特許拒絶査定不服審判
2016-015603
携帯端末、表示制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2016-015603
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-018894外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月19日
- 審決日
- 2017年08月23日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (H04M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016- 18894「携帯端末、表示制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は,平成28年2月3日の出願であって、同年5月31日付けで拒絶理由が通知され、同年8月8日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月19日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2.本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、平成28年2月3日に出願された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものと認める。
本願発明5は、以下のとおりである。
「【請求項5】
携帯端末の表示制御方法であって、
ロックスクリーンを表示するステップと、
前記ロックスクリーンで無操作の状態が継続すると画面をオフし、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続すると画面をオフするステップと、
を含み、
前記ロックスクリーンで前記無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間と、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間とを同一の所定時間にしたことを特徴とする表示制御方法。」
3.引用文献、引用発明等
(1)引用文献1
平成28年8月8日付けの拒絶査定(以下、「原審拒絶査定」という。)の拒絶の理由に引用された特開2015-188137号公報(以下、「引用文献1」という。下線は当審で付した。)には、「携帯端末装置、携帯端末装置の制御方法およびプログラム」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等の携帯端末装置に関する。また、本発明は、かかる携帯端末装置に適用できる、携帯端末装置の制御方法およびプログラムに関する。」(3頁)
イ.「【0056】
<実施例1>
携帯電話機1は、ロック機能を備える。携帯電話機1が使用されなくなると、即ち、タッチパネル4に対するタッチ操作がなされない時間が、所定の制限時間を超えると、ディスプレイ3が消灯され、タッチパネル4に対する少なくとも一部のタッチ操作が制限されるロック状態となる。ユーザは、携帯電話機1を再び操作する際には、所定の解除操作を行い、ロック状態を解除する必要がある。
【0057】
本実施例では、ロック状態を解除するための一連の操作の一つに背面タッチセンサ9が用いられる。制御部101は、ロック状態になると、解除操作を受け付けてロック状態を解除するためのロック解除処理を開始する。
【0058】
図4は、ロック解除処理を示すフローチャートである。図5(a)ないし(c)は、ロック状態が解除される際のディスプレイ3の表示状態を示す図である。
【0059】
図5(a)に示すように、ロック状態では、ディスプレイ3は消灯されている。本実施例では、ディスプレイ3を点灯し、ディスプレイ3にロック解除画面201を表示させるためのタッチ操作が、背面タッチセンサ9により受け付けられる。」(10頁)
ウ.「【0076】
ロック状態が解除され、ホーム画面202などがディスプレイ3に表示されると、制御部101により、ロック設定処理が開始される。さらに、制御部101により、カウント時間調整処理が、ロック解除処理と並行して実行される。ロック設定処理は、ディスプレイ3、即ちタッチパネル4に対するタッチ操作が一定の時間なされない場合に、ディスプレイ3を消灯させ、ロック状態に移行させるための処理である。カウント時間調整処理は、ロック設定処理において、タイマー部116による時間カウントを調整するための処理である。
【0077】
なお、ロック解除画面201が表示された後、タッチパネル4へのロック解除のためのタッチ操作、あるいは、背面タッチセンサ9への消灯のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過すると、制御部101は、ロック解除画面201を閉じて、ディスプレイ3を消灯させてもよい。具体的には、制御部101は、ステップS103でロック解除画面201を表示すると、タイマー部116を動作させる。そして、制御部101は、ステップS108で消灯のためのタッチ操作がないと判定すると(S108:NO)、タイマー部116のカウント時間が制限時間に達したか否かを判定する。制限時間に達した場合、制御部101は、ステップS109の処理に移行し、ロック解除画面201を閉じて、ディスプレイ3を消灯させる。一方、制限時間に達していない場合、制御部101は、ステップS105の処理に戻り、左タッチセンサ10および右タッチセンサ11の何れか一方から指がリリースされたか否かの判定を行う。また、制御部101は、ステップS111で左タッチセンサ10および右タッチセンサ11の双方からの指のリリースがないと判定すると(S111:NO)、タイマー部116のカウント時間が制限時間に達したか否かを判定する。制限時間に達した場合、制御部101は、ステップS109の処理に移行する。一方、制限時間に達していない場合、制御部101は、ステップS106の処理に戻り、ロック解除のためのタッチ操作の有無を判定する。さらに、制御部101は、ステップS112で左タッチセンサ10および右タッチセンサ11の何れにも指のタッチがないと判定すると(S112:NO)、タイマー部116のカウント時間が制限時間に達したか否かを判定する。制限時間に達した場合、制御部101は、ステップS109の処理に移行する。一方、制限時間に達していない場合、制御部101は、ステップS112の処理に戻る。なお、タイマー部116は、ステップS107の処理またはステップS109の処理が実行される際に停止され、リセットされる。」(12~13頁)
摘記事項ア、イ、ウと、図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、
(ア)摘記事項ウ.の【0077】の「ロック解除画面201が表示された後、タッチパネル4へのロック解除のためのタッチ操作、あるいは、背面タッチセンサ9への消灯のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過すると、制御部101は、ロック解除画面201を閉じて、ディスプレイ3を消灯させ」の記載より、「ロック解除画面を表示させた後、タッチパネルへのロック解除のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過すると、ディスプレイを消灯させ」が記載されているといえる。
(イ)摘記事項ウ.の【0076】の「ホーム画面202などがディスプレイ3に表示されると、制御部101により、ロック設定処理が開始される。さらに、制御部101により、カウント時間調整処理が、ロック解除処理と並行して実行される。ロック設定処理は、ディスプレイ3、即ちタッチパネル4に対するタッチ操作が一定の時間なされない場合に、ディスプレイ3を消灯させ、」の記載より、「ホーム画面などがディスプレイに表示された後タッチパネルに対するタッチ操作が一定の時間なされない場合に、前記ディスプレイを消灯させること」が記載されているといえる。
(ウ)摘記事項ア.の【0001】の「本発明は、かかる携帯端末装置に適用できる、携帯端末装置の制御方法およびプログラムに関する。」と、上記(ア)、(イ)より、携帯端末装置のディスプレイにおけるロック解除画面、ホーム画面などの表示、ディスプレイの消灯に係る一連の手順、すなわち、「携帯端末装置のディスプレイの制御方法」が記載されているといえる。
以上、(ア)~(ウ)より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
(引用発明)
「携帯端末装置のディスプレイの制御方法であって、
ロック解除画面を表示させ、
前記ロック解除画面が表示された後、タッチパネルへのロック解除のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過すると、前記ディスプレイを消灯させ、ホーム画面などが前記ディスプレイに表示された後、タッチパネルに対するタッチ操作が一定の時間なされない場合に、前記ディスプレイを消灯させること。」
(2)周知の技術
エ.引用文献2
原審拒絶査定の拒絶の理由に引用された「端末設定,ARROWS A 201F 取扱説明書、ソフトバンクモバイル株式会社、2013年11月30日,P.196、インターネット<URL:http://help.mb.softbank.jp/201f/pdf/201f_userguide.pdf>、富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社、インターネット<URL:http://help.mb.softbank.jp/201f/pdf/201f_userguide.pdf>」(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(エ)「項目 スリープ/持ってる間ON」
「説明 一定時間操作をしなかったときに、画面が自動消灯するまでの時間を設定したり、」(196頁、上から2番目の項目とそれに対応する説明の記載)
(オ)「項目 ロック画面の消灯時間」
「説明 ロック画面表示中に画面が自動消灯するまでの時間を設定します。」(196頁、上から6番目の項目とそれに対応する説明の記載)
オ.引用文献3
原審拒絶査定の拒絶の理由に引用された「端末設定,AQUOS SERIE SHV32 取扱説明書、KDDI(株)、シャープ株式,2015年 6月30日,P.98、インターネット<URL:http://media.kddi.com/app/publish/torisetsu/pdf/shv32_torisetsu_shousai.pdf>沖縄セルラー電話(株)、インターネット<URL:http://media.kddi.com/app/publish/torisetsu/pdf/shv32_torisetsu_shousai.pdf> シャープ株式会社」(以下、「引用文献3」という。)には、「ディスプレイの設定をする」(98頁、左欄)として、図面とともに以下の事項が記載されている。
(カ)「ウェルカムシート」、「ウェルカムシートの点灯時間 ウェルカムシート(ロック画面)の点灯時間を設定します。」(上から2番目の項目)
(キ)「バックライト点灯時間」、「バックライトの点灯時間を設定します。」(上から5番目の項目)
以上、上記エ.、オ.の摘記事項(エ)~(キ)より、「ユーザが、ロック画面が消灯するまでの時間と、ロック画面以外を含む画面が消灯するまでの時間をそれぞれ設定すること。」は、周知の技術といえる。
4.対比・判断
(1)本願発明5と引用発明との対比
(a)引用発明の「携帯電話機」は、本願発明5の「携帯端末」に含まれる。
(b)本願発明5の「画面はオフ」について、明細書(【0028】)には、「コントローラ60は、液晶ディスプレイのバックライトを消灯することにより画面をオフにする。」と記載されているから、引用発明の「ディスプレイを消灯」は、本願発明5の「画面をオフ」に相当する。
(c)本願発明5の「ロックスクリーン」に関し、明細書(【0027】)には、「ロック状態」で表示される画面であって、1つ以上のノーティフィケイションを表示しても良いことが記載されている。他方、引用発明の「ロック解除画面」に関し、引用文献1(【0059】)には、ロック状態で表示されるものであることが記載されるとともに、図5(b)に示される「ロック解除画面」には、年月日、時刻が表示されることが読み取れる。
よって、引用発明の「ロック解除画面」は、本願発明の「ロックスクリーン」に相当する。
また、引用発明の「ホーム画面など」は、引用文献1(【0076】)の記載より、ロックが解除された状態で表示されるものであるので、「ロック解除画面」以外の画面であることは明らかである。
よって、引用発明の「ホーム画面など」は、本願発明5の「ロックスクリーン以外の画面」に含まれる。
(d)本願発明5の「(前記ロックスクリーンで)無操作の状態」に関し、明細書(【0027】)より、(ロックスクリーンが表示された後で、)「ロック状態」を解除するための操作がなされていない状態と解されるから、引用発明の「前記ロック解除画面が表示された後、タッチパネルへのロック解除のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過する」は、本願発明5の「前記ロックスクリーンで無操作の状態が継続する」に含まれる。
また、上記(c)の検討の結果を踏まえると、引用発明の「ホーム画面などが前記ディスプレイに表示された後、タッチパネルに対するタッチ操作が一定の時間なされない場合」は、本願発明5の「前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続する」に含まれる。
(e)上記(d)の検討の結果を踏まえると、引用発明の「前記ロック解除画面が表示された後、タッチパネルへのロック解除のためのタッチ操作がなされないまま所定の制限時間が経過すると、前記ディスプレイを消灯させ、ホーム画面などが前記ディスプレイに表示された後、タッチパネルに対するタッチ操作が一定の時間なされない場合に、前記ディスプレイを消灯させること」と、本願発明5の「前記ロックスクリーンで前記無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間と、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間とを同一の所定時間にしたこと」とは、「前記ロックスクリーンで前記無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間と、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間とをそれぞれ所定の時間にした」で共通する。
(f)引用発明の「ディスプレイの制御方法」は、本願発明5の「表示制御方法」に相当する。
(g)引用発明の各手順を「~ステップ」と称することは、任意である。
以上より、本願発明5と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「携帯端末の表示制御方法であって、
ロックスクリーンを表示するステップと、
前記ロックスクリーンで無操作の状態が継続すると画面をオフし、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続すると画面をオフするステップと、
を含み、
前記ロックスクリーンで前記無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間と、前記ロックスクリーン以外の画面で無操作の状態が継続して画面をオフするまでの時間とをそれぞれ所定の時間にした表示制御方法。」
(相違点)
一致点の「それぞれ所定の時間」に関して、本願発明5が、「同一の所定時間」であるのに対して、引用発明は、「所定の制限時間」、「一定の時間」であって、両者が同一の時間であるのか否か特定されていない点。
(2)相違点についての判断
(相違点)について検討する。
「3.引用文献、引用発明等」の「(2)周知の技術」の項で述べたように、「ユーザがロック画面が消灯するまでの時間と、ロック画面以外を含む画面が消灯するまでの時間を、それぞれ設定すること。」は、周知の技術である。
引用発明の「所定の制限時間」と、「一定の時間」は、周知の技術を考慮すれば、ユーザが設定していると理解され、仮にそうでないとしても、引用発明に、上記周知の技術を適用することにより、ユーザが設定することは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、時間設定を行う際に、「所定の制限時間」と「一定の時間」は各々ユーザーが設定するのであるから、設定するユーザが各自の好みで設定することは明らかであって、各々の時間を「同一の所定時間」とすることは、ユーザの好みで適宜行い得る設計的な事項にすぎず、格別な作用効果を奏するものでもない。
そして、本願発明5による作用効果も、引用発明及び周知の技術から当業者が容易に予測し得る範囲のものである。
なお、請求人は、審判請求書において、本願発明1は、「同一の所定時間にした」の主体が「携帯端末」の「コントローラ」である旨主張しているが、本願発明5には、「コントローラ」について記載されておらず、「同一の時間にした」の主体については、特定されていないから、上記請求人の主張は採用できない。
5.むすび
本願発明5は、引用発明に基づいて上記周知の技術を参酌することにより、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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