特許拒絶査定不服審判
2016-018580
改善されたコンテンツ配送システムのためのアクセスポイント
- 審判番号
- 2016-018580
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-201094外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月09日
- 審決日
- 2018年06月11日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】岡田 貴志
- 分類
- P18 .121-WZ (H04W)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-201094「改善されたコンテンツ配送システムのためのアクセスポイント」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 5日出願公開、特開2015- 43590〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)8月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2008年9月2日 米国)を国際出願日とする特願2011-526105号の一部を、平成25年1月11日に新たな特許出願とした特願2013-3833号の一部を、平成26年9月30日に更に新たな特許出願としたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成27年10月2日付け: 拒絶理由通知書
平成28年2月4日: 意見書、手続補正書の提出
平成28年2月19日付け: 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成28年5月25日: 意見書、手続補正書の提出
平成28年8月8日付け: 平成28年5月25日の手続補正についての 補正の却下の決定、拒絶査定
平成28年12月9日: 拒絶査定不服審判の請求
平成29年12月12日付け:拒絶理由通知書(当審)
平成30年4月16日: 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成30年4月16日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。
「(b1)キオスクのカバレッジエリアにおける複数のポータブルデバイスのポピュレーションにメディアコンテンツをワイヤレスに配信するための装置であって、
(b2)前記複数のポータブルデバイスのうちの1つからの特定のメディアコンテンツについての要求の受信前に、前記複数のポータブルデバイスのポピュレーションに、前記キオスクによって、メディアコンテンツをワイヤレスに配信するための手段と、
(b3)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連するクライアントを特徴づけるための手段と、前記特徴づけることは、複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションに前記メディアコンテンツを前記配信することと関連するトランザクションに少なくとも部分的に基づく、
(b4)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連する前記クライアントの前記特徴づけに少なくとも部分的に基づいて、ネットワークコントローラから送信される予期される将来のクライアントのためのメディアコンテンツを、受信されたメディアコンテンツとして、受信するための手段と、
(b5)ローカル記録装置に前記受信されたメディアコンテンツを記憶するための手段と、
(b6)前記ポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての要求を受信するための手段と、
(b7)ワイヤレスデータプロトコル・カバレッジエリア内の要求する加入者ポータブルデバイスからの要求であるとしてポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての前記要求を認証するための手段と、
(b8)前記要求する加入者ポータブルデバイスに前記要求されたメディアコンテンツをワイヤレスに送信するための手段と、および
(b9)追跡および請求の目的のために前記ネットワークコントローラへ前記ワイヤレス送信を報告するための手段と
を具備する装置。」
また、本件補正前の請求項4、7、8、9、12、14、17、18は、本件補正により削除されたため、本願発明は、本件補正前の請求項19に対応する。
第3 拒絶の理由
平成29年12月12日付けの当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうちの理由1の概要は、次のとおりのものである。
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」であるところ、本願発明に対応する本件補正前の請求項19に対して下記引用文献1が引用されている。
1.特開2003-186785号公報
第4 引用例の記載及び引用発明
1 引用例1の記載
当審拒絶理由で引用した特開2003-186785号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)
(1) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンテンツ情報をユーザ端末に効率的に配信するためのローカルサーバ、情報配信システムおよびユーザ端末装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】音楽コンテンツ等のコンテンツ情報をユーザ端末に配信する場合、メインサーバに蓄積されているコンテンツ情報をローカルサーバに共有せしめ、かかるローカルサーバからユーザ端末にコンテンツ情報を配信する方法を取り得る。
【0003】かかる場合、メインサーバに蓄積されたコンテンツ情報は、所定のタイミングでローカルサーバにダウンロードされる。これにより、ダウンロード間隔に応じたタイムラグはあるものの、ローカルサーバには、通常、メインサーバと略同一種類のコンテンツが蓄積されるようになる。したがって、ユーザは、かかるローカルサーバにアクセスすることにより、所望のコンテンツを迅速に取得することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年のインターネットおよびユーザ端末(携帯電話、等)の普及により、ローカルサーバがあらゆる箇所に設置されるようになると、上記のように全てのローカルサーバに一時に最新コンテンツをダウンロードしていたのでは、ダウンロード時におけるメインサーバの負荷が極めて大きくなってしまう。また、ローカルサーバ側においても、ユーザからのアクセスが頻繁になされているときに、メインサーバからのダウンロードがなされると、トラフィック制御が煩雑となり好ましくない。
【0005】さらに、ユーザが要求するコンテンツの種類や内容は地域によって格差があり、このため、メインサーバ内の全てのコンテンツを画一的にローカルサーバにダウンロードする方法は、ローカルサーバ内に無駄なコンテンツ情報の蓄積を促す結果となり、システム全体の処理として極めて非効率なものとなる。
【0006】そこで、本発明は、メインサーバからローカルサーバへコンテンツ情報をダウンロードする際の処理の効率化と、ローカルサーバからユーザ端末へコンテンツ情報を配信する際の処理の円滑化および迅速化を同時に達成することができる、ローカルサーバ、情報配信システムおよびユーザ端末装置を提供することを課題とする。」
(2) 「【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。まず、図1に実施の形態に係るコンテンツ配信ネットワークシステムの構成を示す。
【0024】図において、100は、コンテンツ情報を蓄積しこれを適宜ローカルサーバにダウンロードするサーバコンピュータ(メインサーバ)、200は、ユーザ端末300からの配信要求に応じてコンテンツ情報をユーザ端末300に転送するサーバコンピュータ(ローカルサーバ)、300は、ローカルサーバ200にアクセスしてコンテンツ情報を取得する情報端末装置(ユーザ端末)である。
【0025】ここで、メインサーバ100とローカルサーバ200は、インターネットまたは公衆回線網を介して接続されている。また、ユーザ端末300は、近距離無線ネットワークを介してローカルサーバ200にアクセス可能である。かかるユーザ端末300として、たとえば携帯電話、PDA(Personal-Digital-Assistants)等が利用される。
(中略)
【0028】図5にコンテンツ情報の内容を示す。図示の如く、一つのコンテンツ情報は、コンテンツID、課金情報、楽曲情報、アーティスト情報およびオーディオ情報から構成されている。この内、課金情報は、当該音楽コンテンツの配信を受ける場合の課金に関する情報である。楽曲情報は、当該音楽コンテンツのタイトル(曲名)、所要時間および情報容量等に関する情報である。アーティスト情報は、当該音楽コンテンツを演奏するアーティストに関する情報である。オーディオ情報は、当該音楽コンテンツの楽曲を圧縮コード化した情報である。上記コンテンツ情報記憶部106には、かかるコンテンツ情報が、コンテンツ毎に区分して記憶されている。
」
(3) 図1
(4) 「【0031】図3に、ローカルサーバ200の構成を示す。図において、201は各部を制御する制御部(CPU)、202は情報を一次格納するためのメモリ(ワークRAM)、203は情報を入力するための入力部(キーボード、マウス等)、204はネットワークとの間の情報入出力を制御する通信制御部である。
【0032】205は、コンテンツ情報記憶部206に記憶されたコンテンツ情報と、ローカルコンテンツリスト記憶部207または最新コンテンツリスト記憶部208の何れかに記憶されたコンテンツリスト情報を、ユーザ端末300に対し配信する配信制御部である。ここで、ローカルコンテンツリスト記憶部207と最新コンテンツリスト記憶部208の内、何れに記憶されたコンテンツリスト情報を配信するかは、後述の図7~図11に示す各制御フローチャートに従う。
(中略)
【0040】次に、上記コンテンツ配信ネットワークシステムにおける配信制御方法について、図7を参照して説明する。かかる配信制御方法は、ユーザ端末300に対するコンテンツリスト情報の配信が、単一のローカルサーバのみからなされる場合の制御方法に関するものである。
【0041】ユーザ端末300からローカルサーバ200にアクセス要求がなされると(S101)、ローカルサーバ200において、かかるアクセス要求がリスト表示選択に関するものか、検索選択に関するものかが判別される(S102)。ここで、リスト表示選択であれば、ローカルサーバ200は、最新コンテンツリスト記憶部208に記憶されたコンテンツリスト情報を読み出し、これをユーザ端末300に転送する。ユーザ端末300は、転送されたコンテンツリスト情報に基づいて、リスト表示画面を作成(リスト作成部304)し、これを表示部306に表示する(S103)。
【0042】このようにして表示されたコンテンツリストの内、ユーザが所定のコンテンツを選択すると、かかる選択情報がユーザ端末300からローカルサーバ200に送信される。ローカルサーバ200は、選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部207中に存在するかを判別し(S104)、存在する場合には、コンテンツ情報記憶部206から当該コンテンツ情報を読み出して、これをユーザ端末300に転送する(S107)。
【0043】一方、選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部207中に存在しない場合には、メインサーバ100に対し当該コンテンツのダウンロード要求を発する(最新コンテンツ要求部209)。かかるダウンロード要求に応じて、メインサーバ100は、当該コンテンツ情報をコンテンツ情報記憶部106から読み出し、これをローカルサーバ200に転送する。かかる転送を受けて、ローカルサーバ200は当該コンテンツ情報をコンテンツ情報記憶部206に記憶する(S105)。また、当該コンテンツ情報中のヘッダ部分(コンテンツリスト情報)を抜き出して、これをローカルコンテンツリスト記憶部207に追記する(S106)。しかる後、当該コンテンツ情報をユーザ端末300に転送する(S107)。
【0044】また、上記ユーザ端末300からのアクセス要求が検索選択である場合(S102)には、ローカルサーバ200からユーザ端末300にレスポンスが返され、ユーザ端末300の表示部306上に検索画面が表示される。かかる検索画面に従いユーザによって検索条件が入力されると(S108)、かかる検索条件がローカルサーバ200に転送される。ローカルサーバ200は、かかる検索条件に基づいて配信すべきコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部207中に存在するかを判別する(S109)。ここで存在すると判別すると、当該コンテンツをコンテンツ情報記憶部106から読み出し、これをユーザ端末300に転送する(S107)。
【0045】一方、配信すべきコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部207中に存在しないと判別すると(S109)、次に、当該コンテンツが最新コンテンツリスト記憶部208中に存在するかを判別する(S110)。ここで存在すると判別すると、上記と同様、メインサーバ100に対し当該コンテンツのダウンロード要求を発し(最新コンテンツ要求部209)、メインサーバ100から当該コンテンツ情報の転送を受けて、当該コンテンツ情報をコンテンツ情報記憶部206に記憶し(S105)、また、当該コンテンツ情報からコンテンツリスト情報を抜き出して、これをローカルコンテンツリスト記憶部207に追記する(S106)。しかる後、当該コンテンツ情報をユーザ端末300に転送する(S107)。
【0046】以上の配信制御方法によれば、ローカルサーバ200には、ユーザからの配信要求に応じてコンテンツ情報が逐次蓄積されるので、メインサーバ100から全コンテンツ情報を画一的にダウンロードする場合に比べ、メインサーバ100の負荷は極めて小さくなる。また、ローカルサーバ200には、ユーザのニーズに応じたコンテンツ情報のみが次第に蓄積増加されるようになるので、その地域のユーザのニーズに従った種類と量のコンテンツが蓄積されるようになる。よって、メインサーバの負荷低減とシステム全体の利用効率の向上を飛躍的に改善することができるようになる。」
(5) 図7
(6) 「【0054】次に、上記コンテンツ配信ネットワークシステムにおけるさらに他の配信制御方法について、図9を参照して説明する。なお、かかる配信制御方法は、ユーザ端末300に対するコンテンツリスト情報の配信が、複数のローカルサーバからなされる場合の制御方法に関するものである。すなわち、ユーザ端末が複数のローカルサーバ200にアクセス可能であり、各ローカルサーバからコンテンツリスト情報の配信を受け得る場合に関するものである。」
(7) 「【0069】しかしながら、本来、ユーザからの配信要求に対し迅速に応答するためには、配信要求がなされる可能性の高いコンテンツは、予め、ローカルサーバに蓄積しておいた方が好ましい。したがって、たとえば新たにリリースされた曲、映画等の最新コンテンツは、ユーザからの配信要求に応じてメインサーバからダウンロードするのではなく、ユーザからの配信要求がある前に、予め、ローカルサーバ200に蓄積しておく方が好ましい。ただし、かかる最新コンテンツを同一タイミングで全てのローカルサーバにダウンロードすると、メインサーバの負荷が大きくなる。また、ユーザからのアクセスが頻繁に行われているときに、メインサーバからのダウンロードがなされると、ローカルサーバの通信トラフィックが混乱し、メインサーバにおける通信制御が煩雑となる。
【0070】そこで、以下の実施の形態は、ローカルサーバから主導的にメインサーバに対し所定のタイミングでコンテンツのダウンロード要求を発し、これにより、通信トラフィックの混乱およびメインサーバの過負荷を回避しながら、メインサーバに新たに追加された最新コンテンツをローカルサーバに予めダウンロードしておき、これにより、ユーザからの配信要求に対し迅速に応答しようとするものである。
【0071】図10に、かかる実施の形態におけるローカルサーバ200のブロック図を示す。本ブロック図は、図3に比べ、アクセス履歴記憶部210が追加されている点が構成上相違している。その他の構成は、図3と同様であるので、説明を省略する。
【0072】アクセス履歴記憶部210は、当該ローカルサーバ200に対するユーザ端末300からのアクセス履歴を記憶するものである。すなわち、一定期間(たとえば1ヶ月)中のアクセス件数が、たとえば、日、曜日、時間毎に区分されて蓄積されている。
【0073】ローカルサーバ200の最新コンテンツ要求制御部209は、かかるアクセス履歴記憶部210に記憶されたアクセス履歴を参照し、当該ローカルサーバ200に対するアクセス頻度の少ない日、曜日、時間帯に、コンテンツのダウンロード要求をメインサーバ100に発する。たとえば、1週間ごとにダウンロード要求を発する場合には、1週間の内、最もアクセス頻度の少ない曜日と時間帯に、コンテンツのダウンロード要求をメインサーバ100に発する。
【0074】メインサーバ100は、かかるダウンロード要求を受けて、当該ローカルサーバ200から前回ダウンロード要求があったタイミングから現時点までに新たにコンテンツ記憶部106に蓄積されたコンテンツ(以下、「追加コンテンツ」という)を読み出す。そして、かかる追加コンテンツのコンテンツリストをコンテンツリスト記憶部107から読み出し、これを追加コンテンツと共に当該ローカルサーバ200に転送する。
【0075】なお、メインサーバ100のローカルサーバ管理データベース108には、各ローカルサーバ200からの最新のダウンロード要求日時が記憶されている。メインサーバ100は、当該ローカルサーバ200における最新のダウンロード要求日時と、コンテンツ情報記憶部106に記憶されたコンテンツの蓄積日時とを対比し、当該最新のダウンロード要求日時以降に蓄積されたコンテンツを、コンテンツ記憶部106から読み出し、これを当該ローカルサーバ200に転送する。
【0076】ローカルサーバ200は、メインサーバ100からの転送を受けて、かかる追加コンテンツをコンテンツ情報記憶部206に記憶し、また、そのコンテンツリストをローカルコンテンツリスト記憶部207に記憶する。さらに、かかるコンテンツリストが最新コンテンツリスト記憶部208に記憶されているかを判別し、ここに記憶されていなければ、これを最新コンテンツリスト記憶部208に追加する。これにより、追加コンテンツのダウンロード処理が完了する。
【0077】本実施の形態によれば、追加コンテンツがローカルサーバに適宜蓄積されていくので、ユーザからの配信要求に応じて最新コンテンツを迅速に提供することができる。したがって、図1~図9を参照して説明した上記実施の形態と相俟って、最新コンテンツ(最新のリリース曲や映画等)の蓄積と、ユーザから個別に配信要求があった従前のコンテンツの蓄積とを適宜行うことができ、よって、最新コンテンツの迅速な提供と、地域毎のコンテンツ要求の特殊性とを同時に満たすコンテンツ配信ネットワークシステムを実現することができる。
【0078】そして、ローカルサーバ200からの追加コンテンツのダウンロード要求は、ユーザからのアクセス頻度の低いタイミングで行われるので、ダウンロード時におけるローカルサーバの通信トラフィックの混乱を抑制でき、また、かかるダウンロード要求のタイミングは、通常、ローカルサーバ毎に時間的なズレが生じるので、メインサーバからローカルサーバへのダウンロードは離散的となり、よって、ダウンロード時におけるメインサーバへの過度の負担を抑制することもできる。
【0079】なお、追加コンテンツのダウンロード要求が複数のローカルサーバ間で競合した場合には、何れかのローカルサーバのダウンロード要求のみを受付け、他のローカルサーバには、アクセス頻度の低い次のタイミングにてダウンロード要求を発生させるようにする。
【0080】また、追加コンテンツは、上記の如く、前回のダウンロード要求から現時点までにメインサーバに追加された全てのコンテンツを対象とする他、たとえば、ジャンル(ポップス、ニューミュージックなど)や区分(最新リリース、ナツメロなど)を設け、所定のジャンル、区分のみを対象として、追加コンテンツを選定するようにしても良い。
【0081】なお、当該実施の形態では、追加コンテンツのダウンロード要求をローカルサーバ側から発するようにしたが、これに代えて、メインサーバ100側が、ユーザからローカルサーバ200へのアクセス頻度の粗密を予測し、当該アクセス頻度の低いタイミングで追加コンテンツをローカルサーバ200に転送するようにすることもできる。すなわち、先の実施の形態におけるメインサーバからローカルサーバへのコンテンツリストのダウンロードと同様、ローカルサーバ管理データベース108に蓄積されたローカルサーバ毎のダウンロード要求履歴を参照し、かかるダウンロード要求の少ないタイミングをユーザからのアクセス頻度が低いタイミングと予測して、当該タイミングにて追加コンテンツを当該ローカルサーバに転送することもできる。ただし、ローカルサーバからメインサーバへのダウンロード要求件数は、通常、ユーザ端末からローカルサーバへのアクセス件数よりも圧倒的に小さいので、当該ダウンロード要求をもって、当該ローカルサーバに対するユーザからのアクセス頻度を統計的に予測するのは困難である。したがって、ローカルサーバへのアクセス頻度を統計的に割り出すには、上記の如く、ローカルサーバへのアクセス件数履歴に基づくようにした方が、数段、精度の高いものとなる。」
2 引用発明
(1) 上記1(1)段落0001~0002の記載、上記1(2)段落0024~0025、及び段落0028の記載、及び上記1(3)図1から、引用例1には、「近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)における複数の携帯電話、PDA等のユーザ端末300に、当該音楽コンテンツの配信を受ける場合の課金に関する情報である課金情報を含む音楽コンテンツ等のコンテンツ情報を近距離無線ネットワークを介して配信するためローカルサーバ200」が記載されているといえる。
(2) 上記1(7)段落0071~0081に記載された実施の形態において、段落0072によると、ローカルサーバ200は、「当該ローカルサーバ200に対するユーザ端末300からのアクセス履歴を記憶するアクセス履歴記憶部210」を具備するといえる。
(3) 上記実施の形態において、上記1(7)段落0073によると、ローカルサーバ200は、「アクセス履歴記憶部210に記憶されたアクセス履歴を参照し、コンテンツのダウンロード要求をメインサーバ100に発する最新コンテンツ要求制御部209」を具備するといえる。
(4) 上記実施の形態において、上記1(7)段落0076によると、ローカルサーバ200は、「メインサーバ100からの転送を受けて、かかる追加コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部206」及び「そのコンテンツリストを記憶するローカルコンテンツリスト記憶部207」を具備するといえる。
(5) 上記実施の形態に係る上記1(7)段落0071~0081には、上記1(2)段落0024に記載された「ユーザ端末300からの配信要求に応じてコンテンツ情報をユーザ端末300に転送する」とのローカルサーバの機能について記載されていないが、上記1(4)段落0032、及び上記1(7)段落0071の記載から、上記実施の形態においても、上記1(5)図7、及び上記1(4)段落0040~0046に記載された、ローカルサーバが、ユーザ端末から受信した選択情報に基づいてコンテンツ情報記憶部からコンテンツ情報を読み出し、ユーザ端末に転送する処理を行うことは明らかである。
そして、上記1(4)段落0042の「ユーザが所定のコンテンツを選択すると、かかる選択情報がユーザ端末300からローカルサーバ200に送信される。」との記載から、ローカルサーバ200は、「ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報をユーザ端末300から受信する手段」を具備しているといえる。
また、ローカルサーバ200は、上記1(4)段落0042に記載された「選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部207中に存在するかを判別し(S104)、存在する場合には、コンテンツ情報記憶部206から当該コンテンツ情報を読み出して、これをユーザ端末300に転送する(S107)」処理を行う手段を具備するといえる。
以上を踏まえると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)における複数の携帯電話、PDA等のユーザ端末に、当該音楽コンテンツの配信を受ける場合の課金に関する情報である課金情報を含む音楽コンテンツ等のコンテンツ情報を近距離無線ネットワークを介して配信するためのローカルサーバであって、
当該ローカルサーバに対するユーザ端末からのアクセス履歴を記憶するアクセス履歴記憶部と、
アクセス履歴記憶部に記憶されたアクセス履歴を参照し、コンテンツのダウンロード要求をメインサーバに発する最新コンテンツ要求制御部と、
メインサーバからの転送を受けて、かかる追加コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部、及び、そのコンテンツリストを記憶するローカルコンテンツリスト記憶部と、
ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報をユーザ端末から受信する手段と
選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部中に存在するかを判別し、存在する場合には、コンテンツ情報記憶部から当該コンテンツ情報を読み出して、これをユーザ端末に転送する手段と
を具備するローカルサーバ。」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
1 引用発明の「携帯電話、PDA等のユーザ端末」、及び「音楽コンテンツ等のコンテンツ情報」は、それぞれ本願発明の「ポータブルデバイス」、及び「メディアコンテンツ」にそれぞれ相当する。
また、課金情報を含む音楽コンテンツ等のコンテンツ情報をユーザ端末に配信する引用発明の「近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)」は、メディアコンテンツの配信を受けられる本願発明の「キオスクのカバレッジエリア」に相当する。
そして、引用発明の複数のユーザ端末は、コンテンツ情報の配信元であるローカルサーバからみれば複数のユーザ端末の集合といえ、引用発明のローカルサーバは、複数のポータブルデバイスのポピュレーションといえる複数のユーザ端末の集合に、音楽コンテンツ等のコンテンツ情報を配信するものであるから、「近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)における複数の携帯電話、PDA等のユーザ端末に、当該音楽コンテンツの配信を受ける場合の課金に関する情報である課金情報を含む音楽コンテンツ等のコンテンツ情報を近距離無線ネットワークを介して配信するためのローカルサーバ」である引用発明は、「(b1)キオスクのカバレッジエリアにおける複数のポータブルデバイスのポピュレーションにメディアコンテンツをワイヤレスに配信するための装置」である点で本願発明と一致する。
2 キオスクのカバレッジエリアに相当する近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)における、複数のポータブルデバイスのポピュレーションといえる複数のユーザ端末の集合に対して、音楽コンテンツ等のコンテンツ情報を配信する引用発明の「選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部中に存在するかを判別し、存在する場合には、コンテンツ情報記憶部から当該コンテンツ情報を読み出して、これをユーザ端末に転送する手段」は、本願発明の「前記複数のポータブルデバイスのポピュレーションに、前記キオスクによって、メディアコンテンツをワイヤレスに配信するための手段」と対応する。
また、引用発明の前記転送する手段は、「ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報をユーザ端末から受信する手段」により、複数のユーザ端末のうちの1つからの特定のコンテンツについての選択情報を受信する前の、「アクセス履歴記憶部」において当該ローカルサーバに対するユーザ端末からのアクセス履歴を記憶する時点でも、履歴として記憶されるアクセスにおけるコンテンツ情報の転送を行うことは明らかであるから、引用発明は「(b2)前記複数のポータブルデバイスのうちの1つからの特定のメディアコンテンツについての要求の受信前に、前記複数のポータブルデバイスのポピュレーションに、前記キオスクによって、メディアコンテンツをワイヤレスに配信するための手段」を具備しているといえる点で本願発明と一致する。
3 それぞれのユーザ端末はユーザにより操作されるものであり、当該ユーザはコンテンツ配信を依頼するクライアントといえるから、引用発明のアクセス履歴は、当該ローカルサーバからコンテンツをダウンロードした複数のユーザ端末の集合と関連するクライアントを特徴付けているといえ、「当該ローカルサーバに対するユーザ端末からのアクセス履歴を記憶するアクセス履歴記憶部」を具備する引用発明は、「(b3)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連するクライアントを特徴づけるための手段」を具備する点で本願発明と一致する。
また、引用発明のコンテンツ情報の配信は、課金を伴う処理であるから取引、すなわちトランザクションといえ、引用発明のアクセス履歴は、複数のユーザ端末の集合にコンテンツを配信することに関連するトランザクションを記録したものといえるから、引用発明のアクセス履歴記憶部の動作は、「前記特徴づけることは、複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションに前記メディアコンテンツを前記配信することと関連するトランザクションに少なくとも部分的に基づく」といえる点で本願発明と一致する。
4 上記3のとおり、引用発明のアクセス履歴は「複数のポータブルデバイスのポピュレーションと関連するクライアントを特徴づける」情報といえる。
また、最新コンテンツ要求制御部が発したダウンロード要求により、メインサーバから転送される引用発明の「追加コンテンツ」は、予期される将来のクライアントのためのメディアコンテンツといえるから、引用発明の「メインサーバ」は、「予期される将来のクライアントのためのメディアコンテンツ」を送信する点で本願発明の「ネットワークコントローラ」と対応する。
そして、「メインサーバからの転送を受けて、かかる追加コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部」を具備する引用発明が、メインサーバから送信される追加コンテンツを、受信された追加コンテンツとして、受信するための手段を有していることは明らかであるから、引用発明は「(b4)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連する前記クライアントの前記特徴づけに少なくとも部分的に基づいて、ネットワークコントローラから送信される予期される将来のクライアントのためのメディアコンテンツを、受信されたメディアコンテンツとして、受信するための手段」を具備する点で本願発明と一致する。
5 引用発明の「メインサーバからの転送を受けて、かかる追加コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部」は、本願発明のローカル記録装置に相当し、前記コンテンツ情報記憶部を具備する引用発明は「(b5)ローカル記録装置に前記受信されたメディアコンテンツを記憶するための手段」を具備するといえる点で本願発明と一致する。
6 「ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報をユーザ端末から受信する手段」を具備する引用発明は、「(b6)前記ポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての要求を受信するための手段」を具備している点で本願発明と一致する。
7 「選択されたコンテンツがローカルコンテンツリスト記憶部中に存在するかを判別し、存在する場合には、コンテンツ情報記憶部から当該コンテンツ情報を読み出して、これをユーザ端末に転送する手段」を具備する引用発明は、受信する選択情報が「加入者」ユーザ端末からであると認証されていないものの、「(b8)前記要求するポータブルデバイスに前記要求されたメディアコンテンツをワイヤレスに送信するための手段」を具備する点で本願発明と対応する。
以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、相違する。
「 (b1)キオスクのカバレッジエリアにおける複数のポータブルデバイスのポピュレーションにメディアコンテンツをワイヤレスに配信するための装置であって、
(b2)前記複数のポータブルデバイスのうちの1つからの特定のメディアコンテンツについての要求の受信前に、前記複数のポータブルデバイスのポピュレーションに、前記キオスクによって、メディアコンテンツをワイヤレスに配信するための手段と、
(b3)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連するクライアントを特徴づけるための手段と、前記特徴づけることは、複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションに前記メディアコンテンツを前記配信することと関連するトランザクションに少なくとも部分的に基づく、
(b4)複数のポータブルデバイスの前記ポピュレーションと関連する前記クライアントの前記特徴づけに少なくとも部分的に基づいて、ネットワークコントローラから送信される予期される将来のクライアントのためのメディアコンテンツを、受信されたメディアコンテンツとして、受信するための手段と、
(b5)ローカル記録装置に前記受信されたメディアコンテンツを記憶するための手段と、
(b6)前記ポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての要求を受信するための手段と、
(b8)前記要求するポータブルデバイスに前記要求されたメディアコンテンツをワイヤレスに送信するための手段と、
を具備する装置。」
相違点1
本願発明が、「(b7)ワイヤレスデータプロトコル・カバレッジエリア内の要求する加入者ポータブルデバイスからの要求であるとしてポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての前記要求を認証するための手段」を具備し、(b8)において、前記要求する「加入者」ポータブルデバイスに対して、前記要求されたメディアコンテンツをワイヤレスに送信するのに対し、引用発明が要求を認証するための手段について明示しておらず、それに伴い、特定のメディアコンテンツの送信対象が、要求する「加入者」ポータブルデバイスと特定されていない点。
相違点2
本願発明が、「(b9)追跡および請求の目的のために前記ネットワークコントローラへ前記ワイヤレス送信を報告するための手段」を具備するのに対し、引用発明は、コンテンツ情報に、当該音楽コンテンツの配信を受ける場合の課金に関する情報である課金情報を含むものの、「(b9)追跡および請求の目的のために前記ネットワークコントローラへ前記ワイヤレス送信を報告するための手段」を具備しない点。
第6 判断
1 相違点1
近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)は、特定の近距離無線ネットワークプロトコルに基づくカバレッジエリアといえるから、近距離無線ネットワーク(配信可能エリア)におけるユーザ端末にコンテンツ情報を近距離無線ネットワークを介して配信するためのローカルサーバの発明である引用発明において、ローカルサーバが受信する「ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報」は、「ワイヤレスデータプロトコル・カバレッジエリア内の要求するポータブルデバイスからの特定のメディアコンテンツについての要求」といえる。
また、コンテンツ配信サービスを行う際に、特定のコンテンツの要求をサービスの加入者のユーザ端末からの要求であるとして認証を行い、認証を受けた当該ユーザ端末のみに対してサービスを行うことは一般的なコンテンツ配信技術であり、当業者が適宜行い得る事項といえるから、コンテンツ配信を行うローカルサーバの発明である引用発明において、
ローカルサーバがユーザ端末から受信する、ユーザが所定のコンテンツを選択した選択情報を、近距離ネットワーク(配信可能エリア)における要求するサービスの加入者のユーザ端末からの要求であるとして認証する手段を備え、認証を受けた前記ユーザ端末に対して、要求された前記所定のコンテンツを送信することは、当業者が容易に想到し得る事項といえる。
2 相違点2
相違点2に係る、報告するための手段における目的についての「追跡および請求」との事項は、本願発明に係る装置とは異なるネットワークコントローラのみの機能を特定する事項であって、本願発明に係る装置の構造、機能等を何ら特定しているとはいえない。
そして、ネットワークを介して取引、課金を行う際に、どのネットワーク要素で課金を行うかは当業者が適宜決定し得る事項といえ、また、同一のサービス内の複数の取引についての課金をまとめて行うことが常套であることを踏まえると、上記第4 1(3)図1、及び上記第4 1(6)段落0054に記載されているように、ユーザ端末が複数のローカルサーバにアクセス可能である引用発明には、それぞれのローカルサーバにアクセスして行った複数の配信に対する課金をまとめて行う動機があるといえるから、課金情報を含むコンテンツ情報を配信するためのローカルサーバの発明である引用発明において、課金をネットワークコントローラに対応するメインサーバで行うために、ユーザ端末への特定のコンテンツの配信について、メインサーバに報告するための手段、すなわち「前記ネットワークコントローラへ前記ワイヤレス送信を報告するための手段」を具備することは当業者が容易に想到し得る事項といえる。
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
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2016-018580