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特許拒絶査定不服審判

2025-004396

通信装置及び通信方法、並びにコンピュータプログラム

審判番号
2025-004396
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-016469
請求日
2025年03月21日
審決日
2026年04月06日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ソニーグループ株式会社
  • 【請求人代理人】宮田 正昭
  • 【請求人代理人】山田 英治
  • 【請求人代理人】佐々木 榮二
  • 【請求人代理人】澤田 俊夫
  • 【請求人代理人】弁理士法人大同特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 土居 仁士
  • 審判官 丸山 高政
  • 審判官 衣鳩 文彦
分類
P18 .121-Z (H04M) / P18 .57 -Z (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特願2021-16469「通信装置及び通信方法、並びにコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和4年8月17日出願公開、特開2022-119394〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和3年2月4日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 6年 9月30日付け 拒絶理由通知書 11月11日 意見書・手続補正書 12月23日付け 拒絶査定 令和 7年 3月21日 審判請求書・手続補正書 7月24日 前置報告書 以下では、令和6年12月23日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和7年3月21日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和6年11月11日の手続補正書により補正されており、以下に示すとおりである。なお、後の参照の便宜のため、請求項1の記載にA~Hの記号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 B センサ部と、 C 前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 D 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 E を具備し、 F 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 G 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 H 通信装置。 【請求項2】 前記通信部はデザリング機能を有し、 前記制御部は、前記判定結果に基づいて、前記複数の周波数帯の中からデザリング起動時に使用する周波数帯を決定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項3】 前記第1の周波数帯は2.4GHz帯であり、前記第2の周波数帯はw52又は6GHz帯である、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項4】 前記センサ部はカメラを含み、 前記判定部は、前記カメラの撮像画像に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項5】 前記判定部は、屋内照明から送出される可視光通信を前記カメラの撮像画像から復号できた場合には、その復号結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項4に記載の通信装置。 【請求項6】 赤外線送受信部をさらに含み、 前記判定部は、屋内から送出される赤外線通信データを前記赤外線送受信部で復号できた場合には、その復号結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項7】 前記判定部は、前記無線通信を行う環境を前記カメラで撮像した画像に対して光源解析を行った結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項4に記載の通信装置。 【請求項8】 前記センサ部は照度センサを含み、 前記判定部は、学習済みの機械学習モデルを用いて、前記照度センサによるセンシング結果から光源が屋内照明又は太陽光のいずれであるかを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項9】 前記センサ部はTOFセンサを含み、 前記判定部は、前記TOFセンサによるセンシング結果に基づいて四方壁で囲まれているか否かを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項10】 BLE通信アンテナ及びBLE通信制御部をさらに備え、 前記判定部は、HADM技術を利用して屋内に設置されているBLE通信機に近接していることを認識し、その認識結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項11】 前記判定部は、前記通信部における無線通信環境に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項12】 前記通信部は、2×2 MIMOのWLAN通信機能を有し、 前記判定部は、2本のアンテナの役割を送信用及び受信用に固定し、送信用のアンテナからの送信による電波伝搬環境を受信用のアンテナの受信信号でモニタした結果に基づいて、屋内か否かを判定する、 請求項11に記載の通信装置。 【請求項13】 前記通信部はUWB通信を行い、 前記第1の周波数帯はUWB屋外チャネルであり、前記第2の周波数帯はUWB屋内チャネルであり、 前記制御部は、前記判定結果に基づいてUWB屋内チャネル又はUWB屋外チャネルのいずれかを選択する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項14】 前記通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、 前記制御部は、前記位置情報取得部が取得した現在位置に基づいて、前記通信部によるUWB通信を制御する、 請求項13に記載の通信装置。 【請求項15】 前記制御部は、前記現在位置がUWB禁止エリアに設定されているときには、前記通信部によるUWB通信を行わせない、 請求項14に記載の通信装置。 【請求項16】 前記通信装置の移動を検出する移動検出部をさらに備え、 前記移動検出部が移動を検出したことに応じて、前記判定部は前記判定を行うとともに、前記制御部は前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する、 請求項1に記載の通信装置。 【請求項17】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備するセンサ部によるセンシング結果を取得するステップと、 前記センシング結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項18】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信装置において所定の目的に使用する周波数帯を選択するための処理をコンピュータ上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、 前記通信装置が装備するセンサ部によるセンシング結果を取得する取得部、 前記センシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択する選択部、 として機能させ、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 コンピュータプログラム。 2 本件補正後の特許請求の範囲 本件補正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。 【請求項1】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能で、テザリング機能を有する通信部と、 センサ部と、 前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて、前記複数の周波数帯の中からテザリング起動時に使用する周波数帯を選択する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項2】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 カメラと、 前記カメラの撮像画像に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項3】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 赤外線送受信部と、 屋内から送出される赤外線通信データを前記赤外線送受信部で復号した結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項4】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 照度センサと、 学習済みの機械学習モデルを用いて、前記照度センサによるセンシング結果から光源が屋内照明又は太陽光のいずれであるかを判定した結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項5】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 BLE通信アンテナ及びBLE通信制御部と、 HADM技術を利用して屋内に設置されているBLE通信機に近接していることを認識した結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項6】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能で、2×2 MIMOのWLAN通信機能を有する通信部と、 2本のアンテナの役割を送信用及び受信用に固定し、送信用のアンテナからの送信による電波伝搬環境を受信用のアンテナの受信信号でモニタした結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。 【請求項7】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯でUWB通信可能な通信部と、 センサ部と、 前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果及び現在位置に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能なUWB屋外チャネルと、屋内限定で使用が許可されるUWB屋内チャネルを含み、 前記制御部は、屋内と判定された場合は前記UWB屋内チャネルを選択し、それ以外の場合は前記UWB屋外チャネルを選択する、 通信装置。 【請求項8】 前記第1の周波数帯は2.4GHz帯であり、前記第2の周波数帯はw52又は6GHz帯である、 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の通信装置。 【請求項9】 前記判定部は、屋内照明から送出される可視光通信を前記カメラの撮像画像から復号した結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項2に記載の通信装置。 【請求項10】 前記判定部は、前記無線通信を行う環境を前記カメラで撮像した画像に対して光源解析して、太陽光と屋内照明のいずれであるかを判定した結果に基づいて屋内か否かを判定する、 請求項2に記載の通信装置。 【請求項11】 前記通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、 前記制御部は、前記位置情報取得部が取得した現在位置に基づいて、前記通信部によるUWB通信を制御する、 請求項7に記載の通信装置。 【請求項12】 前記制御部は、前記現在位置がUWB禁止エリアに設定されているときには、前記通信部によるUWB通信を行わせない、 請求項11に記載の通信装置。 【請求項13】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能で、テザリング機能を有する通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備するセンサ部によるセンシング結果を取得するステップと、 前記センシング結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて、前記複数の周波数帯の中からテザリング起動時に使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項14】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備するカメラの撮像画像に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項15】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備する赤外線送受信部によるセンシング結果を取得するステップと、 屋内から送出される赤外線通信データを前記赤外線送受信部で復号した結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項16】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備する照度センサによるセンシング結果を取得するステップと、 学習済みの機械学習モデルを用いて、前記センシング結果から光源が屋内照明又は太陽光のいずれであるかを判定した結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項17】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能で、BLE通信アンテナ及びBLE通信制御部を備える通信装置による通信方法であって、 HADM技術を利用して屋内に設置されているBLE通信機に近接していることを認識した結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項18】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能で、2×2 MIMOのWLAN通信機能を有する通信装置による通信方法であって、 2本のアンテナの役割を送信用及び受信用に固定し、送信用のアンテナからの送信による電波伝搬環境を受信用のアンテナの受信信号でモニタした結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信方法。 【請求項19】 アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯でUWB通信可能な通信装置による通信方法であって、 前記通信装置が装備するセンサ部によるセンシング結果を取得するステップと、 前記センシング結果に基づいて屋内か否かを判定するステップと、 前記通信装置が装備する位置情報取得部による前記通信装置の現在位置情報を取得するステップと、 前記判定するステップにおける判定結果に基づいて前記通信装置が使用する周波数帯を選択するステップと、 を有し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能なUWB屋外チャネルと、屋内限定で使用が許可されるUWB屋内チャネルを含み、 前記選択するステップでは、屋内と判定された場合はUWB屋内チャネルを選択し、それ以外の場合はUWB屋外チャネルを選択する、 通信方法。 3 本件補正の目的 本件補正前の特許請求の範囲は、前記1の記載によれば、18項の請求項からなり、請求項1~16は通信装置の発明であり、請求項17は通信方法の発明であり、請求項18はコンピュータプログラムの発明である。 これに対し、本件補正後の特許請求の範囲は、前記2の記載によれば、19項の請求項からなり、請求項1~12は通信装置の発明であり、請求項13~19は通信方法の発明である。 (1)増項補正について 本件補正は、請求項の数を18から19へと増やすものであり、いわゆる増項補正となっている。この請求項を増やす補正の目的が、特許法17条の2第5項1号に掲げる「請求項の削除」、同項3号に掲げる「誤記の訂正」及び同項4号に掲げる「明りようでない記載の釈明」のいずれでもないことは明らかである。 そこで、増項補正に係る本件補正が、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるかについて、以下、検討する。 ア 判断枠組み 特許法17条の2第5項2号は、同条1項4号に基づく場合において特許請求の範囲についてする補正について、「特許請求の範囲の縮減(第36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明その補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものと規定しているところ、これは、審判請求に伴ってする補正について、出願人の便宜と迅速、的確かつ公平な審査の実現等との調整という観点から、既にされた審査結果を有効に活用できる範囲内に限って認めることとしたものである。そして、同号かっこ書が、補正前の「当該請求項」に記載された発明と補正後の「当該請求項」に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る旨を規定していることも併せ考えると、同号は、補正前の請求項と補正後の請求項とが、請求項の数の増減はともかく、対応したものとなっていることを前提としているものと解され、構成要件を択一的に記載している補正前の請求項についてその択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とする場合あるいはその反対の場合などのように、請求項の数に増減はあっても、既にされた審査結果を有効に活用できる範囲内で補正が行われたといえるような事情のない限り、補正によって新たな発明に関する請求項を追加することを許容するものではないというべきである。(平成23年(行ケ)第10226号判決) イ 本件補正について 前記アの判断枠組みに本件補正を当てはめると、本件補正前において、通信方法の発明は請求項17に係る発明のみであり、請求項17に係る発明は択一的に記載されたものではなく、当該発明は唯一の通信方法の発明であった。しかるに、本件補正後においては、通信方法の発明は請求項13~19の7つとなっている。そうすると、本件補正後の請求項13~19のうちいずれか1つの通信方法の発明については、本件補正前の請求項17に係る通信方法の発明と対応したものといえるが、本件補正後のその他の通信方法の発明は、本件補正前に対応するものがない。 したがって、本件補正は、既にされた審査結果を有効に活用できる範囲内で補正が行われたといえないから、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。 したがって、増項補正に係る本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものである。 (2)特許請求の範囲を拡張する補正について 本件補正前の請求項6に係る発明は、請求項1を引用するものであり、「赤外線送受信部をさらに含」むものであるから、「センサ部」(発明特定事項B)とは別に「赤外線送受信部」(請求項6)を含むものである。 これに対し、本件補正後の請求項3に係る発明は、「赤外線送受信部」を含むが、「センサ部」を含むことは特定されていない。 そうすると、本件補正により、本件補正前の請求項6に係る発明に対応する本件補正後の請求項3に係る発明は、「センサ部」を含むとの限定が削除されたものとなっているため、特許請求の範囲を拡張している。 よって、本件補正前の請求項6に係る本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものとは認められない。 そして、当該補正の目的が同項1号、3号及び4号のいずれにも該当しないことは明らかである。 したがって、本件補正前の請求項6に係る本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反するものである。 4 本件補正についての小括 前記3(1)及び3(2)のとおりであるから、本件補正は、特許法17条の2第5項の規定に違反する。 したがって、本件補正は、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は前記第2のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1に示した請求項1の記載により特定されるとおりのものと認める。 第4 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 (新規性)この出願の請求項1、3、9、11及び16~18に係る発明は、以下の文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の請求項1、3、9、11及び16~18に係る発明は、以下の文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 文献1.米国特許出願公開第2015/0172870号明細書 第5 進歩性についての当審の判断 本願発明の進歩性の有無を判断するにあたり、原査定の拒絶の理由で引用された米国特許出願公開第2015/0172870号明細書(以下「引用文献」という。)を参照する。 1 引用文献の記載内容 引用文献には以下の(1)の記載があり、当該記載から引用文献には以下の(2)の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 (1)引用文献の記載 引用文献には、以下の記載がある。 ア 「[0028] In some demonstrative embodiments, device 110 may be configured to communicate over two wireless communication frequency bands. For example, device 110 may communicate over a first frequency band and over a second frequency band, e.g., different from the first frequency band.」 (当審訳: [0028] いくつかの例証的な実施形態において、デバイス110は、2つの無線通信周波数帯で通信するように構成されてもよい。例えば、デバイス110は、第1の周波数帯で、及び、第2の周波数帯で通信してもよく、例えば、第2の周波数帯は、第1の周波数帯とは異なる。) イ 「[0030] In some demonstrative embodiments, the first frequency band may include an unlicensed frequency band to be utilized in an indoor location and in an outdoor location, e.g., according to the FCC regulations. For example, the first frequency band may include a 2.4 GigaHertz (GHZ) Industrial, Scientific And Medical (ISM) frequency band.」 (当審訳: [0030] いくつかの例証的な実施形態において、第1の周波数帯は、屋内位置及び屋外位置で利用される(例えば、FCC規制による)アンライセンス周波数帯を含んでもよい。例えば、第1の周波数帯は、2.4ギガヘルツ(GHz)の産業用・科学用・医療用(ISM)周波数帯を含んでもよい。) ウ 「[0031] In some demonstrative embodiments, the second frequency band may include an unlicensed frequency band to be utilized only in the indoor location, e.g., according to the FCC regulations. For example, the second frequency band may include Unlicensed National Information Infrastructure (UNII) frequency band operating at a range of channels of 5150-5250 MHz (UNII1).」 (当審訳: [0031] いくつかの例証的な実施形態において、第2の周波数帯は、屋内位置のみで利用される(例えば、FCC規制による)アンライセンス周波数帯を含んでもよい。例えば、第2の周波数帯は、免許不要全国情報インフラストラクチャー(UNII)の5150~5250MHzのチャネル範囲で動作する周波数帯(UNII1)を含んでもよい。) エ 「[0034] For example, device 110 may include a first wireless communication unit 112 configured to communicate over the 2.4 GHz frequency band, and a second wireless communication unit 114 configured to communicate over the UNII1 frequency band.」 (当審訳: [0034] 例えば、デバイス110は、2.4GHz周波数帯で通信するように構成された第1無線通信ユニット112と、UNII1周波数帯で通信するように構成された第2無線通信ユニット114とを含んでもよい。) オ 「[0048] In some demonstrative embodiments, mobile device 110 may include a controller 116 to determine whether device 110 is located in an indoor location or an outdoor location, e.g., as described below.」 (当審訳: [0048] いくつかの例証的な実施形態において、モバイルデバイス110は、デバイス110が屋内位置にあるか屋外位置にあるかを、例えば後述のように、判定するコントローラ116を含んでもよい。) カ 「[0136] As indicated at block 504, the method may include listening by the mobile device for one or more received echoes of the wireless transmission received from one or more directions over the first frequency band. For example, wireless communication unit 112 (FIG. 1) may listen for one or more received echoes of wireless transmission 103 (FIG. 1) received from the one or more directions, e.g., as described above.」 (当審訳: [0136] ブロック504に示されるように、本方法は、第1の周波数帯を介して1つ以上の方向から受信される無線送信の1つ以上の受信エコーが来るかをモバイルデバイスが監視することを含んでもよい。例えば、無線通信ユニット112(図1)は、1つ以上の方向から受信される無線送信103(図1)の1つ以上の受信エコーが来るかを、例えば前述のように、監視してもよい。) キ 「[0137] As indicated at block 506, the method may include determining whether the mobile device is located in an indoor location or an outdoor location, based on the received echoes. For example, controller 116 (FIG. 1) may determine whether mobile device 110 (FIG. 1) is located in an indoor location or an outdoor location, based on the received echoes of wireless transmission 103 (FIG. 1) received from the one or more directions, e.g., as described above.」 (当審訳: [0137] ブロック506に示されるように、本方法は、受信エコーに基づいて、モバイルデバイスが屋内位置にあるか屋外位置にあるかを判定することを含んでもよい。例えば、コントローラ116(図1)は、1つ以上の方向から受信した無線送信103(図1)の受信エコーに基づいて、モバイルデバイス110(図1)が屋内位置にあるか屋外位置にあるかを、例えば前述のように、判定してもよい。) ク 「[0140] As indicated at block 510, the method may include allowing communication over the second frequency band, e.g., if it is determined that the mobile device is located in the indoor location. For example, controller 116 (FIG. 1) may allow wireless communication unit 114 (FIG. 1) to communicate over the UNII1 frequency band, e.g., if it is determined that device 110 (FIG. 1) is located in the indoor location, e.g., as described above.」 (当審訳: [0140] ブロック510に示されるように、本方法は、例えば、モバイルデバイスが屋内位置にあると判定された場合に、第2の周波数帯での通信を許可することを含んでもよい。例えば、コントローラ116(図1)は、例えば、デバイス110(図1)が屋内位置にあると、例えば前述のように、判定された場合、無線通信ユニット114(図1)がUNII1周波数帯で通信することを許可してもよい。) 「[0141] As indicated at block 512, the method may include disabling communication over the second frequency band, e.g., if it is determined that the mobile device is located in the outdoor location. For example, controller 116 (FIG. 1) may disable wireless communication unit 114 (FIG. 1) from communicating over the UNII1 frequency band, e.g., if it is determined that device 110 (FIG. 1) is located in the outdoor location, e.g., as described above.」 (当審訳: [0141] ブロック512に示されるように、本方法は、例えば、モバイルデバイスが屋外位置にあると判定された場合に、第2の周波数帯での通信を無効化することを含んでもよい。例えば、コントローラ116(図1)は、例えば、デバイス110(図1)が屋外位置にあると、例えば前述のように、判定された場合、無線通信ユニット114(図1)をUNII1周波数帯で通信できないように無効化してもよい。) (2)引用発明の認定 前記(1)の記載によれば、引用文献には次に示す引用発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明にa1~jの記号を付して分説し、「構成a1」のようにして参照する。 〈引用発明〉 a1 2つの無線通信周波数帯で通信するように構成されたデバイス110であって、([0028]) a2 デバイス110は、第1の周波数帯で、及び、第2の周波数帯で通信し、([0028]) b 第1の周波数帯は、屋内位置及び屋外位置で利用されるアンライセンス周波数帯を含み、第1の周波数帯は、2.4GHzの周波数帯を含み、([0030]) c 第2の周波数帯は、屋内位置のみで利用されるアンライセンス周波数帯を含み、第2の周波数帯は、5150~5250MHzのチャネル範囲で動作する周波数帯(UNII1)を含み、([0031]) d デバイス110は、2.4GHz周波数帯で通信するように構成された第1無線通信ユニット112と、UNII1周波数帯で通信するように構成された第2無線通信ユニット114とを含み、([0034]) e モバイルデバイス110は、コントローラ116を含み、([0048]) f 無線通信ユニット112は、無線送信103の1つ以上の受信エコーが来るかを監視し、([0136]) g コントローラ116は、無線送信103の受信エコーに基づいて、モバイルデバイス110が屋内位置にあるか屋外位置にあるかを判定し、([0137]) h コントローラ116は、デバイス110が屋内位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114がUNII1周波数帯で通信することを許可し、([0140]) i コントローラ116は、デバイス110が屋外位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114をUNII1周波数帯で通信できないように無効化する、([0141]) j デバイス110。 2 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)発明特定事項Aについて 発明特定事項Aは「アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、」というものである。 引用発明の「デバイス110」は、「2つの無線通信周波数帯で通信するように構成され」ており(構成a1)、前記「2つの無線通信周波数帯」は、「第1の周波数帯」及び「第2の周波数帯」(構成a2)のことと解され、「第1の周波数帯は、…(略)…アンライセンス周波数帯を含み、第1の周波数帯は、2.4GHzの周波数帯を含み」(構成b)、「第2の周波数帯は、…(略)…アンライセンス周波数帯を含み、第2の周波数帯は、5150~5250MHzのチャネル範囲で動作する周波数帯(UNII1)を含」む(構成c)から、前記「2つの無線通信周波数帯」は、「アンライセンス周波数帯」である「2.4GHzの周波数帯」と、「アンライセンス周波数帯」である「UNII1」とを含むと解される。すなわち、引用発明の「2つの無線通信周波数」は、本願発明の「アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯」に相当する。 そして、引用発明の「デバイス110」に含まれる「2.4GHz周波数帯で通信するように構成された第1無線通信ユニット112と、UNII1周波数帯で通信するように構成された第2無線通信ユニット114と」(構成d)は、前記「2つの無線通信周波数帯」で通信するための部分であると解されるから、引用発明の「第1無線通信ユニット112」及び「第2無線通信ユニット114」は、本願発明の「通信部」に相当する。 そうすると、本願発明と引用発明とは、「アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部」を備える点で一致する。 (2)発明特定事項Bについて 発明特定事項Bは「センサ部と、」というものである。 引用発明の「デバイス110」に含まれる「第1無線通信ユニット112」(構成d)は、「無線通信ユニット112」(構成f)と同じと解される。 引用発明の「無線通信ユニット112」は、「受信エコーが来るかを監視」する(構成f)から、受信エコーをセンシングするセンサであるといえる。 よって、引用発明の「デバイス110」に含まれる「第1無線通信ユニット112」は、本願発明の「センサ部」に相当し、本願発明と引用発明とは、「センサ部」を備える点で一致する。 (3)発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは「前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、」というものである。 引用発明の「受信エコー」は、前記(2)を踏まえると「第1無線通信ユニット112」のセンシング結果であると解される。 そして、引用発明の「モバイルデバイス110」に含まれる「コントローラ116」(構成e)は、「受信エコーに基づいて、モバイルデバイス110が屋内位置にあるか屋外位置にあるかを判定」する(構成g)から、引用発明の「コントローラ116」は、本願発明の「前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部」を備える点で一致する。 (4)発明特定事項Dについて 発明特定事項Dは「前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、」というものである。 引用発明の「モバイルデバイス110」に含まれる「コントローラ116」(構成e)は、「デバイス110が屋内位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114がUNII1周波数帯で通信することを許可し」(構成h)、「デバイス110が屋外位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114をUNII1周波数帯で通信できないように無効化する」(構成i)から、前記(3)の判定結果に基づいて、「無線通信ユニット114」すなわち「第2無線通信ユニット114」が使用するUNII1周波数帯を制御しているといえる。 よって、引用発明の「コントローラ116」は、本願発明の「前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部」を備える点で一致する。 (5)発明特定事項E及びHについて 発明特定事項Eは「を具備し、」というものであり、発明特定事項Hは「通信装置。」というものであって、発明特定事項E及びHは、発明特定事項A~Dを「通信装置」が備えることを特定する。 引用発明の「デバイス110」は、「2つの無線通信周波数帯で通信するように構成され」ている(構成a1)から、通信装置に他ならない。 そして、引用発明の「デバイス110」(「モバイルデバイス110」と同じと解される。)が、「第1無線通信ユニット112」、「第2無線通信ユニット114」及び「コントローラ116」を備え、引用発明の「第1無線通信ユニット112」及び「第2無線通信ユニット114」が本願発明の「通信部」に相当し、引用発明の「第1無線通信ユニット112」が本願発明の「センサ部」に相当し、引用発明の「コントローラ116」が本願発明の「判定部」及び「制御部」に相当することは、前記(1)~(4)のとおりである。 よって、本願発明と引用発明とは、発明特定事項A~D「を具備」する「通信装置」である点で一致する。 (6)発明特定事項Fについて 発明特定事項Fは「前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、」というものである。 引用発明において、「第1の周波数帯は、屋内位置及び屋外位置で利用されるアンライセンス周波数帯を含み、第1の周波数帯は、2.4GHzの周波数帯を含み」(構成b)、「第2の周波数帯は、屋内位置のみで利用されるアンライセンス周波数帯を含み、第2の周波数帯は、5150~5250MHzのチャネル範囲で動作する周波数帯(UNII1)を含」む(構成c)から、引用発明の「第1の周波数帯」及び「第2の周波数帯」は、それぞれ本願発明の「屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯」及び「屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯」に相当する。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含」む点で一致する。 (7)発明特定事項Gについて 発明特定事項Gは「前記制御部は、屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、」というものである。 本願発明において、制御部の判定は屋内か屋外かの2択であるから、「それ以外の場合」は、屋外と判定された場合であると解される。 引用発明においては、「コントローラ116は、デバイス110が屋外位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114をUNII1周波数帯で通信できないように無効化する」(構成i)から、屋外と判定された場合には、「UNII1周波数帯」すなわち「第2の周波数帯」での通信ができなくなり、「第1の周波数帯」での通信が選択されることになる。 よって、本願発明と引用発明とは、「前記制御部は、」「それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する」点で共通するものの、本願発明の制御部は、「屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択」するのに対し、引用発明の「コントローラ116」は、「デバイス110が屋内位置にあると判定された場合、無線通信ユニット114がUNII1周波数帯で通信することを許可」する(構成h)、すなわち、屋内と判定された場合は第1の周波数帯及び第2の周波数帯を使用可能とする点で相違する。 (8)一致点及び相違点 以上の対比によれば、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。 〈一致点〉 「アンライセンス帯に含まれる複数の周波数帯で無線通信可能な通信部と、 センサ部と、 前記センサ部のセンシング結果に基づいて屋内か否かを判定する判定部と、 前記判定部による判定結果に基づいて前記通信部が使用する周波数帯を制御する制御部と、 を具備し、 前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含み、 前記制御部は、それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する、 通信装置。」である点。 〈相違点〉 本願発明の制御部は、「屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択」するのに対し、引用発明の「コントローラ116」は、屋内と判定された場合は第1の周波数帯及び第2の周波数帯を使用可能とする点。(発明特定事項G) 3 判断 上記相違点を踏まえ、本願発明の進歩性の有無を判断する。 (1)相違点について 2.4GHz帯よりも5GHz帯の方が、通信品質が高い、通信速度が速い、干渉が少ない等の点で有利であることは、周知技術である。(必要であれば、特開2018-50163号公報の【0007】及び【0008】、特開2016-12900号公報の【0007】を参照。) また、複数の周波数帯が利用可能であれば、伝送速度が高い等、有利なものを選択することも、周知技術である。(必要であれば、国際公開第2012/137908号の[0018]を参照。) そうすると、引用発明において、デバイス110が屋内位置にあると判定されて、UNII1周波数帯と2.4GHz周波数帯の双方が利用可能となった際に、伝送速度が高いUNII1周波数帯を選択するよう構成し、相違点に係る構成とすることは、当業者の通常の創作能力の発揮に過ぎず、格別のことではない。 (2)効果について 本願発明の効果は、引用発明及び周知技術に比して格別のものとは認められない。 (3)請求人の主張について 審判請求書における請求人の主張は本件補正を前提としたものであり、本件補正は前記第2のとおり却下されたから、審判請求書における請求人の主張は前提を欠いており、採用できない。 請求人は、意見書において、概略、以下を主張する。 本願発明によれば、通信装置100自身が屋内にいることが分かった場合にはw52を選択してデザリングを起動し、通信装置100自身が屋外にいることが分かった場合には、通信装置100は、2.4GHz帯を選択してデザリングを起動するという動作が可能となる。 引用文献は、デバイスが屋外に置かれているときには無線通信ユニット112による第1の周波数帯を用いた通信を選択する点については一切言及していない。したがって、引用文献は、「前記複数の周波数帯は、屋内及び屋外で使用可能な第1の周波数帯と、屋内限定で使用が許可される第2の周波数帯を含」む場合において、「(屋内と判定された場合は前記第2の周波数帯を選択し、)それ以外の場合は前記第1の周波数帯を選択する」(発明特定事項G)という本願発明の構成を示唆するものではない。 よって、本願発明は、引用文献に記載の発明とは明らかに構成が相違するとともに、引用文献からは予期し得ない固有の効果を奏するものであるから、当業者は本願発明を容易に想到し得ない。 上記主張について検討する。 発明特定事項Gに係る構成の容易想到性については、前記2(7)及び前記(1)に記載したとおりであり、請求人の主張は採用できない。 効果については、本願発明は「デザリング」(テザリングの誤記と認める。)について特定されていないため、テザリングについての主張は採用できない。その余の点については、引用発明に周知技術を適用することにより奏される効果と認められる。 よって、請求人の主張は採用できない。 (4)小括 以上によれば、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 第6 むすび 前記第5のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-004396

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