmitter operation: After the transmitter has transmitted a MAC-hs PDU with TSN=SN, any MAC-hs PDU with TSN ≦SN-TRANSMIT_WINDOW_SIZE should not be retransmitted to avoid sequence number ambiguity in the receiver. Receiver operation: When a MAC-hs PDU with TSN = SN is received: - if SN is within the receiver window: - if SN < next_expected_TSN, or this MAC-hs PDU has previously been received: - the MAC-hs PDU shall be discarded; - else: - the MAC-hs PDU shall be placed in the reordering buffer at the place indicated by the TSN. - if SN is outside the receiver window: - the received MAC-hs PDU shall be placed above the highest received TSN in the reordering buffer, at the position indicated by SN; - RcvWindow_UpperEdge shall be set to SN thus advancing the receiver window; - any MAC-hs PDUs with TSN ≦RcvWindow_UpperEdge-RECEIVE_WINDOW_SIZE, i.e. outside the receiver window after its position is updated, shall be removed from the reordering buffer and be delivered to the disassembly entity; - if next_expected_TSN is below the updated receiver window: - next_expected_TSN shall be set to RcvWindow_UpperEdge . RECEIVE_WINDOW_SIZE + 1; - if the MAC-hs PDU with TSN = next_expected_TSN is stored in the reordering buffer: - all received MAC-hs PDUs with consecutive TSNs from next_expected_TSN(included) up to the first not received MAC-hs PDU shall be delivered to the disassembly entity; - next_expected_TSN shall be advanced to the TSN of this first not received MAC-hs PDU. In case a UE has insufficient memory to process a received MAC-hs PDU, it shall perform the following set of operations: - select TSN_flush such that: next_expected_TSN < TSN_flush ≦ RcvWindow_UpperEdge + 1; - deliver all correctly received MAC-hs PDUs with TSN < TSN_flush to the disassembly entity; - if the MAC-hs PDU with TSN=TSN_flush has previously been received: - deliver all received MAC-hs PDUs with consecutive TSNs from TSN_flush (included) up to the first not received MAC-hs PDU to the disassembly entity; - advance next_expected_TSN to the TSN of this first not received MAC-hs PDU. - else: - set next_expected_TSN to TSN_flush.」(55-56ページ) (当審訳:11.6.2.3.2再順序化機能 タイマーT1がアクティブでない場合 -タイマーT1は、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUが正しく受信されたときに開始される。 -T1_TSNは、このMAC-hs PDUのTSNに設定される。 タイマーT1が既にアクティブである場合 -追加のタイマは開始されない。例えば、T1のみが所与の時にアクティブとされる。 タイマーT1は、以下のように停止される。 -TSN=T1_TSNを有するMAC-hs PDUは、タイマーが満了する前に分解エンティティに配信することができる。 タイマーT1が満了しT1_TSN>next_expected_TSNの場合、次のようになる。 -全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、T1_TSN-1以下まで、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUを分解エンティティに送出する。 -次に受信されないMAC-hs PDUまでの全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、分解エンティティに配信される。 -次の受信されていないMAC-hs PDUのTSNに対して、next_expected_TSNが設定される。 タイマーT1が停止または満了し、さらに上位レイヤに配信することができない受信MAC-hs PDUがまだ存在する場合には、それは次のように実行される。 タイマーT1はスタートされる。 -配信できないMAC-hs PDUのうち、最も高いTSNに対してT1_TSNを設定する。 送信機動作: 送信機がTSN=SNを有するMAC-hs PDUを送信した後、TSN≦SN-TRANSMIT_WINDOW_SIZEを有する任意のMAC-hs PDUは、受信機におけるシーケンス番号曖昧性を回避するために再送信されるべきではない。 受信機動作: TSN=SNを有するMAC-hs PDUが受信される時 -SNが受信機ウィンドウ内にある場合: -SN≦next_expected_TSN又はこのMAC-hs PDUが以前に受信された場合 -MAC-hs PDUは破棄されるべきである。 -他の場合: -MAC-hs PDUは、TSNによって示される場所で再順序化バッファに配置されるべきである。 -SNが受信機ウィンドウの外側にある場合。 -受信されたMAC-hs PDUは、SNによって示される位置において、再順序化バッファ内の最も高い受信されたTSNの上に配置される。 -RcvWindow_UpperEdgeは、SNに設定され、受信機ウィンドウを進める。 -TSN≦ RcvWindow_UpperEdge -RECEIVE_WINDOW_SIZEを有するMAC-hs PDU、例えば、その位置が更新された後の受信機ウィンドウの外側であっても、再順序化バッファから除去され分解エンティティに配置される。 -next_expected_TSNが更新された受信機ウィンドウ以下である場合、 next_expected_TSNはRcvWindow_UpperEdge- RECEIVE_WINDOW_SIZE+1までセットされる。 -TSN=next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUが再順序化に格納される場合 -next_expected_TSN(含む)から最初の受信されていないMAC-hs PDUまでの連続したTSNを有する受信されたMAC-HS PDUのすべてが、分解エンティティに配信される。 -next_expected_TSNは、この最初の受信されていないMAC-hs PDUのTSNに進められる。 UEが受信されたMAC-HS PDUを処理するのに十分なメモリを有さない場合、UEは以下のセットを実行する。 -next_expected_TSN < TSN_flush ≦ RcvWindow_UpperEdge + 1 のようなTSN_flushを選択する -受信されたすべてのTSN<TSN_flush のMAC-hs PDUを分解エンティティに配信する。 -TSN=TSN_flushを有するMAC-hs PDUが、以前に受信されていた場合、 -受信されたTSN_flush(含む)から最初の受信されていないMAC-hs PDUまでの連続したTSN を有するすべてのMAC-hs PDUを、分解エンティティに配信する。 -この最初の受信されていないMAC-hs PDUのTSNに対してnext_expected_TS Nを進める。 -他の場合: -next_expected_TSNをTSN_flushにセットする。) 上記各記載からみて、 (ア)上記ア.及び、上記ウ.において、MAC-hsがHSDPA(The MAC-hs handles the HSDPA)で機能すること、MAC-hs PDUを再順序化バッファ(reordering buffer)に配置することが記載されており、上記イ.の図4.2.3.3.1からもMAC-hsがHS-DSCHを介して受信することが示されている。すなわち、HSDPAにおいて、「HS-DSCHを介して受信したMAC-hs PDUを再順序化バッファ(reordering buffer)に配置」することが記載されている。 (イ)上記ウ.には、タイマーのスタートについて、タイマーT1は、Transmission sequence number(TSN)> next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUが正しく受信されたとき、すなわち、次に予想されるnext_expected_TSNと異なり、「より大きいTSNのMAC-hs PDUが受信されたとき(「シーケンス番号に基づく欠落したMAC-hs PDUの識別に応答して」)タイマーT1をスタート」することが記載されている。 (ウ)上記ウ.には、タイマーT1が満了について、T1_TSN>next_expected_TSNの場合には、「全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、T1_TSN-1以下まで、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUを分解エンティティ(disassembly entity)に送出する。」ことが記載されている。ここで、上記ア.の記載によれば、分解エンティティで分解されたMAC-d PDUが上位レイヤに送られることも記載されていることから、「タイマーT1が満了したとき、再順序化バッファ(reordering buffer)から、」分解エンティティ(disassembly entity)を介して「上位レイヤにTSNが不連続のMAC-hs PDUを転送する」ことが記載されているといえる。さらに、「全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、T1_TSN-1以下まで、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUを分解エンティティに送出する」と記載されているのであるから、上位レイヤに送られる「不連続のMAC-hs PDUは、欠落したMAC-hs PDU(next_expected_TSN)のシーケンス番号より後のシーケンス番号を有する」ことは明らかである。 したがって、引用例5には、 「HS-DSCHを介して受信したMAC-hs PDUを再順序化バッファ(reordering buffer)に配置し、シーケンス番号に基づく欠落したMAC-hs PDUの識別に応答してタイマーをスタートし、タイマーが満了したとき、再順序化バッファ(reordering buffer)から上位レイヤにTSNが不連続のMAC-hs PDUを転送すること、その際、不連続なMAC-hs PDUは欠落したMAC-hs PDUのシーケンス番号より後のシーケンス番号を有する。」こととする技術が記載されている。 引用例5のMAC-hs PDUはデータブロックともいえることは技術常識であるから、総合すると、引用例3及び3GPPの規格書である引用例5にも記載があるように、「HS-DSCHを介して受信したデータブロックを再順序化バッファ(reordering buffer)に格納し、シーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマーをスタートし、タイマーが満了したとき、再順序化バッファ(reordering buffer)から上位レイヤにTSNが不連続のデータブロックを転送すること、その際、不連続なデータブロックは欠落したデータブロックのシーケンス番号より後のシーケンス番号を有する。」という技術は、周知技術(以下、「周知技術1」という。) と認められる。 3.周知技術2 (1)引用例3には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「【0037】各データブロックには、優先順位識別子(priority class identifier)と送信シーケンスナンバー(Transmissionsequence number)が付加され、該当のデータブロックはHARQブロックに伝達される。HARQブロックには、最大8つのHARQプロセスが存在する。スケジューリングブロックから受信されたデータブロックは適切なHARQプロセスに伝達される。各HARQプロセスは停止及び待機(stopand wait:SAW)ARQで動作する。この方法で、次のデータブロックは、現在のデータブロックが成功的に伝送されるまで伝送されない。前記のように、一つのTTIでは一つのデータブロックのみが伝送されるため、一つのHARQプロセスのみが一つのTTIで活性化される。」(段落37) (2)当審拒絶理由で引用されたInterDigital, Forwarding of Non-consecutive Data Blocks, 3GPP TSG-RAN Working Group 2 Meeting #24 TSGR2#24(01)2342, インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_24/Docs/Zips/R2-012342.zip>, 2001年10月19日アップロード(以下、「引用例6」という。)には、次の記載がある。(下線は当審が付与。) 「1. A new transmission initiated for a transmission with the same priority class with a higher sequence number 2. A new transmission initiated for a transmission with a lower priority class This methodology is possible in the UE since H-ARQ transmission scheduling is based on an absolute priority mechanism that is analogous to existing TFC selection and scheduling procedures. Highest priority class traffic and earliest TSN within the priority class takes precedence.」(1葉38-43行) (当審訳: 1.同一優先度クラスを有する送信に対して、より高いシーケンス番号を有する新たな送信が開始される。 2.低優先度クラスを有する送信のために開始される新しい送信。 この方法は、UEにおいて実施され、H-ARQ送信スケジューリングが既存の TFC選択及びスケジューリング手順に類似した絶対優先順位メカニズムに基づいている。優先度クラス内の最も優先度の高いクラスのトラフィック及び最も早いTSNは優先される。) ここで、(1)には、データブロックの伝送時に優先順位を有しているこ と、(2)においても送信に優先度クラス(priority)があることが記載されている。 総合すると、「データが優先順位を有する。」ことは、周知技術(以下、「周知技術2」という。)と認められる。 第5 対比及び判断 本願発明と引用発明とを対比する。 1.引用発明の「ハイブリッドARQ」「UE」は、それぞれ本願発明の「ハイブリッド自動再送要求(HARQ)処理」、「無線送受信ユニット(WTRU)」に相当する。 また、引用発明の「データパケット」は、データブロック毎にネットワーク上で情報をやりとりするものであることは技術常識であるから、引用発明の「データパケット」がデータブロックを有することは明らかである。よって、引用発明の「データパケットを受信し、受信したデータパケットに応答」することは、本願発明の「データブロックを受信し、受信したデータブロックに応答」することに相当する。 2.引用発明の「拡張アップリンク専用トランスポートチャネルE-DCH」は本願発明の「拡張専用チャネル」に一致し、引用発明の「拡張アップリンク専用トランスポートチャネルE-DCHを介してUEからデータパケットを受信」することは本願発明の「拡張アップリンク送信において、拡張専用チャネルを介して無線送受信ユニット(WTRU)からデータブロックを受信」に含まれる。 3.引用発明の「ACK」、「NACK」は、それぞれ本願発明の「肯定応答メッセージ」、「否定応答メッセージ」に相当することから、引用発明の「受信したデータパケットに応答して、ハイブリッドARQを使用してUEへACKまたはNACKを送信する」ことは、本願発明の「受信したデータブロックに応答して、HARQ処理を使用してWTRUへ肯定応答メッセージ又は否定応答メッセージを送信」することに相当する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 (一致点) 「 ハイブリッド自動再送要求(HARQ)処理を使用して、拡張アップリンク送信において、拡張専用チャネルを介して無線送受信ユニット(WTRU)からデータブロックを受信し、 受信したデータブロックに応答して、HARQ処理を使用してWTRUへ肯定応答メッセージ又は否定応答メッセージを送信する、 方法」 (相違点1) 本願発明には 「 受信したデータブロックを再順序化バッファにストアし、 少なくとも前記ストアされたデータブロックのシーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマを初期化し、 前記タイマの満了に応答して、前記再順序化バッファから上位のレイヤへ不連続なデータブロックを転送しており、 前記再順序化バッファからの前記不連続なデータブロックは、前記受信した少なくとも1つの欠落したデータブロックのシーケンス番号よりも後のシーケンス番号を有する、1つ以上のデータブロックを含む」のに対して、引用発明には、ハイブリッドARQプロセスを有するプロトコル構造は、HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法をアップリンクにも使用できることが特定されているものの、当該発明特定事項が特定されていない点。 (相違点2) 受信されるデータブロックが、本願発明では、「関連する優先順位を有するデータブロック」であるのに対して、引用発明では、データパケットが「関連する優先順位」を有するか否かについて特定されていない点。 以下、各相違点について検討する。 (相違点1について) 引用発明には、ハイブリッドARQプロセスを有するプロトコル構造は、HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法をアップリンクにも使用できることが特定されているところ、「2.周知技術1」のとおり、「HS-DSCHを介して受信したデータブロックを再順序化バッファ(reordering buffer)に格納し、シーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマーをスタートし、タイマーが満了したとき、再順序化バッファ(reordering buffer)から上位レイヤにTSNが不連続のデータブロックを転送すること、その際、不連続なデータブロックは欠落したデータブロックのシーケンス番号より後のシーケンス番号を有する。」ことは、周知である。 してみると、引用発明においても、HSDPAにおけるダウンリンクHS-DSCHに用いられる手法である周知技術1を適用し、受信したデータブロックを再順序化バッファに格納し、シーケンス番号に基づく欠落したデータブロックの識別に応答してタイマーをスタートし、タイマーが満了したとき、再順序化バッファから上位レイヤにTSNが不連続のデータブロックを転送し、その際、不連続なデータブロックは欠落したデータブロックのシーケンス番号より後のシーケンス番号を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 (相違点2について) データが優先順位を有することは、周知技術2のとおり周知技術であるから、引用発明においてもデータが優先順位を有するようにすることは、当業者が適宜なし得ることである。 (請求人の主張について) ここで、平成31年4月19日の意見書において、請求人は、「引用文献3は、交錯タイマが満了した場合、交錯タイマが開始されたタイミングより前に正しく受信されたすべてのデータブロックを上位のレイヤに転送しています。すなわち、引用文献3は、本願発明のように、タイマの満了に応答して、タイマを開始(初期化)してから満了するまでに受信された不連続なデータブロックを再順序化バッファから上位のレイヤへ転送することについて、開示も示唆もしていない。」、「引用文献5は、引用文献3と同様に、本願発明のように、タイマの満了に応答して、タイマを開始(初期化)してから満了するまでに受信された不連続なデータブロックを再順序化バッファから上位のレイヤへ転送することについて、全く開示も示唆もしていない」と主張している。 しかしながら、引用例3には、段落141-142の記載から、データブロックがシーケンス番号のSN-5まで正常に処理された後、SN-4ではなく、SNのデータブロックを受信した時に交錯タイマーを動作(「欠落したデータブロックの識別に応答してタイマを初期化」)し、その後、SN-4,SN-2及びSN-1を受信し、タイマーの満了に応答して、タイマ動作中に正確に受信されたが伝達されなかった各データブロック(例えば、SN-2,SN-1)を上位階層に伝達することが記載されているといえる。 また、引用例3の段落188ないし段落191及びオ.第12図にも、シーケンスナンバー13、14を有する各データブロックを順次的に受信した後、データブロック15でなく18を受信すること、すなわち、欠落したデータブロック15の識別に応答してタイマーを稼働し、データブロック18を再整理バッファーに格納し、その後、タイマーの満了に応答して、欠落したシークエンス番号(15)より後のシークエンス番号(16)を有している不連続なデータブロックが、格納された再整理バッファーから上位階層に伝達されることが記載されていることから、シーケンス番号16はタイマーを開始(初期化)してから満了するまでに受信された不連続なデータブロックといえ、上位階層に伝達することが記載されているといえる。 そして、引用例5には、タイマーT1が満了時に、T1_TSN>next_expected_TSNの場合には、全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、T1_TSN-1以下まで、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUを分解エンティティ(disassembly entity)に送出し、分解エンティティ(disassembly entity)を介して上位レイヤにTSNが不連続のMAC-hs PDUを送ることが記載されており、「全ての正しく受信されたMAC-hs PDUは、T1_TSN-1以下まで、TSN>next_expected_TSNを有するMAC-hs PDUを分解エンティティに送出する」と記載されているのであるから、タイマを開始(初期化)してから満了するまでに受信された不連続なデータブロックを上位レイヤに送ることは明らかである。 してみると、引用例3、引用例5いずれにおいても、本願発明のように、タイマーの満了に応答して、タイマーを開始(初期化)してから満了するまでに受信された不連続なデータブロック(欠落したデータブロックのシーケンス番号よりも後のシーケンス番号を有する)を再順序化バッファから上位のレイヤへ転送することが記載されていることは明らかであり、出願人の主張は採用できない。 また、本願発明の作用効果も、引用発明、周知技術1、及び周知技術2の奏する作用効果から当業者が予測し得る範囲内のものである。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-012461

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