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特許拒絶査定不服審判

2025-010069

通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ

審判番号
2025-010069
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-196319
請求日
2025年06月27日
審決日
2026年05月12日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】a2network株式会社
  • 【請求人代理人】岩田 敏
審判長/審判官
  • 審判長 丸山 高政
  • 審判官 鈴木 圭一郎
  • 審判官 玉木 宏治
分類
P18 .121-WZ (H04M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-196319「通信ネットワーク接続サービス提供システム及びそれに用いるWiFiルータ」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年 2月 2日出願公開、特開2023- 17011〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年8月27日に出願した特願2020-143752号の一部を令和4年12月8日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 6年 7月29日付け 拒絶理由通知書 12月 2日 意見書・手続補正書 令和 7年 3月25日付け 拒絶査定 6月20日付け 応対記録 6月27日 審判請求書・手続補正書 7月31日 前置報告書 以下では、令和7年3月25日付け拒絶査定を「原査定」といい、同年6月27日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正の内容 本件補正前の請求項1の記載は、以下の(1)に示すとおりであり、本件補正後の請求項1の記載は、以下の(2)に示すとおりである。 (1)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の請求項1の記載は、令和6年12月2日の手続補正書により補正された次のとおりのものである。 【請求項1】 通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、 2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持するとともに、サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた2以上の通信回線の利用を可能にして、サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて通信ネットワークへの接続を提供することを特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。 (2)本件補正後の請求項1の記載 本件補正後の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。後の参照の便宜のため、請求項1の記載に以下のように記号を付して分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A 通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、 B1 2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持するとともに、 B2 サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて、サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供することでサービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること C を特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。 2 本件補正の目的 前記1によれば、本件補正は、請求項1に係る発明を特定する「2以上の通信回線」について、通信回線の提供主体を「通信事業者の異なる2以上の通信回線」と特定することで限定している。また、請求項1に係る発明を特定する「通信回線の利用を可能にし」について、通信回線の利用を可能にするための手段を「通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて」と特定することで限定している。さらに、請求項1に係る発明を特定する「通信ネットワークへの接続を提供する」ことについて、通信ネットワークへの接続を提供する対象を「サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供する」と特定することで限定している。 なお、請求項1に係る発明を特定する「サービス提供者が」「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて」、「通信ネットワークへの接続を提供すること」について、「サービス提供者が」「通信ネットワークへの接続を提供することで」「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」と文章の前後の順番を入れ替えているが、通信事業者との契約及び費用が不要にできることと通信ネットワークへの接続を提供することとは、通信事業者との契約に基づいて同時に生じる事象であり、それらに因果関係はなく、文章の前後の順番を入れ替えたところで特定される事項に変化はない。 そして、本件補正の前後において、請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であると認められる。 そうすると、本件補正は、少なくとも特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」(いわゆる限定的減縮)を目的としていると認められる。 3 補正の適否 本件補正の目的が限定的減縮に該当するので、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する要件(いわゆる独立特許要件)に適合するかについて、以下、検討する。 (1)本件補正発明の認定 本件補正発明は、前記1(2)に示した請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 (2)引用文献の記載について 原査定の拒絶の理由(以下の第4を参照)で引用された国際公開第2014/012562号(以下「引用文献」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア「Fig. 1A shows a network system employing a first example of the exemplary device embodiment of the present invention. As shown in Fig. 1A, as a non-limiting example, the router 1001 may be a dual-SIM router; moreover, the router 1001 may be connected to one or more users (or their respective terminals) 1003, 1004. Still further, the router 1001 may communication with said base station 10021, which base station may in turn serve as an access point to the Internet 1002.In this case, the router may have an internal modem (which may be constituted by the cellular communication unit 10019), and hence also the accommodator 10013 for supporting (at least) two SIM cards 101.The router 1001 may further comprise the short range wireless communication unit 100110 (employing e.g. WLAN, Bluetooth etc.),the switch unit 100112 for switching to the SIM to be used, and a control unit (or CPU) 10011 controlling e.g. the switch unit 100112 (note that the switch unit 100112 may be based on connection release and connection setup procedures). The control unit 10011 may utilize information from the connection and from the cellular communication unit 10019 for setting the SIM switch unit 100112. Optionally, the router 1001 may have the GPS module or other positioning unit device 100111. As said, the router 1001 may also have the memory 10012 for storing data bases according to the description herein above and herein below.」(9頁6~23行) (当審訳:Fig.1Aは、本発明の実施形態の一例を採用したネットワークシステムを示す。Fig.1Aに示すように、一例として、ルータ1001はデュアルSIMルータであってもよく、さらに、ルータ1001は、1つ以上のユーザ(またはそれぞれの端末)1003、1004に接続されていてもよい。さらに、ルータ1001は、前記基地局10021と通信可能であり、次に該基地局は、インターネット1002へのアクセスポイントとして機能し得る。この場合、ルータは内部モデム(これは、セルラー通信ユニット10019によって構成される場合がある)を備えており、したがって、(少なくとも)2枚のSIMカード101を支持するための収容部10013も備えている。ルータ1001は、さらに、短距離無線通信ユニット100110(例えばWLAN、Bluetoothなどを採用する)、使用するSIMに切り替えるためのスイッチユニット100112、および例えばスイッチユニット100112を制御する制御ユニット(またはCPU)10011を備えることができる。(ここで留意すべきは、スイッチユニット100112が、接続解放および接続確立の手順に基づいている場合があることである)。制御ユニット10011は、接続およびセルラー通信ユニット10019からの情報を用いて、SIMスイッチユニット100112を設定することができる。オプションとして、ルータ1001は、GPSモジュールまたはその他の位置測定ユニット装置100111を備えることができる。前述の通り、ルータ1001は、上記および後述の説明に従ってデータベースを格納するためのメモリ10012を備えることもできる。) なお、上記下線部の「ルータは内部モデム(これは、セルラー通信ユニット10019によって構成される場合がある)を備えており、」と記載されており、「ルータ」の符号が記載されていないが、その記載の前には、「ルータ1001は、前記基地局10021と通信可能であり、次に該基地局は、インターネット1002へのアクセスポイントとして機能し得る。この場合、ルータは・・・」との記載を参酌すると、当該「ルータ」の符号は「1001」であることは明らかである。そのため、「ルータは」は、「ルータ1001は」と読み替えることにする。 イ「Fig. 2A shows a first exemplary embodiment of the method embodiment. As shown in Figs. 1A, 1B and 2A, the router is in connection with a NW node 10021 (e.g. a base station, eNode B, Node B etc.) via the cellular communication unit 10019, 10019a, 10019b. It may be assumed that a connection with operator A is used (embodying to a preparatory step S0). Then, the router 1001 (e.g. control unit 1001 in conjunction with the monitor 10015) may monitor the channel quality, or throughput. Channel quality could be, but is not limited to the RSSI, RSCP, Ec/Io or RSRP or RSRQ depending on current cellular standard, i.e. information typically available from the communication unit to the router (e.g. on the "application level" or layer). However, also lower layer information like SIR, CQI is covered by the embodiment (embodying the "monitoring" step S1). The throughput may be the TP derived out from the communication unit 10019, 10019a, 10019b and fed to the short range communication unit 100110. The information is optionally stored in the database 10012. If the channel quality or TP drops below a threshold (which threshold may be derived based on historical data, the threshold could for instance be 0.1 * typically achieved TP, or a fixed TP threshold) for a certain time (measured by a timer, not shown) (embodying the "determining" step S2), the connection to operator A may be disabled (e.g. standard connection release operation) (embodying the "disconnecting" step S3), and the SIM 101 #2 for operator B may be enabled and in-sync as well as a connection setup (e.g. according to known procedures) to operator B may be performed (embodying the "initiating" step S4). Optionally, the router 1001 may utilize a GPS unit 100111 for correlating the position to historical data. For instance, in case of a stationary router (the most common use case), large amount of data can be recorded for determination of normal TP and thereby the "low TP" threshold. Note that in this embodiment, step S2 may also cover the case that a Radio Link Failure (RLF) is detected (indicating out-of-coverage) or that an IRAT Handover to a lower TP system (e.g. GPRS or EGPRS) is initiated. In other words, low average throughput (TP) may be a switching condition. If the TP is much lower than historical data indicates, a SIM switch may be performed. In one embodiment, the router may have a GPS and hence could tabulate average TP with a position (e.g. for a given SIM/operator) and thereby detect unusual low TP. In other words, as still another alternative, bad coverage may be a switch trigger. In case the connection experiences an out-of-sync (e.g. Monitor Radio Link Failure, in connected state), or if the operator performs an IRAT handover, e.g. from LTE/HS to GPRS, then the connection may be switched to another SIM 101 #2.」(11頁5行~12頁10行) (当審訳:Fig.2Aは、本方法の実施形態の第一の実施例を示す。 Fig.1A、Fig.1BおよびFig.2Aに示すように、ルータは、セルラー通信ユニット10019、10019a、10019bを介して、ネットワークノード10021(例えば、基地局、eNode B、Node Bなど)と接続されている。オペレータAへの接続が利用されていると仮定する(準備ステップS0を具体化する)。 次に、ルータ1001(例えば、モニタ10015と連動する制御ユニット1001)は、チャネル品質またはスループットを監視することができる。チャネル品質としては、現在のセルラー規格に応じて、RSSI、RSCP、Ec/Io、RSRP、またはRSRQなどが挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、通信ユニットからルータへ(例えば「アプリケーションレベル」またはレイヤー上で)通常利用可能な情報である。しかしながら、SIR、CQIのような下位層の情報も、本実施形態の対象となる(「監視」ステップS1を具体化する)。 スループットは、通信ユニット10019、10019a、10019bから導出され、短距離通信ユニット100110に供給されるTPである場合がある。この情報は、必要に応じてデータベース10012に保存される。チャネル品質またはTPが、一定時間(タイマー(図示せず)によって測定される)閾値(この閾値は履歴データに基づいて導出され、例えば通常達成されるTPの0.1倍、または固定のTP閾値などである)を下回った場合(「判定」ステップS2を具体化する)、オペレータAへの接続は無効化され(例:標準的な接続解放の操作)(「切断」ステップS3を具体化)、また、オペレータB用のSIM 101 #2を有効化し同期させるとともに、オペレータBへの接続確立(例:既知の手順に従って)が実行されてもよい(「開始」ステップS4を具体化)。 オプションとして、ルータ1001は、位置情報を履歴データと照合するためにGPSユニット100111を利用することができる。例えば、固定式のルータ(最も一般的な使用例)の場合、通常のTPを決定し、それによって「低TP」の閾値を設定するために、大量のデータを記録することができる。 ここで留意すべきは、この実施形態において、ステップS2は、無線リンク障害(RLF)(通信圏外であることを示す)が検出された場合、またはより低速のTPシステム(例えばGPRSやEGPRS)へのIRATハンドオーバーが開始された場合も含むことである。言い換えれば、平均スループット(TP)の低下が切り替え条件となり得る。TPが過去のデータから示される値よりも著しく低い場合、SIM切り替えが実行される可能性がある。ある実施形態において、ルータはGPSを備えており、それにより(例えば、特定のSIM/通信事業者について)位置情報と平均TPを照合し、異常なTPの低下を検出することができる。 言い換えれば、さらに別の代替案として、通信状態の悪化が切り替えのトリガーとなり得る。接続が非同期状態(例:接続状態における無線リンク障害の監視)に陥った場合、またはオペレータがIRATハンドオーバー(例:LTE/HSからGPRSへの切り替え)を実行した場合、その接続は別のSIM 101 #2に切り替えられる可能性がある。) なお、上記下線には「チャネル品質またはTP」と記載されているが、「TP」の略語が記載されていない。しかしながら、その記載の前には、「スループットは、通信ユニット10019、10019a、10019bから導出され、短距離通信ユニット100110に供給されるTPである場合がある。」と記載されており、この記載を参酌すると、当該「TP」は「スループット」の略語であることは明らかである。そのため、「TP」は、「スループット」と読み替えることにする。 ウ Fig.2A [図:0001437176000001.jpg] Fig.2Aには、ステップ「S0」に「Router/device connected Network op.A」(当審訳:ネットワークop.Aが接続されたルータ/機器)と記載されている。ここで、「Network op.」がネットワークオペレータのことであることは明らかである。一方、前記イの下線部には「オペレータAとの接続が使用されていると仮定する(準備ステップS0を具体化する)」と記載されているが、「準備ステップS0」は、Fig.2Aの「S0」のことであるから、下線部の「オペレータ」は「ネットワークオペレータ」のことである。そのため、「オペレータA」(前記イ)及び「オペレータB」(前記イ)を、それぞれ「ネットワークオペレータA」及び「ネットワークオペレータB」として読み替えることにする。 (3)引用発明の認定 前記(2)の記載事項によれば、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、後の参照の便宜のため、引用発明を以下のように分説し、「構成a」のようにして参照する。 <引用発明> a ネットワークシステムであって、(前記(2)ア) b ルータ1001は、デュアルSIMルータであり、基地局10021と通信可能であり、次に該基地局は、インターネット1002へのアクセスポイントとして機能し、この場合、ルータ1001は内部モデム(これは、セルラー通信ユニット10019によって構成される場合がある)を備え、(前記(2)ア) c ルータ1001は、(少なくとも)2枚のSIMカード101を支持するための収容部10013を備え、(前記(2)ア) d ルータ1001は、短距離無線通信ユニット100110(例えば、WLANを採用する)を備え、(前記(2)ア) e ルータ1001は、1つ以上のユーザ(またはそれぞれの端末)1003、1004に接続され、(前記(2)ア) f ルータ1001は、使用するSIMに切り替えるためのスイッチユニット100112を備え、(前記(2)ア) g ネットワークオペレータAへの接続が利用されていると仮定し、ルータ1001は、チャネル品質またはスループットを監視し、チャネル品質またはスループットが、一定時間、閾値を下回った場合(「判定」ステップS2を具体化する)、ネットワークオペレータAへの接続は無効化され、また、ネットワークオペレータB用のSIM 101 #2を有効化し同期させるとともに、ネットワークオペレータBへの接続確立が実行され、(前記(2)イ及びウ) h ステップS2は、無線リンク障害(RLF)(通信圏外であることを示す)が検出された場合も含む、(前記(2)イ) i ネットワークシステム。(前記(2)ア) (4)周知文献1の記載について 周知技術を示すために当審で新たに引用するPepwave Ltd.,“Pepwave MAX and Surf User Manual Pepwave Products:MAX700/HD2/HD2 IP67/HD2 mini/HD4/Transit/BR1/BR1 Slim/BR1 ENT/BR1 Pro LTE/BR1 IP55/BR2 IP55/On-The-Go/MAX HD2/HD4 with MediaFast/Device Connector/Surf SOHO, Pepwave Firmware 6.3”,pages.6,8,9,21,40,54,63,66,87,91,106, [online], 2016年9月 Pepwave Ltd.,香港, [2026年4月15日検索],インターネット, <URL:https://download.peplink.com/manual/pepwave_max_surf_v6.3.3_user_manual.pdf>(以下「周知文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア「1 Introduction and Scope Pepwave routers provide link aggregation and load balancing across multiple WAN connections, allowing a combination of technologies like 3G HSDPA, EVDO, 4G LTE, Wi-Fi, external WiMAX dongle, and satellite to be utilized to connect to the Internet. The MAX wireless SD-WAN router series has a wide range of products suitable for many different deployments and markets. Entry level SD-WAN models such as the MAX BR1 are suitable for SMEs or branch offices. High-capacity SD-WAN routers such as the MAX HD2 are suitable for larger organizations and head offices. This manual covers setting up Pepwave routers and provides an introduction to their features and usage.」(6頁) (当審訳:1 導入とスコープ Pepwaveルータは、複数のWAN接続にわたってリンクアグリゲーションと負荷分散を提供し、3G HSDPA、EVDO、4G LTE、Wi-Fi、外部WiMAXドングル、衛星などの技術を組み合わせてインターネットに接続できるようにします。 MAXワイヤレスSD-WANルーターシリーズには、さまざまな展開や市場に適した、幅広い製品があります。MAX BR1などのエントリーレベルのSD-WANモデルは、中小企業やブランチオフィスに適しています。MAX HD2などの大容量SD-WANルータは、大規模な組織や本社に適しています。 このマニュアルでは、Pepwaveルータのセットアップについて説明し、その機能と使いやすさを紹介します。) イ「3 Product Features Pepwave routers enable all LAN users to share broadband Internet connections, and they provide advanced features to enhance Internet access. Our Max BR wireless routers support multiple SIM cards. They can be configured to switch from using one SIM card to another SIM card according to different criteria, including wireless network reliability and data usage. Our MAX HD series wireless routers are embedded with multiple 4G LTE modems, and allow simultaneous wireless Internet connections through multiple wireless networks. The wireless Internet connections can be bonded together using our SpeedFusion technology. This allows better reliability, larger bandwidth, and increased wireless coverage are comparing to use only one 4G LTE modem. Below is a list of supported features on Pepwave routers. Features vary by model. For more information, please see peplink.com/products. 3.1 Supported Network Features 3.1.1 WAN ・ Ethernet WAN connection in full/half duplex ・ Static IP support for PPPoE ・ Built-in HSPA and EVDO cellular modems ・ USB mobile connection(s) ・ Wi-Fi WAN connection ・・・(中略)・・・ 3.1.2 LAN ・ Wi-Fi AP ・ Ethernet LAN ports ・ DHCP server on LAN ・ Extended DHCP option support ・ Static routing rules ・ VLAN on LAN support」(8頁) (当審訳:3 製品の特徴 Pepwaveルータは、すべてのLANユーザがブロードバンドインターネット接続を共有できるようにし、インターネットアクセスを強化するための高度な機能を提供します。当社のMax BRワイヤレスルータは、複数のSIMカードをサポートしています。ワイヤレスネットワークの信頼性やデータ使用量など、さまざまな基準に従って、あるSIMカードの使用から別のSIMカードに切り替えるように構成できます。 当社のMax HDシリーズワイヤレスルータには、複数の4G LTEモデムが組み込まれており、複数のワイヤレスネットワークを介したワイヤレスインターネット接続が可能です。ワイヤレスインターネット接続は、当社のSpeedFusionテクノロジーを使用して結合できます。これにより、4G LTEモデムを1つだけ使用する場合と比較して、信頼性が向上し、帯域幅を拡大し、ワイヤレスカバレッジの拡大が可能になります。 以下は、Pepwaveルータでサポートされている機能の一覧です。機能はモデルによって異なります。詳細については、peplink.com/productsを参照してください。 3.1 サポートされているネットワーク機能 3.1.1 WAN ・ 全二重/半二重のイーサネットWAN接続 ・ PPPoEに対するスタティックIPのサポート ・ 内蔵のHSPAおよびEVDOセルラーモデム ・ USBモバイル接続 ・ Wi-Fi WAN接続 ・・・(中略)・・・ 3.1.2 LAN ・ Wi-Fi AP ・ イーサネットLANポート ・ LAN上のDHCPサーバ ・ 拡張DHCPオプションのサポート ・ 静的ルーティング規則 ・ VLANオンLANのサポート) 上記下線部の記載によれば、WAN側の接続機能として、全二重/半二重のイーサネットWAN接続機能と、複数のSIMカードをサポートした内蔵のHSPAおよびEVDOセルラーモデムによる接続機能を有することが記載されている。 また、LAN側の接続機能として、Wi-Fi AP接続機能を有することが記載されている。) ウ「3.1.3 VPN ・PepVPN with SpeedFusionTM ・PepVPN performance analyzer ・X.509 certificate support ・VPN load balancing and failover among selected WAN connections ・Bandwidth bonding and failover among selected WAN connections ・IPsec VPN for network-to-network connections (works with Cisco and Juniper only) ・Ability to route Internet traffic to a remote VPN peer ・Optional pre-shared key setting ・SpeedFusionTM throughput, ping, and traceroute tests ・PPTP server ・PPTP and IPsec passthrough」(9頁) (当審訳:3.1.3 VPN ・PepVPN with SpeedFusionTM ・PepVPNパフォーマンスアナライザー ・X.509証明書のサポート ・VPN負荷分散と選択したWAN接続間のフェイルオーバー ・帯域幅ボンディングと選択したWAN接続間のフェイルオーバー ・ネットワーク間接続用のIPsec VPN(CiscoおよびJuniperでのみ動作) ・インターネットトラフィックをリモートVPNピアにルーティングする機能 ・オプションの事前共有キー設定 ・SpeedFusionTMのスループット、ping、およびトレースルートのテスト ・PPTPサーバ ・PPTPおよびIPsecパススルー) 上記下線部の記載によれば、VPN接続機能として、選択したWAN接続間のフェイルオーバー機能を有することが記載されている。 エ「4.7 MAX BR1 4.7.1 Panel Appearance [図:0001437176000002.jpg] 」(21頁) (当審訳:4.7 MAX BR1 4.7.1 パネルの外観) 上記の右下図には、ワイヤレスルータに「Redundant Cellular SIM Slots」(当審訳:冗長性のあるセルラーのSIMカードスロット)を有することが記載されており、該ワイヤレスルータは、それぞれにSIMカードが挿入される冗長性のあるセルラーのSIMカードスロットを2つ有することが見てとれる。 オ「8 Connecting to the Web Admin Interface 1. Start a web browser on a computer that is connected with the Pepwave router through the LAN. 2. To connect to the router's web admin interface, enter the following LAN IP address in the address field of the web browser: http://192.168.50.1 (This is the default LAN IP address for Pepwave routers.) 3. Enter the following to access the web admin interface. Username: admin Password: admin (This is the default username and password for Pepwave routers. The admin and read-only user passwords can be changed at System>Admin Security.) 4. After successful login, the Dashboard will be displayed. (・・・(中略(「WAN Connection Status」、「LAN Interface」、「WiFi AP」、「Device Information」の図))・・・) The Dashboard shows current WAN, LAN, and Wi-Fi AP statuses. Here, you can change WAN connection priority and switch on/off the Wi-Fi AP. For further information on setting up these connections, please refer to Sections 8 and 9.」(40頁) (当審訳:8 Web管理インターフェイスへの接続 1. LAN経由でPepwaveルータに接続されているコンピューター上でWebブラウザを起動します。 2. ルータのWeb管理インターフェイスに接続するには、Webブラウザのアドレスフィールドに次のLAN IPアドレスを入力します。 http://192.168.50.1 (これは、PepwaveルータのデフォルトのLAN IPアドレスです。) 3. Web管理インターフェイスにアクセスするには、次のように入力します。 ユーザ名:admin パスワード:admin(これはPepwaveルータのデフォルトのユーザ名とパスワードです。管理者および読み取り専用ユーザのパスワードは、システム>管理者セキュリティで変更できます。) 4. ログインに成功すると、ダッシュボードが表示されます。 ダッシュボードには、現在のWAN、LANおよびWi-Fi APのステータスが表示されます。ここでは、WAN接続の優先順位を変更したり、Wi-Fi APのオン/オフを切り替えたりできます。これらの接続の設定の詳細については、セクション8および9を参照してください。) カ「10 Configuring the WAN Interface(s) WAN Interface settings are located at Network>WAN. To reorder WAN priority, drag on the appropriate WAN by holding the left mouse button, move it to the desired priority (the first one would be the highest priority, the second one would be lower priority, and so on), and drop it by releasing the mouse button. [図:0001437176000003.jpg] To disable a particular WAN connection, drag on the appropriate WAN by holding the left mouse button, move it the Disabled row, and drop it by releasing the mouse button. You can also set priorities on the Dashboard. Click the Details button in the corresponding row to modify the connection setting.」(54頁) (当審訳:10 WANインターフェイスの設定 WANインターフェイスの設定は、Network>WANにあります。WANの優先順位を並べ替えるには、マウスの左ボタンを押したまま該当するWANをドラッグし、希望の優先順位に移動して(最初の優先順位が最も高く、2番目の優先順位が低いというように)、マウスボタンを放してドロップします。特定のWAN接続を無効にするには、マウスの左ボタンを押したまま該当するWANをドラッグし、「無効」の行に移動して、マウスボタンを放してドロップします。ダッシュボードで優先順位を設定することもできます。対応する行の[詳細]ボタンをクリックして、接続設定を変更します。) 上記「10 WANインターフェイスの設定」では、前記オの「ダッシュボード」において、WAN接続の優先順位を変更する方法の詳細が記載されており、WANの優先順位を並べ替えるには、マウスの左ボタンを押したまま該当するWANの各項目をドラッグし、希望の優先順位に移動してマウスボタンを放してドロップすればよいことが説明されている。そうすると、上記の図も参照すれば、「Cellular 1」、「Cellular 2」、「WAN 1」及び「WAN 2」の各項目の優先順位を、マウスのドラッグ・ドロップ操作により、任意に設定できることが記載されているといえる。 キ「10.2 Cellular WAN ・・・(中略(63頁の「WAN Connection Status」の図~66頁21行))・・・ [図:0001437176000004.jpg] (図中の説明) General Settings Standby State This option allows you to choose whether to remain connected or disconnected when this WAN connection is no longer in the highest priority and has entered the standby state. When Remain connected is chosen, bringing up this WAN connection to active makes it immediately available for use. Idle Disconnect When Internet traffic is not detected within the user-specified timeframe, the modem will automatically disconnect. Once the traffic is resumed by the LAN host, the connection will be reactivated.」(63、66頁) (当審訳:10.2 セルラーWAN ・・・(中略)・・・ (図中の説明) 一般的な設定 スタンバイ状態 このオプションでは、このWAN接続の優先順位が最高でなくなり、スタンバイ状態に入った時に、接続を維持するか、切断するかを選択することができます。接続状態の維持を選択すると、このWAN接続がアクティブになり、すぐに使用可能となります。 待機時切断 ユーザが指定した時間内に、インターネットトラフィックが検出されない場合、モデムは自動的に切断されます。LANホストによって、トラフィックが再開されると、接続が再開されます。) ク「13.1 PepVPN (・・・中略(87頁2~3行)・・・) [図:0001437176000005.jpg] 」(87頁) 上記の図より、「Link Failure Detection Time」(当審訳:「リンク障害検出時間」)が、「Recommend(Approx.15secs)」(当審訳:「推奨(約15秒)」)、「Fast(Approx.6secs)」(当審訳:「高速(約6秒)」)、「Faster(Approx.2secs)」(当審訳:「より高速(約2秒)」)、「Extreme(under 1 sec)」(当審訳:エクストリーム(約1秒))の中から選択できることが見てとれる。 ケ「13.1 PepVPN (・・・(中略(87頁2行~91頁上から5つ目の図(PepVPN settings)の図))・・・) [図:0001437176000006.jpg] (図中の「Link Failure Detection Time」の説明(91頁上から6つ目の図(PepVPN Settings)) Link Failure Detection Time The bonded VPN can detect routing failures on the path between two sites over each WAN connection. Failed WAN connections will not be used to route VPN traffic. Health check packets are sent to the remote unit to detect any failure. The more frequently checks are sent, the shorter the detection time, although more bandwidth will be consumed. When Recommended (default) is selected, a health check packet is sent every five seconds, and the expected detection time is 15 seconds. When Fast is selected, a health check packet is sent every three seconds, and the expected detection time is six seconds. When Faster is selected, a health check packet is sent every second, and the expected detection time is two seconds. When Extreme is selected, a health check packet is sent every 0.1 second, and the expected detection time is less than one second.」(87、91頁) (当審訳:13.1 PepVPN (・・・(中略)・・・) (図中の「リンク障害検出時間」の説明) リンク障害検出時間 ボンディングされたVPNは、各WAN接続を介した2つのサイト間のパスでのルーティング障害を検出できます。失敗したWAN接続は、VPNトラフィックのルーティングには使用されません。障害を検出するためにヘルスチェックパケットをリモートユニットに送信します。より頻繁にヘルスチェックパケットを送信すると、検出時間は短くなりますが、より多くの帯域幅が消費されます。 推奨(デフォルト)が選択されている場合、ヘルスチェックパケットは5秒ごとに送信され、予想される検出時間は15秒です。 高速(Fast)を選択されている場合、ヘルスチェックパケットが3秒ごとに送信され、予想される検出時間は6秒です。 より高速(Faster)を選択されている場合、ヘルスチェックパケットが毎秒送信され、予想される検出時間は2秒です。 エクストリーム(Extreme)が選択されている場合、ヘルスチェックパケットが0.1秒ごとに送信され、予想される検出時間は1秒未満です。」 コ「15.2.4 Algorithm: Priority This setting specifies the priority of the WAN connections used to route the specified network service. The highest priority WAN connection available will always be used for routing the specified type of traffic. A lower priority WAN connection will be used only when all higher priority connections have become unavailable.」(106頁) (当審訳:15.2.4 アルゴリズム:優先順位 この設定では、指定したネットワークサービスのルーティングに使用されるWAN接続の優先度を指定します。使用可能な最も優先度の高いWAN接続が指定されたタイプのトラフィックのルーティングに常に使用されます。優先順位の低いWAN接続は、優先順位の高い接続がすべて使用できなくなった場合にのみ使用されます。) ここで、上記の「優先順位の高い接続」は、例えば、前記カの図中の「Priority 1」のことであり、「優先順位の低いWAN接続」は、例えば、前記カの図中の「Priority 2」のことであることは、明らかである。 サ 前記イによれば、周知文献1に記載の「ワイヤレスルータ」は、LANユーザがブロードバンドインターネット接続を行うために用いられ、複数のSIMカードをサポートし、ワイヤレスネットワークの信頼性などの基準に従って、あるSIMカードの使用から別のSIMカードに切り替えるように構成されると認められる。 したがって、一般に、「システム」の語義が「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み」(広辞苑)であることを考慮すると、「ブロードバンドインターネット」、「ワイヤレスルータ」及び「複数のSIMカード」は、全体として、通信ネットワーク接続システムであるといえる。 (5)周知技術1の認定 前記(4)の記載によれば、周知文献1には、以下の技術が記載されていると認められる。そして、当該記載事項は本願の出願前に周知であり、該技術を以下では「周知技術1」という。 <周知技術1> ワイヤレスルータを用いた通信ネットワーク接続システムにおいて、(前記(4)サ) すべてのLANユーザがブロードバンドインターネット接続を共有できるようにし、(前記(4)イ) WAN側の接続機能として、全二重/半二重のイーサネットWAN接続機能と、複数のSIMカードをサポートした内蔵のHSPAおよびEVDOセルラーモデムによる接続機能を有し、(前記(4)イ) LAN側の接続機能として、Wi-Fi AP接続機能を有し、(前記(4)イ) ワイヤレスルータは、それぞれにSIMカードが挿入される冗長性のあるセルラーのSIMカードスロットを2つ有し、(前記(4)エ) ワイヤレスネットワークの信頼性やデータ使用量など、さまざまな基準に従って、あるSIMカードの使用から別のSIMカードに切り替え、(前記(4)イ) ダッシュボードにおいてWAN接続の優先順位を変更し、(前記(4)オ) 「Cellular 1」、「Cellular 2」、「WAN 1」及び「WAN 2」の各項目の優先順位を、マウスのドラッグ・ドロップ操作により、任意に設定することができ、(前記(4)カ) VPN接続機能として、選択したWAN接続間のフェイルオーバー機能を有し、(前記(4)ウ) リンク障害検出時間は、「推奨(約15秒)」、「高速(約6秒)」、「より高速(約2秒)」、「エクストリーム(約1秒)」の中から選択でき、(前記(4)ク及びケ) 優先順位の低いWAN接続(例えば、Priority 2)は、優先順位の高い接続(例えば、Priority 1)がすべて使用できなくなった場合にのみ使用される、(前記(4)コ) 通信ネットワーク接続システム。(前記(4)サ) (6)周知文献2の記載について 周知技術を示すために当審で新たに引用する太田 亮三,“日本通信、ドコモ・ソフトバンク網に両対応で二重化した「2SIMルータ」無線の専用線サービスを国内で本格展開へ” , [online], 2015年12月1日, [2026年4月15日検索],インターネット, <URL: https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/733095.html>(以下「周知文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。 ア「日本通信は、主回線にNTTドコモの回線を使用し、副回線としてソフトバンク回線を利用できるデュアルSIMスロットの業務向けルーター「2SIMルータ」(トゥー・シム・ルータ)を発売した。日本通信から、金融機関やシステムインテグレーター向けに販売され、最終顧客は機器のリース料や通信料込みの月額の料金体系で利用できる。」 イ「「2SIMルータ」のハードウェアは米Digi製で、回線の切り替えロジックを日本通信が開発した。主回線はNTTドコモの3G網を使い、副回線としてソフトバンク網の3G網を利用する。なお、ソフトバンク網はボーダフォンのSIMカードで利用する形。どちらの回線も日本通信がMVNOとして調達しているものが提供される。現在ソフトバンクとの間で進めているレイヤー2接続の契約が完了すれば、副回線はボーダフォンではなくソフトバンクのSIMカードに置き換わる見込み。」 ウ「「2SIMルータ」では、主回線のドコモ網に接続できない、通信できないなどの問題が発生した場合、予め設定した内容に従い、副回線のソフトバンク網に自動的に切り替わる。」 エ「日本通信では、「2SIMルータ」を使用した場合の、ISDN回線の置き換えの場合の料金プランの例として、5年リースプランで月額3900円(税別)というプランを挙げている。これには、2SIMルータのリース料と、SIMカード2回線の利用料が含まれている。」 (7)周知技術2の認定 前記(6)の記載によれば、周知文献2には、以下の技術が記載されていると認められる。そして、当該記載事項は本願の出願前に周知であり、該技術を以下では「周知技術2」という。 <周知技術2> 主回線にNTTドコモの回線を使用し、副回線としてソフトバンク回線を利用できるデュアルSIMスロットの業務向けルーターにおいて、(前記(6)ア) 主回線のドコモ網に接続できない、通信できないなどの問題が発生した場合、予め設定した内容に従い、副回線のソフトバンク網に自動的に切り替わり、(前記(6)ウ) どちらの回線も日本通信がMVNOとして調達しているものが提供され、(前記(6)イ) 料金プランの例として、5年リースプランで月額3900円(税別)というプランには、2SIMルータのリース料と、SIMカード2回線の利用料が含まれている、(前記(6)エ) 業務向けルーター。(前記(6)ア) (8)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 発明特定事項Aについて 発明特定事項Aは、「通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、」というものである。 (ア)引用発明の「ルータ1001」は「デュアルSIMルータであり、基地局10021と通信可能」(構成b)である。ここで、SIMが、利用者がどの通信事業者(キャリア)の回線を使うかを端末で識別・認証するためのものであることは明らかである。そうすると、引用発明の「ルータ1001」は、SIMにより本件補正発明のように「通信事業者(キャリア)」の「通信回線の利用を可能」にしている。 さらに、引用発明の「ルータ1001」は、「基地局10021と通信可能」(構成b)であり、さらに「該基地局は、インターネット1002へのアクセスポイントとして機能し」(構成b)ていることから、インターネットへの接続も提供している。よって引用発明の「ルータ1001」は本件補正発明のように「通信ネットワークへの接続を提供」するものでもある。 (イ)引用発明の「ネットワークオペレータA」(構成g)及び「ネットワークオペレータB」(構成g)は、本件補正発明の「通信事業者(キャリア)」に相当する。また、引用発明の「ネットワークオペレータAへの接続が利用」(構成g)される場合と、「ネットワークオペレータBへの接続確立が実行」(構成g)された場合があるから、引用発明の「ルータ1001」は本件補正発明のように「通信事業者(キャリア)の異なる2」「の通信回線の利用を可能にして」いる。 また、引用発明「ルータ1001」は、「少なくとも」「2枚のSIMカード101」(構成c)を備え、「使用するSIMに切り替えるためのスイッチユニット100112」(構成f)も備えるから、SIMに対応した通信回線を利用できることを考慮すると、「2以上の利用可能な通信回線」を有しているといえる。 以上より、本件補正発明と引用発明は、「通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして」いる点で共通する。 (ウ)前記(ア)及び(イ)より、引用発明の「ルータ1001」は、通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供するものである。そして、引用発明は、「ルータ1001」によって「ネットワークシステム」(構成a)を構成することから、引用発明の「ネットワークシステム」は「通信ネットワーク接続サービス提供システム」といえる。 したがって、本件補正発明と引用発明は、「通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、」(発明特定事項A)という点で一致する。 イ 発明特定事項B1について 発明特定事項B1は、「2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持するとともに、」というものである。 (ア)引用発明の「ルータ1001」は、「セルラー通信ユニット10019」(構成b)を備えて、前記ア(ウ)のとおり「2以上の通信回線の利用を可能」にしているものである。また、「セルラー通信」は無線通信であることは明らかであり、セルラー通信以外による通信回線へのアクセスがない状況は、「通信回線」への「アクセス」が「全て無線による」ものであるといえる。 よって、本件補正発明と引用発明は、「2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるもの」である点で共通する。 (イ)引用発明の「ステップS2」は、「無線リンク障害(RLF)(通信圏外であることを示す)が検出された場合も含む」(構成h)ものである。ここで、「無線リンク障害(RLF)(通信圏外)」は基地局と通信ができなくなる障害であることは技術常識であることから、「無線リンク障害(RLF)」は、「通信ネットワークへ接続できない状況」といえる。 (ウ)引用発明は、「チャネル品質またはスループットが、一定時間、閾値を下回った場合」(構成g)、「無線リンク障害(RLF)(通信圏外であることを示す)」を「検出」(構成h)するものであることから、引用発明の「一定時間、閾値を下回」っている状況とは、「無線リンク障害(RLF)(通信圏外)」が発生している状況のことであり、前記(イ)を踏まえると、本件補正発明の「通信ネットワークへ接続できない状況」(前記(イ))であるといえる。 よって、本件補正発明と引用発明とは「通信ネットワークへ一定時間接続できない状況」である点で共通する。 (エ)引用発明において、「ネットワークオペレータAへの接続」が「無効化され」(構成g)、「ネットワークオペレータBへの接続確立が実行され」(構成g)ることとは、「利用する通信回線を変更」することである。また、「ネットワークオペレータA」から「ネットワークオペレータB」へ「接続」が変更されることを踏まえれば、「ネットワークオペレータB」は予め「利用する通信回線」として特定されており、それに「従って利用する通信回線を変更」しているといえる。 また、引用発明は「ネットワークオペレータAへの接続が利用されていると仮定」(構成g)して、前記(ウ)で示したような「通信ネットワークへ一定時間接続できない状況」の際に、「ネットワークオペレータBへの接続」(構成g)に「通信回線を変更」するものであるから、接続は維持された状態になることは明らかであり、「通信環境を維持」するものといえる。 以上より、本件補正発明と引用発明は、「利用する通信回線」を予め特定し、「通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では」予め特定された回線「に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持する」点で共通する。 ただし、「利用する通信回線」の特定については、本件補正発明は「優先順位をつけ」ているのに対し、引用発明はそのような優先順位をつけていない点で相違する。それに伴い、「利用する通信回線を変更する」際には、本件補正発明は「優先順位」に従っているのに対し、引用発明は、それに従ってはいない点で相違する。 (オ)前記(ア)及び(エ)をまとめると、本件補正発明と引用発明は、「2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線」を予め特定し、「通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では」予め特定された回線「に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持する」点で共通する。 ただし、「利用する通信回線」の特定については、本件補正発明は「優先順位をつけ」て特定しているのに対し、引用発明はそのような優先順位をつけていない点で相違する。それに伴い、「利用する通信回線を変更する」際には、本件補正発明は「優先順位」に従っているのに対し、引用発明は、「優先順位」がついていないため、「優先順位」に従ってはいない点で相違する。 ウ 発明特定事項B2について 発明特定事項B2は、「サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて、サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供することでサービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」というものである。 (ア)引用発明の「ルータ1001」は、「短距離無線通信ユニット100110(例えば、WLANを採用する)を備え」(構成d)ており、無線LAN機能を有するルータ、すなわちWLANルータであると認められる。そして、WLANと「WiFi」が同一視されるほどWiFiがWLANとして一般的なものになっている実情に鑑みれば、引用発明の「ルータ1001」は、本件補正発明の「WiFiルータ」に相当するものといえる。 (イ)引用発明の「ルータ1001」は、「通信事業者の異なる2以上の通信回線の利用を可能」(前記ア(ウ))にしており、また、「(少なくとも)2枚のSIMカード101を支持するための収容部10013を備え」(構成c)ていることも考慮すると、本件補正発明の「WiFiルータ」と引用発明の「ルータ1001」は、「通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備」している点で、共通する。 また、引用発明の「ルータ1001」には、「1つ以上のユーザ(またはそれぞれの端末)1003、1004」が「接続され」(構成e)、さらに「ルータ1001」は、「通信ネットワークへの接続を提供する」(前記ア(ウ))ことから、引用発明の「ユーザ」は、本件補正発明の「サービス利用者」に相当する。そして、「通信ネットワークへの接続を提供する」(前記ア(ウ))ことはサービスの提供に他ならず、そのようなサービスの提供が行われている以上、そのサービスを提供するもの、すなわちサービス提供者が存在することは明らかであるから、本件補正発明と引用発明は、「サービス提供者」が「WiFiルータを用いて、サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供する」点で共通する。 以上より、本件補正発明と引用発明とは、「サービス提供者が通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて、サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供すること」である点で共通する。 (ウ)一方、本件補正発明には、「通信回線」について、「通信事業者(キャリア)から借り入れた通信回線」が特定されている。ここで、「通信回線を借り入れ」るとは、一般に、自社サービスのために他社から通信回線を借りることである。本件補正発明の「通信回線」そのものは、技術的な特徴を有する技術用語といえるものの、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」とは、上記のような単なる商業上の契約に過ぎず技術的な特徴によって「通信回線」を特定しているとはいえない。また、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」は、物の発明であるところ、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」ということは、物とは関係のない特徴でもある。そうすると、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」とは、物の発明における技術的な特徴として認めることはできない。 上記のとおりであるから、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」という特徴について、本件補正発明と引用発明とを対比することができないが、仮に対比をすると、以下の点で相違している。 すなわち、「通信回線」について、本件補正発明は、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」ものであるのに対し、引用発明は、その旨特定されていない点で、一応相違する。 (エ)また、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」は、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」として特定されているが、「通信事業者との契約及び費用」が「不要にできる」ことについては、サービス提供者とサービス利用者との間の単なる商業上の契約を特定しているに過ぎず、「通信ネットワーク接続サービス提供システム」を技術的な特徴で特定しているものではない。また、前記(ウ)と同様に、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」は、物の発明であるところ、「通信事業者との契約及び費用」が「不要にできる」ことは、物とは関係のない特徴でもある。そうすると、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」は、物の発明における技術的な特徴として認めることはできない。 上記のとおりであるから、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」という特徴について、本件補正発明と引用発明とを対比することができないが、仮に対比をすると、以下の点で相違している。 すなわち、本件補正発明は、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」が特定されているのに対して、引用発明はその旨特定されていない点で一応相違する。 エ 発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは、「を特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。」というものである。 前記ア(ウ)で示したとおり引用発明の「ネットワークシステム」(構成a及びi)は、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」に相当する。 よって、本件補正発明と引用発明は、「を特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。」である点で一致する。 オ 一致点、相違点 前記ア~エによれば、本件補正発明と引用発明との一致点と相違点は以下のとおりである。 [一致点] 通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムであって、 2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線を特定し、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では特定した通信回線に従って利用する通信回線を変更し、通信環境を維持するとともに、サービス提供者が通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて、サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供することを特徴とした通信ネットワーク接続サービス提供システム。 [相違点1] 「利用する通信回線」の特定については、本件補正発明は「優先順位をつけ」て特定しているのに対し、引用発明はそのような優先順位をつけていない点 それに伴い、「利用する通信回線を変更する」際には、本件補正発明は「優先順位」に従っているのに対し、引用発明は、「優先順位」がついていないため、「優先順位」に従ってはいない点 [相違点2] 「通信回線」について、本件補正発明は、「通信事業者(キャリア)から借り入れた」ものであるのに対し、引用発明は、その旨特定されていない点 [相違点3] 本件補正発明は、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」が特定されているのに対して、引用発明はその旨特定されていない点 (9)相違点1についての判断 ア 周知技術1は、前記(5)のとおりである。 イ ここで、周知技術1の「ワイヤレスルータ」は、WAN側の接続機能として、「複数のSIMカードをサポートした内蔵のHSPAおよびEVDOセルラーモデムによる接続機能」を有しており、「冗長性のあるセルラーのSIMカードスロット」に「SIMカードが挿入され」て、通信事業者の回線を利用した通信を通じてデータ通信を可能にしていることは明らかであるから、周知技術1の「ワイヤレスルータ」は、本件補正発明の「通信事業者」の「通信回線の利用を可能にして」いる構成を有している。 ウ 周知技術1の「ワイヤレスルータ」は、「冗長性のあるセルラーのSIMカードスロット」を有し、「あるSIMカード」と「別のSIMカード」を利用して、前記イで示したデータ通信を可能にしているから、本件補正発明のように「2以上の通信回線の利用を可能」にしている。 エ 周知技術1の「通信ネットワーク接続システム」は、「ワイヤレスルータを用いた」ものであることから、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」に相当する。 オ 前記ア~エを踏まえると、本件補正発明と周知技術1は、「通信事業者」の「2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システム」である点で一致する。 カ さらに、周知技術1の「複数のSIMカードをサポートした内蔵のHSPAおよびEVDOセルラーモデムによる接続機能」は、セルラー回線(公衆無線回線)により通信回線への接続を行うものであることは明らかであるから、本件補正発明の「無線による」、「通信回線へのアクセス」に相当する。 キ 周知技術1の「あるSIMカード」及び「別のSIMカード」を用いることは、2つの通信回線の利用を可能にしているといえる。したがって、前記カを踏まえると、周知技術1の「SIMカードが挿入される冗長性のあるセルラーのSIMカードスロット」に、「あるSIMカード」と「別のSIMカード」が挿入されてセルラーモデムによる接続機能が使用され、他のWAN回線接続がなされていない状態は、本件補正発明の「2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであ」る場合に相当する。 ク 周知技術1では、「「Cellular 1」、「Cellular 2」、「WAN 1」及び「WAN 2」の各項目の優先順位を、任意に設定することができ」るものであり、周知技術1では、「優先順位の低いWAN接続(例えば、Priority 2)は、優先順位の高い接続(例えば、Priority 1)がすべて使用できなくなった場合にのみ使用され」るから、周知技術1では、利用する通信回線に優先順位をつけているといえる。 ここで、周知技術1において、「リンク障害検出時間は、「推奨(約15秒)」、「高速(約6秒)」、「より高速(約2秒)」、「エクストリーム(約1秒)」の中から選択でき」るものであり、「リンク障害」は、通信障害によって通信ネットワークへ接続できない状況であるといえ、選択対象となる上記「リンク障害検出時間」はいずれも一定時間といえるから、周知技術1では、通信障害によって通信ネットワークへ一定時間接続できない状況を検出し、当該検出により通信回線を変更すると認められる。 ケ 周知技術1は「フェイルオーバー機能を有する」ところ、フェイルオーバーが、稼働中のシステムに障害が発生したときに待機している別のシステムに変更して、システムを維持する仕組みであることは技術常識であるから、前記クを考慮すると、周知技術1の「フェイルオーバー機能」は、利用する通信回線に通信障害が発生したときに、優先順位に従って利用する通信回線を変更し、変更後の通信回線で通信環境を維持できるものであると認められる。 コ 前記カ~ケを踏まえると、本件補正発明と周知技術1は、「2以上の利用可能な通信回線へのアクセスが全て無線によるものであれば、利用する通信回線に優先順位をつけ、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では優先順位に従って利用する通信回線を変更」する点で一致する。 サ そうすると、引用発明と周知技術1は、いずれも2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する通信ネットワーク接続サービス提供システムに関するものであり、通信ネットワークへ一定時間接続できない状況では利用する通信回線を変更するという点で共通する。 してみれば、引用発明における「利用する通信回線」の特定については、上記周知技術1のように「優先順位をつける」ことで特定し、さらに、「利用する通信回線を変更」する際には、その「優先順位」に従うことで、上記相違点1とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (10)相違点2及び3についての判断 上記相違点2及び3については、事案に鑑みまとめて検討する。 ア 周知技術2は、前記(7)のとおりである。 イ ここで、周知技術2の「NTTドコモの回線」及び「ソフトバンク回線」は、本件補正発明の「通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線」に相当する。また、周知技術2は、「主回線」、「副回線」として「使用」して、「主回線のドコモ網」、「副回線のソフトバンク網」に接続するものであるから、本件補正発明のように「2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する」ものである。 また、周知技術2は「主回線のドコモ網に接続できない、通信できないなどの問題が発生した場合、予め設定した内容に従い、副回線のソフトバンク網に自動的に切り替わ」るものであり、本件補正発明と同様に、「通信ネットワークへ」「接続できない状況」の際に「利用する通信回線を変更」するものである。 したがって、本件補正発明と周知技術2は、「通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する」ものであって、「通信ネットワークへ」「接続できない状況では」「利用する通信回線を変更」する点で共通する。 ウ 周知技術2は、「どちらの回線も日本通信がMVNOとして調達しているもの」であることから、「サービス提供者」である日本通信が、「通信事業者」であるドコモ及びソフトバンクから「通信回線を借り入れて」いることは明らかである。 したがって、本件補正発明と周知技術2は、「通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者の異なる2以上の通信回線」である点で共通する。 エ 周知技術2は、「日本通信がMVNO」として、「業務向けルータ」を「リース」するものであるから、「サービス提供者」である日本通信が、「サービス利用者」に「通信ネットワークを提供する」(前記イ)ことは明らかである。 したがって、本件補正発明と周知技術2は、「サービス提供者」が「サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供する」点で共通する。 オ また、周知技術2は、「料金プランの例として、5年リースプランで月額3900円(税別)というプランには、2SIMルータのリース料と、SIMカード2回線の利用料が含まれている」から、日本通信が提供するサービスを利用するサービス利用者にとっては、2SIMルータのリース料と、SIMカード2回線の利用料、つまり、ドコモ及びソフトバンクそれぞれの回線の利用料とが含まれているリースプランで契約するものと解される。そして、日本通信が、通信事業者のドコモ及びソフトバンクから「通信回線を借り入れて」いること(前記ウ)も考慮すると、サービス利用者にとっては、日本通信と契約することで、ドコモ及びソフトバンクそれぞれの通信事業者との契約及び費用は不要となる。 したがって、本件補正発明と周知技術2は、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできる」点で共通する。 カ 前記ア~オを踏まえると、本件補正発明と周知技術2は、「サービス提供者が通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者(キャリア)の異なる2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続を提供する」ものであって、「通信ネットワークへ」「接続できない状況では」「利用する通信回線を変更」し、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできる」点で一致する。 キ 引用発明と周知技術2は、いずれも2以上の通信回線の利用を可能にして通信ネットワークへの接続の提供に関するものであり、通信ネットワークへ接続できない状況で利用する通信回線を変更するという点で共通する。 してみれば、引用発明において、「通信回線」を上記周知技術2に示すように「通信事業者から借り入れた」(前記ウ)ものとすることで上記相違点2とすることや、「サービス利用者」が「複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできる」(前記オ)ようにすることで上記相違点3とすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (11)効果についての判断 これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術1及び2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (12)請求人の主張について 請求人は、本件補正発明の引用発明に対する進歩性について、概略、以下の主張1及び2を主張する。なお、主張に記載された引用文献1~3は、後記第4の原査定で提示した引用文献のことである。 ア 主張1 「(1)拒絶査定において『しかしながら、請求項1の「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて」との記載について検討すると、サービス利用者の契約及び費用を不要にできることは、ビジネスを行うにあたっての人為的な取決めと解されるため、当該記載は技術的事項と認めることができない。そうすると、請求項1に係る発明において、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて」との記載による限定は、なされていないものと認められる。請求項2に係る発明についても、同様である。よって、請求項1-2に係る発明は、補正前の請求項1又は2を引用する補正前の請求項3に係る発明に対応するものであり、引用文献1-3又は1、3に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、依然として、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。(なお、例えば、発明の詳細な説明の段落[0014]等より、Wifiルータと通信回線との構成上の関係や、Wifiルータとサービス利用者との構成上の関係とによる限定等、構成により当該技術的事項が特定されれば、当該理由は解消する。)』とご指摘されています。 (2)そこで、出願人は請求項1及び2について上記の補正を行いました。これにより、WiFiルータが「通信事業者(キャリア)から借り入れた2以上の通信回線の利用を可能にするWiFiルータ」である旨のみ特定されるものではなく、「通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータ」であることが特定されるものと解します。これは、引用文献1乃至3には開示・示唆されていない発明特定事項です。そして、その結果として、「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」は人為的な取決めではなく、前記発明特定事項から導き出される効果としての発明特定事項に他なりません。」 イ 主張1についての検討 本件補正発明の「通信事業者(キャリア)から借り入れた通信事業者の異なる2以上の通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータ」については、前記(10)で示したとおり、引用発明及び周知技術2により、当業者が容易に想到し得たものである。 また、本件補正発明の「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」ついては、前記(8)ウ(エ)で示したとおり、単に商業上の契約を特定しているものに過ぎないとともに、本件補正発明の「通信ネットワーク接続サービス提供システム」(物の発明)とは関係のない特徴であり、物の発明における技術的な特徴として認めることはできないものの、仮に発明特定事項として認めたとしても、当該発明特定事項は、前記(10)で示したとおり周知(周知技術2参照)である。 よって、出願人の上記主張1は認めることができない。 ウ 主張2 「本願発明において「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」は引用文献1乃至3には開示・示唆されていない重要な相違点です。そして、本願発明はこの発明特定事項の存在によって、引用文献1乃至3と通信ネットワーク接続サービス提供システムとしての性格が相当程度異なってくると言えます(本願発明では最小限の負担で通信環境の維持を可能にします。[発明の効果](2)参照)。したがって、当該発明特定事項が「人為的な取決めに過ぎない」として、他の公知技術等を用いた論理付けを示さないまま容易想到と判断することは、相当ではないと思料いたします。」 エ 主張2についての検討 本件補正発明の「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」については、前記イで示したとおりであるから、出願人の上記主張2も認めることができない。 (13)小括 以上によれば、本件補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 4 本件補正についてのむすび 前記3によれば、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり却下されたため、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(1)に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。 第4 原査定の理由の概要 原査定の理由の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1及び2に係る発明は、以下の文献1に記載された発明並びに文献2及び3に記載された技術事項、若しくは、文献1に記載された発明及び文献3に記載された技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 また、この出願の請求項3に係る発明は、以下の文献1に記載された発明並びに文献2及び3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 文献1.国際公開第2014/012562号 文献2.特開2009-296293号公報 文献3.特開2015-167266号公報 第5 文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された文献1(当審決の引用文献)の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に示したとおりであり、引用発明は前記第2[理由]3(3)に示したとおりである。また、周知技術1及び周知技術2は、それぞれ前記第2[理由]3(5)及び(7)に示したとおりである。 第6 本願発明と引用発明との対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明から、その発明特定事項である「通信事業者の異なる2以上の通信回線」について、通信回線の提供主体を削除して「2以上の通信回線」とするものであり、また、その発明特定事項である「通信回線に係るSIMカードを装備したWiFiルータを用いて」について、通信回線の利用を可能にするための手段を削除することで「通信回線の利用を可能にし」とするものであり、さらに、その発明特定事項である「サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供する」について、通信ネットワークへの接続を提供する対象を削除することで、「通信ネットワークへの接続を提供する」とするものである。 なお、本件補正発明における「サービス提供者が」「サービス利用者に対して、通信ネットワークへの接続を提供することで」「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできること」について、文章の前後の順番を入れ替えて「サービス提供者が」「サービス利用者は複数の通信事業者との契約及び費用は不要にできて」、「通信ネットワークへの接続を提供すること」とするものについて、前記第2[理由]2で示したように、通信事業者との契約及び費用が不要にできることと通信ネットワークへの接続を提供することとは、通信事業者との契約に基づいて同時に生じる事象であり、それらに因果関係はなく、文章の前後の順番を入れ替えたところで特定される事項に変化はない。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2[理由]3に記載したとおり、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-010069

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