特許拒絶査定不服審判
2017-001834
半導体素子用リードフレーム、樹脂付半導体素子用リードフレームおよび半導体装置、並びに、半導体素子用リードフレームの製造方法、樹脂付半導体素子用リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法
- 審判番号
- 2017-001834
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-151032外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月07日
- 審決日
- 2018年01月09日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H01L) / P18 .575-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-151032「半導体素子用リードフレーム、樹脂付半導体素子用リードフレームおよび半導体装置、並びに、半導体素子用リードフレームの製造方法、樹脂付半導体素子用リードフレームの製造方法および半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 5日出願公開、特開2015-195412〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成23年9月9日に出願した特願2011-197436号の一部を平成27年7月30日に新たな特許出願としたものであって、平成27年8月4日付けで手続補正がなされ、平成28年7月11日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年9月9日付けで手続補正がなされたが、同年11月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年2月7日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされたものである。
2.平成29年2月7日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年2月7日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正後の本願発明
平成29年2月7日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項3については、
「【請求項3】
半導体素子を載置する半導体素子用リードフレームにおいて、
表面、裏面および外側面を含む枠体と、
枠体内に多面付けで配置され、各々が、半導体素子を載置するダイパッドと、ダイパッドから離間したリード部と、を有する複数の単位リードフレームと、を備え、
枠体の外側面は、周縁方向に延びる表面側領域および裏面側領域を有し、
表面側領域に、周縁方向に沿って複数の表面側凹部が設けられ、
裏面側領域に、周縁方向に沿って複数の裏面側凹部が設けられ、
各表面側凹部は、枠体の外側面から表面にわたって形成され、
各裏面側凹部は、枠体の外側面から裏面にわたって形成され、
表面側凹部および裏面側凹部は、平面視で湾曲状または楔状に形成されていることを特徴とする半導体素子用リードフレーム。」
とあったものが、
「【請求項3】
半導体素子を載置する半導体素子用リードフレームにおいて、
表面、裏面および外側面を含む枠体と、
枠体内に多面付けで配置され、各々が、半導体素子を載置するダイパッドと、ダイパッドから離間したリード部と、を有する複数の単位リードフレームと、を備え、
枠体の外側面は、周縁方向に延びる表面側領域および裏面側領域を有し、
表面側領域に、周縁方向に沿って複数の表面側凹部が設けられ、
裏面側領域に、周縁方向に沿って複数の裏面側凹部が設けられ、
各表面側凹部は、枠体の外側面から表面にわたって形成され、
各裏面側凹部は、枠体の外側面から裏面にわたって形成され、
表面側凹部および裏面側凹部は、平面視で湾曲状に形成され、
各表面側凹部および各裏面側凹部は、平面視で、周縁方向に一致して配置され、
表面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された表面側凸部が設けられ、
裏面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された裏面側凸部が設けられ、
枠体の外側面の表面側領域および裏面側領域は、それぞれ、波状に形成されていることを特徴とする半導体素子用リードフレーム。」
と補正された。
上記補正は、
ア.請求項3に記載された発明を特定するために必要な事項である、枠体の外側面の表面側領域および裏面側領域にそれぞれ設けられた「表面側凹部」及び「裏面側凹部」について、平面視で「湾曲状または楔状」に形成されているとあり、平面視の形状について2つの選択肢があったものを、「湾曲状」のみとする限定を付加し、
イ.さらに枠体の外側面の「表面側領域」および「裏面側領域」について、「表面側凹部および各裏面側凹部は、平面視で、周縁方向に一致して配置され、表面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された表面側凸部が設けられ、裏面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された裏面側凸部が設けられ」、「それぞれ、波状に形成されている」との限定を付加するものである。
なお、これに伴い、本件補正前の請求項4~6は削除された。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除、及び第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の上記請求項3に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下に検討する。
(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-216881号公報(以下、「引用例」という。)には、「面付けリードフレーム」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
インナーリードとインナーリードより延在するアウターリードからなるリードフレーム本体(11)が複数面付けされて、ブリッジ(12)で外周枠(13)に保持されてなる面付けリードフレーム(10)であって、前記面付けリードフレーム(10)の外周枠(13)側壁に山状の突起(14)を設けたことを特徴とする面付けリードフレーム。
・・・・・(中 略)・・・・・
【請求項3】
請求項1または2に記載の面付けリードフレームに半導体チップを搭載し、樹脂封止したことを特徴とする半導体装置。」
イ.「【0001】
本発明は、半導体集積回路装置等に用いる本体リードフレームを多面付けしたリードフレームに係わり、特に、リードフレームの外周枠に特定形状の突起を設けた面付けリードフレーム及び半導体装置に関する。」
ウ.「【0012】
本発明の面付けリードフレーム及びその製造方法並びに半導体装置の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の面付けリードフレームの一実施例を示す面付けリードフレーム10の模式平面図を、図2は、面付けリードフレーム10の部分拡大模式平面図を示す。
請求項1に係る面付けリードフレーム10は、インナーリードとインナーリードより延在するアウターリードからなるリードフレーム本体11が4面面付けされた事例で、リードフレーム本体11は連結ブリッジ12で外周枠13に連結されて、リードフレーム本体11が製造工程中に分離、脱落しない構造になっており、搬送レールの側壁と対向する外周枠13の外周部側壁に山状の突起14が形成されているのが特徴である。
【0013】
請求項2に係る発明は、上記外周枠13の外周部に形成された山状の突起14の突起幅Wと突起高さhを規定したもので、山状の突起14の突起幅Wが10~80μm、突起高さが10~50μmとしたものである(図2参照)。また、山状の突起14のピッチpは任意に設定してよい。
このように、面付けリードフレーム10の外周枠13の外周部に突起幅Wが10~80μm、突起高さが10~50μmの山状の突起14を設けることにより、面付けリードフレーム10が搬送レール上を搬送されても、従来の面付けリードフレーム20のように搬送レール側壁との接触により外周枠23が削れて繊維状金属ヒゲ(例えば、長さ80μm以上)が発生するのを防止できる。
また、搬送レール側壁との接触によりリードフレームから金属カスが発生したとしても、山状の突起14の先端が削られる程度で少なくとも50μm以下の金属カスとなり、リードフレーム本体のリード間にまたがって、リード間の短絡事故に繋がるような金属カスの発生を防止できる。
【0014】
請求項3に係わる発明は、面付けリードフレーム10に半導体チップ31を搭載し、樹脂封止して半導体装置100を形成したものである。
具体的には、面付けリードフレーム10のリードフレーム本体11のダイパッド上に半導体チップ31をダイボンドし、半導体チップ31の電極パッドとインナーリードをワイヤボンディングで接続し、モールド樹脂51で樹脂封止し、面付けリードフレーム10の外周枠13の連結ブリッジ12を切断して、アウターリードを折り曲げて、本発明の半導体装置100を得る。
・・・・・(中 略)・・・・・
【0016】
具体的には、まず、銅合金等からなる金属基材を所定サイズに加工し、金属基材の両面に感光性のドライフィルムをラミネートする等の方法で感光層を形成する。
次に、リードフレーム本体のリードパターンと外周枠の外周部に山状の突起形成用パターンが形成された露光マスクを用いてパターン露光し、専用の現像液で現像処理を行い、ポストベークを行って、金属基材の両面にレジストパターンを形成する。
ここで、外周枠の外周部に形成する山状の突起パターンの突起幅Wと突起高さhは、突起幅Wが10~80μm、突起高さが10~50μmの範囲で適宜設定する。また、突起パターンのピッチPは、任意に設定できる(図2参照)。
また、金属基材の外周枠の外周部に形成する山状の突起パターンは、金属基材の表裏で1/2Pずらして配置しても良い。」
・上記引用例に記載の「面付けリードフレーム」は、上記「イ.」の記載事項によれば、半導体集積回路装置等に用いる本体リードフレームを多面付けしたリードフレームに関し、
より具体的には、上記「ア.」の【請求項1】、「イ.」、「ウ.」の記載事項、及び図1、図2によれば、インナーリードとインナーリードより延在するアウターリードからなるリードフレーム本体11が複数面付けされて、ブリッジ12で外周枠13に保持されてなる面付けリードフレーム10であって、面付けリードフレーム10の長手方向の外周枠13側壁に山状の突起14を設けてなる面付けリードフレームである。
・上記「ア.」の【請求項3】、「ウ.」の段落【0014】によれば、リードフレーム本体11はダイパッドを有し、ダイパッド上に半導体チップが搭載されてなるものである。なお、図1、図2からも明らかなように、リードフレーム本体11におけるダイパッドと、インナーリード及びアウターリードとは、離間している。
・上記「ウ.」の段落【0014】、【0016】、及び図1、図2によれば、山状の突起14は、面付けリードフレーム10の長手方向の外周枠13側壁に所定のピッチPで複数設けられてなるものである。
そして、特に上記「ウ.」の段落【0016】の「金属基材の外周枠の外周部に形成する山状の突起パターンは、金属基材の表裏で1/2Pずらして配置しても良い」なる記載を参照するに、図1及び図2に示されるものは、山状の突起パターンを、金属基材の表裏で1/2Pずらすことなく、金属基材(面付けリードフレーム10)の表裏で長手方向に一致して配置してなるものであるということができる。
・図1、図2から明らかなように、面付けリードフレーム10の長手方向の外周枠13側壁における、山状の突起14と山状の突起14との間は、平面視で平坦状である。
したがって、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「半導体チップが搭載されるダイパッドと、前記ダイパッドと離間したインナーリード及び当該インナーリードより延在するアウターリードとからなるリードフレーム本体が複数面付けされて、ブリッジで外周枠に保持されてなる面付けリードフレームであって、
当該面付けリードフレームの長手方向の前記外周枠の側壁に所定のピッチで複数の山状の突起を設け、
前記複数の山状の突起は、当該面付けリードフレームの表裏で長手方向に一致して(ずらすことなく)配置してなり、
前記山状の突起と前記山状の突起との間は、平面視で平坦状である面付けリードフレーム。」
(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「半導体チップが搭載されるダイパッドと、前記ダイパッドと離間したインナーリード及び当該インナーリードより延在するアウターリードとからなるリードフレーム本体が複数面付けされて、ブリッジで外周枠に保持されてなる面付けリードフレームであって」によれば、
(a)引用発明における「半導体チップ」、「ダイパッド」、「インナーリード」及び「アウターリード」、複数面付けされてなる「リードフレーム本体」、「外周枠」は、それぞれ本願補正発明でいう「半導体素子」、「ダイパッド」、「リード部」、複数の「単位リードフレーム」、「枠体」に相当し、
そして、引用発明における「面付けリードフレーム」は、半導体チップが搭載されるものであるから、本願補正発明でいう「半導体素子用リードフレーム」に相当する。
(b)また、引用発明における「外周枠」にあっても、当然、表面、裏面及び外側面を含むものであり、さらに、その外側面が、周縁方向(長手方向)に延びる本願補正発明でいうところの「表面側領域」および「裏面側領域」を有することも自明なことである。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「半導体素子を載置する半導体素子用リードフレームにおいて、表面、裏面および外側面を含む枠体と、枠体内に多面付けで配置され、各々が、半導体素子を載置するダイパッドと、ダイパッドから離間したリード部と、を有する複数の単位リードフレームと、を備え、枠体の外側面は、周縁方向に延びる表面側領域および裏面側領域を有し」てなるものである点で一致するといえる。
イ.引用発明における「当該面付けリードフレームの長手方向の前記外周枠の側壁に所定のピッチで複数の山状の突起を設け、前記複数の山状の突起は、当該面付けリードフレームの表裏で長手方向に一致して(ずらすことなく)配置してなり、前記山状の突起と前記山状の突起との間は、平面視で平坦状である・・」によれば、
(a)引用発明における、複数の「山状の突起」は、「面付けリードフレームの表裏で長手方向に一致して(ずらすことなく)配置」されてなるものであり、本願補正発明でいう「表面側凸部」および「裏面側凸部」に相当するといえる。
(b)そして、引用発明において、山状の突起と山状の突起との間は凹部であるといえ、これら凹部は、複数の山状の突起と同様、「面付けリードフレームの表裏で長手方向に一致して(ずらすことなく)配置」されているといえることから、本願補正発明でいう、枠体の外周面から表面にわたって形成された複数の「表面側凹部」および枠体の外周面から裏面にわたって形成された複数の「裏面側凹部」に相当するとみることができる。
したがって、本願補正発明と引用発明とは、「表面側領域に、周縁方向に沿って複数の表面側凹部が設けられ、裏面側領域に、周縁方向に沿って複数の裏面側凹部が設けられ、各表面側凹部は、枠体の外側面から表面にわたって形成され、各裏面側凹部は、枠体の外側面から裏面にわたって形成され、表面側凹部および裏面側凹部は、平面視で所定形状に形成され、各表面側凹部および各裏面側凹部は、平面視で、周縁方向に一致して配置され、表面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された表面側凸部が設けられ、裏面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された裏面側凸部が設けられている」点で共通するということができる。
ただし、枠体の外周面の表面側領域および裏面側領域にそれぞれ設けられる表面側凹部及び裏面側凹部の平面視での所定形状について、本願補正発明では、「湾曲状」である旨特定するのに対し、引用発明では、平坦状である点で相違している。
また、表面側領域および裏面側領域について、本願補正発明では、それぞれ「波状」に形成されている旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点でも相違する。
よって、本願補正発明と引用発明とは、
「半導体素子を載置する半導体素子用リードフレームにおいて、
表面、裏面および外側面を含む枠体と、
枠体内に多面付けで配置され、各々が、半導体素子を載置するダイパッドと、ダイパッドから離間したリード部と、を有する複数の単位リードフレームと、を備え、
枠体の外側面は、周縁方向に延びる表面側領域および裏面側領域を有し、
表面側領域に、周縁方向に沿って複数の表面側凹部が設けられ、
裏面側領域に、周縁方向に沿って複数の裏面側凹部が設けられ、
各表面側凹部は、枠体の外側面から表面にわたって形成され、
各裏面側凹部は、枠体の外側面から裏面にわたって形成され、
表面側凹部および裏面側凹部は、平面視で所定形状に形成され、
各表面側凹部および各裏面側凹部は、平面視で、周縁方向に一致して配置され、
表面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された表面側凸部が設けられ、
裏面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された裏面側凸部が設けられていることを特徴とする半導体素子用リードフレーム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
枠体の外周面の表面側領域および裏面側領域について、本願補正発明では、これら領域にそれぞれ設けられる表面側凹部及び裏面側凹部の平面視での所定形状が「湾曲状」であり、これら領域は、それぞれ「波状」に形成されている旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。
(4)判断
上記[相違点]について検討する。
引用例の段落【0013】には「山状の突起14を設けることにより、面付けリードフレーム10が搬送レール上を搬送されても、従来の面付けリードフレーム20のように搬送レール側壁との接触により外周枠23が削れて繊維状金属ヒゲ(例えば、長さ80μm以上)が発生するのを防止できる。また、搬送レール側壁との接触によりリードフレームから金属カスが発生したとしても、山状の突起14の先端が削られる程度で少なくとも50μm以下の金属カスとなり、リードフレーム本体のリード間にまたがって、リード間の短絡事故に繋がるような金属カスの発生を防止できる」と記載(上記「(2)ウ.」を参照)されているように、引用発明は、面付けリードフレームの長手方向の外周枠の側壁に所定のピッチで複数の「山状の突起」を設けることにより、搬送レール側壁とは、山状の突起の先端のみが接触するようにして長さが長い金属カス(金属ヒゲ)の発生を防止するようにしたものであって、引用発明の技術的意義として重要なのは複数の「山状の突起」を設けたことであり、これら山状の突起と山状の突起との間の形状は任意に定め得るものであるといえ、引用発明において、山状の突起と山状の突起との間の形状を平面視で「平坦状」に代えて例えば「湾曲状」とし、外周枠の側壁(外周面)の表面側領域および裏面側領域がそれぞれ「波状」に形成されてなるものとすることも当業者であれば適宜なし得ることである。
なお、本願明細書をみても、本願補正発明において、表面側凹部及び裏面側凹部の平面視での所定形状を「湾曲状」とし、枠体の外周面の表面側領域および裏面側領域をそれぞれ「波状」としたことによる作用効果についての記載はなく、このような形状としたことの技術的意義を見出すことはできない。
そして、本願補正発明が奏する効果についてみても、引用発明から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について
平成29年2月7日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年9月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項3に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項3】
半導体素子を載置する半導体素子用リードフレームにおいて、
表面、裏面および外側面を含む枠体と、
枠体内に多面付けで配置され、各々が、半導体素子を載置するダイパッドと、ダイパッドから離間したリード部と、を有する複数の単位リードフレームと、を備え、
枠体の外側面は、周縁方向に延びる表面側領域および裏面側領域を有し、
表面側領域に、周縁方向に沿って複数の表面側凹部が設けられ、
裏面側領域に、周縁方向に沿って複数の裏面側凹部が設けられ、
各表面側凹部は、枠体の外側面から表面にわたって形成され、
各裏面側凹部は、枠体の外側面から裏面にわたって形成され、
表面側凹部および裏面側凹部は、平面視で湾曲状または楔状に形成されていることを特徴とする半導体素子用リードフレーム。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。
(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明の発明特定事項である、枠体の外側面の表面側領域および裏面側領域にそれぞれ設けられた「表面側凹部」及び「裏面側凹部」について、平面視で「湾曲状または楔状」に形成されているとあり、平面視の形状について2つの選択肢があったものを、「湾曲状」のみとする限定を省き、さらに枠体の外側面の「表面側領域」および「裏面側領域」について、「表面側凹部および各裏面側凹部は、平面視で、周縁方向に一致して配置され、表面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された表面側凸部が設けられ、裏面側凹部の間に、外側面に対して外側に突出するように形成された裏面側凸部が設けられ」、「それぞれ、波状に形成されている」との限定を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に他の限定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、さらに付言しておくと、引用発明において、複数の山状の突起における所定ピッチは、任意に設定できる(上記「2.(2)ウ.」を参照)ものであるところ、かかるピッチを山状の突起の幅と略等しいものとし、「表面側凹部」及び「裏面側凹部」が、平面視で「楔状」に形成されてなるものとすることも当業者であれば容易に想到し得ることである。
(3)むすび
以上のとおり、本願の請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-001834