特許拒絶査定不服審判
2016-017249
LED光源
- 審判番号
- 2016-017249
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-501748外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月18日
- 審決日
- 2017年03月21日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .113-Z (H01L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-501748「LED光源」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日国際公開、WO2012/131530、平成26年 6月19日国内公表、特表2014-514752〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯・本願発明
本願は、2012年3月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月31日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成27年12月25日付け(平成28年1月5日発送)で拒絶理由が通知され、平成28年4月4日に特許請求の範囲が補正され、同年8月23日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年11月18日に拒絶査定不服審判が請求されたものであって、本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成28年4月4日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「周波数fを持つ低周波AC供給電圧を供給する供給電圧源との接続のための第1の入力端子及び第2の入力端子と、
前記低周波AC供給電圧を整流するために前記入力端子に結合される整流器と、
N個のLED負荷を含む直列回路であって、前記直列回路の第1の端部及び第2の端部が、各々、前記整流器の第1の出力端子及び第2の出力端子に結合されている直列回路と、
前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が増加するとき、後に、前記第1の端部に最も近い第1のLED負荷から1つずつ前記LED負荷に電流を搬送させ、前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が減少するとき、後に、第N番目のLED負荷から1つずつ前記LED負荷に電流の搬送を停止させるための制御手段とを有するLED光源であって、
前記第1のLED負荷の順電圧が、他のLED負荷のいずれの順電圧よりも少なくとも50%高いLED光源。」
第2 刊行物の記載
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された特開2011-40701号公報(2011年2月24日公開。以下「引用文献」という。)には、図とともに、以下の記載がある(下線は、当審による。)。
ア 「【0001】
本発明は、発光ダイオードを点灯駆動させる駆動回路及び発光ダイオードの点灯制御方法に関し、特に交流電源を用いて駆動させる発光ダイオード駆動回路及び発光ダイオードの点灯制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明用の光源として、白熱電球や蛍光灯に比べ低消費電力で駆動可能な発光ダイオード(以下「LED」ともいう。)が注目されている。LEDは小型で耐衝撃性にも強く、球切れの心配がないといった利点がある。
【0003】
このような照明機器用の電源としては、家庭用電源など交流を電源として用いることが望まれる。」
イ 「【0027】
図1に、実施の形態に係る発光ダイオード駆動装置のブロック図を示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置100は、交流電源APに接続されて、交流電圧を整流した脈流電圧を得るための整流回路2と、複数のLEDブロックで構成されたLEDブロック群1と、電流制限手段3と、電流検出手段4とを、各々直列に接続している。ここではLEDブロックを3つ使用しており、第一LEDブロック11、第二LEDブロック12、第三LEDブロック13を直列に接続してLEDブロック群1を構成している。…。
【0028】
また第二LEDブロック12、第三LEDブロック13、電流制限手段3には、各々両端に通電量を制限するための電流制御手段が接続される。各電流制御手段は、それぞれLEDブロック又は電流制限手段3に対して並列に設けられているため、通電量を調整するバイパス経路を構成する。すなわち各電流制御手段によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LEDブロックの通電量を制限できる。」
ウ 「【0091】
さらに、実施例6に係る発光ダイオード駆動装置600を、図19に示す。この図に示す発光ダイオード駆動装置600は、入力電圧が所定のコンデンサ放電開始電圧に降下するまで放電を開始しない平滑化回路50を備えている。……。
【0092】
上記の動作を、図16に示す回路構成と比較しながら説明する。図16の回路における、コンデンサで平滑化された入力電圧波形を図17に示す。この図に示すように、入力電圧である全波整流された整流波形(破線)がピークを過ぎた時点から、平滑コンデンサの放電が自然に開始される。この結果、実線で示すように放電期間が長くなり、大容量のコンデンサが必要となる。また、ピーク電圧に耐え得る高耐圧も要求される。図16のような多段構成のLEDブロックを常時点灯するには、すなわち入力電圧が低い領域でも第一LEDブロック11を消灯させないようにするには、LEDを点灯させる最低の電圧、すなわち順方向電圧が最も低いLEDブロックの最低順方向電圧(図16の回路例では第一LEDブロック11が該当し、80Vに設定されている)を入力電圧が下回らないよう、平滑コンデンサ73で80V以上の電圧に維持する必要がある。これによって、LEDブロックの点灯による光束の波形は、図18のようになる(消費電力9.5W、光束768lm、波高率1.17、力率58%)。
【0093】
これに対して図19に示すような平滑化回路50を整流回路2の出力側に追加することで、平滑用コンデンサの容量を低く抑えることが可能となる。平滑化回路50は、平滑用コンデンサ51と、平滑用コンデンサ51に接続された、これを充電するための充電経路と、放電するための放電経路を備える。……。
【0094】
……
【0097】
……。図19の回路例では、図20に示すように、平滑コンデンサが放電を開始するタイミングが、ピーク電圧以降直ちにでなく、入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な電圧(80V)を下回った時点となるよう、コンデンサ放電開始電圧を設定している。またこれによって得られるLEDの光束波形は図21のようになり、一部電圧が80Vを下回る領域が生じているものの(図21中、谷間の部分)、ごく短期間であり視認上はストロボ現象が解消されていることが確認できた。さらに消費電力9.5W(LED電力8W)、電源効率84%、力率82%、平均光束745lm、発光効率78lm/W、LED利用率55%、波高率1.23となり、図16とほぼ同程度の光束を得た。さらにまた波高率は図16の例よりも若干低下しているが、回路構成に必要な平滑コンデンサの容量は図16の半分で済み、製造コスト、設置スペース等の面で有利となる。
(照明装置)
【0098】
以上のような発光ダイオード駆動装置は、LED素子を備えているため、LED素子とその駆動回路を同一の配線基板に配置することで、家庭用交流電源を投入して点灯可能な照明装置や照明器具として利用できる。」
エ 図1は、以下のものである。
図1
オ 実施例6と対比して説明される、多段構成のLEDブロックを常時点灯するようにした回路図、入力電圧波形及び光束の時間変化に関する図面(図16ないし図18)は、以下のものである。
図16
図17
図18
カ 実施例6の回路図、入力電圧波形及び光束の時間変化に関する図面(図19ないし図21)は、以下のものである。
図19
図20
図21
(2)引用文献に記載された発明
ア 上記(1)アないしウを踏まえれば、引用文献の実施例6に関する図19には、
「家庭用電源などの交流電源APに接続される、
交流電圧を整流した脈流電圧を得るための整流回路2と、
第一LEDブロック11、第二LEDブロック12及び第三LEDブロック13と、
電流制限手段3(3A)と、
電流検出手段4(4B、4C、4D)とを、各々直列に接続し、
第二LEDブロック12、第三LEDブロック13及び電流制限手段(3A)には、各々両端に通電量を制限するための電流制御手段が接続され、
さらに、整流回路2の出力側に入力電圧が所定のコンデンサ放電開始電圧に降下するまで放電を開始しない平滑化回路50を備えた、発光ダイオード駆動装置600。」
が記載されているものと認められる。
イ 実施例6に関する図20及び図21における破線は、交流電源APの交流電圧を整流回路2により整流した脈流電圧と認められ、図によれば整流前の周期は20ms(1/50秒)であるから、整流前の交流電源APの周波数は、50Hzと認められる。
ウ 図17の「入力電圧波形」は、常時点灯、つまり、ストロボ現象を回避したものであって、図20の「入力電圧波形」のように、80Vを下回る領域のないことが見てとれる。
そして、図19の実施例6の回路例では、入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な80Vを下回る領域が生じているものの、ごく短期間であり視認上はストロボ現象が解消されており、
図20及び図21によれば、発光ダイオード駆動装置600の光束は、入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な電圧である80Vを下回る領域(谷間の部分)においては、400lmより小さいが、
電圧が増加するにつれて、80Vを超えると約500lmとなり、約100Vを超えると約700lmとなり、約120Vを超えると約900lmとなり、
電圧が減少するにつれて、約120Vより低下すると約700lmとなり、約100Vより低下すると約500lmとなることが理解できる。
エ 上記(1)ウ【0098】の記載によれば、
上記アの「発光ダイオード駆動装置」は、「照明装置」として利用できることが理解できる。
オ 以上によれば、引用文献には、図19に示される実施例6として、
「周波数が50Hzの交流電源に接続される、
交流電圧を整流した脈流電圧を得るための整流回路と、
第一LEDブロック、第二LEDブロック及び第三LEDブロックと、
電流制限手段と、
電流検出手段とを、各々直列に接続し、
第二LEDブロック、第三LEDブロック及び電流制限手段には、各々両端に通電量を制限するための電流制御手段が接続され、
さらに、整流回路の出力側に入力電圧が所定のコンデンサ放電開始電圧に降下するまで放電を開始しない平滑化回路を備えた、照明装置として利用できる発光ダイオード駆動装置であって、
入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な80Vを下回る領域が生じているものの、ごく短期間であり視認上はストロボ現象が解消されており、
その光束は、入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な電圧である80Vを下回る領域においては、400lmより小さいが、
電圧が増加するにつれて、80Vを超えると約500lmとなり、約100Vを超えると約700lmとなり、約120Vを超えると約900lmとなり、
電圧が減少するにつれて、約120Vより低下すると約700lmとなり、約100Vより低下すると約500lmとなる、照明装置として利用できる発光ダイオード駆動装置。」(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
第3 対比・判断
(1)本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「照明装置として利用できる発光ダイオード駆動装置」も本願発明と同様に「LED光源」といえ、引用発明の「周波数が50Hzの交流電源」が本願発明の「周波数fを持つ低周波AC供給電圧を供給する供給電圧源」に相当するところであり、引用発明は、本願発明と同様に「周波数fを持つ低周波AC供給電圧を供給する供給電圧源との接続のための第1の入力端子及び第2の入力端子」を有する「LED光源」といえる。
イ 引用発明の「整流回路」は、本願発明の「前記低周波AC供給電圧を整流するために前記入力端子に結合される整流器」に相当する。
ウ 引用発明の「LEDブロック」が本願発明の「LED負荷」に相当し、その数「N」は「3」であり、引用発明は、「整流回路と、第一LEDブロック、第二LEDブロック及び第三LEDブロックと、電流制限手段と、電流検出手段とを、各々直列に接続」するものであるから、引用発明の「第一LEDブロック、第二LEDブロック及び第三LEDブロックと、電流制限手段と、電流検出手段」は、本願発明の「N個のLED負荷を含む直列回路であって、前記直列回路の第1の端部及び第2の端部が、各々、前記整流器の第1の出力端子及び第2の出力端子に結合されている直列回路」に相当する。
エ 本願発明の「前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が増加するとき、……電流を搬送させ、前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が減少するとき、……電流の搬送を停止させる」の意味について検討する。
(ア)本願明細書には、以下の記載がある。
a 「【発明を実施するための形態】
【0025】
……動作中、整流器の出力端子間には、整流された電源電圧が存在する。整流された電源電圧の振幅が増加する場合には、後に、第1乃至第3のLED負荷は、整流された電源電圧の振幅に従って、第1のLED負荷から、1つずつ電流の搬送を開始する。整流された電源電流の振幅が減少する場合には、後に、LED負荷は、整流された電源電流の振幅に従って、第3のLED負荷から、1つずつ電流の搬送を停止する。……。」
b 「【0032】
図1乃至図4に示されている実施例の各々において、スイッチSは、整流された電源電圧が比較的高い瞬時振幅を持つときに、容量性素子C1が充電されるように、動作される。整流された電源の瞬時振幅が比較的低いとき、容量性素子は、LED負荷に供給するための供給電圧源として機能する。」
c 図1aは、以下のものである。
(イ)上記アの記載からして、
「前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が増加するとき、……電流を搬送させ、前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が減少するとき、……電流の搬送を停止させる」とは、
「整流された電源電圧の振幅が増加するとき、……電流を搬送させ、整流された電源電流の振幅が減少するとき、……電流の搬送を停止させる」ことを意味するものと認められる。
(ウ)一方、引用発明の「整流回路の脈流電圧」の振幅も、「周波数が50Hzの交流電源」の供給電圧の瞬時振幅に依存して、増加又は減少するものであるところ、
引用発明においては、「入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な電圧である80Vを下回る領域においては、400lmより小さいが、
電圧が増加するにつれて、80Vを超えると約500lmとなり、約100Vを超えると約700lmとなり、約120Vを超えると約900lm」となるから、
引用発明の「電流制御手段」は、「周波数が50Hzの交流電源」の供給電圧の瞬時振幅に依存して、整流回路の脈流電圧の振幅が増加するときに、
電圧が80Vを超えると、第一LEDブロックを通電し、
電圧が約100Vを超えると、第一及び第二LEDブロックを通電し、
電圧が約120Vを超えると第一ないし第三LEDブロックを通電するものであると認められる。
また、引用発明においては、「電圧が減少するにつれて、約120Vより低下すると約700lmとなり、約100Vより低下すると約500lmとな」り、「入力電圧が第一LEDブロックの点灯に必要な電圧である80Vを下回る領域においては、400lmより小さい」ことから、
引用発明の「電流制御手段」は、「周波数が50Hzの交流電源」の供給電圧の瞬時振幅に依存して、整流回路の脈流電圧の振幅が減少するときに、
電圧が約120Vより低下すると、第三LEDブロックの通電を停止し、 電圧が約100Vより低下すると第三及び第二LEDブロックの通電を停止するものであると認められる。
(エ)そして、引用発明の「第一LEDブロック」及び「第三LEDブロック」が本願発明の「第1の端部に最も近い第1のLED負荷」及び「第N番目のLED負荷」にそれぞれ相当するところであり、引用発明は、本願発明と同様に「前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が増加するとき、後に、前記第1の端部に最も近い第1のLED負荷から1つずつ前記LED負荷に電流を搬送させ、前記低周波AC供給電圧の瞬時振幅に依存して、前記振幅が減少するとき、後に、第N番目のLED負荷から1つずつ前記LED負荷に電流の搬送を停止させるための制御手段とを有する」ものといえる。
オ(ア)引用発明において、
「第一LEDブロックの点灯に必要な電圧」は「80V」、
「第一LEDブロック」と「第二LEDブロック」の直列接続の点灯に必要な電圧は「約100V」、
「第一LEDブロック」と「第二LEDブロック」と「第三LEDブロック」の直列接続の点灯に必要な電圧は「約120V」と認められるところ、
「第一LEDブロックの点灯に必要な電圧」が「80V」であるから、「第二LEDブロック」及び「第三LEDブロック」の点灯に必要な電圧は、それぞれ、約20Vと認められる。
(イ)したがって、引用発明において、「第一LEDブロックの点灯に必要な電圧」、すなわち、本願発明でいう「第1のLED負荷の順電圧」は80Vであり、「第二LEDブロック」及び「第三LEDブロック」の本願発明でいう「順電圧」は、それぞれ、約20Vであるから、引用発明は、本願発明と同様に「前記第1のLED負荷の順電圧が、他のLED負荷のいずれの順電圧よりも少なくとも50%高いLED光源」といえる。
カ 以上のとおりであって、本願発明と引用発明に格別の相違点は認められない。
第4 むすび
本願発明は、引用文献に記載された発明であると認められ、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができない。
他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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